JP2000275113A - X線応力測定方法および測定装置 - Google Patents

X線応力測定方法および測定装置

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JP2000275113A
JP2000275113A JP11081738A JP8173899A JP2000275113A JP 2000275113 A JP2000275113 A JP 2000275113A JP 11081738 A JP11081738 A JP 11081738A JP 8173899 A JP8173899 A JP 8173899A JP 2000275113 A JP2000275113 A JP 2000275113A
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ray
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angle
diffraction
rays
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Takashi Noma
敬 野間
Kazuhiro Takada
一広 高田
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料表面におけるX線の屈折の効果を排除
し、試料の表面近傍もしくは薄膜形態試料における内部
応力を正確に測定する。 【解決手段】 試料3は、試料回転機構21上に保持さ
れており、これによりX線源9からの一次X線4の入射角
度αが5°以下に設定される。試料3で回折した回折X
線5は、X線検出器6でその強度が測定される。算出部
19は、X線検出器6で測定された回折X線5の強度分
布から回折角度θを検出し、入射角度αと回折角度θの
データから、X線の屈折による影響がないときの回折角
度を求め、それに基づいて試料3の内部応力を算出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線を照射するこ
とによって、金属、半導体、セラミックス等の材料の表
面近傍もしくは薄膜形態における残留応力を測定する、
X線応力測定方法及び測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】X線応力測定法は、X線回折の回折角度
から、結晶格子面間隔dを測定し、その結晶格子面間隔
dの変化がフックの法則に従うものとして試料中の内部
応力を求める方法である(日本材料学会編「X線材料強
度学」養賢堂)。
【0003】まず最初に、多結晶試料における一般的な
X線応力測定方法の原理について説明する。
【0004】図7は、従来のX線応力測定方法(並傾
法)を説明するための図である。十分に小さい結晶から
なり、かつそれらの方位が無秩序に分布している試料1
03に、波長λのX線を照射した場合、以下に示す式
(1)で表わされるブラッグの回折条件を満足する結晶
格子面107のみで入射X線104の回折が生じ、回折
X線105として出射する。
【0005】nλ=2dsinθ …(1) ここで、θは回折角度と呼ばれ、入射X線104あるい
は回折X線105と回折を生ずる結晶格子面107との
なす角度であり、nは回折の次数を表わす正の整数であ
る。また、dは上述した結晶格子面間隔である。
【0006】このような試料103に応力が働いて結晶
格子面間隔dにわずかな変位が生ずると、式(1)から
明らかなように回折X線105の回折角度θが変化す
る。
【0007】ここで、応力が働いていない状態の試料1
03の結晶格子面間隔をd0とし、試料103に内部応
力σが働き、回折を生ずる結晶格子面法線108が試料
面法線109に対してψだけ傾いているときの結晶格子
面間隔をdψとしたとき、以下の式(2)に示す関係が
ある。
【0008】
【数1】 ここで、νはポワソン比、Eはヤング率である。d0
既知の場合は、測定された回折角度θから求めたdψと
ψの値を式(2)に代入することによって内部応力σを
求めることができる。d0が未知の場合は、ψの異なる
2点以上でdψを計測することにより、内部応力σを求
めることができる。その際、ψを変化させる方法に幾何
学的配置の異なる2種の方法、すなわち並傾法と側傾法
とがある(日本材料学会編「X線応力測定法」養賢
堂)。
【0009】一方、光学、電子工学などの分野では、材
料が薄膜の形態で使用される場合が多く、薄膜の形態で
結晶構造や、内部応力の評価を行うことが重要となって
きている。
【0010】薄膜のX線回折測定を行うためには、薄膜
からの回折X線を効率良く検出し、バックグラウンドの
原因となる基板材からの散乱X線を出来るだけ抑えるこ
とが重要である。このことはX線応力測定の場合でも同
