JP6696832B2 - マスク - Google Patents

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Description

本発明は、顔面に装着して使用するマスク、より具体的な例としては、粉塵、飛沫、汚染物質、アレルゲン、病原体などから装着者を保護したり、呼吸、咳、くしゃみによる装着者からの飛沫、病原体などの飛散を抑制しながら装着者の呼吸が確保されるマスク、に関する。
日常生活を含む様々な分野において、顔面に装着して使用するマスクが広く普及しており、年々、その生産量および使用量が増加している。例えば、工場の製造現場および土木建設現場では、作業員が粉塵(微粒子)、飛沫、汚染物質などを吸入することを防止するために、医療分野では、医療従事者および患者が、飛沫、汚染物質、病原体、花粉をはじめとするアレルゲンなどを吸入したり、彼らの呼吸、咳あるいはくしゃみによって飛沫、汚染物質、病原体などが周囲に飛散することを防止するためにマスクが使用される。近年、日常生活においても、アレルゲンおよび「PM2.5」といった汚染物質の吸入を防止するためにマスクが広く使用される傾向があるとともに、食品製造および提供などのサービス業においても、装着者からの飛沫の飛散を防いだり、清潔感を演出するためのマスクの使用が増えている。
マスクは、例えば、装着者の顔面の少なくとも一部、典型的には鼻孔および口、を覆う本体部と、本体部を装着者の顔面に固定する係止部とから構成されている。従来のマスクでは、一般に、不織布または織布からなる本体部が使用される。不織布または織布の通気性により装着者の呼吸が確保されながら、そのフィルターとしての機能により、上述したような物質の装着者による吸入および/または装着者からの飛散が防がれる。
不織布または織布からなる本体部は、通常、不透明であるため、装着者の顔面のうち、マスクにより覆われた部分は隠されることになる。しかし、マスクの用途によっては、より具体的な例として、患者と対面する医療従事者あるいは顧客の目に触れるサービス業者がマスクを使用する際に、装着者の顔面の一部が隠されることによる違和感の発生または人物の誤認を抑えたり、装着者の表情が確認できることによる良好なコミュニケーションを確保するために、できるだけ透明な本体部を有するマスクが求められることがある。このような本体部として、透明な樹脂フィルムまたは非常に薄手の織布もしくは不織布が従来、使用されている。透明な本体部を有するマスクは、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
特開2009-11475号公報 特開2013-46647号公報 特開2013-66643号公報
非常に薄手の織布または不織布からなる本体部としたマスクでは、粉塵などから装着者を保護する性能および装着者からの飛沫などの飛散を抑制する性能(以下、まとめて単に「遮蔽性」ともいう)が低下する。また、織布または不織布を構成する繊維によって光が散乱されるため、現実には高い透明性の確保が困難である。
一方、透明な樹脂フィルムからなる本体部では、本体部自体については高い遮蔽性を実現できるとともに、フィルムの材質を適切に選択することによって高い透明性を確保できる。しかし、樹脂フィルム自体は通気性を有さないことから、装着者の呼吸を確保するために顔面と本体部との間に隙間を設けることが余儀なくされることでマスクとしての遮蔽性が低下したり、特許文献2,3に開示されているマスクのように、装着者の呼吸を確保するための通気性部(特許文献2,3のマスクでは不織布部)と組み合わせることが必要となる。さらに、本体部である樹脂フィルムが装着者の鼻孔および口を覆うことで装着者の発した言葉が聞き取り難くなり、とりわけ医療従事者あるいはサービス業者の使用には必ずしも適しているとはいえない。特許文献2,3のマスクにおいても、依然としてこの通音性の問題が存在する。
このように、マスクを使用する用途が拡大するにつれ、また、近年の社会的な要請により、単なる遮蔽性および装着者の呼吸を確保するための通気性以外にも、透明性、通音性などの諸特性がマスクに要求される現状となっている。
本発明は、従来のマスクとは全く構造が異なるマスクであって、遮蔽性、通気性、透明性、通音性をはじめとする種々の特性の設計の自由度が高く、例えば、良好な遮蔽性、通気性、透明性および通音性を並立できるマスクの提供を目的とする。
本発明のマスクは、顔面に装着して使用されるマスクであって、前記顔面の少なくとも一部を覆う本体部が、厚さ方向に通気性を有する樹脂フィルムを備える。前記樹脂フィルムは、厚さ方向に延びる複数の貫通孔を有する非多孔質のフィルムである。前記貫通孔の径は0.01μm以上30μm以下である。前記樹脂フィルムにおける前記貫通孔の密度は、10個/cm2以上1×108個/cm2以下である。
本発明によれば、従来のマスクとは全く構造が異なるマスクであって、遮蔽性、通気性、透明性、通音性をはじめとする種々の特性の設計の自由度が高く、例えば、良好な遮蔽性、通気性、透明性および通音性が並立したマスクが実現する。
本発明のマスクの一例を模式的に示す斜視図である。 本発明のマスクの本体部に使用できる樹脂フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明のマスクの本体部に使用できる樹脂フィルムの別の一例を模式的に示す断面図である。 本発明のマスクの本体部に使用できる樹脂フィルムのまた別の一例を模式的に示す断面図である。 本発明のマスクの本体部に使用できる樹脂フィルムのさらにまた別の一例を模式的に示す平面図である。 本発明のマスクの本体部に使用できる樹脂フィルムの上記とは別の一例を模式的に示す平面図である。 本発明のマスクの本体部に使用できる樹脂フィルムの上記とは別の一例を模式的に示す断面図である。 本発明のマスクの本体部に使用できる樹脂フィルムの上記とは別の一例を模式的に示す平面図である。 本発明のマスクの本体部に使用できる樹脂フィルムを形成する方法であって、イオンビーム照射およびその後の化学エッチングを用いる方法における、イオンビーム照射の概略を説明するための模式図である。 本発明のマスクの本体部に使用できる樹脂フィルムを形成する方法であって、イオンビーム照射およびその後の化学エッチングを用いる方法における、イオンビーム照射の一例を説明するための模式図である。 実施例において、マスクの本体部を構成する材料の音圧損失(挿入損失)を評価するために用いた模擬筐体ならびに当該筐体に固定した測定試料およびスピーカーの配置を模式的に示す断面図である。 実施例1で作製したマスクを示す図である。 実施例で実施した遮蔽性評価試験の結果を示す図である。
図1に、本発明のマスクの一例を、装着者が顔面に装着した状態で示す。図1に示すマスク1は、装着者51の顔面の一部、より具体的には鼻孔52および口53、を覆う本体部2と、本体部2を装着者51の顔面に固定するための係止部3とを備えている。係止部3は本体部2の縁4において本体部2と接合されている。マスク1において係止部3は紐状の部材であり、係止部3を装着者51の耳介にかけることにより、マスク1は装着者51の顔面に装着される。マスク1では、本体部2が樹脂フィルム5から構成されている。樹脂フィルム5は、厚さ方向に通気性を有する。
より具体的に、樹脂フィルム5は、厚さ方向に延びる複数の貫通孔を有する非多孔質のフィルムである。貫通孔の径は0.01μm以上30μm以下であり、樹脂フィルム5における貫通孔の密度(孔密度)は10個/cm2以上1×108個/cm2以下である。
マスク1では、本体部2が樹脂フィルム5を備えることにより、装着者51の顔面に本体部2の周縁部を密着させた状態においても装着者51の呼吸が確保される。また、樹脂フィルム5において貫通孔の径および密度が所定の範囲にあることも相まって、良好な遮蔽性および通音性の実現が可能である。そして、樹脂フィルム5に透明材料を使用することにより、本体部2および本体部2を備えるマスク1の透明性を確保することもできる。すなわちマスク1では、例えば、良好な遮蔽性、通気性、透明性および通音性の並立が可能である。
これ以外にも、例えば、樹脂フィルム5に撥液処理、着色処理、防曇処理、あるいは不織布および織布では限界があった印刷処理などの各種の加工を良好に施すことができ、これら加工によって、本体部2および本体部2を備えるマスク1に種々の特性および/または機能を付与できる。このような加工の実施の有無および加工の種類の選択の他、樹脂フィルム5の材質および/または厚さの選択、ならびに貫通孔の径、密度および樹脂フィルム5中を延びる方向の制御などによって、樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1について、上述した4つの特性をはじめとする種々の特性を変化させることができる。すなわちマスク1は、遮蔽性、通気性、透明性および通音性をはじめとする種々の特性の設計の自由度が高いマスクとなる。
