JP7093929B2 - ニッケル基超合金の劣化診断方法、装置およびシステム - Google Patents
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Description
本発明において、劣化状態を特定しようとする金属試料(以下、単に試料という)は、単結晶状態で構成されている。「単結晶状態」とは、X線ビームの照射領域内が単結晶になっている結晶試料の状態をいう。例えば、「単結晶状態」には、タービンブレード材として使われるNi基合金を成分として幅数mmのロット状の単結晶で形成される一方向凝固材の状態が含まれる。また、試料全体が単結晶をなす材料で形成されている状態も含まれる。
上記のような単結晶状態の試料に、白色X線を照射すると回折スポットとしていわゆるラウエ斑点が生じる。単結晶状態の試料が全く変形していない状態のラウエ斑点は円で現れるが、これが変形するにつれラウエ斑点の形状が円から楕円になり、さらに楕円の長軸が伸びる。
図2は、試料の劣化診断システム100の構成を示すブロック図である。劣化診断システム100は、測定装置110および処理装置150(劣化診断装置)を備えている。
測定装置110は、X線発生部120、試料台130および検出器140を備えている。X線発生部120は、白色X線を発生させる。発生された白色X線は試料に照射される。白色X線を照射することで、格子面間隔によって異なる回折スポットを同時に検出することができる。コリメータ等を備え、試料の結晶粒の大きさに合わせてビームサイズを調整可能であることが好ましい。
処理装置150は、PC等のCPUおよびメモリを備える装置で構成でき、測定装置110の制御および検出データの処理を行う。処理装置150は、位置調整部160、係数算出部170、劣化状態特定部180、記憶部185および出力部190を備えている。処理装置150は、X線発生部120、試料台130、位置調整部160からの検出器140の位置情報の入力および検出器140の測定結果の入力に対し、データを処理し、回折スポットSP1における回折ピークの状態を特定する。
上記のように構成された劣化診断システム100を用いて試料の劣化を診断する方法を説明する。図3は、試料の劣化診断方法を示すフローチャートである。図3に示すように、まず試料を試料台にセットする(ステップS1)。このときに試料のクリープ方向を試料台の表面に平行な方向に合わせる。
図4(a)、(b)は、それぞれ入射X線に対する試料の向きおよび試料上の照射点を示す図である。図4(a)に示すように、タービンブレードから切り出した試料S0は、タービンの回転中心側からブレードの先端側に向かう方向がクリープ方向となる。測定の際には、クリープ方向を入射X線R1からαだけ傾けて試料を設置する。図4(b)に示すように、測定位置によるデータのばらつきを低減するために、所定領域Q0内の複数の照射点P1~P6で測定する。照射点P1~P6の間隔は1mm以上空けることが好ましい。照射点に対して白色X線を照射すると、逆格子点と反射球E1の球面が交わった点に回折X線が生じ、検出面で回折スポットSP1が検出される。
高角側(例えば2θが90°超)の回折スポットを選択すれば、試料に対してX線を入射させて反射したX線を測定できる。したがって、装置構成をコンパクトにできるとともに手順が簡単になる。しかし、高角側の回折スポットは、回折線の強度が小さく、データのばらつきも大きくなる。現状では、低角側の回折スポット(例えば2θが90°以下)を選択する方が回折スポットの形が明確であり、結晶構造の乱れを特定しやすい。
また、なるべく多くの回折スポットを利用するのが好ましい。試料の領域によってクリープ変形を受けやすいところと受けにくいところがあり、格子面の滑りが微妙に異なるため各回折スポットにはその影響が現れる。したがって正しく試料の劣化を評価するためには、試料内の測定位置を複数とり、かつ多くの回折スポットを測定することにより得られた全データを平均するのが好ましい。なお、領域は6箇所程度、スポット10点程度を有して選択することが好ましい。
上記のように、分散に係る係数を算出する方向は、2θ方向である。ダイレクトビーム位置から放射方向の直線を引き、その直線方向についてピーク形状を切り出したり、回折スポットの形状を楕円に見立ててその長軸方向でピーク形状を切り出したりすることも可能である。ただし、タービンブレードの回転中心と先端を結ぶ方向にクリープによる負荷が掛かっており、特にクリープ変形の大きい試料面に垂直な格子面の変形を直接測定することは試料形状の関係上不可能である。したがって、クリープ方向と2θ方向のずれがほぼ90°と大きくても、タービンブレード側面に平行な格子面の回折スポットを測定することが好ましい。その結果、対象箇所に対して、ピーク形状の安定した2θ低角側の反射ラウエ写真を測定し、上記のようなピークの切り出しが可能となっている。
