JP3908003B2 - 反射高速電子回折用画像解析装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射高速電子回折による回折図形についての解析装置、強度解析方法に係り、特に、回折図形のハレーションを防止するハレーション防止フィルター、当該ハレーション防止フィルターを備える画像解析装置、当該ハレーション防止フィルターを用いる回折図形強度解析方法および当該回折図形強度補正プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
反射高速電子回折(Reflection High Energy Electron Diffraction)は、真空中で金属や半導体などの結晶を成長させる際に成長状態を実時間でモニターするための手法として、分子線エピタクシー(Molecular Beam Epitaxy)の分野などで幅広く用いられている解析手法のひとつである。
【0003】
特に、反射高速電子回折における鏡面反射点の強度を測定する事により、1原子層ごとの結晶成長が観察できる事が発見されて以来、反射高速電子回折は原子層レベルでの結晶成長制御において有用な方法として認められており、半導体デバイス作製など、様々な産業への応用がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の反射高速電子回折による回折図形(Diffraction pattern)を用いた画像解析装置では、回折図形を撮影すると、鏡面反射点の強度が、周囲の回折点や菊池図形(Kikuchi pattern)の強度よりも非常に強いため、鏡面反射点近傍がハレーション(強度飽和)を起こしてしまう。これは、特に回折図形全体を撮影すると顕著になり、ハレーションを避けるために撮影時の露光量を落とすと、今度は周囲の回折点や菊池図形が強度(光量)不足で観察されなくなってしまうという不都合があった。
【0005】
このような問題の存在により、露光量を落とさずにハレーションを回避する苦肉の策として、従来の反射高速電子回折による回折図形のCCDカメラを用いた観察は、鏡面反射点から零次ラウエゾーンまでに限定する事が多くなっていた。しかし、このような観察手法を用いた場合には、零次ラウエゾーンより外側の回折図形の情報を見落としてしまうため、試料の状態を精密に解析することができないという、前述した不都合とは別の問題に直面することになった。
【0006】
また、反射高速電子回折による回折図形を写真機で撮影する際における、回折図形に生じるハレーションへの対策として、撮影段階ではなく、印画紙への焼き付けの際に覆い焼きを行い、コントラストのよい回折図形を取得するという手法を採用することもあった。しかし、この手法では、強度解析を行う元となる光の強度に不可逆の修正が加えられたことになり、線形な強度解析は出来ないという問題があった。
【0007】
他方、ハレーションを抑える装置構成における対策として、真空槽内で蛍光板と測定試料との間に、遮蔽部と通過部を備えるセクタを用いる手法が挙げられる。詳細には、セクタは、幾何学的に計算して形を決めた羽根により遮蔽部を構成する。そして、この羽根を回転させたセクタ内を、測定試料の表面近傍で回折した電子線が通過するようにすることにより、セクタは、電子線の通過量を物理的に減少させて中心付近のハレーションを抑える機能を発揮する。
【0008】
しかし、現実には羽根に微小なゴミが付着しただけで、そのゴミの位置に対応する回転部分において大きな強度減衰が起きるため、この強度減衰が回折図形を形成する電子線に影響を与え、ひいては回折図形が物質の構造を正確に反映しないものとなってしまう。したがって、羽根には工作精度だけでなく清浄度も要求されるが、現実には、回転機構を採用する機構の複雑化もあいまって、ゴミ等を完全に排除することは困難である。ゆえに、実際にこのようなセクターを用いて回折強度解析を行う事は、測定精度の面からみても望ましいとはいえない。
【0009】
さらに、特開平7−6967号公報は、反射高速電子回折を用いた観察装置を開示するものであるが、特定の波長の光のみを選択的に透過させるフィルターを用いる構成を示唆するに過ぎない。すなわち、フィルターに入射される光をひとまとまりとして取り扱う思想に基づくものであり、光の透過率を段階的に変化させるという思想を想起させるものではない。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、かかる従来技術の有する不都合を改善し、特に、ハレーションがなくコントラストのよい回折図形を取得できる画像解析を実現することを目的とする。また、取得した回折図形におけるすべての点での強度の解析を可能にする画像解析を実現することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、反射高速電子回折による回折図形が現れる蛍光板と、当該回折図形を光学的に取得する受光手段と、を結ぶ光路上に、前記蛍光板の回折図形から発せられる可視光を透過させるように設けられるハレーション防止フィルターを採用する。そして、当該フィルターを透過する可視光の透過率を、当該フィルター中心が最も低く、中心からの距離に応じて高くなるように変化させる。
【0017】
本発明によると、フィルターの透過率をフィルター中心が最も低く、中心からの距離に応じて高くなるように変化させることにより、中心部の強度が高い回折図形であっても、中心部の強度を減少させ、周辺部との強度差を少なくすることができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明では、前記透過率は、フィルターの中心からの距離をrとしたときに、rのn乗に比例して高くなる構成とした。
【0019】
