JP6695749B2 - 清浄化用皮膜形成剤およびこれを用いた清浄化処理方法 - Google Patents
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Description
窓ガラスやアルミサッシのレール等、大きな凹凸や溝のある表面や、小さな隙間のある表面について清浄化処理を行う場合も、従来は前記組み合わせが主に用いられてきた。しかし、一般的な清浄具は一定の形状を有しているため、前記凹凸や隙間のある表面の清浄化処理には適さない場合が多い。そして、無理に清浄化処理を行おうとすると、汚れを隙間の奥に押し込んだり、汚れを押し潰したりすることにより、逆に除去を困難にしてしまう恐れがある。
しかしながら、溝部を有するサッシレールまたは窓枠等に付着した強固な泥汚れに使用すると、清浄化処理能力が充分ではないことがあった。さらに、特許文献4の技術での皮膜は破れ易く、溝部が多い清浄化対象面の面からの剥離の操作に手間を要し、清浄化処理が行いにくくなるなどの課題を有していた。
[1](A)成分:(メタ)アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびポリビニルアセタール樹脂から選ばれる1種以上の高分子と、
(B)成分:水と、
(C)成分:溶解度パラメーター(SP値)が7.5〜11.0である有機溶剤と、
を含有し、かつ前記(A)成分/前記(C)成分で表される質量比が30〜450である清浄化用皮膜形成剤。
[2] 前記(C)成分がグリコールエーテル系溶剤である[1]に記載の清浄化用皮膜形成剤。
[3] 前記(A)成分のガラス転移温度(Tg)が0〜100℃である
[1]または[2]に記載の清浄化用皮膜形成剤。
[4] (D)成分:キレート剤をさらに含有する[1]から[3]のいずれか1に記載の清浄化用皮膜形成剤。
[5] 前記(D)成分がカリウム塩である[1]から[4]のいずれか1に記載の清浄化用皮膜形成剤。
[6] [1]から[5]のいずれか1に記載の清浄化用皮膜形成剤を清浄化対象面に対して塗布し、前記清浄化対象面上に前記清浄化用皮膜形成剤により皮膜を形成し、次いで前記皮膜を清浄化対象面より剥離することにより前記清浄化対象面の清浄化処理を行うことを特徴とする清浄化処理方法。
[7] 前記清浄化用皮膜形成剤の全体質量に対する前記(A)成分の含有量が20〜70質量%である[1]から[5]のいずれか1に記載の清浄化用皮膜形成剤。
[8] 前記清浄化用皮膜形成剤の全体質量に対する前記(B)成分の含有量が25〜75質量%である[1]から[5]のいずれか1に記載の清浄化用皮膜形成剤。
[9] 前記清浄化用皮膜形成剤の全体質量に対する前記(C)成分の含有量が0.1〜2.5質量%である[1]から[5]のいずれか1に記載の清浄化用皮膜形成剤。
本実施形態の清浄化用皮膜形成剤は、下記(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含む。
(A)成分は、(メタ)アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびポリビニルアセタール樹脂から選ばれる1種以上の高分子である。
(A)成分に用いる高分子は、皮膜形成性を有する。ここで皮膜形成性とは、剥離可能な皮膜を形成できる性質である。例えば、大気圧条件下において2cm×10cmの範囲に高分子の水分散液または水溶液を厚み0.05〜0.5mmとなるように塗布し、48時間放置したときに、皮膜が形成されるものである。このようにして形成される皮膜は、手等で剥離可能なものであることが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステルに基づく構成単位を有する重合体である。(メタ)アクリル樹脂は、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂の総称である。(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの総称である。
