本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
1.構成
1−1.エレベータシステムの概要
実施の形態1におけるエレベータシステムの概要について説明する。図1は、実施の形態1におけるエレベータシステムが適用されるビル(建物)の特定階における機器配置を示す概略平面図である。特定階とは、例えば当該ビルの外部につながるロビー階であり、ビルの利用者は特定階を経由して他の階に移動することとなる。
本実施の形態に係るエレベータシステムは、複数台のエレベータ60A〜60Fと、エレベータ60A〜60Fの運行を統合的に制御する群管理システムとを含む。以下において、エレベータ60A〜60Fを適宜A号機〜F号機という。本実施の形態では、一例としてA号機からF号機の6台のエレベータ60A〜60Fが設けられている。各エレベータ60A〜60Fの乗車用開口がエレベータ乗場側に設けられており、利用者はエレベータ乗場からエレベータ60A〜60Fに乗車する。なお、複数台のエレベータ60A〜60Fは互いに同一の構成を有する。そのため、以下、エレベータ60A〜60Fを区別せずに「エレベータ60」という場合がある。
本実施の形態では、ビルのロビー階等の特定階に、複数台のセキュリティゲート20A〜20Cが配置されている。複数台のセキュリティゲート20A〜20Cは互いに同一の構成を有する。そのため、以下、セキュリティゲート20A〜20Cを区別せずに「セキュリティゲート20」という場合がある。利用者は、エントランス側からいずれかのセキュリティゲート20を通過して特定領域に進入する。
ビルにおいて、特定階のエントランス側からセキュリティゲート20を通過しないと入れない領域を、以下適宜「特定領域」という。特定領域には、エレベータ乗場や、各エレベータ60のかご内のスペースや、エレベータ60を利用して移動可能な各階床のスペースを含む。
特定階のエレベータ乗場の近傍には、行先階登録装置30Aが配置されている。
特定階以外の各階床のエレベータ乗場の近傍には、行先階登録装置30B〜30Z(図2参照)が配置されている。複数台の行先階登録装置30A〜30Zは互いに同一の構成を有する。そのため、以下、行先階登録装置30A〜30Zを区別せずに「行先階登録装置30」という場合がある。
本実施の形態におけるエレベータシステムでは、利用者がエレベータ60のかごに乗車する前にセキュリティゲート20や行先階登録装置30で行先階を予め登録する行先階登録方式を採用している。そして、群管理システムは、このように予め登録された行先階(行先階呼び)を、複数台のエレベータ60のうちのいずれかの号機に割り当てて、割り当てた号機を示す情報を利用者に報知し、割り当てた号機に利用者を乗車させるように構成されている。
また、本実施の形態におけるエレベータシステムでは、利用者は、行先階の登録を、ビル入館用のIDカード(ビル入館用のセキュリティ認証カード)やエレベータの利用条件変更用の利用条件変更カードを利用して行うことが可能に構成されている。なお、ビル入館用のIDカードは、エレベータ利用認証用のIDカードでもある。上記のビル入館用のIDカードや利用条件変更カードは、ICタグを内蔵し、ICタグに記録されている情報を例えば電磁的に非接触で読み取り可能なICカードにより構成されている。IDカードは第1の情報記録媒体の一例であり、利用条件変更カードは第2の情報記録媒体の一例である。
なお、特定階の行先階登録装置30Aは、特定領域に進入した利用者が、群管理システムにより指定されたエレベータ60に乗り遅れたとき、あるいはIDカードや利用条件変更カードに紐付けられている行先階以外の階床に移動するときなどに、エレベータ60を利用可能とするために設けられている。
1−2.エレベータシステムの構成
1−2−1.概要
図2は、実施の形態1におけるエレベータシステムの構成を示すブロック図である。エレベータシステムは、複数台のエレベータ60A〜60Fと、群管理システムと、セキュリティサーバ100を含む。エレベータの群管理システムは、群管理制御装置10と、複数台の行先階登録装置30A〜30Zと、複数台のエレベータ制御装置40A〜40Fと、複数台のゲート表示器70とを有する。ゲート表示器70は、セキュリティゲート20に配置されている。群管理制御装置10は、エレベータの運行を制御する運行制御装置の一例である。セキュリティサーバ100は、エレベータの呼び情報を出力する呼び情報出力装置の一例である。
群管理制御装置10は、セキュリティサーバ100及び行先階登録装置30との間で通信を行いながら、各号機に対する新規の行先階呼びの割当制御を行う。各装置間は、情報伝送可能なネットワークNWを介して接続されている。ネットワークNWは、例えばEthernet(登録商標)等のLAN(Local Area Network)により構成され、各装置間での各種の情報の送受信は、TCP/IP等の各種のプロトコルにしたがって行われる。ネットワークNW上に接続されている前述の各装置は、装置間において、各装置が有する入出力インタフェースにより、TCP/IP等の各種のプロトコルにしたがった通信による信号伝送(情報伝送)が可能である。なお、エレベータシステムを構成する各装置間は、他の信号形式のネットワークや、専用の信号網を介して接続されてもよい。
各エレベータ60(60A〜60F)は、かご、巻上機(モータ)、釣合おもり等を有する。
1−2−2.群管理制御装置
群管理制御装置10は、複数台のエレベータ60A〜60Fの運行を統合的に制御する。
群管理制御装置10は、コンピュータを利用して構成され、制御部11と、記憶部12と、入出力インタフェース13と、を備える。
記憶部12は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施の形態の群管理制御装置10の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
制御部11は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部11は、記憶部12から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、群管理制御装置10における後述する各種の機能を実現する。
入出力インタフェース13は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース13は、群管理制御装置10が、セキュリティサーバ100、セキュリティゲート20(20A〜20C)のゲート表示器70、行先階登録装置30(30A〜30Z)、及びエレベータ制御装置40(40A〜40F)との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース13は、制御部11から出力される信号を所定の形式の信号に変換してセキュリティサーバ100、セキュリティゲート20のゲート表示器70、行先階登録装置30、エレベータ制御装置40に出力する。また、入出力インタフェース13は、セキュリティサーバ100、セキュリティゲート20のゲート表示器70、行先階登録装置30、エレベータ制御装置40から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部11に出力する。
1−2−3.行先階登録装置
図3は、実施の形態1における行先階登録装置30の電気的構成を示すブロック図である。行先階登録装置30は、利用者が行先階の登録を行うための装置である。行先階登録装置30は、制御部31と、記憶部32と、第1入出力インタフェース33と、第2入出力インタフェース37と、表示部34と、操作部35と、リーダ36とを備える。
記憶部32は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施の形態の行先階登録装置30の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
制御部31は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部31は、記憶部32から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、行先階登録装置30における後述する各種の機能を実現する。
第1入出力インタフェース33は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。第1入出力インタフェース33は、行先階登録装置30が群管理制御装置10との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。第1入出力インタフェース33は、制御部31から出力された信号を所定の形式の信号に変換して群管理制御装置10に出力する。また、第1入出力インタフェース33は、群管理制御装置10から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部31に出力する。
第2入出力インタフェース37は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。第2入出力インタフェース37は、行先階登録装置30がセキュリティサーバ100との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。第2入出力インタフェース37は、制御部31から出力された信号を所定の形式の信号に変換してセキュリティサーバ100に出力する。
リーダ36は、ICカードのICタグに記録された情報を例えば電磁的に非接触で読み取り可能なリーダである。また、リーダ36は、同時またはほぼ同時に提示された(かざされた)複数枚のICカードの各々から、各々のICタグに記録された情報を取得できる。