図2に、樹脂フィルム5の一例を示す。樹脂フィルム5には、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔11が形成されている。貫通孔11は直線状に延びており、その延びる方向に垂直な断面(以下、単に「貫通孔の断面」)の面積は、樹脂フィルム5の一方の主面12aから他方の主面12bに至るまで一定である。貫通孔11は、樹脂フィルム5の基質構造を貫いている。換言すれば、貫通孔11は樹脂フィルム5の基質とは異なる構造を有している。樹脂フィルム5は、その厚さ方向に通気可能である経路を貫通孔11以外有さない非多孔質のフィルムであり、典型的には、貫通孔11を除いて無孔の(中実の)フィルムである。すなわち、樹脂フィルム5の基質構造は非多孔質であり、貫通孔11は、この非多孔質構造を貫いている。貫通孔11は、当該貫通孔の中心軸(軸線)13が直線状に延びるストレート孔である。
貫通孔11は、例えば、樹脂フィルム5の原フィルムに対するイオンビーム照射およびその後の化学エッチング、または原フィルムに対するレーザー照射により形成できる。樹脂フィルム5は、原フィルムへのイオンビーム照射および化学エッチングにより得たフィルム、または原フィルムへのレーザー照射により得たフィルムでありうる。
このような樹脂フィルム5の構造は、従来、マスクの本体部として一般的である織布および不織布の構造とは大きく異なっている。織布および不織布では、繊維間に存在するランダムな空隙が通気経路となることから、通気経路が無数の分岐および合流を有しており、ストレート孔でありえない。また、織布および不織布では、ランダムな空隙による光の強い散乱が避けられず、現実には高い透明性を達成することが困難である。織布および不織布は、その基質構造自体が多孔質構造であるといえる。
また、樹脂フィルム5、とりわけ原フィルムに対するイオンビーム照射および化学エッチング、またはレーザー照射により形成した樹脂フィルム5、では、径(開口径)が揃った(径の均一度が高い)多数の貫通孔11が非多孔質構造である基質構造に形成されうる。非多孔質の基質構造に形成された貫通孔11の径の均一度が高いことは、例えば、樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1の遮蔽性、通気性および通音性のより確実かつ高いレベルでの並立に寄与するし、樹脂フィルム5が透明材料により構成される場合、樹脂フィルム5における光の散乱がより抑制されることで、より高い透明性を有するマスク1の実現に寄与する。さらに、樹脂フィルム5では、貫通孔11が非多孔質の基質構造を貫くように形成されていることから、その径のみならず、形状(断面形状、断面の面積の変化の状態などを含む)、樹脂フィルム5における密度などを、より精度よく、かつ均一性高く制御できる。このことも、マスク1において遮蔽性、通気性、透明性、通音性をはじめとする種々の特性の設計の自由度をより高くできることに寄与する。
貫通孔11の径は、0.01μm以上30μm以下である。この範囲において、上記種々の特性の設計の自由度が高くなる。なお、マスク1の遮蔽性に着目すると、ウィルスのサイズがおよそ0.1〜1μm、細菌ならびにウィルスまたは細菌を含む飛沫のサイズがおよそ1〜10μm、花粉のサイズがおよそ30μm、PM2.5をはじめとする汚染物質(粒子)のサイズがおよそ0.1〜十数μm、一般的な粉塵はさらに大きなサイズであることから、樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1は、これらの物質の遮蔽に十分に対応できることがわかる。貫通孔11の径を0.01μm未満とすることは理論的には可能であるが樹脂フィルム5の工業的な生産性が低下するし、ウィルスのサイズを考慮すると過剰に小さい径であるといえる。また、貫通孔11の径が0.01μm未満になると、樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1について、特性間のバランス、特に遮蔽性と通気性とのバランスを保つのが困難となる。一方、貫通孔11の径が30μmを超えると、樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1の遮蔽性が低下する。
樹脂フィルム5における貫通孔11の密度(孔密度)は、10個/cm2以上1×108個/cm2以下である。貫通孔11の径が0.01μm以上30μm以下であることと相まって、この範囲において上記種々の特性の設計の自由度が高くなり、例えば、良好な遮蔽性、通気性および通音性の両立が可能になるとともに、透明性を有するマスク1の場合、さらに高い透明性の達成が可能になる。
貫通孔11の径は、樹脂フィルム5の平均孔径とは概念が異なる。樹脂フィルム5では、主面12a,12bに存在する全ての貫通孔11の径(開口の径)、あるいは樹脂フィルム5の有効部分(当該フィルムの用途として使用可能な部分)に存在する全ての貫通孔11の径が、上記範囲内に入りうる。
貫通孔11の断面の形状および開口の形状は特に限定されず、例えば、円または楕円である。このとき、これらの形状は厳密な円または楕円である必要はなく、例えば、後述の製造方法で避けることができない多少の形状の乱れは許容される。
貫通孔11について、その開口の形状を円とみなしたときの当該円の直径、換言すれば、開口の断面積(開口面積)と同一の面積を有する円の直径を、貫通孔11の径とする。樹脂フィルム5の主面12a,12bにおける貫通孔11の開口の径は、当該主面に存在する全ての貫通孔11の開口で一致している必要はないが、樹脂フィルム5の有効部分では実質的に同じ値とみなすことができる程度(例えば、標準偏差が平均値の10%以下)に一致していることが好ましい。後述の製造方法によれば、このように貫通孔11の開口の径が揃った樹脂フィルム5を形成できる。
なお、樹脂フィルム5の主面12a,12bに垂直な方向から傾いた方向に延びる貫通孔11の開口の形状は楕円となりうる。しかし、このような場合においても、樹脂フィルム5内における貫通孔11の断面の形状は円とみなすことができ、この円の直径は、開口の形状である楕円の最小径と等しくなる。このため、上記傾いた方向に伸びる貫通孔11であって開口の形状が楕円であるものについては、当該最小径を貫通孔の開口径とすることができる。
樹脂フィルム5における貫通孔11の密度は、樹脂フィルム5の全体にわたって一定である必要はないが、その有効部分では、最大の密度が最小の密度の1.5倍以下となる程度に一定であることが好ましい。貫通孔11の密度は、例えば、樹脂フィルム5の表面を顕微鏡で観察した像を解析することによって求めうる。
樹脂フィルム5の製造方法によっては、その主面上における貫通孔11の開口の周囲に「バリ」が形成されることがある。開口の径など、貫通孔11の開口に基づく樹脂フィルム5の各特徴を判断する際には、バリは考慮せず、あくまでも開口のみにより判断する。
図2に示す例において、貫通孔11の断面の面積は、一方の主面12aから他方の主面12bに至るまで一定である。貫通孔11は、その断面の面積が樹脂フィルム1の一方の主面12aから他方の主面12bに向けて変化する形状、例えば増加する形状、を有していてもよい(増加する形状について図3を参照)。このような貫通孔11は、当該貫通孔11が延びる方向に断面が変化する、樹脂フィルム5の厚さ方向に非対称な形状を有する貫通孔である。貫通孔11の断面の面積が一方の主面12aから他方の主面12bに向けて増加するときなど、樹脂フィルム5の各主面における貫通孔11の径が異なるときは、相対的に小さな面積の開口が形成されている主面における貫通孔11の径が0.01μm以上30μm以下であり、当該主面における貫通孔11の密度が10個/cm2以上1×108個/cm2以下であればよい。貫通孔11の断面の面積が一方の主面12aから他方の主面12bに向けて増加するとき、当該面積は、一方の主面12aから他方の主面12bに向けて連続的に増加しても、段階的に増加しても(すなわち、当該面積が一定の領域が存在しても)よい。ある一つの実施形態では、上記断面の面積が連続的に増加し、その増加率はほぼ一定または一定である。断面の形状が円または楕円であり、かつ断面の面積が一方の主面12aから他方の主面12bに向けてほぼ一定または一定の増加率で増加する場合、貫通孔11の形状は、円錐もしくは楕円錐またはこれらの一部となる。後述の製造方法によれば、このような貫通孔11を備える樹脂フィルム5を形成できる。
貫通孔11の断面の面積が一方の主面12aから他方の主面12bに向けて増加するとき、主面12aにおける相対的に小さな貫通孔11の径aと、主面12bにおける相対的に大きな貫通孔11の径bとの比a/bは、例えば80%以下であり、75%以下、さらには70%以下でありうる。比a/bの下限は特に限定されず、例えば10%である。
樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1の透明性に着目すると、貫通孔11の断面の面積は一方の主面12aから他方の主面12bに至るまで一定であることが好ましい。この場合、貫通孔11による光の散乱がより抑制される。なお、貫通孔11の断面の面積が一定であるとは、当該面積が厳密に一定である必要はない。樹脂フィルム5の製造方法上避けることができない程度の面積の変動は許容される。
図2に示す例において、貫通孔11が延びる方向は樹脂フィルム5の主面12a,12bに垂直な方向である。樹脂フィルム5の厚さ方向に貫通している限り、貫通孔11が延びる方向は樹脂フィルム5の主面12a,12bに垂直な方向から傾いていてもよいし、主面12a,12bに垂直な方向に延びる貫通孔11と傾いた方向に延びる貫通孔11とが樹脂フィルム5に混在していてもよい。樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1の透明性に着目すると、図2に示す例のように、樹脂フィルム5の主面12a,12bに垂直な方向に貫通孔11が延びることが好ましい。
