JP6696412B2 - 金属材料の余寿命評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属材料の余寿命を評価する方法に関する。
従来、火力発電プラント等において高温環境下で使用されている金属材料(鋼管等)の余寿命を評価するための方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、結晶粒の形状に基づいて、金属材料の余寿命を予測する方法が開示されている。具体的には、特許文献1の方法では、結晶粒の長径、結晶粒の巾径、および結晶粒の円形度等に基づいて結晶粒の形状変化量を測定し、金属材料の余寿命を推定している。
特開昭63−228062号公報
しかしながら、本発明者の種々の検討の結果、上述のような方法では、金属材料の余寿命を適切に予測できない場合があることが分かった。
すなわち、金属材料の劣化に伴って金属材料の状態は変化するが、その状態の変化の態様は、金属材料の劣化の程度によって異なる。このため、ミクロ組織の状態を示す一つの情報(例えば、結晶粒の形状)に基づいて余寿命を予測する特許文献1の方法では、金属材料の劣化の程度によっては、余寿命を適切に予測できない場合がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、金属材料の余寿命を金属材料の劣化の程度にかかわらず適切に評価することができる、金属材料の余寿命評価方法を提供することを目的とする。
高温環境下で使用されている金属材料の余寿命は、クリープ歪みの増加に伴って減少する。したがって、金属材料の余寿命は、その金属材料のクリープ歪みに基づいて評価することができる。そこで、本発明者は、クリープ歪みの変化を適切に表すことができるパラメータについて種々の検討を行なった。具体的には、本発明者は、クリープの進行過程における再結晶や亜粒界の生成によって、金属材料の平均結晶粒径は小さくなり、粒内歪みは大きくなる傾向があることに着目して検討を進めた。また、本発明者は、粒内歪みが格子歪み(均一歪み)によって生じ、金属材料の残留応力に影響することにも着目した。
上記の点に留意しつつ本発明者が検討を進めた結果、金属材料に生じる残留応力は、クリープ歪みの増加に伴って単調に増加することが分かった。上述したように、金属材料に生じる残留応力には、金属材料の均一格子歪みが影響していると考えられる。したがって、残留応力の変化を示すパラメータとして、例えば、均一格子歪みを用いることができる。言い換えると、クリープ歪みの変化を表すパラメータとして、均一格子歪みを用いることができる。
また、本発明者が検討を進めた結果、金属材料の平均結晶粒径の変化に伴って、金属材料の2次元X線回折像が変化することが分かった。具体的には、金属材料の平均結晶粒径の減少に伴って、例えば、金属材料の2次元X線回折像として得られるデバイ・シェラーリングの周方向(以下、β方向ともいう。)におけるX線回折強度分布の偏差が減少することが分かった。したがって、クリープ歪みの変化を表すパラメータとして、例えば、上記デバイ・シェラーリングの周方向におけるX線回折強度分布の偏差を用いることができる。
本発明者がさらに検討を進めた結果、特にクリープの初期の段階においては、クリープ歪みの変化に対する残留応力の変化の割合が大きくなることが分かった。一方、クリープの後期の段階においては、クリープ歪みの変化に対する平均結晶粒径の変化の割合が大きくなることが分かった。すなわち、本発明者の検討の結果、残留応力に関するパラメータおよび結晶粒径に関するパラメータのうちの一方のパラメータのみでは、金属材料の余寿命を適切に評価することができないことが分かった。そこで、本発明者がさらに検討を進めた結果、残留応力の変化および結晶粒径の変化の両方を考慮したパラメータを用いることによって、金属材料の余寿命を適切に評価することができることが分かった。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、下記の金属材料の余寿命評価方法を要旨とする。
(1)金属材料からなる評価対象の余寿命を評価する方法であって、
(a)前記評価対象について、結晶粒径に関する第1パラメータを得るステップと、
(b)前記評価対象について、残留応力に関する第2パラメータを得るステップと、
(c)前記(a)のステップで得た前記第1パラメータと前記(b)のステップで得た前記第2パラメータとを乗算することによって歪みパラメータを得るステップと、