リーダ36は、IDカードや利用条件変更カード等のICカードが提示されると、各ICカードからカードIDを取得する。カードIDは、媒体識別情報の一例である。リーダ36は、取得した各ICカードのカードIDを、第2入出力インタフェース37を介してセキュリティサーバ100に出力する。なお、このとき、リーダ36は、当該リーダ36の識別情報(以下「リーダ識別情報」という)をあわせてセキュリティサーバ100に送信する。
操作部35は、利用者による行先階登録装置30の操作を受け付けるインタフェースである。操作部35は、操作内容に応じた信号を制御部31に出力する。
表示部34は、制御部31から出力される表示信号に基づく画像等の表示を行う。
表示部34及び操作部35は、例えば液晶ディスプレイパネルや有機ELディスプレイパネルを利用したタッチパネル式表示装置により一体的に構成されてもよい。また、表示部34と操作部35は、表示部34に表示されているボタン等のオブジェクトを指定可能であれば、異なる部品を利用して別々に構成されてもよい。
1−2−4.エレベータ制御装置
エレベータ制御装置40A〜40Fは、エレベータ60A〜60Fに対応させて設けられ、群管理制御装置10からの制御信号にしたがって、対応するエレベータ60A〜60Fの巻上機(モータ)等の動作を制御することにより、エレベータ60A〜60Fのかごの上昇、下降、停止等を制御する。また、エレベータ制御装置40A〜40Fはそれぞれ、対応するエレベータ60A〜60Fのかごの位置、走行方向、ドアの開閉状態、荷重等を含むかご状態を検知して、検知したかご状態を示す情報等を群管理制御装置10に出力する。なお、複数台のエレベータ制御装置40A〜40Fは互いに同一の構成を有する。そのため、以下、各エレベータ制御装置を区別せずに「エレベータ制御装置40」という場合がある。
各エレベータ制御装置40(エレベータ制御装置40A〜40F)は、制御部、記憶部、入出力インタフェース等を有するコンピュータにより構成可能である。
1−2−5.セキュリティゲート
セキュリティゲート20は、ビル内部の特定領域への正規の利用者の進入を許可する一方、非正規の利用者の進入については規制する装置である。正規の利用者とは、利用者IDがカードデータベース(カードDB)に登録されている利用者であり、非正規の利用者とは、利用者IDがカードDBに登録されていない利用者である。正規の利用者は、ビル管理者により発行された、正規なカードIDを格納した正規なIDカードを有している。正規の利用者は、また、ビル管理者により発行または利用許可された、正規なカードIDを格納した正規な利用条件変更カードを有している。
図4は、実施の形態1におけるセキュリティゲート20の外観を示す斜視図である。なお、図4は、図1におけるセキュリティゲート20A(20)の例を示している。セキュリティゲート20は、ゲート本体20aと、第1センサ26と、第2センサ27と、リーダ25と、ゲート表示器70と、ゲートフラッパ28とを備える。
ゲート本体20aの外面には、上記の第1センサ26と、第2センサ27と、リーダ25と、ゲート表示器70とが取り付けられている。ゲート本体20aは、後述する制御部21等を収納する筐体である。ゲート本体20aは、それぞれ利用者の進入方向に沿うように、配置されている。ゲート本体20aは、隣接するセキュリティゲート20のゲート本体に対して所定距離離間させて配置され、ゲート本体20aの側方には、利用者が通過可能な通路PAが形成されている。
リーダ25は、ゲート本体20aの上面の入口20i側に配置されている。リーダ25は、セキュリティゲート20の通路PAに入口20i側から進入する利用者が提示したIDカードに格納されたカードID等の情報を取得する。リーダ25の構成については後述する。
ゲート表示器70は、群管理制御装置10が行先階を割り当てた号機(割当号機)の情報(以下適宜「割当号機情報」という)等を表示する。ゲート表示器70の詳細な構成については後述する。
第1センサ26は、セキュリティゲート20の通路PAの入口20i側における利用者の移動を検知する。第1センサ26及び第2センサ27は、利用者の移動を検知すると、検知信号を出力する。
第2センサ27は、セキュリティゲート20の通路PAの出口20e側における利用者の移動を検知する。第1センサ26及び第2センサ27は、利用者の移動を検知すると、検知信号を出力する。
ゲートフラッパ28は、開閉自在の扉である。ゲートフラッパ28は、開くことで、正規の利用者がセキュリティゲート20を通過することを可能とする。ゲートフラッパ28は、閉まることで、非正規の利用者がセキュリティゲート20を通過することを妨げる。なお、本実施の形態では、ゲートフラッパ28は、デフォルトで閉じられた状態(閉状態)にあり、正規の利用者を通過させるときに、開かれた状態(開状態)に制御されるものとする。
図5は、実施の形態1におけるセキュリティゲート20の電気的構成を示すブロック図である。セキュリティゲート20は、上述の構成要素に加えてさらに、制御部21と、記憶部22と、入出力インタフェース23とを備える。
記憶部22は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施の形態におけるセキュリティゲート20の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
制御部21は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部21は、記憶部22に格納されたプログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、セキュリティゲート20における後述する各種の機能を実現する。
制御部21は、第1センサ26及び第2センサ27からの検知信号、及びセキュリティサーバ100からのエラー信号等に基づいて、ゲートフラッパ28を開閉する。
入出力インタフェース23は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース23は、セキュリティゲート20が、セキュリティサーバ100との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース23は、制御部21から出力された信号を所定の形式の信号に変換してセキュリティサーバ100に出力する。また、入出力インタフェース23は、セキュリティサーバ100から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部21に出力する。
リーダ25は、行先階登録装置30のリーダ36と同構成のリーダにより構成される。
リーダ25は、IDカードや利用条件変更カードが提示されると、IDカードや利用条件変更カードの各々からカードIDを取得する。リーダ25は、取得した各カードのカードIDを、制御部21及び入出力インタフェース23を介してセキュリティサーバ100に出力する。なお、リーダ25は、カードIDとともに当該リーダ25のリーダ識別情報をセキュリティサーバ100に送信する。
1−2−6.ゲート表示器
ゲート表示器70は、セキュリティゲート20に設置される。ゲート表示器70は、セキュリティゲート20のリーダ25を介して登録された行先階呼びに対して群管理制御装置10が割り当てた割当号機の情報や、割当に関するその他の情報を表示する表示器である。ゲート表示器70はセキュリティゲート20に設置されるが、群管理制御装置10との間で割当号機の情報等を示す信号の授受を直接行う。なお、ゲート表示器70は、セキュリティゲート20の制御部21を介して、群管理制御装置10との間で信号の授受を行ってもよい。
1−2−7.セキュリティサーバ
セキュリティサーバ100は、セキュリティゲート20のリーダ25または行先階登録装置30のリーダ36でIDカードから取得されたカードIDに基づいてセキュリティ認証を行うとともに、セキュリティゲート20の開閉を制御する。また、セキュリティサーバ100は、利用者の行先階を複数台のエレベータ60のいずれかに割り当てるための割当依頼情報を生成して群管理制御装置10に出力する。割当依頼情報は、呼び情報の一例である。
図6は、実施の形態1におけるセキュリティサーバ100の電気的構成を示すブロック図である。セキュリティサーバ100の制御部101は、コンピュータを利用して構成され、制御部101と、記憶部102と、入出力インタフェース103と、を備える。
記憶部102は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施の形態のセキュリティサーバ100の後述する各種機能を実現するためのプログラムを含む。記憶部102は、データとして、カードデータベース(以下「カードDB」という)を格納している。カードDBの構成については後述する。
また、記憶部102は、データとして、複数台のリーダ25、またはリーダ36の各リーダ識別情報に紐付けて、各リーダの設置階を示す設置階情報と、各リーダが設置されている登録装置(セキュリティゲート20及び行先階登録装置30)の登録装置識別情報とを記録したリーダ情報テーブルを格納している。
設置階情報が示す設置階は、リーダ25、またはリーダ36にIDカードを提示した利用者の出発階として利用される。例えば、制御部101は、複数台のリーダ25、またはリーダ36のいずれかにIDカードのみが提示された場合、当該リーダから出力されるリーダ識別情報に基づいて、リーダ情報テーブルを参照して、当該リーダに対応する設置階情報と登録装置識別情報とを読み出し、割当依頼情報における利用者の出発階と登録装置識別情報として利用する。
登録装置識別情報は、複数の登録装置(セキュリティゲート20及び行先階登録装置30)を群管理制御装置10において区別して認識させるための識別情報であり、全登録装置に対してユニークな情報である。なお、登録装置識別情報は、階床毎にユニークな情報であってもよく、この場合、設置階情報との組み合わせにより、複数の登録装置をユニークに識別することができる。以下では、登録装置識別情報が、全登録装置に対してユニークな情報であるものとして説明する。
