JP6692411B2 - 分解性Mg合金 - Google Patents

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Description

この発明は、任意の腐食速度に調整可能である分解性Mg合金に関する。
汎用のマグネシウム合金(Mg合金)として、Al及びMnを添加したAM系Mg合金や、Al、Mn、及びZnを添加したAZ系Mg合金が知られている。また、これらの元素以外の元素を添加したり、製法を変更することによって耐食性を向上させた様々なMg合金が提案されている。
下記特許文献1には、Mgが67〜85%(原子率)、Siが5〜20%(原子率)、残りがNiで構成されるMg合金が記載されている。これらの組成からなる原料粉末を用いて、機械的合金化法(メカニカルアロイング)によりアモルファス粉末又はナノ結晶粉末を生成させることが記載されている。このMg合金は優れた耐食性を示し、分解、腐食されにくい合金である。
一方、下記特許文献2には、質量比でAl:0.1%〜15.0%;Li:0.01%〜10.0%;Ca:0.1%〜10.0%;Zn:0.1%〜6.5%;In:0.01%〜3.0%;Ga:0.0%〜2.0%; Si:0.1%〜1.5%; Mn:0.0%〜0.8%; Zr:0.0%〜1.0%; Fe:0.016%〜1.0%; Ni:0.016%〜5.0%; Cu:0.15%〜5.0%;を含むMg合金が記載されている。これは、石油井戸や天然ガス井に導入して一時的に構造を支え、不要になったら分解される部材に用いる分解性Mg合金である。高圧環境下で構造を支えるために必要な強度特性とともに、分解性を持たせるために、様々な元素を必須要素として有する。
また下記特許文献3には同じく分解性Mg合金として、質量比でAl:3.0%〜7.0%; Li:0.01%〜1.0%; Ca:0.5%〜1.0%; Y:0.3%〜2.3%; Si:0.3%〜2.0%; Ni:0.016%〜0.8%; Cu:0.05%〜1.0%; Fe:0.016%〜1.0%;を含む合金が記載されている。
一方、下記特許文献4には、質量比でCu:0.5%〜10%;Ca:0.01〜3%;Al:0〜3%;を含む鋳造用Mg合金が記載されている。CuおよびCaを含有することで優れた耐クリープ性を有し、高温環境下での使用に適したMg合金が記載されている。
特開2002−249801号公報 CN104004950A CN104651691A 国際特許出願公開WO2008/072435号公報
しかしながら、油田や天然ガス田に導入する構造材に用いる分解性Mg合金は、地中の高圧環境下に耐えるために、十分な機械的特性を有する必要がある。一方で、回収不可能な環境に導入するため、導入後は地中で長時間残存することなく分解してくれることが望ましい。これに対して特許文献2に記載の分解性Mg合金は、伸びや靭性に悪影響を与えるSiを必須元素として含有している。また、使い捨てる部材に用いるには極めて高価なInを必須元素として含有している。
また、特許文献3に記載の分解性Mg合金も同様に、伸びや靭性に悪影響を与えるSiを必須元素としており、そのSiの最低含有量は特許文献2の分解性Mg合金よりも高くなっている。
さらにこれら特許文献2及び3に記載の分解性Mg合金は、必須とする元素の種類が多いため、分解性以外の機械的特性の確保が容易ではなく、材料自体も高価になりやすいという問題があった。また、影響を与える元素が多すぎるために、腐食速度を任意に制御することは必然的に難しかった。
一方、特許文献1の合金は、組成により分解性を高めるのではなく、機械的合金化法を用いることでアモルファス相やナノ結晶を生成させることで耐食性を高めたMg合金であり、用途が異なる。
また、特許文献4の合金は、分解性や腐食特性については全く考慮されておらず、腐食特性への影響が強いCaも添加されているため、こちらも腐食速度を制御することが難しい。
そこでこの発明は、必須とする元素の種類が少ない組成で、高圧下にも耐えられる構造部材に必要な強度を有し、かつ、腐食速度を任意に制御可能である分解性Mg合金を提供することを目的とする。
この発明は、3.9質量%以上14.0質量%以下のAlと、0.1質量%以上0.6質量%以下のMnとを含有し、
Ni、Cu、又はその両方を0.01質量%以上10.0質量%以下含有し、
