JP5896373B2 - 透明マスク - Google Patents

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Description

本発明は透明フィルムと呼吸に必要な通気性を有する材料とからなる透明マスクに関するものである。
マスクは外界との呼吸のための通気性が確保され、且つ外界空気の漏洩的な通気は遮断されていることが望ましい。すなわち、マスクの周辺部は顔面と密着し、鼻の下から口の前面には空間が必要である。
一方、マスクの顔を隠す弊害を取り除く目的をもつ透明マスクは顔の表情をできる限り見せるため、口まで透明であることが重要である。そのためには透明部分が顔の上部から下顎部まであることが必要である。従って透明部材で鼻孔から口腔の辺りの前に空気の動きをよくする空間部分を形成させることが必須である。これらの課題を透明性の高い一つの透明部材で満たすには、適切な剛性をもつ透明フィルム、例えばTAC、PET、OPP、PCなどを使用する必要がある。
また、顔の前面の大部分を通気性のない又はきわめて低い透明フィルムで覆うため、呼吸に必要な量の空気のみを通し、遮断したいものは確実に遮断するフィルター機能を有する通気部分を透明フィルムとは別に設ける必要がある。これはフィルターの機能を高めるほど空気通過断面積を必要とするのでマスクの機能低減を伴わず且つ着用時の違和感を低減できる方法で通気部分を設ける必要がある。
このような透明部材でできた透明マスクを耳で固定すべく顔後方に引っ張ると、一般的に頬骨の張り出した部分と鼻梁部の尾根部分に力で圧接されて固定される。
頬骨の張り方と鼻梁の高さで異なるが、一般的にはこの鼻梁部の先端に掛かる圧力はかなり強いものとなるので、長時間のマスク装着は困難である。また、鼻梁部と頬骨との間は少し凹んでおり、この部分での空気の漏洩が問題となる。
従来知られていた透明マスク(例えば、特許文献1)は、透明部分が平面であり、これを装着して顔に密着させた場合、顔面の曲率に合わせて透明マスクが曲がるが、顔面から飛び出している鼻梁部は透明マスクによって顔の後方に強く押さえ込まれ、鼻梁の先端(最高部)が押し潰されて人相が変わるため、呼吸やスムーズな会話の妨げとなるなどして、長時間の装着には不適であった。
また特許文献2に記載のものは、顎の下の部分に通気部があるが、透明部材の一部に孔を穿ち、その部分に通気部材を装着したもので立体を維持する上で大きな径の穴を穿つことはできないので通気量が足りず息苦しさを与えて長時間の装着には適当でなかった。
これは、この透明マスクが透明部材そのもので立体を維持する技術思想に基づいており、首に接触する部分は透明部材を残す必要があり、そのために下顎部分に大きな穴を穿つことができなかったためと解される。残された透明部材の部位は、使用中に必要十分な形状変形をせず(立体成型物の可撓性不足により)、スムーズな会話に不可欠な顎の可動範囲を制限することになり、使いにくさの原因であった。
特許文献1 特開2009−11475
特許文献2 特開2009−189676
本発明の目的は、鼻と口の部分が透明で且つ呼吸はフィルターを通しての通気は十分に確保され且つ微量の漏洩的な通気を除いて外気と遮断されている透明マスクを提供することである。更に長時間装着もできる快適な装着性をも有する前記透明マスクを提供することである。
本発明の第一は下記のものである。
顔の左右頬骨突起部と鼻骨突起部から下顎の口の下の凹部までを覆う透明部材からなる透明部分を有し、その透明部は鼻梁の中心線に沿い透明部材の下部外周まで伸びる尾根を有していて、装着時には下顎の口の下付近の前面に透明部材で囲まれた呼吸用空間を形成し、その透明部材の円弧状になっている下部外周に不織布からなる通気部材が接合して装着時に透明部材が形成する呼吸用空間の下部通気部分、下顎の下部先端から下顎と喉の境付近までを覆い、且つこの通気部材の張力又は通気部材に組み込まれた弾性部材の張力により前記透明部材を曲げることにより透明部分の尾根が形成され、顔面に密着し易い様に立体化されている透明マスク
本発明の第二は下記のものである。
