JP7109073B2 - 捕虫装置及び当該捕虫装置を用いた捕虫方法 - Google Patents

捕虫装置及び当該捕虫装置を用いた捕虫方法 Download PDF

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本発明は、捕虫装置及び当該捕虫装置を用いた捕虫方法に関し、詳しくは栽培施設や圃場の外部からの虫類(とりわけ走光性を有する虫類)を誘引することなく、栽培施設や圃場内部の虫類(とりわけ走光性を有する虫類)を効率的に捕獲することのできる、捕虫装置及び当該捕虫装置を用いた捕虫方法に関する。
近年、温暖化に伴った農業害虫の生息域の拡大や、貿易による海外からの害虫侵入が深刻な問題になっている。
しかし、殺虫剤の多用は、環境面などから望ましいものではない。
しかも近年、殺虫剤の効かない害虫も発生しており、殺虫剤に代わる新たな防除法が求められている。
殺虫剤に代わる防除法として、光防除技術を用いる方法が注目されている。
このような光防除技術を用いて害虫を捕獲する手段として、害虫、例えば走光性を有する昆虫類が光に誘引される(光に集まる)性質を利用する光捕虫器(ライトトラップ)がある。
現在、さまざまな形状の捕虫器が販売されており、野菜の栽培施設や果樹園などにおいて、夜間を中心に使用されている。
これらの捕虫器は、広範囲にわたって虫を捕獲することを目的としており、市販されている光捕虫器の多くは、360度全方向又は180度の方向に光を照射して害虫を捕らえている。
また、例えば、特許文献1には、コガネムシ科昆虫を光で誘引する環状光源部と、前記環状光源部の下方に垂設された放射状捕捉部と、前記放射状捕捉部の下部に連接されたロート状の誘引部と、前記誘引部から落下するコガネムシ科昆虫を捕獲する捕獲容器とを具備したことを特徴とするコガネムシ科昆虫捕獲装置が開示されている。
このコガネムシ科昆虫捕獲装置においては、2個の円環状の蛍光灯からなる環状光源部を有するばかりか、2個の円環状の蛍光灯の照射光を広い範囲にわたって散乱させるための円筒状の光拡散板が設けられており(請求項1、請求項2など参照)、360度全方向に光を照射して害虫を捕らえている。
ところで、光(光線)は、風に乗って運ばれるフェロモンなどの化学物質と異なり、非常に直進性が高く、遠方にまで到達するという物理的特性をもち、それが光捕虫器の最大の利点である。
従って、上記したように、従来提案されている捕虫器や捕獲装置は、360度全方向又は180度の方向に光を照射している。
しかし、上記したような捕虫器や捕獲装置は、光を四方など広範囲に拡散させるため、栽培施設や圃場の外に光が漏れてしまい、外部から栽培施設内や圃場内に害虫を呼び込んでしまうという欠点があった。
即ち、上記したような捕虫器、捕獲装置を、栽培施設や圃場内に設置した場合に、捕虫器等からの光によって栽培施設や圃場の外部にいる害虫までも誘引してしまい、当該捕虫器等の捕虫効果が減殺されるという欠点があった。
しかも栽培環境や使用条件によっては、栽培施設内や圃場内の害虫密度を上げてしまうという“逆効果”をもたらすおそれさえあり、その改善が求められていた。
実用新案登録第3164250号公報
本発明は、上記課題を解決し、栽培施設や圃場において、これらの外部からの虫類、特に外部からの走光性を有する虫類を誘引することなく、栽培施設や圃場内部の虫類のみを、特にこれら内部の走光性を有する虫類のみを、効率的に捕獲することのできる、捕虫装置及び当該捕虫装置を用いた捕虫方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ね、捕虫器の光指向性を高め、光の直進性を利用して光の到達範囲を絞り込むことにより、栽培施設や圃場内部の虫類のみを、特にこれら内部の走光性を有する虫類のみを、効率的に誘引して、捕らえることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、下記の(1)~(13)に関する。

(1);上面からみて略くの字形に、正面からみて左右方向に拡開状に配置された薄板状部材、及び、前記薄板状部材の拡開方向に向けた中央部に設置された光源、からなる光誘引部と;
前記光誘引部の下部に連接された漏斗状の捕獲部材、及び、前記捕獲部材の下端に形成された捕獲孔、からなる捕獲部と;
前記捕獲部によって捕獲された虫類を回収する回収容器と;
を備えた捕虫装置であって、
前記光誘引部における左右の薄板状部材の配置角度を、90度以内とすると共に、前記薄板状部材として光遮蔽性を有するものを用いたことを特徴とする捕虫装置に関する。
以下、これを「本発明の第1」と称することがある。

(2);前記回収容器が、前記捕獲部における前記捕獲孔の下側に配置されている、
前記(1)に記載の捕虫装置に関する。

(3);前記捕獲部の下側に、
前記捕獲部によって捕獲された虫類を、前記捕獲部の捕獲部材に穿設されている前記捕獲孔を介して内部に収容する閉鎖空間を有する捕虫収容部をさらに配置し、前記捕虫収容部に、前記回収容器を配置してなる、前記(1)に記載の捕虫装置に関する。