残部がMgと不可避不純物からなる分解性Mg合金により上記の課題を解決したのである。これらの範囲条件を満たすMg合金は、十分な引張強度特性を有する。なおかつこのMg合金は、Ni及びCuの配合量によって腐食速度を調整可能という特性を有する。また、この合金は、0.0質量%以上1.0質量%以下のZnを含有していてもよい。
Niを含有する場合、望ましくは0.01質量%以上7.0質量%以下である。特にNiの含有量が0.01質量%以上0.3質量%以下の範囲では、Niの含有量と腐食速度との関係を一次関数に近似できる程度の相関関係が成立する。
Cuを含有する場合、望ましくは1.0質量%以上10.0質量%以下である。特にCuの含有量が1.5質量%以上7.0質量%以下の範囲では、Cuの含有量と腐食速度との関係を一次関数に近似できる程度の相関関係が成立する。
この発明にかかる分解性Mg合金は必須とする元素の種類が少ない構成ながら十分な機械的強度を有するとともに、Ni及びCuの含有量に応じて腐食速度を調整することができ、この発明に係る分解性Mg合金を用いた分解性構造材の寿命を任意に調整できる。
実施例におけるNi含有量に対する腐食速度のグラフ 実施例において用いる試験材の形状の概略図 実施例におけるCu含有量に対する腐食速度のグラフ
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明は、主に水が介在する水系環境で高速に腐食を進行させることができる分解性Mg合金、及びこれを用いた分解性構造部材、そしてその分解性構造部材における腐食速度の調整方法である。
この発明にかかる分解性Mg合金の、Alの含有量は3.9質量%以上であることが必要であり、7.0質量%以上であると好ましい。上記分解性Mg合金はAlの添加により強度の向上の効果が得られるが、3.9質量%未満ではそれらの効果が不十分になってしまう。強度が不十分では、高圧環境での耐久性が不十分になり、後述の調整した分解速度に従って分解する前に部材が破壊されてしまうおそれが高まってしまう。一方、Alの含有量は14.0質量%以下である必要があり、13.0質量%以下であると好ましい。Alが多すぎると靭性(伸び)が低下するだけでなく、中高温環境においてクリープ変形をおこしやすくなることで強度が低下する恐れがあり、14.0質量%を超えると部材の形状が維持しにくくなってしまうおそれがあるためである
この発明にかかる分解性Mg合金のMnの含有量は、0.1質量%以上であることが必要である。Mnは不純物として含有される一部の元素を除去する効果があり、少なすぎると上記分解性Mg合金の腐食速度が、後述するNi及びCuによって調整した値から大きくずれてしまい、制御不十分になるおそれがある。一方、Mnの含有量は0.6質量%以下である必要があり、0.5質量%以下であると好ましい。多すぎると、MnとAlの金属間化合物、及びMn単体が多く析出することで脆くなり、強度が低下するためである。
この発明にかかる分解性Mg合金は1.0質量%以下のZnを含んでも良い。Znは強度(特に耐力)向上の効果が得られる。1.0質量%を超えると、延性が不十分になり押出加工や鍛造加工といった構造部材の成形プロセスが困難となるだけでなく、腐食速度を抑制する効果が現れるため、分解性構造部材として好ましくない。一方で、Znを含有しなくてもよく、後述する不可避不純物として含まれる範囲であってもよい。
この発明にかかる分解性Mg合金は、Ni、Cu、又はその両方を含んでいることが必要である。所定量のNi又はCuを含むことで合金の水系環境下における腐食速度を任意に調整することができる。すなわち、この分解性Mg合金で製造された分解性構造部材を、不要になったタイミングで分解させることができる。ただし、NiとCuはいずれも分解性に寄与するものの、その影響力が異なるため、最適な腐食速度に調整できるようにする望ましい含有量の範囲が異なってくる。
この発明にかかる分解性Mg合金がNiを含有する場合、その含有量は、0.01質量%以上であることが必要である。NiはCuよりも腐食速度への影響が大きいが、それでも0.01質量%未満では分解性Mg合金として必要な効果が十分に得られにくくなる。一方、Niの含有量は7.0質量%以下であると好ましい。過剰に含有させても極端に腐食速度を向上させることはできず、物性が制御しにくくなる。また、Niが多すぎるとコストの点からも負担が大きくなりすぎる。
