JP2005307409A - ポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法 - Google Patents

ポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光沢、触感等の、人工頭髪用繊維として要求される美容特性を満足し、かつ易セット性、耐熱性、難燃性に優れたポリエステル系人工頭髪用繊維を製造する方法を提供する。
【解決手段】 (1)紡糸口金を装着した溶融紡糸装置よりポリエステル系樹脂組成物からなる溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸条を冷却して30m/分以上1500m/分以下の速度で引き取り未延伸糸を得る第一工程、(2)得られた未延伸糸を加熱し、延伸して延伸糸を得る第二工程、(3)得られた延伸糸を加熱して熱処理糸を得る第三工程、(4)得られた熱処理糸に油剤を付着させ、乾燥させた後に巻き取りまたは収集する第四工程、からなる人工頭髪用繊維の製造方法であり、第一工程と第二工程を連続して、第三工程と第四工程を連続して、第二工程から第四工程までを連続して、第一工程から第四工程までを連続して製造してもよい。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、溶融紡糸法による人工頭髪用のポリエステル系繊維の製造方法に関する。
一般に、ポリエステル系繊維は、溶融紡糸法により製造される。溶融紡糸プロセスにおける溶融樹脂(紡糸口金から吐出される糸条)の冷却方法としては、一般に大別して水冷方式と空冷方式がある。単糸繊度が比較的大きく、また紡糸速度が比較的低速の場合には、冷却温度管理や均一性の点から水冷方式が好ましく、得られた製品品質も比較的安定である。しかし、水冷方式では、冷却水に接触する際の抵抗力による糸切れが起こったり、水中への引き取り時に発生する渦によりマルチフィラメントが収束し、未冷却段階で融着しやすくなるため好ましくない。更に、水冷方式では、冷却工程以降の加熱延伸工程、あるいは熱セット工程の前に、フィラメントに付着した冷却水を乾燥しなければならず、工程設備が煩雑になると同時にランニングコストが大きく増加し、大量生産には不向きである。一方、空冷方式は、一般衣料用から産業資材用、特殊用途向けに至るまで広く一般に採用されており、このため種々の方法が考案されている。空冷方式は、前記のようなデメリットがある水冷方式に比べて、低コスト、高生産性が得られる。しかし、一方で、空冷方式では、均一冷却の困難さ、工程安定化のためのコントロールの困難さがある。特に人工頭髪用繊維など単糸繊度が比較的大きい繊維では、空冷方式では冷却時間が長くなるため、ノズル孔形状とフィラメント断面形状との乖離(ズレ)が大きくなったり、冷却風の温度ムラや風速ムラにより不均一な物性となり、光沢、触感等の美容特性に影響し、目標とする品質が得られ難いという問題がある。
ポリエステル系繊維の製造方法については、高強度で単糸繊度の太い産業資材用ポリエステル繊維の紡糸直接延伸方法に関して、原料ポリマーの極限粘度を0.85以上とし、かつ紡糸ドラフト80以上で引き取り、スチーム延伸と弛緩熱処理を行いながら1500m/分以上の速度で巻き取る方法(特許文献1参照。)、原料ポリマーにセラミックス微粒子を含有させ、巻き取りに際して端面の綾落ちを防止し、2500m/分以上の高速で巻き取りを行う方法(特許文献2参照。)、原料ポリマーに顔料を混練して原着繊維として耐候性を向上させ、1500〜2000m/分で巻き取りを行う方法(特許文献3参照。)、ポリエチレンテレフタレートを紡糸口金から溶融吐出し、加熱長300〜500mm、雰囲気温度が350〜500℃の加熱帯域を通過させた後、空冷し、1000m/分以上の速度で引き取り、一旦巻き取ることなく連続して延伸する方法(特許文献4参照)等の技術が開示されている。しかし、いずれも産業資材用繊維の製造方法に関するものであり、高速で紡糸し生産性を下げることなく品質を維持し、高強度の繊維を得ることを目的としたものである。
また、ポリエステル系人工頭髪用繊維については、ポリエステル80〜40重量%とポリアリレート20〜60重量%を含有する組成物を用いてなり、140℃において、20%以上の熱収縮率を有し、耐燃性とセット性に優れた熱収縮性ポリエステル系繊維(特許文献5参照。)、ポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルとポリアリレートからなるブロック共重合体を含有する組成物を用いてなり、20%以上の熱収縮率を有し、耐燃性とセット性に優れたポリエステル系繊維(特許文献6参照。)等が提案されている。しかし、これらのポリエステル系人工頭髪用繊維は、ポリエステルにポリアリレートを配合することにより、即ち樹脂組成を工夫することで人工頭髪用として要求される耐熱性、強伸度、耐燃性、セット性を満足する特性を付与しようとするものであって、ポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法において、空冷方式で生産性を確保しつつ、工程安定化も確保し、しかも光沢、触感等といった人工頭髪用繊維として要求される美容特性をも満たす、といったことに留意したポリエステル系繊維の製造技術に関する提案はなされていない。
特開2002−194617号公報 特開2002−201528号公報 特開2002−266162号公報 特許第3333750号公報 特開2002−212835号公報 特開2002−348734号公報
本発明は、光沢、触感等といった人工頭髪用繊維として要求される美容特性を満足し、かつ易セット性、耐熱性、更には難燃性に優れたポリエステル系人工頭髪用繊維を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、溶融紡糸法によりポリエステル系人工頭髪用繊維を製造するにあたり、更には、ポリエステル系人工頭髪繊維に、人毛に良く似た光沢、触感、難燃性等を付与するために、紡糸口金のノズル孔形状を異形(非円形)としたり、原料樹脂に難燃剤を含有させる等して、ポリエステル系人工頭髪用繊維を溶融紡糸法により製造するにあたり、紡糸口金から吐出される溶融樹脂の糸条の引き取り速度、即ち未延伸糸引取速度を特定の範囲とすることにより、更には、特定の範囲の紡糸ドラフト、細化点、繊度とする空冷方式で製造することにより、上記目的とする人工頭髪用繊維を得ることができた。
