JP6684509B1 - ソレノイドバルブ用ケースの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ソレノイド性能を向上しつつ、軽量化及びコスト低減が図られるソレノイドバルブを提供すること。【解決手段】本例のソレノイドバルブ1において、ケース50は底部51、第1側周部52、第2側周部53、コア着座部55、かしめ部56を有する。第1側周部52は一体コア20のヨーク部23側の端部の外周面に沿って底部51から立設され、第2側周部53は第1側周部52より拡径されてコイル組立体10の外周面に沿って第1側周部52から延設される。コア着座部55は第2側周部53の延設方向端部において段差状に形成されて一体コア20のフランジ部24と軸方向Yに対向する。かしめ部56はフランジ部24とスリーブ40の一端41とをかしめ固定する。一体コア20はヨーク部23が第1側周部52に当接して径方向Xの位置決めがなされ、フランジ部24がコア着座部55に当接して軸方向Yの位置決めがなされた状態でケース50に保持される。【選択図】図1

Description

本発明は、ソレノイドバルブ及びソレノイドバルブ用ケースの製造方法に関する。
従来、車両におけるオートマティックトランスミッションに油圧制御用のソレノイドバルブを備えるものがある。当該ソレノイドバルブは、磁気駆動装置を構成する電磁部と、電磁部の駆動に基づいて油圧を制御する調圧部とから構成されている。電磁部は、コイル、電力供給用コネクタ、コア及びプランジャとこれらを位置決めして収納するケースとを備える。かかる構成では、コイルにより発生する磁束を外側に位置するケースと内側に位置するコアとで誘導して閉磁路を形成するように設計される。例えば、特許文献1に開示の構成は、ケース内にフロント側コアとヨーク及びリア側コアとがカラーを介して隙間を開けた状態で一体的に組付けられた構成を有している。そして、コイルを通電するとケース、フロント側コア、リア側コア及びヨークを介して閉磁路が形成されて、プランジャが軸方向に移動するように構成されている。
特開2019−60348号公報
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、フロント側コアのフランジ部の側周面がケースの内周面と接触しており、リア側コアの底面全体がケースの内底面と接触している。さらにヨークの端面もケースの内底面と接触している。これにより、コイルに通電した際に生じる閉磁路において、磁壁障害が生じやすくなっている。そのため、ソレノイドの性能向上を図るには改善の余地がある。また、自動車に搭載される主要ユニットには、軽量化及びコスト低減を求められており、ソレノイドバルブも例外ではない。しかしながら、特許文献1に開示の構成においては、ケースは有底円筒状であって、ケースの側周部は軸方向において同一径を有する寸胴型となっており、軽量化及びコスト低減を図るには改善の余地がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、ソレノイド性能を向上しつつ、軽量化及びコスト低減が図られるソレノイドバルブを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、コイルと該コイルに通電するための外部端子が接続されるコネクタ部とを有する筒状のコイル組立体と、
上記コイル組立体の内側に設けられるとともに、コア部とヨーク部と両者の間に位置する磁気遮断部とが一体形成された筒状の一体コアと、
上記一体コアの内側に挿通されて、上記コイルの通電により軸方向に移動可能なプランジャと、
上記プランジャの移動に伴って進退するスプールを支持するスリーブと、
上記コイル組立体、上記一体コア及び上記プランジャを収容するとともに上記スリーブの一端を保持するケースと、を備えるソレノイドバルブであって、
上記一体コアは、上記コア部側の端部が拡径してなるフランジ部を有し、
上記ケースは有底筒状をなしており、板状の底部と、上記一体コアにおける上記ヨーク部側の端部の外周面に沿って上記底部の外周縁から立設された第1側周部と、該第1側周部よりも拡径されるとともに上記コイル組立体の外周面に沿って上記該1側周部から延設された第2側周部と、該第2側周部において上記コネクタ部を上記ケースから露出させる窓部と、上記第2側周部の延設方向端部において内周面が拡径されて段差状に形成されて上記フランジ部と軸方向に対向するコア着座部と、該コア着座部の径方向外方において該第2側周部の延設方向端部から延設されて薄肉に形成されて上記フランジ部と上記スリーブの一端とをかしめ固定するかしめ部と、を有し、
上記一体コアは、上記ヨーク部が上記第1側周部に当接して径方向の位置決めがなされるとともに、上記フランジ部が上記コア着座部に当接して軸方向の位置決めがなされた状態で上記ケースに保持されている、ソレノイドバルブに用いられる上記ケースの製造方法であって、