本発明によると、フィルターの中心からの距離をrのn乗に比例して透過率が高くなるので、中心付近や中間領域などにおいて透過率の平坦化を排除できる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の画像解析装置において、前記ハレーション防止フィルターを、前記光路に直交する面内で移動させる面内移動手段を有する構成とした。
【0021】
本発明によると、面内移動手段を有するので、ハレーション防止フィルターの中心を移動させることができる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1乃至請求項3に記載のいずれかの画像解析装置において、点光源を生成する発光手段と、当該発光手段の点光源の生成を制御する発光制御手段と、前記蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度と、前記フィルターを通した前記点光源が発する可視光の強度とを、前記受光手段を介して計測する強度計測手段と、当該強度計測手段が計測した前記点光源が発する可視光の強度に基づき、前記フィルターを透過した可視光の強度の減少率を算出する強度減少率算出手段と、当該強度減少率算出手段が算出した減少率に基づき、前記受光手段が計測した前記蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度を補正した補正強度を算出する補正強度算出手段と、を備える構成とした。
【0023】
本発明によると、フィルターを透過した可視光の強度の減少率を算出し、当該減少率に基づき蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度を補正した補正強度を算出するので、蛍光板の回折図形から実際に発せられる可視光の強度を取得できる。
【0032】
これらにより、前述した目的を達成しようとするものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
【0034】
以下、本発明の一実施形態を図1および図2に基づき説明する。ここで、図1は、本実施形態にかかる画像解析装置1の一例を示す全体概略図であり、図2は、画像解析装置1に用いられるハレーション防止フィルター12の一例を示す写真である。
【0035】
図1に示したように、本実施形態にかかる画像解析装置1は、反射高速電子回折による回折図形を得るための蛍光板24に現れる回折図形を光学的に取得する受光手段11と、受光手段11と蛍光板24とを結ぶ光路上に、蛍光板の回折図形から発せられる可視光を透過させるように設けられたハレーション防止フィルター12と、を備える。なお、図1において、符号Aは回折図形である。
【0036】
これを更に詳述すると、図1において、反射高速電子回折装置2は、測定対象となる測定試料3を保持する試料ホルダー21を内設する真空槽22と、測定試料3に対して電子線を照射する電子銃23と、測定試料3の表面における回折により生じる回折図形が現れる蛍光板24と、を備える。
【0037】
そして、画像解析装置1は、上述したように、蛍光板24に現れた回折図形を光学的に取得する受光手段11と、ハレーション防止フィルター12と、を備える。
【0038】
ここで、受光手段11は、蛍光板24に現れた回折図形を動画や静止画で撮影する手段である。例えば、CCDカメラ、ビデオカメラ、写真機などが挙げられる。受光手段11を用いた撮影では、真空槽22内で測定試料3の表面における結晶構造の変化を観察する、いわゆるその場観察(In-Situ Observation)の場合には動画撮影が選択され、取得した回折図形の強度について回折強度解析を行う場合には静止画撮影または動画撮影が選択される。
【0039】
ハレーション防止フィルター12は、上述したように、反射高速電子回折による回折図形が現れる蛍光板24と、回折図形を光学的に取得する受光手段11と、を結ぶ光路上に、蛍光板の回折図形から発せられる可視光を透過させるように設けられる。そして、フィルター12を透過する可視光の透過率を、フィルター中心が最も低く、中心からの距離に応じて高くなるように変化させている。なお、透過率とは、入ってきた光をどの程度透過させるものであるかをあらわすものであり、透過率100%は、光量を落とすことなく、そのまま透過させたことを意味する。
【0040】
具体的には、フィルター12の透過率は、フィルター12の中心からの距離をrとしたときに、rのn乗に比例して高くなるように設定する。すなわち、観測される面内において、位置に依存しない一様な光量密度の光をフィルターに透過させた場合に、中心から面内距離r離れた位置での光量密度の透過率がrのn乗に比例する相関関係を呈するものである。
【0041】
そして、フィルター12は、光学的に透明なシートまたは板に、グラデーションパターンを印刷する事によって得られる。このようなグラデーションパターンは、コンピュータグラフィックによって容易に得ることができる。例えば、OHPシートにグラデーションパターンを印刷するという手法によりフィルター12を製造してもよい。
【0042】
このハレーション防止フィルター12の具体的な実施形態の一例を図2に示す。図2に示したように、フィルター12は、中心部から周辺部にいくにつれて変化するグラデーションパターンを備えるものである。ここで、図2に示したフィルター12は、上述した距離との相関関係においてn=0.5としたパターンであり、フィルター中心が最も透過率が低く、その中心からの距離rに対して透過率がrの0.5乗になるような、透過率の勾配を持つ。
【0043】
n=0.5としたのは、CCDカメラは写真機よりも強度のダイナミックレンジが広いという特性を踏まえた、本願発明者の実験により導き出されたものである。他方、写真機の場合には、フィルター12の効果が一番有効になるための条件として、n=3とするのが好適である。
【0044】
