JP2017136789A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚みばらつきの極めて小さい熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の提供。
【解決手段】溶融した熱可塑性樹脂をフィルム状に押し出す押出工程、前記押出工程で押し出されたフィルムをロール周速差によって長手方向に延伸する縦延伸工程、及び、縦延伸工程を経たフィルムを幅方向に延伸する横延伸工程を含む光学フィルムの製造方法において、前記縦延伸工程は、幅方向での中央部に厚みが均一な部分を有し、両端部に厚さが次第に減少する部分を有し、幅方向での最薄部の厚さが100μm以下であるフィルムを、フィルムに付加される伸長変形の歪み速度が0.8〜2.5/secで、前記両端部のフィルム温度Teを前記中央部のフィルム温度Tcよりも高くして、その温度差が5℃≦Te−Tc≦40℃で縦延伸する、光学フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。
偏光子を保護するための偏光子保護フィルムや、液晶表示装置用のフィルム基板等に代表される光学フィルムには、機械的強度、外観、透明性に優れ、位相差精度及び厚み精度が高いことが要求される。
このようなフィルムの製造方法としては、溶融押出法等で成形し得られたフィルム原反を二軸延伸することで上記フィルムを得る製造方法が挙げられる。この場合の二軸延伸としては、縦横の逐次延伸からなる逐次二軸延伸が一般的である。ここで、逐次二軸延伸における一軸目の縦延伸の方法として、ロール縦延伸法が用いられる。これは、近接した低周速ロール及び高周速ロールによってフィルムを所定の温度に加熱しながら進行方向に延伸する方法である。
しかし、ロール縦延伸では、ネックインとともにフィルム端部に肉厚部が生じる。横延伸によってこの厚みむらは改善されるものの、依然として二軸延伸後のフィルム端部の厚みが厚く、厚みばらつきが残存する。この課題に対し、例えば、特許文献1に開示された技術では、厚みが次第に減少する漸減部を設けた原反フィルムを縦延伸工程に供することにより、フィルムの幅方向厚みが均一化させることが可能である。
特開2011−88440号公報
近年、光学フィルムは、液晶ユニット全体の薄膜化の要求から、薄膜化が必要とされている。また、高倍率2軸延伸を行うことで、無延伸では脆弱なアクリルフィルムの強度を向上することが可能な上、生産性も向上する。
しかし、特許文献1の製法で高倍率・薄膜延伸を実施すると、高歪み速度の変形による破断と、大変形(歪み)による厚み品質の悪化という新たな問題が生じる。
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、縦延伸工程に供される原反フィルムの形状および縦延伸時のフィルム加熱条件を制御することによって、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、溶融した熱可塑性樹脂をフィルム状に押し出す押出工程、前記押出工程で押し出されたフィルムをロール周速差によって長手方向に延伸する縦延伸工程、および、前記縦延伸工程を経たフィルムを幅方向に延伸する横延伸工程を含む光学フィルムの製造方法において、
前記縦延伸工程は、幅方向での中央部に厚みが均一な部分を有し、両端部に厚さが次第に減少する部分を有し、幅方向での最薄部の厚さが100μm以下であるフィルムを、
フィルムに付加される伸長変形の歪み速度が0.8/sec以上2.5/sec以下で、
前記両端部のフィルム温度Teを前記中央部のフィルム温度Tcよりも高くして縦延伸する、
光学フィルムの製造方法(以下、本発明の光学フィルムの製造方法と称することがある。)に関する。
本発明の光学フィルムの製造方法において、前記両端部のフィルム温度Teと前記中央部のフィルム温度Tcとの温度差が、5℃≦Te−Tc≦40℃であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法において、前記厚さが次第に減少する部分が、フィルム全幅100%としたときフィルム最端部から10%以上40%以下までの領域で形成されていることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法において、前記縦延伸工程におけるフィルム加熱手段は、前記フィルムの幅全体を加熱する第一加熱手段と、前記フィルムの端部のみを加熱する第二加熱手段とを備え、前記第二加熱手段が、前記第一加熱手段に対して下流側に配置されていることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法において、前記縦延伸工程は、長手方向に離間して配置された一対の挟持部で前記フィルムを挟持しながら行い、前記フィルムの幅をw、前記一対の挟持部間の距離をLとしたとき、L/wが0.1以上2.0以下であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法において、前記縦延伸工程に供されるフィルムの幅が900mm以上2000mm以下であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法において、前記熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂であることが好ましい。
本発明の製法によれば、高い歩留まりで、幅方向における厚み精度が極めて良好なフィルムを提供することができる。本発明の製造方法により、光学用途においても好適に用いることができるフィルムを製造することができる。
本発明の光学フィルムの製造方法を説明する図であり、溶融押出工程の製造装置の概略を示す側面図である。 押出工程で押し出されたフィルムの幅方向の厚みプロファイルを示す図である。 本発明の光学フィルムの製造方法を説明する図であり、(a)はロール縦延伸工程の製造装置の概略を示す側面図であり、(b)は(a)の上方から見た図(鳥瞰図)である。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
本発明の光学フィルムの製造方法は、溶融した熱可塑性樹脂をフィルム状に押し出す押出工程、前記押出工程で押し出されたフィルムをロール周速差によって長手方向に延伸する縦延伸工程、および、前記縦延伸工程を経たフィルムを幅方向に延伸する横延伸工程を含むものに関する。
縦延伸時の幅方向における厚みむらの悪化は、フィルムの中央部とフィルムの端部で延伸時の伸長の形態が異なることに起因する。フィルム中央部では幅方向にはほぼ変形せず、長手方向(引っ張り方向)のみに変形される。一方、フィルム端部は、フィルムの最端部が自由端であるため、延伸時幅方向に収縮(ネックイン)しながら伸張される。その結果、フィルム端部は、フィルム中央部よりフィルム厚みが厚くなる。
そこで、本発明の光学フィルムの製造方法では、縦延伸工程に、フィルム幅方向での中央部に厚みが均一な部分を有し、フィルム幅方向での両端部に厚さが次第に小さくなっている部分を有し、フィルム幅方向の最薄部が厚さ100μm以下である原反フィルム(以下、「本発明で使用する原反フィルム」と称することがある。)を供給する。
具体的には、本発明で使用する原反フィルムが以下の(i)の条件を満たすことが好ましい。
(i)縦延伸工程に供給される原反フィルムの幅方向の厚みプロファイル
以下、縦延伸工程に供給される原反フィルムについて、図1、2を参照しながら説明する。図1は、本発明の光学フィルムの製造方法における吐出から挟み込み成形を模式的に示す図である。フィルム原料たる熱可塑性樹脂組成物が押出機1に投入され、押出機内において、ガラス転移温度以上の温度まで加熱され、溶融状態となる。溶融状態の熱可塑性樹脂組成物は、押出機の出口側に取り付けられたギアポンプ2を経て、ダイ3に移行し、ダイ先端のダイ出口から溶融状態のまま、吐出される。その吐出時においてダイ出口の形状により、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物4はシート形状をとる。
図2は、フィルム幅方向での中央部に厚みが均一な部分(中央平滑部)を有し、フィルム幅方向での両端部に厚さが次第に小さくなっている部分(漸減部)を有する原反フィルムの厚みプロファイルを示す。吐出時の幅方向フィルム厚みの調整は、ダイ幅方向に配置された偏肉調整ボルトを調整することによって行う。原反フィルムが中央部に厚みが均一な部分を有し、両端部に厚さが次第に小さくなっている部分を有するフィルムである際、フィルム中央部Aを厚み均一で平滑化し、フィルム両端部に漸減部Bを設けるため、中央平滑部Aおよび漸減部Bに位置する偏肉調整ボルトを押しダイギャップを狭める方向に調整するため、溶融樹脂は両端部に流れ最両端部Cは極端に厚くなる。縦延伸工程に供給する際は、最両端部Cをトリミングし、中央平滑部Aおよび漸減部Bを合わせた領域を原反フィルム全幅とする。