樹脂フィルム5に存在する全ての貫通孔11が延びる方向は同一であってもよいし(中心軸13の方向が揃っていてもよいし)、図4に示すように、樹脂フィルム5が当該フィルムの主面12a,12bに垂直な方向から傾いた方向に延びる貫通孔11(11a〜11g)を有しており、当該傾いて延びる方向が異なる貫通孔11a〜11gが樹脂フィルム5に混在していてもよい。
図4に示す例では、貫通孔11が樹脂フィルム5の主面12a,12bに垂直な方向から傾いて延びており、延びる方向が互いに異なる貫通孔11の組み合わせがある。このとき、樹脂フィルム5には、延びる方向が同一の貫通孔11の組み合わせがあってもよい(図4に示す例では、貫通孔11a,11dおよび11gの延びる方向が同一である)。以下、「組み合わせ」を単に「組」ともいう。「組」は、1の貫通孔と1の貫通孔との関係(ペア(対))に限られず、1または2以上の貫通孔同士の関係を意味する。同じ特徴を有する貫通孔の組があるということは、当該特徴を有する貫通孔が複数存在することを意味する。
図4に示すような、傾いて延びる方向が異なる貫通孔11が混在する樹脂フィルム5では、例えばその特性を、そうではない樹脂フィルム5とは異なる領域で制御することができる。この点からも、本発明のマスクでは種々の特性の設計の自由度を高くできる。
図4に示す貫通孔11について、その傾いて延びる方向(中心軸13の延びる方向)D1が樹脂フィルム5の主面に垂直な方向D2に対して成す角度θ1は、例えば45°以下であり、30°以下でありうる。角度θ1がこれらの範囲にあるときに、マスク1における種々の特性の設計の自由度がより高くなる。例えば、角度θ1が過度に大きくなると、樹脂フィルム5における光の散乱が大きくなり、マスク1の透明性が低下する傾向にある。また、この場合、樹脂フィルム5の機械的強度が弱くなる傾向がある。角度θ1の下限は特に限定されない。図4に示す貫通孔11では、角度θ1が互いに異なる組が存在している。
図4に示すような、傾いて延びる方向が異なる貫通孔11が混在する樹脂フィルム5において、樹脂フィルム5の主面に垂直な方向から見たときに(貫通孔11が延びる方向を当該主面に投影したときに)、貫通孔11が延びる方向が互いに平行であってもよいし、当該延びる方向が互いに異なる組を樹脂フィルム5が有していても(当該延びる方向が互いに異なる貫通孔11が樹脂フィルム5に存在していても)よい。
図5に、樹脂フィルム5の主面に垂直な方向から見たときに、貫通孔11が延びる方向が互いに平行である例を示す。図5に示す例では、3つの貫通孔11(11h,11i,11j)が見えているが、樹脂フィルム5の主面に垂直な方向から見たときに各貫通孔11が延びる方向(紙面手前側の主面における貫通孔11の開口14aから、反対側の主面における貫通孔11の開口14bに向かう方向)D3,D4,D5は互いに平行である(後述のθ2が0°である)。ただし、各貫通孔11h,11i,11jの角度θ1は互いに異なり、貫通孔11jの角度θ1が最も小さく、貫通孔11hの角度θ1が最も大きい。このため、各貫通孔11h,11i,11jが延びる方向は立体的に異なっている。
図6に、樹脂フィルム5の主面に垂直な方向から見たときに、貫通孔11が延びる方向が互いに異なっている例を示す。図6に示す例では、3つの貫通孔11(11k,11l,11m)が見えているが、樹脂フィルム5の主面に垂直な方向から見たときに各貫通孔11が延びる方向D6,D7,D8は互いに異なる。ここで、貫通孔11kと11lとは、樹脂フィルム5の主面に垂直な方向から見たときに90°未満の角度θ2を成して、当該主面から互いに異なる方向に延びている。一方、貫通孔11kと11mとは、樹脂フィルム5の主面に垂直な方向から見たときに90°以上の角度θ2を成して、当該主面から互いに異なる方向に延びている。樹脂フィルム5は、後者のように、当該フィルムの主面に垂直な方向から見たときに90°以上の角度θ2を成して当該主面から互いに異なる方向に延びる貫通孔11の組を有しうる。換言すれば、樹脂フィルム5は、当該フィルムの主面に垂直な方向から見たときに、当該主面から一定の方向D6に延びる貫通孔11kと、当該一定の方向D6に対して90°以上の角度θ2を成す方向D8に当該主面から延びる貫通孔11mとの組を有しうる。角度θ2は、例えば90°以上180°以下であり、すなわち180°でありうる。
図6に示すような、傾いて延びる方向が異なる貫通孔11が混在する樹脂フィルム5において、2以上の貫通孔11が樹脂フィルム5内で互いに交差していてもよい。すなわち、樹脂フィルム5は、当該フィルム5内で互いに交差する貫通孔11の組を有していてもよい。このような例を図7に示す。図7に示す例では、貫通孔11pと11qとが樹脂フィルム5内で互いに交差している。
樹脂フィルム5における貫通孔11の延びる方向(貫通孔11の中心線13が延びる方向)は、例えば、当該フィルム5の主面および断面に対して走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行うことで確認できる。
樹脂フィルム5におけるこれら貫通孔11の特徴は、任意に組み合わせうる。このことも、マスク1において種々の特性の設計の自由度が高いことに寄与する。
樹脂フィルム5は、JIS L1096の規定に準拠して測定したフラジール数で示して、10cm3/(cm2・秒)以上の通気度を厚さ方向に有しうる。厚さ方向の通気度がこの範囲にある場合、樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1において種々の特性の設計の自由度がより高くなり、例えば、遮蔽性、通気性、透明性および通音性をより高いレベルで並立できる。
図3に示すように、一方の主面12aにおける貫通孔11の径と、他方の主面12bにおける貫通孔11の径とが異なる場合、相対的に大きな貫通孔11の径を有する主面12bから相対的に小さな貫通孔11の径を有する主面12aへの樹脂フィルム5の通気度が、フラジール数で示して上記範囲にありうる。
樹脂フィルム5の通気性のバラツキは小さい。例えば、樹脂フィルム5における任意の40点で測定した上記フラジール通気度の平均値Avに対する標準偏差σの比σ/Av(通気性変動率σ/Av)が0.3以下である。当該変動率は0.2以下、さらには0.1以下でありうる。不織布および織布では、このような低い通気性変動率を達成できない。低い通気性変動率は、樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1において種々の特性の設計の自由度がより高くなることに寄与するし、マスク1の性能の安定性向上、マスク1の製造歩留まりの向上などにも寄与する。これらの寄与は、とりわけ、本体部2の一部にのみ樹脂フィルム5を備える場合など樹脂フィルム5の使用面積が小さい場合に顕著となる。
樹脂フィルム5では、貫通孔11の密度のバラツキを小さくしうる。例えば、貫通孔11の密度のバラツキを1000個/cm2以下としうる。このような密度のバラツキの小ささによっても、通気性のバラツキの小ささと同様の効果が得られる。貫通孔11の密度のバラツキは500個/cm2以下にしうる。とりわけ後述する、原フィルムに対するレーザー照射によって貫通孔11を形成して得た樹脂フィルム5では、貫通孔11の密度のバラツキを小さくすることができる。
貫通孔11の密度のバラツキは、評価対象である樹脂フィルム5の主面上の任意の5箇所について貫通孔11の密度を評価し、評価した密度の平均値Avと標準偏差σとから、比σ/Avにより求めることができる。
例えば、原フィルムに対するレーザー照射によって貫通孔11を形成して得た樹脂フィルム5など、樹脂フィルム5によっては、複数の貫通孔11の開口が樹脂フィルム5の各主面上に互いに間隔を置きながら独立して形成されうる。換言すれば、異なる貫通孔11の開口が、樹脂フィルム5の各主面上で重複していない状態の樹脂フィルム5でありうる。このような樹脂フィルム5では、貫通孔11の形状、径、密度などを、さらに精度よく、均一性高くコントロールできる。この場合のより具体的な例として、貫通孔11は、各主面上に想定した格子の頂点に対応する位置に形成されうる。後述する、原フィルムに対するレーザー照射を用いた樹脂フィルム5の製造方法によれば、想定した格子の頂点に対応する位置に比較的容易に貫通孔11を形成できる。このような貫通孔11の配置では、その開口間の間隔(ピッチ)のばらつきが少なく、より通気性のばらつきが小さい樹脂フィルム5となる。想定する格子は特に限定されないが、例えば、斜方格子、六角格子、正方格子、矩形格子、菱形格子である。それぞれ、格子の網目の形状が平行四辺形、六角形、正方形、長方形、菱形(面心長方形)となる。図8に、このような樹脂フィルム5の例を示す。図8に示す樹脂フィルム5では、その主面上に想定した正方格子の頂点に対応する位置に、貫通孔11の開口14が形成されている。
樹脂フィルム5では、樹脂フィルム5の各主面において、異なる貫通孔11の開口が互いに重複していてもよい。後述する、原フィルムに対するイオンビーム照射および化学エッチングによって貫通孔11を形成した場合、このような樹脂フィルム5が形成されうる。
