JP2007190870A - 疑似発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ホタル等所定の発光生物に似せた形態の本体部と光ファイバーの先端部に形成される発光部との接続形態を工夫することによって、発光の様子を外部から見やすくし、かつ小型化と耐久性向上とを図ることができる疑似発光装置を提供する。
【解決手段】 疑似ホタル発光体1は、前後方向に沿って頭部11、胸部12、胴体部13、尻部14からなる細長いホタルの形態を模した本体部10を有し、本体部10の全体が非透光性を有している。光ファイバー5の先端部は、本体部10(疑似ホタル発光体1)の前後方向の後端部(尻部14)に埋め込んで接続されるとともに、光ファイバー5の先端部には、光漏洩面16a(主表面)を有する発光部16が形成されている。発光ダイオード7からの光は、主表面をなす光漏洩面16aから漏洩するので、本体部10は尻部14の背側でホタルに似た態様で明るく発光する。
【選択図】 図2
【解決手段】 疑似ホタル発光体1は、前後方向に沿って頭部11、胸部12、胴体部13、尻部14からなる細長いホタルの形態を模した本体部10を有し、本体部10の全体が非透光性を有している。光ファイバー5の先端部は、本体部10(疑似ホタル発光体1)の前後方向の後端部(尻部14)に埋め込んで接続されるとともに、光ファイバー5の先端部には、光漏洩面16a(主表面)を有する発光部16が形成されている。発光ダイオード7からの光は、主表面をなす光漏洩面16aから漏洩するので、本体部10は尻部14の背側でホタルに似た態様で明るく発光する。
【選択図】 図2
Description
この発明は、疑似発光装置に関し、特に光ファイバーを用いて発光生物に似せて発光させるものに関する。
従来、例えばホタルに似せた疑似発光体を暗闇で発光させて、人工的な光の装飾をしたり、癒しの空間を作ったりすることが行われている。例えば、ホタルに似せた形態の本体部に、光ファイバーに接続され蛍光塗料が塗布された袋状の発光部を接着固定し、光源からの光を光ファイバー先端から発光部内に導いてその発光部をホタルのように明滅させて発光させるものが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1のような疑似発光体では、蛍光塗料が塗布された袋状の発光部を要するため、発光部(ひいては本体部)がかなり大きなものとなってしまい、例えばホタルに似せようとしても、現実離れして、癒し等の空間とはなりにくかった。また、そのような大きな袋状の発光部全体がぼんやりと光るため、疑似発光体を実際の風景・環境に似せてジオラマ的に配置したときに、発光部が草木の葉・枝等の陰に隠れてしまうと疑似発光体を見出しにくくなる場合がある。さらに、疑似発光体は、光ファイバーと発光部及び発光部と本体部の2ヶ所でそれぞれ接着により固定されているため、接着剤の劣化等により分離(剥離)しやすく耐久性に難があった。特に、光ファイバー、発光部、本体部、3者の材質が異なる場合には、接着剤の選定を誤ると高価な接着剤が必要となったり、耐久性がさらに低下したりするおそれがある。
本発明の課題は、ホタル等所定の発光生物に似せた形態の本体部と光ファイバーの先端部に形成される発光部との接続形態を工夫することによって、発光の様子を外部から見やすくし、かつ小型化と耐久性向上とを図ることができる疑似発光装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る疑似発光装置は、
ホタルその他の発光生物を模した形態の本体部と、その本体部に先端部が取り付けられるとともに基端部側が光源に配置される光ファイバーとを含み、
前記光ファイバーの先端部が塑性加工又は除去加工により光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部に変形されることによって、コアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、前記扁平部の加工面及びそれに対向する側に形成される対向面のうちの少なくとも一方を主表面として、その主表面が前記光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面に形成されるとともに、
前記扁平部は、少なくとも前記光漏洩面の一部が前記本体部に埋め込まれる形で接合され、前記発光生物に似せて発光する発光部を構成することを特徴とする。
ホタルその他の発光生物を模した形態の本体部と、その本体部に先端部が取り付けられるとともに基端部側が光源に配置される光ファイバーとを含み、