(4);前記光源が線状光源である、前記(1)~(3)のいずれかに記載の捕虫装置に関する。

(5);前記光源の前面に光学レンズを配置してなる、前記(1)~(4)のいずれかに記載の捕虫装置に関する。

(6);前記光誘引部における左右の薄板状部材の配置角度が可変とされている、前記(1)~(5)のいずれかに記載の捕虫装置に関する。

(7);前記光誘引部における前記薄板状部材が、さらに光反射性に優れるものである、前記(1)~(6)のいずれかに記載の捕虫装置に関する。

(8);前記虫類が、走光性を有する虫類である、前記(1)~(7)のいずれかに記載の捕虫装置に関する。

(9);走光性を有する虫類が、カメムシ類又はコガネムシ類である、前記(8)に記載の捕虫装置に関する。

(10);前記光誘引部に、前記虫類についてのフェロモン剤を備えてなる、前記(1)~(9)のいずれかに記載の捕虫装置に関する。

(11);前記光誘引部に、粘着成分、電撃殺虫器、捕虫用ファンのいずれか1以上が備えられている、前記(1)~(10)のいずれかに記載の捕虫装置に関する。

(12);施設栽培における捕虫方法において、前記(1)~(11)のいずれかに記載の捕虫装置を少なくとも1台施設内に配置し、前記捕虫装置の光誘引部を施設内側に向けて光照射して、捕虫することを特徴とする、施設栽培における捕虫方法に関する。
以下、これを「本発明の第2」と称することがある。