樹脂フィルム5の開口率(主面の面積に対する、当該主面における貫通孔11の開口面積の割合)は、例えば50%以下であり、5%以上45%以下、10%以上45%以下、あるいは20%以上40%以下でありうる。開口率がこれらの範囲にある場合、樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1において種々の特性の設計の自由度がより高くなる。開口率は、例えば、樹脂フィルム5の表面を顕微鏡で観察した像を解析することによって求めうる。
図3に示すように、一方の主面12aにおける貫通孔11の径と、他方の主面12bにおける貫通孔11の径とが異なる場合、相対的に小さな貫通孔11の径を有する主面12aにおける貫通孔11の密度のバラツキおよび/または開口率が上述した範囲にありうる。
樹脂フィルム5の気孔率は、例えば5%以上45%以下であり、30%以上40%以下でありうる。気孔率がこれらの範囲にある場合、樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1において種々の特性の設計の自由度がより高くなる。なお、図2に示すように、断面の面積が樹脂フィルム5内で一定である貫通孔11が形成された樹脂フィルム5の場合、その開口率と気孔率とは同一である。図3に示すように、断面の面積が一方の主面12aから他方の主面12bに向けて増加する貫通孔11が形成された樹脂フィルム5の場合、気孔率は、例えば、双方の主面12a,12bにおける開口率と、樹脂フィルム5の断面を観察することにより把握した貫通孔11の形状とから、計算により求めることができる。
樹脂フィルム5の見かけ密度は、例えば0.1g/cm3以上1.5g/cm3以下であり、0.2g/cm3以上1.4g/cm3以下でありうる。見かけ密度がこれらの範囲にある場合、樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1において種々の特性の設計の自由度が高くなる。見かけ密度は、任意のサイズに切断した樹脂フィルム5の重量W(g)を体積V(cm3)で除して求めることができる。
通音性について、樹脂フィルム5は、例えば周波数1kHzにおける音圧損失(挿入損失)が5dB以下でありうるし、樹脂フィルム5の構成によっては、周波数1kHzにおける音圧損失が3dB以下、2dB以下、さらには1dB以下でありうる。不織布および織布では、このような低い音圧損失を達成することが困難である。周波数1KHzは、人間が通常の発声、会話に使用している音域(周波数域)のほぼ中央の周波数に相当する。
透明性について、樹脂フィルム5は、例えば、JIS K7361の規定に準拠して測定した全光線透過率が60%以上でありうるし、樹脂フィルム5の構成によっては、全光線透過率が70%以上、80%以上、さらには90%以上でありうる。
同様に透明性について、樹脂フィルム5は、例えば、JIS K7136の規定に準拠して測定したヘーズが50%以下でありうるし、樹脂フィルム5の構成によっては30%以下、さらには20%以下でありうる。
樹脂フィルム5の厚さは、例えば、5μm以上100μm以下であり、15μm以上50μm以下が好ましい。
樹脂フィルム5において、貫通孔11の径Rに対する樹脂フィルム5の厚さtの比t/Rが1以上10000以下であってもよく、この場合、樹脂フィルム5を本体部2に備えるマスク1において種々の特性の設計の自由度がより高くなる。
樹脂フィルム5を構成する材料は特に限定されない。例えば、後述の製造方法において、樹脂フィルムである原フィルムに貫通孔11を形成できる材料である。
原フィルムに対するイオンビーム照射および化学エッチングにより貫通孔11を形成する場合、樹脂フィルム5および原フィルムを構成する材料は、例えば、アルカリ性溶液、酸性溶液、または酸化剤、有機溶剤および界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を添加したアルカリ性溶液もしくは酸性溶液により分解する樹脂である。なお、これらの溶液は、典型的なエッチング処理液である。別の側面から見ると、この場合、樹脂フィルム5および原フィルムは、例えば、加水分解または酸化分解によるエッチング可能な樹脂から構成される。この場合、樹脂フィルム5および原フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレートおよびポリフッ化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種の樹脂から構成される。
原フィルムに対するレーザー照射により貫通孔11を形成する場合、樹脂フィルム5および原フィルムを構成する材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリブタジエン、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ABS樹脂、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、シリコーンラバーである。レーザーによる穿孔性の観点からは、樹脂フィルム5および原フィルムを構成する材料は、例えば、PET、ポリプロピレン、PTFE、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリウレタンおよびシリコーンラバーから選ばれる少なくとも1種の樹脂から構成される。
樹脂フィルム5を本体部2として備えるマスク1の透明性を考慮すると、樹脂フィルム5および原フィルムが透明材料から構成されることが好ましく、より具体的な例として、PET、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレートおよびポリフッ化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種の樹脂から構成されることが好ましい。
樹脂フィルム5には、撥液処理、着色処理、防曇処理などの各種の処理が施されていてもよい。
撥液処理した樹脂フィルム5によれば、例えば、外部からの飛沫の浸入がさらに抑制されたり、防水性をさらに有するマスク1とすることができる。撥液処理は公知の方法により実施でき、例えば、撥水剤または疎水性の撥油剤を希釈剤で希釈して調製した処理液を、樹脂フィルム5上に薄く塗布して乾燥させることにより実施できる。樹脂フィルム5を上記処理液に浸漬した後に、乾燥させてもよい。撥水剤および疎水性の撥油剤は、例えば、パーフルオロアルキルアクリレート、パーフルオロアルキルメタクリレートのようなフッ素化合物である。撥液処理により、樹脂フィルム5の表面の少なくとも一部に撥液層が形成されうる。樹脂フィルム5の表面全体に撥液層が形成されてもよい。形成された撥液層は、貫通孔11の開口に対応する位置に開口を有しうる。
着色処理した樹脂フィルム5によれば、例えば、本体部2の少なくとも一部が特定の色に着色されたマスク1とすることができる。着色の例は、マスク1の装着者である医療従事者が患者の治療を行う際に当該マスクに血液が付着したとしても、装着者に血液を意識させない色彩への着色である。
防曇処理した樹脂フィルム5によれば、例えば、外気温が低い場合においても装着者の呼吸による曇りの発生が抑制されたマスク1とすることができる。防曇処理は公知の方法により実施できる。
これら各種の処理は、樹脂フィルム5の全体または一部に施されうる。
[樹脂フィルムの製造方法]
樹脂フィルム5の製造方法は特に限定されず、例えば、以下に説明する製造方法により製造できる。
第1の製造方法では、原フィルムに対するイオンビームの照射とその後のエッチング(化学エッチング)とにより、樹脂フィルム5を形成する。イオンビーム照射およびエッチングにより形成した樹脂フィルム5は、そのままマスク1に使用してもよいし、必要に応じて撥液処理工程、着色処理工程あるいは防曇処理工程などのさらなる工程を経てマスク1に使用してもよい。
イオンビーム照射およびその後の化学エッチングにより樹脂フィルム5を形成する方法では、例えば、樹脂フィルム5が有する貫通孔11の径および密度をはじめとして、開口率、気孔率、通気度などの制御が容易となる。
原フィルムは、イオンビーム照射および化学エッチング後に樹脂フィルム5として使用する領域において、その厚さ方向に通気可能である経路を有さない非多孔質の樹脂フィルムでありうる。原フィルムは、無孔のフィルムであってもよい。
原フィルムに上述した着色処理が施されていてもよい。この場合、着色処理された樹脂フィルム5が形成される。
原フィルムにイオンビームを照射すると、当該フィルムにおけるイオンが通過した部分において、樹脂フィルムを構成するポリマー鎖にイオンとの衝突による損傷が生じる。損傷が生じたポリマー鎖は、イオンが衝突していない他の部分のポリマー鎖よりも化学エッチングされやすい。このため、イオンビームを照射した原フィルムを化学エッチングすることにより、イオンの衝突の軌跡に沿って延びる細孔(貫通孔)が形成された樹脂フィルムが得られる。すなわち、貫通孔11の中心線13の延びる方向は、イオンビーム照射時に原フィルムをイオンが通過した方向である。原フィルムにおけるイオンが通過していない部分には、通常、細孔は形成されない。