なお、図1に示したように、フィルター12は、蛍光板24と受光手段11であるCCDカメラとの間に設置される。本実施形態では、蛍光板24の大きさが直径100mmから200mmとした場合に、蛍光板24からCCDカメラ11までの距離が200mmから500mmとなるように設定される。
【0045】
ここで、本実施形態における回折図形の取得の工程について説明する。まず、試料ホルダー21に計測対象となる測定試料3を載置する。測定試料3を試料ホルダー21に配した後、真空槽22内を所定の真空度にまで下げる。その後、電子銃23から入射電子線を測定試料3に照射する。
【0046】
この入射電子線は、測定試料3の計測対象面に対して、表面すれすれとなるように入射させる。このとき、測定試料3の表面において、入射電子線は表面付近の原子によって反射・回折する。入射電子線は表面すれすれに入射するので、入射電子線の潜り込みは試料表面から数原子層に留まることになる。反射・回折した電子線は、蛍光板24において発光現象を生じさせ、表面近傍の原子構造に応じた斑点状の回折図形を蛍光板24上に現すこととなる。
【0047】
そして、この蛍光板24上に現れた回折図形を、フィルター12を介して受光手段11により光学的に取得する。回折図形の取得にあたっては、測定試料の表面の原子構造に敏感な回折図形をリアルタイムで得ることも可能である。
【0048】
ここで、CCDカメラなど、焦点をあわせる必要がある受光手段11を用いた場合、CCDカメラ11のピントは蛍光板24に合わせて撮影するので、フィルター12のパターンは、撮影される画像に直接的に現れることはない。CCDカメラ11が受光する可視光の光量、すなわち強度の減少が、フィルター12の透過率に応じたかたちで画像に反映される。
【0049】
このため、フィルター12に対してCCDカメラ11の焦点は合っていないので、グラデーションパターンの解像度が多少粗いものであっても、その粗さがフィルター12を介して撮影した画像へ影響する程度は微小である。ゆえに、本実施形態にかかるフィルター12の製造にあたっては、パターンに対して高精度を要求とされないので、容易かつ安価に製造できるという利点があるといえる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では、フィルターの透過率をフィルター中心が最も低く、中心からの距離に応じて高くなるように変化させることにより、中心部の強度が高い回折図形であっても、中心部の強度を減少させ、周辺部との強度差を少なくすることができる。ひいては、回折図形の全体を光学的に取得しても、ハレーションが生じていない回折図形全体を取得させる環境を提供できる。
【0051】
また、受光手段においてハレーションが生じない受光許容範囲内に蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度をおさめることができる。
【0052】
そして、さらに、フィルターの中心からの距離をrのn乗に比例して透過率が高くなるので、中心付近や中間領域などにおいて透過率の平坦化を排除できる。ひいては、透過率の距離依存性を急峻なものとでき、中心部近傍での光量を周辺部に比して効果的かつ十分に落とすことができる。
【0053】
〔第2実施形態〕
【0054】
次に、本発明の第2の実施形態を図3に基づいて説明する。ここで、前述した第1実施形態と同一の構成部分については、同一の符号を付して重複説明を省略する。図3は、本実施形態にかかる画像解析装置4を示す全体概略図である。
【0055】
本実施形態では、画像解析装置4が、前述した第1の実施形態の構成に加えて、ハレーション防止フィルター12を、受光手段11と蛍光板24とを結ぶ光路に直交する面内で移動させる面内移動手段13および面内移動手段14を有する。ただし、フィルター12を面内の任意の位置に移動可能とするために、面内移動手段13と面内移動手段14とがフィルター12を面内で移動させる方向を異ならせている。
【0056】
このような面内移動手段を設けたのは、通常の反射高速電子回折図形の撮影において、画像の中心から半分程度ずれた位置に鏡面反射点が位置し、その位置は撮影条件によって変動するという点に鑑みたものである。
【0057】
以下、詳細に本実施形態を説明する。
【0058】
本実施形態にかかる画像解析装置4は、図3に示したように、受光手段11と蛍光板24とを結ぶ光路に直交する面内において、図中X方向にフィルター12を移動させるX方向面内移動手段13と、図中Y方向にフィルター12を移動させるY方向面内移動手段14とを備える。
【0059】
X方向面内移動手段13は、フィルター12を支持するX方向移動部材13aと、X方向送りねじ軸部材13bと、X方向駆動モータ13cと、X方向送りねじ軸軸受け13dとから構成される。
【0060】
ここで、X方向移動部材13aには、内部に貫通孔が設けられており、この貫通孔の内表面には、X方向送りねじ軸部材13bの表面に形成された雄ねじ部に対応する雌ねじ部が設けられる。そして、X方向送りねじ軸部材13bの一端を軸受け13dにより支持し、他端をX方向駆動モータ13cに接続する。これにより、X方向駆動モータ13cを正逆回転させてフィルター12のX方向における移動を制御する。
【0061】
同様に、Y方向面内移動手段14は、フィルター12を支持するY方向移動部材14aと、Y方向送りねじ軸部材14bと、Y方向駆動モータ14cと、Y方向送りねじ軸軸受け14dとから構成される。
【0062】
Y方向移動部材14aには、内部に貫通孔が設けられており、この貫通孔の内表面には、Y方向送りねじ軸部材14bの表面に形成された雄ねじ部に対応する雌ねじ部が設けられる。そして、Y方向送りねじ軸部材14bの一端を軸受け14dにより支持し、他端をY方向駆動モータ14cに接続する。これにより、Y方向駆動モータ14cを正逆回転させてフィルター12のY方向における移動を制御する。
