JP6682686B1 - かつら用擬毛の製造方法及びかつら - Google Patents
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Abstract
Description
変形可能な芯材の周囲に樹脂製光ファイバをらせん状に巻き付けて固定する第1の工程と、
前記樹脂製光ファイバが巻き付けられた前記芯材を、内部温度が70℃以上90℃以下の筐体内に所定時間保持して加温する第2の工程と、
加温された前記樹脂製光ファイバを冷却して、前記芯材から取り外す第3の工程と、
を含む光ファイバからなるかつら用擬毛の製造方法である。
上記の製造方法で製造されたかつら用擬毛がかつらベースに取り付けられたかつらである。
はじめに、図1Aから図1Dを参照ながら、1つの実施形態に係る光ファイバからなるかつら用擬毛の製造方法の説明を行う。図1Aは、本開示の1つの実施形態に係る光ファイバからなるかつら用擬毛を製造するための第1の工程を説明するための模式図であり、図1Bは、第2の工程を説明するための模式図であり、図1Cは、第3の工程を説明するための模式図であり、図1Dは、第4の工程を説明するための模式図である。
はじめに、変形可能な芯材50の周囲に樹脂製光ファイバPをらせん状に巻き付けて固定する第1の工程の説明を行う。
本実施形態で用いる樹脂製光ファイバPは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)によるコア部と、フッ素系樹脂によるクラッド部を有し、0.25mmの外径を有する。この樹脂製光ファイバPの動作温度は、−20℃〜70℃である。ただし、これはあくまで一例に過ぎず、既知の任意の仕様、任意の外径の樹脂製光ファイバを用いることができる。
更に、使用する芯材50として、布をロール状に巻いたものだけに限られるものではなく、変形可能な芯材であれば、熱伝導率の低いシリコン、ポリエチレン発泡体等の弾性材料を用いて、棒状の芯材を形成することもできる。その場合、円柱状ではなく、長手方向において外径が変動するように形成するのが好ましい。
以上のように、布をロール状に巻いた芯材や弾性材料からなる芯材といった、変形可能な芯材50に樹脂製光ファイバPをらせん状に巻き付けることにより、樹脂製光ファイバPの巻き付け具合(巻き付け強さ)によって、芯材50が容易に変形するので、樹脂製光ファイバPの巻き付け形状を変化させて、様々に変化した自然な外観のウエーブを形成することができる。
次に、樹脂製光ファイバPが巻き付けられた芯材50を、内部温度が70℃以上90℃以下の筐体60内に所定時間保持して加温する第2の工程の説明を行う。この第2の工程により、樹脂製光ファイバPに所定のウエーブを付けることができる。
樹脂製光ファイバPが巻き付けられた芯材50を加温する筐体60として、ここでは、対流式乾燥機を用いている。対流式乾燥機を用いることにより、筐体60内を均一な温度に保つことができる。これにより、筐体60内で、芯材50に巻き付けられた樹脂製光ファイバP全体を均一に加温することができる。
樹脂製光ファイバPが巻き付けられた芯材50を加温する筐体60として、対流式乾燥機に限られるものではなく、60℃〜120℃程度の均一な内部空間を形成できるものであれば、任意の乾燥機、加熱器等を用いることができる。
ここで、樹脂製光ファイバPに自然なウエーブを付けるため、樹脂製光ファイバPの最適な加温温度を知見するために行った実施例1を説明する。
対流式乾燥機である筐体60の内部温度を、樹脂製光ファイバPの軟化が期待できる、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃に設定した。芯材50として、シーチングを巻いてロール状にしたものを用いた。そして、樹脂製光ファイバPが巻き付けられた芯材50を、筐体50内に約1時間保持して加温し、その後、常温まで冷却して、樹脂製光ファイバPを芯材50から取り外して、詳細に観察した。観察の結果を以下に示す。
樹脂製光ファイバPに損傷は見られず、自然なウエーブが得られた。ただし、ウエーブのかかり方が、若干弱い傾向が見られた。
(2)80℃で加温した場合
樹脂製光ファイバPに損傷は見られず、自然なウエーブが得られた。ウエーブのかかり方は、強すぎず弱すぎず、ほぼ最適なかかり方となった。
(3)90℃で加熱した場合
概ね、良好なウエーブのかかり方となった。ただし、樹脂製光ファイバPに破断等に繋がる損傷は見られなかったが、やや硬化する傾向が見られた。
(4)100℃で加温した場合
樹脂製光ファイバPに硬化が見られ、若干の溶着部分が生じた。ただし、十分なウエーブがかかっており、実用上使用可能と判断された。
(5)110℃で加温した場合
樹脂製光ファイバPが完全に溶着し、使用できない状態になった。