原フィルムから樹脂フィルム5を形成するこの方法は、非多孔質の原フィルムにイオンビームを照射する工程(I)と、イオンビームを照射した原フィルムを化学エッチングする工程(II)とを含みうる。工程(I)では、原フィルムに、当該フィルムの厚さ方向に貫通する直線状に延びたイオンの衝突の軌跡(イオントラック)が形成される。工程(II)では、化学エッチングにより、工程(I)で形成されたイオントラックに対応する貫通孔11を原フィルムに形成して、厚さ方向に通気性を有する樹脂フィルム5を形成する。
この方法では、図2に示すような、断面の面積が一方の主面12aから他方の主面12bに至るまで一定である貫通孔11を有する樹脂フィルム5も、当該面積が一方の主面12aから他方の主面12bに向けて増加する貫通孔11を有する樹脂フィルム5も形成できる。前者の樹脂フィルム5は、例えば、イオン照射後の原フィルムをそのまま化学エッチングして形成できる。原フィルムに形成されたイオントラックに相当する領域がエッチングにより除去されることから、化学エッチングの時間を十分にとることにより、断面の面積が一定の貫通孔11が形成される。
後者の樹脂フィルム5は、例えば、工程(II)において、一方の主面からの上記部分のエッチングの程度が、他方の主面からの上記部分のエッチングの程度よりも大きい化学エッチングを実行して形成できる。より具体的な例として、イオン照射後の原フィルムにおける一方の主面にマスキング層を配置した状態で化学エッチングを実行して形成できる。この化学エッチングでは、マスキング層が配置された上記一方の主面からのエッチングに比べて、上記他方の主面からのエッチングの程度が大きくなる。このような非対称エッチング、より具体的には、イオン照射後の原フィルムにおける一方の主面からと他方の主面からとの間で進行速度が異なるエッチング、を実施することにより、断面の面積が樹脂フィルム5の一方の主面から他方の主面に向けて変化する形状を有する貫通孔11を形成できる。なお、マスキング層を配置しない前者の樹脂フィルム5を形成する際のエッチングでは、イオンビーム照射後の原フィルムに対して、当該原フィルムの双方の主面から均等なエッチングが進行する。
以下、第1の製造方法における工程(I)および(II)を、より具体的に説明する。
[工程(I)]
工程(I)では、イオンビームを原フィルムに照射する。イオンビームは、加速されたイオンにより構成される。イオンビームの照射により、当該ビーム中のイオンが衝突した原フィルムが形成される。
イオンビームを原フィルムに照射すると、図9に示すように、ビーム中のイオン101が原フィルム102に衝突し、衝突したイオン101は当該フィルム102の内部に軌跡(イオントラック)103を残す。被照射物である原フィルム102のサイズスケールで見ると、通常、イオン101はほぼ直線状に原フィルム102と衝突するため、直線状に延びた軌跡103が当該フィルム102に形成される。イオン101は、通常、原フィルム102を貫通する。
原フィルム102にイオンビームを照射する方法は限定されない。例えば、原フィルム102をチャンバーに収容し、チャンバー内の圧力を低くした後(例えば、照射するイオン101のエネルギーの減衰を抑制するために高真空雰囲気とした後)、ビームラインからイオン101を原フィルム102に照射する。チャンバー内に特定の気体を加えてもよいし、原フィルム102をチャンバーに収容するが当該チャンバー内の圧力を減圧せず、例えば大気圧でイオンビームの照射を実施してもよい。
帯状の原フィルム102が巻回されたロールを準備し、当該ロールから原フィルム102を送り出しながら、連続的に原フィルム102にイオンビームを照射してもよい。これにより、樹脂フィルム5を効率的に形成できる。上述したチャンバー内に上記ロール(送出ロール)と、イオンビーム照射後の原フィルム102を巻き取る巻取ロールとを配置し、減圧、高真空などの任意の雰囲気としたチャンバー内において送出ロールから帯状の原フィルム102を送り出しながら連続的に当該フィルムにイオンビームを照射し、ビーム照射後の原フィルム102を巻取ロールに巻き取ってもよい。
原フィルム102を構成する樹脂は、樹脂フィルム5を構成する樹脂と同じである。
イオンビームを照射する原フィルム102は、例えば、無孔のフィルムである。この場合、工程(I)および(II)以外に当該フィルムに孔を設けるさらなる工程を実施しない限り、工程(I)および(II)により形成された貫通孔11以外の部分が無孔である樹脂フィルム5を形成できる。当該さらなる工程を実施した場合、工程(I)および(II)により形成された貫通孔11と、当該さらなる工程により形成された孔とを有する樹脂フィルム5が形成される。
原フィルム102に照射、衝突させるイオン101の種類は限定されないが、原フィルム102を構成する樹脂との化学的な反応が抑制されることから、ネオンより質量数が大きいイオン、具体的にはアルゴンイオン、クリプトンイオンおよびキセノンイオンから選ばれる少なくとも1種のイオンが好ましい。
イオン101のエネルギー(加速エネルギー)は、典型的には100〜1000MeVである。厚さ5〜100μm程度のポリエステルフィルムを原フィルム102として使用する場合、イオン種がアルゴンイオンのときのイオン101のエネルギーは100〜600MeVが好ましい。原フィルム102に照射するイオン101のエネルギーは、イオン種および原フィルム102を構成する樹脂の種類に応じて調整しうる。
原フィルム102に照射するイオン101のイオン源は限定されない。イオン源から放出されたイオン101は、例えば、イオン加速器により加速された後にビームラインを経て原フィルム102に照射される。イオン加速器は、例えばサイクロトロン、より具体的な例はAVFサイクロトロンである。
イオン101の経路となるビームラインの圧力は、ビームラインにおけるイオン101のエネルギー減衰を抑制する観点から、10-5〜10-3Pa程度の高真空が好ましい。イオン101を照射する原フィルム102が収容されるチャンバーの圧力が高真空に達していない場合は、イオン101を透過する隔壁によって、ビームラインとチャンバーとの圧力差を保持してもよい。隔壁は、例えば、チタン膜あるいはアルミニウム膜から構成される。
イオン101は、例えば、原フィルム102の主面に垂直な方向から当該フィルムに照射される。図9に示す例では、このような照射が行われている。この場合、軌跡103が原フィルム102の主面に垂直に延びるため、後の化学エッチングにより、主面に垂直な方向に延びる貫通孔11が形成された樹脂フィルム5が得られる。イオン101は、原フィルム102の主面に対して斜めの方向から当該フィルムに照射してもよい。この場合、後の化学エッチングにより、主面に垂直な方向から傾いた方向に延びる貫通孔11が形成された樹脂フィルム5が得られる。原フィルム102に対してイオン101を照射する方向は、公知の手段により制御できる。図4の角度θ1は、例えば、原フィルム102に対するイオンビームの入射角により制御できる。
イオン101は、例えば、複数のイオン101の飛跡が互いに平行となるように原フィルム102に照射される。図9に示す例では、このような照射が行われている。この場合、後の化学エッチングにより、互いに平行に延びる複数の貫通孔11が形成された樹脂フィルム5が形成される。
イオン101は、複数のイオン101の飛跡が互いに非平行(例えば互いにランダム)となるように原フィルム102に照射してもよい。これにより、例えば、図4〜7に示すような樹脂フィルム5が形成される。より具体的には、図4〜7に示すような樹脂フィルム5を形成するために、例えば、イオンビームを原フィルム102の主面に垂直な方向から傾けて照射するとともに、連続的あるいは段階的に当該傾ける方向を変化させてもよい。なお、イオンビームは、複数のイオンが互いに平行に飛翔するビームであるため、同じ方向に延びる貫通孔11の組が樹脂フィルム5に通常存在する(同じ方向に延びる複数の貫通孔11が樹脂フィルム5に通常存在する)ことになる。
連続的または段階的に当該傾ける方向を変化させる方法の例を図10に示す。図10に示す例では、帯状の原フィルム102を送出ロール105から送り出して所定の曲率を有する照射ロール106を通過させ、当該ロール106を通過する間にイオンビーム104を照射し、照射後の原フィルム102を巻取ロール107に巻き取る。このとき、イオンビーム104中のイオン101は次々と互いに平行に飛翔してくるため、照射ロール106上を原フィルム102が移動するとともに原フィルム102の主面に対してイオンビームが衝突する角度(入射角θ1)が変化することになる。そして、イオンビーム104を連続的に照射すれば上記傾ける方向は連続的に変化し、イオンビーム104を断続的に照射すれば上記傾ける方向は段階的に変化する。これは、イオンビームの照射タイミングによる制御ともいえる。また、イオンビーム104の断面形状および原フィルム102の照射面に対するイオンビーム104のビームラインの断面積によっても、原フィルム102に形成される軌跡103の状態(例えば角度θ1)を制御できる。
樹脂フィルム5の孔密度は、原フィルム102へのイオンビームの照射条件(イオン種、イオンのエネルギー、イオンの衝突密度(照射密度)など)により制御できる。
イオン101は、2以上のビームラインから原フィルム102に照射してもよい。
工程(I)は、原フィルム102の主面、例えば上記一方の主面、にマスキング層が配置された状態で実施してもよい。この場合、例えば、当該マスキング層を工程(II)におけるマスキング層に利用できる。
[工程(II)]