酢酸ビニル樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体または酢酸ビニルと(メタ)アクリル酸エステル類を除く上記エチレン性不飽和単量体との共重合体が挙げられる。本実施形態の酢酸ビニル樹脂としては、清浄化処理能力の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの含有量は、25〜99mоl%とすると凸凹面を含む複雑な形状でも破けにくい強靭な皮膜を形成することができる。
ゲル分率は、例えば以下のように測定されるトルエン不溶分である。酢酸ビニル樹脂の水分散液又は水溶液を基材上に塗布し、乾燥してフィルム(皮膜)を形成する。乾燥した皮膜を細かく切って試料とし、この試料(約0.250〜0.350g)の質量を1mgまで秤量する(質量A)。次に、フラスコにトルエンを100ml量り採り、前記試料を加えて完全密封する。完全密封した状態で室温において16±2時間静置させた後、前記フラスコ内の溶液をマグネチックスターラで1時間撹拌する。その後、この溶液をNo.2濾紙で濾過する。予めに、アルミ皿の質量を測定し(質量B)、No.2濾紙でろ過したろ液をアルミ皿に20ml量り採る。アルミ皿を乾燥させ、乾燥後の質量(アルミサラ及びろ液の乾燥物の合計量)を1mgまで秤量し(質量C)、トルエン不溶分(質量%)を下記式(1)により計算する。
トルエン不溶分(質量%)=100−[(質量C−質量B)×5/質量A]×100 ・・・(1)
以上の操作を3回繰り返し(つまり、測定n数は3とする)それらの平均値をその酢酸ビニル樹脂のゲル分率(質量%)とする。
塩化ビニル樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、または塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体等の塩化ビニル樹脂を用いることができる。本実施形態の塩化ビニル樹脂としては、清浄化処理能力の観点からポリ塩化ビニルが好ましい。
ウレタン樹脂はポリオール成分とポリイソシアネート化合物との反応によって得られるウレタン結合を有する樹脂である。ウレタン樹脂としては、ポリウレタン樹脂およびアクリルウレタン樹脂が挙げられる。ポリウレタン樹脂はポリオール成分としてポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールが単独または併用で用いられ、アクリルウレタン樹脂はアクリルポリオールが用いられる。本実施形態のウレタン樹脂としては、清浄化処理能力の観点からポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂としては、けん化度65.0〜99.0mol%、重合度300〜4000のポリビニルアルコールを用いることが好ましい。特に好ましくは、けん化度85.0〜99.0mol%、重合度500〜2500のポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、またはポリビニルアセトアセタール樹脂が挙げられる。ポリビニルブチラール樹脂は水酸基量20〜40mol%、アセチル基量20mol%、ブチラール化度55〜80mol%のものが好ましい。また、ポリビニルアセトアセタール樹脂はアセタール化度5〜30mol%、重合度500〜4000のものが好ましい。本実施形態のポリビニルアセタール樹脂としては、清浄化処理能力の観点からポリビニルアセトアセタール樹脂が特に好ましい。
(B)成分は水である。本実施形態の(B)成分は蒸留水、イオン交換水、または超純水が好ましい。(B)成分の清浄化用皮膜形成剤における含有量は、清浄化用皮膜形成剤の全体質量に対して25〜80質量%が好ましい。(B)成分の含有量は、25〜75質量%がさらに好ましい。
(C)成分は、溶解度パラメーター(SP値)が7.5〜11.0である有機溶剤である。
(C)成分に用いる各有機溶剤のSP値δ((cal/cm3)1/2)を計算するための方法として、下記式(2)を用いた。
δ=((δd2+δp2+δh2)/4.2)1/2 ・・・(2)
ここで、δdはLondon分散力項、δpは分子分極項、δhは水素結合項という。