上記のように、原反フィルム厚みに関し予め端部に漸減部を設けることで、縦延伸時ネックインに伴う端部の肉厚化分をオフセットし、逐次・二軸延伸後のフィルム厚みばらつきを小さくする効果がある。
本発明で使用する原反フィルムは、中央平滑部は厚みが均一であれば特に問われないが、好ましくは中央平滑部における最大の厚みと最小の厚みとの差が5μm以下であること好ましい。
本発明で使用する原反フィルムは、漸減部Bが、ネックインする一軸伸長領域の範囲の観点から、原反フィルム全幅100%としたときに原反フィルム両最端部から10%以上40%以下に渡る領域で形成されていることが好ましく、10%以上30%以下がより好ましく、10%以上20%以下がさらに好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、原反フィルムの幅方向端部の最薄部の厚さが100μm以下である。高倍率・薄膜延伸の観点から、90μm以下であることが好ましく、80μm以下がさらに好ましい。一方、フィルムの搬送の安定性の観点から、20μm以上であることが好ましく、40μm以上がより好ましい。原反フィルムの幅方向端部の最薄部の厚さは、延伸後の厚みを均一にする観点から、中央平滑部の厚さの95%以下であることが好ましく、90%以下がより好ましい。一方、端部からの破断を抑制する観点から70%以上であること好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、上記原反フィルムを高歪み速度で縦延伸する。具体的には、フィルムに付加される伸長変形の歪み速度0.8/sec以上2.5/sec以下にて原反フィルムを縦延伸する。ここで、歪み速度εの定義を式(1)に示す。なお、式(1)中のVは延伸前ロール速度、Vは延伸後ロール速度、Lは延伸間距離を示す。
ε=1/2(V/L){(V/V−1}・・・(1)
式(1)より、V/Vが大きい場合、即ち高倍率にて大きな歪みを付加し薄膜のフィルムを製造する場合、歪み速度はより大きくなることがわかる。歪み速度が上記範囲であると、高倍率でかつ高速で延伸を行うことで生産性を確保できるとともに薄膜でかつ高強度のフィルムを、延伸時の温度むら無く得ることができるという利点がある。薄膜・高強度の観点から、歪み速度は好ましくは0.9/sec以上、より好ましくは1.0/sec以上である。一方、延伸時を温度むらなく充分にフィルムを加温する観点から、好ましくは2.0/sec以下、より好ましくは1.8/sec以下である。
上記原反フィルムを、フィルムに付加される伸長変形の歪み速度が0.8/sec以上2.5/sec以下で縦延伸する場合、変形の際の歪み速度が大きいため、付加される伸長応力が極めて大きくなり、フィルムの最も薄い最端部が破断強度を超え破断に至ってしまう問題が発生する。さらに、付加される変形(歪み)自体も大きくネックイン量も大きなり、縦延伸後の端部の肉厚化が悪化する問題がある。そこで、原反フィルムの漸減部の厚みの減らし量を予めより大きく、即ち、端部をより薄くする必要があるが、端部からの破断が発生しやすくなるため、漸減部の減らし量には限界がある。そのため、歪み量が大きいことによる端部肉厚化を抑制する効果が充分でなく厚み品質が悪化する問題が生じる。
本発明の光学フィルムの製造方法では、さらに、以下の(ii)の条件を満たすことにより、上記問題が解決される。
(ii)縦延伸時の中央フィルム温度Tcおよび端部フィルム温度Teの関係
以下、縦延伸時のフィルム温度について、図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の光学フィルムの製造方法におけるロール縦延伸方法の一実施形態を示す図である。延伸前の原反フィルムを、数本の予熱ロール7により加熱する。その後、延伸前ロール8にて、延伸可能な温度領域までフィルム温度をさらに上げ、低周速の延伸前ロール8と高周速の延伸後ロール9間で縦延伸を行う。その後、冷却ロール10によりフィルムを冷却固化し縦延伸後フィルムを得る。図3中、矢印は、フィルムの流れ方向を示す。縦延伸時のフィルム中央部の温度Tc、フィルム端部の温度Teとするとき以下の関係式を満たす必要がある。
Te−Tc>0℃
ここで、フィルム幅中央におけるフィルム温度Tcは、例えば、フィルム幅全体を加熱する第一加熱手段の加熱領域の中央点を、放射式温度計にて計測した値とする。また、端部領域のフィルム温度Teは、例えば、フィルム端部のみを加熱する第二加熱手段の加熱領域の中央点を、放射式温度計にて計測した値とする。
上式によって、縦延伸時のフィルム端部の温度Teは縦延伸時のフィルム中央部の温度Tcに比べて高く設定される。その差の上限は、特に限定されず、好ましくは40℃以下である。フィルム端部の温度が中央部の温度と比べて40℃以下であれば、フィルムの端部が大きく軟化し、延伸後ロールから剥離する際に粘着が生じフィルム端部に横ダン模様が生じにくい。Te−Tcの値は、好ましくは5℃超30℃以下、より好ましくは7℃以上25℃以下、更に好ましくは10℃以上20℃以下である。
上記関係式を満たすようにフィルム端部の温度とフィルム中央部の温度を設定し、薄く強度が弱い端部を軟化させることで、大歪み速度にても、付加される応力を小さくすることができ、端部からの破断を抑制することができる。さらに、延伸時のフィルム端部の温度Teを延伸時のフィルム中央部の温度Tcに比べて高く設定することで、フィルム中央部に比較してフィルム端部の弾性率が小さくなり、フィルム端部の延伸を促進する効果がある。その結果、フィルム中央部に比較してフィルム端部の温度を高くした場合、ネックインによる端部の肉厚化の影響を抑制し、幅方向の厚みむらがより小さなフィルムを得ることができる。
フィルム端部の温度が中央部の温度と同じか低い場合、フィルム端部に付加させる伸長応力が高く破断強度を超えて破断に至る。
また、前記フィルム端部温度Teに関し、原反フィルム各端部に厚み差異がある場合、厚い方の端部温度をより高く設定することが好ましい。厚みが厚い方の端部温度を、厚みが薄いほうの端部温度に比べ高く設定することで、厚い部分の伸長を促進し、幅方向厚みを均一化する効果がある。
本発明の縦延伸工程においては、フィルム幅全体を加熱する第一加熱手段とフィルム端部のみを加熱する第二加熱手段を備えることが好ましい。
加熱手段について、図3を用いて説明する。フィルムを延伸する、延伸前ロール8と延伸後ロール9の間に、加熱手段を設け、延伸時のフィルムを加熱する。このフィルム幅全体を加熱する手段11により、延伸時ロール間でフィルム全幅を加熱し、所望の延伸温度Tcにすることができる。また、フィルム両端部を加熱する加熱手段12により、フィルム端部の温度をTeとし、フィルム中央部に比べ高くし、端部からの破断を抑制し延伸を促進させることができる。フィルム幅全体の加熱手段と端部の加熱手段の配置方法は特に限定されないが、フィルム端部の加熱手段をフィルム幅全体の加熱手段に対し、下流側に配置することで、より効率的に端部温度を中央部温度に比べて高くすることができる。好ましくは、フィルム幅全体の加熱手段たるヒーター管およびフィルム端部の加熱手段たるヒーター管の中心線同士の距離が40mm以上200mm以下であると効果的である。
更に、前記フィルム幅全体の加熱と前記フィルム端部の加熱を、輻射加熱装置によって行うことが好ましい。
本発明において、フィルムを加熱する手段はロールによる接触加熱やヒーターによる非接触加熱が挙げられるが、非接触である輻射加熱装置である赤外線ヒーターによる加熱が好ましい。赤外線ヒーターは特に限定されないが、最大エネルギー波長域1.2〜1.7μmの短波長、幅1mmあたり2.0W以上の出力が可能なヒーターが好ましい。ヒーター管内のコイルの温度は1000℃以上と高温になるため、ヒーターユニットは、空冷や水冷による冷却機構を備えていることが好ましい。特に、厚み精度の観点からフィルムの搬送に影響を及ばさない水冷による冷却機構が好ましい。