【0063】
本実施形態にかかる画像解析装置4の使用にあたっては、上述したX方向面内移動手段13とY方向面内移動手段14とを制御して、フィルター12の透過率が最も低い中心を、回折図形の鏡面反射点の位置にあわせた上で、受光手段11により回折図形を取得する。
【0064】
具体的には、蛍光板24からフィルター12までの距離およびフィルター12から受光手段11までの距離は固定した状態で、X方向駆動モータ13cおよびY方向駆動モータ14cを回転させ、X方向移動部材13aおよびY方向移動部材14aとを移動させる。そして、例えば、受光手段11が撮影している画像をモニターなどに表示させながら、受光手段11から回折図形を見たときに、フィルターの中心が蛍光板24の鏡面反射点に重なるよう、フィルターの設置位置を決定する。その後、受光手段11により、中心をあわせたフィルター12を介して蛍光板24に現れた回折図形を撮影する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態では、面内移動手段13,14を有するので、ハレーション防止フィルター12の中心を移動させることができ、反射高速電子回折を引き起こす電子線の入射方向に応じた鏡面反射点の変位にあわせて、適切な回折図形の取得が可能となる。ひいては、自由度の高いハレーション防止機構を備える画像解析装置4を提供できる。
【0066】
〔第3実施形態〕
【0067】
次に、本発明の第3の実施形態を図1、図4乃至図6に基づいて説明する。ここで、前述した実施形態と同一の構成部分については、同一の符号を付して重複説明を省略する。また、図4は、本実施形態にかかる画像解析装置5を示す概略図であり、図5は、画像解析装置5が備える回折図形強度補正手段16の機能ブロック図である。そして、図6は、回折図形強度補正手段16が備える計測強度記憶手段35のデータ構造図である。なお、図4において、符号Bは点光源である。
【0068】
本実施形態は、前述した第1および第2の実施形態のように、フィルター12を介して回折図形を得ることによりハレーションを防止する構成を採用した場合において、画像解析装置を用いた強度解析の精度をより高いものとするためには、フィルター12を透過させる可視光の強度に対し、フィルター12が与える影響を考慮することが効果的であるとの認識に基づき発明されたものである。
【0069】
本実施形態にかかる画像解析装置5は、図4および図5に示したように、前述した第1の実施形態で説明した蛍光板24を備える反射高速電子回折装置2の基本構成(図1参照)に加えて、点光源を生成する発光手段15と、発光手段15の点光源の生成を制御する発光制御手段31と、蛍光板の回折図形から発せられる可視光のフィルター12を通した強度と、フィルター12を通した点光源が発する可視光の強度とを、受光手段11を介して計測する強度計測手段32と、強度計測手段32が計測した点光源が発する可視光の強度に基づき、フィルター12を透過した可視光の強度の減少率を算出する強度減少率算出手段33と、強度減少率算出手段33が算出した減少率に基づき、受光手段11が計測した蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度を補正した補正強度を算出する補正強度算出手段36と、を備える。
【0070】
より詳細には、発光手段15は、後述する発光制御手段31の制御下において、点光源を任意の位置に生成する手段であり、例えば液晶パネルなどが挙げられる。図4に示したように、発光手段15は、第1の実施形態では蛍光板24が配置されていた箇所に、着脱可能に設けられるのが望ましい。これは、現実に回折図形を取得する環境下における補正パラメータを取得することができるためであり、最も正確な補正が可能となる。
【0071】
ここで、発光手段15を蛍光板24に重ねるなど、蛍光板24の配置箇所に発光手段15を取り付ける方式を採用する場合には、蛍光板24の配置箇所と完全に一致しないことにより生じる計測条件の誤差をできる限り少なくする必要がある。具体的には、後述する強度の減少を考慮した補正において許容される誤差の範囲内におさまることが条件とされる。
【0072】
すなわち、図4に示したごとく、回折図形を取得する時における蛍光板24と受光手段11との間の距離(図1参照)と同じ距離になるように、発光手段15と受光手段11との間の距離を調整し、さらに、回折図形を取得する時における受光手段11とフィルター12との間の距離と同じになるように、点光源を撮影する時の受光手段11とフィルター12との間隔を調整する。ただし、蛍光板24とフィルター12と受光手段11とが構成する位置関係と相似関係が成立する配置を行う構成を採用し、近似して補正強度を求める方式を採用してもよい。
【0073】
また、図5に示した発光制御手段31、強度計測手段32、強度減少率算出手段33、強度減少率記憶手段34、計測強度記憶手段35、補正強度算出手段36は、画像解析装置5が備える回折図形強度補正手段16に設けられた不図示の記憶手段、処理手段により実現される手段である。なお、これら各手段を備える回折図形強度補正手段16としては、受光手段11が取得した画像情報の解析をも行うパーソナルコンピュータなどの情報処理装置を想定している。
【0074】
記憶手段とは、情報を所定の領域に記憶する手段であり、例えば、RAMなどのいわゆるメモリや、HDDやCD−Rなどの記憶媒体などが挙げられる。ただし、特定の一の媒体に限られるものではなく、複数の記憶媒体を組み合わせた構成であってもよい。
【0075】
また、処理手段とは、CPUなどの演算手段を含む情報の処理手段であり、前述した記憶手段や、受光手段11から画像情報を受け付ける入出力インターフェース(不図示)などの動作を制御する。ただし、特定の一の演算手段のみからなる構成に限られず、複数の演算手段を有し、情報の並列処理を可能とした構成であってもよい。