様であるが、上述の並傾法や側傾法では試料に入射する
X線は試料の内部の奥深くまで侵入することになり、薄
膜や表面の応力状態を測定することは困難であった。
【0011】薄膜のX線の回折測定のために広く利用さ
れている方法に、ゼーマンボーリン法と呼ばれる方法が
ある[R.Feder and B.S.Berry, Seeman-Bohlin X-Ray Di
ffraction for Thin Films, Journal of Applied Cryst
allography, 3(1970)372]。
【0012】図8は、ゼーマンボーリン法を説明するた
めの図である。図8において、試料203は、基板20
2上に薄膜201が形成されたものである。
【0013】この方法では、X線源209から放射され
る一次X線204の、試料203の表面に対する入射角
度αを一定とし、一次X線204の入射方向に対してさ
まざまな角度2θで放出される回折X線205をX線検
出器206により検出し、それを記録する。
【0014】一次X線204の試料203への侵入深さ
は、入射角度αに依存する。入射角度αを微小な値に設
定することにより、一次X線204の試料203への侵
入深さを小さくすることができ、基板202からの散乱
X線の寄与を非常に小さくすることができる。その結
果、試料表面近傍の薄膜201からの回折線を選択的に
検出することが可能となる。
【0015】この方法によれば、例えば入射角度αを
0.5°に設定した場合には、厚さ10nm程度の多結
晶薄膜のX線回折パターンを容易に得ることができる。
この方法は、特に入射角度αを微小な値に設定する場
合、斜入射X線回折法と呼ばれる。
【0016】図8では、試料203の表面に対する一次
X線204の入射角度αを微小な値に設定することによ
って、薄膜201からの回折線を選択的に検出する斜入
射X線回折法について説明したが、入射と出射の関係を
入れ替えた斜出射X線回折法と呼ばれる方法もある。斜
出射X線回折法は、図9に示すように、斜入射X線回折
法に対してX線源209とX線検出器206とを入れ替
えた配置としたもので、回折X線205の試料203の
表面に対する出射角度βが微小な値となるように一次X
線204を入射させる。これによっても、基板202か
らの散乱X線の寄与を非常に小さくし、試料表面近傍の
薄膜201からの回折線を選択的に検出することが可能
となる。
【0017】斜入射X線回折法や斜出射X線回折法にお
いても、X線応力測定の場合は、特定の回折線の回折角
度θとその回折を生ずる結晶格子面法線208の試料面
法線に対する傾き角ψが得られれば、式(2)に代入す
ることによって内部応力σを求めることができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、内部応
力を求める場合、特に回折角度θを精密に測定する必要
があるが、斜入射や斜出射条件を用いる場合、試料表面
におけるX線の屈折の効果によって、測定される回折角
度θが試料内部の回折角度からずれてしまうという問題
があり、内部応力を正確に測定することができなかっ
た。
【0019】本発明は、上記の問題点を解消するために
なされたものであって、試料表面におけるX線の屈折の
効果を排除し、試料の表面近傍もしくは薄膜形態試料に
おける内部応力を正確に測定するX線応力測定方法及び
測定装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明のX線応力測定方法は、多結晶性の試料にX線を
照射したときに前記試料によって回折されて前記試料か
ら出射する回折X線の回折角度を測定することにより前
記試料の内部応力を測定するX線応力測定方法であっ
て、前記試料の表面に対する、入射X線の入射角度また
は前記回折X線の出射角度を5°以下に設定し、設定さ
れた前記入射角度または出射角度における前記回折X線
の強度分布を測定する工程と、測定された前記回折X線
の強度分布から回折角度を検出する工程と、前記入射角
度または出射角度と前記回折角度のデータから、X線の
屈折による影響がないときの回折角度を求める工程と、
前記X線の屈折による影響がないときの回折角度から、
前記試料の内部応力を求める工程とを有する。
【0021】また、本発明のX線応力測定装置は、多結
晶性の試料にX線を照射したときに前記試料によって回
折されて前記試料から出射する回折X線の回折角度を測
定することにより前記試料の内部応力を測定するX線応
力測定装置であって、前記試料に向けてX線を照射する
X線源と、前記回折X線の強度を測定するX線測定手段
と、前記試料の表面に対する、前記X線源から前記試料
に入射する入射X線の入射角度または前記回折X線の出
射角度を設定する角度設定手段と、前記入射角度または
出射角度が5°以下の条件で、前記X線測定手段で測定
された前記回折X線の強度分布から前記回折角度を検出
