JP6380855B2 - 銅合金の製造方法および銅合金 - Google Patents
銅合金の製造方法および銅合金 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6380855B2 JP6380855B2 JP2015521469A JP2015521469A JP6380855B2 JP 6380855 B2 JP6380855 B2 JP 6380855B2 JP 2015521469 A JP2015521469 A JP 2015521469A JP 2015521469 A JP2015521469 A JP 2015521469A JP 6380855 B2 JP6380855 B2 JP 6380855B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copper alloy
- aging treatment
- less
- aging
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22F—CHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
- C22F1/00—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
- C22F1/08—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of copper or alloys based thereon
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D1/00—General methods or devices for heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering
- C21D1/18—Hardening; Quenching with or without subsequent tempering
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C9/00—Alloys based on copper
- C22C9/02—Alloys based on copper with tin as the next major constituent
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C9/00—Alloys based on copper
- C22C9/06—Alloys based on copper with nickel or cobalt as the next major constituent
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Thermal Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
Description
Cu−Ni−Sn系銅合金の製造方法であって、
溶体化処理を行った溶体化処理材を用い、300℃以上500℃以下の温度範囲で時効処理を行う第1時効処理工程と、
前記第1時効処理工程の後に冷間加工を行う時効間加工工程と、
前記時効間加工工程の後に300℃以上500℃以下の温度範囲で時効処理を行う第2時効処理工程と、
を含むものである。
この工程では、所望の合金組成となるように原料を配合し、溶解・鋳造して鋳塊を得る。合金組成Cu−Ni−Sn系の銅合金組成であればよいが、Niを3質量%以上25質量%以下含み、Snを3質量%以上9質量%以下含むことが好ましい。こうした組成では、時効硬化能が高いため、機械的強度をより高めることができるし、導電率の低下を抑制できる。具体的には、例えば、Cu−21Ni−5.5Snや、Cu−15Ni−8Sn、Cu−9Ni−6Snなどの組成としてもよい。合金組成は、NiやSnの他に、Mnを0.05質量%以上0.5質量%以下含んでもよい。Mnを0.05質量%以上含むと、粒界反応と呼ばれる結晶粒界の周りに起こるNiやSnの不連続な析出を抑制可能なため、界面の脆化に伴う強度低下などが生じにくく、機械的強度を高めるのにより適している。また、Mnの量が0.5質量%以下であれば、熱間加工性を阻害することのあるMnの量が多すぎないため、製造性の悪化を抑制できる。合金組成において、残部は、Cuのみでもよいし、Cuと不可避的不純物を含んでもよい。不可避的不純物としては、例えば、P、Al、Mg、Fe、Co、Cr、Ti、Zr、Mo、Wなどがある。こうした不可避的不純物は、全体で0.1質量%以下であることが好ましい。溶解や鋳造は、公知の方法で行うことができる。例えば、大気中または窒素などの不活性雰囲気下で高周波誘導加熱溶解して金型鋳造することが好適であるが、電気炉内でるつぼによる溶解を行ってもよいし、黒鉛ダイスや銅鋳型を用いて連続鋳造を行ってもよい。また、これらに限定されることなく、その他の方法で行ってもよい。