(d)前記(c)のステップで得た歪みパラメータ、および予め求められた歪みパラメータと余寿命または寿命消費率との関係に基づいて、前記評価対象の余寿命を評価するステップと、
を備える、金属材料の余寿命評価方法。
(2)前記第1パラメータは、前記評価対象のX線回折像として得られるデバイ・シェラーリングの周方向におけるX線回折強度分布の偏差を示すパラメータである、
上記(1)の金属材料の余寿命評価方法。
(3)前記第2パラメータは、均一格子歪みまたは格子定数の変化の割合を示すパラメータである、
上記(1)または(2)の金属材料の余寿命評価方法。
(4)前記(d)のステップは、
(d1)前記(c)のステップで得た歪みパラメータ、および予め求められた歪みパラメータとクリープ歪みとの関係を示すマスターカーブから、前記評価対象のクリープ歪みを求めるステップと、
(d2)前記(d1)のステップで得た前記評価対象のクリープ歪み、および予め求められたクリープ歪みと余寿命または寿命消費率との関係を示すマスターカーブから、前記評価対象の余寿命または寿命消費率を求めるステップと、
を含む、上記(1)から(3)のいずれかの金属材料の余寿命評価方法。
本発明によれば、金属材料の劣化の程度にかかわらず金属材料の余寿命を適切に評価することができる。
図1は、X線回折像の測定方法を説明するための図である。 図2は、X線回折像を示す図である。 図3は、2次元検出器を用いて得られたX線回折像を示す図である。 図4は、X線の照射領域と回折線との関係を示す図である。 図5は、X線の照射領域と回折線との関係を示す図である。 図6は、X線回折強度分布の一例を示す図である。 図7は、歪みパラメータとクリープ歪みとの関係を示すマスターカーブの一例を示す図である。 図8は、寿命消費率とクリープ歪みとの関係を示すマスターカーブの一例を示す図である。 図9は、歪みパラメータと寿命消費率との関係を示すマスターカーブの一例を示す図である。
本発明の一実施形態に係る金属材料の余寿命評価方法(以下、単に評価方法という。)は、例えば、高温環境下において使用されている金属材料の余寿命を評価する際に好適に用いられる。なお、本実施形態において高温環境とは、例えば、通常の火力発電ボイラーまたは石油精製機器等の使用温度である500℃以上1000℃未満の環境を意味する。
以下、本実施形態に係る評価方法について説明する。なお、以下においては、金属材料の寿命消費率を予測することによって、金属材料の余寿命を評価する場合について説明するが、寿命消費率の代わりに余寿命を予測してもよい。
(余寿命評価方法の概要)
本実施形態に係る評価方法は、下記のステップA〜Dを備える。ステップA〜Dの詳細については後述する。
ステップA:評価対象である金属材料について、結晶粒径に関する第1パラメータを得る。
ステップB:評価対象について、残留応力に関する第2パラメータを得る。
ステップC:ステップAで得た第1パラメータとステップBで得た第2パラメータとを乗算することによって、歪みパラメータを得る。
ステップD:ステップCで得た歪みパラメータ、および予め求められた歪みパラメータと余寿命または寿命消費率との関係に基づいて、評価対象の余寿命を評価する。
(各ステップの処理内容)
以下、ステップA〜Dについて具体的に説明する。
(ステップA)
本実施形態では、ステップAにおいて、結晶粒径に関する第1パラメータとして、評価対象のX線回折像として得られるデバイ・シェラーリングの周方向におけるX線回折強度分布の偏差を求める。そこで、ステップAでは、まず、X線回折像が求められる。
X線回折像は、例えば、図1に示すように、評価対象の表面にX線を入射させて求める。本実施形態では、X線回折像として、図2に示すような複数のデバイ・シェラーリングが得られる。デバイ・シェラーリングは、複数の面指数ごとに得られる。なお、図1においては、評価対象の表面に垂直な方向を矢印b(以下、垂直方向bともいう。)で示し、垂直方向bから見た場合におけるX線の入射方向を矢印a(以下、入射方向aともいう。)で示している。また、入射方向aおよび垂直方向bに直交する方向を矢印cで示している。なお、デバイ・シェラーリングは、公知の方法によって得られるので、詳細な説明は省略する。
図1を参照して、本実施形態では、2次元検出器を用いてX線回折像が得られる。図3は、2次元検出器で得られるX線回折像の一例を示す図である。図3においては、一例として、4つの回折線(デバイ・シェラーリング)の一部が示されている。なお、図3において破線で囲まれた範囲は、各回折線の周方向(以下、β方向ともいう。)における同一の角度の範囲(図3の例では30°の範囲)に相当する。