前記光ファイバーの先端部が塑性加工又は除去加工により光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部に変形されることによって、コアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、前記扁平部の加工面及びそれに対向する側に形成される対向面のうちの少なくとも一方を主表面として、その主表面が前記光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面に形成されるとともに、
前記扁平部は、少なくとも前記光漏洩面の一部が前記本体部に埋め込まれる形で接合され、前記発光生物に似せて発光する発光部を構成することを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る疑似発光装置は、
ホタルその他の発光生物を模した形態の本体部と、その本体部に先端部が取り付けられるとともに基端部側が光源に配置される光ファイバーとを含み、
前記光ファイバーの先端部が塑性加工又は除去加工により光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部に変形されることによって、コアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、前記扁平部の加工面に対向する側に形成される対向面を主表面として、その主表面が前記光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面に形成されるとともに、
前記扁平部は、前記光漏洩面の一部が前記本体部に埋め込まれる形で接合され、前記発光生物に似せて発光する発光部を構成し、
前記本体部は、少なくとも前記発光部を埋め込んでいる部分が、その発光部の光漏洩面から漏洩した光の透過を阻止又は抑制する非透光部に形成されることを特徴とする。
ホタルその他の発光生物を模した形態の本体部と、その本体部に先端部が取り付けられるとともに基端部側が光源に配置される光ファイバーとを含み、
前記光ファイバーの先端部が塑性加工又は除去加工により光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部に変形されることによって、コアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、前記扁平部の加工面に対向する側に形成される対向面を主表面として、その主表面が前記光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面に形成されるとともに、
前記扁平部は、前記光漏洩面の一部が前記本体部に埋め込まれる形で接合され、前記発光生物に似せて発光する発光部を構成し、
前記本体部は、少なくとも前記発光部を埋め込んでいる部分が、その発光部の光漏洩面から漏洩した光の透過を阻止又は抑制する非透光部に形成されることを特徴とする。
一般的に、光ファイバーはその先端から光が点状に発光するから、例えばホタルの発光部位に似せた発光部を形成することは困難か、あるいは多数本の光ファイバーの先端を集めて発光部に形成しなければならない。ところがこのような疑似発光装置によれば、光ファイバーの先端部に形成された扁平状(例えばへら状、刷毛状)をなす扁平部の主表面を、光源から導かれた光の進路が変化して光が漏洩する光漏洩面に形成し、その扁平部を本体部に埋め込むように接合して発光部に構成することにより、光ファイバーを利用しながら、ホタルをはじめ所定の発光生物に似せて発光部を発光させることが可能となる。その際、発光部を設ける位置は発光生物の発光部位に対して生物学的に必ずしも正確に再現されていなくてもよいので、発光の様子が外部から見やすい場所を選んで設置することができる。
ここで、発光生物の代表例としてのホタルを例にとれば、本体部は発光生物を模した前後方向の軸線に沿って長手形状に形成され、その一端部側(例えば尻部側)に光ファイバの先端部(扁平部)を埋め込み固定する形態のものが採用される。このように、前後方向後端部側に扁平部を埋め込み固定すれば、たとえ実際のホタルの発光部位である腹部での発光を忠実に再現していなくても、ホタルの尻に相当する部分(あるいは背中に相当する部分)をホタルに似せて光らせることによって、周囲のどの方向からでもよく見えるようになる。