この工程では、後工程に悪影響を及ぼす不均一な組織、例えば鋳造時に非平衡的に生成した偏析など、を鋳塊から除去して均質な組織とする均質化処理を行い、均質化処理材を得る。この工程では、例えば、溶解・鋳造工程で得られた鋳塊を、780℃以上950℃以下などの温度範囲で、0.5時間以上24時間以下などの保持時間にわたって加熱保持してもよい。
この工程では、均質化処理材を、後の時効間加工に用いるのに適した寸法となるように加工し、予備加工材を得る。この工程では、熱間加工だけを行ってもよいし、冷間加工だけを行ってもよいし、熱間加工と冷間加工の両方を行ってもよい。また、加工の種類は特に限定されず、例えば、圧延加工やプレス加工、押出し加工、引抜き加工、鍛造などとしてもよい。このうち、板形状に成形していくためには圧延加工が好ましい。
この工程では、CuにNiやSn(、Mn)が固溶した溶体化処理材を得る。この工程では、例えば、予備加工材を、780℃以上950℃以下などの温度範囲で、0.5時間以上6時間以下などの保持時間にわたって加熱保持し、その後、水冷や空冷などによって表面温度が例えば20℃以下となるように冷却してもよい。この際には、可能な限り急冷することが好ましい。このとき好ましくは50℃/s以上の降温速度、より好ましくは100℃/s以上の降温速度である。
この工程では、溶体化処理材を用い、300℃以上500℃以下の温度範囲で時効処理を行い、第1時効処理材を得る。この時効処理は、ピーク時効処理又はそれより短時間の処理であることが好ましく、ピーク時効処理であることがより好ましい。ここで、ピーク時効処理とは、時効処理を行う温度で加熱保持したときにマイクロビッカース硬さ(以下単に硬さとも称する)が最大となる時間まで加熱保持を行う時効処理をいう。なお、硬さが最大となる時間を厳密に求めることは困難であることから、本願では、最大の硬さの90%以上の硬さが得られる時間範囲で加熱保持する時効処理を、ピーク時効処理と呼ぶ。この工程において、時効処理を行う温度範囲は、300℃以上500℃以下であればよいが、このうち、400℃以上が好ましく、420℃以上がより好ましい。スピノーダル分解状態からD022規則相やL12規則相などの化合物相が生成する温度だからである。また、500℃以下が好ましく、480℃以下がより好ましい。D022規則相やL12規則相などの化合物相は生成するが、D03平衡相は生成せず粒界反応が起こりにくい温度だからである。なお、D022規則相、L12規則相、D03平衡相はすべて立方晶であり、これらはいずれも超格子構造をもつ(Cu,Ni)3Sn相であると考えられる。この工程において、時効処理を行う時間は、時効処理の温度や溶体化処理材の寸法などに応じて経験的に定めてもよく、例えば、30分以上24時間以下の範囲としてもよい。このうち、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。処理する大きさによってD022規則相やL12規則相などの化合物相を生成するのに必要な時間だからである。また、12時間以下が好ましく、6時間以下がより好ましい。処理する大きさによってD022規則相やL12規則相などの化合物相を生成するのに十分な時間だからである。
この工程では、冷間加工を行い、時効間加工材を得る。本発明において、冷間加工とは、材料温度が200℃以下となる温度域で行う加工をいう。冷間加工は、例えば、意図して加熱を行わず、常温で行うものとしてもよい。加工の種類は特に限定されず、例えば、圧延加工やプレス加工、押出し加工、引抜き加工、あるいは鍛造などとしてもよい。このうち、板形状に成形していくためには圧延加工が好ましい。この冷間加工は、加工率が60%を超え99%以下となるように行うことが好ましい。このうち、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。材料内部で転位密度が高まり、十分な加工硬化を得られる加工だからである。また99%以下が好ましく、95%以下がより好ましい。加工硬化が進み、加工効率が低下(例えば圧延の場合、必要な加工率までの加工に要する圧延パス回数が増大)してしまう場合があるからである。ここで、加工率R(%)は、加工前の断面積をA0(mm2)、加工後の断面積をA(mm2)とすると、R=(A0−A)×100/A0の式から求められる。なお、圧延を行う場合、加工率R(%)は、圧延前の板厚をt0(mm)、圧延後の板厚をt(mm)とすると、R=(t0−t)×100/t0の式から求めてもよい。