図4(a)を参照して、本実施形態では、評価対象の表面におけるX線の照射領域を評価対象の表面に垂直な方向(図1の矢印b参照)から見た場合に、X線の入射方向aにおける長さが、入射方向aに直交する方向c(以下、直交方向cともいう。)における長さよりも大きい。このようにX線を照射することによって、図4(b)に示すように、2次元検出器において、一様な幅の回折線を検出することができる。これにより、X線回折強度をより正確に求めることができる。評価対象の表面におけるX線の照射領域の入射方向aにおける長さは、例えば、0.3〜10.0mmであり、直交方向cにおける長さは、例えば、0.1〜0.8mmである。
なお、図5(a)に示すように、X線の照射領域の直交方向cにおける長さが、入射方向aにおける長さよりも大きくてもよい。ただし、この場合には、図5(b)に示すように、2次元検出器において検出される回折線は、両端部の幅が中央部の幅よりも広くなるので、測定精度が低下するおそれがある。
ステップAでは、上記のようにして得たデバイ・シェラーリングの周方向におけるX線回折強度分布の標準偏差を求める。具体的には、まず、複数のデバイ・シェラーリングのうちのいずれかのデバイ・シェラーリングの周方向におけるX線回折強度分布を求める。本実施形態では、図6に示すように、β方向における所定範囲(例えば、30°の範囲:図3において破線で囲まれた範囲)のX線回折強度分布を求める。また、求めたX線回折強度分布から得られる回折強度Iおよびその平均値μに基づいて、下記式から標準偏差σを求める。
Figure 0006696412
本実施形態では、さらに、上記のようにして求めた標準偏差σを平均値μで除することによって、相対標準偏差(RSD)を求める。なお、上記においては、母集団の標準偏差を求めているが、標本の標準偏差を求めてもよい。また、例えば、X線回折強度分布からバックグラウンドを除去した後に、標準偏差を求めてもよい。例えば、バックグラウンドは、図6に示すように、バックグラウンドの形状および測定条件等に応じて適切な近似曲線を用いて除去することができる。なお、バックグラウンドの除去方法としては、公知の種々の方法を利用できるので、詳細な説明は省略する。
以上のようにして、本実施形態では、ステップAにおいて、第1パラメータとして、デバイ・シェラーリングの周方向におけるX線回折強度分布の相対標準偏差が求められる。
(ステップB)
本実施形態では、ステップBにおいて、残留応力に関する第2パラメータとして、均一格子歪みを求める。本実施形態では、例えば、ステップAで得られたX線回折像に基づいて回折格子面間隔を求め、得られた回折格子面間隔と無歪みの状態での格子面間隔との差を、上記無歪み状態の格子面間隔で除算することによって、均一格子歪みを求めることができる。本実施形態では、例えば、無歪み状態の格子面間隔として、Niの面間隔の文献値を用いることができる。例えば、評価対象のX線回折像に基づいて{331}の面間隔を測定して均一格子歪みを求める場合には、Niの面間隔の文献値として、0.0808nmが用いられる。なお、均一格子歪みの算出方法は、上述の例に限定されず、公知の種々の方法を用いることができる。
(ステップC)
ステップCでは、ステップAで得た相対標準偏差と、ステップBで得た均一格子歪みとを乗算することによって、歪みパラメータを求める。例えば、ステップAで得られた相対標準偏差が「60」で、ステップBで得られた均一格子歪みが「−0.1」の場合、ステップCで求められる歪みパラメータは、「−6」である。
(ステップD)
ステップDでは、予め求められた歪みパラメータと余寿命または寿命消費率との関係を用いて、評価対象の余寿命を評価する。本実施形態では、ステップDは、下記のステップD1およびステップD2を含む。また、本実施形態では、歪みパラメータと寿命消費率との関係として、予め求められた2種類のマスターカーブが用いられる。以下、ステップD1およびステップD2について説明する。
(ステップD1)
ステップD1では、図7に示すような歪みパラメータとクリープ歪みとの関係を示すマスターカーブを用いて、ステップCで得た歪みパラメータに基づいて、評価対象のクリープ歪みを求める。
