JP2004124152A - マグネシウム基合金の圧延線材及びその製造方法 - Google Patents

マグネシウム基合金の圧延線材及びその製造方法 Download PDF

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大石 幸広
Nozomi Kawabe
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Abstract

【課題】長尺で優れた強度と靭性を具えるマグネシウム基合金の圧延線材の製造方法を提供する。
【解決手段】重量%で、Al:0.1〜12.0%を含むマグネシウム基合金素材を用意する工程と、前記素材を孔型ロールにより圧延加工することで線状にする工程とを具える。圧延加工は、圧延時の圧延加工温度をT(℃)、1パスにおける圧延加工度をR(%)、含有Al量をAl(重量%)としたとき、以下の関係を満たすよう行うことを特徴とするマグネシウム基合金の圧延線材の製造方法。
≧200のとき R≦T/10−5×Al/3+12.5
<200のとき 0≦R≦T/10−5×Al/3+2.5
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺で強度と靭性に優れたマグネシウム基合金の圧延線材、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マグネシウム基合金は、アルミニウムよりも軽く、比強度、比剛性が鋼やアルミニウムよりも優れており、航空機部品、自動車部品などの他、各種電気製品のボディーなどにも広く利用されている。特に、従来は、プレス成形品によく用いられており、このプレス用板材の製造方法として、圧延によるものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−200349号公報(特許請求の範囲参照)
【特許文献2】
特開平6−293944号公報(特許請求の範囲参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
マグネシウム基合金は、上記のように様々な特性に優れており板材だけでなく線材や棒材に利用することが望まれているが、最密六方格子構造であるため延性に乏しく、室温での塑性加工性が極めて悪い。そのため、従来、マグネシウム基合金の線材や棒材は、熱間押出による製造が一般的である。しかし、熱間押出は、生産性を考慮すると有効な製法と言いがたく、重量数kgの長尺線材の製造が検討されているが、数10kgを越えるような長尺線材、特に、線材の直径の1000倍以上といった長尺な線材を得ることは極めて困難である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、長尺で優れた強度と靭性を具えるマグネシウム基合金の圧延線材を提供することにある。
【0006】
また、本発明の別の目的は、上記マグネシウム基合金の圧延線材を高い生産性にて製造可能な製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、室温での加工性が極めて悪く、熱間押出では少量で短尺な棒材や線材しか得られなかったマグネシウム基合金について種々の検討を行った結果、長尺な線材や棒材を効率よく得るには、孔型圧延が好ましいとの知見を得た。特に、圧延時の圧延加工温度や圧延加工度を特定し、更に、これら温度と加工度とを組み合わせることで、強度と靭性に優れる圧延線材を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明マグネシウム基合金の圧延線材は、重量%で、Al:0.1〜12.0%を含むマグネシウム基合金素材の孔型圧延による圧延線材であり、以下の特性を満たすことを特徴とする。
圧延線材の直径:3mm以上10mm以下
圧延線材の長さ:前記直径の1000倍以上
引張強さ:220MPa以上
伸び:5%以上
絞り:30%以上
【0009】
また、更に、重量%でMn:0.1〜1.0%、Zn:0.1〜2.0%、Si:0.3〜2.0%から選択される元素を1種以上含むマグネシウム基合金素材も適用できる。即ち、本発明圧延線材に用いられるマグネシウム基合金素材は、鋳造用マグネシウム基合金と展伸用マグネシウム基合金のいずれも利用することができる。より具体的には、例えば、ASTM記号におけるAM系、AZ系、AS系などが利用できる。上記化学成分の他にはMgおよび不純物が含まれる合金として利用されることが一般的である。不純物には、Fe、Si、Cu、Ni、Caなどが挙げられる。
【0010】
AM系におけるAM60はAl:5.5〜6.5%、Zn:0.22%以下、Cu:0.35%以下、Mn:0.13%以上、Ni:0.03%以下、Si:0.5%以下を含有するマグネシウム基合金である。AM100はAl:9.3〜10.7%、Zn:0.3%以下、Cu:0.1%以下、Mn:0.1〜0.35%、Ni:0.01%以下、Si:0.3%以下を含有するマグネシウム基合金である。
【0011】
AZ系におけるAZ10は重量%でAl:1.0〜1.5%、Zn:0.2〜0.6%、Mn:0.2%以上、Cu:0.1%以下、Si:0.1%以下、Ca:0.4%以下を含有するマグネシウム基合金である。AZ21は重量%でAl:1.4〜2.6%、Zn:0.5〜1.5%、Mn:0.15〜0.35%、Ni:0.03%以下、Si:0.1%以下を含有するマグネシウム基合金である。AZ31はAl:2.5〜3.5%、Zn:0.5〜1.5%、Mn:0.15%〜0.5%、Cu:0.05%以下、Si:0.1%以下、Ca:0.04%以下を含有するマグネシウム基合金である。AZ61はAl:5.5〜7.2%、Zn:0.4〜1.5%、Mn:0.15〜0.35%、Ni:0.05%以下、Si:0.1%以下を含有するマグネシウム基合金である。AZ91はAl:8.1〜9.7%、Zn:0.35〜1.0%、Mn:0.13%以上、Cu:0.1%以下、Ni:0.03%以下、Si:0.5%以下を含有するマグネシウム基合金である。
【0012】
AS系におけるAS21は、重量%でAl:1.4〜2.6%、Zn:0.1%以下、Cu:0.15%以下、Mn:0.35〜0.60%、Ni:0.001%、Si:0.6〜1.4%を含有するマグネシウム基合金である。AS41はAl:3.7〜4.8%、Zn:0.1%以下、Cu:0.15%以下、Mn:0.35〜0.60%、Ni:0.001%以下、Si:0.6〜1.4%を含有するマグネシウム基合金である。
【0013】
マグネシウム単体では十分な強度を得ることが難しいが、上記の化学成分を含むことで好ましい強度が得られる。また、後述する製造方法により靭性にも優れた圧延線材を得ることができる。
【0014】
本発明圧延線材は、上記の引張強度、絞り、伸びを具えることで、強度と靭性を兼ね備えることができる。より好ましい引張強度は250MPa以上である。より好ましい伸びは10%以上である。より好ましい絞りは40%以上である。
【0015】
本発明圧延線材の直径を3mm未満とすると、偏径差が大きくなりやすく安定した形状を得にくく、圧延後に巻き取る際も困難であることから、直径の下限は、3mm以上とした。また、圧延加工は、一般に、総加工度を大きく採ることが可能であるため、総加工度が大きい加工に適する。この特徴を生かすには、線材の直径が10mm以下のものが好ましく、直径の上限を10mm以下とする。
【0016】
そして、強度と靭性に優れる上記本発明マグネシウム基合金の圧延線材を得るために、マグネシウム基合金素材に孔型圧延を施す。孔型圧延は、一般の金属材料において長尺な線材を製造する方法として知られており、生産性に優れ、線材製造に有効な圧延方法である。しかし、従来は、マグネシウム基合金に孔型圧延を適用した例がなく、また、一般の金属材料と同様の条件で孔型圧延を行っても、加工性に乏しいマグネシウム基合金では、長尺な圧延線材を得ることはできない。そこで、本発明者らは、種々検討した結果、以下の圧延条件を規定する。
【0017】
即ち、本発明製造方法は、重量%で、Al:0.1〜12.0%を含むマグネシウム基合金素材を用意する工程と、前記素材を孔型ロールにより圧延加工することで線状にする工程とを具える。特に、圧延加工は、圧延時の圧延加工温度をT(℃)、1パスにおける圧延加工度をR(%)、含有Al量をAl(重量%)としたとき、以下の関係を満たすよう行うことを特徴とする。
【0018】
【数2】
Figure 2004124152
【0019】
孔型圧延とは、溝付きロールを2〜4個用い、ロール面を対向させて配置して溝部により形成される孔型の空間に素材を通して、断面形状を拘束しながら所定の形状に圧延するものである。本発明において、圧延時の圧延加工温度とは、ロールによる加工を受ける直前の素材の温度をいう。圧延加工度とは、圧延前の断面積に対する圧延後の断面積の減少割合であり、本発明では、断面減少率にあたる。
【0020】
本発明は、上記のように圧延時の圧延加工温度と、1パスにおける圧延加工度とが一定の関係を満たした状態で圧延加工を行うことで、長尺で、かつ強度と靭性に優れたマグネシウム基合金の圧延線材を得ることができる。特に、孔型圧延を行うことで、生産性に優れる。
【0021】
上記製造方法において、特に、前記圧延加工を多パスで行い、圧延時の総加工度を60%以上とすることが好ましい。孔型ロールによる圧延加工を多パスで行う場合、総加工度が60%未満では、加工度が小さく、上記圧延加工における高い加工度が得られるという特徴が発揮されない。そこで、本発明では、孔型圧延を多パスで行う場合、圧延時の総加工度を60%以上とする。より好ましくは、80%以上である。
【0022】
本発明の別の構成として、前記圧延加工は、圧延開始時の圧延加工温度を300℃以上450℃以下で行うことを規定する。マグネシウム基合金に孔型圧延を施す場合、合金素材の温度が高いほど、即ち、圧延加工温度が高いほど加工性が高い傾向にある。そこで、特に、孔型圧延を連続して多パスで行う場合、連続加工を行うパス数や、2パス目以降の1パスにおける加工度などを十分大きく取ることを考慮すると、素材は、圧延開始時において300℃以上に加熱されていることが好ましい。特に、400℃以上に加熱することがより好ましい。400℃以上に加熱すると、合金素材は、鋳造により生じた析出物が固溶することで、圧延加工性がより向上する。また、合金素材の温度は、圧延に伴い低下していくが、予め400℃以上に加熱された合金素材は、圧延加工途中で素材温度がある程度低下しても圧延可能であり、多パスの加工を連続して行う際に有効である。加熱温度の上限(450℃以下)を設けたのは、加熱及び圧延加工中に素材の表面が酸化するのを抑えるためである。
【0023】
本発明の別の構成として、前記圧延加工は、1パス目の圧延加工度を5%以上15%以下、圧延加工温度を200℃以上として行うことを規定する。インゴット(合金素材)の結晶粒が極端に粗大である場合、圧延加工途中で割れなどの不良が発生することがある。本発明者らは、1パス目において加工度が5%〜15%、圧延加工温度が200℃以上で圧延した合金素材は、加工後、動的な再結晶を生じて微細な結晶粒となり、割れの起点となる粗大な結晶粒がなくなることで、割れの発生を防ぐことができるとの知見を得た。また、1パス目の圧延加工度が5%未満では、再結晶しにくく、15%超では、加工度が高すぎて1パス目で割れが発生する可能性があり、圧延加工温度が200℃未満では、圧延加工が行いにくいとの知見を得た。そこで、本発明では、圧延加工途中の割れ発生を防ぐため、1パス目の圧延加工度を5%以上15%以下、圧延加工温度を200℃以上に規定する。なお、上記のように圧延加工温度は、高温であるほど加工性が高い傾向にあるが、高温過ぎると素材の表面が酸化する恐れがある。そこで、圧延加工温度は、450℃以下であることが好ましい。特に、好ましい圧延加工温度は、300℃以上450℃以下である。
【0024】
上記において、合金素材として用いるインゴットの大きさや圧延時の圧延加工温度によっては、動的再結晶の発生が不十分である場合も考えられる。そこで、1パス目の加工の後、再加熱して、十分再結晶をさせた後、2パス目以降の加工を行うことが好ましい。加熱温度は、200℃以上、特に300℃以上が好ましい。
【0025】
以上本発明製造方法は、重量%でMn:0.1〜1.0%、Zn:0.1〜2.0%、Si:0.3〜2.0%から選択される元素を1種以上含むマグネシウム基合金素材においても同様に適用することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1)
以下に示すAZ31合金(重量%でAl:3.0%、Zn:1.0%、Mn:0.15%を含み、残部がMgおよび不純物)のインゴット(試料No.1−1)及び圧延線材(試料No.1−2)を用意し、孔型ロールにより孔型圧延を1パス行い、加工状態を調べてみた。圧延加工は、各試料に対してそれぞれ圧延加工温度、圧延加工度(断面減少率)を変化させて行った。図1に圧延加工温度、圧延加工度、加工状態を示す。また、用いたインゴット、孔型ロールの特性を以下に示す。なお、圧延加工温度は、孔型ロールによる圧延加工を受ける直前のインゴット又は圧延線材の温度とする。以下の実施例2においても同様である。
【0027】
試料No.1−1:直径φ30mmのインゴット(本例における孔型圧延が1パス目)
試料No.1−2:直径φ50mmのインゴットに圧延加工温度約350℃で1パスにおける圧延加工度約20%の孔型圧延を4パス行った直径φ30mmの圧延線材(同5パス目)
孔型ロール:ロール径φ215mmのロールを一対対向させて用いる
【0028】
図1は、割れの発生の有無から判断した加工の可否を示すグラフである。試料No.1−1及び1−2の双方とも割れが生じていない場合を○、試料No.1−2は割れが生じておらず、試料No.1−1は割れが発生した場合を△、試料No.1−1及び1−2の双方とも割れが発生した場合を×で示す。以下に述べる実施例2の図2についても同様である。
【0029】
その結果、図1に示す○及び△から圧延時の圧延加工温度をTr(℃)、1パスにおける圧延加工度をR(%)、含有Al量をAl(重量%)としたとき、以下の関係を保つ場合、割れが生じることなく圧延加工が可能であることが分かる。
【0030】
【数3】
Figure 2004124152
【0031】
また、図1に示す△から、インゴットを直接圧延加工したもの(試料No.1−1)よりも、圧延加工を一度行った圧延線材に圧延加工を施したもの(試料No.1−2)の方が、加工性が良好であることが分かる。試料No.1−2は、圧延加工温度が200℃未満であっても、図1の△に示すように加工度の限界が小さいものの圧延加工を行うことができる。このことから、2パス目以降の加工は、圧延加工温度が200℃未満でも可能であることが分かる。但し、図1の○で示すように200℃以上の方が好ましいと思われる。
【0032】
更に、図1の○で示すように1パス目の圧延加工温度は、200℃以上、特に300℃以上とすることが好ましいことが分かる。なお、試料No.1−1において圧延加工温度を500℃とした場合を調べてみると、圧延加工は可能であったが、圧延線材の表面に酸化膜が形成されていた。一方、圧延加工温度が450℃の圧延線材の表面には酸化膜が形成されていなかった。このことから、1パス目の圧延加工温度は、450℃以下が好ましいことが分かる。
【0033】
上記実施例1と同様の調査をAS41合金(重量%でAl:4.2%、Mn:0.50%、Si:1.1%を含み、残部がMgと不純物からなるマグネシウム基合金)の試料No.1−3(直径φ30mmのインゴット)、No.1−4(直径φ50mmのインゴットに圧延加工温度約350℃、1パスにおける圧延加工度約20%の孔型圧延を4パス行った直径φ30mmの圧延線材)に対して行ったところ、図1と同様の結果を得た。
【0034】
これらAZ31合金の試料No.1−1’(1パス目の圧延加工温度300℃、圧延加工度15%)及びAS41合金の試料No.1−3’(1パス目の圧延加工温度300℃、圧延加工度15%)に対し、それぞれ圧延加工を継続し(1パスにおける圧延加工度約25%で12パス行う)、直径φ5.0mm、長さ約14000mm(重量500g)の圧延線材を得た(総加工度99%)。これら圧延線材の引張強度(TS)、伸び(EL)、絞り(RA)を調べてみたところ、試料No.1−1’では、TS=265MPa、EL=12%、RA=45.2%であり、試料No.1−3’では、TS=260MPa、EL=10.5%、RA=38.6%であった。
【0035】
また、試料No.1−1、1−3において、1パス目の圧延加工ができたもの(図1において○が付されたもの)に対して、1パスにおける圧延加工度を10%として、連続して圧延加工を施してみた(5パス)。すると、1パス目の圧延加工温度が300℃以上である試料は、1パス目の圧延加工度によらず、圧延加工途中に割れなど生じることなく圧延加工が可能であった。
【0036】
(実施例2)
以下に示すAZ61合金(重量%でAl:6.4%、Zn:1.0%、Mn:0.28%を含み、残部がMgおよび不純物)のインゴット(試料No.2−1)及び圧延線材(試料No.2−2)を用意し、孔型ロールにより孔型圧延を1パス行い、加工状態を調べてみた。圧延加工は、各試料に対してそれぞれ圧延加工温度、圧延加工度を変化させて行った。図2に圧延加工温度、圧延加工度、加工状態を示す。また、用いたインゴット、孔型ロールの特性を以下に示す。
【0037】
試料No.2−1:直径φ30mmのインゴット(本例における孔型圧延が1パス目)
試料No.2−2:直径φ50mmのインゴットに圧延加工温度約350℃で1パスにおける圧延加工度約20%の孔型圧延を4パス行った直径φ30mmの圧延線材(同5パス目)
孔型ロール:ロール径φ215mmのロールを一対対向させて用いる
【0038】
その結果、図2に示す○及び△から圧延時の圧延加工温度をTr(℃)、1パスにおける圧延加工度をR(%)、含有Al量をAl(重量%)としたとき、以下の関係を保つ場合、割れが生じることなく圧延加工が可能であることが分かる。
【0039】
【数4】
Figure 2004124152
【0040】
上記実施例1と同様に図2に示す△から、インゴットを直接圧延加工したもの(試料No.2−1)よりも、圧延加工を一度行った圧延線材に圧延加工を施したもの(試料No.2−2)の方が、加工性が良好であることが分かる。試料No.2−2は、圧延加工温度が200℃未満であっても圧延加工が可能であり、このことから、2パス目以降の加工は、圧延加工温度が200℃未満でも適用できると推測されるが、図2の○で示すように、200℃以上の方が好ましいと思われる。
【0041】
更に、図2の○で示すように1パス目の圧延加工温度は、200℃以上、特に300℃以上とすることが好ましいことが分かる。なお、試料No.2−1において圧延加工温度を500℃とすると、実施例1と同様に圧延線材の表面に酸化膜が形成されていた。これに対し、圧延加工温度が450℃の圧延線材は酸化膜が形成されおらず、このことから、1パス目の圧延加工温度は、450℃以下が適すると思われる。
【0042】
上記実施例2と同様の調査をAM60合金(重量%でAl:6.1%、Mn:0.44%を含み、残部がMg及び不純物)の試料No.2−3(直径φ30mmのインゴット)、No.2−4(直径φ50mmのインゴットに圧延加工温度約350℃、1パスにおける圧延加工度約20%の孔型圧延を4パス行った直径φ30mmの圧延線材)に対して行ったところ、図2と同様の結果を得た。
【0043】
これらAZ61合金の試料No.2−1’(1パス目の圧延加工温度300℃、圧延加工度15%)及びAM60合金の試料No.2−3’(1パス目の圧延加工温度300℃、圧延加工度15%)に対し、それぞれ圧延加工を継続し(1パスにおける圧延加工度約25%で12パス行う)、直径φ5.0mm、長さ14000mm(重量500g)の圧延線材を得た(総加工度99%)。これら圧延線材の引張強度(TS)、伸び(EL)、絞り(RA)を調べてみたところ、試料No.2−1’では、TS=310MPa、EL=9%、RA=39.2%であり、試料No.2−3’では、TS=270MPa、EL=9%、RA=35.2%であった。
【0044】
また、試料No.2−1、2−3において、1パス目の圧延加工ができたもの(図2において○が付されたもの)に対して、1パスにおける圧延加工度を10%として、連続して圧延加工を施してみた(5パス)。すると、1パス目の圧延加工温度が300℃以上である試料は、1パス目の圧延加工度によらず、圧延加工途中に割れなど生じることなく圧延加工が可能であった。
【0045】
(実施例3)
AZ61合金(Al:6.4%、Zn:1.0%、Mn:0.28%を含み、残部がMgおよび不純物)のインゴット(直径φ30mm)を複数準備し、圧延加工温度200℃にて、5%、10%、15%、20%の各圧延加工度で孔型ロールによる圧延加工を実施した。インゴットは、各圧延加工度に対して5本ずつ用意した。また、孔型ロールは、上記実施例1と同様のものを用いた。
【0046】
その結果、加工度20%の試料では、割れの発生率が80%であった(インゴット5本中4本において割れが発生)。そして、割れが発生したインゴットの結晶状態(組織)を調べてみると、数100μmの粗大結晶粒が認められた。
【0047】
加工度15%以下の試料では、いずれの試料も5本のインゴットすべてに割れが発生せず圧延加工が可能であった。更に、加工度5%以上15%以下の試料を250℃に再加熱し、種々の加工度(約10%、約16%、約20%)で圧延加工を行ったところ、その後の圧延加工では、1パスあたりの加工度が約20%の加工であっても、問題なく加工可能であった。この再加熱した試料の結晶状態を調べたところ、粗大結晶粒が消滅し、10μm以下の微細な結晶粒となっていた。これらのことから、粗大結晶粒を含むインゴット(鋳造材)は、1パス目の圧延加工によって割れが発生する危険を有しているが、1パス目の圧延加工度を15%以下、圧延加工温度を200℃以上とすることで、圧延加工中の割れを回避することができることがわかる。また、圧延加工後、200℃以上に再加熱して再結晶させ、結晶粒を微細にすることで、再加熱後の圧延加工によって割れが生じることを防止できることがわかる。
【0048】
圧延加工温度を350℃として上記実施例3と同様に圧延加工度を変えて圧延加工を2パス行い、圧延加工後の各圧延線材の組織を調べたところ、上記のように再加熱していなくても再結晶化していた。このことから、圧延加工温度によっては、1パス目の圧延加工後の再加熱を行わなくても連続圧延が可能であることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明製造方法によれば、マグネシウム基合金素材に対して所定の条件にて孔型圧延を施すことで、長尺で、強度及び靭性に優れたマグネシウム基合金の圧延線材を得ることができるという優れた効果を奏し得る。特に、本発明製造方法は、マグネシウム基合金において従来から行われていた押出加工と比較して高い生産性を有する。また、得られた本発明圧延線材は、加工性にも優れ、その後の引き抜き加工などの加工素材としても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】AZ31合金に圧延加工温度と圧延加工度とを変化させて孔型圧延を施した際の圧延加工の可否を示すグラフである。
【図2】AZ61合金に圧延加工温度と圧延加工度とを変化させて孔型圧延を施した際の圧延加工の可否を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 重量%で、Al:0.1〜12.0%を含むマグネシウム基合金素材の孔型圧延による圧延線材であり、
    圧延線材の直径が3mm以上10mm以下、
    圧延線材の長さが前記直径の1000倍以上、
    引張強さが220MPa以上、
    伸びが5%以上、
    絞りが30%以上であることを特徴とするマグネシウム基合金の圧延線材。
  2. 更に、重量%でMn:0.1〜1.0%、Zn:0.1〜2.0%、Si:0.3〜2.0%から選択される元素を1種以上含むことを特徴とする請求項1記載のマグネシウム基合金の圧延線材。
  3. 重量%で、Al:0.1〜12.0%を含むマグネシウム基合金素材を用意する工程と、
    前記素材を孔型ロールにより圧延加工することで線状にする工程とを具え、
    前記圧延加工は、
    圧延時の圧延加工温度をT(℃)、1パスにおける圧延加工度をR(%)、含有Al量をAl(重量%)としたとき、以下の関係を満たすよう行うことを特徴とするマグネシウム基合金の圧延線材の製造方法。
    Figure 2004124152
  4. 前記圧延加工は、多パスで行い、圧延時の総加工度を60%以上で行うことを特徴とする請求項3記載のマグネシウム基合金の圧延線材の製造方法。
  5. 重量%で、Al:0.1〜12.0%を含むマグネシウム基合金素材を用意する工程と、
    前記素材を孔型ロールにより圧延加工することで線状にする工程とを具え、
    前記圧延加工は、
    圧延開始時の圧延加工温度を300℃以上450℃以下として行うことを特徴とするマグネシウム基合金の圧延線材の製造方法。
  6. 重量%で、Al:0.1〜12.0%を含むマグネシウム基合金素材を用意する工程と、
    前記素材を孔型ロールにより圧延加工することで線状にする工程とを具え、
    前記圧延加工は、
    1パス目の圧延加工度を5%以上15%以下、圧延加工温度を200℃以上として行うことを特徴とするマグネシウム基合金の圧延線材の製造方法。
  7. 2パス目以降の圧延加工は、素材を200℃以上に再加熱して行うことを特徴とする請求項6記載のマグネシウム基合金の圧延線材の製造方法。
  8. 更に、重量%でMn:0.1〜1.0%、Zn:0.1〜2.0%、Si:0.3〜2.0%から選択される元素を1種以上含む素材を用いることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のマグネシウム基合金の圧延線材の製造方法。
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