制御部101は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部101は、記憶部102から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、セキュリティサーバ100における後述する各種の機能を実現する。
入出力インタフェース103は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース103は、セキュリティサーバ100が、リーダ36、群管理制御装置10、及びセキュリティゲート20との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース103は、制御部101から出力された信号を所定の形式の信号に変換して群管理制御装置10、リーダ36、及びセキュリティゲート20に出力する。また、入出力インタフェース103は、リーダ36、群管理制御装置10、行先階登録装置30、及びセキュリティゲート20から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部101に出力する。
図7は、実施の形態1におけるセキュリティサーバ100の記憶部102に格納されているカードDBの構成を示す図である。カードDBは、カードIDに紐付けて、カード種類と、行先階と、利用者属性と、利用者IDとを格納している。行先階及び利用者属性は、利用者のエレベータ利用に関するエレベータ利用情報の一例である。本実施の形態及び実施の形態2では、エレベータ利用情報が行先階及び利用者属性の2個の項目を有する例を示している。エレベータ利用情報のカードDBへの登録は例えばビル管理者により行われる。
「カードID」は、利用されるカード毎に一意に設定された、カードを識別するための情報である。
「カード種類」は、カードの種類を示す情報であり、セキュリティ認証用のIDカードについては“IDカード”と登録され、エレベータの利用条件変更用の利用条件変更カードについては“利用条件変更カード”と登録される。IDカードは、前述のように、エレベータの利用認証用のIDカードでもある。
「行先階」は、利用者の行先階を示す情報である。IDカードのカードIDに対応する行先階としては、例えば、利用者が入居している階床が設定される。利用条件変更カードのカードIDに対応する行先階としては、例えば、当該利用者の利用が許可される階床のうち予め申告登録した階床が登録される。利用者の利用が許可される階床は、例えばレストランやコンビニエンスストア等の店舗がある店舗階や、会議室階である。なお、後述する実施の形態2では 「カード種類」が“利用条件変更カード”である場合、「行先階」の項目の内容は登録されず空欄である場合がある。ここで、「行先階」の項目の内容が空欄でないことは、エレベータ利用情報に含まれる「行先階」の項目の内容が登録されていることに相当し、「行先階」の項目の内容が空欄であることは、エレベータ利用情報に含まれる「行先階」の内容が登録されていないことに相当する。
「利用者属性」は、利用者の属性を示す情報である。「利用者属性」は、例えば、VIP(Very Important Person)については “VIP”と登録され、VIPに該当しない通常利用者については“通常”と登録される。なお、実施の形態1では、「カード種類」が“利用条件変更カード”である場合、「利用者属性」の項目の内容は登録されず空欄である。また、実施の形態2では、「カード種類」が“利用条件変更カード”である場合、「利用者属性」の項目の内容は登録されず空欄である場合がある。ここで、「利用者属性」の項目の内容が空欄でないことは、エレベータ利用情報に含まれる「利用者属性」の項目の内容が登録されていることに相当し、「利用者属性」の項目の内容が空欄であることは、エレベータ利用情報に含まれる「利用者属性」の項目の内容が登録されていないことに相当する。
「利用者ID」は、ビルの利用者毎に一意に設定された、利用者を識別するための情報である。利用者IDは、例えばビル管理者によって設定される。なお、図7のカードDBでは利用者IDは3桁で示されているが、それ以上の桁数、例えば16桁としてもよい。また、利用者IDは文字や記号を含んでもよい。
図7に示す例では、カードID“001”に紐付けて、カード種類、行先階、利用者属性、及び利用者IDとして、“IDカード”、“10”、“通常”、及び“001”が登録されている。また、カードID“101”に紐付けて、カード種類、行先階、及び利用者IDとして“利用条件変更カード”、“12”、及び“001”が登録されているが、利用者属性の内容については登録されず空欄となっている。これらのカードの利用者IDは同一であるが、これは、これらのカードの利用者(所持者)が同一であることを示す。
カードID“002”に紐付けて、カード種類、行先階、利用者属性、及び利用者IDとして、“IDカード”、“4”、“通常”、及び“002”が登録されている。また、カードID“102”に紐付けて、カード種類、行先階、及び利用者IDとして“利用条件変更カード”、“12”、及び“002”が登録されているが、利用者属性の内容については登録されず空欄となっている。これらのカードの利用者IDは同一であるが、これは、これらのカードの利用者(所持者)が同一であることを示す。
カードID“003”に紐付けて、カード種類、行先階、利用者属性、及び利用者IDとして、“IDカード”、“8”、“VIP”、及び“003”が登録されている。また、カードID“113”に紐付けて、カード種類、行先階、及び利用者IDとして“利用条件変更カード”、“9”、及び“003”が登録されているが、利用者属性の内容については登録されず空欄となっている。これらのカードの利用者IDは同一であるが、これは、これらのカードの利用者(所持者)が同一であることを示す。
なお、図7には示していないが、上記以外の利用者が所有するIDカード及び利用条件変更カードについても同様に、各カードのカードIDに紐付けて、カード種類の内容と、行先階の内容と、利用者属性の内容と、及び利用者IDの内容が登録されている。
2.動作
2−1−1.セキュリティゲートのゲートフラッパの開閉制御
セキュリティゲート20のゲートフラッパ28の開閉制御について時系列的に説明する。ゲートフラッパ28は閉状態をデフォルトとする。利用者が、少なくともIDカードをリーダ25に提示しながらセキュリティゲート20に進入すると、リーダ25で、提示されたカードからカードIDが読み取られ(取得され)、リーダ25からセキュリティサーバ100にカードIDが送信される。このとき、リーダ25から当該リーダ25のリーダ識別情報も送信される。受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれている場合、セキュリティサーバ100の制御部101は、エラー信号を送信しない。この場合、セキュリティゲート20の制御部21は、ゲートフラッパ28を開状態に制御する。これにより、カードを提示した利用者は、セキュリティゲート20を通過することができる。
一方、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれていない場合、セキュリティサーバ100は、エラー信号を、リーダ識別情報が示すリーダ25が配備されたセキュリティゲート20に送信する。この場合、セキュリティゲート20の制御部21は、ゲートフラッパ28を閉状態で維持する。非正規の利用者がセキュリティゲート20を通過するのを阻止するためである。
これに対し、セキュリティゲート20のリーダ25から全くカードIDを受信していないにもかかわらず、第1センサ26からの信号を受信した場合、当該セキュリティゲート20の制御部21は、ゲートフラッパ28を閉状態で維持する。非正規の利用者がセキュリティゲート20を通過するのを阻止するためである。
このように、正規の利用者は特定領域に進入することができるが、非正規の利用者は特定領域に進入できない。よって、ビル内のセキュリティが確保される。
2−1−2.号機割当制御等
2−1−2−1.セキュリティゲートのリーダにカードが提示されたとき
利用者が、リーダ25にカードを提示しながらセキュリティゲート20に進入すると、リーダ25で、提示されたカードからカードIDが読み取られ、リーダ25からセキュリティサーバ100にカードIDが送信される。このとき、リーダ25から当該リーダ25のリーダ識別情報も送信される。セキュリティサーバ100は、これらの情報に基づいて、以下のいずれかの制御を行う。
(1)リーダ25、またはリーダ36から受信したカードIDが1個だけであり、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれている場合
セキュリティサーバ100は、カードDBでIDカードのカードIDに紐付けて登録されている行先階及び利用者属性(エレベータ利用情報)を読み出す。セキュリティサーバ100は、リーダ25、またはリーダ36から受信したリーダ識別情報に紐付けてリーダ情報テーブルで格納されている設置階及び登録装置識別情報を読み出す。ここで、設置階は、前述のように利用者の出発階でもある。そして、セキュリティサーバ100は、読み出した出発階(設置階)、行先階、利用者属性、及び登録装置識別情報を含む割当依頼情報(呼び情報)を生成して群管理制御装置10に送信する。
(2)リーダ25、またはリーダ36から受信したカードIDが2個であり、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものと、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものとが含まれており、かつIDカードの利用者IDと利用条件変更カードの利用者IDとが一致する場合