上記ケースの形成材料となる金属製の板材を準備する準備工程と、
上記板材を金型に設置して絞り加工を行って、上記底部、上記第1側周部、上記第2側周部、及び上記コア着座部を形成する絞り工程と、
上記コア着座部の径方向外方部分に扱き加工を行って、上記かしめ部を形成する扱き工程と、
上記第2側周部にシャーリング加工を行って、上記窓部を形成し、上記かしめ部の高さ調整を行うシャーリング工程と、
を含む、ソレノイドバルブ用ケースの製造方法にある。
上記ソレノイドバルブにおいては、一体コアは、ヨーク部とケースの第1側周部とが当接するとともに、一体コアのフランジ部がケースの上記コア着座部に当接して位置決めされた状態でケースに保持されている。そのため、一体コアを保持する際に一体コアの他の部分をケースに当接させる必要がない。それゆえ、コイルに通電したときに生じる閉磁路において磁壁障害が発生しにくく、ソレノイドの性能を向上させることができる。さらに、ケースの第1側周部が一体コアのヨーク部側の端部の外周面に沿って形成されており、第2側周部が第1側周部よりも拡径してコイル組立体の外周面に沿って形成されている。これにより、従来、寸胴型の円筒形状であったケースの外形を、第1側周部が縮径した状態とすることができるため、ケースの形成材料を削減でき、軽量化できるとともにコスト低減を図ることができる。
そして、上記ソレノイドバルブ用ケースの製造方法では、絞り工程において、底部、第1側周部、第2側周部、及びコア着座部を形成した後に、コア着座部の径方向外方部分に扱き加工を行ってかしめ部を形成する扱き工程を含む。これにより、ケースの開口部側に位置するコア着座部の径方向外方部分を薄肉にしてかしめ部が形成されるため、かしめ部の形成のための機械加工が不要となる。その結果、材料の無駄が抑制されてコスト低減が図れるとともに、グレインフローの分断が防止されて磁気特性の向上が図られる。また、作業工程が煩雑となることが抑制される。
以上のごとく、上記態様によれば、ソレノイド性能を向上しつつ、軽量化及びコスト低減が図られるソレノイドバルブを提供することができる。
実施例1における、ソレノイドバルブの断面一部拡大図。 図1における、II-II線位置断面図。 実施例1における、ソレノイドバルブの斜視分解図。 図1における、II-II線位置でのケースの断面図。 実施例1における、(a)ケースの上面図、(b)図4におけるVb-Vb線位置断面図。 実施例1における、組付時のケースと一体コアの一部断面図。 実施例1における、入隅部の湾曲面の曲率半径とコア着座部の面積比率の関係を示す図。 実施例1における、ケースの製造方法を示すフロー図。 実施例1における、ケースの製造方法を説明するための概念図。 実施例1における、ケースの製造方法を説明するための概念図。 実施例1における、ケースの製造方法を説明するための概念図。 実施例1における、ケースの製造方法を説明するための概念図。 実施例1における、ケースの製造方法を説明するための概念図。 実施例1における、ケースの製造方法を説明するための概念図。 実施例1における、ケースの製造方法を説明するための概念図。 実施例1における、ケースの製造方法を説明するための概念図。 実施例1における、ケースの製造方法を説明するための概念図。 実施例1における、ケースの製造方法を実施するためのシステムの構成図。 比較例における、(a)ケースの製造方法を説明するための概念図、(b)ケースの断面図。
上記コア着座部の面積は、上記第2側周部における軸方向に直交する断面の面積の50〜65%の範囲内であることが好ましい。この場合には、かしめ部の強度を維持しつつ、コア着座部とフランジ部との接触面積を広く確保することができる。そのため、磁壁障害を低減してより理想的な閉磁路を形成することができ、ソレノイドの性能を一層向上させることができる。
上記コア着座部と上記かしめ部との間には両者に連続する湾曲面を有する入隅部が設けられており、該湾曲面における曲率半径は0.2mm以下であることが好ましい。この場合には、ケースの内径を大きくすることなく、コア着座部とフランジ部との接触面積の最大化を図ることができる。そのため、ソレノイドの性能を一層向上させつつ、軽量化及びコスト低減を一層図ることができる。
本発明の態様は上述の通り、上記ソレノイドバルブに用いられるケースの製造方法であって、
上記ケースの形成材料となる金属製の板材を準備する準備工程と、
上記板材を金型に設置して絞り加工を行って、上記底部、上記第1側周部、上記第2側周部、及び上記コア着座部を形成する絞り工程と、
上記コア着座部の径方向外方部分に扱き加工を行って、上記かしめ部を形成する扱き工程と、
上記第2側周部にシャーリング加工を行って、上記窓部を形成し、上記かしめ部の高さ調整を行うシャーリング工程と、
を含む、ソレノイドバルブ用ケースの製造方法にある。