(13);露地圃場における捕虫方法において、前記(1)~(11)のいずれかに記載の捕虫装置を、圃場内の少なくとも四隅に、前記捕虫装置の各光誘引部から圃場外へ光が漏れないような角度をもって配置し、光照射して、捕虫することを特徴とする、露地圃場における捕虫方法に関する。
以下、これを「本発明の第3」と称することがある。
本発明の第1~3によれば、栽培施設や圃場において、これらの外部からの虫類、特に外部からの走光性を有する虫類を誘引することなく、栽培施設や圃場内部の虫類のみを、特にこれら内部の走光性を有する虫類のみを、とりわけこれら内部の走光性を有する昆虫類のみを、効率的に捕獲することができる。
しかも、本発明の第1~3によれば、光指向性が高められていることから、同じ明るさであるとするならばエネルギーの利用効率が向上しており、省電力が期待できる。
本発明の第1の捕虫装置の1実施形態を示す正面図である。 本発明の第1の捕虫装置の1実施形態を示す右側面面図である。 本発明の第1の捕虫装置の1実施形態を示す斜視図である。 本発明の第1の捕虫装置の別の実施形態を示す斜視図である。 本発明の第2の施設栽培における捕虫方法の1実施形態を示す説明図である。 より具体的には、図1~3に示す捕虫装置を2台用い、それぞれの光誘引部(誘虫部)1を栽培施設の内側に向けて光照射して、捕虫する様子を示す説明図である。 本発明の第3の露地圃場における捕虫方法の1実施形態を示す説明図である。 より具体的には、図1~3に示す捕虫装置Aを、圃場内の四隅に、捕虫装置の各光誘引部から圃場外へ光が漏れないような角度をもって配置し、光照射して、捕虫する様子を示す説明図である。 実験例1におけるチャバネアオカメムシ成虫の屋内捕虫・誘引試験の様子を示す説明図である。 実験例1におけるチャバネアオカメムシ成虫の屋内捕虫・誘引試験で、捕虫された虫数を、放虫した場所別に示すグラフである。 実験例1のチャバネアオカメムシ成虫の屋内捕虫・誘引試験において、放虫したが、移動せず、捕虫装置Aに誘引されなかった虫数を場所別に数えた結果を示すグラフである。 実験例2のコガネムシ捕虫試験におけるコガネムシの捕虫数を調べた結果を示すグラフである。
本発明の第1は、捕虫装置に関し、
上面からみて略くの字形に、正面からみて左右方向に拡開状に配置された薄板状部材、及び、前記薄板状部材の拡開方向に向けた中央部に設置された光源、からなる光誘引部(誘虫部)と;
前記光誘引部の下部に連接された漏斗状の捕獲部材、及び、前記捕獲部材21の下端に形成された捕獲孔、からなる捕獲部と;
前記捕獲部における前記捕獲孔の下側に配置される回収容器と;
を備えた捕虫装置であって、
前記光誘引部における左右の薄板状部材の配置角度を、90度以内とすると共に、前記薄板状部材として光遮蔽性を有するものを用いたことを特徴とするものである。
図1は、本発明の第1の捕虫装置の1実施形態を示す正面図であり、図2はその右側面面図であり、図3はその斜視図である。符号Aが捕虫装置を示している。
図中、符号1は、光誘引部(誘虫部)であって、文字通り、光でもって昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を誘引する部分(場所)である。
本発明において、この光誘引部(誘虫部)1は、図1~図3に示すように、上面からみて略くの字形に、正面からみて左右方向に拡開状に配置された薄板状部材11、11、及び、前記薄板状部材の拡開方向に向けた中央部12に設置された光源13、からなるものである。
ここで「上面からみて略くの字形に、正面からみて左右方向に拡開状に配置された薄板状部材11、11」とするには、1枚の薄板状部材を折って(2枚のようにして)、上面からみて略くの字形に、正面からみて左右方向に拡開状に配置してもよいし、或いは、左右2枚の薄板状部材を用いて上面からみて略くの字形に、正面からみて左右方向に拡開状に配置させるようにしてもよい。
後者の場合には、左右2枚の薄板状部材を接合したものを用い、この接合部(前記中央部12に相当する)を介して左右2枚の薄板状部材11、11を上面からみて略くの字形に、正面からみて左右方向に拡開状に配置すればよい。
本発明においては、この薄板状部材11、11として、光遮蔽性を有するものを用いる必要がある。
ここで光遮蔽性とは、光源13からの光を透過させず遮蔽して、光源13からの光を、当該薄板状部材11、11の後面側には漏らさない(漏洩させない)性質を指している。この薄板状部材11、11として、当該薄板状部材11、11の後面側への漏洩光を遮断可能な素材を用いる必要がある。
そのような光遮蔽性を有するものとして具体的には、例えば、木質板、有色のプラスチック板、金属板を挙げることができる。
本発明においては、例えば上記した木質板のように、それ自体が光遮蔽性を有するものの他に、それ自体は光遮蔽性がないか、或いは低いものであったとしても、その表面に、例えばテープ状の光遮蔽性を有する素材を貼り付けるなどして、全体として光遮蔽性を有するものとしたものも用いることができる。
左右の薄板状部材11、11が、このような光遮蔽性を有するものでない場合、例えば透過性のあるものであるような場合には、光源13からの光が薄板状部材11、11の後面側にも漏れてしまい、好ましくない。
さらに、左右の薄板状部材11、11としては、光反射性に優れるものが好ましい。そのため、例えば、左右の薄板状部材11、11の表面に、光反射材を塗布したり、或いは、貼り付けたりして、光反射性に優れたもの(光反射板)とすることができる。勿論、左右の薄板状部材11、11の素材自体を、光反射性に優れるものとすることができる。
このように、左右の薄板状部材11、11として、光遮蔽性を有すると同時に、光反射性に優れるものを用いることにより、光遮蔽性および光指向性をより高めることができる。
例えば、上記したようにテープ状の光遮蔽性を有する素材を貼り付けるなどして、全体として光遮蔽性を有するものとしたものを用いた場合、このテープ状の光遮蔽性を有する素材について、同時に反射性にも優れたものを用いることにより、光遮蔽性をより高めることができる。
左右の薄板状部材11、11は、中央部12を挟んで拡開状に配置されている。
