JP6686702B2 - 溶鋼の脱硫方法 - Google Patents

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本発明は、真空脱ガス装置を用いて行う溶鋼の脱硫方法に関するものである。
硫黄(以下、Sと記載する場合あり)含有量が数十ppmである低硫鋼を溶製する場合、溶銑予備処理で脱硫処理した後に転炉等で脱炭処理すると十分な低硫レベルに到達しないため、溶鋼脱硫処理が必要となる。
溶鋼脱硫処理として、溶鋼を加熱しつつスラグ精錬によりSを除去する方法(いわゆるLF法)が実用化されているが、二次精錬工程としてのLF工程が必須となり、製造時間の延長や製造コストの増加を招いている。
そこで二次精錬工程として汎用されている真空脱ガス装置での脱硫処理の確立が求められている。真空脱ガス装置での脱硫処理の一般的な方法としては、真空槽内で溶鋼表面に上方から粉体状の脱硫剤を吹き付ける方法がある。
真空脱ガス装置において粉体状の脱硫剤を吹き付ける方法では、脱硫剤の利用効率を高めることが課題である。具体的には、脱硫剤の溶鋼内への侵入効率や、溶鋼内に侵入した後の脱硫剤の反応効率を確保することが課題である。
特許文献1は、脱硫剤を溶鋼内に侵入させるための条件として、脱硫剤を吹付ける際のランス高さを下げることを記載している。特許文献1の方法では、ランス高さを下げてハードブロー化することで脱硫剤の溶鋼内侵入率の向上は可能なものの、限界がある。特許文献1では、脱硫剤の反応効率を高める方法として、粒径の小さい脱硫剤を用いる必要があるとしている。しかし、粒径が小さい粉体ほど溶鋼内に侵入し難くなることが知られており、このこともハードブロー化を助長するが、上記した通りハードブロー化による脱硫剤の利用効率向上には改善の余地がある。
特許文献2では、脱硫剤を溶鋼内に侵入させるための条件として、真空度を120〜400torrとすることを記載している。特に、100torr以下にすると脱硫剤が真空排気系に吸われてロスが生じるため、真空槽内圧力の下限を120torrとしている。しかし、特許文献2の方法では脱硫処理中に真空槽内圧力を十分下げられないため、脱ガス反応が進行し難い。よって脱硫処理と脱ガス処理を別個に実施する必要があり、結果的に処理時間の延長を招く課題がある。更に、本発明者らの知見では、真空度の制御程度は、湯面に到達する脱硫剤(真空排気系に吸われない脱硫剤)の量の改善代は小さく、溶鋼脱硫処理の脱硫剤の利用効率向上には改善の余地がある。
特開平6−322431号公報 国際公開WO97/005291号
本発明は、真空脱ガス装置において脱硫剤吹付けノズルから真空容器内の溶鋼表面に脱硫剤を吹き付けて行う溶鋼の脱硫処理において、溶鋼の飛散や真空排気系への脱硫剤ロスを抑制しながら脱硫剤の利用効率の高めることを課題とする。
本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)真空脱ガス装置において脱硫剤吹付けノズルから真空容器内の溶鋼表面に脱硫剤を吹き付けることにより溶鋼を脱硫する方法において、供給する脱硫剤全体の50質量%以上が300μm超の粒径をもつ脱硫剤(但し、粒度が1mm以上の圧縮成形したブリケットの場合を除く)を使用するとともに、真空脱ガス装置として溶鋼鍋底部から撹拌用ガスを吹きこむ装置を使用することを特徴とする、溶鋼の脱硫方法。
(2)脱硫前の溶鋼鍋内溶鋼面に存在しているスラグのFeO成分とMnO成分の合計が10質量%以下であることを特徴とする、上記(1)に記載の溶鋼の脱硫方法。
本発明に従えば、粒径の大きな脱硫剤を利用することで、粉体の慣性力によって溶鋼侵入率を高められ、同時に、真空排気系へのロスが生じがたいため、脱硫剤の利用効率を高められる。