従来のソレノイドバルブ用のケースは、丸棒状の機械構造用炭素鋼鋼材を用いて、図19(a)に示すように冷間鍛造で成形した後、冷間鍛造成形では十分に成形できない部分を機械加工により除去して図19(b)のように形成されることが通常である。しかしながら、かかる方法では、機械加工により不要部分を除去しているため、材料の無駄が生じてコスト高となる。また、機械加工によって不要部分が除去されることにより、グレインフロー(鍛流線)が分断されて磁気特性の低下を招く。また、ソレノイドバルブ用のケースを深絞り加工によって形成することも考えられる。しかしながら、深絞り加工では素材を押し延ばして成形するため、押し延ばす先に向かうほど薄肉になる特性を示すことから、根元部側に位置するケースの開口部を薄肉に形成することができず、かしめ部を形成できない。そのため、深絞り加工後に開口部を機械加工する必要があり、材料の無駄が生じるとともに磁気特性も低下し、作業工程も煩雑となる。
一方、上記ソレノイドバルブ用ケースの製造方法では、絞り工程において、底部、第1側周部、第2側周部、及びコア着座部を形成した後に、コア着座部の径方向外方部分に扱き加工を行ってかしめ部を形成する扱き工程を含む。これにより、ケースの開口部側に位置するコア着座部の径方向外方部分を薄肉にしてかしめ部が形成されるため、かしめ部の形成のための機械加工が不要となる。その結果、材料の無駄が抑制されてコスト低減が図れるとともに、グレインフローの分断が防止されて磁気特性の向上が図られる。また、作業工程が煩雑となることが抑制される。
上記絞り工程において、上記コア着座部の径方向外方部分に外方に膨出した膨出部を形成することが好ましい。この場合は、扱き工程において、かしめ部を形成するための素材が十分確保されるため、かしめ部の成形精度が向上する。
上記絞り工程において、上記コア着座部と上記かしめ部との間に両者に連続する湾曲面を有する入隅部を形成し、該湾曲面における曲率半径を0.2mm以下にすることが好ましい。この場合には、入隅部における湾曲面の曲率半径をプレス成形での限界近くまで最小化することとなる。その結果、ケースの外径を維持しつつ、コア着座部とフランジ部との接触面積の最大化を図ることができ、ソレノイドの性能向上と軽量化及びコスト低減を同時に満たすことができる。
上記扱き工程において、上記かしめ部の厚さを0.45〜0.50mmの範囲内にすることが好ましい。この場合は、かしめ部の強度の維持と薄肉化による材料コストの低減とを両立することができる。
上記絞り工程、扱き工程及び上記シャーリング工程は、絞り加工装置、扱き加工装置及びシャーリング加工装置を含むトランスファープレスシステムによって連続して行う、ことが好ましい。この場合には、シャーリング工程を短時間で行うことができ、作業時間の短縮化が図られるとともに作業性も向上する。
(実施例1)
上記ソレノイドバルブの実施例について、図1〜図18を用いて説明する。
本例のソレノイドバルブ1は、図1〜図3に示すように、コイル組立体10、一体コア20、プランジャ30、スリーブ40及びケース50を備える。
コイル組立体10は筒状をなしており、コイル12とコイルに通電するための外部端子が接続されるコネクタ部13とを有する。
一体コア20は、コイル組立体10の内側に設けられるとともに、コア部21とヨーク部23と両者の間に位置する磁気遮断部22とが一体形成されている。
プランジャ30は、一体コア20の内側に挿通されて、コイル12の通電により軸方向Yに移動可能となっている。
スリーブ40は、プランジャ30の移動に伴って進退するスプール45を支持する。
ケース50は、コイル組立体10、一体コア20及びプランジャ30を収容するとともにスリーブ40の一端41を保持する。
図1に示すように、一体コア20は、コア部21側の端部が拡径してなるフランジ部24を有する。
ケース50は有底筒状をなしており、底部51、第1側周部52、第2側周部53、窓部54、コア着座部55、かしめ部56を有する。
底部51は板状をなしている。
第1側周部52は、一体コア20におけるヨーク部23側の端部の外周面に沿って底部51の外周縁から立設されている。
第2側周部53は、第1側周部52よりも拡径されるとともにコイル組立体10の外周面に沿って第1側周部52から延設されている。
窓部54は、第2側周部53においてコネクタ部13をケース50から露出させる。
コア着座部55は、第2側周部53の延設方向端部において内周面が拡径されて段差状に形成されてフランジ部24と軸方向Yに対向する。
かしめ部56は、コア着座部55の径方向外方において第2側周部53の延設方向端部から延設されて薄肉に形成されてフランジ部24とスリーブ40の一端41とをかしめ固定する。
そして、一体コア20は、ヨーク部23が第1側周部52に当接して径方向Xの位置決めがなされるとともに、フランジ部24がコア着座部55に当接して軸方向Yの位置決めがなされた状態でケース50に保持されている。
以下、本例のソレノイドバルブ1について、詳述する。