即ち、本発明に係るポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法は、(1)紡糸口金を装着した溶融紡糸装置よりポリエステル系樹脂組成物からなる溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸条を冷却して30m/分以上1500m/分以下の速度で引き取り未延伸糸を得る第一工程、(2)得られた未延伸糸を加熱し、延伸して延伸糸を得る第二工程、(3)得られた延伸糸を加熱して熱処理糸を得る第三工程、(4)得られた熱処理糸に油剤を付着させ、乾燥させた後に巻き取りまたは収集する第四工程からなる。更に、前記第一工程と第二工程を連続して前記人工頭髪用繊維を製造する方法、前記第三工程と第四工程を連続して前記人工頭髪用繊維を製造する方法、前記第二工程から第四工程までを連続して前記人工頭髪用繊維を製造する方法、前記第一工程から第四工程までを連続して前記人工頭髪用繊維を製造する方法である。
また、本発明は、前記第一工程における未延伸糸の引き取り速度が40m/分以上250m/分以下である、前記人工頭髪用繊維を製造する方法、前記第一工程における溶融樹脂の冷却方式が空冷方式による、前記人工頭髪用繊維を製造する方法、前記第一工程における紡糸口金より吐出された糸条の細化点が紡糸口金から5〜150mmの範囲内である、前記人工頭髪用繊維を製造する方法、紡糸ドラフトが10〜200である、前記人工頭髪用繊維を製造する方法、前記第一工程における未延伸糸の単糸繊度が30〜500dtexである、前記人工頭髪用維を製造する方法、前記第四工程において巻き取りまたは収集するフィラメントの単糸繊度が10〜100dtexである、前記人工頭髪用繊維を製造する方法である。更に、本発明は、前記ポリエステル系樹脂組成物として、リン系難燃剤(リン含有難燃剤)及び/又は臭素系難燃剤(臭素含有難燃剤)を含む組成物を用いることで、難燃性を有するポリエステル系人工頭髪用繊維を製造する方法である。更にまた、本発明は、前記溶融樹脂を紡糸口金のノズル孔形状が異形(非円形)である紡糸口金、即ち異形ノズルから吐出して、異形断面のポリエステル系人工頭髪用繊維を製造する方法である。
本発明により、ポリエステル系繊維の特長である耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持したまま、人工頭髪用繊維に要求される、高度な人毛に近い触感、風合い、光沢、を提供するための種々の断面形状を有する、更には、難燃剤を含有して高度に難燃化されたポリエステル系人工頭髪用繊維を、紡糸口金から吐出された溶融樹脂の糸条の糸切れや冷却風による糸揺れ、融着がなく、安定した空冷紡糸により生産することが可能となり、更に、冷却後の延伸工程以降においても安定かつトラブルのない生産が可能となり、目的とするポリエステル系人工頭髪を生産性よく製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明においてポリエステル系人工頭髪用繊維の製造に用いられるポリエステル系樹脂組成物(A)としては、ポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステル系樹脂(B)単独で用いても良いが、安全性の点から難燃性を付与されたものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステル系樹脂(B)に、リン系難燃剤(C)及び/又は臭素系難燃剤(D)を溶融混練して得られる組成物や、ポリエステルに反応型リン系難燃剤を共重合させたポリエステル等を用いることができる。難燃性や耐熱性だけでなく、燃焼時にドリップし難く、人毛に似た適度につや消しされた自然な艶等の頭髪用繊維として優れた特性を持つポリエステル系繊維を得るためには、以下のような成分からなるポリエステル系樹脂組成物を用いることが更に好ましい。
本発明に用いられるポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂(B)としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート及び/又はこれらのポリアルキレンテレフタレートを主体とし、少量の共重合成分を含有する共重合ポリエステル、及びそれらとポリアリレート、ポリカーボネート等とのポリマーアロイ等が挙げられる。尚、前記「主体」とするとは、80モル%以上含有することをいう。前記共重合ポリエステルは、主体となるポリアルキレンテレフタレートの主鎖及び/又は側鎖に前記共重合成分が重縮合していればよく、共重合の仕方等には特別な限定はない。前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの具体例としては、例えばポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステル等が挙げられる。前記ポリアルキレンテレフタレート及びその共重合ポリエステルは、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリエステル系樹脂(B)の固有粘度としては、0.5〜1.4であるのが好ましく、更には0.6〜1.2であるのが好ましい。固有粘度が0.5未満の場合、得られる繊維の機械的強度が低下する傾向が生じ、1.4をこえると、分子量の増大に伴い溶融粘度が高くなり、溶融紡糸が困難になったり、繊度が不均一になる傾向が生じる。