一方、粒径の大きな脱硫剤を用いた場合、溶鋼内から溶鋼表面に浮上分離しやすいため反応効率の低下が懸念される。本発明では、溶鋼鍋底部から撹拌用ガスを吹きこむ装置を用い、形成された溶鋼の循環流の中で反応させることで反応時間を確保でき、反応効率を高められる。
真空脱ガス装置を用いて行う溶鋼の脱硫方法を示す図であり、(A)は大径浸漬管方式を用いた例、(B)はRH方式を用いた例である。
本発明の溶鋼の脱硫方法において、溶鋼の脱硫は真空脱ガス装置を用いて行う。溶鋼の真空脱ガス装置には種々の方式が存在する。溶鋼を真空脱ガスするに際し、溶鋼鍋全体を真空容器内に収容して真空容器内を真空とする方法(例えばVOD(Vacuum Oxygen Decarburization)法、VAD(Vacuum Arc Degassing)法など)、あるいは真空容器の下方開口部を溶鋼鍋内の溶鋼中に浸漬して真空容器内を真空とする方法(例えば大径浸漬管方式、RH真空脱ガス装置など)がある。大径浸漬管方式真空脱ガス装置21とは、図1(A)に示すように、真空容器2の下部に一つの大径浸漬管3が設けられ、この大径浸漬管3を溶鋼鍋1に収容した溶鋼10中に浸漬し、真空容器2内を減圧して溶鋼を真空容器内に吸い上げ、溶鋼鍋底部の撹拌用ガスを吹きこむ装置6からガスを吹き込み、吹き込んだガスによって溶鋼鍋中の溶鋼と真空容器内の溶鋼との間に攪拌流を形成することにより、溶鋼を攪拌・混合する方法である。RH方式真空脱ガス装置22の場合、図1(B)に示すように、真空容器2の底部に2つの浸漬管が設けられ、一方が上昇管7、他方が下降管8となる。上昇管7の中間位置側壁のガス吹き込み口9から溶鋼中にガスを吹き込み、ガスの浮力によって上昇管7中を溶鋼が上昇し、溶鋼は真空容器2内を経由して下降管8から下降し、溶鋼鍋1中に放出される。
真空脱ガス装置を用いた溶鋼の脱硫において、真空容器2内に脱硫剤吹き込みランス4を下方に向けて挿入する。脱硫剤吹き込みランス4の先端には脱硫剤吹付けノズル5が配置されている。脱硫剤吹付けノズル5から、ガス噴流14とともに真空容器内の溶鋼表面11に脱硫剤を吹き付ける。
脱硫剤吹付けノズル5を用いて真空脱ガス装置において脱硫する方法では、脱硫剤の溶鋼への侵入効率を高めることや、真空排気系へのロスを低減することが、脱硫剤の利用効率向上につながる。溶鋼への侵入効率については、脱硫剤吹付けノズル5から脱硫剤とともにガス噴流14として噴出するキャリアガスによる粉体の加速が重要である。キャリアガスの速度は真空容器内の溶鋼表面11付近における気液界面近傍で急速に減衰し、気液界面においてゼロとなる。粒径の小さい粉体ではキャリアガスの速度減衰の影響を受けやすく、真空容器内の溶鋼表面11付近において粉体の速度が小さくなってしまい、これでは溶鋼の内部に十分に侵入することができない。それに対して、粒径の大きい粉体を用いた場合は、真空容器内の溶鋼表面付近における粉体の速度減衰が少ないので、溶鋼の内部に十分に侵入することができるので好ましい。真空排気系への脱硫剤のロスについても同様に、排気ガスの流れの影響を受けにくい粒径の大きい粉体を用いることで抑制できる。
次に、溶鋼を攪拌・混合するための不活性ガスの吹き込み位置の違いによって真空脱ガス装置を分類する。真空脱ガス装置には、溶鋼鍋底部から撹拌用ガスを供給する方式(VOD方式や大型浸漬管方式(図1(A)参照)など)と、溶鋼上方から浸漬する浸漬管の途中から撹拌・混合用ガスを供給するRH真空脱ガス装置(図1(B)参照)がある。
粒径の大きな脱硫剤を用いた場合、上述のとおり溶鋼への侵入効率が高まる一方で、溶鋼内から溶鋼表面に浮上分離しやすく反応効率が低下することが懸念される。