ソレノイドバルブ1は、車両のオートマティックトランスミッション制御用のリニアソレノイドアッセンブリや、自動車等のエンジン出力をコントロールする可変バルブタイミング機構に用いられるオイルコントロールバルブに使用することができる。
本例のソレノイドバルブ1によれば、図1に示すように、一体コア20の周囲に設けられたコイル12に、図示しないバッテリーから供給される電力を導くことにより発生する磁力を利用して、スプール45をスリーブ40内で往復移動させてスリーブ40に設けられた流体通路を開閉する構成を有している。なお、本例では、スプール45の中心軸1aの軸方向をYとし、軸方向Yにおいて一体コア20からスリーブ40に向かう方向を上方Y1とし、反対方向を下方Y2とし、軸方向Yに直交する方向を径方向Xとする。
本例では、図1に示すように、一体コア20は、コア部21、磁気遮断部22及びヨーク部23を一体化して部品から構成される。コア部21及びヨーク部23は磁性体からなり、磁気遮断部22は非磁性体からなる。一体コア20は、筒状をなしており、コア部側、すなわち、上方Y1の端部に径方向Xに拡径したフランジ部24を有する。磁気遮断部22はリング状をなしており、コア部21とヨーク部23の間に介在している。
図1に示すように、一体コア20の内側には、可動鉄心を構成するプランジャ30が挿通されている。プランジャ30には、潤滑油が流動可能なように軸方向Yに沿って貫通する油路31が形成されている。
本実施形態では、図1に示すように、コイル組立体10は、コイル12を樹脂製のボビン11に巻回した状態で、封止部14により樹脂封止されて筒状をなしている。ボビン11の底面には脚部11aが突出形成されている。コイル組立体10には、コイル12に導通して外部から電力を供給するための接続端子15が設けられている。図1、図2に示すように、封止部14は接続端子15を保持するコネクタ部13を有している。コネクタ部13は、封止部14から径方向Xの外方に突出して形成されている。コネクタ部13は筒状をなすとともに下方Y2が開口してなる開口部13aを有している。開口部13aの内側には接続端子15が露出されている。開口部13aは電力供給用の外部端子が挿入されて接続端子15と接続されて、コイル12に電力が供給されるように構成されている。
図1、図2に示すように、スリーブ40の内側には、スプール45が挿通されている。スプール45は棒状をなしており、スプール45は、上方Y1に設けられた付勢部材としてのバネ(図示せず)により、下方Y2に付勢されている。スプール45の下方Y2の端部46はプランジャ30に当接している。
図1に示すように、ケース50は、コイル組立体10、一体コア20及びプランジャ30を収容している。図1に示すように、ケース50は有底筒状をなしており、底部51、第1側周部52、第2側周部53、窓部54、コア着座部55及びかしめ部56を有する。底部51は板状であって、中央に下方Y2から上方Y1に向けて凹ませて底部51の上面側に突出させてなる突出部511を有する。突出部511はその上端がプランジャ30の底面に当接可能に構成されており、プランジャ30の下方位置を規定している。
図4に示すように、底部51の外縁部には、第1側周部52が立設されている。図2に示すように、第1側周部52は一体コア20のヨーク部23側、すなわち、下方Y2側の端部の外周面に沿って形成されており、一体コア20の側面と当接している。これにより、一体コア20の径方向Xの位置決めがなされている。図1、図5(a)に示すように、第1側周部52は、径方向外方に膨出して一体コア20から離間する離間部521を有する。離間部521はプランジャ30の油路31と連通して潤滑油を流通させる。
図1、図4に示すように、第1側周部52の上方Y1に第2側周部53が連なっている。第2側周部53は第1側周部52から拡径されて軸方向Yに立設されている。これにより、第1側周部52と第2側周部53との連結部分に径方向Xに延びる拡径部57が形成されている。拡径部57はコイル組立体10に備えられた脚部11aと当接して、コイル組立体10の軸方向Yの位置を規定している。そして、第2側周部53はコイル組立体10の側面に沿って形成されて互いに当接している。
図1に示すように、第2側周部53に窓部54が設けられている。窓部54は第2側周部53の一部を切り欠いて形成されている。窓部54にはコネクタ部13が位置して、当該窓部54によりコネクタ部13がケース50から露出している。
図1、図4に示すように、第2側周部53の上方Y1の端部には、コア着座部55が形成されている。コア着座部55は、第2側周部53の上方Y1の端部を薄肉にして段差状に形成されている。図1、図2に示すように、コア着座部55は軸方向Yにおいて、フランジ部24と対向して、フランジ部24の下面と当接している。これにより、一体コア20の軸方向の位置決めがなされている。本例では、図6に示すように、コア着座部55は径方向Xに平行な平面となっている。そして、フランジ部24の下面においてコア着座部55に対向して当接する当接部24aも径方向Xに平行な平面となっている。これにより、コア着座部55と両者は互いに面接触するように構成されている。