本発明に用いられるリン系難燃剤(C)は特に限定はなく、一般に用いられているリン含有難燃剤であれば使用することができ、例えば、ホスフェート系化合物、ホスホネート系化合物、ホスフィネート系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、ホスホナイト系化合物、ホスフィナイト系化合物、ホスフィン系化合物、縮合リン酸エステル系化合物、リン酸エステルアミド化合物及び有機環状リン系化合物等が挙げられる。これらは1種で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、縮合リン酸エステル系化合物、リン酸エステルアミド化合物、有機環状リン系化合物が、繊維物性への影響が小さく、良好な難燃性が得られるという点から好ましい。前記リン系難燃剤(C)の使用量は、前記ポリエステル系樹脂(B)100重量部に対し、3〜30重量部が好ましく、4〜25重量部がより好ましく、5〜20重量部が更に好ましい。リン系難燃剤(C)の使用量が3重量部より少ないと難燃効果が得られ難くなり、30重量部より多いと機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性が損なわれる場合がある。
本発明に用いられる臭素系難燃剤(D)には特に限定はなく、一般に用いられている臭素含有難燃剤であれば使用することができ、臭素含有リン酸エステル類、臭素化ポリスチレン類、臭素化ポリベンジルアクリレート類、臭素化エポキシオリゴマー類、臭素化ポリカーボネートオリゴマー類、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物、臭素含有イソシアヌル酸系化合物等が挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。臭素系難燃剤(D)の具体例としては、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの臭素含有リン酸エステル類、臭素化ポリスチレン類、臭素化ポリベンジルアクリレート類、臭素化エポキシオリゴマー類、臭素化ポリカーボネートオリゴマー類、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等のテトラブロモビスフェノールA誘導体、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン等の臭素含有トリアジン系化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の臭素含有イソシアヌル酸系化合物等が挙げられる。これらの中でも、臭素含有リン酸エステル系難燃剤、臭素化ポリスチレン系難燃剤、臭素化ベンジルアクリレート系難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、臭素含有トリアジン系化合物、臭素含有イソシアヌル酸系化合物が、繊維物性への影響が小さく、良好な難燃性が得られるという点から好ましい。臭素系難燃剤(D)の使用量は、ポリエステル系樹脂(B)100重量部に対し、2〜30重量部が好ましく、3〜25重量部がより好ましく、4〜20重量部が更に好ましい。臭素系難燃剤(D)の使用量が2重量部より少ないと難燃効果が得られ難くなり、30重量部より多いと機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性が損なわれる場合がある。
本発明のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造に用いられるポリエステル系樹脂組成物(A)は、例えば、ポリエステル系樹脂(B)と、リン系難燃剤(C)及び/又は臭素系難燃剤(D)を事前にドライブレンドした後、一般的な各種混練機を用いて溶融混練することにより製造することができる。前記混練機の例としては、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられる。これらの中でも、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。
また、本発明のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法においては、前記ポリエステル系樹脂組成物(A)に、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレンなどの有機微粒子や、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、タルク、カオリンなどの無機微粒子を混合して、製造される繊維表面に微細な突起を形成し、繊維表面の光沢、つやを調整することもできる。
また、本発明のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法においては、前記ポリエステル系樹脂組成物(A)に、必要に応じて、耐熱剤、光安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含有させることができる。顔料を含有させることにより、原着繊維を得ることができる。本発明で製造されるポリエステル系繊維が原着されている場合、製造された繊維をそのまま人工頭髪用として使用することができるが、原着されていない場合、通常の難燃性ポリエステル系繊維と同様の条件で染色することができる。染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。
本発明のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法は、前記ポリエステル系樹脂組成物(A)を、特定の条件で溶融紡糸することにより製造することができる。本発明の製造方法は(1)紡糸口金を装着した溶融紡糸装置より前記のようなポリエステル系樹脂組成物からなる溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸状を冷却して30m/分以上1500m/分以下の速度で引き取り未延伸糸を得る第一工程、(2)得られた未延伸糸を加熱し、延伸して延伸糸を得る第二工程、(3)得られた延伸糸を加熱して熱処理糸を得る第三工程、(4)得られた熱処理糸に油剤を付着させ、乾燥させた後に巻き取りまたは収集する第四工程から構成され、各工程とも常法の加工装置によって製造することが可能であるが、本発明の課題とする人工頭髪用繊維の製造において、更に好ましい装置の形態と加工条件がある。この点について、以下に詳細に説明する。
