JP6685451B1 - 捕虫器 - Google Patents

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Abstract

【課題】害虫の駆除確率をより高めることが可能となり、害虫による果樹、野菜、作物への被害を抑制することができる捕虫器を提供する。【解決手段】本発明に係る捕虫器100は、虫を誘引する光を発する誘引光源210と、前記誘引光源の鉛直下方に配され、鉛直下方に向かって開口径が絞られるすり鉢状部160と、前記すり鉢状部160の鉛直下方に配され、前記すり鉢状部160から延在する円筒部170と、前記すり鉢状部160の開口から前記円筒部170内に吸引する気流を発生させるファン190と、前記円筒部170の鉛直下方に配され、光を透過する透明長尺円筒部180と、前記透明長尺円筒部180の鉛直下方に配され、虫を捕獲する捕獲ネット310と、からなることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、農園において害虫による栽培作物の食害を減らすために、これを駆除する捕虫器に関する。
イチゴや、モモなどの果樹が栽培される果樹園、或いは、ホウレンソウ、菊などの農作物が栽培される農園においては、害虫による果樹、作物の食害を減らすために、これを駆除する必要がある。
そこで、例えば青色蛍光灯を用いた誘引光源で害虫を誘引し、それを電気刺激で殺虫したり、送風機で吸引し、捕獲したりする方法が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2005−229997号公報)には、図1に関連して、誘引光源2と反射板4、5、更に電動機6とファン7と白色捕虫網8などからなる飛翔手段さらに殺傷捕獲手段で構成された捕虫器が開示されている。このような捕虫器においては、光源2の光で誘引されてきた昆虫を反射板4、5で滑落させるとともにその下にある送風機6、7で吸引、殺傷して捕獲網8に落とすようにする。
特開2005−229997号公報
従来の捕虫器においては、反射板5の下方側のエリアに誘引光源2からの光が届かず、当該エリアにいる害虫が誘引光源2によって誘引されて、捕獲・駆除される確率が非常に少なくなる、という問題があった。
従来の捕虫器では、捕獲されなかった害虫はごく僅かであったとしても、害虫の種類によっては繁殖スピードが非常に早く、時間経過と共に指数関数的に増加するものも多いので、わずかな駆除確率の低下も、果樹、野菜、作物の被害への影響は大きくなり、問題であった。
また、背の高い農作物においては、根本のあたりに冷たい空気が滞留することによって、病気の発生率が高まると共に、根本付近では結実しにくく生産量が低下する、という問題があるが、従来の捕虫器はこのような問題を解決するものではなかった。
本発明は、上記のような問題を解決するものであって、本発明に係る捕虫器は、虫を誘引する光を発する誘引光源と、前記誘引光源の鉛直下方に配され、鉛直下方に向かって開口径が絞られるすり鉢状部と、前記すり鉢状部の鉛直下方に配され、前記すり鉢状部から延在する円筒部と、前記すり鉢状部の開口から前記円筒部内に吸引する気流を発生させるファンと、前記円筒部の鉛直下方に配され、光を透過する透明長尺円筒部と、前記透明長尺円筒部の鉛直下方に配され、虫を捕獲するネットと、からなることを特徴とする。
また、本発明に係る捕虫器は、前記すり鉢状部の近傍に虫を誘引する誘引剤を配することを特徴とする。
また、本発明に係る捕虫器は、前記透明長尺円筒部には、粘着剤が塗布されることを特徴とする。
また、本発明に係る捕虫器は、前記透明長尺円筒部の外周を囲むように、円筒状の保護網が配されることを特徴とする。
また、本発明に係る捕虫器は、前記保護網には、粘着シートが前記保護網の外側又は内側に配されることを特徴とする。
また、本発明に係る捕虫器は、前記誘引光源が500nm以上750nm以下の放射波長域を有し、540nm以上630nm以下の範囲で最大放射ピーク波長を有することを特徴とする。
また、本発明に係る捕虫器は、放射波長が565nm付近に最大放射ピークを有する補助光源をさらに有することを特徴とする。
また、本発明に係る捕虫器は、前記誘引光源が300nm以上500nm以下の放射波長域を有し、340nm以上450nmnm以下の範囲で最大放射ピーク波長を有することを特徴とする。
また、本発明に係る捕虫器は、放射波長が340nm以上450nm以下に最大放射ピーク波長を有する補助光源をさらに有することを特徴とする。
また、本発明に係る捕虫器は、放射波長が540nm以上630nm以下に最大放射ピーク波長を有する補助光源をさらに有することを特徴とする。