し、前記入射角度または出射角度と前記回折角度のデー
タから、前記試料の表面でのX線の屈折による影響がな
いときの回折角度を求め、この回折角度から前記試料の
内部応力を算出する算出手段とを有する。
【0022】本発明のX線応力測定方法及び測定装置に
よれば、多結晶性の試料の表面におけるX線の屈折の影
響を考慮して回折X線の回折角度を求め、この回折角度
から試料の内部応力を求めるので、より正確な内部応力
が測定される。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0024】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態である、X線応力測定装置の概略構成図であ
る。
【0025】図1において、X線源9から放射された単
一波長の一次X線4は、入射側X線光学系20を通過し
て、試料3の表面を照射する。試料3による回折X線5
は、出射側X線光学系22を通過して、X線検出器6に
導かれる。X線源9としては、各種X線管の他、シンク
ロトロン放射光を用いることができる。必要に応じてモ
ノクロメーターが使用される。一次X線4の試料表面に
対する入射角度αは5°以下の微小な角度に設定され
る、そのためには一次X線4をほぼ平行ビームとする必
要がある、ビームの発散角は0.5°以下が好ましい。
そのために入射側X線光学系20が挿入されている。入
射側X線光学系20は、一つまたは複数のスリットから
なるスリットシステム、一つまたは複数のX線反射鏡か
らなる光学系、各種コリメーター、キャピラリーを利用
したX線導管などによって構成される。
【0026】試料3は試料回転機構21に保持されてお
り、この試料回転機構21によって試料3の向きを調整
することで一次X線4の入射角度αを任意に設定するこ
とができる。
【0027】回折X線5は試料3から出射した後、出射
側X線光学系22を通過して、その強度がX線検出器6
により検知される。出射側X線光学系22とX線検出器
6との組み合わせにより、回折X線5の回折角度と試料
表面からの出射角度が測定される。
【0028】出射側光学系22としては、X線ビームの
発散角を制限する機能を有する光学系、例えば一つまた
は複数のスリットからなるスリットシステム、一つまた
は複数のX線反射鏡からなる光学系、各種コリメータ
ー、キャピラリーを利用したX線導管などを用いること
ができる。
【0029】X線検出器6としては、シンチレーション
カウンター、比例計数管を試料回転と連動して旋回する
機構とともに用いることができる。あるいは、X線検出
器6とそて、位置敏感型比例計数管(PSPC:Positi
on Sensitive ProportionalCounter)のような一次元検
出器、イメージングプレート、写真フィルムのような二
次元検出器などを用いた場合は、X線検出器6を移動す
ることなく使用することも可能である。この場合、出射
側X線光学系22は挿入されない場合と、不必要な散乱
X線をX線検出器6に入れない目的で挿入される場合と
がある。
【0030】算出部19は、試料回転機構21からの出
力とX線検出器6からの出力とに基づき、以下に述べる
手順に従って試料3の表面近傍の内部応力を算出するも
のである。
【0031】次に、図1に示した配置により試料3の内
部応力を求める方法について、図2のフローチャートを
参照しつつ説明する。
【0032】まず、試料回転機構21の調整により入射
角度αiを設定する(ステップ51)。入射角度αiの
設定値は5°以下の範囲で回折線が観測される角度を選
択する。また、その中でも、一次X線4の試料3に対す
る全反射臨界角に近い角度を選択するのが好ましい。
【0033】次に、入射角度αiにおける回折線プロフ
ァイルを測定する(ステップ52)。続いて、測定され
た回折線プロファイルから回折角度θiを求める(ステ
ップ53)。この方法としては、回折線ピークをガウス
関数でフィッティングする方法、回折ピークの重心から
求める方法などが使用できる。
【0034】入射角度αiに対応する回折角度θiを求
めたら、別の入射角度αiでも測定を行うか否かを判断
し(ステップ54)、行う場合には、入射角度αiを変
化させて(ステップ55)、以上の測定を繰り返す。
【0035】この測定を必要な回数だけ繰り返すと、
(αi,θi)のデータの組が得られる。このとき、入
射角度αiを5°以下の範囲で選択すると、X線の屈折
の効果を検知し易く、短時間に高い精度の解析を行うこ
とができる。
【0036】入射角度αiの変化に伴い、θiは、屈折
の効果により式(3)に従って変化する。
【0037】
【数2】 ただし、θψはX線の屈折効果の影響のないときの回折
角度、δ、βはそれぞれX線の試料3に対する複素屈折
率(n)の実数部分と虚数部分である。式(3)は、左
辺から明らかなように、θi−θψすなわちX線の屈折