セキュリティサーバ100は、カードDBでIDカードのカードIDに紐付けて格納されている利用者属性と、カードDBで利用条件変更カードのカードIDに紐付けて格納されている行先階とを読み出す。また、セキュリティサーバ100は、リーダ25、またはリーダ36から受信したリーダ識別情報にリーダ情報テーブルで紐付けて格納されている設置階と登録装置識別情報とを読み出す。そして、セキュリティサーバ100は、読み出した出発階(設置階)、行先階、利用者属性、及び登録装置識別情報を含む割当依頼情報を生成して群管理制御装置10に送信する。つまり、セキュリティサーバ100は、1個のIDカードのカードIDに紐付けられているエレベータ利用情報で登録されている内容を、1個の利用条件変更カードのカードIDに紐付けられているエレベータ利用情報で登録されている内容で置き換えた情報に基づいて呼び情報を生成して運行制御装置10に出力している。
(3)リーダ25、またはリーダ36から受信したカードIDが2個であり、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものと、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものとが含まれているが、IDカードの利用者IDと利用条件変更カードの利用者IDとが一致しない場合
この場合、セキュリティサーバ100は、利用条件変更カードの存在は無視し、(1)の場合と同じ制御を行う。このとき、利用条件変更カードの使用を無効としたことを利用者に認識させるために、例えば「利用条件変更は無効です。通常通りの行先階を登録します」という案内をゲート表示器70で行なったり、音声で行ったりしてもよい。
ここで、IDカードの利用者IDと利用条件変更カードの利用者IDとが一致しない場合に利用条件変更カードの存在を無視するのは、今回利用された利用条件変更カードが他人の紛失したものである可能性があり、無視せずに許可すると、例えば他人のみに許可されている階床に入ることができるようになるためである。本実施の形態のように、IDカードの利用者IDと利用条件変更カードの利用者IDとが一致しない場合には、このような利用条件変更カードを無視することで、カードを紛失したような場合でも、各階床のセキュリティを適切に守ることができる。
(4)リーダ25、またはリーダ36から受信したカードIDが2個であり、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれているが、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものが含まれていない場合
この場合、利用条件変更カードが正規でないカードである可能性があるため、セキュリティサーバ100は、利用条件変更カードの存在は無視し、(1)の場合と同じ制御を行う。
(5)リーダ25、またはリーダ36からカードIDを受信したが、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれていない場合
この場合、利用条件変更カードのみが提示されたり、IDカードでも利用条件変更カードでもないカードが提示されたり、正規でないIDカードが提示されたりしたようなことが考えられる。このような場合、セキュリティサーバ100は、割当依頼情報の生成動作を行わない。
群管理制御装置10は、セキュリティサーバ100から割当依頼情報を受信した場合、受信した割当依頼情報(呼び情報)に基づいて割当号機を決定し、決定した割当号機を示す割当号機情報を、割当依頼情報に含まれる登録装置識別情報が示す登録装置(セキュリティゲート20のゲート表示器70、行先階登録装置30)に送信する。なお、群管理制御装置10は、記憶部12に、登録装置識別情報に紐付けて各登録装置(セキュリティゲート20のゲート表示器70または行先階登録装置30)の送信先情報を記録した送信先情報テーブルを格納しており、当該送信先情報テーブルを参照することで、割当依頼情報に含まれる登録装置識別情報が示す登録装置(セキュリティゲート20のゲート表示器70または行先階登録装置30)に割当号機情報を送信することができる。
割当号機の決定において、群管理制御装置10は、出発階、行先階の情報だけでなく、利用者属性も考慮する。例えば、利用者属性が後述する“VIP”であるときは、群管理制御装置10は、複数台のエレベータのうちのいずれかをVIP専用に割り当てる。
ゲート表示器70は、群管理制御装置10から割当号機情報を受信すると、割当号機の情報を表示する。
2−1−2−2.行先階登録装置のリーダにカードが提示されたとき
行先階登録装置30のリーダ36にカードが提示されたとき、セキュリティサーバ100及び群管理制御装置10は、セキュリティゲート20のリーダ25にIDカードや利用条件変更カードが提示されたときと同様の動作を行う。
行先階登録装置30は、群管理制御装置10から割当号機情報を受信すると、表示部34に割当号機の情報を表示する。
2−1−2−3.IDカード及び利用条件変更カードの利用例
図7を参照してIDカード及び利用条件変更カードの利用例について説明する。
利用者ID“001”の利用者が、例えば、自己の執務室のある10階に向かうときには、カードID“001”のIDカードのみをセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“001”に紐付けられた行先階“10”と利用者属性“通常”に基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、利用者は、自己の執務室のある行先階“10” まで通常利用者として乗車可能となる。
また、当該利用者ID“001”の利用者が、例えば、店舗のある12階に向かうときには、カードID“001”のIDカードとカードID“101”の利用条件変更カードを重ねてセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“101”に紐付けられた行先階“12”とカードID“001”に紐付けられた利用者属性“通常”に基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、利用者は、店舗のある行先階“12”まで通常利用者として乗車可能となる。
利用者ID“002”の利用者が、例えば、自己の執務室のある4階に向かうときには、カードID“002”のIDカードのみをセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“002”に紐付けられた行先階“4”と利用者属性“通常”に基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、利用者は、自己の執務室のある行先階“4” まで通常利用者として乗車可能となる。
また、当該利用者ID“002”の利用者が、例えば、店舗のある12階に向かうときには、カードID“002”のIDカードとカードID“102”の利用条件変更カードを重ねてセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“102”に紐付けられた行先階“12”とカードID“002”に紐付けられた利用者属性“通常”に基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、利用者は、店舗のある行先階“12” まで通常利用者として乗車可能となる。
利用者ID“003”の利用者が例えばVIP待遇の取締役である場合に、当該利用者が、例えば自己の執務室のある8階に向かうときには、カードID“003”のIDカードのみをセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“003”に紐付けられた行先階“8”と利用者属性“VIP”に基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、利用者は、自己の執務室のある行先階“8”に向かうエレベータにVIP待遇(専用運転)で乗車可能となる。
また、当該利用者ID“003”の利用者が、例えば、会議室のある9階に向かうときには、カードID“003”のIDカードとカードID“113”の利用条件変更カードを重ねてセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“113”に紐付けられた行先階“9”とカードID“003”に紐付けられた利用者属性“VIP”に基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、利用者は、会議室のある行先階“9” までVIP待遇(専用運転)で乗車可能となる。
このように、IDカードのみを提示するか、IDカードと利用条件変更カードを重ねて提示するかに応じて、行先階を容易に変更できる。
他の利用者等についても同様に、IDカードのみを提示するか、IDカードと利用条件変更カードとを重ねて提示するかに応じて、行先階を容易に変更できる。
2−1−3.エレベータシステムの具体的動作
エレベータシステムの具体的動作についてフローチャートを参照して説明する。
2−1−3−1.セキュリティサーバの動作
図8は、実施の形態1におけるセキュリティサーバ100の動作を説明するフローチャートである。
セキュリティサーバ100の制御部101は、リーダ25から1つ以上のカードIDを受信したか否かを判断する(S11)。
1つ以上のカードIDを受信していない場合(S11でNO)、セキュリティサーバ100の制御部101は、本ステップS11の判断を再度実行する。
1つ以上のカードIDを受信した場合(S11でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれているか否かを判断する(S12)。
受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれていない場合(S12でNO)、セキュリティサーバ100の制御部101は、ステップS11の判断に戻る。