本発明に係る捕虫器は、円筒部の鉛直下方に、光を透過する透明長尺円筒部を有しており、このような本発明に係る捕虫器によれば、透明長尺円筒部を介して下方側のエリアにも、誘引光源からの光が到達するので、当該エリアにいる害虫が前記誘引光源によって誘引されて、捕獲・駆除されるので、害虫の駆除確率をより高めることが可能となり、害虫による果樹、野菜、作物への被害を抑制することができる。
さらに、本発明に係る捕虫器によれば、透明長尺円筒部から、農作物の根本のあたりに、暖かい空気を供給することでき、農作物の病気の発生率を低減できると共に、根本付近で結実させることができるようになり、作物の生産量を増加させることができる。
本発明の第1実施形態に係る捕虫器100の概要を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る捕虫器100による捕虫効果を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る捕虫器100による空気循環効果を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る捕虫器100を説明する図である。 本発明の第3実施形態に係る捕虫器100を説明する図である。 本発明の第4実施形態に係る捕虫器100を説明する図である。 本発明の第5実施形態に係る捕虫器100の概要を説明する図である。 本発明の第6実施形態に係る捕虫器100の概要を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る捕虫器100の概要を説明する図である。また、図2は本発明の第1実施形態に係る捕虫器100による捕虫効果を説明する図である。
捕虫器100は、例えば、吊下線110によりこれを吊り下げることで利用することが想定されるものである。捕虫器100の主要構成は、吊下線110が通る仮想軸OO’を中心として、略対称な構成となっている。例えば、誘引光源210は略ドーナツ状の形態をなすものである。
吊下線110は、円錐状部150を吊り下げるようになっている。また、円錐状部150の上方の吊下線110には、化学物質配設部130が取り付けられている。
円錐状部150の周面の上側3箇所からは、固定金具151が該周面から延出するように設けられており、3つの固定金具151により誘引光源210が支持されるようになっている。
なお、円錐状部150の周面に設ける固定金具151の数は、上記のように3つに限定されるものではない。
上記の誘引光源210は、不図示の安定器により発光する蛍光管であり、所定の放射波長域を有している。なお、第1実施形態においては、誘引光源210として蛍光管を用いる例に基づいて説明を行うが、誘引光源としては、白熱電球、水銀灯、ナトリウム灯、LEDなどその他のものを用いることもできる。誘引光源210は発光すると、害虫を誘引する光源として機能する。
円錐状部150の底部における3箇所からは、不図示の支持棹が延出しており、これらの支持棹ですり鉢状部160と円錐状部150が連結されるようになっている。円錐状部150の底部とすり鉢状部160との間における、支持棹以外の空間は間隙となっており、この間隙から害虫を吸引したり、誘引光源210からの光が下方側に進入したりすることができるようになっている。すり鉢状部160の底部からは鉛直下方に円筒部170が延在している。
すり鉢状部160、円錐状部150、円筒部17などは鉄やステンレスなどの材料を用いて構成する。さらに、これらの各部材には耐候性を有する塗料を塗膜することが好ましい。
また、円筒部170の下方側には、合成樹脂材料からなる透明長尺円筒部180が取り付けられている。すり鉢状部160と円錐状部150との間の隙間から、進入した誘引光源210からの光は、透明長尺円筒部180から照射光tとして、捕虫器100の下方側を照射するようになっている。また、透明長尺円筒部180の鉛直下方には、捕獲ネット310が取り付けられている。捕獲ネット310ネットにより、吸引された害虫が捕獲・駆除される。
長さの異なる透明長尺円筒部180を準備しておき、作物の成長に併せて、長さの異なる透明長尺円筒部180に適宜変更することも好ましい実施態様である。
円筒部170内においては、不図示のモーターにより回転駆動するファン190が設けられている。上記のファン190が回転することで、円錐状部150とすり鉢状部160と間の間隙において、すり鉢状部160内の鉛直下方に吸引する気流を発生させる。