この中央部12は、1枚の薄板状部材を、上面からみて略くの字形になるように、正面からみて真中で折り曲げることによって形成させたものであってもよいし、或いは、左右2枚の薄板状部材11、11の縦辺同士を接合、つまりつなぎ合わせて形成させたものであってもよい。後者の場合の接合方法は特に限定されないが、通常、接着剤などによって接着することにより接合すればよい。
本発明においては、この光誘引部1における薄板状部材11、11の配置角度を、90度以内とすることが必要である。
換言すると、光誘引部1における薄板状部材11、11の配置角度を、上方視、つまり上面から見て、90度以内とすることが必要である。
ここで、この薄板状部材11、11の配置角度が90度を超えたものであると、光を広範囲に照射することになることから、同じ明るさであるとするならばエネルギーの利用効率が低く、しかも栽培施設や圃場の外に光が漏れ易くなり、外部から栽培施設内や圃場内に害虫を呼び込んでしまうおそれがあったりするため、好ましくない。
なお、光誘引部1における薄板状部材11、11の配置角度を可変としておくことができ、これにより、光遮蔽角度を調整して、90度以内の様々な角度で光を照射することができる。
例えば、この配置角度(光遮蔽角度)をより狭くすることにより、光指向性を一層高めて、作物上の走光性昆虫類をピンポイントで捕集することもできる。光指向性を高めることにより、エネルギー効率を高めることもできる。
また、必要に応じて、虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類の飛翔特性等を制限しない範囲で、上部方向の光遮蔽角度を制限し、ひいては光遮蔽性を高めるために、光誘引部1における薄板状部材11、11の上部に、適宜角度を有する屋根状の部材(図示していない)などを配置することもできる。これにより、薄板状部材11、11の上部から後面側へ漏洩する光を減らすことができ、ひいては光照射したエリア外から虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類が誘引されるのを避けることができる。
そして、上面からみて略くの字形に、正面からみて左右方向に拡開状に配置された薄板状部材11、11の拡開方向に向けた中央部12には、光源13が設置されている。
以下、左右の薄板状部材11、11において、この中央部12が存在する側の面を「前面」と称し、その裏側(反対側)の面を「後面」と称することがある。
ここで光源13としては、LED光源、蛍光灯光源など、特に制限されないが、一般に輝度が高く、しかも指向性が強いものや指向性の異なるものを種々選択できる点、発光色(発光波長)を選択することができ、その結果、より強く誘引することができるなどの点から、LED光源が好ましく用いられる。
LED光源とした場合、対象とする虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類の種類等に応じて、適宜、発光色(発光波長)の異なるLEDを選択することにより、より強く、或いは、より対象とする虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を絞って、誘引することが可能である。
なお、紫外線を放射するブラックライトを光源として用いることもできる。ブラックライトとしては、LEDと蛍光灯のいずれであってもよい。
また、光源13の形態としては、点光源よりも、線状光源(又は指向性の高い光源)を用いることが好ましい。
この点から、光源13としては、LED光源や蛍光灯光源を複数台、線状に縦型配置したものが好ましく、例えば縦型ベルト状とされているLEDライトなど、が最も好ましく用いられる。
光源13のための電源装置131としては、特に限定されない。例えば、当該捕虫装置を栽培施設内に設置する場合であれば、交流電源が最も安価に使用できるが、屋外の圃場に設置する場合には、太陽光発電装置や蓄電池などが好適に使用される。
また、タイマーや明りセンサーなどを用いたり、或いは、タイマーや明りセンサーを内蔵させた光源(LED電球)を用いたりして、夜間のみ、誘引光を自動的に照射させるようにすることもできる。
本発明における光誘引部(誘虫部)1は上記の如きものであって、このような光誘引部(誘虫部)1から、誘引光が光照射される。
この誘引光は、配置角度90度以内で、拡開状に配置された左右の薄板状部材11、11の中央部12上に設置された光源13から照射されるため、光指向性が高められており、特に線状光源を用いた場合には、より光指向性が高められたものとなっている。さらに、LED光源を用いた場合には、より一層光指向性が高められたものとなる。
このような光誘引部(誘虫部)1から照射される光に誘引されて飛翔してきた虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類は、光源13の周囲に存在している左右の薄板状部材11、11に衝突し、衝突後、多くは落下し、次いで、光誘引部(誘虫部)1の下部に連接されている捕獲部2に転がり落ちたり、或いは滑り落ちたりしながら入り、捕獲されることになる。捕獲部2については、後述する。
さらに、光源13の前面に、(集光・光学)レンズ(図示していない)を配置しておくことにより、より光指向性を高めて、作物上の虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類をピンポイントで捕集することもできる。光指向性を高めることにより、エネルギー効率を高めることもできる。
本発明の第1の捕虫装置においては、虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類についてのフェロモン剤を備えておくことができ、特に上記した光誘引部(誘虫部)1に虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類についてのフェロモン剤を備えておくことが、誘引力アップの観点から好ましい。
ここで用いるフェロモン剤としては、対象とする虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類に応じて、適宜選定すればよい。フェロモン剤は、1種類だけでなく、必要に応じて、2種類以上を用いることもできる。
通常、フェロモン剤は、性フェロモンを吸着させた誘引剤を容器(トラップ)の中に入れたフェロモントラップの形で用いられる。