また、ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウェア(HSPiP ver.4.1.x)、あるいは、“HANSEN SOLBILITY PARAMETERS” A User’s Handbook Second Editionに記載される値(δd、δp、δh:単位(J/cm3)1/2)をもとに算出する事が出来る。
また、(C)成分に有機溶剤を複数使用する場合のSP値は、下記式(3)により、各有機溶剤のSP値の加重平均として求めた。
m=δ1φ1+δ2φ2 ・・・(3)
ここでδ1、δ2は各溶剤成分のSP値であり、φ1、φ2は各溶剤成分の体積分率である。
RO−(AO)n−R’ ・・・(4)
式中、Rは炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはアリル基であり、R’は水素原子、炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基、アセチル基から選ばれる官能基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nは平均付加モル数で0.1〜20を表す。
(D)成分はキレート剤である。(D)成分の種類は特に限定されず、公知のキレート剤のなかから適宜選択できる。具体的には、たとえば有機カルボン酸類、アミノカルボン酸類、ホスホン酸類、ホスホノカルボン酸類、又はリン酸類等が挙げられる。キレート剤としては、これらの中でもアミノカルボン酸類、又はホスホン酸類が好ましく、より好ましくはアミノカルボン酸類、特に好ましくはエチレンジアミンテトラ酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシンの塩である。
これらのキレート剤はいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(A)成分/(C)成分で表される質量比(以下、A/C比)は30〜450である。A/C比が30以上であれば、皮膜が破れにくくなり清浄化処理を好適に行うことができる。A/C比が450以下であれば、清浄化用皮膜形成剤を汚れに浸透させて汚れを取り除く際に、強固に付着した泥などの汚れに対して清浄化用皮膜形成剤の浸透力が得られるため、清浄化処理能力が充分に得られる。好ましくは30〜300、より好ましくは30〜100である。A/C比をこれらの範囲とすることで、強固に付着した泥などの汚れに対しても特に優れた清浄化処理能力を得ることができる。
[任意成分]
本発明の清浄化用皮膜形成剤には、さらに上記以外の任意成分を配合できる。例えば、可溶化剤、乳化剤、可塑剤、pH調整剤、剥離向上剤、除菌剤、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、無機微粒子、紫外線吸収剤、苦味剤、色素、顔料、充填剤、または香料等が挙げられる。
本実施形態の清浄化用皮膜形成剤の調整方法の一例としては、ビーカー等の容器に(B)成分の一部(例えば、50〜80質量%)を投入し、撹拌しつつ(A)成分を次第に投入し、攪拌することで高分子化合物の水溶液あるいは水分散液を得る。また、予め(A)成分が(B)成分に溶解あるいは分散された市販品を容器に直接投入してもよい。
次に、必要に応じてpH調整剤を適量加えてpHを調整した後、(C)成分、(D)成分、(B)成分(水)の残分、および剥離向上剤等を加えてさらに攪拌することで、清浄化用皮膜形成剤を得ることができる。
ついで、本実施形態の清浄化用皮膜形成剤を用いた清浄化処理方法について説明する。本実施形態の清浄化処理方法では、清浄化用皮膜形成剤を清浄化対象面に対して塗布し、前記清浄化用皮膜形成剤を乾燥させて皮膜を形成し、前記皮膜を清浄化対象面から剥離することにより、前記清浄化対象面の清浄化処理を行う。
ここで清浄化処理とは、清浄化対象面の物質表面に付着した汚れを取り除く処理を指す。汚れとは、清浄化対象面以外の物質を広く指す可能性があるが、主な汚れとしては埃、土埃等や、それらが水分を含んで付着した後、水分を失ったものがある。清浄化処理能力とは、汚れを取り除く性能を広く指すが、主に効率(時間あたり表面上の汚れの物質を低減できる量)、特に1回の清浄化処理操作(本実施形態では、1回皮膜を形成し、取り除く操作)によって清浄化対象面の表面からどれだけの汚れを除去できるかを指す。