還流式真空脱ガス装置(RH)の場合、図1(B)に示すように、溶鋼は真空容器2内を経由して下降管8から下降流16となって下降し、溶鋼鍋1内の溶鋼10中に放出される。下降管8から溶鋼鍋1内に向かう下降流16の溶鋼の流れが強く、その流れは溶鋼鍋1の底部に衝突し、その後は流れが分散されて弱まる。真空容器内で溶鋼内に侵入した粉体については、下降管8からの溶鋼の流れに乗って溶鋼鍋1の底部で分散され、その後、主に溶鋼鍋1の側壁に沿ってゆっくりと上昇し(脱硫剤の動き17)、溶鋼鍋内の溶鋼表面12付近に至るとともに、溶鋼流れの弱い部分に到達する。溶鋼流れの弱い部分で粉体に働く力は、溶鋼から受ける粘性力よりも浮力の影響が大きくなり、浮上分離しやすい。脱硫剤として粒径の大きい粉体を用いた場合はより一層、溶鋼中における上昇速度が増大する。溶鋼鍋の溶鋼表面12付近で浮上分離した粉体は、スラグ13に取り込まれ、その後は脱硫への寄与が大幅に低下する。
以上のとおり、還流式真空脱ガス装置を用い、真空容器内の溶鋼に脱硫剤を吹き込んで行う溶鋼の脱硫方法においては、脱硫剤としての粉体が浮上分離しやすく、脱硫剤として粒径の大きい粉体を用いた場合はより一層浮上分離しやすい。一方、粒径の大きい脱硫剤は脱硫反応速度も遅くなる。従って、還流式真空脱ガス装置を用い、粒径の大きい脱硫剤を用いたのでは反応時間を確保し難いため、粒径の小さな粉体を使用せざるを得なかった。
本発明では、真空脱ガス装置として、溶鋼鍋底部から撹拌用ガスを吹きこむ装置を使用する。大径浸漬管方式、VOD法、VAD法などがこの分類に入る真空脱ガス装置である。VOD方式や大型浸漬管方式のように、溶鋼鍋底部から撹拌用ガスを吹きこむ装置6を用いることで、RH方式で問題となる上記課題を解決できることを知見した。溶鋼鍋底部の撹拌用ガスを吹きこむ装置6は、当該撹拌用ガスを吹きこむ装置6から溶鋼中に吹き込まれた気泡が上昇し、真空容器内の溶鋼表面11に到達するように配置される(図1参照)。
上記のような、溶鋼鍋底部から撹拌用ガスを吹きこむ装置6を用いる場合、図1(A)に示すように、撹拌用ガスを吹きこむ装置6から真空容器内の溶鋼表面11に向けた気泡上昇流に沿って、溶鋼の上昇流15が形成される。真空容器内の溶鋼表面11に到達した溶鋼の上昇流15は、真空容器内の溶鋼表面11における上昇流の到達点から放射状に流れ、真空容器2の側壁に至り、その位置から下降に転じる。下降流16は溶鋼鍋中において溶鋼鍋の底部に至るまで持続する下降流を形成する。すなわち、これらの装置では、溶鋼内に大きな循環流が生じる。脱硫剤吹付けノズル5から真空容器内の溶鋼表面11に吹き付けられ、溶鋼内に侵入した粉体は、下降流16に付随して溶鋼鍋内を下降し、溶鋼鍋底部においてガス気泡による上昇流15に取り込まれ、真空容器内の溶鋼表面11まで循環する(脱硫剤の動き17)。真空容器内の溶鋼表面11では気泡の膨張によって溶鋼が激しい攪拌を受け、浮上した粉体は溶鋼表面に留まらずに溶鋼に取り込まれ、溶鋼の下降流16とともに溶鋼鍋中を下降する。このように、粉体は溶鋼の循環流の中に留まることで反応時間を確保することができる。よって、粉体として粒径の大きい脱硫剤を用いた場合でも、脱硫反応に時間を要するものの、溶鋼内に長時間留まることで反応時間を確保でき、粒径の大きな粉体を用いた場合でも反応効率を高位に得ることができる。
また、脱硫反応は一般に次のような反応である。
[S]metal + (O)slag = [O]metal + (S)slag
