JP5348624B2 - マグネシウム合金ねじ - Google Patents

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本発明は、マグネシウム合金からなるねじに関するものである。特に、耐熱性に優れるマグネシウム合金ねじに関するものである。
マグネシウム合金は、比強度に優れ、比重が小さいことから軽量材料として注目されており、航空機部品、自動車部品、各種電気製品のボディなどに広く利用されている。上記部品などの他にも、ねじといった結合部材にマグネシウム合金を利用することが検討されている(特許文献1,2参照)。
上述のように高強度で軽量なマグネシウム合金は、室温環境での利用だけでなく、より高温な環境での利用が望まれている。そこで、マグネシウム合金の耐熱性を向上するために、希土類元素(RE),Si,Caを添加したマグネシウム合金が検討されている。REなどの元素を含有するマグネシウム合金を鋳造することで、耐熱性を有するマグネシウム合金製品(鋳造材)が得られる。
特開2001−269746号公報 特開2005−48278号公報
しかし、上記RE,Si,Caといった元素は、マグネシウム合金の塑性加工性を低下させ易い。そのため、上記元素を含有するマグネシウム合金は、鋳造材料に好ましく、塑性加工が施される材料、特に、ヘッド加工や転造加工といった強加工の塑性加工が施されるねじ材料に好ましくない。また、REなどの元素は、一般に高価であることから、このような元素を含有するマグネシウム合金を用いてねじを製造すると、製造コストの上昇を招く。
本発明は、上記事情を鑑みて成されたものであり、その主目的は、塑性加工性を阻害するような元素の添加を極力低減して、耐熱性に優れるマグネシウム合金ねじを提供することにある。
本発明者らは、塑性加工性を低下させるような元素を添加させずに、耐熱性に優れるマグネシウム合金ねじを製造するために種々検討した結果、ねじ加工(ヘッド加工及び転造加工)が施されたねじ成形体に所定の温度の熱処理を施すことが好ましいとの知見を得た。また、マグネシウム合金の組成を検討した結果、特定量のAlを含有することが好ましいとの知見を得た。これらの知見に基づき、本発明マグネシウム合金ねじを製造するための製造方法として以下を提案する。
この製造方法は、ねじ山が形成された軸部と、軸部に連なるヘッド部とを有するねじ成形体に第一熱処理を施す工程を具える。ねじ成形体は、質量%でAlを4.0〜10.0%含むマグネシウム合金からなるものを用いる。そして、第一熱処理は、加熱温度を350℃以上とする。
上記製造方法により得られたマグネシウム合金ねじは、X線回折のピーク強度比が特定の値を満たす。具体的には、本発明マグネシウム合金ねじは、質量%でAlを4.0〜10.0%含むマグネシウム合金からなり、ねじ軸方向に平行な断面におけるX線回折のピーク強度比Xが以下の式を満たす。
Figure 0005348624
また、上記製造方法により、平均結晶粒径が特定の大きさを満たすマグネシウム合金ねじが得られる。具体的には、このマグネシウム合金ねじは、質量%でAlを4.0〜10.0%含み、残部がMg及び不純物からなるマグネシウム合金からなり、平均結晶粒径が10μm以上40μm以下である。
上述のように特定量のAlを含有するマグネシウム合金からなり、ねじ加工が施されたねじ成形体に、特定の熱処理(特定の加熱温度の熱処理)を施すことで、ねじ成形体を構成するマグネシウム合金の結晶組織の配向性や、マグネシウム合金組織の結晶粒を特定の範囲に制御することができる。従って、上述の製造方法は、特定の配向性を満たすマグネシウム合金ねじや、平均結晶粒径が比較的大きい粗大な結晶組織を有するマグネシウム合金ねじを製造することができる。特に、この製造方法では、マグネシウム合金の添加元素として、塑性加工性の低下を招くような元素を極力添加していないことから、ねじ成形体を容易に製造することができ、耐熱性に優れるマグネシウム合金ねじを生産性よく得ることができる。そして、特定の配向性や平均結晶粒径を有するマグネシウム合金ねじは、高温クリープ特性が向上され、耐熱性に優れる。以下、本発明をより詳しく説明する。
