JP2018167456A - フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロール上の微小な異物に起因する凹み欠陥を容易に検知でき、凹み欠陥の検知情報に基づいて効率よくロールのクリーニングを行うことができる、フィルムの製造方法を提供すること。【解決手段】製品フィルムの製造の前に、ロール上の異物に起因する凹み欠陥を検知するための検査を行い、当該検査におけるフィルム状の検体の成形条件を最適化することによって、凹み欠陥の視認性が向上し、凹み欠陥の検知情報に基づいて効率よくロールのクリーニングを行う。検査においては、ダイより押出された熱可塑性樹脂組成物の温度T1を、製品フィルム製造において、ダイより押出された前記熱可塑性樹脂組成物の温度T2よりも低くする。【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの製造方法に関する。
従来より、フィルムの製造方法として、溶融押出機を用いて、フィルム原料たる熱可塑性樹脂組成物を溶融した状態でダイからフィルム状に押出すことで製膜する溶融押出法が知られている。また、溶融押出法により得られたフィルムの厚さムラや表面の凹凸を低減して表面平滑性を得るために、ダイから押出された、フィルム状の熱可塑性樹脂組成物を一対のロールで挟み込み、フィルムに成形する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、図6(a)、及び図6(b)に示されるように、ロール111の表面に異物114が付着していると、一対のロール111,112でフィルム113を挟み込み成形する際に、フィルム113に異物114の形状が転写され、図6(c)に示されるように、フィルム113に凹み欠陥113aが発生する。この時、ロール111は一定の周期で回転し続けるため、ロール111の表面から異物114が脱落しない限り、凹み欠陥113aが周期的に連続して発生し、フィルム113の品質が大きく損なわれる。
特に、溶融押出法では、フィルム113が高温で柔らかいため、ロール111,112上の異物が微小(高さにして数μm)であっても、凹み欠陥113aが生じ得る。
そのため、ロール111,112には、ロール表面に付着する異物を除去するロールクリーナー装置が設置されている場合がある。
WO2013/038866号公報
しかし、製品であるフィルム113中の凹み欠陥113aは、非常に微小である場合があり、目視又はインライン式のフィルム検査装置による検査では、しばしば凹み欠陥113aの検出漏れが生じることがある。
かかる検知漏れが生じた場合、ロール111,112の表面が十分にクリーニングされたか否かを決定することが困難である。
また、ロール111,112全面をクリーニングすることは作業負荷が大きいため、ロール111,112について、幅方向における異物の付着位置を、フィルム113中の凹み欠陥113aから特定することが望ましい。
そうすることで、ロール111,112全面ではなく、ロール111,112上の異物が付着しているであろう箇所だけをクリーニングでき、作業負荷が軽減される。
しかし、凹み欠陥113aの検知漏れが生じると、幅方向におけるロール111,112上での異物が付着している位置を正確に特定することが困難である。
このような事情から、ダイから押出された、フィルム状の熱可塑性樹脂組成物を一対のロールで挟み込み、フィルムに成形する方法においては、ロール上の微小な異物に起因するフィルム中の凹み欠陥の検知漏れを低減することが望まれている。
本発明は、ロール上の微小な異物に起因する凹み欠陥を容易に検知でき、凹み欠陥の検知情報に基づいて効率よくロールのクリーニングを行うことができる、フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、製品フィルムの製造の前に、ロール上の異物に起因する凹み欠陥を検知するための検査を行い、当該検査におけるフィルム状の検体の成形条件を最適化することによって、凹み欠陥の視認性が向上し、凹み欠陥の検知情報に基づいて効率よくロールのクリーニングを行えることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(i)熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの製造方法であって、
溶融した熱可塑性樹脂組成物をダイよりフィルム状溶融物として押出した後に、一対のロールにより挟み込んでフィルム状の検体に成形し、次いで、検体の表面の欠陥を検出することを含む検査と、
溶融した熱可塑性樹脂組成物をダイよりフィルム状溶融物として押出した後に、一対のロールにより挟み込んでフィルムに成形することによる製品フィルム製造と、を含み、
検査は、製品フィルム製造の前に行われ、
欠陥が検出された場合に、製品フィルム製造の前に、ロールの表面のクリーニングが行なわれ、
検査において、ダイより押出された熱可塑性樹脂組成物の温度T1が、製品フィルム製造において、ダイより押出された熱可塑性樹脂組成物の温度T2よりも低い、フィルムの製造方法、
(ii)熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの製造方法であって、
溶融した熱可塑性樹脂組成物をダイよりフィルム状溶融物として押出した後に、一対のロールにより挟み込んでフィルム状の検体に成形し、次いで、検体の表面の欠陥を検出することを含む検査と、
溶融した熱可塑性樹脂組成物をダイよりフィルム状溶融物として押出した後に、一対のロールによりフィルム状溶融物を挟み込んでフィルムに成形することによる製品フィルム製造と、を備え、
検査は、製品フィルム製造の前に行われ、
検査において、欠陥が検出され、且つ欠陥が、ロールの回転周期に対応して発生する周期性欠陥であった場合に、製品フィルム製造の前に、ロールの表面のクリーニングが行なわれ、
検査において、ダイより押出された熱可塑性樹脂組成物の温度T1が、製品フィルム製造において、ダイより押出された熱可塑性樹脂組成物の温度T2よりも低い、フィルムの製造方法、
(iii)T1が、T2よりも10℃以上低い、(i)又は(ii)に記載のフィルムの製造方法、
(iv)熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度をTgとしたときに、Tgと、T1と、T2とが、以下1)、及び2):
1)Tg<T1<Tg+140℃、
2)T2≧Tg+140℃
の関係を満たす、(i)〜(iii)のいずれか1つにフィルムの製造方法、
(v)検査において、検体における欠陥が発生した面を特定し、
一対のロールのうちの、欠陥が発生した面に接するロールの表面をクリーニングする、(i)〜(iv)のいずれかに記載のフィルムの製造方法、
(vi)ロールの表面のクリーニングを、ロールの表面に接して、又はロールの表面の近傍に設けられるロールクリーナーにより行う、(i)〜(v)のいずれか1つに記載のフィルムの製造方法、
(vii)ロールクリーナーが、ロールの表面に接触可能であるように設けられ、
ロールクリーナーのロールと接する箇所には、クロスが配置される、(vi)に記載のフィルムの製造方法、
(viii)クリーニングを、クロスにクリーニング液を供給し、湿式で行う、(vii)に記載のフィルムの製造方法、