ニッケル基超合金の試料について760℃に温度を維持し、440Mpaで引っ張ることで破断するまでクリープ変形を与えた。そして、クリープ変形無し、クリープ寿命消費率35%、65%、破断の各状態の試料に白色X線を照射して回折ピークを検出した。検出された回折ピークから半価幅を算出した。この際には、各フレームで確認できる総数である数十個の回折スポットを利用した。
図10は、ラウエ法により得た寿命消費率と回折ピーク半価幅の関係を示すグラフである。図10に示すように、一つのクリープ寿命消費率にはそれぞれ4つ程度の半価幅の数値が対応しており、それらは概ね重なっている。この半価幅の数値は、1フレームの中の半価幅の平均を示している。なお、異なるフレームについても概ね同様の結果が得られた。
110 測定装置
120 X線発生部
130 試料台
135 調整機構
140 検出器
150 処理装置
160 位置調整部
170 係数算出部
180 劣化状態特定部
185 記憶部
190 出力部
DB1 ダイレクトビーム
F1 小枠
R1 入射X線
R2 回折線
SP1 回折スポット
α X線の入射角度
β 検出器の角度
E1 反射球
P1~P6 照射点
Claims (10)
- 単結晶状態で構成される金属試料の劣化診断方法であって、
前記金属試料に白色X線を照射するステップと、
前記照射により生じた回折スポットを2次元検出器により検出するステップと、
前記検出された回折スポットのうち異なる面指数を有する複数の回折スポットにおける特定方向の強度分布の分散にかかる係数を算出するステップと、
前記算出された係数から前記金属試料の劣化状態を特定するステップと、を含むことを特徴とする金属試料の劣化診断方法。 - 前記回折スポットの強度分布の分散にかかる係数は、前記特定方向のピークの半価幅であることを特徴とする請求項1記載の金属試料の劣化診断方法。
- 前記金属試料の劣化状態は、前記回折スポットの強度分布の分散にかかる係数から算出されるクリープ寿命消費率であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の金属試料の劣化診断方法。
- 前記2次元検出器の位置合わせ後は、各測定系の機器を静止したまま回折スポットを検出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の金属試料の劣化診断方法。
- 前記照射により生じた回折スポットのうち、2θが90°以下である回折スポットにおいて前記特定方向の強度分布の分散にかかる係数を算出することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の金属試料の劣化診断方法。
- 前記金属試料は、ニッケル固溶体母相内にニッケル基金属間化合物析出相が整合的に散在して単結晶状態を構成するニッケル基超合金であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の金属試料の劣化診断方法。
- 前記検出された回折スポットのうち、少なくとも2以上の格子面による回折スポットに基づいて前記金属試料の劣化状態を特定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の金属試料の劣化診断方法。
- 前記金属試料の複数の位置に白色X線を照射し、前記複数の位置に対して検出された回折スポットに基づいて前記金属試料の劣化状態を特定することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の金属試料の劣化診断方法。
- 単結晶状態で構成される金属試料の劣化診断装置であって、
標準試料をもとに準備された、回折スポットにおける特定方向の強度分布の分散にかかる係数とクリープ寿命消費率の関数を格納する記憶部と、
金属試料に白色X線を照射することで生じた回折スポットの2次元検出器による検出データに基づいて、前記検出データの回折スポットのうち異なる面指数を有する複数の回折スポットにおける特定方向の強度分布の分散にかかる係数を算出する係数算出部と、
前記算出された係数から前記金属試料の劣化状態を特定する劣化状態特定部と、を備えることを特徴とする金属試料の劣化診断装置。 - 単結晶状態で構成される金属試料の劣化診断システムであって、
白色X線を発生させるX線発生部と、
前記白色X線を照射する試料を搭載する試料台と、
前記試料により生じる回折スポットを検出する2次元検出器と、
前記X線発生部に対する前記検出器の配置を調整する位置調整部と、
標準試料をもとに準備された、回折スポットのうち異なる面指数を有する複数の回折スポットにおける特定方向の強度分布の分散にかかる係数とクリープ寿命消費率の関数を格納する記憶部と、
前記検出された回折スポットにおける特定方向の強度分布の分散にかかる係数を算出する係数算出部と、
前記算出された係数から前記金属試料の劣化状態を特定する劣化状態特定部と、を備えることを特徴とする金属試料の劣化診断システム。
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