上述の製造方法では、マグネシウム合金からなるねじ成形体、特に、添加元素としてAlを含有するマグネシウム合金からなるねじ成形体を用いる。具体的には、Alを4.0質量%以上含有するマグネシウム合金からなるねじ成形体を用いる。より具体的なマグネシウム合金の組成は、質量%でAlを4.0〜10.0%含み、残部がMg及び不純物が挙げられる。また、Alに加えてZn,Mn,Siから選択される1種以上の元素を添加元素とするマグネシウム合金からなるねじ成形体でもよい。具体的なマグネシウム合金の組成は、質量%でAlを4.0〜10.0%と、Zn:2%以下、Mn:2%以下、Si:5%以下より選択される1種以上の元素とを含有し、残部がMg及び不純物とする。特に、Al及びMnを含有するマグネシウム合金、つまり、質量%でAlを4.0〜10.0%と、Mnを2%以下とを含み、残部がMg及び不純物であるマグネシウム合金であることが好ましい。
Alは、マグネシウム合金を強化し、機械的性質を向上させる作用を有する。しかし、Alの含有量が4.0質量%未満のマグネシウム合金からなるねじ成形体では、特定の熱処理を施しても、十分な耐熱性を有するねじが得られない。具体的には、上記低Al含有マグネシウム合金からなるねじ成形体に特定の熱処理を施してなるねじでは、100℃以上といった高温環境で変形し易い。一方、耐熱性の向上を考慮すれば、Alの含有量は、4.0質量%以上であればよいが、Alの含有量が10.0質量%超のマグネシウム合金は、塑性加工性が低く、ねじ加工といった強加工を行いにくいことから、ねじ材料に好ましくない。従って、耐熱性及び塑性加工性の双方を考慮して、Alの含有量は、4.0質量%以上10.0質量%以下とする。
上記Alに加えてZn,Mn,Siから選択される1種以上の元素を特定の範囲で含有することでマグネシウム合金の強度を更に高めることができる。具体的な含有量としては、質量%でZn:0.1〜2%、Mn:0.1〜2%、Si:0.1〜5%が挙げられる。このような元素を含有する公知のマグネシウム合金をねじ成形体に用いてもよい。公知のマグネシウム合金としては、例えば、ASTM規格におけるAM系合金(例えば、AM60,AM100)、AZ系合金(例えば、AZ61,AZ80,AZ91)、AS系合金(例えば、AS41)が挙げられる。Siは、耐熱性の向上に寄与するが、過剰に添加すると、塑性加工性(変形能)を阻害する。従って、Siを有意的に添加する場合、その含有量は、5質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下とする。塑性加工性を考慮すると、Al、Zn、Mnを主たる添加元素とするAZ系合金が好ましい。AZ61は、例えば、質量%でAl:5.5〜7.2%、Zn:0.4〜1.5%、Mn:0.15〜0.35%、Ni:0.05%以下、Si:0.1%以下を含有するマグネシウム合金である。AZ91は、例えば、質量%でAl:8.1〜9.7%、Zn:0.35〜1.0%、Mn:0.13%以上、Cu:0.1%以下、Ni:0.03%以下、Si:0.5%以下を含有するマグネシウム合金である。AZ系合金に上記範囲でSiを添加したマグネシウム合金をねじ成形体に用いてもよい。
上記製造方法は、上記組成のマグネシウム合金からなるねじ成形体を用意し、このねじ成形体に後述する特定の熱処理を施すことで、最終製品となるマグネシウム合金ねじを得る。ねじ成形体は、外周にねじ山が設けられた軸部と、この軸部に連なるヘッド部とを有する中間製品であり、以下のようにして得ることができる。上記組成のマグネシウム合金からなる長尺な線状材を用意し、この線状材を所定長に切断して、短尺材を作製する。或いは、押し出しなどにより、所定長の短尺材を作製してもよい。このような短尺材にヘッド鍛造加工を施してねじブランク(所望の形状のヘッド部が成形されており、軸部にねじ山が設けられていない状態の中間製品)を作製する。ねじブランクは、短尺材を保持するダイスと、ヘッド部を成形するパンチとを用いて形成することができる。得られたねじブランクの軸部に転造加工を施してねじ山を形成することで、ねじ成形体が得られる。ねじ山は、転造ダイスを用いて形成することができる。ねじブランクの形成、ねじ山の形成は、温間又は熱間にて行うと、短尺材やねじブランクの塑性加工性を高めて、生産性よくねじ成形体を製造することができる。ねじ成形体は、公知の製造装置、例えば、特許文献2に記載されるようなヘッド鍛造装置や転造装置を用いて製造してもよい。
上記長尺な線状材は、例えば、押出、圧延、引抜にて作製したものが挙げられる。引抜材は、押出材や圧延材を引き抜いて得ることができる。引抜材は、押出材と比較して、微細な結晶組織を有することから塑性加工性に優れると共に、寸法精度にも優れる。従って、引抜材を用いてねじ成形体を作製する場合、ねじ加工を安定して行うことができ、ねじ成形体を量産することができる。押出材を用いてねじ成形体を作製する場合、短尺材やねじブランクを250℃以上に加熱することで、ねじ加工を十分に行うことができる。引抜材を用いてねじ成形体を作製する場合、短尺材やねじブランクの加熱温度が250℃未満であっても、ねじ加工を行うことができる。ただし、短尺材は140℃以上、ねじブランクは100℃以上に加熱して、ヘッド鍛造加工、転造加工を行うことが好ましい。
上記ねじ成形体に第一熱処理を施す。第一熱処理は、ねじ加工に伴う歪みを除去すると共に、ねじ成形体を構成するマグネシウム合金の再結晶化を促進する熱処理、いわゆる焼鈍に相当する熱処理である。特許文献2には、転造加工後のねじ成形体に100℃以上350℃未満の熱処理を施して、上記歪みの除去や再結晶化を行うと共に、結晶組織を微細にして強度を向上することが開示されている。これに対し、本発明者らは、特定量のAlを含有したねじ成形体に対して第一熱処理の加熱温度を350℃以上とすることで、上記歪みの除去や再結晶化だけなく、後述するようにマグネシウム合金の組織が特定の配向性を有するねじや特定の平均結晶粒径を有するねじが得られ、このようなねじは、耐熱性に優れるとの知見を得た。そこで、第一熱処理の加熱温度を350℃以上とする。加熱温度を350℃未満とすると、熱処理後のねじが特定のピーク強度比を満たさなかったり、熱処理後のねじの平均結晶粒径が特定の範囲を満たさず、耐熱性を向上することができない。好ましい加熱温度は、350〜400℃である。加熱温度の上限は、マグネシウム合金が溶解又は燃焼する温度未満とする。溶解又は燃焼する温度は、マグネシウム合金の組成により異なる。加熱時間(保持時間)は、再結晶化及び歪みの除去が十分に行われる時間であればよく、10分以上2時間ぐらいまでが適切である。特に好ましい保持時間は、30〜60分程度である。
上記第一熱処理後に更にねじ成形体に第二熱処理を施してもよい。第二熱処理は、MgとAlとからなる析出物(例えば、Mg17Al12)を析出させる熱処理、いわゆる人工時効に相当する熱処理である。高温環境でマグネシウム合金ねじを使用している際に析出物が生じると、ねじは、変形し易くなる。そこで、第二熱処理を行って予め析出物を析出させておき、使用時に析出物が析出することを低減することで、変形を抑制することができる。つまり、ねじの耐熱性を向上させることができる。このような効果を得るために、第二熱処理の加熱温度は、150℃以上250℃以下が好ましい。より好ましい加熱温度は、マグネシウム合金の組成によって異なるが、200℃ぐらいが適切である。加熱温度が低いほど、析出が遅くなるが、より微細な析出物が合金組織中に分散して析出し易い。加熱時間(保持時間)は、析出物の析出が十分に行われる時間であればよく、1時間以上が好ましく、24時間以下程度が適切である。Alの含有量が多いほど、第二熱処理を十分に行って析出物を十分に析出させることが好ましい。
上記製造方法により得られたマグネシウム合金ねじは、その軸方向に平行な断面におけるX線回折のピーク強度を測定し、以下の数式1で表わされるピーク強度比Xが0.55以下を満たす。そして、このピーク強度比X≦0.55を満たすマグネシウム合金ねじは、耐熱性に優れる。上記第一熱処理の加熱温度が350℃未満の場合、熱処理後のねじは、ピーク強度比X>0.55となり、十分な耐熱性を有さない。ピーク強度比は、第一熱処理の加熱温度が高くなるほど、小さくなる傾向にあり、ピーク強度比が小さいほど耐熱性に優れる傾向にある。従って、ピーク強度比Xの下限値は、特に規定しない。
Figure 0005348624