受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれている場合(S12でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものが含まれているか否かを判断する(S13)。
受信したカードIDの中に、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものが含まれていない場合(S13でNO)、セキュリティサーバ100の制御部101は、受信したIDカードのカードIDにカードDBで紐付けてられている行先階及び利用者属性と、リーダ25のリーダ識別情報に紐づけられている出発階及び登録装置識別情報とを含む割当依頼情報を生成して群管理制御装置10に送信する(S14)。受信したIDカードのカードIDにカードDBで紐付けてられている行先階及び利用者属性は、カードDBを参照することで取得することができる。また、リーダ25のリーダ識別情報に紐づけられている出発階(設置階)及び登録装置識別情報は、リーダ情報テーブルを参照することで取得できる。
受信したカードIDの中に、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものが含まれている場合(S13でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、受信したIDカードの利用者IDと、受信した利用条件変更カードの利用者IDとが一致するか否かを判断する(S15)。
受信したIDカードの利用者IDと、受信した利用条件変更カードの利用者IDとが一致しない場合(S15でNO)、セキュリティサーバ100の制御部101は、前述したステップS14の処理を実行する。
受信したIDカードの利用者IDと、受信した利用条件変更カードの利用者IDとが一致する場合(S15でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、受信した利用条件変更カードのカードIDにカードDBで紐付けてられている行先階と、受信したIDカードのカードIDにカードDBで紐付けてられている利用者属性と、リーダ25のリーダ識別情報にリーダ情報テーブルで紐づけられている出発階及び登録装置識別情報とを含む割当依頼情報を生成して群管理制御装置10に送信する(S16)。受信した利用条件変更カードのカードIDにカードDBで紐付けてられている行先階及び利用者属性は、カードDBを参照することで取得することができる。また、リーダ25のリーダ識別情報に紐づけられている出発階及び登録装置識別情報は、リーダ情報テーブルを参照することで取得できる。
2−1−3−2.群管理制御装置の動作
図9は、実施の形態1における群管理制御装置10の動作を説明するフローチャートである。
群管理制御装置10の制御部11は、セキュリティサーバ100から割当依頼情報を受信したか否かを判断する(S21)。
受信していない場合(S21でNO)、群管理制御装置10の制御部11は、ステップS21の処理を再度実行する。
受信した場合(S21でYES)、群管理制御装置10の制御部11は、割当依頼情報が示す出発階及び行先階に対して最適な号機を選択し、選択した号機を割当号機として決定する(S22)。
最適な号機の選択は例えば以下のように行われる。群管理制御装置10の制御部11は、まず、各エレベータの運行情報に基づいて、行先階呼びに係る行先階を割り当てるべきエレベータ(割当号機)を選択するための評価値を、エレベータ(号機)毎に算出する。ここで、各エレベータの運行情報は、例えば、各エレベータのかご状態(かごの位置、走行方向、ドアの開閉状態、荷重等を含む)、予測される待ち時間(行先階呼びが発生してから割当号機が出発階に到着するまでの時間)、予測されるサービス完了時間(行先階呼びが発生してから割当号機が行先階に到着するまでの時間)、かごの予定される停止回数(サービス完了までの間に予定されるエレベータの停止回数)などを示す情報を含む。上記評価値の算出後、群管理制御装置10は、エレベータ60A〜60Fのうちから例えば最も小さい評価値を有するエレベータを最適な号機として選択し、行先階を、選択したエレベータに割り当てる。なお、群管理制御装置10は、この方法以外の他の方法を用いて行先階をいずれかのエレベータに割り当ててもよい。
割当号機を決定すると、群管理制御装置10の制御部11は、決定した割当号機を示す割当号機情報を、割当依頼情報に含まれる出発階及び登録装置識別情報が示す、セキュリティゲート20のゲート表示器70または行先階登録装置30に送信する(S23)。これにより、ゲート表示器70または行先階登録装置30の表示部34において、割当号機名等が表示される。
3.本実施の形態の作用
従来においては、IDカードを利用してエレベータ乗場内に進入した利用者が、IDカードに紐付けられているデフォルトの行先階以外の階床に行くためには、エレベータ乗場内の行先階登録装置30の操作部35を操作して所望の行先階を入力し、号機の割当てを再度受ける必要があった。そのため、利用者にとっては、行先階登録装置30での行先階の入力操作の手間が増加していた。特に、デフォルトの行先階以外の階床に行く機会が多い利用者(例えばデフォルトの行先階以外の階床にあるカフェテリア、コンビニエンスストア等の店舗や、更衣室等に立ち寄ってから所定行先階の事務所に向かう利用者)にとっては、利便性が悪かった。また、セキュリティゲート20の通過時にデフォルトの行先階に対して割り当てた呼びが無駄呼びとなることで、エレベータシステムにおいて運行効率の悪化が生じていた。
しかし、実施の形態1のエレベータシステムによれば、デフォルトの行先階以外の所望の行先階を予め利用条件変更カードに紐付けて登録しておくことで、登録IDカードと利用条件変更カードとを重ねてセキュリティゲート20のリーダ25に提示するだけで、セキュリティゲート20を通過し、かつデフォルトの行先階に代えて所望の行先階を登録できる。そのため、利用者は、行先階登録装置30で行先階の再入力を行うことなく、デフォルトの行先階以外の所望の行先階が割り当てられたエレベータに乗車することができ、エレベータの利用者の利便性が向上する。また、無駄呼びの発生が抑制されることで、従来と比べ、エレベータシステムにおける運行効率が向上する。
(実施の形態2)
1.構成
実施の形態2のエレベータシステムについて説明する。実施の形態1では、1枚または2枚のカードをリーダ25、またはリーダ36に提示して利用可能なエレベータシステムについて説明した。実施の形態2では、3枚のカードをリーダ25、またはリーダ36に提示して利用可能なエレベータシステムについて説明する。
実施の形態2では、セキュリティゲート20及び行先階登録装置30におけるリーダ25、またはリーダ36として、重ねられた3枚のカードに記録されている情報の各々を一度に読み取り可能なリーダが設けられる。それ以外のハードウェアは実施の形態1と同じでよい。
図10は、実施の形態2におけるセキュリティサーバ100の記憶部102に格納されているカードDBの構成を示す図である。図10のカードDBにおけるエレベータ利用情報の項目は、実施の形態1における図7のカードDBにおけるエレベータ利用情報の項目と同じである。なお、カードID“004”、“104”、“114”、“124” 、“134”のカードを追加で示している。
カードID“004”に紐付けて、カード種類、行先階、利用者属性、及び利用者IDとして、“IDカード”、“16”、“通常”、及び“004”が登録されている。また、カードID“104”に紐付けて、カード種類、行先階、及び利用者IDとして、“利用条件変更カード”、“24”、“VIP”、及び“004”が登録されている。また、カードID“114”に紐付けて、カード種類、行先階、及び利用者IDとして、“利用条件変更カード”、“20”、“VIP”、及び“004”が登録されている。また、カードID“124”に紐付けて、カード種類、利用者属性、及び利用者IDとして、“利用条件変更カード”、“VIP”、及び“004”が登録されているが、行先階については登録されず空欄となっている。また、カードID“134”に紐付けて、カード種類、利用者属性、及び利用者IDとして、“利用条件変更カード”、“12”、及び“004”が登録されているが、利用者属性については登録されず空欄となっている。これらのカードの利用者IDは同一であり、これは、これらのカードの利用者(所持者)が同一であることを示す。
2.動作
2−1−1.セキュリティゲートのゲートフラッパの開閉制御
実施の形態1で説明した制御と同じ制御が行われる。そのため説明は省略する。
2−1−2.号機割当制御等
2−1−2−1.セキュリティゲートのリーダにカードが提示されたとき
利用者が、リーダ25にカードを提示しながらセキュリティゲート20に進入すると、リーダ25で、提示されたカードからカードIDが読み取られ、リーダ25からセキュリティサーバ100にカードIDが送信される。このとき、リーダ25から当該リーダ25のリーダ識別情報も送信される。セキュリティサーバ100は、これらの情報に基づいて、以下のいずれかの制御を行う。
(1)リーダ25、またはリーダ36から受信したカードIDが1個だけであり、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれている場合
セキュリティサーバ100は、実施の形態1同様の動作を行う。つまり、セキュリティサーバ100は、カードDBでIDカードのカードIDに紐付けて格納されている行先階及び利用者属性(エレベータ利用情報)を読み出す。セキュリティサーバ100は、リーダ25から受信したリーダ識別情報に紐付けてリーダ情報テーブルで格納されている設置階及び登録装置識別情報を読み出す。ここで、設置階は、前述のように利用者の出発階でもある。セキュリティサーバ100は、読み出した出発階(設置階)、行先階、利用者属性、及び登録装置識別情報を含む割当依頼情報(呼び情報)を生成して群管理制御装置10に送信する。