顔の左右頬骨突起部と鼻骨突起部から下顎の口の下の凹部までを覆う透明マスク用の透明部材であって、その透明マスク着用時に鼻梁最高突起点Fと鼻骨最高突起部Eとの間の鼻梁部の窪みのほぼ真上の点に来る点105より下顎方向の透明部材の領域が点105を中心とし且つ鼻梁線を中心線とする角度γの第一の円弧からなる扇状であって、第一の円弧の両端がそれぞれ201Lと201Rであるような透明部材1と、該透明マスク用であって、前記透明部材の第一の円弧部分の外周に接合された通気部材であって、その通気部材の前記外周接合とは反対の通気部材の外周は第二の円弧からなる扇状であって、その第二の円弧の中心109は、中心線と第一の円弧の交点104から角度θ(15°以上30°以下が望ましい。)だけ第一の円弧上を移動した点における接線が中心線と交わる点を107とし、この107を通り中心線に直角な線上であって第一の円弧の終端点201から長さQの位置の点2点の内107から遠い方の点を202とし、この202を通り扇の終端点201と扇の中心105を通る線と平行な線が中心線と交差する点であり、この第二の円弧からなる扇の領域は中心線を中心にして左右にα/2(120°=<α)の角度の第二の円弧上の点203Lと203Rと前記107の点で囲まれる領域が切りとられており、該通気部材は第二の円弧の端の一方の202Lと201L、201Lから201R、201Rから202R、202Rから203R、203Rから107、107から203L、203Lから202L、からなる外周を有するものであるような通気部材2との2つの部材からなる透明マスク用部材を、前記107から203Lの部分と107から203Rの部分とを接合して、通気部材2の張力又は通気部材2に組み込まれた弾性部材の張力により前記透明部材を曲げることにより透明部分の尾根が形成され、顔面に密着し易い様に立体化されている透明マスク
本発明のマスクでは鼻梁部分に鼻梁部に沿って透明部材が縦に尾根を形成しており、顔に密着させても鼻梁部分への圧力が小さく、鼻梁の先端(最高部)が押し潰されて人相が変わることがなく、呼吸やスムーズな会話を妨げることもないため、日常生活の中で、長時間装着が可能である。
また、本発明の形状の透明部材と通気部材を使用することにより、尾根形状を持つように加熱立体成形が困難であったTACフィルムのような透明部材でも平面部材からマスクを組み立てる時に尾根状の盛り上がりを透明部材に与えることができ、きわめて簡単な工程により透明フィルムの立体化が可能となる。
本発明では第二の発明から分かるように特別な形状に部材を整えることで不織布からなる通気部材で透明部材を尾根状に成形しており、下顎部分を不織布のような通気部材のみで構成して透明部材を鼻下や口の前部に空間部を有する形状にすることができる。これにより、透明部材が確保する鼻下と口の前部の空間は広く通気領域として確保され、息がし易いだけでなく、下顎部を喉の付け根(首の上部)まで広く覆うことで、透明部材を尾根状に形成する張力はまた、透明部材と通気部材の接合部を通じて、人の顔へのしなやかで安定的な装着をも可能にする。こうして形成したマスクは、装着時の会話などで唇を動かし易く、口紅で透明部材を汚すこともなく、同時に下顎の可動範囲に制限を与える使いにくさはない。
本発明のマスクは、図1の形の防曇処理されたTACフィルムからなる透明部材1(図1の部材1)と不織布部材(通気部材2)(図1の部材2)とから作成される。不織布部材(通気部材2)は透明部材1に双方の103R、104および103Lの円弧部分と201Rおよび20Lの円弧部分とで接合される。図1のように双方に糊しろの部分を形成し、この部分を重ねて貼り合せ或いは縫合しても良いし、糊しろなしで断面を貼り付けても良い。
この接合したものが図2である。この接合されたものの不織布部材(通気部材2)の203Rと204の辺及び204と203Lの辺が接合される。この部分の接合により、不織布部材2の横幅が透明部材の横幅より狭くなるように角度203R204203Lを調節すると透明部材1は不織布部材(通気部材2)で引っ張られ尾根が104を通る中心線に沿って形成される。