効果による回折角度の変化量を意味する。
【0038】また、また、全反射臨界角θCとδとの間
には、
【0039】
【数3】 なる関係があるので、式(3)から明らかなように、θ
i−θψの値は、入射角度αが薄膜1の全反射臨界角θ
Cに等しくなるときに最大となり、以下、入射角度αが
大きくなるにつれて小さくなり、最終的には0になる。
【0040】よって、X線の屈折効果による回折角度の
変化量の入射角度による依存性を式(3)で最小2乗最
適化することで、式(3)内のパラメータを決定できる
ことになる。通常、薄膜1のβの値は10-6程度あるい
はそれ以下と小さく、第1近似としては、式(1)内の
βに依存する項を無視することが可能であり、その際に
は、式(3)に含まれる未知変数はδのみとなり、任意
の1つの入射角度におけるθ−θψの値を求めればよ
い。しかしながら、実際の測定においては、入射角度α
の値を精確に決定することは難しいために、1つの入射
角度で最適化を行うことは困難である。従って上述のよ
うに、(αi,θi)の組を、複数組求め、実験値と式
(3)の最適化を行うことが望ましい。
【0041】測定された(αi,θi)のデータの組を
使用して例えばカーブフィッティングにより式(3)を
最適化することにより、入射角度αを独立変数とする、
X線の屈折効果による回折角度の変化量の関数、すなわ
ちX線の屈折効果による回折角度の変化量の入射角度依
存性が求められる(ステップ56)。そしてさらに、求
められた関数から、フィッティングカーブを使ってθi
を補正し、X線の屈折効果の影響のないときの回折角度
θψを求める(ステップ57)。
【0042】X線の屈折及び内部応力のない場合の回折
角度(文献値等)をθ0としたとき、θψとθ0との差
が、X線の屈折の影響を考慮した、内部応力σが生じて
いるときと生じていないときとでの回折角度の変化量Δ
θとなる。従って、このΔθを前述した式(1)のθに
代入して、内部応力σが働いているときの結晶格子面間
隔dψを求め、さらに、内部応力σと結晶格子面間隔歪
との関係式である式(2)を用いることによって、試料
3の内部応力σを求めることができる(ステップ5
8)。具体的には、内部応力σが働いていないときの結
晶格子面間隔d0が既知の場合には、Δθから求めたd
ψと、試料表面法線に対する結晶格子面法線の傾き角ψ
を式(2)に代入して内部応力σを求める。d0が未知
の場合には、ψの異なる2点以上でdψを計測すること
により、内部応力σを求める。
【0043】以上説明したように、試料3の表面におけ
るX線の屈折の影響を考慮して回折角度を求め、その回
折角度を用いて試料3の内部応力σを求めることによ
り、試料3の内部応力σをより正確に測定することがで
きる。
【0044】(第2の実施形態)図3は、本発明の第2
の実施形態を説明するフローチャートである。
【0045】本実施形態でも、用いる装置構成は図1に
示したものと同様であるが、本実施形態は斜出射X線回
折法によって試料3の内部応力σを測定するもので、試
料3からの回折X線5の出射角度βが5°以下になるよ
うに、一次X線4を試料3に入射させる点が、第1の実
施形態と異なる。
【0046】以下、図1及び図3を参照して、本実施形
態による、試料3の内部応力σの測定手順について説明
する。
【0047】まず、試料回転機構21を調整して、試料
3の表面に対する一次X線4の入射角度αを変化させる
ことにより、試料3の表面に対する回折X線5の出射角
度βを微小な角度βiに設定する(ステップ61)。こ
こで、後述するステップでX線の屈折の効果を検知し易
くするために、出射角度βiは0〜5°の範囲で選択さ
れる。
【0048】次に、その出射角度βiにおける回折線プ
ロファイルを測定する(ステップ62)。続いて、測定
された回折線プロファイルから、第1の実施形態と同様
にして回折角度θiを求める(ステップ63)。
【0049】出射角度βiに対応する回折角度θiを求
めたら、別の出射角度βiでも測定を行うか否かを判断
し(ステップ64)、行う場合には、出射角度βiを変
化させて(ステップ65)、以上の操作を必要な回数だ
け繰り返す。これにより、(βi,θi)のデータの組
が得られる。
【0050】以降は、第1の実施形態で用いた(3)式
において、入射角度αiの代りに出射角度βiを用いて
第1の実施形態と同様にして、出射角度βを独立変数と
する、X線の屈折効果による回折角度の変化量の関数を
求め(ステップ66)、この関数からフィッティングカ
ーブを使ってθiを補正しX線の屈折効果の影響のない
ときの回折角度θψを求め(ステップ67)、さらに、
このθψを使用して式(1)及び式(2)から試料3の
内部応力σを求める(ステップ68)。
【0051】本実施形態のように、試料3の表面に対す
る回折X線5の出射角度βを微小な値に設定する斜出射
X線回折法によっても、試料3の表面におけるX線の屈