さらに、本発明の第1の捕虫装置においては、光誘引部1に、粘着剤を塗布したり、粘着シートを貼付したりすることにより、粘着成分を備えたものとすることができる。粘着シートを備える場合、剥離可能な状態で貼付して、使い捨てタイプとすることができる。光誘引部に、電撃殺虫器又は捕虫用ファンを加えることにより、捕虫性能を高めることもできる。即ち、光誘引部に、粘着成分、電撃殺虫器、捕虫用ファンのいずれか1以上を備えたものとすることができる。
このように光誘引部1について、粘着成分を備えたものとすることにより、飛来した虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類のうち、薄板状部材11、11に衝突するなどして落下し、次で述べる捕獲部2に捕獲される(比較的重量のある)虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類以外の虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類について、例えば蛾類、蚊類、コバエ類などについて、この粘着成分により捕獲(捕虫)することができる。勿論、次で述べる捕獲部2に捕獲される(比較的重量のある)虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類についても、この粘着成分により捕獲(捕虫)することが十分可能である。
次に、図中、符号2は、捕獲部であって、上記光誘引部(誘虫部)1の下部に連接されており、上記光誘引部(誘虫部)1によって誘引された昆虫類、とりわけ虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を捕獲する部分(場所)である。
なお、上記したフェロモン剤は、必要に応じて、光誘引部(誘虫部)1と共に、或いは、光誘引部(誘虫部)1の代わりに、この捕獲部2に備えておくこともできる。
この捕獲部2は、捕獲部材21と捕獲孔22とからなるものである。
この捕獲部2は、光源13の下端部よりも低い位置に配置されていて、上記光誘引部(誘虫部)1の下部に連接された漏斗状の捕獲部材21と、この捕獲部材21の下端に形成されている捕獲孔22と、からなっており、上記した光誘引部(誘虫部)1によって誘引された虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を、漏斗状の捕獲部材21と、この捕獲部材21の下端に形成された捕獲孔22と、により捕獲するものである。
ここで「漏斗状」とは、上部から下部に向かって先細りとなり次第に内部空間が狭くなる形状(すぼまった形状)を指している。漏斗状をなす捕獲部材21の下端は、より口径の小さな孔となって、捕獲孔22を形成している。
この漏斗状の捕獲部材21について、図1~図3では、下部が開口した、底のない、倒立した三角錐(逆さ三角錐)の如き形状のものを示しているが、これに限定されるものではなく、いわゆる「じょうご」のように上部が「朝顔形」に開いたものであってもよい。
例えば、図1~図3に示す漏斗状の捕獲部材21は、具体的には、
光誘引部1における薄板状部材11、11の左右の下角部111、111(左下角部と右下角部と)を水平に結ぶ直線を底辺Vとし、
前記底辺Vと、前記底辺Vの両端(つまり左右の下角部111、111)から、それぞれ前記底辺よりも下方位置の前記中央部12の下端点112を延長した仮想の延長点113へ向かって延びる二等辺X、Xと、
の三辺から形成される略二等辺三角形状の部材からなる面と;
前記辺X、Xと、
前記左右の下角部111、111(左下角部と右下角部と)から、それぞれ中央部12の下端点112へ向かって延びる左右の辺Y、Yと、
前記中央部12の下端点112から、前記延長点113へと延びる辺Zと、
の三辺から形成される、左右のそれぞれ略二等辺三角形状の部材からなる二つの面と;
の三面からなる、倒立した三角錐(逆さ三角錐)の如き形状をなしており、
上部から下部に向かって先細りとなり次第に空間が狭くなる、略漏斗状に形成されるすぼまった空間を形成している。
漏斗状の捕獲部材21の下端に、つまり漏斗状に形成される空間を形成している捕獲部材21における、漏斗状に形成される下端の最もすぼまった部分に、捕獲孔22が形成されている。
この捕獲孔22により、上記光誘引部(誘虫部)1によって誘引され、上記光誘引部(誘虫部)1における左右の薄板状部材11、11などに衝突して落下した虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を、捕獲部材21を通じて内部に捕獲する。
なお、捕獲部材21は、漏斗状をなし、漏斗状に形成される、すぼまった空間を有していることから、一旦、この捕獲部材21内に入った虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類は、この捕獲部材21内から脱出することができず、捕獲部材21の下端のすぼまった部分に形成されている捕獲孔22により、捕獲され、最終的には、次の回収容器4に収容されて、回収されることになる。
本発明の捕虫装置は、上記した捕獲部2によって捕獲された虫類を回収する回収容器4を備えている。
図1~図3においては、回収容器4は、捕獲孔22の下側に配置されている。
図1~図3においては、回収容器4を、捕獲部2の捕獲部材21に穿設されている捕獲孔22の下側に配置し、連結させており、これにより、捕獲された虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を直接回収容器4に回収することができ、装置全体をコンパクトなものとすることができる。
回収容器4としては特に限定されないが、例えばペットボトル状のものを用いることができる。
図4は、本発明の第1の捕虫装置の別の実施形態を示す斜視図である。
図4に示す別の実施形態は、捕獲部2の下側に、捕獲(捕虫)した走光性昆虫類を一旦収容しておく捕虫収容部3を配置し、この捕虫収容部3に、回収容器4を配置している点が、上記した実施形態とは異なる。
即ち、季節、設置場所、回収頻度などから、上記した実施形態のものよりも大がかりな装置が必要とされる場合などには、図4に示す別の実施形態のように、捕獲部2の下側に、捕獲部2によって捕獲された虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を、捕獲部2の捕獲部材21に穿設されている捕獲孔22を介して内部に収容する閉鎖空間31を有すると共に、内部に収容された虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を回収する回収容器4が配置されている捕虫収容部3を配置しておくことができ、この捕虫収容部3内に、捕獲した多くの数の虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を一旦収容した後に、回収容器4により回収することができる。
本発明の第1において、捕獲部2の下側に、この捕虫収容部3を配置する場合には、捕虫収容部3に回収容器4を配置すればよい。捕虫収容部3に収容されている虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類は、適宜タイミングにて回収容器4に回収すればよい。
なお、捕虫収容部3は、捕獲(捕虫)した虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を一旦収容しておくスペースがあるものであればよく、その形状や大きさについて特に限定されない。
捕虫収容部3には、必要に応じて、内部を覗くことのできる小窓33を設けることができる。
上記した如き本発明の第1の捕虫装置を圃場や施設に配置するには、吊り部材などに吊り下げる「吊り下げタイプ」として配置してもよいし、支柱を取り付けた「支柱取り付けタイプ」として配置してもよい。吊り下げ方や支柱の取り付け方については、常法に従い適宜選択すればよい。
本発明の第1の昆虫類捕虫装置を使用して虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を捕虫するには、暗くなっているとき、まず電源スイッチを入れて、光源13を点灯する。
光源13を点灯すると、虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類が、この光に誘引され、必要に応じて備え付けられているフェロモン剤による誘引力も加わって、本捕虫装置(特に、光誘引部(誘虫部)1付近)に飛来する。
飛来した虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類は、光誘引部(誘虫部)1における左右の薄板状部材11、11に衝突したりする結果、落下し、この光誘引部(誘虫部)1の下側に配置されている捕獲部2における、略漏斗状に形成される空間からなる捕獲部材21を転がり落ちたり、或いは滑り落ちたりしながら、捕獲孔22に入り、さらに捕獲孔22の下側に配置されている回収容器4に入り、回収される。
さらに、捕獲部2の下側に、捕虫収容部3を配置した場合には、捕獲部2によって捕獲された虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類は、一旦捕虫収容部3に収容され、捕虫収容部3に収容された虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類は、捕虫収容部3内に虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類が溜まってきたときや、回収時期を決めたりするなどして、その内部に配置されている回収容器4より適宜回収すればよい。
また、前記したように、光誘引部1について、粘着成分を備えたものとしてある場合には、飛来した虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類のうち、薄板状部材に衝突するなどして落下し、捕獲部2に捕獲される(比較的重量のある)虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類以外の走光性昆虫類については、例えば蛾類、蚊類、コバエ類などについては、この粘着成分により捕獲(捕虫)することができる。勿論、捕獲部2に捕獲される(比較的重量のある)虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類についても、この粘着成分により捕獲(捕虫)することが十分可能である。
この粘着成分に捕獲(捕虫)された虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類は、粘着成分を剥がしたりすることにより、容易に回収することができる。粘着シートを剥離可能な状態で貼付した使い捨てタイプのものとした場合には、粘着シートを剥離して回収すればよい。
本発明の第1の捕虫装置は、以上の如きものである。
本発明においては虫類、とりわけ走光性を有する虫類を対象としているが、ここで「走光性」とは、光に誘引される性質を指しており、「走光性を有する虫類」とは、光に誘引される性質を有する虫類全般を指している。光としては、可視光線のみならず、紫外線、赤外線を含む概念である。
また、「虫類」としては、節足動物門に属する動物、特に節足動物門中の昆虫綱に属する、いわゆる昆虫類と;クモ綱に属する、いわゆるクモ類と;を指す。
本発明の第1の捕虫装置により捕虫することのできる虫類、とりわけ走光性を有する虫類としては、特に限定されないが、栽培施設や圃場において特に害の大きい、カメムシ類やコガネムシ類などの飛翔性のある走光性昆虫類に対して、有効に用いることができる。
ここでカメムシ類としては、カメムシ目(半翅目)(Hemiptera)、カメムシ亜目(異翅亜目)(Heteroptera)に属する昆虫のうち、陸生昆虫を全て指すが、例えば、チャバネアオカメムシ(Plautiastali)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula)、クサギカメムシ(Halyomorpha halys)等のカメムシ科(Pentatomidae)に属する昆虫を挙げることができる。
また、コガネムシ類としては、主にコガネムシ科(Scarabaeidae)に属する昆虫が挙げられ、具体的には例えば、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、アオドウガネ(Anomala albopilasa)、マメコガネ(Popillia japonica)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)などを挙げることができる。
前記したように、本発明の第1の捕虫装置は、蛾類、蚊類、コバエ類、ハエ類など、飛翔性のある走光性を有する昆虫類についても捕獲(捕虫)対象とすることができ、特に誘引部1に粘着剤を塗布したり、粘着シートを貼付したりすることにより、これらの昆虫類の他に、蛾類、蚊類、コバエ類など、飛翔性のある走光性を有する昆虫類を、より容易に捕獲(捕虫)することができる。
ここで蛾類としては、例えばノシメマダラメイガ、スジマダラメイガなどメイガ科に属する昆虫やアケビコノハ、アカエグリバ、ヒメエグリバなどヤガ科に属する昆虫など;蚊類としては、例えばアカイエカなどカ科に属する昆虫やユスリカなどユスリカ科に属する昆虫など;コバエ類としては、例えばクロバネキノコバエなどクロバネキノコバエ科に属する昆虫やノミバエなどノミバエ科に属する昆虫など;ハエ類としては、例えばアシグロハモグリバエなどハモグリバエ科に属する昆虫など;がそれぞれ挙げられ、これらの昆虫類に対しても有効に用いることができる。
なお、蚊やハエなどの昆虫については、波長370~400nm付近の紫外光に誘引されやすい性質を有しているものが多いことから、これらをターゲットとする場合には、前記光源としては、そのような波長の紫外線を照射できるものを選択すると、より効果的である。
走光性を示す昆虫類については、必ずしも全容解明されたわけではなく、少なくとも夜行性のものに限定されるものではないことが分かっているが、特定の活動周期や日齢にある昆虫類が走光性を示す場合もあり、さらに発光波長や発光強度によって走光性を示す場合もあることが分かっている。
従って、本発明の第1の捕虫装置は、様々な種類の虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類を捕獲(捕虫)対象とすることが可能であるものと考えられる。
次に、本発明の第2は、施設栽培における捕虫方法に関し、施設栽培における捕虫方法において、前記本発明の第1に記載の捕虫装置を少なくとも1台施設内に配置し、前記捕虫装置の光誘引部を施設内側に向けて光照射して、捕虫することを特徴とするものである。
図5は、本発明の第2の施設栽培における捕虫方法の1実施形態を示す説明図である。より具体的には、図5は、図1~3に示す捕虫装置Aを2台用い、それぞれの光誘引部(誘虫部)1を栽培施設の内側に向けて光照射して、捕虫する様子を示す説明図である。
本発明の第2においては、前記本発明の第1に記載の捕虫装置Aを、少なくとも1台、好ましくは2台乃至それ以上、施設内に配置する。
その上で、捕虫装置Aの光誘引部(誘虫部)1(2台以上捕虫装置Aを配置した場合には、それぞれの光誘引部(誘虫部)1)を、図5に示すように、栽培施設の内側に向けて光照射して、捕虫する。
栽培施設の内側に向けて光照射することで、栽培施設の内側のみに誘引光が光照射され、効率的に捕虫できると共に、施設外部の虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類の誘引が防止される。
次に、本発明の第3は、露地圃場における捕虫方法に関し、露地圃場における捕虫方法において、請前記本発明の第1に記載の捕虫装置を、圃場内の少なくとも四隅に、前記捕虫装置の各光誘引部から圃場外へ光が漏れないような角度をもって配置し、光照射して、捕虫することを特徴とするものである。
ここで圃場とは、農産物を育てる場所の全てを含み、田、畑、果樹園、牧草地などを含んでいる。
図6は、本発明の第3の露地圃場における捕虫方法の1実施形態を示す説明図である。
本発明の第3においては、前記本発明の第1に記載の捕虫装置Aを、圃場内の少なくとも四隅に、好ましくは四隅乃至それ以上の箇所に、配置する。
ここで四隅以上の箇所に配置する場合には、例えば、四隅と、四隅のそれぞれ中間付近との合計8箇所に捕虫装置Aを配置することができる。このとき、圃場の周りの地形や虫類、特に昆虫類、とりわけ走光性を有する昆虫類の生息していそうな場所等も考慮して、配置箇所を8箇所から、適宜、間引いたり、或いは、増やしたりしてもよい。
このとき捕虫装置の各光誘引部(誘虫部)1から、圃場外へ、光が漏れないような角度をもって配置することが必要である。
圃場外へ光が漏れないような角度をもって配置し、圃場の内側に向けて光照射することで、圃場の内側のみに誘引光が光照射され、効率的に捕虫できると共に、圃場外部の走光性を有する昆虫類の誘引が防止される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
[実験例1]チャバネアオカメムシ成虫の屋内捕虫・誘引試験
図4に示す本発明の捕虫装置Aを用い、これを屋内に設置し、図7に示すようにしてチャバネアオカメムシ成虫の捕虫・誘引試験を行った。図7においては、「本発明の捕虫装置A」を「光指向性トラップ」と表記し、「薄板状部材11、11」を「遮光反射板」と表記し、さらに、「光源13」を「LED光源」と表記した。
まず図7に示すように、屋内に備え付けられている照明を落とした状態で、捕虫装置A(上記したように図7では、「光指向性トラップ」と表記した。以下同じ)のLED光源を点灯させた。
この状態で、捕虫装置Aの前方(正面)と後方と側方との3箇所の放虫地点に、それぞれチャバネアオカメムシ成虫を放虫し、捕虫装置Aに捕虫された虫数を、放虫した場所別に数えた。なお、各放虫地点は、捕虫装置Aから半径2mの距離に設けた。50頭中のパーセンテージを図8に示す。
なお、チャバネアオカメムシ成虫は、捕虫装置Aの前方(正面)と後方と側方との3箇所で同時に合計50頭放虫した。各地点の放虫数は、それぞれ12~13頭とし、放虫場所が分かるように、チャバネアオカメムシ成虫に目印を付けて放虫した。
捕虫数の計測は、放虫から20分経過後に行った。
ここで捕虫装置Aの前方(正面)のみが光照射したエリアであって、捕虫装置Aの後方と側方とは、全く光照射されなかったエリアである。
上記捕虫数の計測と合わせて、放虫したが、移動せず、捕虫装置Aに誘引されなかった虫数を場所別に数えた。計50頭中のパーセンテージを、図9に示す。
本実験例における捕虫装置Aとしては、以下のとおりのものを用いた。

・光誘引部(誘虫部)1における薄板状部材11、11:縦680mm、横594mm、厚さ18mmの木製材料を左右で同じ大きさ(それぞれ縦300mm、横300mm)となるように中央部12で二つ折りにし、配置角度90度で設置し、表面に光反射剤を塗布したものを用いた。

・光誘引部(誘虫部)1における光源13:白色LED光源(LED素子が線状に4個搭載)を、縦型配置した。LED光源から 11cmの距離の明るさは 3.95×1018photons/m2/s (ピーク波長:454nm)であった。
・捕獲部2における捕獲部材21:底辺Vの長さ480mm、二等辺X、Xの長さ 310mm

・捕獲部2における捕獲孔22:底辺の長さ85mm、二等辺の長さ85mm

・捕虫収容部3:捕獲部材21と底板34(底辺の長さ 297 mm、二等辺の長さ 195.87 mm)の成す空間を捕虫収容部とした。

・回収容器4:捕獲された虫の回収を容易にするため、捕虫収容部にビニール袋を設置した。
その結果、図8に示すように、光照射したエリアである捕虫装置Aの前方(正面)に放虫されたチャバネアオカメムシ成虫のうち、36%が誘引・捕虫された。
一方、全く光照射されなかったエリアである、後方と側方に放虫されたチャバネアオカメムシ成虫は、一匹も誘引・捕虫されなかった。
従って、光照射したエリアである捕虫装置Aの前方(正面)に放虫されたチャバネアオカメムシ成虫だけが誘引・捕虫され、全く光照射されなかったエリアである、後方と側方に放虫されたチャバネアオカメムシ成虫は、一匹も誘引・捕虫されなかったことが分かる。
それ故、光照射したエリアの走光性を有する昆虫類のみが選択的に誘引・捕虫されたことが分かる。
また、図9に示すように、光照射したエリアである捕虫装置Aの前方(正面)に放虫されたチャバネアオカメムシ成虫は、そのうち14%が移動せず、その場に留まり、誘引されなかったことが分かった。
一方、側方に放虫されたチャバネアオカメムシ成虫は、そのうち83%が移動せず、その場に留まり、また、後方に放虫されたチャバネアオカメムシ成虫は、そのうち92%が移動せず、その場に留まった。
従って、光照射したエリア外である後方と側方に放虫されたチャバネアオカメムシ成虫は、大半が移動せず、その場に留まったことが分かる。
それ故、図1~3に示す本発明の捕虫装置Aによれば、光照射したエリア外からは、チャバネアオカメムシ成虫を誘引しなかったことが分かる。
このことから、図1~3に示す本発明の捕虫装置Aでは、光照射したエリアから、光照射したエリア外へ漏れる光があったとしても、光照射したエリア外からは、殆どチャバネアオカメムシ成虫を誘引せず、栽培施設や圃場の外部から有害な走光性を有する昆虫類を誘引するおそれが少ないものと認められた。
[実験例2]コガネムシ捕虫試験
図4に示す本発明の捕虫装置Aにさらに市販フェロモントラップを組み合せたものを用い、これを屋外の圃場(20m×20m)の中央に設置して、コガネムシの捕虫数を調べた。比較のために、市販フェロモントラップだけを用いた場合のコガネムシの捕虫数を調べた。なお、調査圃場の周りは、ほとんどがクズで覆われており、ところどころ合間にイネ科雑草が茂っていた。いずれも草丈は30~50cmほどだった。
それぞれ7回行った結果の平均値を図10に示す。
なお、調査は、2016年7月23日から8月24日にかけて行った。このときコガネムシの放虫は行わず、自然に発生しているもののみを調査対象とした。小蛾、カメムシ、コバエ、ユスリカも少数捕獲されたが、圧倒的多数はヒメコガネだった。
なお、市販フェロモントラップとしては、ヒメコガネを選択的に誘引する富士フレーバー社製ヒメコガネ用フェロモンルアーを用いた。
その結果、図10に示すように、市販フェロモントラップだけを用いた場合(平均約2匹)と比べて、図1~3に示す本発明の捕虫装置Aにさらに市販フェロモントラップを組み合せたものを用いた場合、コガネムシの捕虫数が約3.5倍(平均約7匹)となったことが分かる。
従って、本発明の捕虫装置Aにさらに市販フェロモントラップを組み合せた場合には、強力にコガネムシを捕虫することができることが明らかとなった。
本発明は、栽培施設や圃場内における害虫である走光性を有する昆虫類を、殺虫剤などを用いることなく、光を用いて効率的に捕獲・捕虫する技術(光防除技術)として高い効果を発揮することから、環境に優しい防除技術として、農業資材の他、衛生害虫などの防虫産業においても広く活用されることが期待される。
A 捕虫装置
1 光誘引部(誘虫部)
11 薄板状部材
12 中央部
13 光源
111 薄板状部材11、11の左右の下角部
112 中央部12の下端点112
113 下端点112を延長した仮想の延長点
131 電源装置
2 捕獲部
21 捕獲部材
22 捕獲孔
3 捕虫収容部
31 閉鎖空間
33 小窓
34 底板
4 回収容器

Claims (13)

  1. 上面からみて略くの字形に、正面からみて左右方向に拡開状に配置された薄板状部材、及び、前記薄板状部材の拡開方向に向けた中央部に設置された光源、からなる光誘引部(誘虫部)と;
    前記光誘引部の下部に連接された漏斗状の捕獲部材、及び、前記捕獲部材21の下端に形成された捕獲孔、からなる捕獲部と;
    前記捕獲部によって捕獲された虫類を回収する回収容器と;
    を備えた捕虫装置であって、
    前記光誘引部における左右の薄板状部材の配置角度を、90度以内とすると共に、前記薄板状部材として光遮蔽性を有するものを用いたことを特徴とする捕虫装置。
  2. 前記回収容器が、前記捕獲部における前記捕獲孔の下側に配置されている、請求項1に記載の捕虫装置。
  3. 前記捕獲部の下側に、
    前記捕獲部によって捕獲された虫類を、前記捕獲部の捕獲部材に穿設されている前記捕獲孔を介して内部に収容する閉鎖空間を有する捕虫収容部をさらに配置し、前記捕虫収容部に、前記回収容器を配置してなる、
    請求項1に記載の捕虫装置。
  4. 前記光源が線状光源である、請求項1~3のいずれかに記載の捕虫装置。
  5. 前記光源の前面に光学レンズを配置してなる、請求項1~4のいずれかに記載の捕虫装置。
  6. 前記光誘引部における左右の薄板状部材の配置角度が可変とされている、請求項1~5のいずれかに記載の捕虫装置。
  7. 前記光誘引部における前記薄板状部材が、さらに光反射性に優れるものである、請求項1~6のいずれかに記載の捕虫装置。
  8. 前記虫類が、走光性を有する虫類である、請求項1~7のいずれかに記載の捕虫装置。
  9. 走光性を有する虫類が、カメムシ類又はコガネムシ類である、請求項8に記載の捕虫装置。
  10. 前記光誘引部に、前記虫類についてのフェロモン剤を備えてなる、請求項1~9のいずれかに記載の捕虫装置。
  11. 前記光誘引部に、粘着成分、電撃殺虫器、捕虫用ファンのいずれか1以上が備えられている、請求項1~10のいずれかに記載の捕虫装置。
  12. 施設栽培における捕虫方法において、請求項1~11のいずれかに記載の捕虫装置を少なくとも1台施設内に配置し、前記捕虫装置の光誘引部を施設内側に向けて光照射して、捕虫することを特徴とする、施設栽培における捕虫方法。
  13. 露地圃場における捕虫方法において、請求項1~11のいずれかに記載の捕虫装置を、圃場内の少なくとも四隅に、前記捕虫装置の各光誘引部から圃場外へ光が漏れないような角度をもって配置し、光照射して、捕虫することを特徴とする、露地圃場における捕虫方法。
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