この工程では、300℃以上500℃以下の温度範囲で時効処理を行い、第2時効処理材を得る。この工程では、第1時効処理工程の時効処理よりも短時間の時効処理を行うことが好ましい。こうすれば、過時効状態となりにくいため、機械的強度を高めるのに適している。時効処理温度は、300℃以上500℃以下であればよいが、400℃以上が好ましく、420℃以上がより好ましい。スピノーダル分解状態からD022規則相やL12規則相などの化合物相が生成する温度だからである。また、500℃以下が好ましく、480℃以下がより好ましい。D022規則相やL12規則相などの化合物相は生成するが、D03平衡相は生成せず粒界反応が起こりにくい温度だからである。また、この時効処理温度は、第1時効処理工程の時効処理温度と同じかそれ以下であることが好ましい。時効処理温度は第1時効処理工程の時効処理温度より高温としてもよいが、その場合、より短時間の時効処理をすることが好ましい。この工程において、時効処理を行う時間は、時効処理の温度や時効間加工材の寸法、時効間加工工程における加工率などに応じて経験的に定めてもよく、例えば、15分以上12時間以下の範囲としてもよい。このうち、30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。処理する大きさによって、加工により導入された転位の周囲にSnが拡散して固定化し、あるいはD022規則相やL12規則相などの化合物相を生成するのに必要な時間だからである。また、6時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましい。処理する大きさによって、Snの拡散やD022規則相やL12規則相などの化合物相を生成するのに十分な時間だからである。
(溶体化処理材の作製)
まず、1150℃窒素雰囲気中で高純度るつぼを用い、Cu−21Ni−5.5Sn系銅合金を溶製した。次いで、熱間鍛造を行い鋳造組織の分塊と厚板状に形状寸法を整えた後に均質化処理、70%冷間圧延、溶体化処理をこの順に行い、溶体化処理材を得た。溶体化処理は、真空中にて800℃で30分間保持し、水焼入れすることにより行った。
溶体化処理材を加工率50%〜80%まで冷間圧延し、50%〜80%の冷間圧延材を作製した(後述比較例1,2)。
溶体化処理材について、400℃で時効処理を行うときのピーク時効時間を以下のように求めた。まず、溶体化処理材を用い、400℃にて所定時間、時効処理を行い、時効処理時間の異なる複数の試料を作製した。作製した各試料の硬さを測定し、時効処理時間と硬さとの関係を調べた。そして、硬さが最大となる時間をピーク時効時間とした。50%〜80%冷間圧延材についても同様に、400℃で時効処理を行うときのピーク時効時間を求めた。図1は、Cu−21Ni−5.5Sn系銅合金の時効処理時間とビッカース硬さとの関係を示すグラフである。なお、硬さの測定方法の詳細については後述する。
また、Cu−15Ni−8Sn系銅合金を溶製した。この合金を、熱間鍛造を行い鋳造組織の分塊と厚板状に形状寸法を整えた後に均質化処理、50%冷間圧延、溶体化処理をこの順に行い、溶体化処理材を得た。溶体化処理は、真空中にて875℃で60分間保持し、水焼入れすることにより行った。なお、Cu−15Ni−8Sn系銅合金の溶体化処理材の平均結晶粒径dは55(μm)であった。
また、Cu−15Ni−8Sn系銅合金の溶体化処理材を加工率50%〜60%まで冷間圧延し、50%〜60%の冷間圧延材を作製した(後述比較例4,5)。
Cu−15Ni−8Sn系銅合金の溶体化処理材について、400℃で時効処理を行うときのピーク時効時間を以下のように求めた。まず、溶体化処理材を用い、400℃にて所定時間、時効処理を行い、時効処理時間の異なる複数の試料を作製した。作製した各試料の硬さを測定し、時効処理時間と硬さとの関係を調べた。そして、硬さが最大となる時間をピーク時効時間とした。50%〜60%冷間圧延材についても同様に、400℃で時効処理を行うときのピーク時効時間を求めた。その結果、Cu−21Ni−5.5Sn系銅合金と同様に、ピーク時効をすることによって好適な組織が得られることがわかった。Cu−15Ni−8Sn系銅合金の溶体化処理材のピーク時効時間は約10時間であり、50%冷間圧延材のピーク時効時間は4時間であり、60%冷間圧延材のピーク時効時間は2時間であることがわかった。この結果を用いて、実施例4〜6及び比較例4〜7のCu−15Ni−8Sn系銅合金を作製した。
まず、Cu−21Ni−5.5Sn系銅合金の溶体化処理材を用い、ピーク時効処理(400℃で10時間保持)を行った(第1時効処理工程)。続いて、加工率80%の冷間圧延を行った(時効間圧延工程)。さらに、400℃で15分間保持する時効処理を行った(第2時効処理工程)。こうして、実施例1の合金を作製した。