ファン190によって発生される、すり鉢状部160の開口から円筒部170内に吸引する気流によって、誘引光源210で誘引された害虫は、円筒部170、透明長尺円筒部180を介して捕獲ネット310へと導かれる。
誘引光源210が発光することで、誘引光源210の鉛直下方に配されている円錐状部150の斜線部が反射面として機能することによって、反射光r1が形成されるようになっている。
また、誘引光源210が発光することで、誘引光源210の鉛直下方に配されているすり鉢状部160の内面部が反射面として機能することによって、反射光r2が形成されるようになっている。
また、誘引光源210が発光することで、透明長尺円筒部180からの照射光tが形成されるようになっている。照射光tによりすり鉢状部160の下方のエリアにいる害虫も誘引光源によって誘引され、ファン190で発生する気流により吸引され捕獲される。
このように、本発明に係る捕虫器100によれば、透明長尺円筒部180を介して下方側のエリアにも、誘引光源210からの光が到達するので、当該エリアにいる害虫が誘引光源210によって誘引されて、捕獲・駆除されるので、害虫の駆除確率をより高めることが可能となり、害虫による果樹、野菜、作物への被害を抑制することができるようになる。
また、照射光tは日照時間の増加と同様の作用を作物に与えるために、作物の生産量増加にも寄与し得るものである。
誘引光源210としては、500nm以上750nm以下の放射波長域を有し、540nm以上630nm以下の波長域において最大放射ピーク波長域を形成するものを用いることができる。このような誘引光源210によれば、コナジラミ類、アザミウマ類、ハエ類、アブラムシ類を効率的に誘引することが可能となる。
このような分光特性を有する誘引光源210は、蛍光管(白色の蛍光灯;色温度4200K)の管表面に塗膜を形成することにより、構成することができる。当該蛍光管の管表面の塗膜は光学フィルタとして機能し、500nm付近より短波長の放射光を遮断し、それより長波長域の放射光を効率よく透過するようにしている。水酸基含有アクリル樹脂とベンズイミダゾロンの混合物、エポキシ樹脂、クリヤー、硬化剤(イソシアネート化合物)、シンナーの混合物が、蛍光管に塗布されることで、このような塗膜が形成される。
上記のような塗膜が施されてなる誘引光源210は、放射波長が545nm付近、及び、575nm付近の2つに局所的な放射ピークを有するものが特に好ましいが、誘引光源210は放射波長で500nm付近から650nm付近に2つの局所的な放射ピークを有するものであってもよい。
また、誘引光源210としては、300nm以上500nm以下の放射波長域を有し、340nm以上450nm以下の波長域において最大放射ピーク波長域を形成するものも用いることができる。このような分光特性を有する誘引光源210としては、ブラックライト電球、ブラックライト蛍光灯、ブラックライトLEDなどを用いることができる。このような誘引光源210によれば、アザミウマ類、ハエ類、夜蛾類、カメムシ類、ハムシ類を効率的に誘引することが可能となる。
ここで、本明細書においては、例えば、ピーク波長などを、ピンポイント的に545nmとして言及する場合は、その波長の±15nm程度のずれも含まれるものとする。このように本明細書では、波長の範囲を、指定した波長とその波長の±15nmの範囲で規定するが、このように範囲をもって波長を規定する理由は、同じ種類の虫であっても、地域等による多様性があり、光源の波長に対する補虫効果には例えば地域差が発生するからである。
なお、第1実施形態においては、誘引光源210は略ドーナツ状の形態をなすものとして説明しているが、本発明に係る捕虫器100においては、光源の形状がこれに限定されるものではない。
また、第1実施形態においては、誘引光源として、1種類の誘引光源210を設けるようにしているが、これより多くの種類の誘引光源を用いるようしてもよい。例えば、誘引光源210として、放射波長域が異なるものを2種類用いるようにすれば、前記誘引光源によって、誘引可能な害虫の種類が増え、害虫の駆除確率をより高めることが可能となり、害虫による果樹、野菜、作物への被害を抑制することができる。
また、捕獲ネット310の網目(の目合い)が0.1mm〜0.3mm程度のものを用いるのがよい。或いは、捕獲ネット310の網目(の目合い)が異なるものを二重にして用いるようにすることもできる。
例えば、捕獲ネット310としては、網目(の目合い)が0.1mm〜0.3mm程度のものと、網目(の目合い)が5mm程度のものを二重にすることも好適な実施形態である。比較的大型の昆虫が捕獲されてしまったような場合でも、目が粗い箇所が当該昆虫に食い破られ穴ができることはないので、捕獲した害虫が前記ネットから逃げてしまうことがなく、害虫の駆除確率をより高めることが可能となり、害虫による果樹、野菜、作物への被害を抑制することができる。