特に、この発明にかかる分解性Mg合金が含有するNiの量は、0.01質量%以上、0.3質量%以下の範囲であると、Niの含有量の対数に対して腐食速度(mg/cm/day)を線形に近似することができる。すなわち、Niの含有量に応じて、上記分解性Mg合金を用いて製造した分解性構造部材の腐食速度を調整することができる。この性質を利用することで、上記分解性Mg合金を用いて製造した分解性構造部材が崩壊するまでの時間を、高い精度で設定することができる。なお、ここで上記の腐食速度の基準となる腐食された状態とは、元の合金の塊から分解して、水系溶媒中に溶解又は分散して、前記塊と一体のものでなくなったことをいう。
この発明にかかる分解性Mg合金がCuを含有する場合、その含有量は、1.0質量%以上であることが必要である。CuはNiよりも腐食速度への影響が小さく、1.0質量%未満では分解性Mg合金として必要な効果が十分に得られにくくなる。一方、Cuの含有量は10.0質量%以下であると好ましい。過剰に含有させても極端に腐食速度を向上させることはできず、物性が制御しにくくなる。
特に、この発明にかかる分解性Mg合金が含有するCuの量は、1.5質量%以上、7.0質量%以下の範囲であると、Cuの含有量の対数に対して腐食速度(mg/cm/day)を線形に近似することができる。すなわち、Cuの含有量に応じて、上記分解性Mg合金を用いて製造した分解性構造部材の腐食速度を調整することができる。この性質を利用することで、上記分解性Mg合金を用いて製造した分解性構造部材が崩壊するまでの時間を、高い精度で設定することができる。特に、Niよりも影響度が小さい分、精度の高い調整がしやすくなる。
なお、この発明にかかる分解性Mg合金は、NiとCuとの両方を含み、それぞれを適切に調整することで最適な腐食速度となるようにしてもよい。含有量による影響度が異なるため、調整の際にはこの違いを利用すると好ましい。例えば、影響力が比較的強いNiで十分な腐食速度を確保しつつ、含有量による影響力が小さいCuでより細かい微調整を行うといったこともできる。
この発明にかかる分解性Mg合金は、上記の元素の他の元素を、不可避不純物として含有してもよい。この不可避不純物とは、製造上の問題、あるいは原料上の問題のために、意図に反して含有することが避けられないものである。例えば、Ag,Fe,Pb、Cd、Se、Y、Si、Li、In、Ca、Ti、Zr、Ga、Mm(ミッシュメタル)などの元素が挙げられる。この発明にかかる分解性Mg合金の特性を阻害しない範囲の含有量であることが必要であり、一元素あたり0.2質量%未満であると好ましく、0.1質量%未満であるとより好ましい。これらの中でも特に、Si、Li、In、Caはそれぞれの含有量が0.1質量%未満であると好ましく、0.05質量%未満であるとより好ましい。不可避不純物であるいずれの元素も、少なければ少ないほど、上記のNi及びCuによる腐食速度の調整にあたって考慮すべき不確定要素が排除されるため好ましく、検出限界未満であると特に好ましい。
この発明にかかる分解性Mg合金は、上記のAl、Mn、Zn、Ni、Cu及び不可避不純物以外はMgからなる。
この発明にかかる分解性Mg合金は、上記の質量%の範囲となるように、かつ、望ましい腐食速度となるように、上記の元素を含む原料を用いて、一般的な方法で調製可能である。なお、上記の質量%は、原料における%ではなく、調製された合金や、それを鋳造、焼結などによって製造した分解性構造部材における%である。ただし、特に強度が求められる分解性構造部材を製造する場合は、押し出し(extrude)や鍛造(forge)などの加工を行い、合金組織の結晶サイズを小さくして強度を上げることが好ましい。上記分解性Mg合金を鋳造した場合、その結晶サイズは100〜200μm程度になるが、上記の押し出し、鍛造、延伸などによって結晶サイズを10μm以上20μm以下程度にまで微細化すると、強度が向上するので好ましい。このように結晶サイズを微細化しても、腐食速度が著しく変動するわけではなく、Ni及びCuの含有量によって腐食速度を任意に調整可能である。
特に、Niが0.01質量%以上0.3質量%以下の限定範囲、Cuが1.5質量%以上7.0質量%以下の限定範囲では、腐食速度の上昇をNi及びCuの含有量の対数の増加に対して一次関数に好適に近似できる。この性質を利用して、Al、Mn、及び不可避不純物の含有量のゆれをできるだけ小さくし、Ni又はCuの含有量が上記限定範囲に対応する分解性Mg合金の腐食速度を複数点について測定し、Ni又はCuの含有量の対数に対する腐食速度の傾きと切片を算出し、求める腐食速度に対応するNi又はCu含有量を求めて、製造しようとする分解性構造部材に適した分解性Mg合金の組成を決定するとよい。なお、傾きと切片の算出にあたっては、最小二乗法など、一般的な方法を用いてよい。なお、上記限定範囲未満でもある程度の直線近似は可能であるが、NiやCuの量が少なすぎると実際の含有量を高い精度で調整することが難しくなる。一方、上記限定範囲を超えると一次関数からの乖離が無視できなくなる。