図1、図4に示すように、コア着座部55の上方Y1にかしめ部56が設けられている。かしめ部56は第2側周部53よりも薄肉となっている。スリーブ40の一端41をフランジ部24に重ねた状態で、かしめ部56ケース50の内方側にかしめられて、フランジ部24とスリーブ40の一端41とがかしめ固定されている。
本例のケースでは、底部51の厚さT1、第1側周部52の高さH1、拡径部57の厚さT2、第2側周部53の高さ、かしめ部56の高さH3は表1に記載の通りとしている。また、第1側周部52の内径D1、第1側周部52の外径D2、第2側周部53の内径D3、かしめ部56の内径D4及び第2側周部の外径D5は表1に記載の通りとしている。
Figure 0006684509
なお、本例では、図6に示すように、コア着座部55とかしめ部56との間には入隅部551が形成されている。入隅部551はコア着座部55とかしめ部56に連続する湾曲面551aを有する。コア着座部55の面積(図5(a)において斜線で示す符号55の面積であって、入隅部551及び後述の面取り部552を含まない面積)を広く確保するために、入隅部551における湾曲面551aの曲率半径は小さいことが好ましい。表1に記載の寸法を有するケース50において、湾曲面551aの曲率半径が0mmであるときのコア着座部55の面積(図5(a)参照)に対して、曲率半径を変化させたときのコア着座部55の面積比率を図7に示した。図7に示すように、湾曲面551aの曲率半径が大きくなるにつれて、コア着座部55の面積は小さくなっている。コア着座部55を広く確保する観点から、コア着座部55の面積は、湾曲面551aの曲率半径が0mmであるときのコア着座部55の面積の70%以上であることが好ましい。従って、図7に示すように、湾曲面551aの曲率半径は0.2mm以下であることが好ましい。
また、図5(a)に示すコア着座部55の面積は、図5(b)に示す第2側周部53における軸方向Yに直交する断面での面積(図5(b)において斜線で示す符号53の面積)の50〜65%とすることが好ましい。本例では、湾曲面551aの曲率半径を0.2mmとしている。なお、コア着座部55の内周側端部に径方向に0.2mm面取りされてなる面取り部552が形成されている。かかる構成により、本例では、コア着座部55の当該面積を第2側周部53における当該断面積の57%としている。
次に本例のソレノイドバルブに用いられるケース50の製造方法について詳述する。
図8に示すように、本例のケース50の製造方法は、準備工程S1、絞り工程S2、扱き工程S3、シャーリング工程S4を含む。
まず、準備工程S1では、図9(a)に示すように、金属製の板材50aを用意する。板材50aの組成は適宜選択することができるが、冷間圧延鋼板を使用することが好ましく、本例では、磁気特性、入手性と絞り加工の容易性、入手のし易さなどを考慮して冷間圧延鋼板のSPCE(JIS G 3141:2017)であって、厚さ1.6mmのものを用いた。
次に絞り工程S2を行う。絞り工程S2では、板材50aを金型に設置して絞り加工を行って、底部51、第1側周部52、第2側周部53、及びコア着座部55を形成する、本例では、絞り工程S2は、絞り加工を複数回に分けて行う。まず、図9(b)に示す第1の絞り加工では、凹部111aを有する第1外金型111に板材50aを載置し、押さえ部112で板材50aを第1外金型111に押し付けた状態で、絞り加工用の第1内金型113を板材50aに押し付けて、絞り加工を行う。これにより、図9(c)に示すように、板材50aの中央部分に凹部111aに沿った凹部が形成されるとともに、板材50aの外周縁に押さえ部112と第1外金型111とで押さえ込まれる被押さえ部58が形成された一次成形品50bが作製される。
次に、図10(a)に示す第2の絞り加工では、凹部121aを有する第2外金型121に一次成形品50bを載置し、押さえ部112で一次成形品50bを第2外金型121に押し付けるとともに、絞り加工用の第2内金型123を一次成形品50bに押し付けて、絞り加工を行う。これにより、図10(b)に示すように、板材50aの中央部分に凹部121aに沿った凹部が形成された二次成形品50cが作製される。二次成形品50cには、コア着座部55が形成される。
その後、図11(a)に示す第3の絞り加工では、上記第2の絞り加工と同様に、凹部131aを有する第3外金型131と絞り加工用の第3内金型132とで二次成形品50cに絞り加工を行う。これにより、図11(b)に示すように、凹部131aに沿った凹部が形成された三次成形品50dが作製される。三次成形品50dには、コア着座部55の外周側に径方向Xの外方に膨出した膨出部59が形成される。本例では、膨出部59は上方Y1に向かうほど膨出量が大きくなって厚肉となっている。
その後、図12(a)に示す第4の絞り加工では、上記第3の絞り加工と同様に、凹部141aを有する第4外金型141と絞り加工用の第4内金型142とで三次成形品50dに絞り加工を行う。これにより、図12(b)に示すように、凹部141aに沿った凹部が形成された絞り成形品50eが作製され、絞り工程S2を終了する。これにより、絞り成形品50eに、ケース50の底部51、第1側周部52、第2側周部53及びコア着座部55が形成されることとなる。なお、上述のごとく絞り加工を繰り返すにつれて、被押さえ部58の形成材料が外金型111〜141の凹部111a〜141aに引き込まれて被押さえ部58は徐々に短くなっていく。
絞り工程S2において形成された底部51、第1側周部52及び第2側周部53の厚さはバラツキが少ないことが好ましい。本例では、絞り工程S2において、図4に示す底部51の厚さT1、第1側周部52における厚さ(D2とD1と差分の2分の1に相当)及び第2側周部53における厚さ(D5とD3と差分の2分の1に相当)の狙い厚さはいずれも、素材としての板材50aの厚さと同等の1.6mmとしており、各部位における最終厚さは狙い厚さの±0.15mm以下の範囲内に収めている。
そして、絞り工程S2の後に扱き工程S3を行う。扱き工程S3では、図13(a)に示すように、扱き加工用の内金型153を絞り成形品50eの内側に当てて内側形状を維持させた状態で、環状の扱き金型151の内側にセットして、扱き金型151で絞り成形品50eの外側面の扱き加工を行う。扱き金型151の内径は、第2側周部53の外径と略同一となっている。これにより、図13(b)に示すように、膨出部59の形成材料が上方Y1側に引き上げ得られて薄肉化されて、膨出部59が消失することにより、かしめ部56が形成された扱き成形品50fが作製される。
本例では、扱き工程S3において、かしめ部56を形成した後にリストライク加工を行う。図14(a)に示すように、リストライク加工では、リストライク用の外金型161とリストライク用の内金型163とで扱き成形品50fを加圧成形して、図14(b)に示すように、成形精度を高められたリストライク成形品50gを形成して、扱き工程S3を終了する。なお、リストライク用の内金型163にはかしめ部56に対向する位置の径が若干大きくなっており、かしめ部56がさらに若干薄肉化される。
次に、図15(a)及び(b)に示すシャーリング工程S4を行う。図15(a)に示すように、リストライク成形品50gをシャーリング加工用の治具171にセットし、パンチ装置173により、矢印Sで示す径方向Xに向けて、いわゆる横シャーリングを行う。これにより、図15(b)に示すように、第2側周部53の一部を切り取ってリストライク成形品50gに窓部54を形成する。なお、切り取られた材料は治具171に設けられた排出口171bから排出される。
さらに、シャーリング工程S4では、図16(a)に示すように、リストライク成形品50gをシャーリング加工用の治具181にセットし、切断パンチ装置183により、図16(b)に示すように、上方Y1の一部を切り取って被押さえ部58を切り離す。なお、切り取られた材料は治具181に備えられたプッシュアウト機構181aにより治具181から排出される。
その後、シャーリング工程S4では、図17(a)に示すように、リストライク成形品50gをシャーリング加工用の治具191にセットし、切断パンチ装置193により、図17(b)に示すように、かしめ部56の上方Y1の先端の一部を切り取ってかしめ部56を所定の高さに調整する。なお、切断パンチ装置193によるせん断(シャーリング)はリストライク成形品50gの径方向Xの内側から外側に向けて行われるため、ケース内側にバリが発生することを抑制されて仕上げが容易となっている。切り取られた材料は治具191に備えられたプッシュアウト機構191aにより治具191から排出される。これにより、図17(c)に示すように、本例のソレノイドバルブ用のケース50が完成する。なお、切断パンチ装置193により、かしめ部56の上方Y1の先端の一部を切り取る際に、切断パンチの先端部をリストライク成形品50gの内周面に沿って周方向に移動させてかしめ部56の上方Y1の先端を切断してもよい。
本例のソレノイドバルブ用のケース50は、図18に示すトランスファープレスシステム90により、上述の製造方法によって製造することができる。トランスファープレスシステム90は、絞り加工装置91、扱き加工装置92、リストライク加工装置93、シャーリング加工装置94、搬送装置95、搬送制御部96及び加工制御部97を備える。絞り加工装置91は、上述の絞り工程S2を実施するための全構成を有する。扱き加工装置92は、上述の扱き工程S3を実施するための全構成を有する。リストライク加工装置93は、上述のリストライク加工を実施するための全構成を有する。シャーリング加工装置94は上述のシャーリング工程S4を実施するための全構成を有する。搬送装置95は、加工対象を各加工装置91〜94間において搬送する構成を有する。搬送制御部96は搬送装置95の動作態様を制御する。加工制御部97は各加工装置91〜94の稼働状態を制御する。
図18に示す、トランスファープレスシステム90では、シャーリング加工装置94を含んでおり、絞り加工装置91、扱き加工装置92及びリストライク加工装置93によるプレス加工に連続してシャーリング加工を実施可能となっている。トランスファープレスシステム90により、上述のソレノイドバルブ用のケース50の製造方法における絞り工程S2、扱き工程S3に連続してシャーリング工程S4が実施される。
(比較試験1)
本例のケース50における質量の減率に関するシミュレーション試験を行った。試験例として、本例のケース50を使用した。図4に示すケース50の各部位の寸法は、表1に示す通りとした。比較例として、図19(b)に示す従来のケース950を使用した。従来のケース950の形成材料は、試験例と同一とした。従来のケース950は丸棒状の機械構造用炭素鋼鋼材を用いて、図19(a)に示すように冷間鍛造で成形した後、冷間鍛造成形では十分に成形できない部分950bを機械加工により除去して形成されるものとする。図19(b)に示すように、従来のケース950では、第1側周部952の外径が、第2側周部953の外径と一致しており、ケースは寸胴状をなしている。これにより、第1側周部952が厚肉となっている。試験例及び比較例の各部位の寸法は表2の通りである。
Figure 0006684509
試験例のケース50及び比較例のケース950はいずれも、比重7.8のSPCEからなるため、上記寸法の試験例のケース50の質量は23.9gと算出され、比較例のケース950の質量は31.6gと算出される。そして、比較例のケース950に対する試験例のケース50に質量低減率は24.4%であった。これにより、試験例のケース50において、使用材料の削減によるコスト低減が図れることが示された。
次に本例のソレノイドバルブ1の作用効果について詳述する。
本例のソレノイドバルブ1によれば、一体コア20は、ヨーク部23とケース50の第1側周部52とが当接するとともに、一体コア20のフランジ部24がケース50のコア着座部55に当接して位置決めされた状態でケース50に保持されている。そのため、一体コア20を保持する際に一体コア20の他の部分をケース50に当接させる必要がない。それゆえ、コイル12に通電したときに生じる閉磁路において磁壁障害が発生しにくく、ソレノイドの性能を向上させることができる。さらに、ケース50の第1側周部52が一体コア20のヨーク部23側の端部の外周面に沿って形成されており、第2側周部53が第1側周部52よりも拡径してコイル組立体10の外周面に沿って形成されている。これにより、従来、寸胴型の円筒形状であったケースの外形を、第1側周部52が縮径した状態とすることができるため、ケース50の形成材料を削減でき、軽量化できるとともにコスト低減を図ることができる。
また、本例では、コア着座部55の面積は、第2側周部53における軸方向Yに直交する断面の面積の50〜65%の範囲内である。これにより、かしめ部56の強度を維持しつつ、コア着座部55とフランジ部24との接触面積を広く確保することができる。そのため、磁壁障害を低減してより理想的な閉磁路を形成することができ、ソレノイドの性能を一層向上させることができる。
また、本例では、コア着座部55とかしめ部56との間には両者に連続する湾曲面551aを有する入隅部551が設けられており、該湾曲面における曲率半径は0.2mm以下である。これにより、ケース50の内径を大きくすることなく、コア着座部55とフランジ部24との接触面積の最大化を図ることができる。そのため、ソレノイドの性能を一層向上させつつ、軽量化及びコスト低減を一層図ることができる。
また、本例のソレノイドバルブ1に用いられるケースの製造方法によれば、絞り工程S2において、底部51、第1側周部52、第2側周部53、及びコア着座部55を形成した後に、コア着座部55の径方向外方部分に扱き加工を行ってかしめ部56を形成する扱き工程S3を含む。これにより、ケース50の開口部側に位置するコア着座部55の径方向外方部分を薄肉にしてかしめ部56が形成されるため、かしめ部56の形成のための機械加工が不要となる。その結果、材料の無駄が抑制されてコスト低減が図れるとともに、グレインフローの分断が防止されて磁気特性の向上が図られる。また、作業工程が煩雑となることが抑制される。
また、本例では、絞り工程S2において、コア着座部55の径方向外方部分に外方に膨出した膨出部59を形成している。これにより、扱き工程S3において、かしめ部56を形成するための素材が十分確保されるため、かしめ部56の成形精度が向上する。
また、本例では、絞り工程S2において、コア着座部55とかしめ部56との間に両者に連続する湾曲面551aを有する入隅部551を形成し、湾曲面551aにおける曲率半径を0.2mm以下にしている。これにより、ケース50の外径を維持しつつ、コア着座部55とフランジ部24との接触面積の最大化を図ることができ、ソレノイドの性能向上と軽量化及びコスト低減を同時に満たすことができる。
また、本例では、扱き工程S3において、かしめ部56の厚さを0.45〜0.50mmの範囲内にしている。これにより、かしめ部56の強度の維持と薄肉化による材料コストの低減とを両立することができる。
また、本例では、絞り工程S2、扱き工程S3及びシャーリング工程S4は、絞り加工装置91、扱き加工装置92及びシャーリング加工装置94を含むトランスファープレスシステム90によって連続して行うことが好ましい。この場合には、シャーリング工程を短時間で行うことができ、作業時間の短縮化が図られるとともに作業性も向上する。
以上のごとく、本例によれば、ソレノイド性能を向上しつつ、軽量化及びコスト低減が図られるソレノイドバルブを提供することができる。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施例に適用することが可能である。
1 ソレノイドバルブ
10 コイル組立体
12 コイル
13 コネクタ部
20 一体コア
21 コア部
22 磁気遮断部
23 ヨーク部
24 フランジ部
30 プランジャ
40 スリーブ
50 ケース
51 底部
52 第1側周部
53 第2側周部
54 窓部
55 コア着座部
56 かしめ部
551 入隅部
59 膨出部

Claims (5)

  1. コイルと該コイルに通電するための外部端子が接続されるコネクタ部とを有する筒状のコイル組立体と、
    上記コイル組立体の内側に設けられるとともに、コア部とヨーク部と両者の間に位置する磁気遮断部とが一体形成された筒状の一体コアと、
    上記一体コアの内側に挿通されて、上記コイルの通電により軸方向に移動可能なプランジャと、
    上記プランジャの移動に伴って進退するスプールを支持するスリーブと、
    上記コイル組立体、上記一体コア及び上記プランジャを収容するとともに上記スリーブの一端を保持するケースと、を備えるソレノイドバルブであって、
    上記一体コアは、上記コア部側の端部が拡径してなるフランジ部を有し、
    上記ケースは有底筒状をなしており、板状の底部と、上記一体コアにおける上記ヨーク部側の端部の外周面に沿って上記底部の外周縁から立設された第1側周部と、該第1側周部よりも拡径されるとともに上記コイル組立体の外周面に沿って上記該1側周部から延設された第2側周部と、該第2側周部において上記コネクタ部を上記ケースから露出させる窓部と、上記第2側周部の延設方向端部において内周面が拡径されて段差状に形成されて上記フランジ部と軸方向に対向するコア着座部と、該コア着座部の径方向外方において該第2側周部の延設方向端部から延設されて薄肉に形成されて上記フランジ部と上記スリーブの一端とをかしめ固定するかしめ部と、を有し、
    上記一体コアは、上記ヨーク部が上記第1側周部に当接して径方向の位置決めがなされるとともに、上記フランジ部が上記コア着座部に当接して軸方向の位置決めがなされた状態で上記ケースに保持されている、ソレノイドバルブに用いられる上記ケースの製造方法であって、
    上記ケースの形成材料となる金属製の板材を準備する準備工程と、
    上記板材を金型に設置して絞り加工を行って、上記底部、上記第1側周部、上記第2側周部、及び上記コア着座部を形成する絞り工程と、
    上記コア着座部の径方向外方部分に扱き加工を行って、上記かしめ部を形成する扱き工程と、
    上記第2側周部にシャーリング加工を行って、上記窓部を形成し、上記かしめ部の高さ調整を行うシャーリング工程と、
    を含む、ソレノイドバルブ用ケースの製造方法。
  2. 上記絞り工程において、上記コア着座部の径方向外方部分に外方に膨出した膨出部を形成する、請求項1に記載のソレノイドバルブ用ケースの製造方法
  3. 上記絞り工程において、上記コア着座部と上記かしめ部との間に両者に連続する湾曲面を有する入隅部を形成し、該湾曲面における曲率半径を0.2mm以下にする、請求項1又は2に記載のソレノイドバルブ用ケースの製造方法。
  4. 上記扱き工程において、上記かしめ部の厚さを0.45〜0.50mmの範囲内にする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のソレノイドバルブ用ケースの製造方法。
  5. 上記絞り工程、上記扱き工程及び上記シャーリング工程は、絞り加工装置、扱き加工装置及びシャーリング加工装置を含むトランスファープレスシステムによって連続して行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載のソレノイドバルブ用ケースの製造方法。
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