図2において透明部材1の円弧103R104103Lの円の中心は105である。その半径Rは、標準的な人の顔で80mmから100mmが適当である。
その円弧は104を通る中心線を中心にして150°位が一般的に顔の表面の立体的曲率に適合しやすい。
この角度を小さく取ると、透明部材1の形状は、人の顔の頬部分を覆うのに必要な横幅が小さくなり、不織布部材(通気部材2)との接合範囲が小さくなるため、通気領域の不足と顎下への固定機能が低下する。
不織布部材(通気部材2)の形状は下記のようにして決められる。
図4において透明部材1の105(鼻梁最高突起点Fと鼻骨最高突起部Eとの間の鼻梁部の窪みのほぼ真上の透明部材1の中心線上の点)から中心線(104,105を通る線)に対してθが30°の角度の線と円弧の交点106Lでの接線が中心線と交わる点を107とし、この交点107から中心線と直角に交わる線を引き、この線と103L(103R)から所定の半径Qの円とが交わる点を108L(108R)とする。この108L及び108Rからそれぞれ中心線(104,105を通る線)方向に線を引き、中心線上で2つの線が交差するようにする。そのときこれら2つの線のなす角度が150°となるような点を109とする。108Lと109との直線距離をPとする。
このPの長さを不織布部材(通気部材2)の喉側の円弧の半径とする。かくて202L、203L,203R及び202Lは点109を中心とする150°の半径Pの円弧の上に存在する。201L及び201Rの間の点線が半径Rの円弧と一致し、従ってこの部分で通気部材2は透明部材1とぴったりと重ねて接合することができる。貼り合わせでも圧接でもよい。201Lと202L、201Rと202R、これらの間の距離はQである。
半径(距離)Qは、半径Rと同程度(同じにする必要はない)で、透明部材1との接合開始点201(103)から左右の顎下までを覆うに必要な長さで、標準的な人の顔で80mmから100mmが適当である。半径Pは、通気部材2が喉の付け根(首の上部)までを覆うに必要な長さで、半径Rの大凡1.5倍前後の長さが適当である。
不織布部材(通気部材2)は上記の過程で定める形状を有するが、さらに点107と203Lおよび203Rの内側が、糊しろが必要なときはこの分を残して、切り落とされる。点107は上述の方法で定まる。点107から203Lの直線と点107から203Rの直線とがなす角、すなわち不織布部材(通気部材2)の切り落とす部分の角度について述べる。
マスク形成時に、不織布部材(通気部材2)と透明部材1は、前者の201Rと201L及び後者の103R104103Lを重ねて接合される。そして、接合したものを106Lと107及び106Rと107の線において山折で折り曲げる。この場合角度α(203Lと107と203Rがなす角)が120°であるとき、不織布と透明フィルムの厚みを無視したときは203Lと203Rは透明部材1の点105に重なる。ここで120°より角度αを大きく取って切り落として203Lと203Rを重ねて接合したときには不織布の左右方向の長さが透明部材1の横方向の長さより短いので透明部材1は中心線104105を中心にして山折状となり尾根を形成する。
図3は、不織布部材(通気部材2)の切り取り角度αが120°の場合の透明部材1と不織布部材(通気部材2)が平面状に重なっている状態である。透明部材1において102L103Lの間の装着用タブと102R103Rの間の装着用タブがない状態の物(点線で示したもの)を想定した場合、この状態で尾根105107が不織布部材(通気部材2)の接合線107203L(203R)と成す尾根の盛り上がり角度)は、切取り角度の増加分を左右同じく0.5°にしたとき、約9°、1°で約17°、2.5°で約26°、5°で約31°、10°で約39°、15°で約44°である。中心点105から103L(103R)の距離(半径R)を10cmとしたとき、尾根の高さ(点105)は、前記の切取り角度の増加分に対して、それぞれ不織布部材(通気部材2)の平面から約1.8cm、約3.4cm、約5cm、約6cm、約7.2cm、約8cmである。
