JP6695792B2 - 作業機の油圧システム - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、スキッドステアローダ、コンパクトトラックローダ等の作業機の油圧システムに関する。
従来、可変容量ポンプ等で構成された走行ポンプで走行モータを駆動させる作業機として特許文献1に示されているものがある。
特許文献1の作業機は、操作レバーの操作量に基づいて作動油の圧力を変更する操作弁と、操作弁で変更された作動油の圧力に基づいて出力が変化する走行ポンプと、走行ポンプから吐出した作動油によって駆動する走行モータを備えている。
特開2016−148446号公報
特許文献1の作業機において、操作レバーの操作量を変更することによって走行ポンプの出力(容量)を変更することができるものの、操作レバーに関係なく走行ポンプの容量を変更することは困難であった。
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、走行系の油圧回路に接続された可変容量ポンプの容量を簡単に変更することができる作業機の油圧システムを提供することを目的とする。
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下の通りである。
作業機の油圧システムは、原動機と、前記原動機の動力により駆動し且つ容量を変更可能な第1可変容量ポンプと、前記原動機の動力により駆動し且つ容量を変更可能な第2可変容量ポンプと、第1操作部材及び前記第1記操作部材の操作に応じて作動油の圧力が変更可能な第1操作弁を有し、且つ前記第1操作弁で変更された作動油の圧力によって第1可変容量ポンプの容量を変更可能な第1操作装置と、前記第1操作装置とは異なる操作装置であって、第2操作部材及び前記第2記操作部材の操作に応じて作動油の圧力が変更可能な第2操作弁を有し、且つ前記第2操作弁で変更された作動油の圧力によって第2可変容量ポンプの容量を変更可能な第2操作装置と、前記第1操作弁及び前記第2操作弁と、前記第1可変容量ポンプ及び前記第2可変容量ポンプとを接続する走行油路と、前記走行油路に接続し且つ前記走行油路の作動油を排出する排出油路と、前記原動機の回転数及び前記作動油の温度に応じて前記作動弁を制御する制御装置と、を備えている。
作業機の油圧システムは、原動機と、前記原動機の動力により駆動し且つ容量を変更可能な可変容量ポンプと、操作部材及び前記操作部材の操作に応じて作動油の圧力が変更可能な操作弁を有し且つ前記操作弁で変更された作動油の圧力によって前記可変容量ポンプの容量を変更可能な操作装置と、前記操作弁と前記可変容量ポンプとを接続する走行油路と、前記走行油路に接続し且つ前記走行油路の作動油を排出する排出油路と、前記排出油路に設けられ且つ前記走行油路における作動油の圧力を低減可能な作動弁と、前記原動機の回転数及び前記作動油の温度に応じて前記作動弁を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、原動機の回転数を制限時に前記走行油路の圧力である回転数制限圧力を設定する第3圧力設定部を有し、前記回転数制限圧力に基づいて前記作動弁を制御する。
作業機の油圧システムは、原動機と、前記原動機の動力により駆動し且つ容量を変更可能な第1可変容量ポンプと、前記原動機の動力により駆動し且つ容量を変更可能な第2可変容量ポンプと、第1操作部材及び前記第1記操作部材の操作に応じて作動油の圧力が変更可能な第1操作弁を有し、且つ前記第1操作弁で変更された作動油の圧力によって第1可変容量ポンプの容量を変更可能な第1操作装置と、前記第1操作装置とは異なる操作装置であって、第2操作部材及び前記第2記操作部材の操作に応じて作動油の圧力が変更可能な第2操作弁を有し、且つ前記第2操作弁で変更された作動油の圧力によって第2可変容量ポンプの容量を変更可能な第2操作装置と、前記第1操作弁及び前記第2操作弁と、前記第1可変容量ポンプ及び前記第2可変容量ポンプとを接続する走行油路と、前記走行油路に接続し且つ前記走行油路の作動油を排出する排出油路と、前記原動機の回転数及び前記作動油の温度に応じて前記作動弁を制御する制御装置と、を備えている。
前記制御装置は、作動油の温度と前記原動機の回転数とに基づいて、前記走行油路の圧力である温度制限圧力を設定する第1圧力設定部を有し、前記温度制限圧力に基づいて前記作動弁を制御する。
前記制御装置は、作動油に関する複数の閾値と前記複数の閾値に応じて設定された前記原動機の回転数とに基づいて、前記走行油路の圧力である温度制限圧力を設定する第1圧力設定部を有し、前記温度制限圧力に基づいて前記作動弁を制御する。
前記制御装置は、作業機の走行速度を制限時に前記走行油路の圧力である走行制限圧力を設定する第2圧力設定部を有し、前記第2圧力設定部は、前記走行速度を制限する場合に、前記第1圧力設定部によって設定された前記温度制限圧力よりも前記走行制限圧力を低くする。
前記制御装置は、原動機の回転数を制限時に前記走行油路の圧力である回転数制限圧力を設定する第3圧力設定部を有し、前記回転数制限圧力に基づいて前記作動弁を制御する。
前記第3圧力設定部は、前記原動機の回転数を制限時に、前記原動機の回転数の制限が行われていない回転数の領域で前記第1圧力設定部によって設定された前記温度制限圧力よりも前記回転数制限圧力を低くする。
本発明によれば、走行系の油圧回路に接続された可変容量ポンプの容量を簡単に変更することができる。
走行系の油圧システムの概略図である。 作業系の油圧システムの概略図である。 エンジン回転数、油温、リリーフ弁の設定圧(温度制限圧力)の関係を示す図である。 走行系の油圧システムの第1変形例の概略図である。 エンジン回転数、油温、リリーフ弁の設定圧(走行制限圧力、温度制限圧力)の関係を示す図である。 走行系の油圧システムの第2変形例の概略図である。 エンジン回転数、油温、リリーフ弁の設定圧(回転数制限圧力、温度制限圧力)の関係を示す図である。 第2実施形態における作業系の油圧システムの概略図である。 作業機の一例であるトラックローダを示す側面図である。 キャビンを上昇させた状態のトラックローダの一部を示す側面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図9は、本発明に係る作業機の側面図を示している。図9では、作業機の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機はコンパクトトラックローダアローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