まず、第一工程について詳細に説明する。口金からポリエステル系樹脂組成物(A)からなる溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸条を冷却して未延伸糸を得るには、例えば押出機、ギアポンプ、口金などの温度を250〜320℃とし、前記樹脂組成物を加熱溶融して紡糸口金から吐出する。ノズル孔は円周上に配列してもよく、あるいは方形や矩形に行列に配列したり、任意のピッチで配列しても良い。ノズル孔形状は円形、楕円形、交差円形、繭形、だるま形、ドッグボーン形、リボン形、3〜8葉形、星形など任意に選択でき、前記任意の断面よりなる群から選ばれる少なくとも2種の異形断面形状の混合繊維として用いることも可能である。前記各種のノズル孔形状の中でも、製造されるポリエステル系繊維に人工頭髪用繊維としての好ましい光沢、触感等を付与するためには、円形でないもの、即ち、非円形の異形断面形状のものが好ましい。また、紡糸口金と冷却装置との間に、例えば筒状の炉(加熱塔)等を設置して加熱帯域を設けてもよく、前記前記加熱塔の内部温度等の加熱帯域の雰囲気温度は350〜500℃、加熱帯域の長さは200〜1000mm等とすることができる。
第一工程の冷却方法としては、空冷による方法が生産性及び人工頭髪用繊維としての繊維物性の両面から好ましく選択される。そこで、以下、第一工程における紡糸口金から吐出された溶融樹脂の糸条の空冷方法について説明する。通常、前記糸条を、冷却風吹き出し部を有する冷却装置を通過させ、該吐出糸条をガラス転移点以下に冷却する。冷却装置は、例えば筒型で内周または外周から冷却風を吹き出し、糸条入側又は出側から排出する機構でもよく、箱型で糸条の走行面に対して片側もしくは両側から吹き出す機構等でもよい。冷却風の吹き出し長は特に限定されないが、装置の設置上の問題から100〜3000mm程度とすることが好ましく、300〜2000mm程度が更に好ましい。冷却風の吹き出し長が100mm未満になると糸条を有効に冷却することができなくなるので好ましくない。また、冷却風の吹き出し長が3000mmを超える場合には、糸条が冷却風により大きく揺られ、引き取り時の糸条の揃いが悪く単糸にズレが生じたり、紡糸油剤の付着量が不均一になり、未延伸糸の引き取りや延伸以降の工程トラブルの原因となる恐れがあり好ましくない。紡糸口金のノズル面、又は前記加熱帯域から冷却装置までの距離は、できるだけ短い方が吐出された溶融樹脂からなる糸条の細化点を短くするために有利であるが、前記ノズル面に冷却風が当たると口金温度が降下し、樹脂圧力が上昇したり安定した吐出状態が保てなくなるので断熱板を設けるなど適切な断熱措置が必要である。前記糸条に当てられる冷却風の吹き出し線速度は0.1〜5m/秒、好ましくは0.5〜3m/秒とし、冷却風を整流していることが好ましい。冷却風を整流する方法は特に限定されないが、金網、パンチングプレート、不織布等を用いるか、更に好ましくはハニカムなどの整流格子を用いればよい。
紡糸口金から吐出された溶融樹脂からなる紡糸糸条の細化点は、ノズル孔形状(断面形状)、吐出量、冷却温度、冷却風量等により変化するが、紡糸口金からの距離が5〜150mmであることが好ましく、10〜70mmがより好ましい。更に、未延伸糸の冷却方式を空冷方式とし、かつ前記のように細化点を5〜150mmとすることで、水冷方式の場合に起こる繊維表面の水との接触及び水の表面張力による抵抗と、それにより惹起される糸切れ、表面凹凸の形態を変化させる外力を好適に防止することができると同時に、ノズルから出た瞬間の断面形状からの崩れ、即ち、未延伸糸断面とノズル孔形状との乖離を少なくすることができる。また、冷却方式を空冷方式とし、かつ細化点を上記の範囲で調整することにより、得られる未延伸糸の分子配向をできるだけ制御し、これにより第2工程での糸切れ、延伸白化を抑制するなどの効果が発現され、所望の繊維物性、人毛に似た光沢、感触を有する繊維を製造することができる。細化点が5mm未満になるとノズルからの吐出直後で糸切れが発生しやすくなり、150mmを超えると、特に異形断面繊維の場合には、未延伸糸断面とノズル孔形状との乖離が大きくなり、目的とする触感、風合い、光沢を提供するための種々の繊維断面形状を安定して保持することが困難となり、糸切れや融着の原因となりやすい。前記細化点は、空冷方式の場合、空冷の開始点、即ち紡糸口金から吐出される溶融樹脂の糸条に冷却風が当たるまでの口金からの距離、又は冷却風速、冷却風温度の増減により調整する。
前記のように、第一工程の冷却方法としては、空冷による方法が好ましく選択されるが、水冷方式による冷却としてもよく、この場合、水温、冷却滞留時間は紡糸糸条の必要冷却時間に応じて任意に設定することができる。冷却水の代わりに温水を用いてもよく、帯電防止や糸条の収束性向上の目的から、紡糸油剤を適宜添加してもよい。前記紡糸油剤としては、糸条の収束性改善(バラケ、絡まり、もつれ等の防止)を目的として使用される、PO/EO系油剤、フォスフェート系油剤、4級アンモニウム系油剤等の親水性油剤が挙げられる。水冷方式では糸条が濡れるため、巻き取り時の巻き取り装置への水の持ち込み、又は延伸工程での加熱時の温度低下を防止するために、従来公知の水切り装置を通過させることが好ましい。
冷却後の未延伸糸は、引取機によって引き取る。この未延伸糸の引き取りに際しては、未延伸糸を巻き取り機によりボビンや紙管等に巻き取ってもよく、ケンスなどに振り込んで収集してもよいが、次工程での解除性に優れた収集方法であることが好ましい。未延伸糸を引き取る際、あるいは巻き取りなどで収集する際には、帯電防止や糸条の収束性向上の目的から、前記と同様の紡糸油剤を適宜添加してもよい。未延伸糸に対する紡糸油剤の付着は、タッチロール、オイリングノズル、ディッピング方式、噴霧による吹き付け等の方法を用いることができるが、油剤の付着量や油剤濃度のコントロールのしやすさからタッチロール、オイリングノズルが好ましい。