この尾根の形成は、上記の方法で形状を決めた不織布部材(通気部材2)の切り取り位置107の位置を中心線(104,105を通る線)上で105方向に移動させて切り取り角度αを連動的に増加させることで略同等の効果を得る。切り取り位置107は、105から中心線に対してθが30°の角度を小さくした角度の線と円弧の交点106Lでの接線が中心線と交わる点を、改めて107とし、107と203Lおよび203Rの内側が、糊しろが必要なときはこの分を残して切り落とす。このとき107の位置は少しだけ105に近づくが、不織布部材(通気部材2)の伸び縮み自由性のため、マスクの形状が大きく変わるほどの影響はない。例えばθが30°から0.5°小さくすると、角度α(203Lと107と203Rがなす角)は121°となり、切り取り角度が1°増分となる。この減少させる角度は1°小さくすると切り取り角度122°、2.5°で125°、5°で130°、10°で140°、15°で150°である。この角度の増分毎の尾根の盛り上がりは、上述記載の盛り上がりの角度、高さの値と対して略同等の値を示す。逆に角度θを30°より大きくすると、上述する範囲の不織布部材(通気部材2)の切り取りではマスクの尾根は形成されず、尾根形成のためには更に切り取り角度を増加するなど別の方法で張力を必要とする。但し、これによって尾根が形成されても、マスクの形状は装着したとき前方の尖りがきつくなる。
上記のような形状と大きさの関係を持つ透明部材1と不織布部材(通気部材2)を用意して貼り合せることで簡単にシンプルな過程で、顔の鼻から口元までが透明で鼻や口の前面に大きな空間をもち、その空間の下側に水平に近い通気部をもち、且つ顔への密着性の高い立体マスクを製造することができる。
この部材がマスクとして形成されたとき、図5に記載されているように透明部材1の105は鼻梁部尾根であって顔前面への突起最高部Fよりやや顔の上側に位置する(なお、一般的に人の鼻骨と鼻梁部は図5のようになっていて、鼻骨の最高突起部Eより更に高く軟骨で形成される鼻梁部が伸びて行っていわゆる鼻の最高突起部Fを形成する。鼻梁部尾根はEとFの間の間でわずかに窪んでいるのが一般的である。)。
側頭骨に属する頬骨弓Bと下顎骨との結合点が形成する結合点A付近の出っ張りに接するように101L、102L、101R、102R及び105と110の位置関係は決められる。マスクの適用される人の集団の平均的な値を参考にしてきめることができ、微調整を装着部材の弾性体で調整すればよい。装着部材で顔後方に張力をかけると101L102L間及び101R102R間は湾曲して前記出っ張りを覆う皮膚に沿う形になり、皮膚の弾力とあいまって顔面に密着し易くなる。
本発明のマスクでは、透明部材1の105と110の間に切り込みが入っている。この切り込み部分を重ねて接合する。この重ねて接合することにより重ね分だけ101L、110及び101Rの間の中心線に対して直角の成分の距離が短くなり、重ねて接合する領域である透明部材1の110の部分は104、109から105と伸びてきた尾根の延長線上ではなく105で少し顔側に折れた線上になる(図5参照)。
この切込みにより、点110が顔面に近くなり、鼻梁上部での気密性が高まる。加熱などでは立体的成形が困難なフィルム、例えばTACなどでは、この切り込みにより、より細かい立体成形がやり易くなる。切り込みの長さをかえることで透明部材1の尾根上にある点105の位置を変えることでき、顔の形に合わせ易い。
図5のように、上記の切込みは105付近を頂点とし、110と105の間に火山中腹に出来た火口形状の穴を形成している。
この透明部材1では、110から線状の切込みが110と105を結ぶ中心線に沿って入れられ、線状の切り込みの途中から円または楕円の曲率をもった切込みになる。(円または楕円は、厳格に形状を決めるものではなく、左右対称で異なる形状でも良いが、曲率をもった形状が望ましい。)
この円または楕円状の切り込み部分の大きさは、110と105を結ぶ線上における半径で鼻梁部尾根のEとFの間の窪みと鼻骨突起Eとの間の長さ程度であれば鼻骨による鼻梁尾根の高低を吸収して鼻梁上部での機密性は単なる切り込み線に比べて格段に良くなる。