上記赤外線ヒーターの幅方向長さは特に限定されないが、フィルム幅全体の加熱手段についてはフィルム幅wより充分に長く、フィルム端部の加熱手段については、フィルム幅wの10%より充分に長いことが好ましい。上記赤外線ヒーターの流れ方向な長さについても特に限定されないが、速いラインスピードにおいても十分な照射時間を確保できる長さ(本数)のヒーターを用いることが好ましい。また、フィルムと輻射加熱装置の距離や、出力、輻射加熱装置の照射時間を変えることで、フィルム中央部温度Tcおよびフィルム端部温度Teに制御することが可能である。特に、フィルム幅全体の加熱手段の照射時間Tについては、ヒーターの流れ方向の長さLh、延伸前ロール周速V、延伸後ロール周速Vとした場合、T=2×Lh/(V+V)で表され、0.05秒≦T≦1秒であることが好ましく、0.1秒≦T≦0.5秒であることがより好ましく、0.15秒≦T≦0.3秒であることが更により好ましい。赤外線ヒーターの延伸温度制御の具体例としては、短波長赤外線ヒーター(ヘレウス製:ZKB2400/340G)を用いた際、フィルムとヒーター管との距離が40mmで照射時間0.2秒とした場合フィルム温度を約20℃、フィルムとヒーター管との距離が20mmで照射時間0.2秒とした場合フィルム温度を約30℃上昇させることが可能である。上記赤外線ヒーターの設置位置としては、図3のようにフィルム上面、もしくはフィルム下面に設置することが好ましい。また流れ方向の位置は、延伸前ロールと延伸後ロール間であれば、特に制限されない。フィルムとヒーター管の距離は、特に限定されないが、20mm以上100mm以下であることが好ましい。フィルムとヒーター管の距離が20mm以上の場合、フィルム搬送の際の振れでフィルムがヒーター管に接触する可能性が高まりにくい。また、フィルムとヒーター管の距離が100mm以下の場合、加熱の効果が十分となりやすい。
更に、本発明において、延伸工程における延伸は、前記一軸方向に離間して配置された一対の挟持部(例えば、一対の延伸ロール)で前記原反フィルムを挟持しながら行い、原反フィルムの幅をw、前記一対の挟持部間の距離をLとしたとき、L/wが0.1以上2.0以下であることが好ましく、0.2以上1.0以下であることがより好ましく、0.3以上0.5以下であることが更により好ましい。挟持部間距離Lの定義について図3を用いて説明する。本発明では、例えば、一定間隔を置いて配置された両延伸ロールと両延伸ロールに個々近接したニップロールによってそれぞれフィルムを挟持することで、フィルムの搬送と縦延伸を行っている。このとき両挟持部間15の距離をLとする。ここで、フィルムの搬送経路が両延伸ロールの回転軸を含む面と平行になるように延伸ロール及びニップロールを配置しているため、下記の関係が成り立つ。
(挟持部間距離)=(ロール延伸間距離)
即ち、ロール間の距離を変化させることで挟持部間距離を直接変化させることができる。
L/wが0.1以上の場合、極端に端部が厚くなりにくいため、フィルム端部温度Teをフィルム中央部温度Tcに比べて高くしたりすることで幅方向厚みむらを小さくする効果が十分に発揮されやすい。L/wが2.0以下である場合、ネックイン量が大きくなりにくく、幅収率が悪くなりにくいとともに、延伸間距離が長くなりにくく、延伸間での温度むらによる流れ方向の厚みむらが問題となりにくい。
更に、本発明においては、原反フィルム(縦延伸に供されるフィルム)の幅を900mm以上2000mm以下とすることが好ましく、1000mm以上2000mm以下とすることがより好ましい。
本発明において、使用するTダイとしては、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ、コートハンガーダイなどを挙げることができる。これらの中では、コートハンガーダイ、マニホールドダイが好ましい。Tダイの幅としては、所望のフィルム幅に適したTダイを使用することができる。
Tダイの材質としては、クロムモリブデン鋼等であり、流路面仕上げはHCr仕上げ等が挙げられる。その中でも、ダイライン等を防ぎ、欠陥の少ないフィルムを製造することが可能となるので、リップ部はセラミック溶射による高精度な表面処理を施したものを用いることが好ましい。
なお、Tダイのリップのクアリランスを変化させる方法としては、リップクリアランスの微調整が可能な上、多種の樹脂に容易に対応可能な偏肉ボルトによる調整が好ましい。幅350mmのTダイでは、幅方向に31.5mm間隔で11本のボルト、幅1400mmのTダイでは、幅方向に20〜30mm間隔で53本のボルトが存在し、幅方向の厚みプロファイルを任意の形状にすることが可能である。
本発明において、使用するロール延伸機は、予熱ロール7、延伸ロール8、9、冷却ロール10から構成される。予熱ロールは、フィルムを加熱するため、50℃以上、より好ましくはガラス転移点以上の温度で設定される。予熱ロール設定値まで、充分な加熱時間が得られる構成であれば、いかなるロール径・本数であっても本発明の範囲内である。冷却ロールは、フィルムを冷却するため、ガラス転移点以下で設定される。冷却ロール設定値まで、充分な冷却時間が得られる構成であれば、いかなるロール径・本数であっても本発明の範囲内である。延伸ロールは、フィルムを近接した低周速ロール及び高周速ロールによって所定の温度に加熱しながら進行方向に延伸する方法である。ロール縦延伸の方法としては、特に制限されないが、前記周速差の異なる一組のロールによって延伸を行う一段延伸と、二組以上の延伸ロールによって延伸を行う多段延伸などがあげられ、前者の一段延伸により延伸を行うことが好ましい。
一段延伸には、例えば、延伸前ロール、延伸後ロールとそれぞれ近接するニップロールによってフィルムが挟持される間においてフィルムが各ロールに接触するような方法と、図3のように前記挟持部間においてフィルムが各ロールに接触しないような方法があげられるが、本発明においては、後者に示すような挟持部間においてフィルムが各ロールに接触しないような方法、即ち、低周速ロール及び前記高周速ロールによるフィルム挟持部間において、フィルムは各ロールに接触することなく縦延伸する方法を用いる。なかでも、図3に示すように、延伸前ロール8と延伸後ロール9の回転軸を含む面とフィルムの搬送面が平行になるように且つ、延伸前ロール8と延伸後ロール9の回転方向が同一方向となるような延伸方法を用いることが好ましい。
延伸時のフィルム中央部の温度Tcは、Tg−10℃以上Tg+40℃以下、更に好ましくはTg−5℃以上Tg+10℃以下である(Tgはフィルムのガラス転移温度を指す)。TcがTg−10℃以上である場合、フィルムが塑性変形しやすく破断する可能性が低い。また、フィルムがTg+40℃以下である場合、延伸後ロール9から剥離する際に、剥離紋が生じる可能性が低い。なお、中央部の温度TcがTg−5℃以上Tg+10℃以下とTgに近い温度領域である場合、フィルム中央部の弾性率が大きく、フィルム端部の温度をフィルム中央部の温度より高くし弾性率を下げる効果が相対的に大きくなり、厚みむらを効果的に抑制することができる。
上記フィルム温度Tc、Teの測定方法は特に限定されないが、延伸ロール間に設置固定された放射式温度計によって行われることが好ましい。上記温度計は、特に制限されないが、フィルム搬送面から100mm〜300mm離れたフィルム上面、もしくはフィルム下面に設置することが好ましい。ヒーターの出力を変更し、所望のフィルム中央部の温度Tc、端部の温度Teとなるように調整する。
また、フィルムに対してヒーターと反対側に反射板を設置することが好ましい。フィルムを透過した赤外線が反射され、再度フィルムに照射されるため効率的な加熱が可能となる。
本発明の縦延伸工程における延伸倍率は、1.8倍以上3.0倍以下とすることが好ましく、2.0倍以上2.7倍以下とすることがより好ましい。延伸倍率が1.8倍以上である場合、十分なフィルム長手方向(即ち、延伸方向)の機械的強度を付与しやすい。また、延伸倍率が3.0倍以下である場合、ネックイン量が増えにくく、極端に端部が厚くなりにくい。
