JP6254684B2 - ボールペン用の替え芯 - Google Patents

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Description

本発明は、ボールペン用の替え芯及びその使用に関するものである。
特許文献1から筆記具用の銅−ニッケル−亜鉛合金が知られている。ボールペン用の高価な替え芯先端部は、美感上の理由からしばしば洋銀で製造される。これら替え芯先端部は、Cu:40.0〜48.0質量%、Ni:8.0〜14.0質量%、Mn:4.0〜6.5質量%、Si:0.05〜1.5質量%、残りのZn及び不可避不純物の組成の展伸材として切削加工可能な洋銀線材で製造される。選択的に1.5質量%までのAl又は2.5質量%までのPbを添加することが可能である。この洋銀は、α相及びβ相から成る二相系の組織で構成されており、この組織内にはケイ化物が組み込まれている。
更に、特許文献2から、ボールペンの成分の製造における使用に適した、銅を基礎とする合金が知られている。この合金はCu:43〜48質量%、Zn:33〜38質量%、Ni:10〜15質量%、Mn:3.5〜6.5質量%の組成を有し、この合金は単相系のα構造及び二相系のα/β構造を備えている。この合金においては、合金の熱間変形の少なくとも1つの方法ステップにより、当初存在する二相系のα/β構造が熱処理に関連して単相系のα構造へ変換されることが重要である。
独国特許出願公開第102009021336号明細書 欧州特許第1608789号明細書
したがって、目的は、均一な構造の唯一の結晶相を有するボールペンの成分を形成することにある。
本発明の基礎をなす課題は、ボールペン用の替え芯を発展させることにある。
本発明は、ボールペンの替え芯に関しては請求項1の特徴によって、及びボールペンの替え芯の使用に関しては請求項5によって記述されている。他の従属請求項は、本発明の有利な実施形態及び発展形態を記述するものである。
本発明は、インク容器及びボールから成り、ボールがインク容器の先端部に設けられた筆記尖端部に配置されているボールペン用の替え芯であって、
少なくとも前記インク容器の前記筆記尖端部が、以下の組成(質量%):
28.0〜36.0%のZn、
0.5〜1.5%のSi、
1.5〜2.5%のMn、
0.2〜1.0%のNi、
0.5〜1.5%のAl、
0.1〜1.0%のFe、
選択的に更に0〜0.2%までのPb、
選択的に更に0〜0.2%までのSn、
選択的に更に0〜0.1%までのP、
選択的に更に0〜0.08%までのS、
残りのCu及び不可避不純物から成り、マトリクスに組み込まれた鉄−ニッケル−マンガンを含有する混合ケイ化物を有する、銅−亜鉛合金で構成されているボールペン用の替え芯の技術的な示唆を含むものである。
筆記尖端部は、独立した部分として残りのインク容器に結合されることが可能である。他方、インク容器を筆記尖端部と一体的に形成することも可能である。
驚くべきことに、筆記具、特にボールペンを、筆記本体部の先端部に設けられた筆記尖端部と、例えば洋銀合金としての他の合金とで構成することが可能であることが判明した。これまで、本出願人のドイツの公開公報である独国特許出願公開第102007029991号明細書によるこのような種類の合金の使用は、内燃エンジン、ギヤ装置又は油圧装置におけるすべり要素への使用に対するもののみに設定されていた。この独国特許出願公開第102007029991号明細書の内容は、完全に本明細書に組み入れられる。このような異なる応用は、特別な使用目的に対して最適化された特性コンビネーション、特に強度の向上、組織の耐熱性、及び特にエンジンでの応用における、同時に十分な延性のもとでの複雑な耐摩耗性の形態の特性コンビネーションの他の目的を追求するものである。加えて、合金は、軸受相手の溶着を阻止する、すべり軸受での応用時に良好な緊急時動作特性を有している。
ここで、本発明は、連続的な又は半連続的な連続鋳造方法を用いて製造可能な鉄−ニッケル−マンガンを含む混合ケイ化物を添加された銅−亜鉛合金を提供するという考察を基礎とするものである。混合ケイ化物の形成により、銅−亜鉛合金は大きな硬質相割合部分を有するものであり、この硬質相割合部分は、摩擦対形成としての替え芯球に関連する研磨的な摩耗に対する材料の抵抗の改善に貢献するものである。
したがって、合金が大きな硬さの値及び強度の値を有し、それにもかかわらず延性について必要な量が、引張試験時の破壊ひずみの値によって表されて保証される。この特性コンビネーションにより、本発明の対象は、ボールペンの替え芯における使用に特に適したものである。