工程(II)では、工程(I)においてイオンビームを照射した後の原フィルム102におけるイオン101が衝突した部分を化学エッチングして、イオン101の衝突の軌跡103に沿って延びる貫通孔11を当該フィルムに形成する。このようにして得た樹脂フィルム5における貫通孔11以外の部分は、フィルムの状態を変化させる工程をさらに実施しない限り、基本的に、イオンビーム照射前の原フィルム102と同じである。
具体的なエッチングの手法は公知の手法に従えばよい。例えば、エッチング処理液に、イオンビーム照射後の原フィルム102を所定の温度かつ所定の時間、浸漬すればよい。エッチング温度、エッチング時間、エッチング処理液の組成などのエッチング条件によって、例えば、貫通孔11の径を制御できる。
エッチングの温度は、例えば40〜150℃であり、エッチングの時間は、例えば10秒〜60分である。
化学エッチングに使用するエッチング処理液は特に限定されない。エッチング処理液は、例えば、アルカリ性溶液、酸性溶液、または酸化剤、有機溶剤および界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を添加したアルカリ性溶液もしくは酸性溶液である。アルカリ性溶液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような塩基を含む溶液(典型的には水溶液)である。酸性溶液は、例えば、硝酸、硫酸のような酸を含む溶液(典型的には水溶液)である。酸化剤は、例えば、重クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウムである。有機溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、アミノアルコール、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドである。界面活性剤は、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩である。
工程(II)では、イオンビーム照射後の原フィルム102の一方の主面にマスキング層を配置した状態で上記化学エッチングを実施してもよい。この化学エッチングでは、原フィルム102におけるイオン101が衝突した部分のエッチングについて、マスキング層を配置した上記一方の主面からのエッチングに比べて、他方の主面からのエッチングの程度が大きくなる。すなわち、原フィルム102におけるイオン101が衝突した部分のエッチングについて、当該フィルムの双方の主面からのエッチングが非対称的に進行する化学エッチング(非対称エッチング)が実施される。なお、「エッチングの程度が大きい」とは、より具体的には、例えば、上記部分について単位時間あたりのエッチング量が大きいこと、すなわち上記部分についてエッチング速度が大きいことを意味する。
工程(II)では、原フィルム102の一方の主面への、原フィルム102におけるイオン101が衝突した部分に比べて化学エッチングされ難いマスキング層の配置により、当該一方の主面からの上記部分のエッチングを抑止しながら、原フィルム102の他方の主面からの上記部分のエッチングを進行させる化学エッチングを実施してもよい。このようなエッチングは、例えば、マスキング層の種類および厚さの選択、マスキング層の配置、エッチング条件の選択などにより、実施できる。
マスキング層の種類は特に限定されないが、原フィルム102におけるイオン101が衝突した部分に比べて化学エッチングされ難い材料から構成される層であることが好ましい。「エッチングされ難い」とは、より具体的には、例えば、単位時間あたりにエッチングされる量が小さいこと、すなわち、被エッチング速度が小さいことを意味する。化学エッチングされ難いか否かは、工程(II)において実際に実施する非対称エッチングの条件(エッチング処理液の種類、エッチング温度、エッチング時間など)に基づいて判断できる。工程(II)において複数回の非対称エッチングを、マスキング層の種類および/または配置面を変えながら実施する場合、各エッチングの条件に基づいてそれぞれのエッチングについて判断すればよい。
マスキング層は、原フィルム102におけるイオン101が衝突していない部分との対比では、当該部分よりも化学エッチングされ易くても、され難くても、いずれでもよいが、され難いことが好ましい。され難い場合、例えば、非対称エッチングの実施に必要なマスキング層の厚さを薄くすることができる。
工程(I)において、マスキング層を配置した原フィルム102にイオンビームを照射した場合、当該マスキング層にもイオントラックが形成される。これを考慮すると、マスキング層を構成する材料は、イオンビームの照射によってもそのポリマー鎖が損傷を受け難い材料であることが好ましい。
マスキング層は、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールおよび金属箔から選ばれる少なくとも1種から構成される。これらの材料は、化学エッチングされ難いとともに、イオンビームの照射によっても損傷を受け難い。
マスキング層を配置して非対称エッチングを実施する場合、当該エッチングを実施する領域に相当する、原フィルム102の一方の主面の少なくとも一部に配置すればよい。必要に応じて、原フィルム102の一方の主面の全体に配置できる。
原フィルム102の主面にマスキング層を配置する方法は、非対称エッチングを実施する間、マスキング層が当該主面から剥離しない限り限定されない。マスキング層は、例えば、粘着剤により原フィルム102の主面に配置される。すなわち工程(II)において、マスキング層が粘着剤によって上記一方の主面に貼り合わされた状態で、上記化学エッチングを(非対称エッチングを)実施してもよい。粘着剤によるマスキング層の配置は、比較的容易に行うことができる。また、粘着剤の種類を選択することにより、非対称エッチング後の原フィルム102からのマスキング層の剥離が容易となる。
工程(II)で非対称エッチングを実施する場合、当該エッチングを複数回実施してもよい。また、非対称エッチングとともに、原フィルム102の双方の主面から均等に軌跡103のエッチングを進行させる対称エッチングを併せて実施してもよい。例えば、エッチングの途中でマスキング層を原フィルム102から剥離することにより、非対称エッチングから対称エッチングの進行に切り替えてもよい。あるいは、対称エッチングを実施した後に原フィルム102にマスキング層を配置して、非対称エッチングを実施してもよい。
工程(II)でマスキング層を用いた非対称エッチングを実施する場合、当該エッチング後のマスキング層は、必要に応じてその一部または全部を樹脂フィルム5に残留させることができる。残留させたマスキング層は、例えば、樹脂フィルム5における上記一方の主面(マスキング層を配置した主面)と上記他方の主面とを区別する目印として用いることができる。
工程(II)において複数回のエッチングを実施する場合、各回のエッチングにおいてエッチング条件を変化させてもよい。
第1の製造方法は、工程(I)、(II)以外の任意の工程を含んでいてもよい。
第2の製造方法では、原フィルムにレーザーを照射することにより、原フィルムに複数の貫通孔11を形成して樹脂フィルム5を形成する。レーザー照射により形成した複数の貫通孔11を有する樹脂フィルム5は、そのままマスク1に使用してもよいし、必要に応じて、撥液処理工程、着色処理工程あるいは防曇処理工程などのさらなる工程を経てマスク1に使用してもよい。
レーザーの照射により樹脂フィルム5を形成する方法では、例えば、樹脂フィルム5が有する貫通孔11の径および密度をはじめとして、開口率、気孔率、通気度などの制御が容易となる。
原フィルムは、樹脂フィルム5として使用する領域において、その厚さ方向に通気可能である経路を有さない非多孔質の樹脂フィルムでありうる。原フィルムは、無孔のフィルムであってもよい。
原フィルムを構成する材料には、得たい樹脂フィルム5を構成する材料と同じ材料を選択できる。
貫通孔11を形成するためのレーザーの照射では、通常、フィルムの厚さは変化しない。このため原フィルムの厚さとして、得たい樹脂フィルム5の厚さを選択できる。
原フィルムへは、例えば、集光パルスレーザーを照射する。集光パルスレーザーには、公知のレーザーおよび光学系を使用できる。レーザーは、例えば、UVパルスレーザーであり、その波長の例は355nm、349nmまたは266nm(Nd:YAG、Nd:YLFあるいはYVO4を媒質とする固体レーザーの高次高調波)、351nm、248nm、222nm、193nm、または157nm(エキシマレーザー)である。原フィルムに貫通孔11を形成できる限り、UV以外の波長域のレーザーを使用してもよい。レーザーのパルス幅も貫通孔11を形成できる限り限定されず、例えば、パルス幅がフェムト秒またはピコ秒のオーダーのパルスレーザーを使用することができる。これらのパルスレーザーでは、多光子吸収過程に基づくアブレーションによって貫通孔11が形成される。レーザービームの空間強度分布は、中心強度が高いガウシアン分布であってもよく、また、均一な分布を有するトップハット分布であってもよい。
光学系は、例えば、ガルバノスキャナおよびFθレンズ(集光レンズ)を含む。Fθレンズは、テレセントリシティが5度以内であるように選択および光学系に配置することが好ましい。光学系は、ポリゴンミラースキャナを含むこともできる。これらのスキャナを含む光学系により、原フィルムにおける狙った位置に貫通孔11を形成することがより容易となる。