【0076】
そして、処理手段は、記憶手段の所定の領域に格納された回折図形強度補正プログラムにしたがい、外部からの指示などを処理開始の契機として、上述した発光制御手段31、強度計測手段32、強度減少率算出手段33、補正強度算出手段36を実現する。
【0077】
ここで、発光制御手段31は、発光手段15において点光源を生成する制御を行う手段である。発光制御手段31が、発光手段15の任意の一点において、所定の強度の光量を発するように制御することにより、後述する強度減少率を算定するための基準となる基準強度を発する点光源を、自由な位置に設定することができる。
【0078】
強度計測手段32は、受光手段11が取得した画像情報に基づき、画像情報に含まれる特定箇所の可視光の強度(光量)を取得する手段である。強度計測手段32は、点光源が発する光の強度の計測に用いられるだけでなく、前述した蛍光板の回折図形から発せられる光の強度の計測にも用いられる。
【0079】
強度減少率算出手段33は、フィルターを透過することにより減少した点光源の強度の減少率を算出するための手段である。ここで、強度減少率とは、任意の位置で発した光の強度が、透過率を変化させたフィルター12を透過することによって、どの程度減少するかを表すパラメータであり、強度減少率が0%の場合は、フィルター12による強度の減少がなく、光量の減衰がないということを意味する。
【0080】
詳細には、強度計測手段32が計測した点光源の強度と、理論的または実測により得た、ハレーション防止フィルター12を介さない場合の点光源が発する可視光の基準強度と、に基づき、フィルター12を設けない場合に比較してどの程度フィルター12を介すると可視光の光量が減少するか、を算出する。
【0081】
強度減少率記憶手段34は、前述した不図示の記憶手段における所定の領域に、強度減少率算出手段33が算出した強度減少率を記憶する手段であり、点光源の位置、すなわち蛍光板24における特定の位置座標と関連付けて強度減少率を記憶する。
【0082】
計測強度記憶手段35は、前述した不図示の記憶手段における所定の領域に、受光手段11により計測した対象から発せられる可視光の強度を記憶する手段である。本実施形態においては、強度計測手段32がフィルター12を介した状態で回折図形を計測した場合の回折図形の強度を記憶する。
【0083】
補正強度算出手段36は、計測強度記憶手段35が記憶した回折図形の強度について、強度減少率記憶手段34が記憶した強度減少率に基づき、補正した強度を算出する手段である。
【0084】
なお、図5に示した外部装置17は、回折図形強度補正手段16に接続され、回折図形強度補正手段16が導出した補正後の回折図形の強度を受け付ける装置である。例えば、表示モニタや他の計測機器などが挙げられる。
【0085】
本実施形態の構成を採用することにより、フィルターを透過した可視光の強度の減少率を算出し、当該減少率に基づき蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度を補正した補正強度を算出するので、蛍光板の回折図形から実際に発せられる可視光の強度を取得でき、ひいては、正確な強度解析を行うことができる環境を提供できる。
【0086】
また、本実施形態における回折図形の強度解析では、反射高速電子回折による蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度を解析する。そして、その回折図形強度解析方法として、フィルター12の中心の透過率が最も低く、中心からの距離に応じて透過率が高くなるように変化させたハレーション防止フィルター12を介して、蛍光板24に現れた回折図形の強度を受光手段11により計測する工程と、フィルターを介して、点光源の強度を前記受光手段により計測し、当該計測結果に基づき、当該フィルターを透過した可視光の強度の減少率を取得する工程と、前記受光手段により計測した回折図形の強度を、前記減少率に基づき補正する工程と、を備える方法を採用する。
【0087】
このような回折図形強度解析方法を採用すると、中心からの距離に応じて当該透過率が高くなるように変化させたハレーション防止フィルターを介して回折図形の強度を計測する工程と、当該フィルターに起因する強度の減少率を取得する工程と、当該減少率に基づき前記回折図形の強度を補正する工程とを備えるので、蛍光板の回折図形から実際に発せられる可視光の強度を取得でき、ひいては、正確な強度解析を行うことができる。
【0088】
次に、上述した発光制御手段31、強度計測手段32、強度減少率算出手段33、補正強度算出手段36などを実現する回折図形強度補正プログラムについてより詳細に説明する。
【0089】
本実施形態にかかる回折図形強度補正プログラムは、反射高速電子回折による蛍光板の回折図形から発せられる可視光を透過させる際の透過率を、フィルター中心が最も低く、中心からの距離に応じて高くなるように変化させたハレーション防止フィルター12を介して、受光手段11が計測した点光源が発する可視光の強度を計測する強度計測手段32と、強度計測手段32が計測した強度と、ハレーション防止フィルター12を介さない場合の点光源が発する可視光の基準強度と、に基づき、減少率を算出する強度減少率算出手段33と、強度減少率算出手段33が算出した減少率を記憶した強度減少率記憶手段34と、ハレーション防止フィルター12を介し、受光手段11が計測した蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度を記憶した計測強度記憶手段35と、強度減少率記憶手段34が記憶した減少率に基づき、計測強度記憶手段35が記憶した強度を補正して回折図形の補正強度を算出する補正強度算出手段36と、を実現する。
【0090】