本発明の光学フィルムの製造方法に使用される熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、セルロース樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、オレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、等が挙げられる。中でも、透明性の観点からアクリル系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、特に制限されないが、メタクリル酸メチルを単量体成分としたメタクリル系樹脂が使用でき、メタクリル酸メチル由来の構成単位が30〜100重量%含有されたものが好ましい。中でも、耐熱性のアクリル系樹脂が好ましく、ガラス転移温度が110℃以上であるものが好ましく、120℃以上であるものがより好ましい。耐熱アクリル系樹脂としては、例えば、共重合成分としてN−置換マレイミド化合物が共重合されているアクリル系樹脂、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂、グルタルイミドアクリル系樹脂、水酸基および/またはカルボキシル基を含有するアクリル系樹脂、芳香族ビニル単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られる芳香族ビニル含有アクリル系重合体(例えば、スチレン単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン含有アクリル系重合体)またはその芳香族環を部分的にまたは全て水素添加して得られる水添芳香族ビニル含有重合体(例えば、スチレン単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン含有アクリル系重合体の芳香族環を部分水素添加して得られる部分水添スチレン含有アクリル系重合体)、環状酸無水物繰り返し単位を含有するアクリル系重合体(例えば、無水グルタル酸アクリル系樹脂等)などを挙げることができる。耐熱性および光学特性の観点からグルタルイミドアクリル系樹脂をより好ましく用いることができる。グルタルイミドアクリル系樹脂については、以下に詳述する。グルタルイミドアクリル系樹脂としては具体的には、例えば、下記一般式(1)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基である。)
で表される単位(以下、「グルタルイミド単位」ともいう)と、
下記一般式(2)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基である。)
で表される単位(以下、「(メタ)アクリル酸エステル単位」ともいう)とを含むグルタルイミドアクリル系樹脂を好適に用いることができる。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、必要に応じて、下記一般式(3)
(式中、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される単位(以下、「芳香族ビニル単位」ともいう)をさらに含んでいてもよい。
上記一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、Rは水素、メチル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基であることが好ましく、Rはメチル基であり、Rは水素であり、Rはメチル基であることがより好ましい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、グルタルイミド単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(1)におけるR、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
グルタルイミド単位は、上記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位をイミド化することにより、形成することができる。
また、無水マレイン酸等の酸無水物、または、このような酸無水物と炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸等をイミド化することによっても、上記グルタルイミド単位を形成させることができる。
上記一般式(2)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、Rは水素またはメチル基であることが好ましく、Rは水素であり、Rはメチル基であり、Rはメチル基であることがより好ましい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(2)におけるR、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、上記一般式(3)で表される芳香族ビニル構成単位として、スチレン、α−メチルスチレン等を含むことが好ましく、スチレンを含むことがより好ましい。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、芳香族ビニル構成単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂において、一般式(1)で表されるグルタルイミド単位の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、Rの構造等に依存して変化させることが好ましい。
一般的には、上記グルタルイミド単位の含有量は、グルタルイミドアクリル系樹脂の1重量%以上とすることが好ましく、1重量%〜95重量%とすることがより好ましく、2重量%〜90重量%とすることがさらに好ましく、3重量%〜80重量%とすることが特に好ましい。グルタルイミド単位の含有量が上記範囲内であれば、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性および透明性が低下したり、成形加工性、およびフィルムに加工したときの機械的強度が低下したりしにくい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂において、一般式(3)で表される芳香族ビニル単位の含有量は、特に限定されるものではなく、求められる物性に応じて適宜設定することが可能である。使用される用途によっては、一般式(3)で表される芳香族ビニル単位の含有量は0重量%であってもよい。一般式(3)で表される芳香族ビニル単位を含む場合は、グルタルイミドアクリル系樹脂の総繰り返し単位を基準として、10重量%以上とすることが好ましく、10重量%〜40重量%とすることがより好ましく、15重量%〜30重量%とすることがさらに好ましく、15重量%〜25重量%とすることが特に好ましい。芳香族ビニル単位の含有量が上記範囲内であれば、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性が不足したり、フィルム加工時の機械的強度が低下したりしにくい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂には、必要に応じ、グルタルイミド単位、(メタ)アクリル酸エステル単位、および芳香族ビニル単位以外のその他の単位がさらに共重合されていてもよい。
その他の単位としては、例えば、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位を挙げることができる。
これらのその他の単位は、上記グルタルイミドアクリル系樹脂中に、直接共重合していてもよいし、グラフト共重合していてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、1×10〜5×10であることが好ましい。上記範囲内であれば、溶融押出時の粘度が高くなったり、成形加工性が低下したり、成形品の生産性が低下したり、フィルム加工時の機械的強度が不足したりしにくい。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂のガラス転移温度は特に限定されるものではないが、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の適用範囲を広げることができる。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂の製造方法は特に制限されないが、例えば、特開2008−273140号公報に記載されている方法などがあげられる。
本発明の光学フィルムの製造方法に使用される熱可塑性樹脂組成物には、機械的強度を向上させる観点からゴム粒子を含んでも良い。
本発明の光学フィルムの製造方法において、熱可塑性樹脂組成物に含有されるゴム重合部数が多い場合、縦延伸時にフィルム端部の延伸が促進されにくいため、フィルムの漸減部の傾斜が急で、厚みが均一な平滑部に比べ大きく厚みを減らし、か漸減部の幅が広い原反フィルムを用いることが好ましい。例えば、ゴム粒子の含有量が5重量%を超える場合、原反フィルムの幅方向端部の最薄部の厚さは、延伸後の厚みを均一にする観点から、中央平滑部の厚さの90%以下であることが好ましく、85%以下がより好ましく、漸減部の各端部の幅はフィルム全幅の15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、40%以下が好ましい。
ゴム粒子含有熱可塑樹脂組成物の好ましい実施形態の一例であるゴム状重合体含有アクリル樹脂組成物について具体的に説明する。なお、本発明におけるアクリル樹脂は特に限定されず、ゴム状アクリル体の成分・粒径等についても特に限定されない。