脱硫反応を進めるためには溶鋼中酸素濃度が低いほうが有利であるので、一般に脱硫前に脱酸剤が添加される。例えば脱酸剤としてAlを使用した場合、脱酸生成物としてAl23が生じる。脱硫前に生成したAl23と脱硫剤が溶鋼内で衝突して反応すると、脱硫剤の脱硫能力が低下する。特に、溶鋼の循環流を利用する場合には、脱硫剤が長時間溶鋼内に留まるため、溶鋼中の脱酸生成物と脱硫剤の反応による脱硫能力の低下が生じやすい。本発明は、粒径の大きい脱硫剤を用いることで、溶鋼中の脱酸生成物による脱硫剤の成分変化が小さくなり、脱硫能力を高位に維持できる。一方で粒径の小さな脱硫剤は、溶鋼中の脱酸生成物との接触により脱硫剤の成分変化が大きく、当該粒子の脱硫能力が顕著に低下する原因となると推定される。
以上詳述したように、本発明においては、脱硫剤として粒径の大きな粉体を用いることにより、真空容器内に吹き込んだ脱硫剤の侵入深さを増大することができ、真空排気系へのロスを低減することができる。一方、溶鋼鍋底部から撹拌用ガスを吹きこむ装置を用いるので、粒径の大きな粉体を用いたとしても脱硫反応効率を高く保持することができる。
本発明の脱硫剤の粒径の範囲としては、300μm超とすることで上記効果を得られる。粒径の調整方法としては、JIS−Z8801−1:2006の網篩の公称目開き300μmの篩を用い、篩上の脱硫剤を用いることができる。但し、過剰に大きいと粒の中心部分まで反応が進行しない。これまでの操業実績から、経験的には上限4mmとするとよい。脱硫剤中における300μm以上の粉体の含有率としては、供給する脱硫剤の50質量%以上を300μm以上の粉体とすることで上記効果を得られる。上限を規定する必要はなく、100質量%でも良い。
本発明に用いる脱硫剤について、溶鋼の脱硫能力を有する粉体脱硫剤であれば種類は問わない。CaO系脱硫剤を好ましく用いることができる。CaO系脱硫剤とは、CaOを50質量%以上含んでいる脱硫剤を指す。CaO源としてはCaOの他にCaCO3やCa(OH)2でもよく、完全にCaOに熱分解した際の質量でCaO含有量を計算できる。脱硫剤中のCaO以外の成分については特に限定しない。CaO系脱硫剤にCaF2を添加すると、脱硫能の高い液相を形成しうるので好ましい。Mgなどのそれ自体で脱硫能力を有する成分を含むとより好ましい。その他、脱硫剤としてソーダ灰(Na2CO3)を含むものを用いることができる。
本発明において、脱硫前における溶鋼鍋内の溶鋼表面12に存在しているスラグ13のFeO成分とMnO成分の合計が10質量%以下であると好ましい。以下詳述する。
上記の通り、溶鋼鍋底部から撹拌用ガスを吹きこむ装置6を使用する本発明においては、循環溶鋼流中の脱硫剤粒子は、溶鋼中を循環し、脱硫への寄与を継続するが、一定の確率で循環溶鋼流から逸脱し、溶鋼鍋浴面へ浮上し、溶鋼鍋内の溶鋼表面12に存在するスラグ13に取り込まれる。溶鋼鍋浴面のスラグ13は、転炉からの出鋼時に転炉から流出した酸化精錬スラグを主体とするものであり、FeO成分やMnO成分含有量が高く、いわゆる酸化性の高いスラグである。そのため、溶鋼鍋浴面へ浮上した脱硫剤粒子を構成する脱硫生成物は、浴面のスラグ13により酸化されて溶鋼中に復硫する場合がある。
そこで本発明では、脱硫前の溶鋼面に存在しているスラグは、FeO成分とMnO成分の合計が10質量%以下であることを好適(スラグの酸化度が低いと好適)とする。スラグ中のFeO成分やMnO成分の濃度を低減する方法としては、例えば、Al等の強脱酸元素を添加して還元する方法や、スラグにCaO源を添加して希釈する方法などを用いることができる。なお実操業においては、FeO成分量(質量%)は、T−Fe量(質量%)分析値に基づき、T.FeのすべてがFeOであるとしてFeO含有量を算出しても良い。
本発明の効果を検証するために実施した検証試験について説明する。
検証試験には、300〜350ton/チャージ、低炭素アルミキルド鋼(脱硫前のS濃度が30ppm〜40ppm)の溶鋼を用いた。溶鋼鍋の内径は5mである。真空脱ガス装置は大径浸漬管方式(図1(A)参照)及びRH方式(図1(B)参照)とし、真空槽内の圧力を400Pa〜1200Paとして脱硫処理を実施した。