この線状の切れ込みの先に円または楕円状の切り込みが入れられて線状切り込み部分は舌状の突起部として残る。この舌状突起の双方を重ねて接合する。
これにより上記したのと同じ作用で105付近が盛り上り、110の接合点の位置は105と104が形成する尾根の位置より顔面に近くなる。かくて透明部材1の110の部分は、鼻梁尾根の形状に近くなり鼻梁尾根に密着しやすくなる。
以上のようにして透明マスク部分は鼻骨の突起最高点Eよりやや顔上面と鼻の鼻梁最高点Fと左右の頬骨の出っ張りの4点で顔表面に圧接する。
110の舌状突起の長さ、すなわち線状切り込みの長さは、重ねて接合して使用中にこの部分にかかる張力で切れたりしない程度の長さを確保する必要がある。厚み100マイクロメーターのTACでは重なり長さで5mmから7mm程度あれば十分である。
前記の第二の発明において、θが15°以下または30°以上のとき、切り取った通気部材2がマスクに適正な形状(標準的な人の顔に合う形状)となりづらい。
θが15°以下の時、不織布(通気部材2)の張力が透明フィルムに直接強く掛かり、装着時のマスクの横の膨らみへの余裕がなくなり、窮屈なマスクになる。同時に、尾根の角度(高さ)は更に大きくなるが、フィルムは口に近づくことになり、呼吸空間が狭くなるため、マスクとしての機能を損なうことになる。
θが30°を超えると、切り取り部を示す補助線による通気部材2の切り取り角度αが120°以下になるため、当然、弾性体を通気部材2に組み込んで尾根を形成する。
θが35°のときは、尾根ができ始める角度が145°、θが45°ではその角度は180°と広がる。
この場合のマスクは、装着時にはマスクの先が前方に高く、尖りがきつくなり、また、上記と同様に装着時のマスクの横の膨らみへの余裕がなくなり、窮屈なマスクになる。しかも、着用時には口の前で手などの動作を必要とする際、マスクに触れてじゃまになる場合が多くなる。
透明部材1としては防曇性を有し可繞性があり、且つ剛性も備えた透明フィルム、たとえば防曇処理したTACや、曇り防止剤を塗布したあるいはコロナ処理やプラズマ処理でフィルム表面を物理的処理したPETフィルム、OPPフィルム、PCフィルムなどが使用できる。曇りを効率よく抑え、かつフィルム素材からマスクへの作成時に同時に表面に防曇処理ができるTACフィルムが最適である。
TACフィルムは加熱による立体成形ができないので、下顎までTACフィルムで覆い、顔表面への密着性を維持しつつ、口や鼻の前面に呼吸用の空間部を設けたような立体透明マスクを作るのは困難であった。
しかし、本発明のように鼻骨にあたる部分に切り込みを入れてその先端部分を重ねて接合することで鼻梁部分の立体形成作用でマスク着用時には自然に鼻下と口の前面に空間が形成され、且つ左右の頬突起部位と鼻梁部両側の凹凸形状に密着性の良い立体マスクを形作ることになる。本発明のマスクの透明部材1としては防曇処理されたTACフィルムが最適である。
防曇処理されたTACについての製法は特願2010−123991の出願明細書に記載されている。
TACの厚みは、75〜120マイクロメーターくらいが適当である。
透明部材1の外周103L104103Rには通気部材2と接合するための糊しろ部が設けられる。幅は使用中に両部材がはがれない程度の接着強度が得られるに十分な幅であればよい。本発明では熱圧着で接合するが、この場合は5mmから1cm幅であればよい。透明部材1は、105から104方向に約10mm行った付近が鼻梁の頂点付近となり、104が下顎で唇の下1.5cmくらいまで来るような大きさに作成される。
本発明のマスクに使用される透明部材1の101Lと110の間や101Rと110の間は直線でもよいが、本発明の透明部材1のように眼窩の下半分を形成する上顎骨や頬骨の眼窩形成部分の曲率より大きい曲率を持たせることで下瞼の皮膚に軽く圧接し、この部分の密着を高めることができる。
通気部材2は、不織布を使用するのがもっとも望ましいが、フィルター性がある通気性のものであれば何でも良い。例えば積層したガーゼ等も使用できる。