なお、ステップD1で利用されるマスターカーブは、例えば、以下のようにして予め求められる。まず、クリープ歪みが異なる複数のモデル材を準備する。そして、各モデル材について、クリープ歪みを測定するとともに、X線回折像としてデバイ・シェラーリングを得る。次に、上述のステップAおよびステップBで説明した方法と同様の方法によって、下記の表1に一例を示すように、各モデル材について、デバイ・シェラーリングの周方向におけるX線回折強度分布の相対標準偏差(RSD)および均一格子歪みを求める。なお、表1においては、均一格子歪みを算出するために求められた面間隔も示している。マスターカーブを作成する際に相対標準偏差が求められるデバイ・シェラーリングと、上述のステップAにおいて相対標準偏差が求められたデバイ・シェラーリングとは、同じ面指数に対応するデバイ・シェラーリングである。
Figure 0006696412
次に、上記表1に示すように、上述のステップCで説明した方法と同様に、求めた相対標準偏差(RSD)および均一格子歪みを乗算することによって、各モデル材の歪みパラメータを求める。このようにして得られた各モデル材の歪みパラメータと、各モデル材のクリープ歪みとに基づいて、図7に示すようなマスターカーブ(近似曲線)を求めることができる。なお、マスターカーブとなる近似曲線は、複数のモデル材の歪みパラメータおよびクリープ歪みに応じた適切な関数を用いて得ることができる。図7に示すマスターカーブは、シグモイド関数を利用して作成したマスターカーブの一例である。なお、本実施形態では、例えば、評価対象と同一の結晶系の金属材料が、モデル材として用いられる。
(ステップD2)
ステップD2では、図8に示すような寿命消費率とクリープ歪みとの関係を示すマスターカーブを用いて、ステップD1で得たクリープ歪みに基づいて、評価対象の寿命消費率を求める。これにより、評価対象の余寿命を評価することができる。なお、寿命消費率Lcは、クリープ試験において、試験片がクリープ破断に至るまでの時間Trに対する試験経過時間Tの割合として、下記式を用いて求めることができる。図8においては、下記式によって求められる寿命消費率を百分率で示している。
Lc=T/Tr
なお、ステップD2で利用されるマスターカーブは、過去の実験等のデータに基づいて作成してもよく、複数のモデル材を用いて新たに実験を行ってデータを収集し、そのデータに基づいて作成してもよい。例えば、上記の表1に示すように、クリープ歪みを求めた各モデル材の寿命消費率を実験により求め、各モデル材のクリープ歪みおよび寿命消費率に基づいてマスターカーブを作成してもよい。マスターカーブは、例えば、実験データに基づいて、適切な関数を用いて求めることができる。なお、ステップD2では、余寿命とクリープ歪みとの関係を示すマスターカーブを用いてもよい。余寿命Lrは、例えば、クリープ試験において、試験片がクリープ破断に至るまでの時間Trと試験経過時間Tとを用いた下記式を用いて求めることができる。
Lr=1−T/Tr
(作用効果)
以上のように、本実施形態では、粒内ひずみの変化を、ミクロな視点で観測し得る面間隔の変化(均一格子歪み)と、マクロな視点で観測し得る結晶粒径の変化(デバイ・シェラーリングの周方向の回折強度分布の相対標準偏差)に基づいて評価することができる。具体的には、本実施形態では、上記均一格子歪みと上記相対標準偏差とに基づいて、粒内歪みの変化を表す歪みパラメータが算出される。これにより、金属材料の劣化の程度にかかわらず、粒内歪みの変化を適切に把握することができる。さらに、上記歪みパラメータを用いて金属材料の余寿命が評価される。これにより、金属材料の劣化の程度にかかわらず、金属材料の余寿命を適切に評価することができる。具体的には、面間隔の変化が著しいクリープの初期段階と結晶粒径の変化が著しいクリープの後期の段階のいずれにおいても、金属材料の余寿命を、共通のマスターカーブを用いて定量的に評価することが可能になる。
なお、例えば、プラントの余寿命を評価する際には、寿命消費率が約60%以下の状態のときの金属材料のミクロ組織の情報が有用である。したがって、金属材料の寿命消費率が約60%以下の状態のときに観測し得るパラメータを用いて、余寿命を評価する必要がある。この点を考慮すると、粒内歪みの変化を示す上述のパラメータを用いる本実施形態に係る評価方法は、プラントの余寿命を評価するのに優れた手法であると考えられる。
(変形例)
上述の実施形態では、X線回折強度分布の偏差を示す指標(結晶粒径に関する第1パラメータ)として相対標準偏差を用いる場合について説明したが、標準偏差などの他の指標を用いてもよい。また、上述の実施形態では、残留応力に関する第2パラメータとして均一格子歪みを用いる場合について説明したが、第2パラメータとして格子定数の変化の割合を用いてもよい。