折の影響を考慮して回折角度を求め、この回折角度を利
用することにより、試料3の内部応力σをより正確に測
定することができる。
【0052】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素
の置換や設計変更がなされたものを包含する。
【0053】(実施例1)本実施例では、図4に示す配
置の装置を用い、石英基板上に膜厚30nmのパラジウ
ム薄膜を形成した試料3の内部応力を測定した。なお、
図4ではX線の光学的配置のみを示し、算出部は省略し
ている。
【0054】X線源として、Cuを対陰極とする回転対
陰極X線管18を使用し、管電圧40kV、管電流20
0mAで駆動した。X線焦点はラインフォーカスとし
た、本実施例の配置では実効焦点の幅は0.05mm、
長さは10mmである。
【0055】また、入射側X線光学系として幅0.15
mmのスリット11をX線焦点から95mmの距離の位
置に設置した。回転対陰極X線管18からの1次X線4
(Cu特性X線)は、スリット11を通過し、スリット
11から90mmの位置で試料3の表面に入射する。試
料3は試料回転機構であるゴニオメータ10上の試料ホ
ルダに保持されている。ゴニオメータ10の回転中心軸
は試料表面内の1次X線照射領域の中央に存在する。
【0056】出射側X線光学系としては、2つのスリッ
ト12,13を用いた。各スリット12,13はそれぞれ幅
が0.3mmであり、試料中心からの距離が一方のスリ
ット12は185mmの位置、他方のスリット13は2
30mmの位置に配置した。さらに、X線検出器とし
て、シンチレーションカウンター16をスリット13の
直後に配置した。スリット12,13及びシンチレーシ
ョンカウンター16は一体となって試料回転軸の周りを
旋回する。このスリットシステムは、試料3からの回折
X線5の試料表面からの出射角βを約0.075°の分
解能で規定することができる。
【0057】本実施例では、試料3の表面に対する一次
X線4の入射角度α、試料3の表面に対する回折X線5
の出射角度βの値を適当に選択することにより、上述の
第1の実施形態による方法と第2の実施形態による方法
の両方の測定を行うことが可能である。
【0058】出射角度β=約0.3°〜1.5°の範囲
でPd(111)面による回折線の回折角度を測定し、
第2の実施形態に従って内部応力σを求めた。図5に、
X線の屈折効果による回折角度の変化量の出射角度依存
性(実験値とフィッティングカーブ)を示す。この結果
得られた内部応力による回折角度の変化量は0.02°
であった。この値は屈折効果による回折角度の変化量
0.17°と比較してかなり小さな値であり、屈折率の
効果の補正を行わなければ正確な値は得られないことが
分かる。結果として得られた試料の応力の値はσ=47
5Mpaであった。
【0059】(実施例2)本実施例では、図6に示す配
置の装置を用い、石英基板上に膜厚30nmのパラジウ
ム薄膜を形成した試料3の内部応力を測定した。なお、
図6ではX線の光学的配置のみを示し、算出部は省略し
ている。
【0060】本実施例でも、X線源としては、Cuを対
陰極とする回転対陰極X線管18を使用し、管電圧40
kV、管電流300mAで駆動した。X線焦点はポイン
トフォーカスとした、本実施例の配置では実効焦点の幅
は1mm、長さは1mmである。
【0061】入射側X線光学系としては、幅0.05m
mのコリメータ14をX線焦点から250mmの距離の
位置に設置した。回転対陰極X線管18からの1次X線
4(Cu特性X線)は、コリメーター14を通過し、コ
リメーター14の出口から5mmの位置で試料3の表面
に入射する。試料3はゴニオメータ10上の試料ホルダ
ーに保持されている。
【0062】また本実施例では、X線検出器として、位
置敏感型比例計数管16を使用し、さらに、出射側X線
光学系として、厚さ1mmの鉛板からなるX線遮蔽部材
15を使用している。X線遮蔽部材15は、試料3と同
様に試料ホルダーに固定されており、試料3との位置関
係は変化しない。このX線遮蔽部材15によって、一定
角度以上の出射角度で試料3から出射する回折X線5は
遮られ、位置敏感型比例計数管16へは入射しない。本
実施例では出射角度が5°以上の回折X線5がカットさ
れるようにX線遮蔽部材15が設置してある。
【0063】このような装置を用い、実施例1と同様に
して試料3の内部応力を測定したところ、実施例1と同
様の結果が得られた。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、試
料の表面におけるX線の屈折の影響を考慮して回折X線
の回折角度を求め、この回折角度から試料の内部応力を
求めることにより、内部応力をより正確に測定すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の施形態である、X線応力測定装