第1実施形態に係る捕虫器100においては、吊下線110には、化学物質を取り付けることが可能な化学物質配設部130が設けられている。この化学物質配設部130に配する化学物質としては、害虫を誘引する、性フェロモン剤、集合フェロモン剤、乳酸菌分泌物などの誘引剤を用いることが好ましい。この場合、誘引光源210による害虫の誘引効果との相乗効果を期待することができる。
なお、化学物質配設部130を設ける箇所は必ずしも、吊下線110とする必要はなく、すり鉢状部160の近傍で、適正に害虫を誘引することができれば、どのような箇所でもよい。
一方、化学物質配設部130に配する化学物質としては、昆虫が忌避する忌避剤を用いることも可能である。この場合は、農園、果樹園に好ましくない昆虫類を寄せ付けないようにしつつも、作物に害を及ぼす害虫は誘引光源210による害虫の誘引効果に基づいて、捕獲・駆除することができるようになる。
第1実施形態においては、捕虫器100を吊下線110により吊り下げて、仮想軸OO’が鉛直方向と平行となる設置形態で説明したが、果樹、野菜、作物の種類によっては、捕虫器100の仮想軸OO’が水平面と平行となるように、捕虫器100を設置する形態で利用することもできる。
ところで、背の高い農作物においては、根本のあたりに冷たい空気が滞留することによって、病気の発生率が高まると共に、根本付近では結実しにくく生産量が低下する、という問題がある。本発明に係る捕虫器100は、すり鉢状部160で吸い込まれた温度の高い層の空気(W)が、ファン190によって、農作物の根本のあたりに供給される構成にもなっている。図3は本発明の第1実施形態に係る捕虫器100による空気循環効果を説明する図である。
図3に示すような、背の高い農作物の根本にも、暖かい空気(W)を供給することできるようになるのは、第1実施形態で透明長尺円筒部180を用いたことに依るところが大きい。作物にもよるが、透明長尺円筒部180は1m以上であることが好ましい。
本発明に係る捕虫器100によれば、透明長尺円筒部180から、農作物の根本のあたりに、暖かい空気を供給することでき、農作物の病気の発生率を低減できると共に、根本付近で結実させることができるようになり、作物の生産量を増加させることができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図4は本発明の第2実施形態に係る捕虫器100を説明する図である。図4(A)は先の第1実施形態に係る捕虫器100の透明長尺円筒部180近傍を示す図であり、図4(B)は本第2実施形態に係る捕虫器100の透明長尺円筒部180近傍を示す図である。以下、他の実施形態の説明では、第1実施形態に係る捕虫器100との相違点について主として説明する。なお、以下説明する種々の他の実施形態の特徴点は、本明細書に記載される捕虫器100のどの実施形態とも組み合わせることができる。
第1実施形態に係る捕虫器100の透明長尺円筒部180自体に対しては特段の工夫はされていなかったが、第2実施形態に係る捕虫器100の透明長尺円筒部180においては、粘着剤270が塗布されてなる。
誘引光源210が発光することで、透明長尺円筒部180からの照射光tが形成されることは説明した。このような照射光tにより害虫が透明長尺円筒部180自体にとまることもしばしばある。そこで、第2実施形態に係る捕虫器100においては、透明長尺円筒部180に粘着剤270を塗布し、透明長尺円筒部180自体で害虫を捕獲するようにしたものである。このような第2実施形態でも、捕獲ネット310においても害虫は捕獲されることが想定され、捕獲ネット310による捕獲分に加え、粘着剤270での捕獲分により、全体としての害虫捕獲数を向上させることができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図5は本発明の第3実施形態に係る捕虫器100を説明する図である。先の第2実施形態に係る捕虫器100では、透明長尺円筒部180の外囲部に粘着剤270が塗布されていたので、農作物の葉、或いは農作業者の髪の毛などが粘着剤270に引っ付いてしまう可能性があった。そこで、第3実施形態においては、透明長尺円筒部180の外周を囲むように、円筒状の保護網280を配するようにした。保護網280の固定手段としては、円筒部170や透明長尺円筒部180から延出されるアーム部材(不図示)などを用いることができる。また、このような保護網280の目合いとしては5mm〜10cmが好ましい。
このような実施形態によれば、捕獲ネット310による捕獲分に加え、粘着剤270での捕獲分により、全体としての害虫捕獲数を向上させることができると共に、農作物の葉、或いは農作業者の髪の毛などの引っ付きを防止することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図6は本発明の第4実施形態に係る捕虫器100を説明する図である。第2実施形態及び第3実施形態においては、透明長尺円筒部180の外囲部に粘着剤270を塗布するようにしていた。これに対して、第4実施形態に係る捕虫器100では、透明長尺円筒部180の外周を囲むように、円筒状の保護網280を配するようにして、その保護網280に対して、粘着シート285を外側から巻き付けるように設けたことを特徴としている。このような実施形態によれば、照射光tにより誘引された害虫が粘着シート285で捕獲されると共に、このような粘着シート285を容易に交換することができる、というメリットがある。
一方、粘着シート285を保護網280の内側に配するようにすることもできる。そして、保護網280の内側の粘着シート285で害虫を捕獲する。この場合、粘着シート285の交換はしにくくはなるが、農作物の葉、或いは農作業者の髪の毛などが粘着シート285に引っ付いてしまう確率を低減することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図7は本発明の第5実施形態に係る捕虫器100の概要を説明する図である。
第5実施形態に係る捕虫器100が、第1実施形態のものと相違する点は、光源として光源200に加え、吊下線110の途中に補助光源220が配されている点である。なお、本実施形態では、補助光源220の下側に化学物質配設部130を設けるようにしているが、化学物質配設部130を補助光源220の上側に設けるようにしても構わない。或いは、化学物質配設部130を補助光源220の上側及び下側の両方にそれぞれ設けるようにしても構わない。
補助光源220は、第1実施形態で用いられていた光源200とは種別が異なるものである。第1実施形態で用いられていた誘引光源210には、例えば、蛍光灯に所定の塗膜を施したものが用いられていた。一方、補助光源220にはLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)素子が好適に用いられる。
また、補助光源220は例えば、吊下線110の途中に配することが好ましいが、このような補助光源220を配する態様はこれに限定されるものではない。補助光源220には複数個のLED素子223が用いられる。一般的にLED素子223から出射される光は指向性を有する。指向性があると効率的な害虫の誘引ができないために、LED素子223から出射された光を拡散するための光拡散手段として、透明な光拡散樹脂230が設けられている。本発明で用い得る光拡散手段は透明樹脂に限定されるものではなく、ガラスなどの導光材料も用いることができる。
誘引光源210として、500nm以上750nm以下の放射波長域を有するものを用いるようにした場合、第5実施形態で用いる補助光源220は放射波長が565nm付近に最大放射ピークを有するものを用いることが好ましい。この場合、誘引光源210と補助光源220と、からなる光源により、特にコナジラミ類、アザミウマ類、アブラムシ類(有翅)、ハモグリバエ類、ハエ類をより効率的に誘引することができる。
一方、誘引光源210として、前記誘引光源が300nm以上500nm以下の放射波長域を有するものを用いるようにした場合、第5実施形態で用いる補助光源220は放射波長が340nm以上450nm以下に最大放射ピーク波長を有するものを用いることが好ましい。この場合、誘引光源210と補助光源220と、からなる光源により、特にアザミウマ類、ハエ類、夜蛾類、カメムシ類、ハムシ類をより効率的に誘引することができる。
ただし、補助光源220として、放射波長が340nm以上450nm以下に最大放射ピーク波長を有するものに代え、放射波長が540nm以上630nm以下に最大放射ピーク波長を有するものを用いるようにしてもよい。或いは、補助光源220として、双方の最大放射ピーク波長を有するものを用いることもできる。
以上のような第5実施形態に係る捕虫器100によれば、主光源として機能する誘引光源210の効果に加え、補助光源220の効果により、害虫の捕獲数を向上させることができるものと期待することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図8は本発明の第6実施形態に係る捕虫器100の概要を説明する図である。
第5実施形態においては、補助光源220を吊下線110に配するようにしたが、第6実施形態においては、透明長尺円筒部180の下方端側に支持部材240を設け、この支持部材240に鉛直上方を照射する補助光源220を配するようにしている。ここで、誘引光源210と補助光源220のぞれぞれの分光特性は、第5実施形態で説明したものと同様とすることができる。
第6実施形態では、補助光源220によって下方側から透明長尺円筒部180を照射することとなるので、第6実施形態に係る捕虫器100は、透明長尺円筒部180の外囲部に粘着剤270を塗布した実施形態や、保護網280に粘着シート285を配した実施形態と組み合わせるとより効果的に、害虫の捕獲を行うことができる。
以上、本発明に係る捕虫器は、円筒部の鉛直下方に、光を透過する透明長尺円筒部を有しており、このような本発明に係る捕虫器によれば、透明長尺円筒部を介して下方側のエリアにも、誘引光源からの光が到達するので、当該エリアにいる害虫が前記誘引光源によって誘引されて、捕獲・駆除されるので、害虫の駆除確率をより高めることが可能となり、害虫による果樹、野菜、作物への被害を抑制することができる。
さらに、本発明に係る捕虫器によれば、透明長尺円筒部から、農作物の根本のあたりに、暖かい空気を供給することでき、農作物の病気の発生率を低減できると共に、根本付近で結実させることができるようになり、作物の生産量を増加させることができる。
100・・・捕虫器
110・・・吊下線
130・・・化学物質配設部
150・・・円錐状部
151・・・固定金具
160・・・すり鉢状部
170・・・円筒部
180・・・透明長尺円筒部
190・・・ファン
210・・・誘引光源
220・・・補助光源
223・・・LED素子
230・・・光拡散樹脂(光拡散手段)
240・・・支持部材
270・・・粘着剤
280・・・保護網
285・・・粘着シート
310・・・捕獲ネット

Claims (10)

  1. 虫を誘引する光を発する誘引光源と、
    前記誘引光源の鉛直下方に配され、鉛直下方に向かって開口径が絞られるすり鉢状部と、
    前記すり鉢状部の鉛直下方に配され、前記すり鉢状部から延在する円筒部と、
    前記すり鉢状部の開口から前記円筒部内に吸引する気流を発生させるファンと、
    前記円筒部の鉛直下方に配され、光を透過する透明長尺円筒部と、
    前記透明長尺円筒部の鉛直下方に配され、虫を捕獲するネットと、からなることを特徴とする捕虫器。
  2. 前記すり鉢状部の近傍に虫を誘引する誘引剤を配することを特徴とする請求項1に記載の捕虫器。
  3. 前記透明長尺円筒部には、粘着剤が塗布されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の捕虫器。
  4. 前記透明長尺円筒部の外周を囲むように、円筒状の保護網が配されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の捕虫器。
  5. 前記保護網には、粘着シートが前記保護網の外側又は内側に配されることを特徴とする請求項4に記載の捕虫器。
  6. 前記誘引光源が500nm以上750nm以下の放射波長域を有し、540nm以上630nm以下の範囲で最大放射ピーク波長を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の捕虫器。
  7. 放射波長が565nm付近に最大放射ピークを有する補助光源をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の捕虫器。
  8. 前記誘引光源が300nm以上500nm以下の放射波長域を有し、340nm以上450nmnm以下の範囲で最大放射ピーク波長を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の捕虫器。
  9. 放射波長が340nm以上450nm以下に最大放射ピーク波長を有する補助光源をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の捕虫器。
  10. 放射波長が540nm以上630nm以下に最大放射ピーク波長を有する補助光源をさらに有することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の捕虫器。
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