JP4561312B2 - X線画像再構成装置 - Google Patents
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Description
図4は、XCTの原理を表す説明図である(非特許文献1参照)。
ここで、μ1,μ2,・・・,μnは横断面内微小容積の物質のX線吸収係数、Δxはその物質のX線透過方向に沿った長さで一定とする。すなわち、IとI0の比の対数が吸収係数の総和に比例していることが分かる。
図5に示すように、XCTの撮影視野内に1個の高吸収物体(図の例ではくぎ)があると考える。X線管と検出器が対となって視野を横切るように走査すると、図5(a)のように、くぎの位置に対応したピークが投影データ式(上記式(1)の左辺)として得られる。この投影データは、コンピュータの記憶領域内に設けられた画面に逆投影され、斜線の部分の画素に等しく分配される。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態にて応用される既存のビームプロファイル測定法について説明し、その後、本実施の形態の具体的説明を行う。なお、このビームプロファイル測定は、X線発生源から発生したX線を被検体に効率よく導くこと等を目的として、そのX線ビームのX線強度分布(強度プロファイル)を把握するために行われるものである。図6は、このビームプロファイル測定法の原理を表す説明図であり、図中下段には検出対象となるX線ビームの強度プロファイルが示され、図中中段にはこの被検領域の遮蔽位置を移動させて検出されるX線ビームのX線強度が示され、図中上段にはそのX線強度の微分値が示されている。
このX線トポグラフィ装置は、X線ビームを発生する図示しないX線発生源と、このX線発生源が発生したX線ビームの幅を拡大して被検体に照射するコリメータ2と、図示しない保持台に設置された被検体3(サンプル)と、被検体3で回折されたX線ビームの通過領域を選択・調整してX線画像の被検領域を設定する4象限スリット4(画像選択手段)と、被検領域を遮蔽又は遮蔽解除するための遮蔽板(遮蔽体)を駆動制御するブレードスキャナ5と、ブレードスキャナ5を通過したX線ビームを撮像する2次元CCD6(X線強度検出手段)と、これらのX線トポグラフィ装置の各機能部を駆動制御するとともに、CCD6の出力信号に基づいてX線画像を解析し、被検体3の原画像を再構成するコンピュータ7とを備えている。
ブレードスキャナ5は、円板状の本体の中央にX線ビームの光軸方向に貫通する円孔状の貫通孔52aが設けられた回転板52と、回転板52を光軸に沿った回転軸回りに回転させる第1のパルスモータ53と、貫通孔52aを回転板52上の一方向から遮蔽を解除可能な可動ブレード54(遮蔽板)と、回転板52上に設けられて可動ブレード54を進退させる第2のパルスモータ55とを備えている。上記被検体3で反射したX線ビームは、貫通孔52aを通過してCCD6に入射する。その際、可動ブレード54により貫通孔52aを通過するX線ビームの通過領域が遮蔽されて規制される。可動ブレード54は、その進行方向の先端縁54aに形成されたナイフエッジにより遮蔽部の境界線が設定され、その進行方向に直角な方向の両端が、回転板52上に設けられた互いに平行な一対のガイド56にガイドされつつ移動する。X線画像に対する可動ブレード54の境界線の位置は、第1のパルスモータ53により回転方向に変位し、第2のパルスモータ55により直線方向に変位する。
本実施の形態では、まず4象限スリット4を十分に開き、ブレードスキャナ5の可動ブレード54を貫通孔52aから退避させた状態で、貫通孔52aを通過したトポグラフの全体像を観察して詳細に解析する場所を特定する。次に、4象限スリット4で解析個所を囲む小領域を選択して被検領域60とする。その被検領域60の大きさとしては、例えば縦50μm、横50μm程度の正方形領域とすることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、X線ビームの通過を許容する遮蔽体の部分に微小隙間の直線状のスリットを設け、このスリットをX線ビームが通過することにより得られたX線画像を利用して被検体の被検領域の原画像を再構成するものである。このように、遮蔽体にスリットを設けるという発想に到ったのは以下の理由による。
この可動ブレード254は、長方形板状の台座258の片側面にカプトンテープ259(接着手段)を介して上記ブレード片255,256を貼着して構成されている。台座258は、厚みが5mmのステンレス板からなり、両ブレード片を貼着する側の面が、その反対側の面に平行な平面に対して0.04度の傾斜角(θ)を有する一対の屋根型傾斜面となっている。この台座258の中央には、その厚み方向に貫通する貫通孔260が設けられている。
本実施の形態では、まず4象限スリット4を十分に開き、ブレードスキャナ205の可動ブレード254を貫通孔52aから退避させた状態で、貫通孔52aを通過したトポグラフの全体像を観察して詳細に解析する場所を特定する。次に、4象限スリット4で解析個所を囲む小領域を選択して被検領域60とする。
図12は、ブレード片255,256が形成するくさび開口角σを0.8度(上記の10倍)とし、その他の条件を上記実施の形態と同様にした場合の解析結果である。
図14は、ブレード片255,256をニッケル(Ni)の多結晶(X線吸収係数:240.7946mm-1)から形成し、さらに、くさび開口角σを0.8度とした場合の解析結果である。その他の解析条件については上記実施の形態と同様である。
図15は、ブレード片255,256を鉄(Fe)の多結晶(X線吸収係数:177.1957mm-1)から形成し、さらに、くさび開口角σを0.8度とした場合の解析結果である。その他の解析条件については上記実施の形態と同様である。
以上より、X線吸収係数が大きいものほどより高い解像度が得られることが分かるが、実際に高精度なスリットの面を得るには単結晶であるのがよく、上記の例では特にシリコン及びゲルマニウムが好ましいといえる。
また、上記各実施の形態においては、X線画像の再構成処理に逆投影法を利用した例を示したが、逆行列法、逐次近似法、重畳積分法その他の手法を採用することもできる。
3 被検体
4 4象限スリット
5 ブレードスキャナ
6 CCD
7 コンピュータ
8 入射X線ビーム
9 反射X線ビーム
52 回転板
52a 貫通孔
53 第1のパルスモータ
54,254 可動ブレード
54a 先端縁
55 第2のパルスモータ
60 被検領域
71 差分演算部
72 画像処理部
255,256 ブレード片
257 スリット
258 台座
259 カプトンテープ
260 貫通孔
Claims (16)
- X線ビームを発生するX線発生源と、
前記X線発生源が発生した前記X線ビームが被検体を経由して得られるX線画像の被検領域を選択して取得する画像選択手段と、
直線状の端縁を有し、前記画像選択手段が選択した前記被検領域を、前記端縁を境界線として所定の方向から遮蔽するための遮蔽体と、
前記遮蔽体を前記所定の方向に沿う遮蔽又は遮蔽解除方向に移動制御する移動制御手段と、
前記遮蔽体を前記画像選択手段により受け入れられる前記X線ビームの光軸周りに回転させ、前記境界線の方向を少なくとも180度の範囲内で変化させる回転制御手段と、
前記移動制御手段により前記遮蔽体を遮蔽又は遮蔽解除方向に順次移動させた際の、前記遮蔽体に遮蔽されていない領域にある前記X線画像全体のX線強度に比例する信号を検出するX線強度検出手段と、
前記X線強度検出手段により検出された信号に基づき、前記遮蔽体の移動量に対する前記X線強度の変化量を演算する演算手段と、
前記遮蔽体の各回転位置において、前記遮蔽体の端縁に沿った直線像でその強度が前記変化量に比例する像を逆投影することにより、前記被検体の前記被検領域の画像を再構成する画像再構成手段と、
を備えたことを特徴とするX線画像再構成装置。 - 前記遮蔽体が、前記端縁にナイフエッジを有する遮蔽板からなることを特徴とする請求項1記載のX線画像再構成装置。
- 前記移動制御手段は、前記遮蔽体が所定の標本点間隔ごとに移動するように制御し、
前記演算手段は、前記遮蔽体の各移動ごとに前記X線強度の差分を演算し、
前記画像再構成手段は、前記演算手段により演算された標本点間隔ごとの前記差分値に基づいて逆投影法を用いることにより、前記被検体の前記被検領域の画像を再構成すること、
を特徴とする請求項1記載のX線画像再構成装置。 - 前記演算手段は、前記遮蔽体の移動量に対する前記X線強度の変化率を演算し、
前記画像再構成手段は、前記演算手段により演算された前記変化率に基づいて逆投影法を用いることにより、前記被検体の前記被検領域の画像を再構成すること、
を特徴とする請求項1記載のX線画像再構成装置。 - 前記移動制御手段は、前記遮蔽体をサブミクロン単位で移動制御可能なパルスモータからなることを特徴とする請求項1記載のX線画像再構成装置。
- X線ビームを発生するX線発生源と、
前記X線発生源が発生した前記X線ビームが被検体を経由して得られるX線画像の被検領域を選択して取得する画像選択手段と、
前記披検領域のX線画像の明度を前記被検領域を横切る直線状横断領域に沿って線積分して直線像強度として測定する直線像強度測定手段と、
前記直線状横断領域を、前記画像選択手段により受け入れられるX線ビームの光軸周りに回転させる回転制御手段と、
前記直線状横断領域を、前記X線ビームを横切る方向に平行移動する移動制御手段と、
前記直線状横断領域の各回転位置における平行移動の過程で測定された前記直線像強度を用い、前記直線状横断領域に重なる直線像で、その強度が前記直線像強度に比例する像から前記被検体の前記被検領域の画像を再構成する画像再構成手段と、
を備えたことを特徴とするX線画像再構成装置。 - 前記直線像強度測定手段は、
直線状の端縁を有し、前記画像選択手段が選択した前記被検領域を、前記端縁を境界線として所定の方向から遮蔽するための遮蔽体と、
前記遮蔽体を遮蔽又は遮蔽解除方向に順次移動させた際の、前記遮蔽体に遮蔽されていない領域にある前記X線画像全体のX線強度に比例する信号を検出するX線強度検出手段と、
前記X線強度検出手段により検出された信号に基づき、前記遮蔽体の移動量に対する前記X線強度の変化量を演算する演算手段と、
を備え、
前記演算手段が測定した前記X線強度の変化量を前記直線像強度とすることを特徴とする請求項6記載のX線画像再構成装置。 - 前記直線像強度測定手段が、直線状のX線透過領域を用いることを特徴とする請求項6記載のX線画像再構成装置。
- 前記画像再構成手段は、前記直線状横断領域に重なる直線像で、その強度が前記直線像強度に比例する像を逆投影することにより、前記被検体の被検領域の画像を再構成することを特徴とする請求項7記載のX線画像再構成装置。
- 前記直線状のX線透過領域は、平面状の端縁を有する2つの遮蔽体で構成され、前記端縁の平面を平行に配置して形成された微小空隙を有することを特徴とする請求項8記載のX線画像再構成装置。
- 前記直線状のX線透過領域は、へき開面を有する単結晶からなることを特徴とする請求項8記載のX線画像再構成装置。
- 前記直線状のX線透過領域は、平面状の端縁を有する2つの遮蔽体で構成され、前記端縁の平面における前記X線ビームの入射側、又は前記X線ビームの出射側を密着させたくさび状の微小空隙を有することを特徴とする請求項8記載のX線画像再構成装置。
- 前記遮蔽体が、へき開面を有する単結晶からなることを特徴とする請求項12記載のX線画像再構成装置。
- 前記画像選択手段は、少なくとも片側面が屋根型傾斜面となるように形成された板状の台座を有し、前記台座の各傾斜面に前記2つの遮蔽体のそれぞれを固定することにより、前記くさび状の微小空隙を実現していることを特徴とする請求項13記載のX線画像再構成装置。
- 前記2つの遮蔽体は、単結晶からなる板材の片側面に可撓性のある接着手段を付着させた状態でその格子面に沿って2分割することにより形成され、その2分割された境界線を前記屋根型傾斜面の稜線に合わせるようにして前記台座に固定されたことを特徴とする請求項14記載のX線画像再構成装置。
- 前記台座には、前記稜線上の一部を含むように厚み方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記貫通孔から前記X線ビームを入射させることを特徴とする請求項15記載のX線画像再構成装置。
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