具体的には、上述した回折図形強度補正プログラムに基づく処理として、蛍光板24上の任意の点(x,y)から発せられる光について、受光手段11を用いて計測した場合のフィルターの強度減少率T(x,y)を求め、その上で、受光手段11を用いて計測した回折図形の強度IC(x,y)に基づき、透過補正された強度I(x,y)を求めるという処理を行う。
【0091】
以下、回折図形強度補正プログラムに基づく処理について、強度減少率を算定する処理と、回折図形の強度を補正する処理とに大別して詳述する。
【0092】
まず、強度減少率を算定する一連の処理について説明する。最初に、強度減少率算出手段33は、強度減少率を算出するにあたり、基準として用いる点光源の強度IOを定め、その強度の点光源を生成させるよう、発光制御手段31に対して指示情報を受け渡す。受け渡された指示情報に基づき、発光制御手段31は、発光手段15に対し、所定の位置(x1,y1)において所定の強度IOで発光する点光源を生成するように制御情報を送る。送られた制御情報に基づき、発光手段15は、基準となる点光源を所定の位置(x1,y1)に生成する。
【0093】
そして、強度計測手段32は、透過率を変化させたフィルターを設置した状態で、受光手段11を介して発光手段15が生成した点光源の強度IOC(x1,y1)を計測する。続いて、強度計測手段32は、計測した点光源の強度IOC(x1,y1)を、記憶手段の所定の領域に格納し、格納した強度IOC(x1,y1)を強度減少率算出手段33に受け渡す。
【0094】
計測結果である強度IOC(x1,y1)を受け付けた強度減少率算出手段33は、発光制御手段31に対して受け渡した強度IOと受け付けた強度IOC(x1,y1)とに基づき、強度減少率T(x1,y1)を算出する。強度減少率算出手段33は、算出した強度減少率T(x1,y1)を、強度減少率記憶手段34に受け渡す。
【0095】
続いて、強度減少率記憶手段34は、強度減少率算出手段33が算出した強度減少率T(x1,y1)と、その位置座標(x1,y1)と、を関連付けて記憶する。最終的に、強度減少率記憶手段34は、異なる位置座標(xi,yi)毎に強度減少率T(xi,yi)を記憶し、フィルター12を用いた場合の強度減少率のデータベースとして機能する。
【0096】
ここで、計測された点光源の計測強度IOC(xi,yi)、基準強度IO、そして強度減少率T(xi,yi)の関係は次式(1)を成立させる。
【数1】
Figure 0003908003
【0097】
なお、位置座標(xi,yi)については、反射高速電子回折装置2の蛍光板24が設けられ、また、発光手段15が取り付けられる設置面25の絶対座標として与えられてもよいし、フィルター12の中心からの相対座標として与えられるものであってもよい。
【0098】
以上が、点光源を用いた強度減少率を算定する一連の処理であり、この後、算定した強度減少率を用いて、回折図形の強度を補正する一連の処理へと進むことになる。以下、回折図形の強度を補正する処理について説明する。
【0099】
まず、前述した実施形態と同様に、受光手段11を介して、フィルター12を用いた状態で回折図形を光学的に取得する。この回折図形の取得は、強度計測手段32の制御下で行われる。強度計測手段32は、計測した回折図形の計測強度IC(xi,yi)とその位置座標(xi,yi)を計測強度記憶手段35に受け渡す。
【0100】
計測強度記憶手段35は、図6に示したように、計測強度IC(xi,yi)と位置座標(xi,yi)とを関連付けて記憶する。なお、計測強度ICは、多いことが望ましいが、少なくとも解析する対象となる回折図形の輝点位置に応じて計測されていれば足りる。
【0101】
そして、補正強度算出手段36は、計測強度記憶手段35から計測強度IC(xi,yi)と位置座標(xi,yi)を、強度減少率記憶手段34から強度減少率T(xi,yi)を受け付け、受け付けた位置座標(xi,yi)をインデックスにして、実際の強度を示す補正後の強度I(xi,yi)を算出する。その後、補正強度算出手段36は、補正後の強度I(xi,yi)を、表示モニタや他の計測機器などの外部装置17に受け渡す。
【0102】
ここで、計測された回折図形の計測強度IC(xi,yi)、強度減少率T(xi,yi)、および補正された回折図形の強度I(xi,yi)の関係は次式(2)を成立させる。
【数2】
Figure 0003908003
【0103】
以上説明したように、本実施形態においては、中心からの距離に応じて透過率が高くなるように変化させたハレーション防止フィルター12を介して受光手段11が計測した点光源の強度を計測する強度計測手段32と、その計測した強度とハレーション防止フィルター12を介さない場合の点光源の基準強度とに基づき減少率を算出する強度減少率算出手段33と、その減少率を記憶した強度減少率記憶手段34と、ハレーション防止フィルター12を介し受光手段11が計測した回折図形の強度を記憶した計測強度記憶手段35と、強度減少率記憶手段34が記憶した減少率に基づき回折図形の補正強度を算出する補正強度算出手段36と、を実現するので、ハレーション防止フィルター12が用いられる環境に応じて、ハレーション防止フィルター12を介して取得した回折図形の強度を補正することが可能となり、蛍光板の回折図形から実際に発せられる可視光の正確に校正された強度の取得を可能となる。
【0104】
ここで、本実施形態は、上述した形態に限られるものではない。例えば、以上説明した手順により補正される回折図形の強度の補正は、取得した減少率に基づき、カンデラなど所定の単位系による数値で表される強度情報に対して行う補正に限られるものではない。数値に対する補正に代えて、取得した減少率に基づき、回折図形を現す画像情報そのものに対して画像加工を行うなど、視覚的な強度情報を補正するものであってもよい。
【0105】