(ix)熱可塑性樹脂組成物が、アクリル系樹脂組成物である、(i)〜(viii)のいずれか1つに記載のフィルムの製造方法、
を提供する。
本発明によれば、ロール上の微小な異物に起因する凹み欠陥を容易に検知でき、凹み欠陥の検知情報に基づいて効率よくロールのクリーニングを行うことができる、フィルムの製造方法を提供することができる。
フィルムの製造装置の構成の一部を模式的に示す図である。 挟み込み成形時にロール上の異物に起因する凹み欠陥が生じる態様を模式的に示す図である。 第1の実施形態にかかるフィルムの製造方法に関するフローチャートを示す図である。 第2の実施形態にかかるフィルムの製造方法に関するフローチャートを示す図である。 第3の実施形態にかかるフィルムの製造方法に関するフローチャートを示す図である。 凹み欠陥の発生の様子を模式的に示す図である。
以下、本実施形態に係るフィルムの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図1中、押出機10について、簡略化し、ダイ11付近のみを図示する。
<<フィルムの製造方法>>
フィルムの製造方法では、製品フィルム製造の前に凹み欠陥を検出する検査を行う。
検査は、押出機10で溶融した熱可塑性樹脂組成物をダイ11よりフィルム状溶融物13’として押出した後に、一対のロールにより挟み込んでフィルム状の検体13に成形し、次いで、検体13の表面の凹み欠陥13aを検出することを含む。
一対のロールは、フィルム状溶融物13’の挟み込み成形を行うことができれば特に限定されない。一対のロールは、典型的には、キャストロール14、及びタッチロール15である。キャストロール14、及びタッチロール15については後述する。
検査で凹み欠陥13aが検出された場合には、製品フィルム製造の前に、キャストロール14及び/又はタッチロール15の表面のクリーニングが行われる。
製品フィルム製造では、押出機10で溶融した熱可塑性樹脂組成物をダイ11よりフィルム状溶融物16’として押出した後に、キャストロール14とタッチロール15とにより挟み込んでフィルム16に成形する。
検査でのフィルム状溶融物13’の温度T1は、製品フィルム製造で溶融押出されたフィルム状溶融物16’の温度T2よりも低い。なお、温度T1及び温度T2は、ダイ11のダイ出口12におけるフィルム状溶融物13’、及びフィルム状溶融物16’の温度である。T1及びT2は、押出機10内やダイ11での温度制御によって調整されてもよいし、ダイ出口12付近に、ヒーター又はクーラー等の温度調整補助手段を設けて、当該温度調整補助手段により調整されてもよい。温度調整補助手段は、接触式の装置であっても、非接触式の装置であってもよい。
検査で得られた検体13での凹み欠陥13aは、製品フィルム製造で得られた製品フィルム16の凹み欠陥16aよりも、凹部の開口幅X1が大きく検出が容易である。
図2(a)に示されるように、検査では、キャストロール14に異物18が付着していると、挟み込み成形時に検体13に異物18の形状が転写される。
ここで、検体13の製造時のダイ出口12でのフィルム状溶融物13’の温度T1は、フィルム製造における、ダイ出口12でのフィルム状溶融物16’の温度T2よりも低い。このため、挟み込み成形時において、検体13の温度は、製品フィルム16の温度よりも低く、検体13の剛性は、製品フィルム16の剛性よりも高い。
以上説明した理由により、検体13と異物18とが接触する場合に、検体13は異物18の形状に沿って変形しにくく、凹み欠陥13aの開口幅X1が大きくなる。
その結果、検体13では、異物18が極微小な場合であっても、凹み欠陥13aの凹部の開口幅X1が大きいため、凹み欠陥13aの検出が容易である。例えば、上記検査では、目視によっても十分に凹み欠陥13aを検出しやすい。
一方、図2(b)に示されるように、製品フィルム製造では、ダイ出口12でのフィルム状溶融物16’の温度T2が、検体13の製造時のダイ出口12でのフィルム状溶融物13’の温度T1よりも高い。このため、挟み込み成形時において、製品フィルム16の剛性が検体13の剛性よりも低い。
以上説明した理由により、製品フィルム16と異物18とが接触する場合に、製品フィルム16は異物18の形状に沿って変形しやすく、凹み欠陥16aの開口幅X2が小さくなる。
このため、従来より行われている製品フィルムを用いる、異物起因の凹み欠陥16aの検査では、極微小な異物18に起因する、極微小な幅の開口を有する凹み欠陥16aの検出が困難である。
以上説明したように、製品フィルム製造を行う前に、ダイ出口12でのフィルム状溶融物13’の温度T1を、製品フィルム16の製造時のフィルム状溶融物16’のダイ出口12での温度T2よりも低く設定したうえで、挟み込み成形を行って検体13を製造することにより、凹み欠陥13aを目立たせることができる。その結果、検体13における検査では、凹み欠陥13aを高精度且つ迅速に検出することができる。
そして、凹み欠陥13aが検出された場合には、検体13中での凹み欠陥13aの発生位置の情報に基づいて、キャストロール14、及び/又はタッチロール15上に付着した異物の位置(例えば、幅方向位置)を特定できる。
なお、凹み欠陥13aが検体13の2つの主面のいずれの面に開口を有するか判別することにより、凹み欠陥13aが、キャストロール14とタッチロール15とのいずれに付着した異物に起因するかを特定できる。
また、周期的に発生する凹み欠陥13aの発生周期を特定し、特定された発生周期がキャストロール14とタッチロール15とのいずれの外周長と一致するかを判別することにより、異物が、キャストロール14とタッチロール15とのいずれに付着しているのか特定することが可能である。
凹み欠陥13aが、キャストロール14とタッチロール15とのいずれかに付着した異物に起因するかを特定できた場合、キャストロール14とタッチロール15とのうち、異物が付着されると考えられる一方のみをクリーニングすればよい。
このようにして得られる異物の位置の情報に基づいて、キャストロール14、及び/又はタッチロール15上に付着した異物18を除去することにより、製品フィルム16での凹み欠陥16aの発生を顕著に抑制できる。
従来は、製品フィルム製造の前に、異物の有無が分からない状態で、キャストロール14、及び/又はタッチロール15上に異物18が付着していること前提に、製品フィルム16に凹み欠陥16aが発生しないように念入りに工数を多くして異物18の除去を行うことが多かった。
また、製品フィルム16での凹み欠陥16aの発生状況に応じて、キャストロール14、及び/又はタッチロール15上の異物18の除去を行っていたが、製品フィルム16に発生する凹み欠陥16aは見落とされやすく、クリーニング後に異物18が除去されたか否かを正確に判断することが困難である。
このため、クリーニングを繰り返す必要が生じたり、クリーニングを念入りに行ったり、製品フィルム16の破棄が多くなったりする問題により、生産性が低下していた。
これに対し、本実施形態に係るフィルムの製造方法では、製品フィルム16における凹み欠陥16aの発生を抑制しやすいため、製品フィルム16のロスが少ない。また、検査での検出結果を基に、キャストロール14、及び/又はタッチロール15の必要な箇所のみのクリーニングを行えばよい。その結果、検査の結果に応じて行うクリーニングも、従来に比べ簡易に行えばよく、生産性が向上する。