(2)リーダ25、またはリーダ36から受信したカードIDが2個以上であり、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものと、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものとが含まれており、かつIDカードの利用者IDと利用条件変更カードの利用者IDとが一致する場合
セキュリティサーバ100は、カードDBでIDカードのカードIDに紐付けて格納されている行先階及び利用者属性の情報を読み出す。また、セキュリティサーバ100は、各利用条件変更カードについて、利用条件変更カードのカードIDに紐付けてカードDBで格納されている行先階及び/または利用者属性の情報を読み出す。また、セキュリティサーバ100は、リーダ25、またはリーダ36から受信したリーダ識別情報にリーダ情報テーブルで紐付けて格納されている設置階の情報と登録装置識別情報とを読み出す。
セキュリティサーバ100は、IDカードのカードIDに紐付けて格納されている行先階及び利用者属性のうち、提示された1個以上の利用条件変更カードのカードIDに各々紐付けてカードDBで格納されている行先階及び/または利用者属性については、利用条件変更カード側の情報で置き換えて、出発階(設置階)、行先階、利用者属性、及び登録装置識別情報を含む割当依頼情報を生成する。そして、セキュリティサーバ100は、生成した割当依頼情報を群管理制御装置10に送信する。つまり、セキュリティサーバ100は、1個のIDカードのカードIDに紐付けられているエレベータ利用情報で登録されている内容を、1個以上の利用条件変更カードのカードIDに各々紐付けられているエレベータ利用情報で登録されている内容で置き換えた情報に基づいて呼び情報を生成して運行制御装置10に出力している。
(3)リーダ25、またはリーダ36から受信したカードIDが2個以上であり、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものと、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものとが含まれているが、IDカードの利用者IDと少なくとも1枚の利用条件変更カードの利用者IDとが一致しない場合
利用者IDが一致しない利用条件変更カードは、他人のカードである可能性があるため、セキュリティサーバ100は、当該利用条件変更カードの存在は無視する。その結果、利用者IDが一致する利用条件変更カードが存在しなくなる場合は(1)の場合と同じ制御を行い、利用者IDが一致する利用条件変更カードが残る場合は(2)の場合と同じ制御を行う。なお、利用条件変更カードの使用を無効とした旨、表示や音声により利用者に案内を行ってもよい。
(4)リーダ25、またはリーダ36から受信したカードIDが2個以上であり、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれているが、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものが含まれていない場合
セキュリティサーバ100は、実施の形態1同様の動作を行う。つまり、セキュリティサーバ100は、利用条件変更カードの存在は無視し、(1)の場合と同じ制御を行う。
(5)リーダ25、またはリーダ36からカードIDを受信したが、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれていない場合
セキュリティサーバ100は、実施の形態1同様の動作を行う。つまり、利用条件変更カードのみが提示されたり、正規でないIDカードが提示されたり、全く用途の違うカードが提示されたりしたようなことが考えられる。このような場合、セキュリティサーバ100は、割当依頼情報の生成動作を行わない。
2−1−2−2.行先階登録装置のリーダにカードが提示されたとき
行先階登録装置30のリーダ36にカードが提示されたとき、セキュリティサーバ100及び群管理制御装置10は、セキュリティゲート20のリーダ25にカードが提示されたときと同様の動作を行う。
行先階登録装置30は、群管理制御装置10から割当号機情報を受信すると、表示部34に割当号機の情報を表示する。
2−1−2−3.IDカード及び利用条件変更カードの利用例
図10を参照してIDカード及び利用条件変更カードの利用例について説明する。
図10において、利用者ID“001”の利用者、利用者ID“002”の利用者、利用者ID“003”の利用者についてはカードDBで同じ内容が登録されており、IDカードのみが提示された場合と、IDカードと利用条件変更カードとが重ねて提示された場合とのいずれにおいても、実施の形態1と同様となる。なお、これらの利用者がさらに他人のカード等を重ねて提示した場合には、利用者IDが一致しないため、その他人のカードについては無視され、結果的に2枚の有効なカードに基づいて制御が行われ、実施の形態1と同様の結果が得られる。
利用者ID“004の利用者について説明する。例えば、利用者ID“004の利用者が例えば社長秘書である場合に、当該利用者(ここでの説明では以下「社長秘書」という)が社長室のある24階まで社長を伴って乗車するときには、カードID“004” のIDカードとカードID“104”の利用条件変更カードを重ねてセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“104” の利用条件変更カードに紐付けられた行先階“24”及び利用者属性“VIP” に基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、社長秘書及び社長は、24階までVIP待遇(専用運転)で乗車可能となる。また、社長秘書による操作により社長に対して24階までVIP待遇(専用運転)のサービスを提供することが可能となる。
また、この社長秘書が例えば会議室のある20階まで社長やお客様を伴って乗車するときには、カードID“004” のIDカードとカードID“114”の利用条件変更カードを重ねてセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“114” の利用条件変更カードに紐付けられた行先階“20”及び利用者属性“VIP” に基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、社長秘書及び社長やお客様は、20階までVIP待遇(専用運転)で乗車可能となる。これにより、社長秘書による操作により社長やお客様に対して例えば会議室のある20階までVIP待遇(専用運転)のサービスを提供することが可能となる。
また、社長秘書が自己の執務室のある16階まで社長やお客様を伴わずに乗車するときには、カードID“004”のIDカードのみをセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“004”に紐付けられた行先階“16”及び利用者属性“通常”に基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、社長秘書は、自己の執務室のある16階まで通常利用者として乗車可能となる。
また、社長秘書が自己の執務室のある16階まで社長を伴って乗車するときには、カードID“004” のIDカードとカードID“124”の利用条件変更カードを重ねてセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“004”に紐付けられた行先階“16”と、カードID“124” の利用条件変更カードに紐付けられた利用者属性“VIP”に基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、社長秘書及び社長は、社長秘書の執務室のある16階までVIP待遇(専用運転)で乗車可能となる。これにより、社長秘書による操作により社長秘書の執務室のある16階まで社長に対してVIP待遇(専用運転)のサービスを提供することが可能となる。
また、社長秘書が店舗のある行先階“12”に社長やお客様を伴わずに乗車するときには、カードID“004” のIDカードとカードID“134”の利用条件変更カードを重ねてセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“134” の利用条件変更カードに紐付けられた行先階“12”と、カードID“004” のIDカードに紐付けられた利用者属性“通常”とに基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、社長秘書は、店舗のある12階まで通常利用者として乗車可能となる。
また、社長秘書が店舗のある行先階“12”に社長を伴って乗車するときには、カードID“004” のIDカードと、カードID“124”の利用条件変更カードと、カードID“134”の利用条件変更カードとの3枚を重ねてセキュリティゲート20のリーダ25に提示する。この場合、セキュリティサーバ100は、カードID“124” の利用条件変更カードに紐付けられた行先階“12”と、カードID“134” の利用条件変更カードに紐付けられた利用者属性“VIP”に基づいて、割当依頼情報を生成し、群管理制御装置10に送信する。そして、群管理制御装置10は、この割当依頼情報に基づいて割当号機の決定を行う。そのため、社長秘書及び社長は、店舗のある12階までVIP待遇(専用運転)で乗車可能となる。これにより、社長秘書による操作により店舗のある12階まで社長に対してVIP待遇(専用運転)のサービスを提供することが可能となる。
2−1−3.エレベータシステムの具体的動作
実施の形態2におけるエレベータシステムの具体的動作についてフローチャートを参照して説明する。
2−1−3−1.セキュリティサーバの動作
図11は、実施の形態2におけるセキュリティサーバ100の動作を説明するフローチャートである。なお、ステップS31〜S34では、実施の形態1の図8のステップS11〜S14と同じ処理が行われる。