上記ピーク強度比Xは、以下のように求める。マグネシウム合金ねじをその軸方向に平行に切断して、縦断面の試料を作製し、この断面において、ねじの軸方向(長手方向)におけるX線回折を実施する。そして、上記4つの面のピーク強度を測定し、4つの面に対する(0002)面の比率を求める。引抜材や押出材などを用いてねじを製造する場合、引抜材などの軸方向とねじの軸方向とが同じ方向となるように製造する。従って、得られたねじは、hcp構造の(0002)面が引抜材などの軸方向、つまりねじの軸方向に平行に整列した集合組織を形成する。そのため、上記ピーク強度比Xを求めるに当たり、ねじの軸方向に平行な断面においてピーク強度を測定する。
上記製造方法により得られたマグネシウム合金ねじは、第一熱処理の加熱温度を350℃以上といった比較的高めにすることで、マグネシウム合金の再結晶粒が成長し、結晶粒径が比較的大きくなる。具体的な平均結晶粒径は10μm〜40μmである。ここで、高温環境では、粒界すべりが変形(クリープ)を生じる大きな要因となるため、粒界を少なくすることで、粒界すべりを防止する、つまり耐熱性を向上することができる。従って、平均結晶粒径が10μm以上40μm以下といった比較的粗大な結晶組織からなるマグネシウム合金ねじは、粒界が少なく、耐熱性に優れる。上記第一熱処理の加熱温度が350℃未満の場合、熱処理後のねじは、平均結晶粒径が10μm未満の微粒組織となり、十分な耐熱性を有さない。平均結晶粒径は、第一熱処理の加熱温度が高くなるほど、大きくなる傾向にあり、平均結晶粒径が大きいほど耐熱性に優れる傾向にある。また、平均結晶粒径は、Alの含有量や第二熱処理の加熱温度と基本的に無関係である。
上記平均結晶粒径は、以下のように測定する。マグネシウム合金ねじの断面(縦断面でも横断面(軸方向に直交する面)でもよい)において、表面から中心に向かって100μmの深さの領域を表層部、表面から中心までの距離をrとしたときr/2の位置の領域を中央部、そして、中心の近傍を中心部とし、各部において任意の一箇所以上で光学顕微鏡などを用いて組織観察を行い(倍率:200〜1000倍)、特定面積(例えば、100〜300μm×100〜300μmなど)内に存在する結晶粒の粒径を測定する。粒径の測定は、切断法(JIS H 0501参照)に準じて行うことが挙げられる。このような測定を2断面以上で行う。そして、得られた全結晶粒の粒径の平均を平均結晶粒径とする。結晶粒径の測定は、透過電子顕微鏡(TEM)や後方散乱電子回折法(EBSP)を用いて行ってもよい。
本発明マグネシウム合金ねじは、耐熱性に優れることから、室温環境だけでなく、100℃以上といった高温環境においても十分に利用することができ、種々の高温環境での利用が期待される。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(試験例1)
表1に示す組成(添加元素の含有量の単位は、質量%)のマグネシウム合金からなる引抜材(φ7.1mm,平均結晶粒径4〜6μm)を準備した。各組成の引抜材を所定長に切断した後、得られた短尺材に+頭ねじのヘッド加工を施してねじブランクを作製した。続いて、ねじブランクに転造加工を施して、ねじ山が形成された軸部と、軸部に連なるヘッド部とを有するねじ成形体(M8相当材)を作製した。ヘッド加工及び転造加工は、短尺材及びねじブランクをそれぞれ250℃に加熱して行った。得られたねじ成形体のうち一部のねじ成形体には、250〜400℃×30minの条件で熱処理A(焼鈍)を施した。熱処理Aの加熱温度(焼鈍温度)は、250〜400℃から適宜選択した。また、熱処理Aを施したねじ成形体のうち一部のねじ成形体には、更に、170℃×16時間、又は200℃×16時間の条件で熱処理B(時効)を施した。なお、組成I〜IVのSiは、不可避的元素である。
Figure 0005348624
熱処理Aを施したねじ、熱処理A及びBを施したねじについて、X線回折のピーク強度比X、及び平均結晶粒径を測定した。また、これらのねじにクリープ試験を行い、最小クリープ速度を測定した。その結果を表2に示す。
ピーク強度比Xは、以下のように求めた。熱処理後のねじをその軸方向に平行に切断し、その断面(縦断面)においてねじの軸方向(長手方向)にX線回折を実施し、各面のピーク強度を求めた。得られたピーク強度を用いて、上記数式1に示すピーク強度比Xを算出した。