第2時効処理工程における400℃での保持時間を30分間とした以外は、実施例1と同様の工程を経て実施例2の合金を作製した。また、第2時効処理工程における400℃での保持時間を1時間とした以外は、実施例1と同様の工程を経て実施例3の合金を作製した。
Cu−15Ni−8Sn系銅合金の溶体化処理材を用い、ピーク時効処理(400℃で8時間保持)を行った(第1時効処理工程)。続いて、加工率50%の冷間圧延を行った(時効間圧延工程)。さらに、400℃で20分間保持する時効処理を行った(第2時効処理工程)。こうして、実施例4の合金を作製した。
加工率60%の冷間圧延を行い、第2時効処理工程における400℃での保持時間を40分間とした以外は、実施例4と同様の工程を経て実施例5の合金を作製した。また、第2時効処理工程における400℃での保持時間を1時間とした以外は、実施例5と同様の工程を経て実施例6の合金を作製した。
Cu−21Ni−5.5Sn系銅合金の50%冷間圧延材を用い、第1時効処理(400℃で5時間保持)を行った。こうして、比較例1の合金を作製した。また、Cu−21Ni−5.5Sn系銅合金の80%冷間圧延材を用い、第1時効処理(400℃で4時間保持)を行った。こうして、比較例2の合金を作製した。
第2時効処理工程を省略した以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例3の合金を作製した。
Cu−15Ni−8Sn系銅合金の50%冷間圧延材を用い、第1時効処理(400℃で4時間保持)を行った。こうして、比較例4の合金を作製した。また、Cu−15Ni−8Sn系銅合金の60%冷間圧延材を用い、第1時効処理(400℃で2時間保持)を行った。こうして、比較例5の合金を作製した。
第1時効処理(400℃で10時間保持)を行ったのち、加工率50%の冷間圧延を行い、第2時効処理工程を省略した以外は、実施例4と同様の工程を経て比較例6の合金を作製した。また、第1時効処理(400℃で10時間保持)を行ったのち、加工率60%の冷間圧延を行い、第2時効処理工程を省略した以外は、実施例4と同様の工程を経て比較例7の合金を作製した。
ワイヤカット放電加工機を用いて、平行部寸法が20mm(長さ)×6mm(幅)×0.25mm(厚さ)の板状型付き試験片を作製した。そして、引張試験機(AUTOGRAPH AG−X)を用い、室温大気中、初期ひずみ速度5×10-3/秒の条件で引張試験を行った。この引張試験は、JISZ2201に準じて行った。
マイクロビッカース硬度計により、2.9N、10secの条件で硬さを測定した。この際、圧延方向に垂直な板厚断面の中央部において各試料で10ヶ所測定を行い、平均値を求めた。この硬さ測定は、JISZ2244に準じて行った。
応力緩和試験は、銅及び銅合金薄板条の曲げによる応力緩和試験法(日本伸銅協会技術基準JCBA T309:2001(仮))に準じ、スパン長さ30mmの片持ち梁方式を採用して行った。具体的には、図5に示すように試験治具を用いて試験片端部を固定し、たわみ変位付加用ボルトで試験片に初期たわみ変位δ0を与えた。初期たわみ変位は、式(1)を用いて算出した。
δ0=σL2/1.5EH ・・・(1)
ここで、σは常温での0.2%耐力の80%の応力(N/mm2)、Lはスパン長さ(mm)、Hは試験片の厚さ(mm)、Eはヤング率(N/mm2)である。
R=(δt/δ0)×100 ・・・(2)
JISH0505に準じて供試材の体積抵抗ρを測定し、焼き鈍した万国標準軟銅の抵抗値(1.7241μΩcm)との比を計算して導電率(%IACS)に換算した。換算には、以下の式を用いた。導電率γ(%IACS)=1.7241÷体積抵抗ρ×100。
光学顕微鏡観察用試料の試験片表面は、エメリーペーパー(#400〜#2000)で研磨後、アルミナを使用したバフ研磨を行い、鏡面に仕上げた。そして、光学顕微鏡(OLYMPUS製BX51M)を用いて表面組織を観察した。また、圧延面に垂直で圧延方向に平行な断面を撮影した光学顕微鏡写真から、圧延方向に垂直な方向の粒界の平均間隔を平均結晶粒径d(μm)として求めた。実施例1〜3及び比較例2と3ではd=10μmであり、比較例1ではd=30μmであった。また、実施例4〜6及び比較例6と7ではd=15μmであり、比較例4ではd=27μmであり、比較例5ではd=22μmであった。