大径浸漬管方式(大径浸漬管3の内径:2m)を用いた水準では、鍋底に備えた撹拌ガス吹込みプラグ(撹拌用ガスを吹きこむ装置6)から撹拌用ガスを供給した。RH方式を用いた水準では、真空容器2に備えた2本の浸漬管のうち1本の浸漬管(上昇管7)のガス吹き込み口9から撹拌用ガスを供給した。いずれの水準でも、撹拌用ガスにはArガスを用いた。なお本発明では、溶鋼鍋の内径3〜6m、大径浸漬管の内径1.5〜2.5m、のものを想定している。
脱硫剤は、キャリアガスとともに、脱硫剤吹き込みランス4先端の脱硫剤吹付けノズル5から真空容器内の溶鋼表面11に向けて噴出される。脱硫剤としてCaO系脱硫剤を用いた。CaO系脱硫剤を吹き付けるためのキャリアガスにはArガスを用い、CaO系脱硫剤の成分としては、80質量%CaO+20質量%CaF2を使用した。脱硫剤の粒度分布として、粒径300μm以上の割合が50質量%の水準と10質量%の水準の2種類を準備した。5kg/ton−steelの脱硫剤を溶鋼に吹付けた。
試験結果の評価は以下のように行った。
脱硫前のS濃度30ppm〜40ppmを、脱硫処理によって到達S濃度5ppm〜13ppmとし、脱硫処理開始から脱硫処理終了までの時間を測定した。次いで、S濃度変化を時間の一次関数と仮定し、当該関数を用いて30ppmから15ppmに低下するのに必要な時間に換算して「脱硫処理時間」とした。そして、比較例1における脱硫処理時間を基準とし、10%超改善したものを◎、5%以上10%以下改善したものを○、悪化または5%未満の改善であったものを×として評価した。
検証試験の結果を表1に示す。
脱硫剤として粒径300μm以上の割合が50質量%のもの同士で比較すると、大径浸漬管方式(実施例1)では、RH方式(比較例2)に比べて脱硫処理時間が短くなる。また、大径浸漬管方式において、脱硫剤の粒径分布を変化させた場合、粒径300μm以上の脱硫剤の供給量が多いほど脱硫処理時間が短くなる(実施例1、比較例1)。以上のとおり、供給する脱硫剤全体の50質量%以上が300μm超の粒径をもつ脱硫剤を使用するとともに、真空脱ガス装置として溶鋼鍋底部から撹拌用ガスを吹きこむ装置を使用することにより、優れた脱硫能力を発揮できていることが明らかである。
さらに、スラグのFeO成分+MnO成分の割合が減少するにつれて脱硫処理時間が短くなる(実施例1、実施例2)。
Figure 0006686702
1 溶鋼鍋
2 真空容器
3 大径浸漬管
4 脱硫剤吹き込みランス
5 脱硫剤吹付けノズル
6 撹拌用ガスを吹きこむ装置
7 上昇管
8 下降管
9 ガス吹き込み口
10 溶鋼
11 真空容器内の溶鋼表面
12 溶鋼鍋内の溶鋼表面
13 スラグ
14 ガス噴流
15 上昇流
16 下降流
17 脱硫剤の動き
21 大径浸漬管方式真空脱ガス装置
22 RH方式真空脱ガス装置

Claims (2)

  1. 真空脱ガス装置において脱硫剤吹付けノズルから真空容器内の溶鋼表面に脱硫剤を吹き付けることにより溶鋼を脱硫する方法において、
    供給する脱硫剤全体の50質量%以上が300μm超の粒径をもつ脱硫剤(但し、粒度が1mm以上の圧縮成形したブリケットの場合を除く)を使用するとともに、
    真空脱ガス装置として溶鋼鍋底部から撹拌用ガスを吹きこむ装置を使用することを特徴とする、溶鋼の脱硫方法。
  2. 脱硫前の溶鋼鍋内溶鋼面に存在しているスラグのFeO成分とMnO成分の合計が10質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の溶鋼の脱硫方法。
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