本発明の製造方法における前記未延伸糸の引き取り速度は、30〜1500m/分であるが、40〜250m/分とすることがより好ましく、更に好ましくは50〜200m/分である。この範囲で溶融樹脂の吐出量、所望の繊度、口金の孔数により適宜調整する。引き取り速度が30m/分未満では安定した紡糸張力が得られず、糸条の落下速度に追いつかず、引き取り不能となる。また、生産性が悪く工業化に不向きとなる。一方1500m/分を超えると冷却不足が生じたり、糸切れを起こしやすくなるだけでなく、未延伸糸を一旦巻き取ったりせず、引き取り後に延伸工程以降も連続して生産する場合には、延伸速度が速くなりすぎ、延伸予熱の滞留時間不足、延伸ムラや延伸白化が発生する。
紡糸ドラフト、即ち、ノズル単孔あたりの吐出線速度と引き取り速度の比は、10〜200であることが好ましく、さらには40〜140が好ましい。紡糸ドラフトが10未満では吐出線速度が速くなり、十分な紡糸張力が得られず、糸条が冷却風により大きく揺られ、単糸のズレが生じてロールやガイドへの巻き付き、ひっかかりが生じたり、所望の紡糸繊度を得るための引き取り速度では糸条の落下速度に追いつかず、引き取り不能となる。一方、紡糸ドラフトが200を超えると吐出直後の糸切れが発生しやすくなる。
未延伸糸の単糸繊度は、30〜500dtexであることが好ましく、更に好ましくは80〜400dtexである。未延伸糸の単糸繊度が30dtex未満の場合、例えば3倍延伸後の繊度は10dtexとなり、細すぎて腰がなく、強度もなく人工頭髪用繊維としては不向きである。また、500dtexを超えると、例えば5倍延伸後でも繊度は100dtexを超え、太すぎて腰が強く、硬く、強度も大きくなりすぎ、はやり人工頭髪用繊維としては不向きである。
次に、第二工程について詳細に説明する。第二工程では、前記第一工程で得られた未延伸糸を加熱し、延伸する。前記延伸は、1段延伸法又は2段以上の多段延伸法により延伸することもできる。また、前記延伸は、未延伸糸を一旦収集してから延伸する2工程法又は未延伸糸を巻き取るなど収集することなく第一工程から連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。2工程法においては、第一工程で得られた未延伸糸を、未延伸糸の収集単位で、例えば2〜300単位程度を合糸して延伸してもよく、任意に設定することができる。延伸に先立つ未延伸糸の加熱手段としては、加熱ローラー、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽等を使用することができ、更に必要に応じてこれらを適宜併用することもできる。延伸速度、倍率は装置の大きさ、加熱滞留時間、繊維製品の用途に応じて任意に設定できるが、延伸速度は、例えば2工程法では5〜200m/分、より好ましくは20〜100m/分程度、直接紡糸延伸法では90〜7500m/分、より好ましくは120〜1250m/分程度である。また、延伸倍率は3〜5倍の範囲が好ましく、3倍未満では十分な強度や耐熱性が得られず、また5倍を超えると糸切れや毛羽が生じたり、繊維が白化して色相が悪くなりやすい。
次に、第三工程について詳細に説明する。本発明の人工頭髪用繊維は、耐熱性を有し、人毛と同様にヘアアイロンなどの美容熱器具を使用可能とするため、延伸糸を比較的高温で熱セットし、美容熱器具の使用によって糸の融着、収縮、縮れが起こらないようにすることが好ましい。このため、加熱装置を用いて延伸糸の熱処理を行う。熱処理温度は、例えば100〜220℃の範囲で、要求される製品品質により任意に設定できるが、美容熱器具の使用を考慮し150〜220℃で熱処理することが好ましい。延伸糸の加熱手段としては、加熱ローラー、ヒートプレート、スチームジェット装置、赤外線装置等の種々の加熱装置を使用することができ、必要に応じてこれらを適宜併用してもよい。熱処理速度は、装置の大きさ、加熱滞留時間、繊維製品の用途に応じて任意に設定できるが、前記第二工程における延伸速度と同様に、延伸糸を巻き取るなどして一旦収集してから熱処理してもよく、また第二工程の延伸から連続して熱処理してもよい。延伸糸の残留応力を除去するために、弛緩熱処理を行うことも可能である。通常は熱処理加熱を開始する付近で繊維を弛緩させるが、熱処理と弛緩を2段階以上の多段階で行ってもよい。弛緩率は強伸度、繊度、触感、風合い等によって適宜設定することができるが、3〜30%の範囲が好ましい。
次に、第四工程について詳細に説明する。第四工程では、前記第三工程で得られた熱処理糸に油剤を付着させ、乾燥させた後に巻き取りまたは収集する。油剤の付着は第一工程と同様にタッチロール、オイリングノズル、ディッピング方式、噴霧による吹きつけ等を用いることができるが、付着量や油剤濃度のコントロールのしやすさからタッチロール、オイリングノズルが好ましい。油剤としては、帯電防止や収束性向上、さらには触感、風合い、櫛通り、後加工性の向上等のために、種々の成分を選択し用いることができる。使用する油剤としては、前記第一工程で使用されると同様の、PO/EO系油剤、フォスフェート系油剤、4級アンモニウム系油剤等が挙げられる。油剤付着量は油剤純分で0.05〜1%omfの範囲で適宜選択でき、付着させる油剤溶液濃度、温度又は油剤溶液粘度を調整することにより任意に設定可能である。油剤付着後の糸条の乾燥には、例えば熱風循環方式、加熱ローラー、ヒートプレート、赤外線装置等の乾燥方式を用いることができ、乾燥処理速度や加熱滞留時間は装置の大きさなどに応じて任意に設定できる。油剤付着後の糸条の膠着、ローラーやガイドなどへのスケール発生の点から、糸条はできるだけ均一に広げて乾燥効率を良くし、装置内部でのローラーやガイドへの接触を少なくすることが好ましい。第四工程では、前記第二工程と同様に、第三工程で得られた熱処理糸を巻き取るなどして一旦収集してから油剤塗布、乾燥処理をしてもよいし、第三工程の熱処理から連続して処理してもよい。油剤乾燥後の糸条は、巻き取り、ケンス取り、枷取り、又は箱詰めなど任意の出荷形態に合わせて収集する。