透過型電子顕微鏡(日本電子製JEOL2000EX)を用いて、加速電圧200kVにて内部組織観察を行った。TEM観察用試料は、機械研磨によって約0.2mmの厚さまで研磨後、直径3mmの小片を切り出した。その後、電解研磨装置(ケミカル山本社製Ecopol)を使用して電解研磨を施し、薄膜試料を作製した。電界研磨液は硝酸:メタノール=1:4を用いた。Ecopol使用条件は電圧20.0V(作動中は13.5V)、試料と電極の距離0.25mm、電解研磨条件は電圧6.0V、電流0.1A、液温−30℃で行った。透過型電子顕微鏡により観察される変形双晶は転位の運動に対して結晶粒界と同様な役割を示すことが知られているので、実施例1〜6と比較例3、6、7ではTEM写真から得られた平均双晶境界間隔を平均結晶粒径dとした。なお、比較例1と2では変形双晶が局所的で双晶境界間隔が測定できなかったことと変形双晶の量が少ないため、平均結晶粒径そのものをdとした。
X線回折装置(理学電機製RINT2500)を用いて、Cu管球、管電圧40kV、管電流200mAの条件のもとでX線回折測定を行い、Cu母相の格子定数及び転位密度を以下のように測定した。各面からの回折ピークより求めた格子定数の値をcos2θ/sinθの関数により外挿し、得られた値を最終的な格子定数として採用した。この格子定数は、実施例1〜3及び比較例1〜3のすべてにおいて、約0.3618nmであった。また、(111)、(220)、(311)反射面からの回折ピークの幅(半値幅)より、補正されたWilliamson−Hall法(T. Kunieda, M. Nakai, Y. Murata,T. Koyama, M. Morinaga: ISIJ Int. 45(2005),1909-1914参照)を用いてひずみを求め、転位密度に換算した。X線回折用試料は、#2000のエメリーペーパー及び6μm〜3μmのバフを用いた機械研磨を施し、試料表面が鏡面状態となるようにした。なお、このとき、試料の面出しは十分に行い、偏心による誤差を小さくした。
表1に、実施例1〜6及び比較例1〜7の、引張強さ、0.2%耐力、伸び、硬さ、応力緩和率、導電率、結晶粒径、転位密度を示した。表1より、機械的強度の面では、比較例1,2よりも比較例3及び実施例1〜3が優れていることがわかった。同様に、機械的強度の面では、比較例4,5よりも比較例6、7及び実施例4〜6が優れていることがわかった。また、耐熱性の面では、実施例1〜3では、比較例1,2よりは劣るものの、比較例3よりも優れていることがわかった。同様に、耐熱性の面では、実施例4〜6では、比較例4,5よりは劣るものの、比較例6よりも優れていることがわかった。以上より、本願の実施例1〜6では、機械的強度をより高め、耐熱性の劣化を抑制できることがわかった。また、導電率も、比較例のものと同等であり、導電率の劣化を抑制できることがわかった。
Claims (5)
- 3質量%以上25質量%以下のNiと、3質量%以上9質量%以下のSnと、0.05質量%以上0.5質量%以下のMnと、残部が銅及び不可避的不純物であるCu−Ni−Sn系銅合金の製造方法であって、
溶体化処理を行った溶体化処理材を用い、300℃以上500℃以下の温度範囲且つ30分以上24時間以下の範囲でピーク時効処理を行う第1時効処理工程と、
前記第1時効処理工程の後に加工率が60%を超え99%以下となるように冷間加工を行う時効間加工工程と、
前記時効間加工工程の後に300℃以上500℃以下の温度範囲で15分以上12時間以下の範囲で前記第1時効処理工程の時効処理よりも短時間の時効処理を行う第2時効処理工程と、を含み、
引張強さが1200MPa以上、0.2%耐力が1150MPa以上、マイクロビッカース硬さが400Hv以上、0.2%耐力の80%応力を200℃の雰囲気内で100時間負荷した後の応力緩和率が10%以下である銅合金を製造する、銅合金の製造方法。 - 前記冷間加工は、冷間圧延である、請求項1に記載の銅合金の製造方法。
- 3質量%以上25質量%以下のNiと、3質量%以上9質量%以下のSnと、0.05質量%以上0.5質量%以下のMnと、残部が銅及び不可避的不純物であるCu−Ni−Sn系銅合金であって、
引張強さが1200MPa以上、0.2%耐力が1150MPa以上、マイクロビッカース硬さが400Hv以上、0.2%耐力の80%応力を200℃の雰囲気内で100時間負荷した後の応力緩和率が10%以下である、銅合金。 - 転位密度が1.0×1015m-2以上である、請求項3に記載の銅合金。
- 降伏現象を示す、請求項3又は4に記載の銅合金。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013117634 | 2013-06-04 | ||
JP2013117634 | 2013-06-04 | ||
PCT/JP2014/064837 WO2014196563A1 (ja) | 2013-06-04 | 2014-06-04 | 銅合金の製造方法および銅合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2014196563A1 JPWO2014196563A1 (ja) | 2017-02-23 |