なお、検体13の表面における、凹み欠陥13aの検出は、目視で行ってもよく、欠陥検査装置を用いて行ってもよい。欠陥検査装置は、例えば、検体13の表面の画像データや、形状や厚さ等のデータを取得し、これらのデータから検体13上の凹み欠陥13aを検出する。
欠陥検査装置を用いる検体13の検査は、回収された検体13に対して行われてもよく、挟み込み成形以降の工程においてインラインで行われてもよい。
微小な凹み欠陥13aを特に精度よく検出しやすいことから、検体13の検査は、目視により行われるのが好ましい。
なお、製品フィルム16についての凹み欠陥16aの検出も、以上説明した検体13の検査と同様の方法で行うことができる。
<第1の実施形態>
以下、図3(a)、及び図3(b)に示すフローチャートに基づいて、第1の実施形態について説明する。
まず、図3(a)に示すように、フィルム原料たる熱可塑性樹脂組成物を押出機10に供給し、押出機10内において、熱可塑性樹脂組成物が加熱により溶融される。溶融状態の熱可塑性樹脂組成物は、押出機10の出口側に取り付けられたダイ11に送られ、ダイ先端のダイ出口12から溶融状態のまま、フィルム状溶融物13’として吐出される。ダイ出口12においてフィルム状溶融物13’の温度はT1に制御される。そして、キャストロール14とタッチロール15とでフィルム状溶融物13’を圧力をかけつつ挟み込んで、その表面を平滑化し、検体13に成形する(ステップS1)。
キャストロール14は、ダイ出口12から吐出されたフィルム状溶融物13’を表面で支持し、フィルム状溶融物13’を冷却する機能を有する。また、キャストロール14は、フィルム状溶融物13’をタッチロール15とともに圧力をかけつつ挟み込んで平滑なフィルムに製膜する機能も有している。キャストロール14の表面は、通常は、金属等の硬質の材料で構成されている。
タッチロール15は、フィルム状溶融物13’をキャストロール14とともに圧力をかけつつ挟み込んで平滑なフィルムに製膜する機能を有する。タッチロール15では、通常、ゴム等の弾性体からなるロールの表面が金属膜で覆われている。
ここで、温度T1は、温度T2より低く、検体13の凹み欠陥13aの開口幅X1を大きくする点から、温度T2より10℃以上低いことが好ましく、温度T2より20℃以上低いことがより好ましい。
温度T1及び温度T2は、熱可塑性樹脂組成物の種類、粘度や、その吐出量、所望のフィルムの厚さ等によって好ましい条件が適宜設定される。
例えば、検体13における凹み欠陥の良好な検出と、特性に優れた製品フィルム16の製造との両立の点からは、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度をTgとしたとき、Tgと、T1と、T2とが、以下1)、及び2):
1)Tg<T1<Tg+140℃、
2)T2≧Tg+140℃、
の関係を満たすのが好ましい。
検体13における凹み欠陥13aの開口幅X1を大きくしやすい点からは、Tgと、温度T1との関係は、Tg<T1<Tg+130℃であるのがより好ましい。
また、フィルム16の厚みの均一化や、開口幅X2が大きな凹み欠陥16aの発生を抑制する点から、Tgと、温度T2との関係はT2≧Tg+140℃が好ましく、T2≧Tg+145℃がより好ましく、T2≧Tg+150℃が特に好ましい。
熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度Tgは、以下の測定方法で算出する。セイコーインスツルメンツ製の示差走査熱量分析装置(DSC)SSC−5200を用い、試料(熱可塑性樹脂組成物)を一旦200℃まで25℃/分の速度で昇温した後10分間ホールドし、25℃/分の速度で50℃まで温度を下げる予備調整を経て、10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する間の測定を行い、得られたDSC曲線から積分値を求め(DDSC)、その極大点からガラス転移温度を求める。
次に、挟み込み成形で得られた検体13の表面の凹み欠陥13aの有無を検出する(ステップS2)。検体13に発生する凹み欠陥13aでは、製品フィルム16に発生する凹み欠陥16aよりも開口幅X1が大きいため、検体13を用いる検査では、製品フィルム16を用いる検査と比較して、目視又は欠陥検査装置等により高精度且つ迅速に凹み欠陥13aを検出できる。
挟み込み成形における温度以外の条件は、熱可塑性樹脂組成物の種類や、その粘度や吐出量、所望のフィルムの厚さ等によって好ましい条件が適宜設定され、凹み欠陥13aの良好な検出を阻害しない条件であれば特に制限されない。検査から製品フィルム製造に移行しやすいように、製品フィルム製造時に設定される条件と同条件であってよい。
次に、検体13上に凹み欠陥13aを検出した場合には(ステップS2でYes)、キャストロール14、及び/又はタッチロール15のクリーニングを行う(ステップS3)。そして、製品フィルム16を製造するべく、ダイ出口12における溶融したフィルム状の熱可塑性樹脂組成物の温度をT1からT2に昇温して溶融押出し、次いで挟み込み成形を行い、製品フィルム16を製造する(ステップS4)。
製品フィルム製造(ステップS4)では、まず、押出機10のダイ11から溶融押出されるフィルム状溶融物16’の温度を、例えば、ダイ11の温度の調整等により、T1からT2に昇温させる。フィルム状溶融物16’の温度がT2に達した後、キャストロール14及びタッチロール15によりフィルム状溶融物16’を挟み込んで成形することで製品フィルム16が得られる。
一方、検体13上に凹み欠陥13aが検出されなかった場合には(ステップS2でNo)、キャストロール14、及び/又はタッチロール15上に異物が付着していないと判定し、クリーニングを行わずに、製品フィルム16を製造する(ステップS4)。
このとき、キャストロール14及びタッチロール15のクリーニングは、全表面をクリーニングしてもよいが、例えば凹み欠陥13aの幅方向位置から、クリーニングが必要なロールの幅方向位置を割り出してクリーニングを行うとよい。これにより、キャストロール14及びタッチロール15上の必要な箇所のみクリーニングを行うことができ、効率的である。
挟み込み成形の条件は、熱可塑性樹脂組成物の種類や、その粘度や吐出量、所望のフィルムの厚さ等によって好ましい条件が適宜設定される。
製品フィルム16の取得の際には、製品フィルム16の表面の性状が良好であるように制御する点から、キャストロール14及びタッチロール15の表面温度は、Tg−70℃以上Tg以下であることが好ましく、Tg−60℃以上Tg−10℃以下がより好ましく、Tg−50℃以上Tg−20℃以下が特に好ましい。
検体13の取得の際には、キャストロール14、及びタッチロール15の表面温度がTg−70℃以上であると、フィルム状溶融物13’がロール着地直後に挟み込みと同時に冷却固化されることでフィルム13の表面性の制御が可能であるため好ましい。
検体13の取得の際も、キャストロール14、及びタッチロール15の表面温度は、Tg−70℃以上Tg以下であることが好ましく、Tg−60℃以上Tg−10℃以下がより好ましく、Tg−50℃以上Tg−20℃以下が特に好ましい。
また、キャストロール14及びタッチロール15の表面温度がTg以下であると、フィルム状溶融物13’、又はフィルム状溶融物16’がキャストロール14から下流の冷却ロール(不図示)に搬送される際に、フィルム状溶融物13’、又はフィルム状溶融物16’がキャストロール14に粘着することなく、剥離時のフィルム表面欠陥(剥離紋)を抑制できる観点からも好ましい。