原フィルムにレーザーを照射する際には、原フィルムの分解物が光学系および/または当該フィルムに付着することを抑制するために、例えば、アシストガスを加工部またはその近傍に吹き付ける、あるいは加工部またはその近傍を吸気する、などの対策を施してもよい。アシストガスには、窒素などの不活性ガス、空気、酸素などを使用できる。吹き付けと吸引とを組み合わせてもよい。
レーザーの照射による貫通孔11の形成の観点からは、原フィルムの厚さは5μm以上50μm以下が好ましい。原フィルムの厚さがこの範囲にあると、レーザーの照射による貫通孔11の形成をより効率的に実施できる。
原フィルムへのレーザーの照射は、所定のサイズに切断した原フィルムを固定して、または移動させながら実施してもよいし、帯状の原フィルムを移動させながら実施してもよい。ロールに巻回された帯状の原フィルムを当該ロールから繰り出し、繰り出した帯状の原フィルムを移動させながらレーザーを照射し、レーザー照射後のフィルムをロールに巻回してもよい。すなわち、ロールトゥロールにより、帯状の原フィルムにレーザーを照射してもよい。
原フィルムへのレーザーの照射は、レーザーの照射により生じた原フィルムを構成する材料の分解残渣物を効率的に除去できる観点から、中空状態にある原フィルムにレーザーが照射されるように実施してもよい。このとき、原フィルムの背面側(レーザーを照射する面とは反対側の面側)に、分解物を効率的に回収および除去するための吸引機構が、適宜、配置されうる。
原フィルムにレーザーを照射する際には、原フィルムのレーザー照射部分に所定の張力が印加されていることが好ましい。これにより、皺や弛みが原フィルムに生じることによるレーザー照射時の不具合の発生を抑制できる。
原フィルムにレーザーを照射して貫通孔11を形成した後、必要に応じて、当該フィルムへの付着物、例えば、原フィルムを構成する材料の分解残渣物、の除去などを目的として、フィルムを洗浄してもよい。洗浄の方法は限定されず、例えば、水中への浸漬、シャワーおよび/または超音波を併用したウェット洗浄、あるいはプラズマ、UVオゾン、超音波、ブラシ、粘着テープなどによるドライ洗浄から選択できる。ウェット洗浄を選択した場合、必要に応じて乾燥工程をさらに実施してもよい。
原フィルムに上述した着色処理が施されていてもよい。この場合、着色処理された樹脂フィルム5が形成される。
原フィルムに上述した撥液処理が施されていてもよい。この場合、撥液処理された樹脂フィルム5を形成できる。
第2の製造方法は、上述した工程以外の任意の工程を含みうる。
[マスク]
本発明のマスクの構成は、装着者の顔面の少なくとも一部、典型的には装着者の鼻孔および口、を覆うとともに樹脂フィルム5を備える本体部を有する限り、限定されない。本体部が樹脂フィルム5を備えることを除き、本発明のマスクは公知のマスクと同様の構成を有しうる。例えば、本発明のマスクは、図1に示すマスク1のように、樹脂フィルム5を備える本体部2を装着者の顔面に固定するための係止部3を備えうる。
本体部は、樹脂フィルム5のみから構成されていても、樹脂フィルム5とその他の部材とから構成されていていてもよいが、装着者51の呼吸の確保がより確実となるとともに装着者の発声が外部に伝達されやすい(マスク1としての通音性が向上する)、すなわち遮蔽性、通気性および通音性をより高いレベルで両立できることから、少なくとも装着者の口を覆う部分、望ましくは鼻孔および口を覆う部分が樹脂フィルム5から構成されていることが好ましい。樹脂フィルム5が透明性を有する場合、本体部2において透明性が必要とされる部分が樹脂フィルム5により構成されていてもよく、本体部2の全体を透明性を有する樹脂フィルムにより構成することもできる。
本体部2は、マスク1の装着者の顔面の少なくとも一部、典型的には装着者の鼻孔および口、を覆う形状を有する。本発明のマスク1が、例えば良好な遮蔽性、通気性、透明性および通音性を並立できることを考慮すると、マスク1の装着者の顔面の全てを覆う形状を有していてもよい。透明な本体部2が装着者の顔面の全てを覆う形状を有しており、装着者の顔面の一部、典型的には装着者の鼻孔および口、を覆う部分が樹脂フィルム5により構成されていてもよい。
本体部2は、プリーツされた形状であって、装着者がマスク1を正しく装着したときにプリーツが展開する形状を有していてもよいし、平板状または曲板状の形状を有していてもよい。樹脂フィルム5および/または本体部2における樹脂フィルム5以外の部分を構成する材料および厚さなどを選択することによって、本体部2の硬さについて、装着者1の顔面の形に追従するような柔軟な状態から、装着時にも形状が変化しない剛直な状態まで変化させることができる。
樹脂フィルム5を含め、本体部2の一部または全体は、無色透明であっても着色されていてもよいし、樹脂フィルム5および/または本体部2における樹脂フィルム5以外の部分に、有色かつ透明、または有色かつ不透明の材料を使用してもよい。例えば、ポリイミドフィルムは、通常、透明かつ有色(橙色)である。
このように、マスク1について遮蔽性、通気性、透明性、通音性をはじめとする種々の特性の設計の自由度が高いことによって、本体部2および本体部2を備えるマスク1は、その構成(形状、構造、硬さなど)に様々なバリエーションをとりうる。
上述した以外のバリエーションは、例えば、以下のとおりである。
樹脂フィルム5を含め、本体部2の一部または全体に、撥液処理、防曇処理、印刷などの加工が施されていてもよい。撥液処理および防曇処理は、樹脂フィルム5の説明において上述したとおりである。印刷の具体的な状態および手法は限定されない。不織布および織布から構成される本体部とは異なり、より自由な印刷が可能である。例えば医療用マスクにおいて、本体部2が透明であるが故の医療従事者と患者とのコミュニケーション向上以外にも、子供の患者用に、動物の顔を印刷した本体部2とすることにより医療従事者と患者とのコミュニケーション向上を図ることもできる。また、マスク1が使用済みであるか否かを確認できる部材の印刷、マスク1の汚染の状況を確認できる部材の印刷、シリアルナンバー、IDナンバー、持ち主の所属や氏名の印刷、ICチップ、GPSチップなどの電子素子の印刷、アンテナ、マイク、イヤホンなどの電子回路の印刷など、樹脂フィルム5を含む本体部2への様々な印刷が可能である。
マスク1は、使い捨てであっても再利用可能なものであってもよい。
マスク1は、本体部2以外に任意の部材を有しうる。当該部材の例は、本体部2を装着者の顔面に固定するための係止部3である。係止部3の構成は限定されず、公知のマスクの係止部と同様であればよい。図1に示す例の係止部3は、装着者の耳介にかける紐状の部材である。係止部3は、例えば、本体部2を装着者の鼻の位置で固定するテープ、針金、リボンなどでありうる。係止部3と本体部2とを接合する方法は限定されず、マスク1における係止部3の位置および係止部3と本体部2とを接合する位置および方法も限定されない。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
最初に、実施例で作製した樹脂フィルム5および比較例で使用した各種の従来のマスクの評価方法を示す。
[通気性]
樹脂フィルム5および従来のマスクの本体部の通気性(厚さ方向の通気性)は、JIS L1096に規定されているフラジール通気度試験に準拠して求めた。なお、通気性を測定する際には、樹脂フィルム5および従来のマスクの本体部をそれぞれ100mm×100mmのサイズに切断して測定試料とした。
[透明性]
樹脂フィルム5および従来のマスクの本体部の透明度として、その全光線透過率をJIS K7361−1の規定に準じ、そのヘーズ(曇り度)をJIS K7136の規定に準じ、ヘーズメーター(日本電色製、NDH7000)により求めた。
[通音性(音圧損失)]
樹脂フィルム5および従来のマスクの本体部の通音性は、以下のように評価した。
最初に、図11に示すように、直方体状であって内部が中空のケース91(アクリル樹脂製、長さ70mm×幅50mm×高さ15mm)を準備した。ケース91の上面に直径13mmの開口92が1箇所設けられている以外は、ケース91に開口部がない。これとは別に、評価対象である樹脂フィルム5および従来のマスクの本体部を直径16mmの円形に打ち抜いて、測定試料を準備した。
次に、ケース91の内部から開口92を完全に覆うように測定試料93を、外径16mmおよび内径13mmのリング状の両面テープ94を用いて貼り付けた。測定試料93をケース91に貼り付ける際には、開口92に両面テープ94がはみ出さず、かつケース91の内面と測定試料93との間に隙間が生じないようにした。次に、測定試料93に、同様の両面テープを用いてスピーカー95を貼り付けた。このときも、測定試料93とスピーカー95との間に隙間が生じないようにした。スピーカーには、スター精密製SCG-16Aを用いた。
次に、音響評価装置(B&K製、Multi-analyzer System 3560-B-030)に接続されたマイク(B&K製、Type2669)を、ケース91の外部であってスピーカー95から50mm離れた位置に配置した。次に、評価方式としてSSR分析(試験信号20Hz〜20kHz、sweep up)を選択、実行し、測定試料93の音響特性(THD、音圧損失)を評価した。音圧損失は、音響評価装置からスピーカー95に入力した信号と、マイクロフォンを介して検出された信号とから、自動的に求められる。これとは別に、測定試料93を開口92に配置しない以外は同様にしてブランクの音圧損失を求めておき、測定試料93を配置した際の音圧損失からブランクの音圧損失を引いたものを、当該試料の特性である音圧損失(挿入損失)とした。挿入損失が小さいほど、測定試料93を伝達される音の特性が確保されていると判断できる。本実施例では、周波数1kHzにおける音圧損失により測定試料の通音性を評価した。