この発明にかかる分解性構造部材は、押し出し加工など手法により圧力を加えて結晶粒径を小さくしておくと、鋳造により製造したものよりも腐食速度の増加の係数(上記の傾き)が小さくなり、腐食速度の調整がよりやりやすくなる。
この発明にかかる分解性Mg合金による分解性構造部材を適用する製品としては、例えば油井、天然ガス井などの掘削用具が挙げられる。地中深くに導入されるため、高圧環境に耐えるだけの強度が必要とされる。一方で、不要になったら地中深くから取り出す手間をかけることなく、掘削作業にあたって導入される水溶液に曝されることで、適度なタイミングで腐食されて分解されることで除外することができる。
<Ni含有合金試験>
この発明に係る分解性Mg合金を実際に調整し、腐食速度を測定した例を示す。まず、Ni含有合金について、表1に示す組成となるように原料を調整して700℃に加熱し、鋳造により試験体を作製した。また、一部の例(実施例1〜3,6,7,11,12)についてはダイス温度400℃、ビレット温度350℃の条件で押し出し加工を行った試験体を作製した。記載以外の元素はそれぞれが0.1質量%未満の不可避不純物とMgである。それぞれの試験体を、2%KCl水溶液(93℃)中に浸漬し、試験体の腐食減量(mg)及び試験前後の面積を測定して一日あたりの腐食速度(mg/cm/day:mcd)を算出した。その値を表1に示す。表中、「as-cast」が鋳造による試験体の測定結果であり、「as-extruded」が押し出し加工による試験体の測定結果である。
Figure 0006692411
また、実施例1〜10について、横軸にNiの含有量を常用対数スケールでとり、縦軸に腐食速度をとってプロットしたグラフを図1に示す。ただし、実施例8〜10については鋳造のみのデータである。
また、Niの含有量の対数と、腐食速度との値について、最小二乗法による直線近似を行った。鋳造「as-cast」では切片が3.4×10、傾きが1.5×10となった。これにより、Alが8〜13mass%程度、Mnが0.18mass%前後の分解性構造材料を鋳造する場合、下記式(1)に従って腐食速度をNi含有量によって調製可能であることが示された。また、押し出し加工「as-extruded」では切片が2.0×10、傾きが8.1×10となった。これにより、Alが8〜13mass%程度、Mnが0.18mass%前後の分解性構造材料を押し出し加工で製造する場合、下記式(2)に従って腐食速度をNi含有量によって調整可能であることが示された。これらの近似直線も併せて図1に示す。特に押し出し加工を行うと、鋳造の場合よりも腐食速度の増加にかかる係数が抑えられるため、腐食速度の制御がさらに容易になることが示された。
腐食速度(mcd:as-cast)=1.5×10×log10(Ni)+3.4×10・・・(1)
腐食速度(mcd:as-extruded)=8.1×10×log10(Ni)+2.0×10・・・(2)
さらに、Alの量を低下させた実施例11及び12を調製して、実施例1と同様に腐食速度を測定したところ、分解性Mg合金として実用的な腐食速度の値ではあった。しかし、上記のAlが8〜13質量%程度の範囲で測定した実施例1〜10から求めた上記式(1)によれば、Ni=0.110mass%及び0.153mass%であるとき、as-castの腐食速度の計算値はそれぞれ2.0×103mcd及び2.2×103mcdとなり、as-extrudedの腐食速度の計算値はそれぞれ1.2×103mcd及び1.3×103mcdとなるはずである。実際の実施例11及び12の値はこれらの計算値と比較すると、押出材に関して特に大きく外れた値となった。これにより、Alの値の変動次第では腐食速度の調整は直線近似できなくなるため、腐食速度の値を高い精度で調整するためには、Alの含有量をある程度統一することが望ましいことが示された。
一方、Niの含有量を0.01質量%未満とした比較例1〜3では腐食速度が著しく低く、Niの添加による腐食速度向上効果が十分に得られなかった。