また、本実施形態は、第1の実施形態を基本として、発光手段15や回折図形強度補正手段16などを備える構成を採用したが、これに代えて、第2の実施形態を基本として、発光手段15や回折図形強度補正手段16などを備える構成としてもよい。
【0106】
加えて、上述した回折図形強度補正プログラムは、HDDなどの記憶手段に対し、いわゆるプリインストールのかたちで導入されている形態に限られるものではなく、CD−ROM、DVD−ROMなどの可搬記憶媒体にインストール用プログラムとして圧縮されたかたちで記憶されており、必要に応じてパーソナルコンピュータなどの機器にインストールされる形態であってもよい。
【0107】
〔変形例〕
【0108】
上述した第3の実施形態の変形例について図7に基づき説明する。ここで、前述した実施形態と同一の構成部分については、同一の符号を付して重複説明を省略する。また、図7は、本変形例にかかる回折強度補正手段18の機能ブロック図である。
【0109】
本変形例は、強度解析についても、市販の任意の強度解析プログラム(ソフトウェア〉に対して、第3の実施形態で説明したようなI(x,y)およびT(x,y)の式を用いて強度補正するルーチンを加えることによつて容易に可能となる点に着眼したものである。
【0110】
すでに受光手段11の解像度、レンズ開放値など、所定のスペックが明らかである場合など、フィルター12についての強度補正のために実測を必要としない画像解析装置においては、補正内容を初期値として組み込んでパッケージ化した構成を採用できる。
【0111】
具体的には、前述した第3実施形態の変形例として、図7に示したように、強度補正プログラムが、反射高速電子回折による蛍光板の回折図形から発せられる可視光を透過させる際の透過率を、フィルター中心が最も低く、中心からの距離に応じて高くなるように変化させた不図示のハレーション防止フィルターを介し、受光手段11が計測した蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度を記憶した計測強度記憶手段35と、そのハレーション防止フィルターを透過した可視光の強度の減少率を記憶した強度減少率記憶手段37と、強度減少率記憶手段37が記憶した減少率に基づき計測強度記憶手段35が記憶した強度を補正して回折図形の補正強度を算出する補正強度算出手段36と、を実現する回折図形強度補正手段18を機能させるものであってもよい。
【0112】
ここで、強度減少率記憶手段37は、前述したように、受光手段11やハレーション防止フィルターの所定の設置データやスペックに応じた強度減少率を初期補正パラメータとして記憶している。なお、この強度減少率記憶手段37のデータ構造は、図6に示した計測強度I(xi,yi)に代えて、強度減少率T(xi,yi)と位置座標(xi,yi)とを関連付けた構造を採用する。
【0113】
このような変形例を用いても、中心からの距離に応じて透過率が高くなるように変化させた不図示のハレーション防止フィルターを介し、受光手段11が計測した回折図形の強度を記憶した計測強度記憶手段35と、そのハレーション防止フィルターを透過した可視光の強度の減少率を記憶した強度減少率記憶手段37と、強度減少率記憶手段37が記憶した減少率に基づき計測強度記憶手段37が記憶した強度を補正して回折図形の補正強度を算出する補正強度算出手段36と、を実現するので、ハレーション防止フィルターを介して取得した回折図形の強度を補正することが可能であり、蛍光板の回折図形から実際に発せられる可視光の強度の取得を可能とする。ひいては、簡単に正確な強度解析を行うことができる環境を提供できる。
【0114】
〔比較例〕
【0115】
続いて、以上説明したハレーション防止フィルターを用いた場合と用いない場合の比較例を図8および図9に基づき説明する。図8は、ハレーション防止フィルターを用いない従来の方法により、Si(111)単結晶清浄表面の反射高速電子回折図形をCCDカメラで撮影したときの写真であり、図8(a)、図8(b)、図8(c)のそれぞれは、露出時間を異ならせて撮影したものである。他方、図9は、ハレーション防止フィルターを用いてSi(111)単結晶清浄表面の反射高速電子回折図形をCCDカメラで撮影したときの写真である。
【0116】
以下、具体的に図8および図9を説明する。
【0117】
図8(a)は、露光時間を0.5秒とした撮影条件により得られた回折図形であり、図8(b)は、露光時間を1秒とした撮影条件により得られた回折図形であり、図8(c)は、露光時間を2秒とした撮影条件により得られた回折図形である。なお、当然に、対象となる回折図形は、同じ回折図形を用いている。
【0118】
図8(a)は、露出時間が足りないため、鏡面反射点近傍のハレーションはないが、第1ラウエゾーンよりも外側の菊池図形は露出不足のため暗くて判別できない。
【0119】
そして、第1ラウエゾーンよりも外側の菊池図形を判別するため、露出時間を増加させていくと、図8(b)および(c)に示したように変化して行く。具体的には、図8(b)に示したように、露光時間を増やし1秒とすると、第1ラウエゾーン近辺の菊池図形が判別できるようになるが、鏡面反射点近傍でハレーションが起こる。さらに、第2ラウエゾーンなどを検証するため、露光時間を2秒とすると、図8(c)に示したように、鏡面反射点近傍だけでなく零次のラウエゾーンよりも内側は完全にハレーションを起こしてしまう。
【0120】
これに対して、フィルターのグラデーションの変化勾配、すなわち透過率の変化をn=0.5となるように設定したハレーション防止フィルターを用いた場合の回折図形が図9に示したものである。なお、撮影した回折図形は、図8と同じ回折図形であり、撮影したCCDカメラも同じものである。
【0121】
そして、前述した図8に示した条件下では、最初にハレーションを引き起こしたのは鏡面反射点近傍であった。これを考慮して、図9に示した回折図形の撮影にあたっては、図8に示した写真との比較例として、鏡面反射点近傍で、ハレーションを起こさないよう露出時間を設定した。なお、このときの露出時間は4秒であった。
【0122】
図9に示したように、ハレーション防止フィルターを用いた場合には、図8(a)と同様の鏡面反射点付近での可視光強度を維持しつつ、第2ラウエゾーンよりも外側に出現している菊池図形まで明瞭に撮影することに成功している。
【0123】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成され機能するので、請求項1の発明では、フィルターの透過率をフィルター中心が最も低く、中心からの距離に応じて高くなるように変化させることにより、回折図形の全体を光学的に取得しても、ハレーションが生じていない回折図形全体を取得させる環境を提供できる。
【0126】
また、請求項2に記載の発明では、フィルターの中心からの距離をrのn乗に比例して透過率が高くなるので、中心部近傍での光量を周辺部に比して効果的かつ十分に落とすことができる。
【0127】
また、請求項3に記載の発明では、面内移動手段を有するので、回折図形の鏡面反射点の変位に対応できる自由度の高いハレーション防止機構を提供できる。
【0128】
また、請求項4に記載の発明では、フィルターを透過した可視光の強度の減少率を算出し、当該減少率に基づき蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度を補正した補正強度を算出するので、正確な強度解析を行うことができる環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる画像解析装置の一例を示す全体概略図である。
【図2】図1に示したハレーション防止フィルターの一例を示す写真である。
【図3】本発明の第2実施形態にかかる画像解析装置の一例を示す全体概略図である。
【図4】本発明の第3実施形態にかかる画像解析装置の一例を示す概略図である。
【図5】図4に示した画像解析装置が備える回折図形強度補正手段の機能ブロック図である。
【図6】図5に示した回折図形強度補正手段の備える計測強度記憶手段のデータ構造図である。
【図7】図5に示した回折図形強度補正手段の変形例を示す機能ブロック図である。
【図8】本発明にかかるハレーション防止フィルターを用いないで撮影した回折図形の一例を示す写真であり、(a)は、露光時間を0.5秒とした場合、(b)は、露光時間を1秒とした場合、(c)は、露光時間を2秒とした場合の写真である。
【図9】本発明にかかるハレーション防止フィルターを用いて撮影した回折図形の一例を示す写真である。
【符号の説明】
1 画像解析装置
2 反射高速電子回折装置
3 測定試料
4 画像解析装置
5 画像解析装置
11 受光手段
12 ハレーション防止フィルター
13 X方向面内移動手段
13a X方向移動部材
13b 軸部材
13c X方向駆動モータ
14 Y方向面内移動手段
14a Y方向移動部材
14b 軸部材
14c Y方向駆動モータ
15 発光手段
16 回折図形強度補正手段
17 外部装置
18 回折図形強度補正手段
21 試料ホルダー
22 真空槽
23 電子銃
24 蛍光板
25 設置面
31 発光制御手段
32 強度計測手段
33 強度減少率算出手段
34 強度減少率記憶手段
35 計測強度記憶手段
36 補正強度算出手段
37 強度減少率記憶手段

Claims (4)

  1. 反射高速電子回折装置と、この反射高速電子回折装置が備える蛍光板に現れる回折図形を光学的に取得する受光手段と、当該受光手段と前記蛍光板とを結ぶ光路上に、前記蛍光板の回折図形から発せられる可視光を透過させるように設けられたハレーション防止フィルターとを備え
    前記反射高速電子回折装置が、測定対象となる測定試料を保持する試料ホルダーを内設する真空槽と、前記測定試料に対して電子線を照射する電子銃と、前記測定試料の表面における回折により生じる回折図形が現れる前記蛍光板とを備えた反射高速電子回折用画像解析装置であって、
    前記フィルターは、当該フィルターを透過する可視光の透過率を、当該フィルター中心が最も低く、中心からの距離に応じて高くなるように変化させたことを特徴とする反射高速電子回折用画像解析装置。
  2. 前記透過率は、フィルターの中心からの距離をrとしたときに、rのn乗に比例して高くなることを特徴とする請求項1に記載の反射高速電子回折用画像解析装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の反射高速電子回折用画像解析装置において、
    前記ハレーション防止フィルターを、前記光路に直交する面内で移動させる面内移動手段を有することを特徴とする反射高速電子回折用画像解析装置。
  4. 請求項1乃至請求項3に記載のいずれかの反射高速電子回折用画像解析装置において、
    点光源を生成する発光手段と、
    当該発光手段の点光源の生成を制御する発光制御手段と、
    前記蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度と、前記フィルターを通した前記点光源が発する可視光の強度とを、前記受光手段を介して計測する強度計測手段と、
    当該強度計測手段が計測した前記点光源が発する可視光の強度に基づき、前記フィルターを透過した可視光の強度の減少率を算出する強度減少率算出手段と、
    当該強度減少率算出手段が算出した減少率に基づき、前記受光手段が計測した前記蛍光板の回折図形から発せられる可視光の強度を補正した補正強度を算出する補正強度算出手段と、
    を備えることを特徴とする反射高速電子回折用画像解析装置。
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