ゴム状重合体としては、例えば、ガラス転移温度が20℃未満である重合体が挙げられ、より具体的には、例えば、ブタジエン系架橋重合体、(メタ)アクリル系架橋重合体、オルガノシロキサン系架橋重合体などが挙げられる。なかでも、フィルムの耐候性(耐光性)、透明性の面で、(メタ)アクリル系架橋重合体(アクリル系ゴム状重合体)が特に好ましい。
アクリル系ゴム状重合体としては、例えば、ABS樹脂ゴム、ASA樹脂ゴムが挙げられるが、透明性等の観点から、以下に示すアクリル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体(以下、単に「アクリル系グラフト共重合体」と称する。)を好ましく用いることができる。ここでいうアクリル系グラフト共重合体は、多層構造重合体、多段重合体、コアシェル型ポリマーと一般的に言われる形態を含むものである。
アクリル系グラフト共重合体は、アクリル系ゴム状重合体の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物を重合して得ることができる。
アクリル系ゴム状重合体は、アクリル酸エステルを主成分としたゴム状重合体であり、具体的には、アクリル酸エステル50〜100重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体50〜0重量%からなる単量体混合物(100重量%)、並びに、1分子あたり2個以上の非共役な反応性二重結合を有する多官能性単量体0.05〜10重量部(単量体混合物100重量部に対して)を重合させて得られるものが好ましい。単量体を全部混合して使用してもよく、また単量体組成を変化させて2段以上で使用してもよい。
アクリル酸エステルとしては、重合性やコストの点より、アルキル基の炭素数1〜12のものを用いることが好ましい。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸フェノキシエチル等が挙げられ、これらの単量体は2種以上併用してもよい。アクリル酸エステルの含有量は、単量体混合物100重量%において50重量%以上100重量%以下が好ましく、60重量%以上99重量%以下がより好ましく、70重量%以上99重量%以下が更に好ましく、80重量%以上99重量%以下が最も好ましい。50重量%以上では耐衝撃性が低下しにくく、引張破断時の伸びが低下しにくく、フィルム切断時にクラックが発生しにくくなる傾向がある。
共重合可能な他のビニル系単量体としては、耐候性、透明性の点より、メタクリル酸エステル類が特に好ましく、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸n−オクチル等があげられる。また、芳香族ビニル類およびその誘導体、及びシアン化ビニル類も好ましく、例えば、スチレン、メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等があげられる。その他、無置換及び/又は置換無水マレイン酸類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル、ハロゲン化ビニリデン、(メタ)アクリル酸およびその塩、(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル等が挙げられる。
多官能性単量体は通常使用されるものでよく、例えばアリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトロメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびこれらのアクリレート類などを使用することができる。これらの多官能性単量体は2種以上使用してもよい。
多官能性単量体の量は、単量体混合物の総量100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。多官能性単量体の添加量が0.05重量部以上では、架橋体が形成されやすい傾向があり、10重量部以下では、フィルムの耐割れ性が低下しにくい傾向がある。
アクリル系ゴム状重合体は、内側にメタクリル酸アルキルエステルを主とする架橋重合体を有していても良い。具体的には、メタクリル酸アルキルエステル40〜100重量%、および、これと共重合可能な他のビニル系単量体60〜0重量%からなる単量体混合物、ならびに、多官能性単量体0.01〜10重量部(単量体混合物100重量部に対して)を重合して得られる重合体が挙げられる。メタクリル酸アルキルエステル、共重合可能な他のビニル系単量体、および、多官能性単量体は上述と同様のものを使用できる。
アクリル系ゴム状重合体の体積平均粒子径は、20〜450nmが好ましく、20〜300nmがより好ましく、20〜150nmが更に好ましく、30〜80nmが最も好ましい。20nm以上では耐割れ性が悪化しにくい。一方、450nm以下であると透明性が低下しにくい。なお、本明細書において、体積平均粒子径は、動的散乱法により測定される体積平均粒子径を意味し、例えば、MICROTRAC UPA150(日機装株式会社製)を用いることにより測定することができる。
アクリル系グラフト共重合体は、アクリル系ゴム状重合体5〜90重量部(より好ましくは、5〜75重量部)の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物95〜25重量部を少なくとも1段階で重合させることより得られるものが好ましい。グラフト共重合組成(単量体混合物)中のメタクリル酸エステルは50重量%以上が好ましい。50重量%以上では得られるフィルムの硬度、剛性が低下しにくい傾向がある。グラフト共重合に用いられる単量体としては、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、これらを共重合可能なビニル系単量体を同様に使用でき、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルが好適に使用される。アクリル系樹脂との相溶性の観点からメタクリル酸メチル、ジッパー解重合を抑制する点からアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
光学的等方性の観点からは、脂環式構造、複素環式構造または芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体(「環構造含有(メタ)アクリル系単量体」と称する。)を含有することが好ましく、具体的には(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルが挙げられる。その使用量は、単量体混合物の総量(環構造含有(メタ)アクリル系単量体およびこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量)100重量%において1〜100重量%が好ましく、5〜70重量%がより好ましく、5〜50重量%が最も好ましい。ここでいう、これと共重合可能な他の単官能性単量体には、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、共重合可能な他のビニル系単量体が同様に使用できるが、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルを含むことが好ましい。メタクリル酸エステルは、前記環構造含有ビニル系単量体およびこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量100重量%において0〜98重量%含まれることが好ましく、0.1〜98重量%含まれることがより好ましく、1〜94重量%がさらに好ましく、30〜90重量%が特に好ましい。また、アクリル酸エステルは、前記環構造含有ビニル系単量体およびこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量100重量%において0〜98重量%含まれることが好ましく、0.1〜98重量%含まれることがより好ましく、1〜50重量%がさらに好ましく、5〜50重量%が特に好ましい。さらに、成形加工時の熱安定性が向上し、耐溶剤性が向上する点から、(メタ)アクリル酸および/またはその塩が含有されてもよい。
アクリル系ゴム状重合体に対するグラフト率は、10〜250%が好ましく、より好ましくは40〜230%、最も好ましくは60〜220%である。グラフト率が10%以上では、成形体中でアクリル系グラフト共重合体が凝集しにくく、透明性が低下したり、異物が生じたりする恐れが低い。また引張破断時の伸びが低下しにくく、フィルム切断時にクラックが発生しにくい傾向がある。250%以下では、成形時、たとえばフィルム成形時の溶融粘度が高くなりにくく、フィルムの成形性が低下しにくい傾向がある。