本発明の製造方法においては、上記各工程における詳細な説明でも一部述べたように、製品品質及び生産性の向上、装置の簡略化、取り扱いの容易さ等の点から、複数の工程を連続して製造することが可能であり、また好ましい。即ち、第一工程と第二工程を連続して製造する方法、第三工程と第四工程を連続して製造する方法、第二工程から第四工程までを連続して製造する方法、第一工程から第四工程までを連続して製造する方法等が挙げられる。特に第一工程から第四工程までを連続して製造する方法は、設備がコンパクトになり、省力化、自動化、製品収率の点から大変有利である。
本発明の製造方法によれば、ポリエステル系繊維の耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持しつつ、人毛に近い自然な光沢(艶)、風合い、触感を有し、カール特性の優れた人工頭髪用繊維、更には難燃性に優れた人工頭髪用繊維が得られる。また、本発明の人工頭髪用繊維を加工してウィッグ、ブレード、ヘアアクセサリー、人形の頭髪のような頭飾製品とすることができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、加工性や繊維の特性値の評価法、測定法は、以下のとおりである。
(融着)
◎:融着は全くない。
○:融着は殆どない(1時間に1回未満)。
△:一部融着がある(1時間に1回以上)。生産継続可能だが不安定で品質に悪影響がある。
×:融着が多い。不安定で生産が継続できない。
(糸切れ)
◎:糸切れは全くない。
○:糸切れは殆どない(1時間に1回未満)。
△:一部糸切れがある(1時間に1回以上)。生産継続可能だが不安定で品質に悪影響がある。
×:糸切れが多い。不安定で生産が継続できない。
(強度および伸度)
インテスコ社製、INTESCO Model 201型を用いて、フィラメントの引張強伸度を測定する。長さ40mmのフィラメント1本をとり、フィラメントの両端10mmを、接着剤を糊付けした両面テープを貼り付けた台紙(薄紙)で挟み、一晩風乾させて、長さ20mmの試料を作製する。試験機に試料を装着し、温度24℃、湿度80%以下、荷重=0.363mN×繊度(dtex)、引張速度20mm/分で試験を行ない、強度と伸度を測定する。同じ条件で試験を10回繰り返し、平均値をフィラメントの強伸度とする。
(光沢)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを、太陽光の下、目視により評価する。
◎:人毛に等しいレベルに光沢が調整されている。
○:適度に光沢が調整されている。
△:若干光沢が多すぎる、又は、若干光沢が少なすぎる。
×:光沢が多すぎる、又は、光沢が少なすぎる。
(カールセット性)
蓑毛にしたフィラメントを32mmΦのパイプに捲きつけ、120℃、相対湿度100%で60分間のスチーム加工条件でカールセットし、室温で60分間エイジングしたのちに、カールしたフィラメントの一端を固定して釣り下げ、カールの状態を目視評価する。これをカールの付きやすさの指標とした。長さが短く、形良くカールが付いているものが好ましい。
○:形良くカールが付いている。
△:若干カールが伸びている。
×:カールが伸びて、形が崩れている。
(触感)
専門美容師による官能評価を行い、3段階で評価する。
○:人毛に似た非常に柔らかな風合い。
△:人毛に比べやや硬い風合い。
×:人毛に比べ硬い風合い。
(アイロンセット性)
ヘアーアイロンによるカールセットのしやすさ、カール形状の保持性の指標である。フィラメントを、180℃に加熱したヘアーアイロンにかるく挟み、そのままフィラメント先端に向けて抜く操作を3回繰り返し、カールを付与するフィラメントの部分を予熱する。この予熱操作時の、(1)フィラメント間の融着、(2)フィラメントの縮れ・糸切れ、を目視評価する。つぎに、予熱したフィラメントをヘアーアイロンに捲きつけ、10秒間保持し、アイロンを引き抜く。このときの、(3)抜きやすさ(ロッドアウト性)、(4)抜いたときのカールの保持性を目視評価する。
○:前記(1)〜(4)の評価項目のいずれも問題なく良好。
△:前記(1)〜(4)の評価項目のいずれかにおいてやや悪い(やや融着が認められる、縮れ・糸切れが多少ある、ロッドアウト性がやや悪い、カール形状がやや崩れるなど)。
×:前記(1)〜(4)の評価項目のいずれかにおいて悪い(融着が認められる、縮れ・糸切れがある、ロッドアウト性が悪い、カール形状が崩れるなど)。
(製造例1〜5)
表1に示す配合比率(数値は重量部)の組成物を水分量100ppm以下に乾燥した後に着色用ポリエステルペレットPESM6100 BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%)2部を添加してドライブレンドし、二軸押出機に供給し、280℃で溶融混練し、ペレット化したのちに、水分量100ppm以下に乾燥させて、ポリエステル系樹脂組成物(A)を得た。
Figure 2005307409
*1:EFG−85A、カネボウ合繊(株)製
*2:KP−210、KOLON社製
*3:U−40245、ユニチカ(株)製
*4:SANKO BCA、三光(株)
*5:SR−T20000、阪本薬品工業(株)製
*6:PKP−53、富士タルク(株)製
*7:イムシルA−8、UNIMIN社製
(実施例1〜7)
製造例1〜5で得られた各種ポリエステル系樹脂組成物(A)を、溶融紡糸機を用いて290℃で、図1に示す異形ノズル1又は図2に示す異形ノズル2(図中の数字は寸法を示し、単位はmmである。)を用いて、紡糸ドラフト20〜160で紡糸口金より溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸条の細化点が10〜90mmとなるように空冷し、40〜230m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た(第一工程)。得られた未延伸糸を85℃のヒートロールを用いて30m/分の速度で延伸を行ない、3.5〜4倍延伸糸とし、更に連続して200℃に加熱したヒートロールを用いて、30m/分の速度で熱処理を行ない、同速度で巻き取り熱処理糸を得た(第二〜第三工程)。得られた熱処理糸に30m/分の速度で油剤を付着させ、乾燥させた後、巻き取り機を用いて巻き取り、単繊維繊度が60〜70dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た(第四工程)。こうして得られたポリエステル系繊維について、加工性、強伸度、光沢、カールセット性、触感、アイロンセット性を評価した結果を表2に示す。