JP6380855B2 true JP6380855B2 (ja) | 2018-08-29 |
Family
ID=52008197
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015521469A Active JP6380855B2 (ja) | 2013-06-04 | 2014-06-04 | 銅合金の製造方法および銅合金 |
Country Status (6)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US10329654B2 (ja) |
EP (1) | EP3006588B1 (ja) |
JP (1) | JP6380855B2 (ja) |
KR (1) | KR102306527B1 (ja) |
CN (1) | CN105264105B (ja) |
WO (1) | WO2014196563A1 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6324431B2 (ja) * | 2016-03-31 | 2018-05-16 | 古河電気工業株式会社 | 銅合金板材および銅合金板材の製造方法 |
CN105714148B (zh) * | 2016-04-29 | 2017-10-20 | 华南理工大学 | 一种调幅分解型高强铜镍锡合金 |
CN109429497B (zh) * | 2017-06-22 | 2021-07-09 | 日本精线株式会社 | 弹簧用铜合金极细线及其制造方法 |
JP2019065361A (ja) * | 2017-10-03 | 2019-04-25 | Jx金属株式会社 | Cu−Ni−Sn系銅合金箔、伸銅品、電子機器部品およびオートフォーカスカメラモジュール |
CN109936036B (zh) * | 2017-12-15 | 2022-02-25 | 富士康(昆山)电脑接插件有限公司 | 改善端子正向力的方法 |
JP2022181803A (ja) * | 2021-05-27 | 2022-12-08 | 日本碍子株式会社 | 銅合金 |
TW202334447A (zh) * | 2021-10-12 | 2023-09-01 | 日商三菱綜合材料股份有限公司 | 銅合金、銅合金塑性加工材、電子電氣機器用零件、端子、匯流排、導線框 |
CN114351063B (zh) * | 2021-12-14 | 2022-11-18 | 华南理工大学 | 一种CuNiSn系合金棒材的短流程热处理方法 |
JP2023134291A (ja) * | 2022-03-14 | 2023-09-27 | Dowaメタルテック株式会社 | 銅-セラミックス接合基板およびその製造方法 |
CN115896539B (zh) * | 2022-12-28 | 2024-04-26 | 北冶功能材料(江苏)有限公司 | 一种超高强度、抗断裂铜镍锡合金箔材及其制造方法 |
Family Cites Families (25)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US3198499A (en) | 1961-08-11 | 1965-08-03 | Kaiser Aluminium Chem Corp | Method and apparatus for supporting and heat treating |
US3937638A (en) | 1972-10-10 | 1976-02-10 | Bell Telephone Laboratories, Incorporated | Method for treating copper-nickel-tin alloy compositions and products produced therefrom |
JPS5996254A (ja) | 1982-11-22 | 1984-06-02 | Mitsubishi Electric Corp | Cu−Ni−Sn合金条の製造方法 |
US4612167A (en) * | 1984-03-02 | 1986-09-16 | Hitachi Metals, Ltd. | Copper-base alloys for leadframes |
JPS63266055A (ja) | 1987-04-23 | 1988-11-02 | Mitsubishi Electric Corp | Cu−Ni−Sn合金の製造方法 |
JPH0637680B2 (ja) | 1987-06-15 | 1994-05-18 | 三菱電機株式会社 | 疲労特性に優れたCu−Ni−Sn合金 |