上記グラフト率は、次の方法で測定される。
得られたアクリル系グラフト共重合体2gをメチルエチルケトン50mlに溶解させ、遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い、回転数30000rpm、温度12℃にて1時間遠心し、不溶分と可溶分とに分離する(遠心分離作業を合計3回セット)。得られた不溶分の重量と、アクリル系グラフト共重合体に含まれるアクリル系ゴム状重合体の重量とから、以下の式によりグラフト率を算出する。
グラフト率(%)=[{(メチルエチルケトン不溶分の重量)−(アクリル系ゴム状重合体の重量)}/(アクリル系ゴム状重合体の重量)]×100
ここで、アクリル系ゴム状重合体が内側にメタクリル酸エステルを主とする架橋重合体を有する場合は、上記「アクリル系ゴム状重合体の重量」には、メタクリル酸エステルを主とする架橋重合体の重量も含めるものとする。
アクリル系グラフト共重合体は、一般的な乳化重合法によって製造できる。具体的には、水溶性重合開始剤の存在下、乳化剤を用いてアクリル酸エステル単量体を連続的に重合させる方法を例示できる。
乳化重合法では、連続重合を単一の反応槽で行うことが好ましく、二槽以上の反応槽を用いるとラテックスの機械的安定性が低下するため好ましくない。
重合温度としては30℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上80℃以下である。30℃以上では生産性が低下しにくい傾向があり、100℃以下の温度では、目標分子量が過剰に大きくなりにくく、品質が低下しにくい傾向がある。重合反応槽へ連続的に添加するアクリル酸エステル単量体、開始剤、乳化剤及び脱イオン水等の原料類は、定量ポンプの制御下で正確に添加するが、反応槽内で発生する重合熱の除熱量を確保するため必要に応じて予め冷却しても支障ない。反応槽から払い出されたラテックスには、必要に応じて重合禁止剤、凝固剤、難燃剤、酸化防止剤、pH調節剤を添加しても良く、未反応単量体の回収や後重合を行っても良い。その後、凝固、熱処理、脱水、水洗、乾燥等公知の方法を経て共重合体を得ることができる。
乳化重合においては、通常の重合開始剤を使用できる。例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物や、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、更にアゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤も使用される。これらは単独又は2種以上併用してもよい。これらの開始剤は亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルフォキシレート、アスコロビン酸、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム錯体などの還元剤と併用した通常のレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
重合開始剤と合わせて連鎖移動剤を併用してもよい。連鎖移動剤には炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノール、四塩化炭素などが挙げられ、これらは単独又は2種以上併用してもよい。
乳化重合法にて使用する乳化剤に関して特に制限はなく、通常の乳化重合用の乳化剤であれば使用することが出来る。例えば、アルキル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩系界面活性剤、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホン酸塩系界面活性剤、アルキルリン酸ナトリウムエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウムエステル等のリン酸塩系界面活性剤といったアニオン系界面活性剤が挙げられる。また上記ナトリウム塩はカリウム塩等の他のアルカリ金属塩やアンモニウム塩でも良い。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に、ポリオキシアルキレン類またはその末端水酸基のアルキル置換体またはアリール置換体に代表される、非イオン性界面活性剤を使用または一部併用しても差し支えない。その中でも、重合反応安定性、粒子系制御性の点から、スルホン酸塩系界面活性剤、またはリン酸塩系界面活性剤が好ましく、中でも、ジオクチルスルホコハク酸塩、またはポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩がより好ましく用いることができる。
乳化剤の使用量としては、単量体成分全体100重量部に対して、0.05重量部以上10重量部が好ましく、0.1重量部以上1.0重量部以下であることがより好ましい。0.05重量部以上では、共重合体の粒系が大きくなり過ぎず、10重量部以下では共重合体の粒系が小さくなりすぎず、また、粒度分布が悪化しにくい。
本発明におけるゴム状重合体含有アクリル樹脂組成物としては、特に限定されないが、1種類以上のアクリル系ゴム状重合体と1種類以上のアクリル系樹脂との混合組成物であることが好ましい。
アクリル系ゴム状重合体は、アクリル系グラフト共重合体が含有するゴム状重合体が、熱可塑性樹脂組成物100重量部において、1〜60重量部含まれるように配合されることが好ましく、1〜30重量部含まれるように配合されることがより好ましく、1〜25重量部含まれるように配合されることがさらに好ましい。1重量部以上ではフィルムの耐割れ性、真空成形性が悪化したり、また光弾性定数が大きくなって光学的等方性に劣ったりしにくい。一方、60重量部以下であると、フィルムの耐熱性、表面硬度、透明性、耐折曲げ白化性が悪化しにくい傾向がある上、縦延伸時に肉厚化した端部を横延伸時にフラット化する効果が発揮されやすい傾向がある。
アクリル系ゴム状重合体とアクリル系樹脂との混合は、直接、フィルム生産時に混合しても良く、また一度、アクリル系ゴム状重合体とアクリル系樹脂とを混合、ペレット化してから、改めてフィルム生産を実施しても良い。
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、熱や光に対する安定性を向上させるための酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などの添加剤を単独又は2種以上併用して添加してもよい。また、フィルムの張り付き等を予防するために、滑剤を添加してもよい。
本発明では、押出機として、単軸押出機、同方向噛合型2軸押出機、同方向非噛合型2軸押出機、異方向噛合型2軸押出機、異方向非噛合型2軸押出機、多軸押出機等の各種押出機を用いることができる。その中でも、単軸押出機が押出機内における樹脂滞留部が少ないため押出し中における樹脂の熱劣化を防ぐことが可能になること、また設備費が安価であることから好ましい。また、樹脂中の残存揮発分、押出機における加熱発生物を除去するためにベント機構を有する押出機を使用することが好ましい。押出機に投入する熱可塑性樹脂等の原料の形態としては固体状態の樹脂、好ましくは3mm角のペレット形状を用いることが好ましい。例えば、このペレット形状の樹脂は押出機の原料供給口に取り付けられたホッパーを介して押出機内に供給される。このホッパーは乾燥機構を持つことが好ましく、樹脂中の水分を取り除いた状態で押出機内に供給できるようにし、必要乾燥時間、樹脂消費時間を鑑みてホッパー容量を設計することが好ましい。
単軸押出機などで使用するスクリュとしては、ベント付き押出機用の圧縮比2〜3程度の一般的なフルフライト構成のものを用いることができるが、未溶融物が残存しないように特殊な混練機構を持たせてもよい。
本発明において溶融手段として押出機を使用する際の押出条件は、使用する熱可塑性樹脂に応じて調整する必要があるが、例えばアクリル樹脂を使用する場合には、押出機出口における樹脂温度がTg+100℃〜Tg+160℃となるように各シリンダー部の温度を設定することが好ましく、さらに好ましくはTg+130℃〜Tg+150℃であることが好ましい。樹脂温度がTg+100℃未満であると、溶融粘度が非常に大きくなり押出機のトルクオーバーやフィルム成形が困難となることがあり、Tg+160℃以上では樹脂熱劣化が生じ、フィルムに欠陥となって現れてしまう可能性がある。