さらに、いくつかの実施例に対して、押し出し後の引張強度、0.2%耐力、伸びを測定した。測定方法を以下に示し、結果を表2に示す。いずれも引張強度が275MPaを超えており、油田等に導入する分解性構造材料として、十分な引張特性と腐食速度を発揮できた。
<引張試験方法>
φ16の丸棒として押し出した試料から、JIS Z2241(ISO6892−1)で規定する14A号試験片に加工した。具体的形状は図2の通りである。平行部の原断面積Sと原標点距離LとがL=5.65×S 0.5の関係にある比例試験片である。棒状部の直径dは10mm、原標点距離Lは50mm、円柱状とした平行部長さLは70mm、肩部の半径Rは15mmとした(L=5.65×(5×5×π)0.5=50.07)。
この試験片について、JIS Z2241(ISO6892−1)に準拠して引張試験を実施して、その引張強さ:R(MPa)、0.2%耐力:Rp0.2(MPa)、及び伸び:A(%)を次のように評価した。引張強さは試験において不連続な降伏を示すまで、試験中に試験片が耐えた最大の試験力Fmとした。0.2%耐力は、塑性伸びが、伸び計標点距離Lに対して0.2%に等しくなったときの応力である。また、伸びは破断するまで試験した後の試験片の永久伸びを原標点距離Lに対して百分率で表した値である。実施例はいずれも良好な値を示した。
Figure 0006692411
<Cu含有合金試験>
上記のNi含有合金試験と同様の手順により、表3に示す組成となるように、試験体を鋳造により作製し、同様の手順により腐食速度を測定した。その結果を表3に示す。また、実施例13〜16についてはサンプル温度430℃の条件で鍛造を行った後(as-forged)の腐食速度を測定した。更に、実施例17〜23については、上記の実施例1〜7と同様に押し出し加工により試験体を作製し、同様の手順により腐食速度を測定した。その結果も表3に示す。なお、このCu含有合金試験においては、Cuの値は合金作製後の測定値ではなく、材料添加時の目標値で示す。
Figure 0006692411
さらに、実施例17〜23について、横軸にCuの含有量を対数スケールでとり、縦軸に腐食速度をとってプロットしたグラフを図3に示す。また、Cuの含有量の対数と、腐食速度との値について、最小二乗法による直線近似を行った。鋳造「as-cast」では切片が−4.0×102、傾きが3.1×10となった。これにより、Alが8.0mass%前後、Mnが0.18mass%前後の分解性構造材料を鋳造する場合、下記式(3)に従って腐食速度をCu含有量によって調製可能であることが示された。また、押し出し加工「as-extruded」では切片が−1.2×102、傾きが1.6×103となった。これにより、Alが8.0mass%前後、Mnが0.18mass%前後の分解性構造材料を押し出し加工で製造する場合、下記式(4)に従って腐食速度をCu含有量によって調整可能であることが示された。これらの近似直線も併せて図3に示す。Niの場合と同様に、Cu含有合金においても、押し出し加工を行うと、鋳造の場合よりも腐食速度の増加にかかる係数が抑えられるため、腐食速度の制御がさらに容易になることが示された。
腐食速度(mcd:as-cast)=3.1×10×log10(Cu)−4.0×102・・・(3)
腐食速度(mcd:as-extruded)=1.6×103×log10(Cu)−1.2×102・・・(4)
また、実施例17〜23についても、上記と同様の引張試験を行った。その結果、いずれも良好な値を示した。
Figure 0006692411

Claims (4)

  1. 3.9質量%以上14.0質量%以下のAlと、0.1質量%以上0.6質量%以下のMnとを含有し、
    0.01質量%以上0.3質量%以下のNi、及び1.0質量%以上10.0質量%以下のCuから選択される一種以上を含有し、
    残部がMgと不可避不純物からなる分解性Mg合金。
  2. 0.01質量%以上0.3質量%以下のNi、及び1.5質量%以上7.0質量%以下のCuから選択される一種以上を含有する請求項に記載の分解性Mg合金。
  3. 請求項1又は2に記載の分解性Mg合金からなる、分解性構造部材。
  4. 請求項又はに記載の分解性Mg合金を用いた分解性構造部材において、Ni又はCuの含有量により腐食速度を調整する、分解性構造部材の腐食速度調整方法。
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