作業機1は、図9及び図10に示すように、作業機1は、機体2と、キャビン3と、作業装置4と、走行装置5とを備えている。本発明の実施形態において、作業機1の運転席8に着座した運転者の前側(図9の左側)を前方、運転者の後側(図9の右側)を後方、運転者の左側(図9の手前側)を左方、運転者の右側(図9の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
キャビン3は、機体2に搭載されている。このキャビン3には運転席8が設けられている。作業装置4は機体2に装着されている。走行装置5は、機体2の外側に設けられている。機体2内の後部には、原動機が搭載されている。
作業装置4は、ブーム10と、作業具11と、リフトリンク12と、制御リンク13と、ブームシリンダ14と、バケットシリンダ15とを有している。
ブーム10は、キャビン3の右側及び左側に上下揺動自在に設けられている。作業具11は、例えば、バケットであって、当該バケット11は、ブーム10の先端部(前端部)に上下揺動自在に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10が上下揺動自在となるように、ブーム10の基部(後部)を支持している。ブームシリンダ14は、伸縮することによりブーム10を昇降させる。バケットシリンダ15は、伸縮することによりバケット11を揺動させる。
左側及び右側の各ブーム10の前部同士は、異形の連結パイプで連結されている。各ブーム10の基部(後部)同士は、円形の連結パイプで連結されている。
リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、左側と右側の各ブーム10に対応して機体2の左側と右側にそれぞれ設けられている。
リフトリンク12は、各ブーム10の基部の後部に、縦向きに設けられている。このリフトリンク12の上部(一端側)は、各ブーム10の基部の後部寄りに枢支軸16(第1枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。また、リフトリンク12の下部(他端側)は、機体2の後部寄りに枢支軸17(第2枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第2枢支軸17は、第1枢支軸16の下方に設けられている。
ブームシリンダ14の上部は、枢支軸18(第3枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第3枢支軸18は、各ブーム10の基部であって、当該基部の前部に設けられている。ブームシリンダ14の下部は、枢支軸19(第4枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第4枢支軸19は、機体2の後部の下部寄りであって第3枢支軸18の下方に設けられている。
制御リンク13は、リフトリンク12の前方に設けられている。この制御リンク13の一端は、枢支軸20(第5枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第5枢支軸20は、機体2であって、リフトリンク12の前方に対応する位置に設けられている。制御リンク13の他端は、枢支軸21(第6枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第6枢支軸21は、ブーム10であって、第2枢支軸17の前方で且つ第2枢支軸17の上方に設けられている。
ブームシリンダ14を伸縮することにより、リフトリンク12及び制御リンク13によって各ブーム10の基部が支持されながら、各ブーム10が第1枢支軸16回りに上下揺動し、各ブーム10の先端部が昇降する。制御リンク13は、各ブーム10の上下揺動に伴って第5枢支軸20回りに上下揺動する。リフトリンク12は、制御リンク13の上下揺動に伴って第2枢支軸17回りに前後揺動する。
ブーム10の前部には、バケット11の代わりに別の作業具が装着可能とされている。別の作業具としては、例えば、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等のアタッチメント(予備アタッチメント)である。左側のブーム10の前部には、接続部材50が設けられている。接続部材50は、予備アタッチメントに装備された油圧機器と、ブーム10に設けられたパイプ等の第1管材とを接続する装置である。具体的には、接続部材50の一端には、第1管材が接続可能で、他端には、予備アタッチメントの油圧機器に接続された第2管材が接続可能である。これにより、第1管材を流れる作動油は、第2管材を通過して油圧機器に供給される。
バケットシリンダ15は、各ブーム10の前部寄りにそれぞれ配置されている。バケットシリンダ15を伸縮することで、バケット11が揺動される。
左側及び右側の各走行装置5は、本実施形態ではクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置が採用されている。なお、前輪及び後輪を有する車輪型の走行装置を採用してもよい。
次に、走行系の油圧システムについて説明する。
図1に示すように、油圧システムは、第1油圧ポンプP1と、左走行モータ装置(第1走行モータ装置)31Lと、右走行モータ装置(第2走行モータ装置)31Rと、原動機32と、走行駆動装置34とを有している。
第1油圧ポンプP1は、タンク22に貯留された作動油を吐出可能である。第1油圧ポンプP1は、原動機の動力によって駆動ポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第1油圧ポンプP1は、主に制御に用いる作動油を吐出する。説明の便宜上、作動油を貯留するタンク22のことを作動油タンクということがある。また、第1油圧ポンプP1から吐出した作動油のうち、制御用として用いられる作動油のことをパイロット油、パイロット油の圧力のことをパイロット圧ということがある。第1油圧ポンプP1の吐出側には、作動油(パイロット油)を流す油路(吐出油路)40が設けられている。吐出油路(第1油路)40には、第1走行モータ装置31L及び第2走行モータ装置31Rが設けられている。
原動機32は、電動モータ、エンジン等から構成されている。この実施形態では、原動機32はエンジンである。なお、原動機32は、電動モータとエンジンとを有するハイブリッド型であってもよいし、電動モータのみを有するものであってもよい。