JPH0265965A (ja) | 1988-08-29 | 1990-03-06 | Mazda Motor Corp | ホーニング工具 |
JP2625965B2 (ja) | 1988-09-26 | 1997-07-02 | 三菱電機株式会社 | Cu−Ni−Sn合金の製造方法 |
JPH02225651A (ja) | 1988-11-15 | 1990-09-07 | Mitsubishi Electric Corp | 高強度Cu―Ni―Sn合金の製造方法 |
US5089057A (en) * | 1989-09-15 | 1992-02-18 | At&T Bell Laboratories | Method for treating copper-based alloys and articles produced therefrom |
JPH0637680A (ja) | 1992-07-13 | 1994-02-10 | Anzen Sakudo Kk | 索道の誘導無線装置 |
JP3511648B2 (ja) * | 1993-09-27 | 2004-03-29 | 三菱伸銅株式会社 | 高強度Cu合金薄板条の製造方法 |
US6716292B2 (en) * | 1995-06-07 | 2004-04-06 | Castech, Inc. | Unwrought continuous cast copper-nickel-tin spinodal alloy |
KR100787269B1 (ko) * | 2002-03-12 | 2007-12-21 | 후루카와 덴키 고교 가부시키가이샤 | 내응력완화특성에 뛰어난 고강도 고도전성 동합금선재의 제조방법 |
US20090183803A1 (en) * | 2007-12-21 | 2009-07-23 | Mutschler Ralph A | Copper-nickel-silicon alloys |
JP4837697B2 (ja) * | 2008-03-31 | 2011-12-14 | Jx日鉱日石金属株式会社 | 電子材料用Cu−Ni−Si−Co系銅合金及びその製造方法 |
JP5009849B2 (ja) * | 2008-03-31 | 2012-08-22 | 日本精線株式会社 | 高強度ばね用の銅合金線、及び該銅合金線を用いた銅合金ばね |
JP2009242895A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Nippon Mining & Metals Co Ltd | 曲げ加工性に優れた高強度銅合金 |
JP5961335B2 (ja) * | 2010-04-05 | 2016-08-02 | Dowaメタルテック株式会社 | 銅合金板材および電気・電子部品 |
JP5578991B2 (ja) * | 2010-08-27 | 2014-08-27 | 古河電気工業株式会社 | 高強度銅合金線材 |
CN102560191A (zh) * | 2010-12-09 | 2012-07-11 | 北京有色金属研究总院 | 一种高性能弹性铜合金及其制备和加工方法 |
US9845521B2 (en) * | 2010-12-13 | 2017-12-19 | Kobe Steel, Ltd. | Copper alloy |
US9666325B2 (en) * | 2011-03-31 | 2017-05-30 | Tohoku University | Copper alloy and method of manufacturing copper alloy |
CN102719699B (zh) * | 2012-07-03 | 2014-07-02 | 北京有色金属研究总院 | 一种高弹性低铍铜合金及其制备方法 |
US9487850B2 (en) | 2013-03-14 | 2016-11-08 | Materion Corporation | Ultra high strength copper-nickel-tin alloys |
-
2014
- 2014-06-04 JP JP2015521469A patent/JP6380855B2/ja active Active
- 2014-06-04 EP EP14807420.6A patent/EP3006588B1/en active Active
- 2014-06-04 WO PCT/JP2014/064837 patent/WO2014196563A1/ja active Application Filing
- 2014-06-04 KR KR1020157034363A patent/KR102306527B1/ko active IP Right Grant