[遮蔽性]
実施例1で作製した樹脂フィルム5および比較例1で使用した従来のマスクの遮蔽性は、ボーケン規格BQE A 030による花粉通過性試験に基づき花粉透過率として評価した。具体的には次のとおりである。最初に、下部から吸引が可能な円筒形状を有するガラス製のホルダー(内径約2cm)に、ガラスフィルターと花粉を通さない黒色のろ紙とをセットし、その上に測定試料を載置した。測定試料は、樹脂フィルム5および従来のマスクの本体部を、それぞれホルダー内に収容できる形状およびサイズ(直径約2cmの円形状)に切断して得た。次に、測定試料の上にスギ花粉0.05gを均一に付着させ、ホルダーの下部に接続した吸引ポンプにて、12L毎分の流量(人間の安静時における呼吸の平均吸気流量に相当)で1分間吸引した。この吸引により、空気が花粉、測定試料、黒色ろ紙およびガラスフィルターを順に透過するため、測定試料を透過した花粉はろ紙により捕集されることになる。吸引前のろ紙の重量WAおよび吸引後のろ紙の重量WBを測定し、式[花粉透過率(%)]=[(WB−WA)/0.05g]×100により、花粉透過率を求めた。
(実施例1)
樹脂フィルム5として、厚さ方向に延びる複数の貫通孔を有する非多孔質のPETフィルム(オキシフェン製、Oxydisk)を準備した。このフィルムは、PETからなる無孔の原フィルムに対してイオンビーム照射および化学エッチングを施すことにより、フィルムの主面に垂直な方向に延びる複数の貫通孔が形成されたフィルムである。貫通孔の径は10μm、貫通孔の密度は500000(5×105)個/cm2、開口率および気孔率は31.4%、厚さは41μmであった。
次に、準備した樹脂フィルム5をサイズ180mm×160mmの矩形状に切り抜き、さらにプリーツに折り畳んで80mm×160mmの矩形状とした後、その一対の短辺の各々に係止部として、装着者の耳介にかけるための紐状の部材を両面テープにより固定した。このようにして、図12に示すようなマスク1を得た。作製したマスク1は、従来の不織布製マスク(例えば比較例1で使用したマスク)と同様に、顔面の鼻孔および口を覆うように装着できた。
(実施例2)
樹脂フィルム5として、貫通孔の径が5μm、貫通孔の密度が400000(4×105)個/cm2、開口率および気孔率が7.9%、厚さが21μmである以外は実施例1で準備した樹脂フィルム5と同様のフィルムを準備した。準備した樹脂フィルムを用いて実施例1と同様にマスク1を作製したが、作製したマスク1は、従来の不織布製マスク(例えば比較例1で使用したマスク)と同様に、顔面の鼻孔および口を覆うように装着できた。
(実施例3)
樹脂フィルム5として、貫通孔の径が2μm、貫通孔の密度が10000000(1×107)個/cm2、開口率および気孔率が39.2%、厚さが21μmである以外は実施例1で準備した樹脂フィルム5と同様のフィルムを準備した。準備した樹脂フィルムを用いて実施例1と同様にマスク1を作製したが、作製したマスク1は、従来の不織布製マスク(例えば比較例1で使用したマスク)と同様に、顔面の鼻孔および口を覆うように装着できた。
(実施例4)
樹脂フィルム5として、実施例1で使用した非多孔質のPETフィルムを準備した。
これとは別に、準備した樹脂フィルム5の撥液処理に使用する処理液を、撥水撥油剤(信越化学製、X−70−041)を1.0重量%の濃度となるように希釈剤(旭硝子製、アサヒクリン AE−3000)で希釈して調製した。この撥水撥油剤は、以下の式(a−1)により示される直鎖状フルオロアルキル基を有する単量体に由来する単位を有する重合体を構成成分とする。
CH2=CHCOOCH2CH2510CH249 (a−1)
次に、準備した樹脂フィルム5を、20℃に保持した撥水撥油剤に3秒間浸漬した後、常温で1時間放置して乾燥させて、撥液処理された樹脂フィルム5を得た。次に、得られた樹脂フィルム5を用いて実施例1と同様にマスク1を作製したが、作製したマスク1は、従来の不織布製マスク(例えば比較例1で使用したマスク)と同様に、顔面の鼻孔および口を覆うように装着できた。
(比較例1)
比較例1のマスクとして、不織布から本体部が構成されたマスク(東京メディカル製、FG−195Ω)を準備した。
(比較例2)
比較例2のマスクとして、不織布から本体部が構成されたマスク(3M製、Vフレックス防塵マスク9102J−DS1)を準備した。
(比較例3)
比較例3のマスクとして、無孔の透明フィルムから本体部が構成されたマスク(ミドリ安全製、スマイルキャッチマスク)を準備した。
実施例1〜3および比較例1〜3の評価結果を以下の表1に示す。また、実施例1および比較例1に対する遮蔽性の評価結果として、試験後の黒色ろ紙表面における花粉の付着の程度を図13に示す。
表1および図13に示すように実施例では、通気性、通音性、透明性および遮蔽性について、その設計の自由度の高さが確認されるとともに、これらの特性が高いレベルで並立したマスクが実現されることが確認できた。より具体的に、実施例1で作製したマスクでは、通気度が高く、装着者の呼吸が容易であるとともに、全光線透過率が高くかつヘーズが低いことから装着者の顔を十分に確認できる。また、実施例1のマスクは挿入損失が0dBであり、装着者の声を変質させることなく優れた通音性を示す。そして、花粉の遮蔽能力にも優れている。また、実施例2,3のマスクに示すように、貫通孔の径、貫通孔の密度などにより、その特性を様々に変化させることが可能であることが確認された。実施例4に示すように、撥液処理されたマスクも製造できた。撥液処理されたマスクは本体部に水を滴下したところ、滴下した水はマスクに浸透することなく、表面に弾かれてそのまま下方に流れた。一方、比較例1のマスクは、通気度は非常に高いものの遮蔽性に劣るとともに、ヘーズが高いことから装着者の顔の確認が難しい。比較例2のマスクも同様である。比較例3のマスクは、ヘーズが低く透明性が高いが、挿入損失が非常に大きく通音性が低いことがわかる。
本発明のマスクは、従来のマスクと同様の用途をはじめ、様々な用途に使用できる。
1 マスク
2 (マスク1の)本体部
3 (マスク1の)係止部
4 (マスク1の)縁
5 樹脂フィルム
51 (マスク1の)装着者
52 (装着者51の)鼻孔
53 (装着者51の)口
11 貫通孔
12a,12b (樹脂フィルム5の)主面
13 (貫通孔11の)中心軸
14 (貫通孔11の)開口
91 ケース
92 (ケース91の)開口
93 測定試料
94 両面テープ
95 スピーカー
101 イオン
102 原フィルム
103 軌跡(イオントラック)
104 イオンビーム
105 送出ロール
106 照射ロール
107 巻取ロール
201 サンプル
202 測定ポイント

Claims (7)

  1. 顔面に装着して使用されるマスクであって、
    前記顔面の少なくとも一部を覆う本体部が、厚さ方向に通気性を有する樹脂フィルムを備え、
    前記樹脂フィルムは、厚さ方向に延びる複数の貫通孔を有する非多孔質のフィルムであり、
    前記貫通孔の径が0.01μm以上30μm以下であり、
    前記樹脂フィルムにおける前記貫通孔の密度が、10個/cm2以上1×108個/cm2以下であり、
    前記樹脂フィルムが透明材料により構成される、マスク。
  2. 顔面に装着して使用されるマスクであって、
    前記顔面の少なくとも一部を覆う本体部が、厚さ方向に通気性を有する樹脂フィルムを備え、
    前記樹脂フィルムは、厚さ方向に延びる複数の貫通孔を有する非多孔質のフィルムであり、
    前記貫通孔の径が0.01μm以上30μm以下であり、
    前記樹脂フィルムにおける前記貫通孔の密度が、10個/cm 2 以上1×10 8 個/cm 2 以下であり、
    JIS K7361の規定に準拠して測定した前記樹脂フィルムの全光線透過率が60%以上であるマスク。
  3. 前記複数の貫通孔が、前記樹脂フィルムの主面に垂直な方向に延びる請求項1または2に記載のマスク。
  4. 前記貫通孔の径Rに対する前記樹脂フィルムの厚さtの比t/Rが1以上10000以下である請求項1〜3のいずれかに記載のマスク。
  5. 前記樹脂フィルムの厚さ方向の通気度が、JIS L1096の規定に準拠して測定したフラジール数で示して、10cm3/(cm2・秒)以上である請求項1〜4のいずれかに記載のマスク。
  6. 前記樹脂フィルムの周波数1kHzにおける音圧損失が5dB以下である請求項1〜5のいずれかに記載のマスク。
  7. 前記樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレートおよびポリフッ化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種の材料により構成される請求項1〜のいずれかに記載のマスク。
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