清浄化用皮膜形成剤の塗布方法は、筆もしくはペン等による塗布、またはエアゾールもしくはスプレー等によって清浄化対象面に吹きつけることにより行ってもよい。
前記塗布をエアゾールまたはスプレー等により行う場合、清浄化用皮膜形成剤を吹き付け操作が行いやすいよう選択した容器に充填する。清浄化用皮膜形成剤を充填する容器の形状は円柱、角柱、または円錐等でもよく、材質としてはプラスチック等の樹脂、または缶等の金属が挙げられる。
このとき、後で皮膜を剥がす目的のために、清浄化用皮膜形成剤の塗布前の清浄化対象面、又は塗布後の流動状態の清浄化用皮膜形成剤に対して、取っ手となる紙またはプラスチック板を設置しておいてもよい。
乾燥する際は、自然乾燥すなわち清浄化用皮膜形成剤を放置して表面から自然に水分を蒸発させ、これを皮膜が形成されるまで行ってもよい。また、ドライヤー、扇風機、または換気扇などによる風を清浄化用皮膜形成剤に当てるといった手段を併用してもよい。清浄化用皮膜形成剤を塗布後、塗布した面に吸水性を有する粉末をふりかけて、清浄化用皮膜形成剤から水分を除去してもよい。
A1:アクリル酸エステル共重合体のエマルション(昭和電工株式会社、製品名:ポリゾール(登録商標)AP604、固形分:40%、ガラス転移温度(Tg):8℃)。
A2:アクリル−スチレン共重合体のエマルション(BASFジャパン株式会社、製品名:YJ2720Dap、固形分:48%、ガラス転移温度(Tg):9℃)。
A3:ポリ酢酸ビニルのエマルション (日信化学工業株式会社、製品名:ビニブラン(登録商標)GV6181、固形分50%、ガラス転移温度(Tg):30℃)。
A4:エチレン-酢酸ビニル共重合体のエマルション(住化ケムテックス株式会社、製品名:SUMIKAFLEX S-752、固形分:50%、ガラス転移温度(Tg):15℃)。
A5:ポリ塩化ビニルのエマルション(日信化学工業株式会社、製品名:ビニブラン603EML、固形分50%、ガラス転移温度(Tg):10℃)。
A6:エチレン-塩化ビニル共重合体のエマルション(住化ケムテックス株式会社、製品名:SE1010、固形分:50%、ガラス転移温度(Tg):0℃)。
A7:ポリウレタンのエマルション(第一工業株式会社、製品名:スーパーフレックス(登録商標)150、固形分:30%、ガラス転移温度(Tg):40℃)。
A8:アクリルウレタンのエマルション(中央理化工業株式会社、製品名:リカボンドSU−100、固形分:33.5%、ガラス転移温度(Tg):0℃)。
A9:ポリビニルアルコール(クラレ株式会社、製品名:クラレポバールPVA−217)。
A10:ポリビニルアセタールの水溶液(積水化学工業株式会社、製品名:エスレック(登録商標)KW−10、固形分:25%、ガラス転移温度(Tg):65℃)。
B1:イオン交換水
C1:ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(日本乳化剤株式会社、製品名:ヘキシルジグリコール、SP値=9.7)。
C2:ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(日本乳化剤株式会社、製品名:2エチルヘキシルジグリコール、SP値=9.3)。
C3:ジエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社、製品名:メチルジグリコール、SP値=10.7)。
C4:エチレングリコールモノブチルエーテル(日本乳化剤株式会社、製品名:ブチルグリコール、SP値=10.2)。
C5:ジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤株式会社、製品名:ジエチルジグリコール、SP値=8.7)。
C6:ジエチレングリコールジブチルエーテル(日本乳化剤株式会社、製品名:ジブチルジグリコール、SP値=8.3)。
C7:アセトン(和光純薬工業株式会社、SP値=9.7)。
C8:酢酸メチル(和光純薬工業株式会社、SP値=9.1)。
C’1:n−ヘキサン(和光純薬工業株式会社、SP値=7.3)。
C’2:エチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社、製品名:メチルグリコール、SP値=12.1)。
(D)成分の含有量はキレート剤の無水の酸としての含有量を実施例の表に示した。
D1:エチレンジアミン四酢酸2カリウム(キレスト株式会社、製品名:キレスト(登録商標)2K−SD)
D2:エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム(キレスト株式会社、製品名:キレスト2B−SD)。
D3:ジヒドロキシエチルグリシンナトリウム塩(キレスト株式会社、製品名:キレストG−50)。
D4:ジヒドロキシエチルグリシンカリウム塩(キレスト株式会社、製品名:キレストGAをカリウムでpH7に調整したものを用いた)。
D5:クエン酸3ナトリウム(扶桑化学工業株式会社、製品名:クエン酸ナトリウム)。
表1〜3の組成(質量%)に従い、300mLビーカーに(B)成分(水)全投入量の8割を投入し、マグネチックスターラ(日伸理化製:SW−R800、1200rpm)で撹拌しているところへ(A)成分(高分子化合物)を5重量部/分の速度で投入し、25℃で60分間攪拌することで高分子化合物の水溶液あるいは水分散液を得た。次に、pH調整剤をpHが7.0になるまで加えた後、(C)成分(溶解度パラメーター(SP値)が7.5〜11.0である造膜助剤)、(D)成分(キレート剤)、および(B)成分の残分を加えてさらに30分間攪拌することで、清浄化用皮膜形成剤を得た。
なお、表中の「バランス」は、清浄化用皮膜形成剤の全量が組成分の合計で100質量%となる量である。
(清浄化処理能力)
清浄化対象面として一般家庭用のアルミ製サッシレール(幅2cm×長さ5cm)を用いた。この清浄化対象面上に、黒土(株式会社マルケイ)を約100mg計り、水道水0.5gを加えてスパチュラで均一に混合した後、自然乾燥させることで泥汚れを作成した。
次に、土埃汚れが形成された上記サッシレール上に、10cm2の面積の範囲に厚さ0.1〜0.3mmの膜厚の皮膜が形成されるように適量の清浄化用皮膜形成剤(原液)を滴下し、室温で24時間静置後、皮膜を剥離した際の皮膜の状態および土埃汚れの除去状態を下記基準で目視評価(N=10)し、平均点を評価点数とした。なお、評価方法は、皮膜剥離後のレールを上方から撮影した写真を2値化処理(Windowsアプリケーション「ペイント」でグレースケール保存)し、図1に示すような、別途作成した標準見本と比較して採点した。3点に相当するもの以上を合格とした。
皮膜剥離性について、以下のような基準で評価した。
○:皮膜を破けずにはがせる。
△:皮膜の一部が破けて残る。
×:皮膜が破けてはがせない。
以上の結果より、本実施形態の清浄化用皮膜形成剤は、良好な低温での清浄化処理能力を示すことが明らかとなった。
Claims (6)
- (A)成分:(メタ)アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびポリビニルアセタール樹脂から選ばれる1種以上の高分子を全体質量に対して20〜70質量%と、
(B)成分:水と、
(C)成分:溶解度パラメーター(SP値)が7.5〜11.0である有機溶剤と、
を含有し、かつ前記(A)成分/前記(C)成分で表される質量比が30〜50である、窓サッシの清浄化用皮膜形成剤。 - 前記(C)成分がグリコールエーテル系溶剤である請求項1に記載の清浄化用皮膜形成剤。
- 前記(A)成分のガラス転移温度(Tg)が0〜100℃である請求項1又は2に記載の清浄化用皮膜形成剤。
- (D)成分:キレート剤をさらに含有する請求項1から3のいずれか1項に記載の清浄化用皮膜形成剤。
- 前記(D)成分がカリウム塩である請求項1から4のいずれか1項に記載の清浄化用皮膜形成剤。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の清浄化用皮膜形成剤を窓サッシに対して塗布し、前記窓サッシ上に前記清浄化用皮膜形成剤により皮膜を形成し、次いで前記皮膜を窓サッシより剥離することにより前記窓サッシの清浄化処理を行うことを特徴とする窓サッシ清浄化処理方法。
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