図3(b)に示されるように、検査の前に、キャストロール14、及び/又はタッチロール15のクリーニングを行ってもよい(ステップS0)。このクリーニングは、通常、キャストロール14、及びタッチロール15の幅方向全面に亘って行われる。しかし、このクリーニングは、ステップS2以降の検査で異物の有無を検出することから、製品フィルムを製造する前に行われている検査を含まない従来のクリーニングに比べ簡易的なクリーニングで済む。
このように、第1の実施形態によれば、検査でキャストロール14及び/又はタッチロール15上の異物を高精度且つ迅速に除去できることから、製品フィルム16での凹み欠陥16aの発生を顕著に抑制することができる。つまり、第1の実施形態によれば、検査でキャストロール14、及びタッチロール15上の異物を高精度且つ迅速に検出できることから、従来に比べ、キャストロール14及び/又はタッチロール15のクリーニングの作業負荷の低減、作業時間の短縮等を可能にしつつも、凹み欠陥16aの発生が抑制された製品フィルム16を、生産性よく製造することができる。
<第2の実施形態>
以下、図4(a)、及び図4(b)に基づいて、第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の工程については、同一符号を付し説明を省略する。
第2の実施形態においては、検体13に凹み欠陥13aが検出されなくなるまで、キャストロール14及び/又はタッチロール15のクリーニングを実行する。具体的には、図4(a)に示すように、熱可塑性樹脂組成物を溶融押出し、検体13に挟み込み成形(ステップS1)した後に、検体13の表面における凹み欠陥13aの検出である、欠陥検出を行う(ステップS2)。そして、検体13に凹み欠陥13aが検出された場合には(ステップS2でYes)、キャストロール14及び/又はタッチロール15のクリーニングを行う(ステップS3)。
凹み欠陥13aが検出されなくなるまで(ステップS2でNo)、挟み込み成形(ステップS1)、凹み欠陥検出(ステップS2)が繰り返される。検体13に凹み欠陥13aが検出されなくなったら(ステップS2でNo)、ダイ出口12における溶融したフィルム状の熱可塑性樹脂組成物の温度を温度T1からT2に昇温させて製品フィルム16を製造する(ステップS4)。
第2の実施形態では、複数回の凹み欠陥検出(ステップS2)が想定されることから、目視ではなく、欠陥検査装置を用いて自動的に凹み欠陥13aの検出を行ってもよい。
欠陥検査装置を用いて凹み欠陥13aを検出する場合には、ステップS2の回数が所定回数を超えた場合に、キャストロール14及び/又はタッチロール15上の異物以外の要因による欠陥が検出されているおそれがあると判断し、この旨を報知し、ステップS2で停止するようにしてもよい。
また、図4(b)に示すように、第1の実施形態と同様に、検査の前に、キャストロール14及び/又はタッチロール15のクリーニングを行ってもよい(ステップS0)。このクリーニングは、上述したように、ステップS2以降の検査で異物の有無を検出することから、製品フィルム16を製造する前に行われる検査を含まない従来のクリーニングに比べ簡易的なクリーニングで済む。
このように、第2の実施形態によれば、検体13に凹み欠陥13aが検出されないことをもって、クリーニングによりキャストロール14及び/又はタッチロール15から異物18が除去された否かを確認し、製品フィルム製造に移行するので、フィルム16に凹み欠陥が発生するのを確実に防止することができる。
<第3の実施形態>
以下、図5(a)、及び図5(b)に基づいて、第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の工程については、図中同一符号を付し説明を省略する。
第3の実施形態においては、検体13に凹み欠陥13aが検出された場合に、それが周期的に発生している欠陥か否かを判定し、キャストロール14及び/又はタッチロール15上の異物18の除去が必要か否かを判定する。
具体的には、図5(a)に示されるように、熱可塑性樹脂組成物を溶融押出成形して検体13に挟み込み成形(ステップS1)した後に、検体13の表面における凹み欠陥13aの検出である欠陥検出を行う(ステップS2−1)。そして、検体13に凹み欠陥13aが検出された場合には(ステップS2−1でYes)、その凹み欠陥13aがキャストロール14及び/又はタッチロール15の回転周期に対応して発生する周期性欠陥であるか否かを判定する(ステップS2−2)。
検体13に凹み欠陥13aが検出されない場合には(ステップS2−1でNo)、第2の実施形態と同様に、ダイ出口12における溶融したフィルム状の熱可塑性樹脂組成物の温度をT1からT2に昇温させて製品フィルム16を製造する(ステップS4)。
検出した凹み欠陥13aが周期性欠陥であると判定された場合には(ステップS2−2でYes)、キャストロール14及び/又はタッチロール15上に異物が付着していると判断され、キャストロール14及び/又はタッチロール15のクリーニングが行われる(S3)。
一方、凹み欠陥13aが周期性欠陥でないと判定された場合には(ステップS2−2でNo)には、キャストロール14及び/又はタッチロール15上に付着していた異物が、検体13の製造後にはもはやキャストロール14及び/又はタッチロール15上に存在しない蓋然性が高い。この場合、キャストロール14及び/又はタッチロール15上の異物18の除去が不要である蓋然性も高いので、ロールクリーニングを省略しつつ、ダイ出口12における溶融したフィルム状の熱可塑性樹脂組成物の温度をT1からT2に昇温させて製品フィルム16を製造することができる(ステップS4)。
また、図5(b)に示すように、第1の実施形態と同様に、検査の前に、キャストロール14及び/又はタッチロール15のクリーニングを行ってもよい(ステップS0)。このクリーニングは、上述したように、ステップS2以降の検査で異物18の有無を検出することから、製品フィルム16を製造する前に行われている検査を含まない従来のクリーニングに比べ簡易的なクリーニングで済む。
第3の実施形態によれば、凹み欠陥13aが周期性欠陥であるか否かを判定することによって、キャストロール14及び/又はタッチロール15の不要なクリーニングを避けることでき、これにより、生産性の向上を図ることが可能である。
なお、第3の実施形態では、キャストロール14及び/又はタッチロール15に付着した異物18を検出するべく、検体13をキャストロール14に接する面側から見て凹状となる凹み欠陥を検出する例について説明したが、タッチロール15に付着した異物も検出することが可能である。その場合には、検体13をタッチロール15に接する面側から視て凹状となる凹み欠陥を検出すればよい。
フィルムの製造方法は、第1〜第3の実施形態に限定されず、他の工程を含んでもよいことはいうまでもない。例えば、製品フィルム製造では、必要に応じ、さらにフィルム端部にナーリングしたり、保護フィルムの貼り合わせを行ったり、フィルム両端部をスリットし所望の製品幅に裁断したり、フィルムを延伸したりすることを含んでもよい。
製品フィルム16の厚さは、特に限定されない。一般的な傾向として、製品フィルム16の厚さが薄いほど、光学特性等の種々のフィルムの特性に対して凹み欠陥が与える悪影響が大きい。しかしながら、本発明によると、厚さ30μm以上80μm未満、好ましくは35μm以上70μm以下、より好ましくは40μm以上60μm以下といった極めて薄い製品フィルム16においても、凹み欠陥16aの発生を顕著に抑制できるので、このような薄いフィルムに本発明を適用する意義は極めて大きい。
なお、第1〜第3の実施形態本発明にかかるフィルムの製造方法で用いられる押出機10としては、単軸押出機、同方向噛合型2軸押出機、同方向非噛合型2軸押出機、異方向噛合型2軸押出機、異方向非噛合型2軸押出機、多軸押出機等の各種押出機を用いることができる。その中でも、単軸押出機が押出機内における樹脂滞留部が少ないため押出中における熱可塑性樹脂組成物の熱劣化を抑制しやすいこと、また設備費が安価であることから好ましい。また、熱可塑性樹脂組成物中の残存揮発分、押出機10における加熱発生物を除去するためにベント機構を有する押出機を使用することが好ましい。押出機10のサイズ(口径)は所望の吐出量に合わせて選定される。
単軸押出機で使用するスクリューとしては、ベント無し又は有り押出機用の圧縮比2〜3程度の一般的なフルフライト構成のものを用いることができるが、未溶融物が残存しないように特殊な混練機構(ミキシングエレメント)を持たせてもよい。
押出機10内での熱可塑性樹脂組成物の滞留時間は、滞留時間増加による樹脂熱劣化を防止する点から、好ましくは10分以内であり、より好ましくは5分以内であり、特に好ましくは2分以内である。
滞留時間は、押出し機1の種類、押出条件にも左右されるが、材料の供給量やL/D、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮することが可能である。
押出機10等の溶融手段により得られた溶融した熱可塑性樹脂組成物は、次いでダイ11に供給される。溶融した熱可塑性樹脂組成物の供給は、好ましくはギアポンプ(不図示)を用いて行われる。ギアポンプを用いることで押出機10における吐出量変動が吸収され、供給の定量性が著しく向上し、経時的なフィルム厚さの安定性向上に効果がある。
ギアポンプより定量的に供給される溶融した熱可塑性樹脂組成物、あるいは押出機10から直接供給された溶融した熱可塑性樹脂は、例えば管状の流路を通りダイ11に供給され、ダイ出口12からフィルム状に吐出される。ギアポンプからダイ11までの流路中、あるいはギアポンプ等を介さない場合は溶融手段からダイまでの流路中に異物除去装置を設けることが好ましい。これにより、原料である熱可塑性樹脂組成物中に含まれていた異物や押出機10やギアポンプで発生した異物がトラップされ、製品フィルム16中の異物欠陥の発生を低減しやすい。異物除去装置としては、スクリーンメッシュ、プリーツ型フィルター、リーフディスクフィルター等を用いることができる。
ダイ11としては、各種構造のものを使用することができる。ダイ11としては、Tダイが好ましく、例えば一般的なコートハンガーダイを用いることができる。ダイ11について、幅方向厚さ調整機構としてボルト等の押し込みによりリップの幅方向任意部分の隙間を調節できるのがより好ましい。
さらに、フィルムの厚さをオンラインで測定し、任意の厚さプロファイルとの偏差がある部分を自動で調整可能な、例えば熱作動式ボルトを用いて自動で厚さプロファイルの調整をすることが、経時的な変化を人の手を介さずに精度よく行うことができるため好ましい。
押出機10からダイ11からの吐出までにかかる溶融した熱可塑性樹脂組成物の滞留時間は、好ましくは15分以下、より好ましくは10分以下である。熱可塑性樹脂組成物の熱劣化を抑制する観点からは、溶融した熱可塑性樹脂組成物の滞留時間は短いほどよい。
リーフディスクフィルターを用いて溶融した熱可塑性樹脂組成物中の異物除去を行う場合、押出機10からダイ11からの吐出までにおいて、最も長い滞留時間を要するのはリーフディスクフィルターである。このため、上記の滞留時間を達成するためには、先に述べたように所望生産量に合わせたフィルターサイズ設計を優先的に考えることが好ましい。
また、キャストロール14及び/又はタッチロール15のクリーニングでは、従来公知のロールクリーナーを用いることができる。ロールクリーナーを用いることで、インラインで効率的に異物18の除去を行うことができる。ロールクリーナーは、接触式であっても、非接触式であってもよく、接触式であるのが好ましい。
圧縮気体(例えば、エアーや炭酸ガス)を吹き付けるような非接触式のロールクリーナーを用いる場合、キャストロール14、及び/又はタッチロール15の表面に付着した異物18を除去した後に、吹き飛ばされた異物18が、キャストロール14、及び/又はタッチロール15の表面に再付着する場合がある。
他方、接触式のロールクリーナーを用いる場合、ロールクリーニング時に、異物18の再付着が生じにくい。
接触式のロールクリーナーは、ロール全幅に接する長尺型クリーナーであってもよく、ロールの一部のみに接触可能であって、ロールの幅方向に自由に移動できるように設けられる短尺型クリーナーであってもよい。商業的に入手が容易で且つ、安価な部材を用いる程度に小型化させて、ロールの幅方向に往復運動させる態様でもよい。ロールクリーナーは、通常、キャストロール14、及び/又はタッチロール15の表面に接触可能に設けられる。クリーナー部材としては、例えば、ブラシ、クロス(湿式・乾式)、ブレード、粘着ロール等が挙げられる。
ロールクリーナーの一例としては、図1に示されるような、クロス17aと、クロス17aを支持してキャストロール14に押し当てる支持体17bとを備えるロールクリーナー17が好ましく挙げられる。クロス17aは、キャストロール14上の異物18を掻き取り、掻き取った異物18を保持する機能を有する生地である。このロールクリーナー17は、支持体17bをキャストロール14に向かって押圧する押圧手段(不図示)、ロール幅方向に自由に移動可能であって、ロール表面に接する方向とロール表面から離れる方向とにも自由に移動可能であるように、支持体17bを支持する移動手段(不図示)とを備えていてもよい。
ロールクリーナー17は、発塵を抑制しやすい点から洗浄液を用いる湿式が好ましい。具体的には、ロールクリーナー17が、クロス17aにクリーニング液を供給するクリーニング液供給手段(不図示)をさらに備えるのが好ましい。
クロス17aを備えるロールクリーナー17において、ロールクリーナー17中のキャストロール14及び/又はタッチロール15に接する部位では、クロス17aからなる接触面が間欠又は連続的に更新されるのが好ましい。クロス17aは、例えば、長尺布が巻かれた形態のものが好ましく、繰り出し部と巻き取り部によって長尺のクロス17aにおけるロール押し当て面を間欠又は連続的に更新するとよい。
クロス17aの材質については、キャストロール14及び/又はタッチロール15の表面の温度が通常100℃前後の高温であることから、耐熱性及び耐溶剤性を有していることが好ましく、例えばポリエステル繊維布等が挙げられる。
支持体17bは、キャストロール14及び/又はタッチロール15の形状に合わせて適宜設計される。支持体17bの材質については、耐熱性と耐溶剤性と耐摩擦性に優れる点から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が好ましく挙げられる。
押圧の方法としては、油圧、空気圧、機械的押し付け等が挙げられる。ロールクリーナー17を押圧して、キャストロール14及び/又はタッチロール15に接触させる際には、ロール幅方向において圧力が均一であることが好ましい。キャストロール14及び/又はタッチロール15に対する押し付け圧力は、支持体17bの形状にもよるが、好ましくは1kg/cm以上10kg/cm以下であり、より好ましくは3kg/cm以上7kg/cmである。上記範囲で押圧することにより、キャストロール14及び/又はタッチロール15の表面を傷付けることなく異物18を除去しやすい。
なお、ロールクリーナー17の設置位置は、特に制限されない。ダイ11に近い方が異物18の除去という点では好ましいが、ロールクリーナー17の耐熱性等を考慮して適宜設置されればよい。
<<熱可塑性樹脂組成物>>
以下フィルムの材質である熱可塑性樹脂組成物について説明する。
熱可塑性樹脂組成物としては、溶融押出による成形が可能なものであれば、特に制限されない。以下、熱可塑性樹脂組成物に含まれる成分について説明する。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂組成物の主成分たる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、芳香族ビニル系樹脂及びその水素添加物、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂等が挙げられる。これらのうち、アクリル系樹脂が透明性の観点から特に好ましい。
アクリル系樹脂としては、特に制限されないが、メタクリル酸メチルを単量体成分としたメタクリル系樹脂を使用できる。アクリル系樹脂におけるメタクリル酸メチル由来の構成単位の含有量は、良好な耐熱性、透明性が得られる点から、30〜100重量%が好ましく、50〜100重量%がより好ましく、80〜100重量%が特に好ましい。
アクリル系樹脂の中でも、耐熱性のアクリル系樹脂が好ましい。
耐熱性のアクリル系樹脂としては、例えば、
1)共重合成分としてN−置換マレイミド化合物が共重合されているアクリル系樹脂、
2)無水グルタル酸アクリル系樹脂、
3)ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂、
4)グルタルイミドアクリル系樹脂、
5)水酸基及び/又はカルボキシル基を含有するアクリル系樹脂、
6)芳香族ビニル単量体及びそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られる芳香族ビニル含有アクリル系重合体(例えば、スチレン単量体及びそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン含有アクリル系重合体)
7)上記6)の樹脂の芳香族環を部分的に又は全て水素添加して得られる水添芳香族ビニル含有アクリル系重合体(例えば、スチレン単量体及びそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン含有アクリル系重合体の芳香族環を部分水素添加して得られる部分水添スチレン含有アクリル系重合体)、
8)環状酸無水物繰り返し単位を含有するアクリル系重合体等を挙げることができる。
耐熱性及び光学特性の観点からグルタルイミドアクリル系樹脂をより好ましく用いることができる。
(ゴム弾性体粒子)
また、熱可塑性樹脂組成物は、強度や靱性等を付与する目的でゴム弾性体粒子を含有していてもよい。
ゴム弾性体粒子を構成する樹脂は、特に限定されず、例えば、ガラス転移温度が20℃未満である重合体が挙げられ、具体的には、例えば、ブタジエン系架橋重合体、(メタ)アクリル系架橋重合体、オルガノシロキサン系架橋重合体等のゴム状重合体が挙げられる。なかでも、フィルムの耐候性、透明性の面で、(メタ)アクリル系架橋重合体(以下、単に「アクリル系ゴム状重合体」ということがある。)が特に好ましい。
アクリル系ゴム状重合体としては、例えばABS樹脂ゴム、ASA樹脂ゴムが挙げられるが、透明性等の観点から、以下に示すアクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体(以下、単に「アクリル系グラフト共重合体」ということがある。)を好ましく用いることができる。アクリル系グラフト共重合体は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物を少なくとも1段以上重合して得ることができる。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体は、アクリル酸エステルを主成分としたゴム状重合体であり、具体的には、アクリル酸エステル50重量%以上100重量%以下、及び共重合可能な他のビニル系単量体0重量%以上50重量%以下からなる単量体混合物(100重量%)並びに、1分子あたり2個以上の非共役な反応性二重結合を有する多官能性単量体0.05重量部以上10重量部以下(単量体混合物100重量部に対して)を重合させてなるものが好ましい。単量体を全部混合して使用してもよく、また単量体組成を変化させて2段以上で使用してもよい。
アクリル酸エステルとしては、重合性やコストの点より、アルキル基の炭素数1〜12のものを用いることが好ましい。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等があげられ、これらの単量体は2種以上併用してもよい。
共重合可能な他のビニル系単量体としては、耐候性、透明性の点より、(メタ)アクリル酸エステル類が特に好ましく、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル等があげられる。また、芳香族ビニル類及びその誘導体、及びシアン化ビニル類も好ましく、例えば、スチレン、メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等があげられる。その他、無置換及び/又は置換無水マレイン酸類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル、ハロゲン化ビニリデン、(メタ)アクリル酸及びその塩、(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル等が挙げられる。
多官能性単量体は、通常使用されるものでよく、例えばアリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトロメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート及びこれらのアクリレート類等を使用することができる。これらの多官能性単量体は2種以上使用してもよい。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体へのメタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物の重合、つまり、グラフト共重合に用いられる単量体としては、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、これらを共重合可能なビニル系単量体を同様に使用でき、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルが好適に使用される。アクリル系樹脂との相溶性の観点からメタクリル酸メチル、ジッパー解重合を抑制する点からアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
アクリル系グラフト共重合体は、一般的な乳化重合法によって製造できる。具体的には、水溶性重合開始剤の存在下、乳化剤を用いてアクリル酸エステル単量体を連続的に重合させる方法を例示できる。
乳化重合法においては、通常の重合開始剤を使用できる。例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物や、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物、さらにアゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤も使用される。これらは単独又は2種以上併用してもよい。これらの開始剤は亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルフォキシレート、アスコロビン酸、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム錯体なとの還元剤と併用した通常のレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
重合開始剤と合わせて連鎖移動剤を併用してもよい。連鎖移動剤には炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノール、四塩化炭素等が挙げられ、これらは単独又は2種以上併用してもよい。
乳化重合法にて使用する乳化剤に関して特に制限はなく、通常の乳化重合用の乳化剤であれば使用することが出来る。例えば、アルキル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩系界面活性剤、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホン酸塩系界面活性剤、アルキルリン酸ナトリウムエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウムエステル等のリン酸塩系界面活性剤といったアニオン系界面活性剤が挙げられる。また上記ナトリウム塩は、カリウム塩等の他のアルカリ金属塩やアンモニウム塩でもよい。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。さらに、ポリオキシアルキレン類又はその末端水酸基のアルキル置換体又はアリール置換体に代表される、非イオン性界面活性剤を使用又は一部併用しても差し支えない。その中でも、重合反応安定性、粒子系制御性の点から、スルホン酸塩系界面活性剤、又はリン酸塩系界面活性剤が好ましく、中でも、ジオクチルスルホコハク酸塩、又はポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩がより好ましく用いることができる。
(その他の成分)
なお、熱可塑性樹脂組成物には、熱や光に対する安定性を向上させるための酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等を単独又は2種以上併用して添加してもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
[実施例1]
熱可塑性樹脂組成物として、Tg120℃のアクリル系樹脂組成物を用いた。フィルム製造装置として、上流側から順に、φ90mmベント式単軸押出機と、ギアポンプと、ポリマーフィルターと、Tダイと、並列されたタッチロール及びキャストロールと、が配列された装置を用いた。
なお、アクリル系樹脂組成物の製造方法は以下の通りである。
<製造例1:ゴム弾性体粒子(アクリル系グラフト共重合体)の調製>
撹拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 180重量部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(乳化剤) 0.031重量部
ホウ酸 0.4725重量部
炭酸ナトリウム 0.04725重量部
水酸化ナトリウム 0.0098重量部
重合機内を窒素ガスで充分に置換した後、内温を80℃にし、重合開始剤である過硫酸カリウム0.027重量部を2重量%水溶液の形態で添加した。次いで、単量体混合物27重量部(メタクリル酸メチル93.2重量%、アクリル酸ブチル6重量%、スチレン0.8重量%)、多官能性単量体であるメタクリル酸アリル0.135重量部、連鎖移動剤であるn−オクチルメルカプタン0.3重量部、乳化剤であるポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸0.0934重量部を81分かけて連続的に添加した。さらに60分重合を継続することにより、重合物(I)を得た。
その後、重合物(I)に、水酸化ナトリウム0.0267重量部を2重量%水溶液の形態で添加し、過硫酸カリウム0.08重量部を2重量%水溶液の形態で添加した。次いで、単量体混合物(アクリル酸ブチル82重量%、スチレン18重量%)、メタクリル酸アリル0.75重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸0.2328重量部を150分かけて連続的に添加した。添加終了後、開始剤である過硫酸カリウム0.015重量部を2%水溶液の形態で添加し、120分重合を継続し、重合物(II)を得た。
その後、重合物(II)に、過硫酸カリウム0.023重量部を2重量%水溶液の形態で添加した。次いで、単量体混合物15重量部(メタクリル酸メチル95重量%、アクリル酸ブチル5重量%)を45分かけて連続的に添加し、さらに30分間重合を継続した。
次いで、単量体混合物8重量部(メタクリル酸メチル52重量%、アクリル酸ブチル48重量%)を25分かけて連続的に添加し、さらに60分重合を継続することにより、多段重合グラフト共重合体ラテックスを得た。
得られたラテックスを硫酸マグネシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥を行い、白色粉末状の多段重合アクリル系グラフト重合体を得た。得られたゴム弾性体粒子(アクリル系グラフト共重合体)の平均粒子径は221nmであった。
<製造例2:アクリル系樹脂組成物の調製>
製造例1で得られたゴム弾性体粒子(アクリル系グラフト共重合体)と、ポリメタクリル酸メチル構造単位100%のアクリル系樹脂(Mw:10.5万)とを15:85の重量比にて混合した。続いて、この混合物を、φ58mmベント式二軸押出機にて、溶融押出を行い、押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化したアクリル系樹脂組成物を得た。
初めに検査として、アクリル系樹脂組成物を押出機に投入し溶融させ、Tダイから押出されるアクリル系樹脂組成物のフィルム状溶融物の温度T1が、Tダイ出口での温度として255℃である条件で溶融押出を行った。そして、フィルム状溶融物を、95℃に温調されたタッチロールとキャストロールとにより挟み込んで、膜厚80μmのフィルムに成形した。
次にこのフィルムの凹み欠陥を目視にて検出した。この凹み欠陥の開口幅X1は、200μm程度と大きく、目視により凹み欠陥を容易且つ迅速に検出できた。
この欠陥発生箇所の位置情報を基にクリーニングが必要な箇所(ロール幅方向位置)を割り出し、ロールクリーナーによりキャストロールのクリーニングを行った。
ロールクリーナーは、キャストロールに接しワイピングにより異物を除去するクロス(湿式)と、クロスを支持する支持体と、支持体をロールに向かって押圧する押圧手段と、ロール幅方向に自由に移動可能であって、ロール表面に接する方向とロール表面から離れる方向とにも自由に移動可能であるように、支持体を支持する移動手段とから構成される。このロールクリーナーによって、ロールの所望の位置をクリーニング可能である。
次に製品フィルム製造として、アクリル系樹脂組成物を押出機に投入し溶融させ、Tダイ出口から溶融押出されるアクリル系樹脂組成物の温度T2が275℃になる条件で溶融押出を行った。そして、溶融状態にあるフィルム状のアクリル系樹脂組成物を95℃に温調されたタッチロールとキャストロールとにより挟み込んで、厚さ80μmの製品フィルムを取得した。
製品フィルム製造において取得したフィルムの欠陥発生評価を行ったところ、凹み欠陥の発生個数は0個/mであった。
なお、製品フィルムの凹み欠陥の発生個数の評価は、取得した製品フィルムに対し、光度1000luxの光源下において目視で欠陥を検出し、検出欠陥に関してデジタルマイクロスコープを用いて開口幅X1が100μm以上である凹み欠陥の個数を算出した。
[比較例1]
検査を実施しないこと以外は、実施例1と同様の方法で製品フィルムを取得した。
製品フィルム製造において取得した製品フィルムの欠陥発生評価を行ったところ、開口幅X2が100μm以上の凹み欠陥の発生個数は、20個/mであった。凹み欠陥の算出方法は、実施例1と同様である。
[比較例2]
検査において、樹脂温度T1が275℃の条件にて溶融押出を行った以外は、実施例1と同様の方法で厚さ80μmのフィルムを形成した。次に、このフィルムの凹状の欠陥を目視にて検出した。この欠陥の検出結果に基づきクリーニングが必要な箇所を割り出し、ロールクリーナーによりロールのクリーニングを行った。
製品フィルム製造において取得した製品フィルムの欠陥発生評価を行ったところ、凹み欠陥の発生個数は9個/mであった。凹み欠陥の算出方法は、実施例1と同様である。
実施例1によれば、検査でのフィルム状溶融物のダイ出口での温度T1が、製品フィルム製造でのフィルム状溶融物のダイ出口での温度T2よりも低いことにより、検査で欠陥を精度よく迅速に検出することができた。その結果、ロール上の異物を確実に除去することができ、製品フィルム製造では、凹み欠陥が発生することがなかったことがわかる。
一方、比較例1によれば、検査を実施していないため、ロール上の異物が除去しきれず、この異物を要因として凹み欠陥が多く発生したことがわかる。
また、比較例2によれば、検査を行っているものの、除去しきれなかった異物を要因とする欠陥が発生したことがわかる。これは、検査において、アクリル系樹脂組成物の温度が製品フィルム製造時と同じ(温度T1=温度T2)であるため、凹み欠陥の開口幅X1が100μmと実施例1に比べ小さく、フィルム上の凹み欠陥を見過ごしたためである考えられる。
10 押出機
11 ダイ
12 ダイ出口
13’ フィルム状溶融物
13 検体
14 キャストロール
15 タッチロール
16’ フィルム状溶融物
16 製品フィルム
17 ロールクリーナー
18 異物

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの製造方法であって、
    溶融した前記熱可塑性樹脂組成物をダイよりフィルム状溶融物として押出した後に、一対のロールにより挟み込んでフィルム状の検体に成形し、次いで、前記検体の表面の欠陥を検出することを含む検査と、
    溶融した前記熱可塑性樹脂組成物を前記ダイより前記フィルム状溶融物として押出した後に、一対のロールにより挟み込んでフィルムに成形することによる製品フィルム製造と、を含み、
    前記検査は、製品フィルム製造の前に行われ、
    前記欠陥が検出された場合に、前記製品フィルム製造の前に、前記ロールの表面のクリーニングが行なわれ、
    前記検査において、前記ダイより押出された前記熱可塑性樹脂組成物の温度T1が、前記製品フィルム製造において、前記ダイより押出された前記熱可塑性樹脂組成物の温度T2よりも低い、
    フィルムの製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの製造方法であって、
    溶融した前記熱可塑性樹脂組成物をダイよりフィルム状溶融物として押出した後に、一対のロールにより挟み込んでフィルム状の検体に成形し、次いで、前記検体の表面の欠陥を検出することを含む検査と、
    溶融した前記熱可塑性樹脂組成物を前記ダイより前記フィルム状溶融物として押出した後に、一対のロールにより前記フィルム状溶融物を挟み込んでフィルムに成形することによる製品フィルム製造と、を備え、
    前記検査は、製品フィルム製造の前に行われ、
    前記検査において、前記欠陥が検出され、且つ前記欠陥が、前記ロールの回転周期に対応して発生する周期性欠陥であった場合に、前記製品フィルム製造の前に、前記ロールの表面のクリーニングが行なわれ、
    前記検査において、前記ダイより押出された前記熱可塑性樹脂組成物の温度T1が、前記製品フィルム製造において、前記ダイより押出された前記熱可塑性樹脂組成物の温度T2よりも低い、
    フィルムの製造方法。
  3. 前記T1が、前記T2よりも10℃以上低い、請求項1又は2に記載のフィルムの製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度をTgとしたときに、前記Tgと、前記T1と、前記T2とが、以下1)、及び2):
    1)Tg<T1<Tg+140℃、
    2)T2≧Tg+140℃
    の関係を満たす、請求項1〜3のいずれか1項にフィルムの製造方法。
  5. 前記検査において、前記検体における前記欠陥が発生した面を特定し、
    前記一対のロールのうちの、前記欠陥が発生した前記面に接するロールの表面をクリーニングする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
  6. 前記ロールの表面のクリーニングを、前記ロールの表面に接して、又は前記ロールの表面の近傍に設けられるロールクリーナーにより行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
  7. 前記ロールクリーナーが、前記ロールの表面に接触可能であるように設けられ、
    前記ロールクリーナーの前記ロールと接する箇所には、クロスが配置される、請求項6に記載のフィルムの製造方法。
  8. 前記クリーニングを、前記クロスにクリーニング液を供給し、湿式で行う、請求項7に記載のフィルムの製造方法。
  9. 前記熱可塑性樹脂組成物が、アクリル系樹脂組成物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
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