押出機などの溶融手段により得られた溶融樹脂は、次いでギアポンプを用いてダイに供給することが好ましい。ギアポンプを用いることで押出機における吐出量変動を吸収し、供給の定量性が著しく向上し、経時的なフィルム厚みの安定性向上に効果がある。さらに、本発明の整流機構を用いる場合には、整流機構部の圧力損失が大きくなるため、これを補う上で特に有効である。
ギアポンプより定量的に供給された溶融樹脂、或いは溶融手段から直接供給された溶融樹脂は、例えば管状の流路を通りダイに供給され、ダイからフィルム状に吐出される。このギアポンプからダイまでの樹脂流路中、或いはギアポンプなどを介さない場合は溶融手段からダイまでの樹脂流路中に異物除去装置を設けることが好ましい。これにより、溶融手段やギアポンプで発生した異物をトラップし、フィルム中の異物欠陥を低減することが可能となる。異物除去装置としては、リーフディスク型フィルターが濾過精度および濾過面積、耐圧、異物によるフィルター目詰りまでの時間の関係から好ましい。フィルター濾過精度は光学用途の場合1〜20μm、好ましくは3〜10μmのものを選択することが好ましい。
本発明の縦延伸工程を経たフィルムは、幅方向に延伸する横延伸工程に供される。横延伸工程をさらに実施することによって、得られるフィルムは二軸方向に強度が発現する。延伸を行うテンター内は、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱緩和ゾーン、冷却ゾーンからなる。テンター全ゾーンの通過時間は、充分なフィルム加熱を行い、かつ設備が大規模化しすぎないために、5秒以上30秒以下であることが望ましい。
横延伸は、一対のガイドを備えている。ガイドはフィルムの搬送方向に対して外側(幅方向)に広がっており、フィルムの幅方向における両端を把持する把持部材であるクリップがガイドに沿って移動することにより、縦延伸部から供給されたフィルム(縦延伸フィルム)が横方向に延伸される(横延伸工程)。横延伸時のフィルム温度は、熱風にて加温し、Tg〜Tg+20℃であることが好ましい。この範囲で横延伸することで、厚みむらを更に向上させることが可能である。
本発明の製法で得られる光学フィルムは、薄膜化の観点から、平均膜厚が30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。一方、強度の観点から、10μm以上が好ましい。また、二軸延伸後の光学フィルムの厚みムラは1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下がより好ましい。
本発明の製法で得られる光学フィルムは、光学用途であれば特に限定されるわけでなく、偏光子保護フィルムや、光学補償フィルムや、反射防止フィルム、位相差フィルム等の液晶表示装置や、有機ELの部材に好適である。
本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下「部」及び「%」は、特記がない限り、「重量部」および「重量%」を意味する。
(実施例1)
(製造例1)<グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)の製造>
原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を製造した。
この製造においては、押出反応機を2台直列に並べたタンデム型反応押出機を用いた。
タンデム型反応押出機に関しては、第1押出機、第2押出機共に直径が75mm、L/D(押出機の長さLと直径Dの比)が74の噛合い型同方向二軸押出機を使用し、定重量フィーダー(クボタ(株)製)を用いて、第1押出機の原料供給口に原料樹脂を供給した。
第1押出機、第2押出機における各ベントの減圧度は−0.095MPaとした。更に、直径38mm、長さ2mの配管で第1押出機と第2押出機を接続し、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力制御機構には定流圧力弁を用いた。
第2押出機から吐出された樹脂(ストランド)は、冷却コンベアで冷却した後、ペレタイザでカッティングしペレットとした。ここで、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力調整、又は押出変動を見極めるために、第1押出機の吐出口、第1押出機と第2押出機間の接続部品の中央部、および、第2押出機の吐出口に樹脂圧力計を設けた。
第1押出機において、原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル樹脂(Mw:10.5万)を使用し、イミド化剤として、モノメチルアミンを用いてイミド樹脂中間体1を製造した。この際、押出機の最高温部の温度は280℃、スクリュー回転数は55rpm、原料樹脂供給量は150kg/時間、モノメチルアミンの添加量は原料樹脂100部に対して2.0部とした。定流圧力弁は第2押出機の原料供給口直前に設置し、第1押出機のモノメチルアミン圧入部圧力を8MPaになるように調整した。
第2押出機において、リアベント及び真空ベントで残存しているイミド化剤及び副生成物を脱揮したのち、エステル化剤として炭酸ジメチルを添加しイミド樹脂中間体2を製造した。この際、押出機の各バレル温度は260℃、スクリュー回転数は55rpm、炭酸ジメチルの添加量は原料樹脂100部に対して3.2部とした。更に、ベントでエステル化剤を除去した後、ストランドダイから押し出し、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化することで、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を得た。
得られたグルタルイミドアクリル系樹脂(A1)は、グルタミルイミド単位と、(メタ)アクリル酸エステル単位が共重合したアクリル系樹脂である。
(製造例2)<ゴム含有グラフト共重合体(B2)の製造>
以下の組成の混合物をガラス製反応器に仕込み、窒素気流中で撹持しながら80℃に昇温したのち、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸アリル1部からなる単量体混合物とtーブチルハイドロパーオキサイド0.1部との混合液のうち25%を一括して仕込み45分間の重合を行なった。
脱イオン水 220部
ホウ酸 0.3部
炭酸ナトリウム 0.03部
Nーラウロイルサルコシン酸ナトリウム 0.09部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.09部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.006部
硫酸第1鉄 0.002部
続いてこの混合液の残り75%を1時間にわたって連続添加した。添加終了後、同温度で2時間保持し重合を完結させた。また、この間に0.2部のN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを追加した。得られた架橋メタクリル系重合体ラテックスの重合転化率(重合生成量/モノマー仕込量)は98%であった。
得られた架橋メタクリル系重合体ラテックスを窒素気流中で80℃に保ち、過硫酸カリウム0.1部を添加したのち、アクリル酸n−ブチル41部、スチレン9部、メタクリル酸アリル1部からなる単量体混合物を5時間にわたって連続添加した。この間にオレイン酸カリウム0.1部を3回に分けて添加した。単量体混合物の添加終了後、重合を完結させるためにさらに過硫酸カリウムを0.05部添加し2時間保持し、ゴム粒子ラテックスを得た。
得られたゴム粒子の重合転化率は99%であった。
得られたゴム粒子ラテックスを80℃に保ち、過硫酸カリウム0.02部を添加したのちメタクリル酸メチル14部、アクリル酸n−ブチル1部の単量体混合物を1時間にわたって連続添加した。単量体混合物の追加終了後1時間保持した。重合転化率は99%であった。
更に、メタクリル酸メチル5部、アクリル酸n−ブチル5部の単量体混合物を0.5時間にわたって連続添加した。単量体混合物の追加終了後1時間保持しゴム含有グラフト共重合体ラテックスを得た。重合転化率は99%であった。
得られたゴム含有グラフ卜共重合体ラテックスを塩化カルシウムで塩析凝固、熱処理、乾燥を行ない、白色粉末状のゴム含有グラフト共重合体を得た。なお、平均粒子径は250nmであった。
(製造例3)<樹脂ペレットの製造>