平均結晶粒径は、以下のように求めた。熱処理後のねじを切断し、その断面を光学顕微鏡(倍率:400倍)で観察し、同断面における特定面積(200μm×150μm)内に存在する結晶粒を切断法(JIS H 0501参照)に準じて測定する。この測定を3断面について行って、得られた全結晶粒の粒径の平均を算出した。
クリープ試験は、熱処理を施したねじを切削して、鍔付き円形断面試験片(平行部直径3.0mm、平行部長さ15mm)に加工し、応力50MPa、温度100℃、125℃、150℃の条件で行った。最小クリープ速度は、試験から得られたクリープ歪−時間関係データを用いて求めた。
Figure 0005348624
表2に示すように、Alを4.0〜10.0質量%含有したマグネシウム合金からなるねじ成形体に350℃以上の熱処理Aを施すことで、最小クリープ速度をより小さくできることがわかる。即ち、マグネシウム合金ねじの耐熱性を向上できることがわかる。また、表2からAlを4.0〜10.0質量%含有したマグネシウム合金からなり、X線回折のピーク強度比Xが0.55以下を満たすねじは、最小クリープ速度がより小さいことがわかる。更に、表2からAlを4.0〜10.0質量%含有したマグネシウム合金からなり、平均結晶粒径が10〜40μmのねじは、最小クリープ速度がより小さいことがわかる。また、表2から、X線回折のピーク強度比Xが小さくなるほど、或いは平均結晶粒径が大きくなるほど、耐熱性が向上する傾向が読み取れる。
加えて、熱処理Aに加えて熱処理Bを施すことで、耐熱性を更に向上できることが表2からわかる。これは、結晶粒がより大きくなったことに加えて、析出物が析出されたためであると考えられる。
また、引抜材を用いることで、連続的にねじを製造することができた。従って、マグネシウム合金ねじの量産には、引抜材を用いることが適する。
(試験例2)
表1に示す組成II,IIIのマグネシウム合金からなる押出材(φ7.1mm,平均結晶粒径20〜30μm)を準備し、この押出材を所定長に切断したものにヘッド加工及び転造加工を施して(いずれも加工温度290℃)、M8相当のねじ成形体を作製した。組成IIからなるねじ成形体には、試験例1の試料No.3と同様の条件で熱処理A,Bを施した(試料No.3’)。組成IIIからなるねじ成形体には、試験例1の試料No.6と同様の条件で熱処理A,Bを施した(試料No.6’)。熱処理を施したねじ(試料No.3’,6’)について、試験例1と同様にして、X線回折のピーク強度比X、平均結晶粒径、最小クリープ速度を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0005348624
表3に示すように、Alを4.0〜10.0質量%含有したマグネシウム合金からなるねじ成形体に350℃以上の熱処理を施すことで、最小クリープ速度をより小さくして、マグネシウム合金ねじの耐熱性を向上できることがわかる。
本発明マグネシウム合金ねじは、自動車部品などと言った耐熱性が求められるような高温環境で利用することができる。上述したマグネシウム合金ねじの製造方法は、耐熱性に優れるマグネシウム合金ねじを得るのに最適である。特に、この製造方法は、ねじ加工といった塑性加工を阻害するような元素を極力添加しないことから、ねじ成形体を生産性よく製造することができ、マグネシウム合金ねじを生産性よく製造できる。

Claims (3)

  1. 質量%でAlを4.0〜10.0%含むAZ系合金、Alを4.0〜10.0%含むAM系合金、及びAlを4.0〜10.0%含むAS系合金のいずれかのマグネシウム合金からなり、
    ねじ軸方向に平行な断面におけるX線回折のピーク強度比Xpが以下の式を満たすマグネシウム合金ねじ。
    Figure 0005348624
  2. 前記マグネシウム合金は、質量%で、Alを4.0〜10.0%と、Mn:2%以下とを含有する請求項1に記載のマグネシウム合金ねじ。
  3. 前記マグネシウム合金は、更に、質量%でZn:2%以下、Si:5%以下より選択される1種以上の元素を含有する請求項2に記載のマグネシウム合金ねじ。
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