(実施例8〜10)
製造例1、2又は4で得られたポリエステル系樹脂組成物(A)を、溶融紡糸機を用いて290℃で、前記異形ノズル1又は2を用いて、紡糸ドラフト40〜160で紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、吐出された溶融樹脂の糸条の細化点が10〜90mmとなるように空冷し、40〜150m/分の速度で引き取り、更に連続して140〜600m/分の速度で3.5〜4倍に加熱延伸し、さらに連続して巻き取って延伸糸を得た(第一〜第二工程)。得られた延伸糸を200℃に加熱したヒートロールを用いて30m/分の速度で熱処理を行ない、更に連続して30m/分の速度で油剤を付着させ、乾燥させた後、巻き取り機を用いて巻き取り、単繊維繊度が60〜70dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た(第三〜第四工程)。こうして得られたポリエステル系繊維について、加工性、強伸度、光沢、カールセット性、触感、アイロンセット性を評価した結果を表2に示す。
(実施例11〜12)
製造例3又は4で得られたポリエステル系樹脂組成物(A)を、溶融紡糸機を用いて290℃で、異形ノズル1、2を用いて、紡糸ドラフト132又は160で紡糸口金より溶融溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸条の細化点が10mm又は140mmとなるように空冷し、40mm/分又は150m/分の速度で引き取り、更に連続して140m/分又は525m/分の速度で3.5倍又は4倍に加熱延伸し、更に連続して200℃に加熱したヒートロールを用いて140m/分又は525m/分の速度で熱処理を行ない、更に連続して140m/分又は525m/分の速度で油剤を付着させ、乾燥させた後、巻き取り機を用いて巻き取り、単繊維繊度が60dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た(第一〜第四工程)。こうして得られたポリエステル系繊維について、加工性、強伸度、光沢、カールセット性、触感、アイロンセット性を評価した結果を表2に示す。
Figure 2005307409
(比較例1)
製造例1で得られたポリエステル系樹脂組成物(A)を、溶融紡糸機を用いて290℃で、異形ノズル1を用いて、紡糸ドラフト40で紡糸口金より溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸条の細化点が200mmとなるように空冷し2500m/分の速度で引き取って未延伸糸を得た(第一工程)。得られた未延伸糸を85℃のヒートロールを用いて延伸を行ない、3.5倍延伸糸とし、200℃に加熱したヒートロールを用いて30m/分の速度で熱処理を行ない、同速度で巻き取って熱処理糸を得た(第二〜第三工程)。得られた熱処理糸に30m/分の速度で油剤を付着させ、乾燥させた後、巻き取り機を用いて巻き取り、単繊維繊度が65dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た(第四工程)。こうして得られたポリエステル系繊維について、加工性、強伸度、光沢、カールセット性、触感、アイロンセット性を評価した結果を表3に示す。
(比較例2)
製造例1で得られたポリエステル系樹脂組成物(A)を、溶融紡糸機を用いて290℃で、異形ノズル1を用いて、紡糸ドラフト88で紡糸口金より溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸条の細化点が50mmとなるように空冷し、1700m/分の速度で引き取って未延伸糸を得た(第一工程)。得られた未延伸糸を85℃のヒートロールを用いて延伸を行ない、4倍延伸糸とし、200℃に加熱したヒートロールを用いて、30m/分の速度で熱処理を行ない、同速度で巻き取って熱処理糸を得た(第二〜第三工程)。得られた熱処理糸に30m/分の速度で油剤を付着させ、乾燥させた後、巻き取り機を用いて巻き取り、単繊維繊度が65dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た(第四工程)。こうして得られたポリエステル系繊維について、加工性、強伸度、光沢、カールセット性、触感、アイロンセット性を評価した結果を表3に示す。
(比較例3)
製造例3で得られたポリエステル系樹脂組成物(A)を、溶融紡糸機を用いて290℃で、異形ノズル2を用いて、紡糸ドラフト88で紡糸口金より溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸条の細化点が50mmとなるように空冷し、2000m/分の速度で引き取って未延伸糸を得た(第一工程)。得られた未延伸糸を85℃のヒートロールを用いて延伸を行ない、4倍延伸糸とし、200℃に加熱したヒートロールを用いて、30m/分の速度で熱処理を行ない、同速度で巻き取って熱処理糸を得た(第二〜第三工程)。得られた熱処理糸に30m/分の速度で油剤を付着させ、乾燥させた後、巻き取り機を用いて巻き取り、単繊維繊度が60dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。こうして得られたポリエステル系繊維について、加工性、強伸度、光沢、カールセット性、触感、アイロンセット性を評価した結果を表3に示す。
(比較例4)