直径40mmのフルフライトスクリューを用いた単軸押出機を用い、押出機の温度調整ゾーンの設定温度を255℃、スクリュー回転数を52rpmとし、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)95重量部、および白色粉末状のグラフト共重合体(B2)5重量部の混合物を、10kg/hrの割合で供給した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した。
<フィルム製造装置>
押出製造装置を使用しフィルム化を行った。押出機としては、直径65mmの単軸押出機を使用し、窒素ラインを設置したホッパーから、製造例3で製造したペレットを供給した。吐出量が一定となるように、ギアポンプを用いた。Tダイとしては、フィルム幅方向のダイ出口の幅が1850mmで、手動偏肉ボルトによりリップクリアランス(フィルム厚み方向におけるダイ吐出口の高さ)の調整が可能であるものを用いた。Tダイのリップ(吐出口を構成する部材)はフィルム幅方向に7つの領域に分割され、各領域毎に温度調節が可能である。吐出後には、キャストロールとタッチロールで挟み込みつつ引き取ることでフィルムを冷却固化した。キャストロールは直径200mmの剛体ロールを用い、オイル温調を用いてロール温度100℃とし、速度(引き取り速度)20m/分で回転させ中央厚み100μmで両端部に漸減部を有するフィルムを製膜した。タッチロールとしては、金属製スリーブを有した弾性ロールを用いた。その後、両端をトリミングし、1000mm幅で、中央平滑部の厚み100μmとなる原反フィルムを得た。なお、フィルムのガラス転移温度TgはDSCによる中点法で評価したところ、122℃であった。
<製造装置>
各実施例及び比較例では、図3に示されるロール延伸機を用いた。予熱ロール径は250mm、延伸前ロール径は180mm、延伸後ロール180mm、冷却ロール250mm径とした。図3に記載するように、フィルムの搬送経路が両延伸ロールの回転軸を含む面と平行になるように、ニップロールを配置して、両延伸ロールと両延伸ロールに個々近接したニップロールとによってそれぞれフィルムを挟持することで、フィルムの搬送と縦延伸を行った。そして、両延伸ロールを、共にフィルムの搬送方向であり、互いに同方向に回転させた。また挟持部間隔Lを465mmとした。フィルム幅1000mm全体を加熱する、幅1300mm3本組(フィルム流れ方向の照射長さは160mm)の赤外線ヒーターをフィルム上面から中央部に向けて、フィルムから50mmの高さ、挟持部間の中央位置に設置した。また、両端部を加熱するヒーターは、幅200mmの赤外線ヒーターにてフィルム両端150mmを加熱するように設置した。フィルム中央部の温度Tc、両端部の温度Teを測定するためにフィルム上面500mmの位置からヒーター照射部のフィルム中央に向けて、放射式温度計(フルーク株式会社、Raytek XR)を設置した。また、各実施例及び比較例では、延伸時の延伸前ロールの周速15m/min、延伸後ロールの周速36m/min、延伸倍率2.4倍として縦延伸を行った。この際の歪みは1.4、歪み速度は、1.28/secであった。また、縦延伸後、延伸温度130℃、倍率2.4倍にて幅方向に横延伸を行った。
<厚み評価方法>
接触式厚み測定機(アンリツ株式会社 KG3001A)にて、二軸延伸後のフィルムから両端部75mmを除いた部分を幅方向に1mmピッチで測定し、最大値と最小値の差を厚みばらつきとした。
溶融押出製膜によって得られた原反フィルム中央部の幅600mmの均厚部の厚み100μmに対し、漸減部の各端部200mm幅の最薄厚み部分の厚みを95μmとした。縦延伸時のフィルム中央部温度Tc=122℃、フィルム端部温度Te=132℃とした。得られた横延伸後のフィルムは、中央部厚み20μmに対し、厚みばらつきは0.7μmであった。
(実施例2)
実施例1において、溶融押出製膜によって得られた原反フィルム中央部の幅600mmの均厚部の厚み100μmに対し、漸減部の各端部200mm幅の最薄厚み部分の厚みを90μmとした。縦延伸時のフィルム中央部温度Tc=122℃、フィルム端部温度Te=137℃とした。得られた横延伸後のフィルムは、中央部厚み20μmに対し、厚みばらつきは0.5μmであった。
(実施例3)
実施例1において、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)80重量部、および白色粉末状のグラフト共重合体(B2)20重量部の混合物をを使用するようにした以外は実施例1と同様にフィルム化を行い、1000mm幅で、中央平滑部の厚み100μmとなる原反フィルムを得た。なお、フィルムのガラス転移温度TgはDSCによる中点法で評価したところ、122℃であった。溶融押出製膜によって得られた原反フィルム中央部の幅400mmの均厚部の厚み100μmに対し、漸減部の各端部300mm幅の最薄厚み部分の厚みを90μmとした。縦延伸時のフィルム中央部温度Tc=122℃、フィルム端部温度Te=137℃とした。得られた横延伸後のフィルムは、中央部厚み20μmに対し、厚みばらつきは0.7μmであった。
(比較例1)
実施例1において、溶融押出製膜によって得られた原反フィルム厚み中央部の幅600mmの均厚部の厚み100μmに対し、漸減部の各端部200mmの最薄厚み部分の厚みを85μmとした。縦延伸時のフィルム中央部温度Tc=122℃、フィルム端部温度Te=122℃とした。しかし、縦延伸時にフィルムが破断が発生した。
(比較例2)
実施例1において、溶融押出製膜によって得られた原反フィルム中央部の厚みが100μmで、漸減部を設けず幅方向に厚み均一とした。縦延伸時のフィルム中央部温度Tc=122℃、フィルム端部温度Te=142℃とした。得られた横延伸後のフィルムの中央部厚み20μmに対し、厚みばらつきは2.0μmであった。
(比較例3)
実施例3において、溶融押出製膜によって得られた原反フィルム中央部の厚みが100μmで、漸減部を設けず幅方向に厚み均一とした。縦延伸時のフィルム中央部温度Tc=122℃、フィルム端部温度Te=142℃とした。得られた横延伸後のフィルムの中央部厚み20μmに対し、厚みばらつきは5.0μmであった。
1.押出機
2.ギアポンプ
3.ダイ
4.フィルム
5.タッチロール
6.キャストロール
7.予熱ロール
8.延伸前ロール
9.延伸後ロール
10.冷却ロール
11.フィルム全幅の加熱手段
12.フィルム両端部の加熱手段
13.反射板
14.ニップロール
15.延伸間距離
A.平滑部
B.漸減部
C.肉厚部

Claims (7)

  1. 溶融した熱可塑性樹脂をフィルム状に押し出す押出工程、前記押出工程で押し出されたフィルムをロール周速差によって長手方向に延伸する縦延伸工程、および、前記縦延伸工程を経たフィルムを幅方向に延伸する横延伸工程を含む光学フィルムの製造方法において、
    前記縦延伸工程は、幅方向での中央部に厚みが均一な部分を有し、両端部に厚さが次第に減少する部分を有し、幅方向での最薄部の厚さが100μm以下であるフィルムを、
    フィルムに付加される伸長変形の歪み速度が0.8/sec以上2.5/sec以下で、
    前記両端部のフィルム温度Teを前記中央部のフィルム温度Tcよりも高くして縦延伸する、
    光学フィルムの製造方法。
  2. 前記両端部のフィルム温度Teと前記中央部のフィルム温度Tcとの温度差が、5℃≦Te−Tc≦40℃である、
    請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記厚さが次第に減少する部分が、フィルム全幅100%としたときフィルム最端部から10%以上40%以下までの領域で形成されている、請求項1〜2のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記縦延伸工程におけるフィルム加熱手段は、前記フィルムの幅全体を加熱する第一加熱手段と、前記フィルムの端部のみを加熱する第二加熱手段とを備え、前記第二加熱手段が、前記第一加熱手段に対して下流側に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記縦延伸工程は、長手方向に離間して配置された一対の挟持部で前記フィルムを挟持しながら行い、前記フィルムの幅をw、前記一対の挟持部間の距離をLとしたとき、L/wが0.1以上2.0以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記縦延伸工程に供されるフィルムの幅が900mm以上2000mm以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
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