置の概略構成図である。
【図2】図1に示す装置配置による内部応力測定手順の
フローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態を説明するフローチャ
ートである。
【図4】本発明の実施例1で用いた装置の概略構成図で
ある。
【図5】本発明の実施例1による、X線の屈折効果によ
る回折角度の変化量の出射角度依存性を示すグラフであ
る。
【図6】本発明の実施例2で用いた装置の概略構成図で
ある。
【図7】従来のX線応力測定方法(並傾法)を説明する
ための図である。
【図8】従来の斜入射回折法を説明するための図であ
る。
【図9】従来の斜出射回折法を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
3 試料 4 一次X線 5 回折X線 6 X線検出器 9 X線源 10 ゴニオメータ 11,12,13 スリット 14 コリメータ 15 X線遮蔽部材 16 シンチレーションカウンター 17 位置敏感型比例計数管 18 回転対陰極X線管 19 算出部 20 入射側X線光学系 21 試料回転機構 22 出射側X線光学系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G001 AA01 BA18 CA01 DA01 DA02 DA03 DA06 DA07 DA09 EA09 FA08 FA18 GA03 GA13 HA12 JA06 JA11 KA07 MA05 SA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多結晶性の試料にX線を照射したときに
    前記試料によって回折されて前記試料から出射する回折
    X線の回折角度を測定することにより前記試料の内部応
    力を測定するX線応力測定方法であって、 前記試料の表面に対する、入射X線の入射角度または前
    記回折X線の出射角度を5°以下に設定し、設定された
    前記入射角度または出射角度における前記回折X線の強
    度分布を測定する工程と、 測定された前記回折X線の強度分布から回折角度を検出
    する工程と、 前記入射角度または出射角度と前記回折角度のデータか
    ら、X線の屈折による影響がないときの回折角度を求め
    る工程と、 前記X線の屈折による影響がないときの回折角度から、
    前記試料の内部応力を求める工程とを有する、X線応力
    測定方法。
  2. 【請求項2】 前記データから前記試料の表面でのX線
    の屈折による回折角度の変化量を前記入射角度または出
    射角度を独立変数として表現する関数を求め、該関数か
    ら前記X線の屈折による影響がないときの回折角度を求
    める、請求項1に記載のX線応力測定方法。
  3. 【請求項3】 前記内部応力を求める工程は、前記試料
    の結晶格子間隔歪と内部応力との関係式に従って前記内
    部応力を求める工程を有する、請求項1または2に記載
    のX線応力測定方法。
  4. 【請求項4】 多結晶性の試料にX線を照射したときに
    前記試料によって回折されて前記試料から出射する回折
    X線の回折角度を測定することにより前記試料の内部応
    力を測定するX線応力測定装置であって、 前記試料に向けてX線を照射するX線源と、 前記回折X線の強度を測定するX線測定手段と、 前記試料の表面に対する、前記X線源から前記試料に入
    射する入射X線の入射角度または前記回折X線の出射角
    度を設定する角度設定手段と、 前記入射角度または出射角度が5°以下の条件で、前記
    X線測定手段で測定された前記回折X線の強度分布から
    前記回折角度を検出し、前記入射角度または出射角度と
    前記回折角度のデータから、前記試料の表面でのX線の
    屈折による影響がないときの回折角度を求め、この回折
    角度から前記試料の内部応力を算出する算出手段とを有
    する、X線応力測定装置。
  5. 【請求項5】 前記算出手段は、前記データから、前記
    試料の表面でのX線の屈折による回折角度の変化量を、
    前記入射角度または出射角度を独立変数として表現する
    関数を求め、該関数から、前記X線の屈折による影響が
    ないときの回折角度を求める、請求項4に記載のX線応
    力測定装置。
  6. 【請求項6】 前記算出手段は、前記試料の結晶格子間
    歪と内部応力との関係式に従って前記内部応力を求め
    る、請求項4または5に記載のX線応力測定装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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