すなわち、セキュリティサーバ100の制御部101は、リーダ25から1つ以上のカードIDを受信したか否かを判断する(S31)。
1つ以上のカードIDを受信していない場合(S31でNO)、セキュリティサーバ100の制御部101は、本ステップS31の判断を再度実行する。
1つ以上のカードIDを受信した場合(S31でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれているか否かを判断する(S32)。
受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれていない場合(S32でNO)、セキュリティサーバ100の制御部101は、ステップS31の判断に戻る。
受信したカードIDの中に、カードDBに登録されているIDカードのカードIDと一致するものが含まれている場合(S32でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、受信したカードIDの中に、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものが含まれているか否かを判断する(S33)。
受信したカードIDの中に、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものが含まれていない場合(S33でNO)、セキュリティサーバ100の制御部101は、受信したIDカードのカードIDにカードDBで紐付けてられている行先階及び利用者属性と、リーダ25、またはリーダ36のリーダ識別情報に紐づけられている出発階及び登録装置識別情報を含む割当依頼情報を生成して群管理制御装置10に送信する(S34)。受信したIDカードのカードIDにカードDBで紐付けてられている行先階及び利用者属性は、カードDBを参照することで取得することができる。また、リーダ25、またはリーダ36のリーダ識別情報に紐づけられている出発階(設置階)及び登録装置識別情報は、リーダ情報テーブルを参照することで取得できる。
受信したカードIDの中に、カードDBに登録されている利用条件変更カードのカードIDと一致するものが含まれている場合(S33でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、群管理制御装置10に送信する行先階及び利用者属性の初期内容として、IDカードに紐づけられている内容を設定する(S35)。
セキュリティサーバ100の制御部101は、カードIDが一致する利用条件変更カードのうちの1つの利用条件変更カードのカードIDを処理対象として設定する(S36)。
セキュリティサーバ100の制御部101は、受信したIDカードの利用者IDと、処理対象の利用条件変更カードの利用者IDとが一致するか否かを判断する(S37)。
受信したIDカードの利用者IDと、受信した利用条件変更カードの利用者IDとが一致する場合(S37でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、カードDBにおいて、処理対象の利用条件変更カードのカードIDに紐付けて行先階(Fとする)が設定されているか否かを判断する(S38)。
処理対象の利用条件変更カードのカードIDに紐付けて行先階が設定されている場合(S38でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、群管理制御装置10に送信する行先階として、初期内容(IDカードのカードIDに紐付けて設定されている行先階)に代えて、処理対象の利用条件変更カードのカードIDに紐付けて設定されている行先階Fを設定する(S39)。
ステップS39の実行後、または、処理対象の利用条件変更カードのカードIDに紐付けて行先階が設定されていない場合(S38でNO)、セキュリティサーバ100の制御部101は、カードDBにおいて、処理対象の利用条件変更カードのカードIDに紐付けて利用者属性(Pとする)が設定されているか否かを判断する(S40)。
処理対象の利用条件変更カードのカードIDに紐付けて利用者属性が設定されている場合(S40でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、群管理制御装置10に送信する利用者属性として、初期内容(IDカードのカードIDに紐付けて設定されている利用者属性)に代えて、処理対象の利用条件変更カードのカードIDに紐付けて設定されている利用者属性Pを設定する(S41)。
ステップS41の実行後、または、処理対象の利用条件変更カードのカードIDに紐付けて行先階が設定されていない場合(S40でNO)、または、受信したIDカードの利用者IDと、受信した利用条件変更カードの利用者IDとが一致しない場合(S37でNO)、セキュリティサーバ100の制御部101は、受信した利用条件変更カードのカードIDの全てについて、ステップS36以後の処理が完了したか否かを判断する(S42)。
全てについての処理が完了していない場合(S42でNO)、セキュリティサーバ100の制御部101は、ステップS36に戻る。そして、セキュリティサーバ100の制御部101は、カードIDが一致する利用条件変更カードのうちの他の1つの利用条件変更カードのカードIDを処理対象として設定し(S36)、ステップS37以後の処理を行う。
全てについての処理が完了した場合(S42でYES)、セキュリティサーバ100の制御部101は、1枚以上の利用条件変更カードのカードIDにカードDBで紐付けてられている行先階及び/または利用者属性に基づいて変更された行先階及び/または利用者属性の情報と、リーダ25、またはリーダ36のリーダ識別情報にリーダ情報テーブルで紐づけられている出発階及び登録装置識別情報を含む割当依頼情報を群管理制御装置10に送信する(S43)。リーダ25、またはリーダ36のリーダ識別情報に紐づけられている出発階及び登録装置識別情報は、リーダ情報テーブルを参照することで取得できる。
2−1−3−2.群管理制御装置の動作
実施の形態1において図9を参照して説明した動作と同じ動作が行われる。そのため、説明は省略する。
3.本実施の形態の作用
実施の形態2のエレベータシステムによれば、デフォルトの行先階以外の所望の行先階やデフォルトの利用者属性以外の所望の利用者属性を予め利用条件変更カードに紐付けて登録しておくことで、IDカードと1枚以上の利用条件変更カードとを重ねてセキュリティゲート20のリーダ25に提示するだけで、実施の形態1同様に、セキュリティゲート20を通過し、かつデフォルトの行先階に代えて所望の行先階を登録できる。そのため、利用者は、行先階登録装置30で行先階の再入力を行うことなく、デフォルトの行先階以外の所望の行先階が割り当てられたエレベータに乗車することができる。また、本実施の形態では、行先階だけでなく、利用者属性を所望の利用者属性に変更できる。そのため、エレベータの利用者の利便性が一層向上する。さらに、無駄呼びの発生が抑制されることで、従来と比べ、エレベータシステムにおける運行効率が向上する。
(実施の形態3)
実施の形態3のエレベータシステムについて説明する。実施の形態1、2のエレベータシステムでは、複数台のエレベータ60が備えられている。しかし、本発明の呼び情報出力装置は、エレベータ60が1台だけ備えられているエレベータシステムにも適用できる。エレベータ60を1台だけ有するエレベータシステムでは、実施の形態1、2での行先階を複数台のエレベータのうちのいずれかに割り当てる処理(図9のフローチャートにおけるステップS22、S23の処理等)は不要である。セキュリティサーバ100(呼び情報出力装置)は、エレベータ60の運行を制御する運行制御装置に、利用者の行先階及び出発階で停止させるための呼び情報を出力する。運行制御装置は、呼び情報に基づいて、1台のエレベータを利用者の出発階及び行先階で停止させるように制御する。
(実施の形態についてのまとめ及び効果等)
(1)実施の形態1〜3のセキュリティサーバ100(呼び情報出力装置)は、エレベータの運行を制御する運行制御装置10(まとめ及び効果等の欄では、群管理制御装置10を「運行制御装置10」という)に呼び情報を出力する呼び情報出力装置である。
セキュリティサーバ100(呼び情報出力装置)は、
エレベータ乗車前に利用者によりリーダ25、またはリーダ36に提示されるICカード(情報記録媒体)に格納されたカードID(媒体識別情報)に紐付けて、ICカード(情報記録媒体)を所有する利用者のエレベータ利用に関するエレベータ利用情報を格納する記憶部102と、
提示された1個以上のICカード(情報記録媒体)からリーダ25、またはリーダ36で読み取られた各ICカード(情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)に紐付けて記憶部102で格納されているエレベータ利用情報に基づいて呼び情報を生成して運行制御装置10に出力する制御部101と、を備える。
ICカード(情報記録媒体)は、エレベータ利用認証用のIDカード(第1の情報記録媒体)と、利用条件変更用の利用条件変更カード(第2の情報記録媒体)とに分類される。
制御部101は、
リーダ25、またはリーダ36で1個のIDカード(第1の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)のみが読み取られたときは、1個のIDカード(第1の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)に紐付けられているエレベータ利用情報で登録されている内容に基づいて呼び情報を生成して運行制御装置10に出力し、