上述の実施形態では、ステップDにおいて、歪みパラメータと寿命消費率(または余寿命)との関係として予め求められた2つのマスターカーブを用いる場合について説明したが、ステップDにおいて用いられる歪みパラメータと寿命消費率(または余寿命)との関係は上述の例に限定されない。例えば、図7および図8で説明したマスターカーブの代わりに、図9に示すような、歪みパラメータと寿命消費率との関係を示すマスターカーブを用いてもよい。この場合、ステップDでは、ステップCで得た歪みパラメータ、および歪みパラメータと寿命消費率との関係を示す上記のマスターカーブを用いて、評価対象の寿命消費率を求めることができる。このように、本実施形態では、1つのマスターカーブによって評価対象の余寿命をより簡単に評価することができる。
なお、図9に示したマスターカーブは、例えば、複数のモデル材の歪みパラメータを上述した方法によって算出するとともに、複数のモデル材の寿命消費率を実験により求めることによって予め作成することができる。図9に示したマスターカーブも他のマスターカーブと同様に、例えば、実験データに基づいて、適切な関数を用いて求められる。図示は省略するが、ステップDにおいて、歪みパラメータと余寿命との関係を示すマスターカーブを用いてもよい。
実施例では、状態の異なる4つの金属材料(Ni基合金)の寿命消費率を、上述の評価方法および実験により求めた。なお、上述の評価方法によって金属材料の寿命消費率を算出する際に、ステップDでは、図9で説明したマスターカーブ、すなわち、歪みパラメータと寿命消費率との関係を示すマスターカーブを用いた。上述の評価方法によって求めた寿命消費率(予測値)および実験により求めた寿命消費率(実測値)を下記の表2に示す。なお、下記の表2においては、寿命消費率を算出する過程において求めた均一格子歪み、相対標準偏差(RSD)および歪みパラメータも参考のために示す。
Figure 0006696412
表2に示すように、本実施形態に係る評価方法によって予測した寿命消費率は、実測値と大きな差が無かった。この結果から、本実施形態に係る評価方法によれば、金属材料の余寿命を適切に評価できることが分かる。なお、詳細な説明は省略するが、上述のステップD1およびステップD2で説明した方法によって算出した寿命消費率も同様に、実測値と大きな差が生じないことが確認できた。
本発明によれば、金属材料の劣化の程度にかかわらず金属材料の余寿命を適切に評価することができる。本発明は、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、Ni基合金、Fe−Ni基合金等の種々の金属材料の余寿命の評価に好適に利用できる。

Claims (4)

  1. 金属材料からなる評価対象の余寿命を評価する方法であって、
    (a)前記評価対象について、結晶粒径に関する第1パラメータを得るステップと、
    (b)前記評価対象について、残留応力に関する第2パラメータを得るステップと、
    (c)前記第1パラメータと前記第2パラメータとを乗算することによって歪みパラメータを得るステップと、
    (d)前記(c)のステップで得た歪みパラメータ、および予め求められた歪みパラメータと余寿命または寿命消費率との関係に基づいて、前記評価対象の余寿命を評価するステップと、
    を備える、金属材料の余寿命評価方法。
  2. 前記第1パラメータは、前記評価対象のX線回折像として得られるデバイ・シェラーリングの周方向におけるX線回折強度分布の偏差を示すパラメータである、
    請求項1に記載の金属材料の余寿命評価方法。
  3. 前記第2パラメータは、均一格子歪みまたは格子定数の変化の割合を示すパラメータである、
    請求項1または2に記載の金属材料の余寿命評価方法。
  4. 前記(d)のステップは、
    (d1)前記(c)のステップで得た歪みパラメータ、および予め求められた歪みパラメータとクリープ歪みとの関係を示すマスターカーブから、前記評価対象のクリープ歪みを求めるステップと、
    (d2)前記(d1)のステップで得た前記評価対象のクリープ歪み、および予め求められたクリープ歪みと余寿命または寿命消費率との関係を示すマスターカーブから、前記評価対象の余寿命または寿命消費率を求めるステップと、
    を含む、請求項1から3のいずれかに記載の金属材料の余寿命評価方法。
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