- 2014-06-04 CN CN201480031814.XA patent/CN105264105B/zh active Active
-
2015
- 2015-12-01 US US14/955,318 patent/US10329654B2/en active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP3006588B1 (en) | 2018-07-18 |
KR102306527B1 (ko) | 2021-09-30 |
CN105264105A (zh) | 2016-01-20 |
WO2014196563A1 (ja) | 2014-12-11 |
EP3006588A4 (en) | 2016-12-28 |
JPWO2014196563A1 (ja) | 2017-02-23 |
CN105264105B (zh) | 2018-08-24 |
US20160083826A1 (en) | 2016-03-24 |
EP3006588A1 (en) | 2016-04-13 |
KR20160014635A (ko) | 2016-02-11 |
US10329654B2 (en) | 2019-06-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6380855B2 (ja) | 銅合金の製造方法および銅合金 | |
JP5961335B2 (ja) | 銅合金板材および電気・電子部品 | |
JP5158910B2 (ja) | 銅合金板材およびその製造方法 | |
TWI599666B (zh) | 高強度Cu-Ni-Co-Si系銅合金板材,及其製造方法,及導電性組件 | |
JP5479798B2 (ja) | 銅合金板材、銅合金板材の製造方法、および電気電子部品 | |
JP4191159B2 (ja) | プレス加工性に優れたチタン銅 | |
JP5156317B2 (ja) | 銅合金板材およびその製造法 | |
KR102302032B1 (ko) | 판 두께 방향으로 균일한 강도를 갖는 고강도 6000계 합금 후판 및 그 제조방법 | |
KR20140056003A (ko) | Cu-Ni-Co-Sⅰ계 구리 합금 판재 및 이의 제조법 | |
JP2008223136A (ja) | Cu−Ni−Si系銅合金板材およびその製造法 | |
JP6366298B2 (ja) | 高強度銅合金薄板材およびその製造方法 | |
JP5135496B2 (ja) | Cu−Be系銅合金板材およびその製造法 | |
JP2018141234A (ja) | マグネシウム合金及びマグネシウム合金の製造方法 | |
JP2019143206A (ja) | マグネシウム合金及びマグネシウム合金の製造方法 | |
JP7222899B2 (ja) | 銅-ニッケル-スズ合金の作製方法 | |
JP6629400B1 (ja) | 時効処理前のチタン銅板、プレス加工品およびプレス加工品の製造方法 | |
JP2004052008A (ja) | チタン銅合金材及びその製造方法 | |
JP2004124154A (ja) | マグネシウム基合金の圧延線材及びその製造方法 | |
CN113825851A (zh) | 镁合金板材、压制成形体以及镁合金板材的制造方法 | |
JP5595961B2 (ja) | 電子材料用Cu−Ni−Si系銅合金及びその製造方法 | |
JP2021066899A (ja) | チタン銅板、プレス加工品およびプレス加工品の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170112 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170112 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20170112 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180109 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180309 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180710 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180719 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6380855 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |