JP2005229997A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、農園、倉庫、工場、商店、一般家庭等での日中、あるいは夜間活動する飛翔昆虫を防除する装置に関する。
農園に飛来し増殖し加害活動する昆虫として、ミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマなどのアザミウマ類、シルバーリーフコナジラミ、オンシツコナジラミなどのコナジラミ類等があり、ピーマン、ナス、トマト、ネギ等の野菜、カーネーション、キクなどの花き類を加害する。
これらの飛翔昆虫の農作物被害防止方法として粘着板で誘引捕殺するものがある。代表的粘着板として青色と黄色のものがある。青色の粘着板はアザミウマ類等を誘引し、黄色はコナジラミ類等を誘引捕獲する。
粘着板は日中、太陽光の特定の波長域の光を反射させ、その光に誘引されて飛来してきた昆虫を捕獲する。
一般に、粘着板による太陽の反射光は弱く、昆虫を誘引する効果が低く、しかも反射光は一方向のみであるため特定の場所にいる飛翔昆虫しか誘引できない。
粘着板は晴天時のみ有効で、曇天、雨天、夜間、あるいは屋内、遮光ネットで覆われた場所等では機能を発揮できない。
粘着板は防除する必要のない昆虫、ほこり等が付着するため試用期間が限られ、短期間で取り替える必要がある。
本発明は、上記の問題点を解消し、より防除効率の高い防虫器を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は飛翔昆虫の誘引光源あるいは忌避光源を用い、光源の形状を球形、環形、直管等にし全方向に放射するものであることを特徴とする。ここで光源は白熱電球、蛍光灯、LED、HID光等を用いる。点灯方法は連続点灯、パルス点灯、更にそれらを組み合わしたものがある。
また、本発明は、飛翔昆虫が活動できる温度条件下で、光源を点灯するため、太陽の放射光量が減少する場合、すなわちどのような天候でも、夜間でも、園芸施設や屋内等 でも高い防除効果をもつことができることを特徴とする。
また、本発明は、作物の葉の裏側など光が直接届かない場所に留まっている昆虫を振動、音、風などの物理的手法、匂などの化学的手法で飛翔させることを特徴とする。
また、本発明は、飛翔昆虫が生息している場所、あるいは飛来してくる場所を効率良く照射するため、さらに誘引されてきた昆虫を捕獲部分に効率良く導くため、更に夜間点灯によって作物への影響がでる場合、照射光量を調整するために反射板付であることを特徴とする。
また、本発明は、誘引光源を用いた防虫器では、光源近辺は光源と同色でそれ以外の部分は忌避させる色になっていることを特徴とする。
また、本発明は、忌避光源を用いた防虫器では、全体を忌避させる色になっていることを特徴とする。
また、本発明は、誘引されてきた飛翔昆虫を殺傷捕獲するために捕虫網、ファン、水盤、粘着板、高熱、高電圧等、更にそれらを組み合わせた手段を持っていることを特徴とする。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の飛翔昆虫シルバーリーフコナジラミを誘引して捕獲する防虫器の実施例を示す断面図であり、1は取り付け金具、2は環形誘引光源、3は蛍光灯固定金具、4は黄色円錐状反射板、5は黄色漏斗状反射板、6は電動機、7はファン、8は白色捕虫網(0.4mm目)を示す
本発明の防虫器は、図1に示すように誘引光源2と反射板4,5、更に電動器6とファン7と白色捕虫網8などからなる飛翔手段さらに殺傷捕獲手段で構成されたものである。誘引光源2は0.50μm以上の波長域の放射光を持ち、0.55μm付近で最大放射ピーク波長を持つ30W環形蛍光灯を用いる。反射板4,5の傾きは45度以上とする。勿論反射板4,5の形状は、光源の形状によって変え、反射板の表面は、放射光の反射と昆虫の滑りをよくするためシリコンその他の表面処理をしてもよい。
光源2の光で誘引されてきた昆虫を反射板4,5で滑落させるとともにその下にある送風機(電動機 6およびファン 7から構成される)で吸引、殺傷して白色捕獲網8に落とす。また、その送風で作物の葉に留まっている昆虫を飛翔さす。
金網3の長さによって防虫器下部域への照射光量を変えることができる。夜間、菊等植物体への影響が問題になるときは、防虫器を植物体の上方に金具1で吊るし金具3を短くすることにより影響を無くすることが可能である。
次に上記の防虫器の効果を確認するために行った試験実施例を示す。
試験実施例1
「試験場所」キャベツ畑(施設)
「試験期関」平成15年9月10日
「試験方法」
9:00から10:00まで、20:00から21:00までに、ランプの点灯あるいは消灯、反射鏡の色が黄色あるいは白にした場合、シルバーリーフコナジラミの捕獲数を調べた。なお、防虫器は作物の先端からランプの位置が50cm上方になるように設置した。
「試験場所」キャベツ畑(施設)
「試験期関」平成15年9月10日
「試験方法」
9:00から10:00まで、20:00から21:00までに、ランプの点灯あるいは消灯、反射鏡の色が黄色あるいは白にした場合、シルバーリーフコナジラミの捕獲数を調べた。なお、防虫器は作物の先端からランプの位置が50cm上方になるように設置した。
上記試験の結果を表1に示す。
昼間も夜間もランプを点灯し、反射板がランプと同じ黄色のものが最もよく捕獲できた。また、反射板の色を青、緑、赤にした場合と比べ黄色の場合の捕獲数ははるかに多かった。また、捕獲網は黄色よりも白にしたほうが捕獲数ははるかに多かった。
試験実施例2
「試験場所」 キャベツ畑(施設)
「目的」 シルバーリーフコナジラミを誘引する光の波長域を決める
「試験方法」
表2の各種LEDを30個ずつそれぞれ1枚のプレート(7cm×9cm)に固定したものを、作物先端から20cm上方に設置し、それぞれを30分ごと順に場所を移動し、3.5時間でLEDに誘引されて捕獲されるシルバーリーフコナジラミの匹数を調べる。捕獲はLEDのプレート前面に粘着性透明シートを貼り、LEDめがけて飛来してくるシルバーリーフコナジラミを捕獲する。 各種LEDの放射照度は一定になる様に電圧値を調整してある。
「試験場所」 キャベツ畑(施設)
「目的」 シルバーリーフコナジラミを誘引する光の波長域を決める
「試験方法」
表2の各種LEDを30個ずつそれぞれ1枚のプレート(7cm×9cm)に固定したものを、作物先端から20cm上方に設置し、それぞれを30分ごと順に場所を移動し、3.5時間でLEDに誘引されて捕獲されるシルバーリーフコナジラミの匹数を調べる。捕獲はLEDのプレート前面に粘着性透明シートを貼り、LEDめがけて飛来してくるシルバーリーフコナジラミを捕獲する。 各種LEDの放射照度は一定になる様に電圧値を調整してある。
上記試験結果を表3に示す。
試験実施例3
「試験場所」 キャベツ畑(施設)
「試験期間」 平成16年1月15日
「目的」 上記防虫器と黄色粘着板のシルバーリーフコナジラミの捕獲効率を比較する。
「試験方法」
上記防虫器と黄色粘着板(10cm×26cm)を設置し、天候が快晴(平均気温27℃)、曇り(平均気温27℃)、夜間(平均気温20℃)それぞれのシルバーリーフコナジラミの捕獲数を調べる。
「試験場所」 キャベツ畑(施設)
「試験期間」 平成16年1月15日
「目的」 上記防虫器と黄色粘着板のシルバーリーフコナジラミの捕獲効率を比較する。
「試験方法」
上記防虫器と黄色粘着板(10cm×26cm)を設置し、天候が快晴(平均気温27℃)、曇り(平均気温27℃)、夜間(平均気温20℃)それぞれのシルバーリーフコナジラミの捕獲数を調べる。
上記試験の結果を表4,表5,表6に示す。
(1)快晴
防虫器と黄色粘着板を13:35に設置、14:35に防虫器と黄色粘着板の設置場所を交換。 15:35に撤去しシルバーリーフコナジラミの捕獲数を調査した。
(2)曇り
防虫器と黄色粘着板を11:00に設置、12:00に防虫器と黄色粘着板の設置場所を交換。 13:00に撤去しシルバーリーフコナジラミの捕獲数を調査した。
(3)夜間
防虫器と黄色粘着板を21:00に設置、22:30に防虫器と黄色粘着板の設置場所を交換。 24:00に撤去しシルバーリーフコナジラミの捕獲数を調査した。
「試験結果の考察」
(1)快晴時の上記防虫器は、黄色粘着板の約2倍のシルバーリーフコナジラミを捕獲する。 曇り時の上記防虫器は、黄色粘着板の約6倍のシルバーリーフコナジラミを捕獲する。 夜間時の上記防虫器は、黄色粘着板の約4倍のシルバーリーフコナジラミを捕獲する。
(2)防虫器は夜間でも、20℃以上の条件で捕獲が可能である。 夜間、黄色粘着板にシルバーリーフコナジラミが捕獲されているのは、防虫器の放射光を黄色粘着板で反射し、その光にシルバーリーフコナジラミが向かって行き捕獲されたもので、夜間、黄色粘着板単独ではシルバーリーフコナジラミは捕獲されない。 したがって夜間、防虫器の光源によって黄色粘着板も捕獲活性を持つことができる。
(3)防虫器は全方向にいるシルバーリーフコナジラミを誘引・捕獲できるが、黄色粘着板は一方向のみのシルバーリーフコナジラミしか誘引・捕獲できない。
(4)コナナジラミ類の増殖が高まる時期になると、昼間高温のため活動が鈍り、黄色粘着板の捕獲効率が低下する。 この時期では、1日あたり防虫器は黄色粘着板の20〜30倍のコナナジラミ類捕獲効率を持つ。
(5)防虫器は、シルバーリーフコナジラミ等のコナジラミ類のみならず、アザミウマ類、ハモグリバエ類、アブラムシ類(有翅)等も捕獲でき、夜間には夜蛾類を忌避して防除できる。
防虫器と黄色粘着板を13:35に設置、14:35に防虫器と黄色粘着板の設置場所を交換。 15:35に撤去しシルバーリーフコナジラミの捕獲数を調査した。
防虫器と黄色粘着板を11:00に設置、12:00に防虫器と黄色粘着板の設置場所を交換。 13:00に撤去しシルバーリーフコナジラミの捕獲数を調査した。
防虫器と黄色粘着板を21:00に設置、22:30に防虫器と黄色粘着板の設置場所を交換。 24:00に撤去しシルバーリーフコナジラミの捕獲数を調査した。
(1)快晴時の上記防虫器は、黄色粘着板の約2倍のシルバーリーフコナジラミを捕獲する。 曇り時の上記防虫器は、黄色粘着板の約6倍のシルバーリーフコナジラミを捕獲する。 夜間時の上記防虫器は、黄色粘着板の約4倍のシルバーリーフコナジラミを捕獲する。
(2)防虫器は夜間でも、20℃以上の条件で捕獲が可能である。 夜間、黄色粘着板にシルバーリーフコナジラミが捕獲されているのは、防虫器の放射光を黄色粘着板で反射し、その光にシルバーリーフコナジラミが向かって行き捕獲されたもので、夜間、黄色粘着板単独ではシルバーリーフコナジラミは捕獲されない。 したがって夜間、防虫器の光源によって黄色粘着板も捕獲活性を持つことができる。
(3)防虫器は全方向にいるシルバーリーフコナジラミを誘引・捕獲できるが、黄色粘着板は一方向のみのシルバーリーフコナジラミしか誘引・捕獲できない。
(4)コナナジラミ類の増殖が高まる時期になると、昼間高温のため活動が鈍り、黄色粘着板の捕獲効率が低下する。 この時期では、1日あたり防虫器は黄色粘着板の20〜30倍のコナナジラミ類捕獲効率を持つ。
(5)防虫器は、シルバーリーフコナジラミ等のコナジラミ類のみならず、アザミウマ類、ハモグリバエ類、アブラムシ類(有翅)等も捕獲でき、夜間には夜蛾類を忌避して防除できる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものでなく、種々の変形が可能である。誘引光源として環状の蛍光灯を用いたが、直管、球形、ラセン形蛍光灯、あるいは白熱、ナトリウム灯などのHID光、LED等蛍光灯以外の光源を用いても良い。より高い照度が要求される時は、光源の灯数、あるいはワット数を増やすことによって調整しても良い。送風機を構成するファン、電動機の音が不快に感じられる時は、吸気ホースを利用して、捕獲部を別の場所に設置しても良い。殺傷捕獲手段として、送風機と水盤、粘着板、あるいは高電圧等を組み合わせたものでも良い。
以上説明したように、本発明によれば終日、誘引あるいは忌避光源を点灯し、防虫器本体もその光源と一部あるいは全部同色にすることによって、昆虫の捕獲数を飛躍的に増加あるいはより完全に忌避し、高い防除効果が期待でき、果樹、野菜、花き等の農園、工場、商店など防虫が不可欠な分野で有効に活用できる。
1‥‥取り付けようとする金具、2‥‥誘引光源、3‥‥蛍光灯固定金具、4‥‥黄色円錐反射板、5‥‥黄色漏斗状反射板、6…電動機、7‥‥ファン、8‥‥白色捕虫網。
Claims (4)
- 終日、0.50μm付近から0.65μmの波長域の放射光で昆虫を誘引、あるいは忌避さすことによって、昆虫を防除することを特徴とする防虫器。
- 風、振動、音など物理的、匂などの化学的刺激を昆虫に与え飛翔させることを特徴とする請求項1記載の防虫器。
- 誘引してきた昆虫を殺傷捕獲することを特徴とする請求項1記載の防虫器。
- 放射光が可視誘引光の場合、昆虫が飛来してくる防虫器の光源付近を誘引させる色で、他の部分を忌避させる色にし、放射光が可視忌避光の場合、防虫器全体を昆虫に忌避させる色にすることを特徴とする請求項1記載の防虫器。
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