(a)70℃以上100℃以下で適用可能であり、
(b)70℃以上90℃以下の方が好ましく
(c)80℃近傍、例えば、80℃±5℃がより好ましい
ことが判明した。
なお、加温する時間に関しては、45分以下では十分なウエーブが付けられず、1時間を超える時間加温しても、1時間の場合と大きな変化はなかった。よって、略1時間加温するのが好ましいことが判明した。
以上のような実施例1の結果に基づき、本実施形態では、第2の工程において、樹脂製光ファイバPが巻き付けられた芯材50を、内部温度が70℃以上90℃以下の筐体60内に所定時間保持して加温している。布をロール状に巻いた芯材50を用いた場合には、素材自体の熱伝導率が低く、布と布の間に存在する空気層により、芯材50の熱伝導率を低く抑えることができるので、樹脂製光ファイバPを損傷させることなく、自然なウエーブをかけることができる。なお、芯材として、熱伝導率の低いシリコン、ポリエチレン発泡体等の弾性材料を用いた場合も、樹脂製光ファイバPを損傷させることなく、自然なウエーブをかけることができると考えられる。
具体的には、第2の工程において、樹脂製光ファイバPが巻き付けられた芯材50を、内部温度が80℃±5℃の筐体60内に略1時間保持して加温した後、一度常温まで冷却し、再び、内部温度が80℃±5℃の筐体60内に略1時間保持して加温するのが、更に好ましいことを知見した。
次に、加温された樹脂製光ファイバPを冷却して、芯材50から取り外す第3の工程の説明を行う。樹脂製光ファイバPが巻き付けられた芯材50を筐体60から出して、常温まで温度が下がるのを持って、樹脂製光ファイバPを冷却し、芯材50から取り外す。これにより、自然なウエーブのかかった光ファイバPからなるかつら用擬毛2を得ることができる。
次に、芯材50から取り外された、かつら用擬毛2となる樹脂製光ファイバPの表面の複数の箇所を押圧する第4の工程について説明する。ここでは、図1Dに示すように、樹脂製光ファイバPの表面の複数の箇所を、はさみSで軽く挟んで押圧する。これにより、かつら用擬毛2となる樹脂製光ファイバPを光源に取り付けて、発樹脂製光ファイバPを光らせたとき、押圧した部分でコアから光が漏れて、より明るく光らせることができる。つまり、樹脂製光ファイバPからなるかつら用擬毛2のアットランダムな位置に、明るく光る箇所を設けることができる。
次に、図2A及び図2Bを参照しながら、樹脂製光ファイバPに自然なウエーブを付けるため、樹脂製光ファイバPを巻き付ける最適な芯材50を知見するために行った実施例2の説明を行う。図2Aは、実施例2を示す図(写真)であり、第1の工程における実施例及び比較例を示し、図2Bは、第3の工程後の実施例及び比較例を示す。
図2Bから明らかなように、実施例では、自然なウエーブが形成されているが、比較例では、非常にピッチの詰まったコイル状になっており、実用上、擬毛として使用が困難であることが判明した。ピッチの詰まったことは、カーラの長さが十分でなかったと考えられるが、コイル状の不自然な形状になったのは、カーラが、変形が少ない部材であることに起因すると考えられる。
特に、布としてシーチングのような、熱伝導率が低く、柔らかい素材を用いる場合には、より変化に富んだゆるやかな自然なウエーブを形成することができる。
特に、樹脂製光ファイバPが巻き付けられた芯材50を、内部温度が80℃±5℃の筐体60内に略1時間保持して加温した後、一度常温まで冷却し、再び、内部温度が80℃±5℃の筐体60内に略1時間保持して加温することが、更に好ましい。このようにすることによって、長く使用してもとれにくい、ゆるやかな自然なウエーブを有する光ファイバPからなるかつら用擬毛2を、確実に損傷なく形成することができる。
次に、図3を参照しながら、上記の製造方法で製造されたかつら用擬毛を用いた1つの実施形態に係るかつらの説明を行う。図3は、本開示の1つの実施形態に係るかつらを模式的に示す側面断面図である。
本実施形態に係るかつら40は、上記の製造方法で製造されたかつら用擬毛2がかつらベース10に取り付けられて形成されている。本実施形態に係るかつらベース10は、表面部12及び裏面部14の2つの面部から構成され、表面部12及び裏面部14は外縁部で互いに縫合されている。表面部12は、フィラメントFからなる網状構造を有する。かつら用擬毛2は、網状の表面部12を通過し、表面部12の表面側に位置する第1の領域2Aと、表面部12の裏面側に位置する第2の領域2Bとから構成される。第1の領域2Aが、光ファイバではない通常の擬毛Gとともに、かつらを構成する擬毛として機能する。
第2の領域2Bの端部は、LED(発光ダイオード)からなる光源20の出射側に取り付けられている。なお、第2の領域2B及び光源20は、何れも、表面部12及び裏面部14の間の空間に配置されているので、かつら40の装着時に、装着者の頭皮に触れることはなく、不快感を与えることがない。