合金の鋳造の際には、まず、鉄−ニッケルを多く含む混合ケイ化物の初期の析出がなされる。この析出は、鉄−ニッケル−マンガンを含有するかなりの量の混合ケイ化物への更なる成長時に、しばしば円柱状の形状で成長することが可能である。更に、マトリクスにおいて精確に分配されて存在するかなりの割合部分もむしろ小さく球状の形状で維持される。特に精確に分配されたケイ化物は、β相の安定化がなされるための基礎と認められる。このことは、耐熱性及び耐摩耗性の向上への重要な貢献をもたらすものである。ボールペンの替え芯の製造のために、約15〜20mmの長さのワイヤ部分が貫通して中心に穿設される。尖端部には、例えばタングステンカーバイドから成る球が押し込まれ得るように単段の輪郭部が設けられている。閉じるようにクリンプすることで、球は、遊びなく回転することができる一方替え芯尖端部から脱落しないように固定される。このために、球の周囲の尖端部の亀裂のないクリンプを可能とするように合金が十分な冷間変形性を備えている。ボールペンのインク消費量は、タングステンカーバイドから成るボールのボールシート部の摩耗によって決定される。したがって、材料は、インクに対しても耐腐食性を有するべきである。必要な冷間変形性も、また耐腐食性も、本発明による合金によって保証される。
本発明による合金の特別な利点は、使用目的に対して最適化された、強度、組織の耐熱性及び同時に十分な延性特性を備えた耐摩耗性の形態の特性コンビネーションに基づくものである。加えて、合金は、通常用いられるインクに対する良好な耐腐食性を有している。更に、請求される材料解決手段は、鉛を含有しないか、又は極端にわずかな鉛含有量により、環境にやさしい合金の必要性も考慮したものである。
そのほか、この材料は特別な応用のためにあらかじめ設定されており、この応用においては、硬さ及び強度についての高い要求にもかかわらず可塑化性についての必要な量に依存する。ケイ素及びニッケルの選択された成分範囲により、鉄−ニッケル−マンガン混合ケイ化物形成を特に最適化された特性コンビネーションに、特に延性についての必要量に関して、適合させることが可能である。
鋳物状態においては、50体積%までのβ相の含有量を有する組織が存在する。このことは、押出し成形による銅合金の十分に良好な熱間変形性のための必要な前提とみなされる。本発明の好ましい実施形態においては、少なくとも1つの熱間変形あるいは冷間変形及び更なる焼きなましステップを含む更なる加工後に、5〜45体積%のβ相及びFe−Ni−Mnを含有する20体積%までの混合ケイ化物の含有量を有する組織並びに残りのα相が存在する。
β含有物及びαマトリクスにおける異なる大きさ分布の硬質相により、この合金は、十分な延性特性を有する組織の有利な耐熱性及び目的に対応した部材の耐摩耗性を保証するものである。特に、大きなケイ化物割合部分は、ケイ化物のわずかな摩損傾向に基づき軸受要素におけるすべり特性及び緊急時動作特性の改善に貢献し、これにより、Pb含有量の省略が補償され得る。これによって、筆記具に使用される材料のより良好な環境適合性についての要求が同様に考慮された。
好ましい実施形態においては、円柱状の形状を有する鉄−ニッケル−マンガンを含有する混合ケイ化物及び球状の形状を有する鉄−ニッケル濃縮混合ケイ化物が組織内に存在する。したがって、ケイ化物は、2つの形状、すなわち円柱状及び球状である。合金の鋳造時には、まず、鉄及びニッケルを多く含む混合ケイ化物の初期の析出がなされる。この析出は、円柱状の形状を有するかなりの量の鉄−ニッケル−マンガンを含有する混合ケイ化物への更なる成長時に成長し得る。更に、マトリクスにおいて精確に分配されて存在するかなりの割合部分もむしろ小さく球状の形状で残ることが可能である。特に、精確に分配されたケイ化物は、β相の安定化がなされるための基礎と認められる。このことは、特に耐摩耗性の向上への重要な貢献をもたらすものである。
有利には、合金の降伏強さ及び引張強さについての値の比Rp0.2/Rが0.5〜0.95である。このことは、硬質金属の球に関連するインク容器における筆記尖端部での軸受箇所の摩擦結合の形成のための重要な前提である。銅−亜鉛合金のこの更なる開発は、機械的な摩耗に対する優れた耐久性を保証するものである。
替え芯のための本発明による銅−亜鉛合金から成る複数のロッドの製造のための方法は合金の更なる処理のために、
−600〜800℃の温度範囲において押出し成形するステップと、
−少なくとも1回の冷間変形するステップと
を含んでいる。
これらのロッドは、インク容器又は替え芯先端部の切削加工の原材料として用いられ得る。
他の代替的な形態はボールペンの替え芯のための本発明による銅−亜鉛合金から成る複数のロッドの生産のための方法に関するものであり、合金の更なる処理のために、
−600〜800℃の温度範囲において押出し成形するステップと、
−250〜700℃の温度範囲における少なくとも1回の焼きなましを伴う少なくとも1回の冷間変形から成るコンビネーションを行うステップと
を含んでいる。
引抜きによる冷間変形と250〜700℃の温度範囲における複数のロッドの1回又は複数回の中間焼きなましとのコンビネーションによって、異成分から成る組織の精確な分配を設定することが可能である。
銅−亜鉛合金の特別な実施形態によれば、材料の引張強さR、降伏強さRp0.2及び硬さの大幅な向上が達成される。同様に、合金の破壊ひずみは十分に高いレベルとなり、これにより、必要な延性特性が調整される。更に、硬質相、特に鉄−ニッケル−マンガンを含有する混合ケイ化物並びにα相及びβ相から成る不均一なマトリクス構造についての非常に高い含有量は、この材料から成る部材の目標とする耐摩耗性を保証するものである。
β相の部分割合の大きさ及び分布と組織の耐熱性との関係は既に知られている。しかしながら、この体心立方結晶構造が銅−亜鉛合金における重要な強度向上機能を担うため、β相含有量の最小化が非独占的に前面に出されるべきである。押出し成形/引抜き加工/中間焼きなましという加工順序により、銅−亜鉛合金の組織を、その相分布において、高い強度の他に追加的に十分な耐熱性を有するように変更することが可能である。
変形後には、250〜450℃の温度範囲において少なくとも1回の応力除去焼きなましがつづいて行われ得る。
加工プロセスにおいては、1回又は複数回の応力除去焼きなましによって残留応力の大きさを低減する必要性がある。残留応力の低減は、組織の十分な耐熱性の保証及び原材料としてのロッドの十分な真直度の確保についても重要なものである。
合金の他の複数の実施例を、表に基づいて詳細に説明する。本発明による銅−亜鉛合金の複数の鋳片がダイカストによって製造された。鋳物の化学的な組成は、表1から読み取れる。
Figure 0006254684
合金タイプ1及び2における加工順序:
・700℃の温度での押出し成形
・冷間変形/中間焼きなまし(650℃/50〜60分)/調整/応力除去焼きなまし(300〜350℃/3時間)
一通り加工を行った後、機械的な特性は、表2における数値のレベルにある。ここで、合金タイプ1及び2は、5〜45体積%のβ相及び20体積%までの鉄−ニッケル−マンガンを含む混合ケイ化物を有している。
Figure 0006254684
加工順序:
・実験室規模での750℃の温度における熱間圧延
・冷間変形/応力除去焼きなまし(300〜400℃/2〜3時間)のコンビネーション

Claims (2)

  1. インク容器及びボールから成るボールペン用の替え芯であって、前記ボールが前記インク容器の先端部に設けられた筆記尖端部に配置されている前記ボールペン用の替え芯において、
    前記インク容器の前記筆記尖端部が、以下の組成(質量%):
    28.0〜36.0%のZn、
    0.5〜1.5%のSi、
    1.5〜2.5%のMn、
    0.2〜1.0%のNi、
    0.5〜1.5%のAl、
    0.1〜1.0%のFe、
    良好な環境適合性のため、
    選択的に更に0〜0.2%までのPb、
    選択的に更に0〜0.2%までのSn、
    選択的に更に0〜0.1%までのP、
    選択的に更に0〜0.08%までのS、
    残りのCu及び不可避不純物から成り、マトリクスに組み込まれた鉄−ニッケル−マンガンを含有する混合ケイ化物を有する、銅−亜鉛合金で構成されており、その銅−亜鉛合金は、熱間変形あるいは引き抜きによる冷間変形及び更なる焼きなましステップを含む更なる処理の後に、5〜45体積%のβ相及び20体積%までの鉄−ニッケル−マンガンを含む混合ケイ化物を有する組織並びに残りのα相が銅−亜鉛合金内に存在しており、銅−亜鉛合金では、合金の降伏強さ及び引張強さについての値の比Rp0.2/R(降伏強さ/引張強さ)が0.5〜0.95であることを特徴とするボールペン用の替え芯。
  2. 円柱状の形状を有する鉄−ニッケル−マンガンを含有する混合ケイ化物及び球状の形状を有する鉄−ニッケル濃縮混合ケイ化物が前記組織内に存在することを特徴とする請求項1に記載のボールペン用の替え芯。
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