リーダ25、またはリーダ36で1個のIDカード(第1の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)と、1個以上の利用条件変更カード(第2の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)との両方が読み取られたときは、1個のIDカード(第1の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)に紐付けられているエレベータ利用情報で登録されている内容を、前記1個以上の利用条件変更カード(第2の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)に紐付けられているエレベータ利用情報で登録されている内容で置き換えた情報に基づいて呼び情報を生成して運行制御装置10に出力する。
これにより、エレベータ利用認証用のIDカード(第1の情報記録媒体)のみがリーダ25、またはリーダ36に提示されると、エレベータ利用認証用のIDカード(第1の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)に紐付けて記憶部102で格納されているエレベータ利用情報に基づいて呼び情報が生成される。一方、エレベータ利用認証用のIDカード(第1の情報記録媒体)と、利用条件変更用の利用条件変更カード(第2の情報記録媒体)との両方がリーダ25、またはリーダ36に提示されると、1個のIDカード(第1の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)に紐付けられているエレベータ利用情報で登録されている内容を、前記1個以上の利用条件変更カード(第2の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)の各々に紐付けられているエレベータ利用情報で登録されている内容で置き換えた情報に基づいて呼び情報が生成される。つまり、利用者は、エレベータ利用認証用のIDカード(第1の情報記録媒体)と利用条件変更用の利用条件変更カード(第2の情報記録媒体)との両方をリーダ25、またはリーダ36に提示するだけで、エレベータの利用条件を変更できる。そのため、エレベータ利用認証用のIDカード(第1の情報記録媒体)に紐付けてデフォルトの行先階等のエレベータ利用情報が設定されているエレベータシステムを利用する利用者の利便性を向上させることができる。
(2)実施の形態1〜3のセキュリティサーバ100(呼び情報出力装置)において、
記憶部102は、各カードID(媒体識別情報)に紐付けて、さらに、ICカード(情報記録媒体)を所有する利用者の利用者ID(利用者識別情報)を格納している。
制御部101は、
リーダ25、またはリーダ36で1個のIDカード(第1の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)と、1個以上の利用条件変更カード(第2の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)とが読み取られたときは、各利用条件変更カード(第2の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)に紐付けて記憶部102で格納されている各利用者ID(利用者識別情報)が、1個のIDカード(第1の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)に紐付けて記憶部102で格納されている利用者ID(利用者識別情報)と一致するか否かを判断し、
一致しない当該利用者ID(利用者識別情報)が紐づけられている利用条件変更カード(第2の情報記録媒体)のカードID(媒体識別情報)については、当該カードID(媒体識別情報)が読み取られていないものとして、呼び情報を生成して運行制御装置10に出力する。
これにより、他人の利用条件変更カード(第2の情報記録媒体)を利用して利用条件を変更するようなことができなくなる。
(3)実施の形態1〜3のセキュリティサーバ100(呼び情報出力装置)において、
エレベータ利用情報には、利用者の行先階についての情報が含まれる。
これにより、1個のICカード(情報記録媒体)をリーダ25、またはリーダ36に提示するか、2個のICカード(情報記録媒体)をリーダ25、またはリーダ36に提示するかに応じて、利用者は、行先階を容易に変更できる。
(4)実施の形態1〜3のセキュリティサーバ100(呼び情報出力装置)において、
エレベータ利用情報には、利用者の属性についての情報が含まれる。
これにより、1個のICカード(情報記録媒体)をリーダ25、またはリーダ36に提示するか、2個のICカード(情報記録媒体)をリーダ25、またはリーダ36に提示するかに応じて、利用者は、利用者の属性を容易に変更できる。
(5)実施の形態1、2のエレベータシステムは、
複数台のエレベータ60と、
実施の形態1〜3のセキュリティサーバ100(呼び情報出力装置)と、
セキュリティサーバ100(呼び情報出力装置)から出力される呼び情報に基づいて複数台のエレベータ60の運行を制御する運行制御装置10と、を備える。
運行制御装置10は、セキュリティサーバ100(呼び情報出力装置)から出力される呼び情報に基づいて、複数台のエレベータ60のうちのいずれかを利用者に割り当て、割り当てた結果に応じてエレベータ60の運行を制御する。
これにより、エレベータの利用者の利便性を向上させたエレベータシステムを提供できる。
(6)実施の形態3のエレベータシステムは、
1台のエレベータ60と、
実施の形態3のセキュリティサーバ100(呼び情報出力装置)と、
セキュリティサーバ100(呼び情報出力装置)から出力される呼び情報に基づいてエレベータの運行を制御する運行制御装置と、を備える。
これにより、エレベータの利用者の利便性を向上させたエレベータシステムを提供できる。
(その他の実施の形態)
前記実施の形態では、エレベータ利用情報が「行先階」や「利用者属性」の情報である例を示した。しかし、本発明の呼び情報出力装置では、エレベータ利用情報は、「行先階」や「利用者属性」の情報に限られない。例えば、エレベータ利用情報は、利用者の「連絡先」の情報等であってもよい。
また、前記実施の形態では、エレベータ利用情報は、「行先階」と「利用者属性」との2個の項目を有している。しかし、エレベータ利用情報は、例えば「行先階」の1個の項目のみを有していてもよい。この場合、図7のカードDBにおいて、「利用者属性」の項目は設けず、「行先階」の項目のみを設ける。また、エレベータ利用情報は、3個以上の項目を有していてもよい。例えば、「行先階」や「利用者属性」に加え、上記「連絡先」等の項目を加えてもよい。この場合、図7のカードDBにおいて、「行先階」と「利用者属性」の項目に加え、「連絡先」の項目を設ける。
前記実施の形態では、リーダに一度に提示される情報記録媒体の数が1〜3個である例を示した。しかし、本発明では、リーダに一度に提示される情報記録媒体の数は4個以上であってもよい。なお、リーダに一度に提示される情報記録媒体の数がn個である場合、エレベータ利用情報に含まれる項目はn−1個まで設けることができる。この場合、n個の情報記録媒体から各々の媒体識別情報を一度に読み取り可能なリーダを設ける必要がある。
前記実施の形態では、第1及び第2の情報記録媒体としてICカードを用いる。しかし、本発明では、第1及び第2の情報記録媒体は、ICカードに限定されるものではなく、リーダで読み取り可能な情報記録媒体であればどのようなものでもよい。例えば、第1及び第2の情報記録媒体は、ICカードとして機能する携帯通信端末であってもよい。また、第1及び第2の情報記録媒体は、非接触で読み取り可能なものでなく、接触して読み取られるものであってもよい。
前記実施の形態では、カード種類の判別は、カードDBのカード種類の情報に基づいて行われる。しかし、これは一例であり、カード種類の判別は、例えばカードIDにカード種類を示すフラグとしての文字、数字、あるいは記号等の情報を付加しておき、当該情報に基づいて行われてもよい。
また、利用条件変更カードは、リーダで読み取り可能であり、利用条件変更カードとして利用可能なカードであれば、専用のICカードでなく、例えば社員カードや、店舗の会員カード等のICカードで構成されてもよい。
前記実施の形態のエレベータシステムでは、リーダは、セキュリティゲート20(20A〜20C)と、行先階登録装置30(30A〜30Z)とに配置されている。しかし、本発明の呼び情報出力装置では、リーダは、これら以外の位置に配置されてもよいし、セキュリティゲート20(20A〜20C)と、行先階登録装置30(30A〜30Z)とのいずれか一方にのみ配置されてもよい。
前記実施の形態では、セキュリティゲート20のリーダ25は制御部21に接続されており、制御部21を介してセキュリティサーバ100との間で信号(情報)の授受を行う。しかし、これは一例であり、セキュリティゲート20のリーダ25は、制御部21を介さずにセキュリティサーバ100との間で信号(情報)の授受を行ってもよい。
前記実施の形態では、制御部11、21、31、41、101は、CPU、MPU等を利用して構成され、記憶部12、22、32、42、102から読み出したプログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、各種の機能を実現する。つまり、各制御部11、21、31、41、101は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。しかし、各制御部11、21、31、41、101は、例えば、ハードウェア(電子回路)のみ、FPGA、ASIC等を利用して構成されてもよい。
前記実施の形態では、ネットワークNWはEthernetであり、入出力インタフェース13、23、24、33、43、103はLANアダプタ等を利用して構成されている。しかし、これは一例であり、ネットワークNWは、例えばIEEE規格に準拠した無線LANで構成され、入出力インタフェース13、23、24、33、43、103は無線LANアダプタ等で構成されてもよい。