走行駆動装置34は、第1走行モータ装置31L及び第2走行モータ装置31Rを駆動する装置であって、第1走行モータ装置31Lの駆動用の駆動回路(左駆動回路)34Lと、第2走行モータ装置31Rの駆動用の駆動回路(右駆動回路)34Rとを有している。
左駆動回路34L及び右駆動回路34Rは、それぞれ走行ポンプ(走行油圧ポンプ)53L,53Rと、変速用油路57h,57iと、第2チャージ油路57jとを有している。変速用油路57h,57iは、走行ポンプ53L,53Rと走行モータ36とを接続する油路である。第2チャージ油路57jは、変速用油路57h,57iに接続され、第1油圧ポンプP1からの作動油を変速用油路57h,57iに補充する油路である。
走行ポンプ53L,53Rは、原動機32の動力によって駆動される斜板形の可変容量アキシャルポンプ(可変容量ポンプ)である。以降、説明の便宜上、走行ポンプ53Lのことを第1可変容量ポンプ、走行ポンプ53Rのことを第2可変容量ポンプということがある。走行ポンプ(第1可変容量ポンプ)53L及び走行ポンプ(第2可変容量ポンプ)53Rは、パイロット圧が作用する前進用受圧部53aと後進用受圧部53bとを有している。前進用受圧部53a、後進用受圧部53bに作用するパイロット圧によって斜板の角度が変更される。斜版の角度を変更することによって、走行ポンプ(第1可変容量ポンプ)53L及び走行ポンプ(第2可変容量ポンプ)53Rのそれぞれの出力(作動油の吐出量、即ち、容量)、作動油の吐出方向を変えることができる。
第1走行モータ装置31Lは、機体2の左側に設けられた走行装置5の駆動軸に動力を伝達するモータである。第2走行モータ装置31Rは、機体2の右側に設けられた走行装置5の駆動軸に動力を伝達するモータである。
第1走行モータ装置31Lは、走行モータ36と、前後切換弁35と、走行制御弁(油圧切換弁)38とを有している。走行モータ36、前後切換弁35及び走行制御弁38には、作動油が供給可能である。
走行モータ36は、カムモータ(ラジアルピストンモータ)である。走行モータ36は、稼動時における容量(モータ容量)の大きさを可変することによって、出力軸の回転やトルクを変更する。詳しくは、走行モータ36は、第1モータ36Aと、第2モータ36Bとを有している。第1モータ36A及び第2モータ36Bを駆動することによって、モータ容量は大きくなり、走行モータ36は1速となる。また、第1モータ36Aと第2モータ36Bとのいずれかを駆動することによって、モータ容量は小さくなり、走行モータ36は2速となる。
走行制御弁38は、第1位置38a及び第2位置38bに切り換わる二位置切換弁である。走行制御弁38の切換え操作は、スイッチ91等によって行う。具体的には、スイッチ91は制御装置90に接続され、スイッチ91によって1速に設定されている場合には、制御装置90は、走行制御弁38の受圧部に油路を介して接続された油圧切換弁を切り換えることによって走行制御弁38を第2位置38bに切り換える。また、スイッチ91によって2速に設定されている場合には、制御装置90は走行制御弁38を、油圧切換弁を切り換えることにより第1位置38aに切り換える。以上、走行制御弁38を切り換えることによって、走行モータ36(第1モータ36A、第2モータ36B)の速度を変更することができる。
次に、作業系の油圧システムについて説明する。
図2に示すように、油圧システムは、複数の制御弁56と、作業系油圧ポンプ(第2油圧ポンプ)P2を備えている。
第2油圧ポンプP2は、第1油圧ポンプP1とは異なる位置に設置されたポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第2油圧ポンプP2は、作動油タンク22に貯留された作動油を吐出可能である。第2油圧ポンプP2は、主に油圧アクチュエータを作動させる作動油を吐出する。
第2油圧ポンプP2の吐出側には、油路(メイン油路)39が設けられている。このメイン油路39には、複数の制御弁56が接続されている。制御弁56は、パイロット油のパイロット圧によって作動油の流す方向を切換可能な弁である。また、制御弁56は、例えば、ブーム、バケット、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等の油圧装置を制御(駆動)する。
複数の制御弁56は、第1制御弁56A、第2制御弁56B、第3制御弁56Cである。第1制御弁56Aは、ブームを制御する油圧シリンダ(ブームシリンダ)14を制御する弁である。第2制御弁56Bは、バケットを制御する油圧シリンダ(バケットシリンダ)15を制御する弁である。第3制御弁56Cは、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等の予備アタッチメントに装着された油圧機器(油圧シリンダ、油圧モータ)を制御する弁である。
第1制御弁56A、第2制御弁56Bは、それぞれパイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。第1制御弁56A、第2制御弁56Bは、パイロット圧によって、中立位置、中立位置とは異なる第1位置、中立位置及び第1位置とは異なる第2位置に切り換わる。第1制御弁56Aには、油路を介してブームシリンダ14が接続され、第2制御弁56Bには、油路を介してバケットシリンダ15が接続されている。
第3制御弁56Cには、給排油路83が接続されている。給排油路83の一端は、第3制御弁56Cの給排ポートに接続され、給排油路83の中途部は、接続部材50に接続され、給排油路83の他端部は、予備アタッチメントの油圧機器に接続される。詳しくは、給排油路83は、第3制御弁56Cの第1給排ポートと接続部材50の第1ポートとを接続する第1給排油路83aを含んでいる。また、給排油路83は、第3制御弁56Cの第2給排ポートと接続部材50の第2ポートとを接続する第2給排油路83bとを含んでいる。つまり、第3制御弁56Cを作動させることによって、第3制御弁56Cから第1給排油路83aに向けて作動油を流したり、第3制御弁56Cから第2給排油路83bに向けて作動油を流すことができる。
図1に示すように、作業機1の走行に関する操作(走行操作)及び作業に関する操作(作業操作)は、運転席8の左に設けられた第1操作装置47と、運転席8の右に設けられた第2操作装置48とによって行う。即ち、第1操作装置47及び第2操作装置48は、走行系の油圧機器(走行モータ36、走行ポンプ53L,53R)、作業系の油圧機器(第1制御弁56A、第2制御弁56B、第3制御弁56C、ブームシリンダ14、バケットシリンダ15、予備アタッチメントに設けた油圧シリンダ、油圧モータ)を操作する操作装置である。言い換えれば、第1操作装置47及び第2操作装置48は、少なくとも、走行ポンプ(第1可変容量ポンプ)53Lの容量、走行ポンプ(第2可変容量ポンプ)53Rの容量を変更可能な操作装置である。
次に、第1操作装置47及び第2操作装置48について詳しく説明する。
第1操作装置47は、走行操作と作業操作との両方を行うことが可能な装置であり、第1操作部材54を有している。第1操作部材54は、前後に動かす第1操作と、前後とは異なる左右(機体幅方向)に動かす第2操作とを行うことが可能なレバーである。言い換えれば、第1操作部材54は、一方向(例えば、前、左)と、一方向とは異なる他方向(例えば、後、右)とに動かすことが可能なレバーである。
第1操作部材54において、第1操作は走行操作に割り当てられており、第2操作は作業操作に割り当てられている。つまり、第1操作部材54は、走行の操作部材(走行操作部材)と、作業の操作部材(作業操作部材)とを兼用している。なお、第1操作部材54は、少なくとも第1操作と第2操作とを独立して行うことができるものであれば、レバーに限定されない。
第1操作部材54の下部には、複数の操作弁55が設けられている。複数の操作弁55は、操作弁55A、操作弁55B、操作弁55C及び操作弁55Dである。操作弁55A、操作弁55B、操作弁55C及び操作弁55Dは、第2作動弁35の下流側における吐出油路40に接続されている。
操作弁55Aは、第1操作(前後の操作)のうち前操作で作動する弁であって、前操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。操作弁55Bは、第1操作(前後の操作)のうち後操作で作動する弁であって、後操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、操作弁55A及び操作弁55Bは、第1操作によって作動する弁であり、走行操作に対応する動きをする。
操作弁55Cは、第2操作(左右の操作)のうち左操作で作動する弁であって、左操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。操作弁55Dは、第2操作(左右の操作)のうち右操作で作動する弁であって、右操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、操作弁55C及び操作弁55Dは、第2操作によって作動する弁であり、作業操作に対応する動きをする。
第2操作装置48は、走行操作と作業操作との両方を行うことが可能な装置であり、第2操作部材58を有している。第2操作部材58は、前後に動かす第1操作と、前後とは異なる左右(機体幅方向)に動かす第2操作とを行うことが可能なレバーである。言い換えれば、第2操作部材58は、一方向(例えば、前、左)と、一方向とは異なる他方向(例えば、後、右)とに動かすことが可能なレバーである。
第2操作部材58において、第1操作は走行操作に割り当てられており、第2操作は作業操作に割り当てられている。つまり、第2操作部材48は、走行の操作部材(走行操作部材)と、作業の操作部材(作業操作部材)とを兼用している。なお、第2操作部材58は、少なくとも第1操作と第2操作とを独立して行うことができるものであれば、レバーに限定されない。
第2操作部材58の下部には、複数の操作弁59が設けられている。複数の操作弁59は、操作弁59A、操作弁59B、操作弁59C及び操作弁59Dである。操作弁59A、操作弁59B、操作弁59C及び操作弁59Dは、吐出油路40に接続されている。
操作弁59Aは、第2操作(前後の操作)のうち前操作で作動する弁であって、前操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。操作弁59Bは、第1操作(前後の操作)のうち後操作で作動する弁であって、後操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、操作弁59A及び操作弁59Bは、第1操作によって作動する弁であり、走行操作に対応する動きをする。
操作弁59Cは、第1操作(左右の操作)のうち左操作で作動する弁であって、左操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。操作弁59Dは、第2操作(左右の操作)のうち右操作で作動する弁であって、右操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、操作弁59C及び操作弁59Dは、第2操作によって作動する弁であり、作業操作に対応する動きをする。
以上のことから、複数の操作弁のうち、操作弁55A、操作弁55B、操作弁59A、操作弁59Bは、走行操作に対応して作動し、操作弁55C、操作弁55D、操作弁59C、操作弁59Dは、作業操作に対応して作動する。説明の便宜上、操作弁55A、操作弁55B、操作弁59A、操作弁59Bのことを、走行操作弁ということがある。走行操作弁のうち、第1操作部材54の一方向(例えば、前)によって作動する操作弁55Aのことを「第1操作弁」といい、第1操作部材54の他方向(例えば、後)によって作動する操作弁55Bのことを「第2操作弁」といい、第2操作部材58の一方向(例えば、前)によって作動する操作弁59Aのことを「第3操作弁」といい、第2操作部材58の他方向(例えば、後)によって作動する操作弁59Bのことを「第4操作弁」という。
次に、走行操作弁、作業操作弁、油圧機器との関係について説明する。図1及び図2に示す符号「W1」、「W2」、「D1」、「D2」は油路の接続先を示している。
走行操作弁と、走行系の油圧機器(走行油圧機器)の1つである走行ポンプ53L,53Rとは、走行油路45によって接続されている。走行油路45は、第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45dを有している。第1走行油路45aは、第1操作弁55Aと走行ポンプ53Lの前進用受圧部53aとを接続する油路である。第2走行油路45bは、第2操作弁55Bと走行ポンプ53Lの後進用受圧部53bとを接続する油路である。第3走行油路45cは、第3操作弁59Aと走行ポンプ53Rの前進用受圧部53aとを接続する油路である。第4走行油路45dは、第4操作弁59Bと走行ポンプ53Rの後進用受圧部53bとを接続する油路である。
第1操作部材54を前側に傾動させると、第1操作弁55Aが操作されて当該第1操作弁55Aからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Lの前進用受圧部53aに作用する。第2操作部材58を前側に傾動させると、第3操作弁59Aが操作されて当該第3操作弁59Aからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Rの前進用受圧部53aに作用する。
第1操作部材54を後側に傾動させると、第2操作弁55Bが操作されて当該第2操作弁55Bからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Lの後進用受圧部53bに作用する。第2操作部材58を後側に傾動させると、第4操作弁59Bが操作されて当該第4操作弁59Bからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Rの後進用受圧部53bに作用する。
したがって、第1操作部材54と第2操作部材58とを前側に揺動すると、走行モータ(HSTモータ)36は、第1操作部材54及び第2操作部材58の揺動量に比例した速度で正転し、その結果、作業機1が前方に直進する。第1操作部材54と第2操作部材58とを後側に揺動すると、走行モータ36は、第1操作部材54及び第2操作部材58の揺動量に比例した速度で逆転して、その結果、作業機1が後方に直進する。
また、第1操作部材54と第2操作部材58とのうち、一方を前側に揺動し、他方を後側に揺動すると、左側の走行モータ36と右側の走行モータ36とが異なる方向に回転して、その結果、作業機1が右又は左に旋回する。
以上、第1操作部材54を前後に動かしたり、第2操作部材58を前後に動かすことによって、作業機1を前進、後進、右旋回、左旋回させる走行操作を行うことができる。
また、作業操作弁と、作業系の油圧機器(作業油圧機器)の1つである制御弁56とは、作業油路46によって接続されている。作業油路46は、第1作業油路46a、第2作業油路46b、第3作業油路46c、第4作業油路46dを有している。第1作業油路46aは、操作弁55Cと第1制御弁56Aの受圧部とを接続する油路である。第2作業油路46bは、操作弁55Dと第1制御弁56Aの受圧部とを接続する油路である。第3作業油路46cは、操作弁59Cと第2制御弁56Bの受圧部とを接続する油路である。第4作業油路46dは、操作弁59Dと第2制御弁56Bの受圧部とを接続する油路である。
第1操作部材54を左側に傾動させると、操作弁55Cが操作されて当該操作弁55Cから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第1制御弁56Aの受圧部に作用し、ブームシリンダ14が伸長して、ブーム10は上昇する。第1操作部材54を右側に傾動させると、操作弁55Dが操作されて当該操作弁55Dから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第1制御弁56Aの受圧部に作用し、ブームシリンダ14は収縮して、ブーム10は下降する。第2操作部材58を左側に傾動させると、操作弁59Cが操作されて当該操作弁59Cから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第2制御弁56Bの受圧部に作用し、バケットシリンダ15は収縮して、バケット11がスクイ動作する。第2操作部材58を右側に傾動させると、操作弁59Dが操作され当該操作弁59Dから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第2制御弁56Bの受圧部に作用し、バケットシリンダ15は伸長して、バケット11がダンプ動作する。
したがって、第1操作部材58を左右に動かしたり、第2操作部材58を左右に動かすことによって、ブーム10の昇降、バケットのダンプ動作或いはスクイ動作等の作業操作を行うことができる。
さて、油圧システムには、走行油路45の作動油の圧力を低減(減圧)することが可能な回路が設けられている。図1に示すように、油圧機器の1つである走行ポンプ53L,53Rと走行操作弁とを繋ぐ走行油路(第2油路)45には、作動油を排出する排出油路51が接続されている。排出油路51には、作動弁70が設けられている。この作動弁70は、排出油路51の作動油の圧力を低減可能な弁、即ち、排出油路51に接続された走行油路45の作動油の圧力を低減可能な弁である。
以下、排出油路51及び作動弁70について詳しく説明する。
排出油路51は、走行操作弁、即ち、第1操作弁55A、第2操作弁55B、第3操作弁59A、第4操作弁59Bの少なくとも1つに連通する油路である。具体的には、排出油路51は、第1排出油路51aと、第2排出油路51bと、第3排出油路51cと、第4排出油路51dと、第5排出油路51eとを有している。第1排出油路51aは、第1走行油路45aの中途部から分岐する油路である。第2排出油路51bは、第2走行油路45bの中途部から分岐する油路である。第3排出油路51cは、第3走行油路45cの中途部から分岐する油路である。第4排出油路51dは、第4走行油路45dの中途部から分岐する油路である。第5排出油路51eは、第1排出油路51a、第2排出油路51b、第3排出油路51c及び第4排出油路51dを接続する油路である。第5排出油路51eの中途部には、作動弁70が設けられている。
第1排出油路51a、第2排出油路51b、第3排出油路51c、第4排出油路51dのそれぞれには、走行油路45から第5排出油路51e(作動弁70)に向けて作動油が流れることを許容し且つ排出側から第5排出油路51e(作動弁70)に向けて作動油が流れることを阻止する逆止弁71が設けられている。
作動弁70は、設定圧が変更可能なリリーフ弁78と、油路72を介してリリーフ弁78に接続された比例弁73とを有している。例えば、リリーフ弁78は、作動油の圧力に基づいて設定圧が可変するバランス型のリリーフ弁であって、作動油を受圧する受圧部78aを有している。リリーフ弁78の受圧部78aには、油路72が接続され、油路72には比例弁73が接続されている。比例弁73には、吐出油路40が接続されていて、第1油圧ポンプP1からの作動油が供給可能である。比例弁73は、ソレノイドを励磁することによって開度が変更可能な電磁比例弁であって、制御装置90により制御される。例えば、制御装置90は、比例弁73に制御信号を出力して、当該比例弁73の開度を増減する。比例弁73の開度を増減すると、リリーフ弁78の受圧部78aに作用する作動油の圧力も開度の増減に伴って変化するため、リリーフ弁78の設定圧を変更することができる。例えば、リリーフ弁78の設定圧が低い場合、走行油路45の作動油が排出油路51を介して排出されるため、当該走行油路45に付与される作動油の圧力を下げることができる。
このように、走行油路45の作動油の圧力を下げることにより、走行ポンプ53L及び走行ポンプ53Rにおける前進用受圧部53a及び後進用受圧部53bに作用する作動油の圧力を低下させることができる。つまり、制御装置90、作動弁70(リリーフ弁78、比例弁73)によって、操作装置(第1操作装置47、第2操作装置48)の操作に関係なく独立して、走行ポンプ53L及び走行ポンプ53Rの容量を変更することができる。
以下、制御装置90による作動弁70の制御について詳しく説明する。
制御装置90には、回転数検出装置(第1検出装置)101と、温度検出装置(第2検出装置)102とが接続されている。回転数検出装置101は、原動機の回転数を検出する装置であって、原動機がエンジンの場合、エンジン回転数を検出し、電動モータの場合は、モータ回転数を検出する。温度検出装置102は作動油の温度(油温という)を測定する。
制御装置90は、回転数検出装置101により検出された原動機の回転数と、温度検出装置102により検出された油温に応じてリリーフ弁78の設定値、即ち、走行油路45の圧力を制御する。以降、説明の便宜上、原動機の回転数は、エンジン回転数とする。また、エンジン回転数及び油温に応じて制御された走行油路45の圧力を「温度制限圧力」という。
制御装置90は、温度制限圧力を設定する第1圧力設定部90Aを有している。第1圧力設定部90Aは、例えば、制御装置90に格納されたプログラム、電気、電子回路等により構成されている。第1圧力設定部90Aは、エンジン回転数及び油温に基づいて、リリーフ弁78の設定圧(温度制限圧力)を設定する。この実施形態では、第1圧力設定部90Aは、作動油に関する複数の閾値(油温に関する複数の閾値)と複数の閾値に応じて設定されたエンジン回転数とに基づいて、リリーフ弁78の設定圧(温度制限圧力)を設定する。なお、第1圧力設定部90Aは、エンジン回転数及び1つの油温に基づいて、リリーフ弁78の温度制限圧力を設定するものであってもよい。
図3は、エンジン回転数、油温、リリーフ弁78の設定圧(温度制限圧力)の関係を示す図である。制御装置90は、例えば、複数の油温毎に、エンジン回転数と温度制限圧力との関係を示す第1制御情報(第1制御マップ)を記憶している。例えば、制御装置90は、油温が−30℃以下であるエンジン回転数−温度制限圧力との関係を示す第1制御線L1と、油温が−20℃であるエンジン回転数−温度制限圧力との関係を示す第2制御線L2と、油温が−10℃であるエンジン回転数−温度制限圧力との関係を示す第3制御線L3と、油温が0℃以上であるエンジン回転数−温度制限圧力との関係を示す第4制御線L4とを示す第1制御情報を記憶している。言い換えれば、制御装置90は、油温の複数の閾値(−30℃、−20℃、−10℃、0℃)を示す複数の制御線(第1制御線L1、第2制御線L2、第3制御線L3、第4制御線L4)を有している。なお、制御装置90は、複数の制御線(L1、L2、L3、L4)を算出するための関数(制御式)を第1制御情報として記憶していてもよいし、制御線を示すデータを第1制御情報として記憶していてもよいし、制御線を求めるためのパラメータを第1制御情報として記憶いてもよく、第1制御情報の記憶方法は限定されない。また、油温、エンジン回転数、温度制限圧力は、図3に示した値(閾値)に限定されない。
第1制御線L1、第2制御線L2、第3制御線L3及び第4制御線L4のいずれも、エンジン回転数が最大値(2500rpm)から減少するにしたがって、温度制限圧力は小さくなっている。また、第1制御線L1、第2制御線L2、第3制御線L3及び第4制御線L4のいずれも、エンジン回転数が所定の回転数(2000rpm)以上である場合、温度制限圧力は一定である。また、第1制御線L1、第2制御線L2、第3制御線L3及び第4制御線L4では、同一のエンジン回転数の場合は、油温が高温になるほど、温度制限圧力を高くしている。また、複数の制御線は、エンジン回転数の減少に伴って温度制限圧力を減少させる減少区間111と、エンジン回転数の減少に関係なく温度制限圧力を一定にする一定区間112とを含んでいる。
第1圧力設定部90Aは、エンジン始動後に、回転数検出装置101によって検出されたエンジン回転数(検出回転数という)と、温度検出装置102によって検出された油温(検出油温)とを監視する。第1圧力設定部90Aは、検出回転数、検出油温、第1制御情報に基づいて、温度制限圧力を求める。即ち、第1圧力設定部90Aは、複数の油温と、複数の油温に応じて設定されたエンジン回転数とに基づいて、温度制限圧力を求める。制御装置90は、第1圧力設定部90Aが求めた温度制限圧力になるように、比例弁73に制御信号を出力し、比例弁73の開度を設定することで、リリーフ弁78の設定圧を、エンジン回転数及び油温に基づいて変更する。
以上の油圧システムによれば、例えば、油温が0℃以上であり、作動油の粘性(粘度)が低い場合、第1圧力設定部90Aによってリリーフ弁78の温度制限圧力を高くすることができる。そのため、作動油の粘性が低い場合には、操作装置(第1操作装置47、第2操作装置48)に応じて、第1可変容量ポンプ53L及び第2可変容量ポンプ53Rの容量を変化させ、作業機1の走行速度を変化させることができる。一方、油温が−30℃以下であり、作動油の粘性が高くなった場合には、第1圧力設定部90Aによって温度制限圧力を低くしている。この場合には、第1可変容量ポンプ53L及び第2可変容量ポンプ53Rの容量を小さくしているため、作業機1の走行速度を低下させつつも、作動油の暖機を行うことができる。
これに加え、エンジン回転数が低下した場合には、油温毎に応じて温度制限圧力を低下させている。即ち、エンジンの出力が低下した場合には、エンジンの出力に応じて第1可変容量ポンプ53L及び第2可変容量ポンプ53Rの容量を小さくしているため、作業機1による作業を継続することができる。
さて、作業機1では、走行速度を制限してもよい。図4は、走行速度の制限が行える油圧システム(油圧回路)を示している。即ち、図4は、上述した油圧システムの第1変形例を示している。走行速度の制限は、制御装置90及び作動弁70等によって、作動弁の設定圧の上限値を予め定められた値に固定して、第1可変容量ポンプ53L及び第2可変容量ポンプ53Rの上限値を設定することにより、操作装置を操作しても、走行速度が所定よりも増加しないように制限する。以降、説明の便宜上、走行速度の制限のことを車速制限という。
例えば、制御装置90には、車速制限を行うか否かを切り換える制限スイッチ103が接続されている。制限スイッチ103は、作業者が操作できる手動スイッチであってもよいし、自動的に切り換わるセンサ等の自動スイッチであってもよい。制限スイッチ103がオンになると、制御装置90は車速制限の処理を実行し、制限スイッチ103がオフになると、制御装置90は車速制限の処理は行わない。
図4に示すように、制御装置90は、第2圧力設定部90Bを有している。第2圧力設定部90Bは、例えば、制御装置90に格納されたプログラム、電気、電子回路等により構成されている。第2圧力設定部90Bは、車速制限時にリリーフ弁78の設定圧を設定する。以降、説明の便宜上、車速制限時に設定した走行油路45の圧力を「走行制限圧力」という。
図5は、エンジン回転数、油温、リリーフ弁78の設定圧(走行制限限圧力、温度制限圧力)の関係を示す図である。制御装置90は、例えば、車速制限時において、エンジン回転数と温度制限圧力との関係を示す第2制御情報(第2制御マップ)を記憶している。即ち、制御装置90は、車速制限時に用いられる第5制御線L5を有している。第5制御線L5は、第1制御線L1、第2制御線L2、第3制御線L3、第4制御線L4におけるリリーフ弁78の設定圧の上限を設定するもので、第1圧力設定部90Aによって設定された温度制限圧力よりも走行制限圧力を低くする制御線である。
車速制限が行われていない場合は、第1圧力設定部90Aが複数の制御線(L1、L2、L3、L4)に基づいて温度制限圧力が設定される。例えば、図5に示すように、制御線L1において、エンジン回転数が範囲Q1である場合、温度制限圧力はM1に設定される。また、制御線L1において、エンジン回転数が範囲Q2である場合は、温度制限圧力は範囲M2に設定される。このような状況下において、車速制限が行われた場合は、第2圧力設定部90Bは、第5制御線L5により、リリーフ弁78の設定圧(速度制限圧力)の上限をM3に設定する。即ち、車速制限が行われた場合、制御線L1において、エンジン回転数が範囲Q1であっても範囲Q2であっても、リリーフ弁78の設定圧(速度制限圧力)はM3に固定される。つまり、第2圧力設定部90Bは、車速制限が行われた場合、リリーフ弁78の設定圧(走行制限圧力)M3を第1圧力設定部90Aによって設定された温度制限圧力M1、範囲M2よりも低くする。特に、第2圧力設定部90Bは、油温が0℃以上、−10℃、−20℃、−30℃以下のいずれであっても、油温に関係なく、リリーフ弁78の設定圧を、温度制限圧力よりも小さくする。
以上のように、第2圧力設定部90Bによって、リリーフ弁78の設定圧(走行制限圧力)M3を第1圧力設定部90Aによって設定された温度制限圧力M1、範囲M2よりも低くすることにより、車速制限をしながらもリリーフ弁78から作動油を作動油タンク22等に流すことができ、作動油の暖機を行うことができる。
さて、作業機1では、エンジン回転数の制限をしてもよい。図6は、エンジン回転数の制限が行える油圧システム(油圧回路)を示している。即ち、図6は、上述した油圧システムの第2変形例を示している。制御装置90には、エンジン回転数を設定するアクセル104が接続されている。アクセル104を操作すると、制御装置90にアクセル104の操作量が入力され、当該制御装置90は、アクセル104の操作量に応じてエンジン回転数を制御する。制御装置90は、エンジン回転数の制限を行う場合、エンジンの回転数の最大値よりも低い値に設定された制限値Q4を超えないようにエンジン回転数の上限を設定する。即ち、エンジン回転数の制限を行っていない場合は、アクセル104を操作してエンジン回転数を制限値Q4以上に設定することができるが、エンジン回転数の制限が行われた場合、制御装置90は、アクセル104を操作しても、当該アクセル104の操作によるエンジン回転数の上限を制限値Q4に固定する。なお、上述した実施形態では、アクセル104について示していないが、当然の如く、作業機1にはアクセル104が設けられている。
エンジン回転数の制限は、制御装置90により行う。エンジン回転数の制限は、例えば、温度検出装置102により検出された油温が所定以上低くなった場合等に行われる。以降、説明の便宜上、エンジン回転数の制限時に設定された走行油路45の圧力を「回転数制限圧力」という。また、エンジン回転数の制限のことを「回転数制限」という。
図6に示すように、制御装置90は、第3圧力設定部90Cを有している。第3圧力設定部90Cは、例えば、制御装置90に格納されたプログラム、電気、電子回路等により構成されている。第3圧力設定部90Cは、回転数制限時にリリーフ弁78の設定圧を設定する。
図7は、エンジン回転数、油温、リリーフ弁78の設定圧(温度制限圧力、回転数制限圧力)の関係を示す図である。図7に示すように、制御装置90は、油温が通常温度以上(例えば、−10℃以上)の場合に用いられる第6制御線L6と、油温が通常温度以外(例えば、−10℃未満)に用いられる第7制御線L7とを示す第3制御情報を記憶している。第6制御線L6は、油温が通常温度であって、回転数制限を行わない場合に用いられ、第7制御線L7は、油温が通常温度以外であって、回転数制限が行われている場合に用いられる。第7制御線L7で示されたエンジン回転数の上限は、回転数制限時の制限値Q4と同じである。また、制限値Q4以下、即ち、回転数制限が行われていない範囲Q3では、第7制御線L7で設定される回転数制限圧力は、第6制御線L6で設定される温度制限圧力よりも低い。
回転数制限が行われていない場合は、第1圧力設定部90Aが第6制御線L6に基づいて温度制限圧力が設定される。一方、油温が通常温度以外であって−10℃未満の場合、第3圧力設定部90Cは第7制御線L7に基づいて回転数制限圧力を設定する。例えば、制御装置90は、アクセル104の操作量を、制限値Q4を超えるエンジン回転数に設定したとしても制限値Q4に固定する。一方、第3圧力設定部90Cは、制限値Q4及び第7制御線L7を用いて、回転数制限圧力M4に固定する。また、アクセル104の操作量が制限値Q4未満に設定された場合は、第3圧力設定部90Cは、エンジン回転数に応じて回転数制限圧力を範囲M5に設定する。つまり、第3圧力設定部90Cは、回転数制限時に、当該回転数制限の制限が行われない範囲Q3で第1圧力設定部90Aによって設定された温度制限圧力よりも回転数制限圧力を低くする。
以上のように、回転数制限を行うことによって、可変容量ポンプ(第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2)の出力を抑えつつも、リリーフ弁78から作動油を作動油タンク22等に流すことができ、作動油の暖機を行うことができる。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態における油圧システムを示している。また、上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。第2実施形態は、第1実施形態と異なり、第1操作装置47により作業操作を行い、第2操作装置48により走行操作を行う。
第1操作装置47に設けられた操作弁55A、操作弁55B、操作弁55C及び操作弁55は、作業操作弁である。第1作業油路46aは、操作弁55Aと第1制御弁56Aの受圧部とを接続している。第2作業油路46bは、操作弁55Bと第1制御弁56Aの受圧部とを接続している。第3作業油路46cは、操作弁55Cと第2制御弁56Bの受圧部とを接続している。第4作業油路46dは、操作弁55Dと第2制御弁56Bの受圧部とを接続している。したがって、操作弁55A、操作弁55B、操作弁55C、操作弁55Dは、作業操作弁である。
第2操作装置48に設けられた操作弁59A、操作弁59B、操作弁59C、操作弁59Dは、走行操作弁である。操作弁59A、操作弁59B、操作弁59C、操作弁59Dは、第5走行油路45dを介して複数の高圧選択弁(シャトル弁)121、122、123、124が接続されている。
第1走行油路45aは、シャトル弁122と走行ポンプ53Lの前進用受圧部53aとを接続している。第2走行油路45bは、シャトル弁124と走行ポンプ53Lの後進用受圧部53bとを接続している。第3走行油路45cは、シャトル弁121と走行ポンプ53Rの前進用受圧部53aとを接続している。第4走行油路45dは、シャトル弁123と走行ポンプ53Rの後進用受圧部53bとを接続している。その他の構成は、第1実施形態と同じである。以上によれば、第1操作装置47により作業操作を行い、第2操作装置48により走行操作を行う油圧回路であっても、エンジン回転数や油温によって、走行油路45の作動油を排出油路51、作動弁70によって排出することにより、第1可変容量ポンプ53Lの容量、第2可変容量ポンプ53Rの容量を変更することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 作業機
45 走行油路
47 第1操作装置
48 第2操作装置
51 排出油路
53L 第1可変容量ポンプ(走行ポンプ)
53R 第2可変容量ポンプ(走行ポンプ)
54 第1操作部材
55 操作弁
58 第1操作部材
59 操作弁
70 作動弁
90 制御装置
90A 第1圧力設定部
90B 第2圧力設定部
90C 第3圧力設定部
M1 温度制限圧力
M2 速度制限圧力
M3 速度制限圧力の上限
M4 回転数制限圧力の上限

Claims (7)

  1. 原動機と、
    前記原動機の動力により駆動し且つ容量を変更可能な第1可変容量ポンプと、
    前記原動機の動力により駆動し且つ容量を変更可能な第2可変容量ポンプと、
    第1操作部材及び前記第1記操作部材の操作に応じて作動油の圧力が変更可能な第1操作弁を有し、且つ前記第1操作弁で変更された作動油の圧力によって第1可変容量ポンプの容量を変更可能な第1操作装置と、
    前記第1操作装置とは異なる操作装置であって、第2操作部材及び前記第2記操作部材の操作に応じて作動油の圧力が変更可能な第2操作弁を有し、且つ前記第2操作弁で変更された作動油の圧力によって第2可変容量ポンプの容量を変更可能な第2操作装置と、
    前記第1操作弁及び前記第2操作弁と、前記第1可変容量ポンプ及び前記第2可変容量ポンプとを接続する走行油路と、
    前記走行油路に接続し且つ前記走行油路の作動油を排出する排出油路と、
    前記原動機の回転数及び前記作動油の温度に応じて前記作動弁を制御する制御装置と、
    を備えている作業機の油圧システム。
  2. 前記制御装置は、作動油の温度と前記原動機の回転数とに基づいて、前記走行油路の圧力である温度制限圧力を設定する第1圧力設定部を有し、前記温度制限圧力に基づいて前記作動弁を制御する請求項1に記載の作業機の油圧システム。
  3. 前記制御装置は、作動油に関する複数の閾値と前記複数の閾値に応じて設定された前記原動機の回転数とに基づいて、前記走行油路の圧力である温度制限圧力を設定する第1圧力設定部を有し、前記温度制限圧力に基づいて前記作動弁を制御する請求項1に記載の作業機の油圧システム。
  4. 前記制御装置は、作業機の走行速度を制限時に前記走行油路の圧力である走行制限圧力を設定する第2圧力設定部を有し、
    前記第2圧力設定部は、前記走行速度を制限する場合に、前記第1圧力設定部によって設定された前記温度制限圧力よりも前記走行制限圧力を低くする請求項2又は3に記載の作業機の油圧システム。
  5. 前記制御装置は、原動機の回転数を制限時に前記走行油路の圧力である回転数制限圧力を設定する第3圧力設定部を有し、前記回転数制限圧力に基づいて前記作動弁を制御する請求項1〜4に記載の作業機の油圧システム。
  6. 原動機と、
    前記原動機の動力により駆動し且つ容量を変更可能な可変容量ポンプと、
    操作部材及び前記操作部材の操作に応じて作動油の圧力が変更可能な操作弁を有し、且つ前記操作弁で変更された作動油の圧力によって前記可変容量ポンプの容量を変更可能な操作装置と、
    前記操作弁と前記可変容量ポンプとを接続する走行油路と、
    前記走行油路に接続し且つ前記走行油路の作動油を排出する排出油路と、
    前記排出油路に設けられ且つ前記走行油路における作動油の圧力を低減可能な作動弁と、
    前記原動機の回転数及び前記作動油の温度に応じて前記作動弁を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、原動機の回転数を制限時に前記走行油路の圧力である回転数制限圧力を設定する第3圧力設定部を有し、前記回転数制限圧力に基づいて前記作動弁を制御する作業機の油圧システム。
  7. 前記第3圧力設定部は、前記原動機の回転数を制限時に、前記原動機の回転数の制限が行われていない回転数の領域で前記第1圧力設定部によって設定された前記温度制限圧力よりも前記回転数制限圧力を低くする請求項5又は6に記載の作業機の油圧システム。
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