通気部材2の202L203L203R202Rの外周部分にはゴムなどの弾性部材がもっとも伸びた状態で結合されて、マスク未使用時には短く折り重なった状態でおかれ、装着時には顎にそって引き伸ばされて下顎部に密着するようにするのが望ましい。例えば通気部材2の角度αが120°のときにはこの通気部材2に組み込んだ弾性体の張力で透明部材1を引っ張ることで尾根を作ることができる。
図1は本発明の透明マスクに使用する透明部材1と不織布からなる通気部材2を表したものである。 図2は透明部材1と通気部材2を接合したときを表す。通気部材2は接合後点107から透明部材1の円弧に向けて伸びる2つの接線に沿って折り曲げられる。 図3は、角度αを120°としたときの通気部材2と透明部材1の関係を通気部材2側からみたものである。通気部材2は透明部材1の上に折り重なっている。 図4は、透明部材1や通気部材2の形状を決定する過程を説明するための幾何的関係を示してある。 図5は、本発明の透明マスクの形状と顔の骨や皮膚との位置関係を示している。 図6は本発明の透明マスクを顔へ装着した時を表している。110では舌状突起部が重ねて貼り付けられている。それの顔下方方向には楕円の切り込みがなされている。 図7は本発明の別の実施態様である。顎の動きが大きい利用を想定した場合の実施態様で、不織布の接合部に曲率を採用して膨らみを持たせたものである。
A 下顎骨
B 頬骨弓(側頭骨に属していて頬骨に伸びだしている。)
C 頬骨
D 眼窩
E 鼻骨
G 顔面皮膚表面
101R 101L:右装着タブ上 左装着タブ上
102R 102L:右装着タブ下 左装着タブ下
103R 103L:円弧部分右端 円弧部分左端
104:円弧部分中間
105:円弧を形成する円の中心
109:不織布部材(通気部材2)の202Rと202Lの間の円弧の円の中心
201R 201L:通気部材2における透明部材1の103R103Lと接合する点
203R 203L:この間で円弧に切込みが入っている。
P:不織布部材(通気部材2)の202Rと202Lの間の円弧の円の半径
Q:不織布部材(通気部材2)の201Lから202Lの間と201Rから202Rの間の長さ

Claims (5)

  1. 顔の左右頬骨突起部と鼻骨突起部から下顎の口の下の凹部までを覆う透明部材と、該透明部材の円弧状になっている下部外周に接合された不織布からなる通気部材とを有する透明マスクであって、
    前記透明部は、鼻梁の中心線に沿い透明部の下部外周まで伸びる尾根を有していて、装着時には下顎の口の下付近の前面に透明部で囲まれた呼吸用空間を形成しており
    前記通気部材は、前記透明部材の下部外周に接合する第1の円弧と該接合とは反対側の第二の円弧とを有する扇状で、且つその中心線上の1点と第二の円弧上の2点とで囲まれた領域が切り取られて該中心線上の2点と前記円弧上の2点を結ぶ2辺で接合された形状を有し、装着時に透明部が形成する呼吸用空間の下部通気部分、下顎の下部先端から下顎と喉の境付近までを覆い、且つこの通気部材の張力又は通気部材に組み込まれた弾性部材の張力により前記透明部を曲げることにより透明部材分の尾根が形成され、顔面に密着し易い様に立体化されている透明マスク。
  2. 透明部材が有する尾根の該部材の顔上部方向端から該尾根上の鼻梁最高突起点Fと鼻骨最高突起部Eとの間の鼻梁部の窪みのほぼ真上の点まで切り込みをいれ、切られた左右の部材を顔上部方向端付近で重ねて接合してある請求項1に記載の透明マスク。
  3. 前記切り込み部分の入り口付近は線状であるが途中から終端まで切り込み形状が中心線を中心とする円または楕円であって、線状の領域で左右の部材が接合されている請求項2に記載の透明マスク。
  4. 前記線状の領域で左右の部材が接合されて尾根の稜線を中心にしてできる円又は楕円の孔の縁が鼻骨の突起による鼻梁部の突起の周りを囲むような位置関係で前記円又は楕円の中心があるように切り込みが入れられて接合された請求項3に記載の透明マスク。
  5. 前記透明部材の上端部が、眼窩下部の縁骨である上顎部の左右上部の骨形状に沿う形状になっている請求項1から請求項4のいずれかに記載の透明マスク。
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