製造例3で得られたポリエステル系樹脂組成物(A)を、溶融紡糸機を用いて290℃で、異形ノズル2を用いて、紡糸ドラフト88で紡糸口金より溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸条の細化点が50mmとなるように空冷し、1700m/分の速度で引き取り、更に連続して6000m/分の速度で3.5倍に加熱延伸し、更に連続して引き取って延伸糸を得た(第一〜第二工程)。得られた延伸糸を200℃に加熱したヒートロールを用いて30m/分の速度で熱処理を行ない、同速度で巻き取って熱処理糸を得た(第三工程)。得られた熱処理糸に30m/分の速度で油剤を付着させ、乾燥させた後、巻き取り機を用いて巻き取り、単繊維繊度が60dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。こうして得られたポリエステル系繊維について、加工性、強伸度、光沢、カールセット性、触感、アイロンセット性を評価した結果を表3に示す。
(比較例5)
製造例2で得られたポリエステル系樹脂組成物(A)を、溶融紡糸機を用いて270℃で、異形ノズル2を用いて、紡糸ドラフト250で紡糸口金より溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸条の細化点が88mmとなるように空冷し、2000m/分の速度で引き取り、更に連続して6000m/分の速度で3倍に加熱延伸し、更に連続して200℃に加熱したヒートロールを用いて6000m/分の速度で熱処理を行ない、更に連続して油剤を付着させ、乾燥させた後、巻き取り機を用いて巻き取り、単繊維繊度が60dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。こうして得られたポリエステル系繊維について、加工性、強伸度、光沢、カールセット性、触感、アイロンセット性を評価した結果を表3に示す。
Figure 2005307409
表2及び表3に示したように、比較例に対し、実施例では、紡糸性、延伸性、熱処理性ともに安定しており、また光沢、カールセット性、触感、アイロンセット性に優れ、人工頭髪用として好ましいポリエステル系繊維が得られることが確認された。従って、本発明の製造方法により製造されるポリエステル系人工頭髪用繊維は、従来公知の単糸繊度の太いポリエステル系繊維の製造方法により製造されるポリエステル系人工頭髪用繊維と比べ、頭髪用繊維に要求される適度な強伸度、耐熱性等のポリエステル系繊維の特徴を損なうことなく、人毛に似た光沢、触感を有し、同時に良好なカール特性を有し、人工頭髪用繊維として好適に用いることができる。
異型ノズル1の孔形状の説明図である。 異型ノズル2の孔形状の説明図である。

Claims (13)

  1. (1)紡糸口金を装着した溶融紡糸装置よりポリエステル系樹脂組成物からなる溶融樹脂を吐出し、吐出された溶融樹脂の糸状を冷却して30m/分以上1500m/分以下の速度で引き取り未延伸糸を得る第一工程、(2)得られた未延伸糸を加熱し、延伸して延伸糸を得る第二工程、(3)得られた延伸糸を加熱して熱処理糸を得る第三工程、(4)得られた熱処理糸に油剤を付着させ、乾燥させた後に巻き取りまたは収集する第四工程からなるポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  2. 前記第一工程と第二工程を連続して製造する請求項1記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  3. 前記第三工程と第四工程を連続して製造する請求項1記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  4. 前記第二工程から第四工程までを連続して製造する請求項1記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  5. 前記第一工程から第四工程までを連続して製造する請求項1記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  6. 前記第一工程における未延伸糸の引き取り速度が40m/分以上250m/分以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  7. 前記第一工程における糸条の冷却方式が空冷方式によることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  8. 前記第一工程における紡糸口金より吐出された糸条の細化点が紡糸口金から5〜150mmの範囲内であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  9. 紡糸ドラフトが10〜200であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  10. 前記第一工程における未延伸糸の単糸繊度が30〜500dtexであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  11. 前記第四工程において巻き取りまたは収集するフィラメントの単糸繊度が10〜100dtexであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  12. 前記ポリエステル系樹脂組成物が、リン系難燃剤及び/又は臭素系難燃剤を含む組成物からなり、難燃性を有するポリエステル系繊維を製造する、請求項1〜11のいずれかに記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
  13. 前記溶融樹脂を紡糸口金のノズル孔形状が異形である紡糸口金から吐出して、異形断面の人工頭髪用繊維を製造する、請求項1〜12のいずれかに記載のポリエステル系人工頭髪用繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102732982A (zh) * 2012-06-21 2012-10-17 精源(南通)化纤制品有限公司 一种人工毛发用ptt原丝的微曲度处理方法
CN114173597A (zh) * 2019-08-02 2022-03-11 爱德兰丝株式会社 假发用假毛发的制造方法以及假发

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