光源20として、赤色、緑色及び青色の3原色を発光するLEDを有する白色光源を用いる場合には、各色の光の出力を変更することにより、任意の色の光を出射することができる。また、時間的に出射する光の色を変化させることもでき、人目を引く、魅力のある演出を実現できる。
なお、光源20が頭頂部に配置されると、頭頂部に光が集中して不自然な外観を呈するので、光源20を、装着時に襟元部分にくる、表面部12及び裏面部14の間の空間の外縁近傍に配置するのが好ましい。電源30も、表面部12及び裏面部14の間の空間の外縁近傍に配置するのが好ましい。光源20や電源30が装着時に動かないように、ポケットを設けて、その中に収納するようにするのが好ましい。
特に、かつら用擬毛2がかつらベース10の表面部12を通過し、表面部12の表面側に位置する第1の領域2Aと、表面部12の裏面側に位置する第2の領域2Bとがあり、第1の領域2Aの端部が光源20の出射側に取り付けられているので、第1の領域2Aを光らせて、人目を引く、美観に優れたかつらを提供できる。
次に、図4A及び図4Bを参照しながら、実際に、上記のかつらを製造した実施例3の説明を行う。図4Aは、実施例3における光源の出射側に取り付けられた光ファイバを示す図(写真)である。図4Bは、実施例3における光ファイバからなる擬毛が発光している状態を示す図(写真)である。
図4Aでは、樹脂製光ファイバPからなる擬毛2の5本の束の12セットが、光源20の出射側に取り付けられているのが示されている。なお、図4Aでは、裏面部14が取り除かれており、表面部12、樹脂製光ファイバPからなる擬毛2、光源20及びケーブル22が示されている。
以上のように、実施例3により、脂製光ファイバPからなる擬毛2が、ゆるやかな自然なウエーブを有するとともに、光ることにより、人目を引く、美観に優れたかつらを実現できることが実証された。
2A 第1の領域
2B 第2の領域
10 かつらベース
12 表面部
14 裏面部
16 固定部材
20 光源
22 ケーブル
30 電源
40 かつら
50 芯材
52 留め部材
60 筐体
102 樹脂製光ファイバからなる擬毛(比較例)
150 芯材(比較例)
P 樹脂製光ファイバ
G 擬毛
F フィラメント
S はさみ
Claims (7)
- 布をロール状に巻いて形成した変形可能な芯材の周囲に樹脂製光ファイバをらせん状に巻き付けて固定する第1の工程と、
前記樹脂製光ファイバが巻き付けられた前記芯材を、内部温度が80℃±5℃の筐体内に所定時間保持して加温する第2の工程と、
加温された前記樹脂製光ファイバを冷却して、前記芯材から取り外す第3の工程と、
を含み、
前記樹脂製光ファイバが、ポリメチルメタクリレート(PMMA)によるコア部と、フッ素系樹脂によるクラッド部を有することを特徴とする光ファイバからなるかつら用擬毛の製造方法。
- 前記布としてシーチングを用いることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバからなるかつら用擬毛の製造方法。
- 前記第2の工程において、前記樹脂製光ファイバが巻き付けられた前記芯材を、一定の時間加温した後、一度常温まで冷却し、再び、一定の時間加温することを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバからなるかつら用擬毛の製造方法。
- 前記第2の工程において、前記樹脂製光ファイバが巻き付けられた前記芯材を、略1時間保持して加温した後、一度常温まで冷却し、再び、内部温度が80℃±5℃の前記筐体内に略1時間保持して加温することを特徴とする請求項3に記載の光ファイバからなるかつら用擬毛の製造方法。
- 更に、前記芯材から取り外されたかつら用擬毛となる前記樹脂製光ファイバの表面の任意の複数の箇所を押圧する第4の工程を含むことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の光ファイバからなるかつら用擬毛の製造方法。
- 請求項1から5の何れか1項に記載の製造方法で製造されたかつら用擬毛がかつらベースに取り付けられたことを特徴とするかつら。
- 前記かつら用擬毛が前記かつらベースの表面部を通過し、前記表面部の表面側に位置する第1の領域と、前記表面部の裏面側に位置する第2の領域とがあり、
前記第1の領域の端部が光源の出射側に取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載のかつら。
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