そして、扁平部は、少なくとも光漏洩面の一部が本体部に埋め込まれる形で接合されて、発光生物に似せて発光する発光部を構成するので、発光部がコンパクトに形成されるとともに、光ファイバーと本体部とが仮に異なる材質で構成されていても分離しにくくなる。また、光漏洩面(の一部)が本体部に埋め込まれるため、発光部(の全体又は一部)が剥き出しにされることもなく破損や汚損を防止できる。このようにして、疑似発光装置の小型化と耐久性向上とを実現できる。
ここで、光ファイバーの先端部に、光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部の光漏洩面(主表面)を形成するには、先端部に塑性加工を施して塑性変形させたり、先端部に除去加工を施して部分的に除去したりすればよい。なお、「塑性加工」には、プレス成形等の圧縮加工、引抜き成形等の引張加工、ロール成形等の曲げ加工の他、熱変形を伴う加熱加工を含む。また、「除去加工」には、切除加工、研削加工等の機械的加工、放電加工等の電気的加工、電解加工等の電気化学的加工、化学研磨、エッチング等の化学的加工、レーザビーム加工等の光学的加工を含む。そして、扁平状をなす光漏洩面を形成するにあたり、光漏洩面(主表面)を扁平部分の両側(例えば互いに平行な2平面)に形成してもよい。
しかも、発光部(扁平部)が対向面から発光(光漏洩)するように非透光部に埋め込まれている場合には、非透光部に囲まれて明るくくっきりと発光する光漏洩面(対向面)を直接観察することができる。
すなわち、発光部は、加工面が非透光部で覆われるとともに、その非透光部の外側に配置された対向面から発光することができる。このように、発光部の加工面を非透光部で覆うことによって、対向面(光漏洩面)から漏れ出す(放出される)光の光量を増大させてより明るく光らせることができる。
このような疑似発光装置において、光漏洩面は、光ファイバーの先端部の周方向一部が熱源に接触しつつ軟化温度以上に加熱されて光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部に熱変形される際、その熱源接触側の加工面に対向する側に対向面として形成されることが望ましい。
このように、熱変形(加熱による塑性変形)を利用して光ファイバーの先端部に扁平状をなす扁平部の主表面(光漏洩面)を形成するので、例えば力学的な塑性変形を利用してプレス成形等の機械的な塑性加工を施す場合に比して省エネルギー化を図りつつ、少量生産から多量生産まで多様な生産形態に対応できる。すなわち、熱源接触側の加工面に対向する側である対向面(主表面)側で、コアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面が形成されている。
その際、非透光部を構成する予定の溶融樹脂が冷却・固化する前に、光漏洩面が溶融樹脂に埋め込まれることにより発光部が形成される場合には、光ファイバー先端部の加熱変形に続く連続的な加工工程により、発光部の形成と非透光部内への埋め込み固定とを短時間で完了させることができる。これによって疑似発光装置の生産性が高められる。
また、本体部は、非透光部を含む全体を非透光性樹脂で構成することができる。このように、本体部全体を非透光性とすることによって、対向面(光漏洩面)から漏れ出す(放出される)光の光量を増大させてより明るく光らせることができる。
以上のような疑似発光装置では、発光部は、少なくとも光漏洩面の一部が本体部に埋め込まれ、かつ溶着、圧着、接着等によってその本体部と一体化されていてもよい。発光部としての光ファイバーの先端部(扁平部)と本体部(例えば非透光部)とが接合・固定され一体化されることによって、両者が異なる材質で構成されていても抜けや外れが発生しにくく、疑似発光装置の耐久性が向上する。
ところで、このような疑似発光装置は、
ホタルその他の発光生物を模した形態の本体部と、その本体部に先端部が取り付けられるとともに基端部側が光源に配置される光ファイバーとを含み、
前記光ファイバーの先端部が塑性加工又は除去加工により光軸方向に沿って扁平状に変形され、かつ、扁平状をなす主表面が凹面状に形成されることによって、コアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、凹面状の主表面が前記光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させその漏れ出た光を凹面状の焦点付近に集める光漏洩面に形成されるとともに、
前記光ファイバーの先端部は、少なくとも前記光漏洩面の一部が前記本体部に埋め込まれる形で接合され、前記発光生物に似せて発光する発光部を構成し、
前記本体部は、少なくとも前記発光部を埋め込んでいる部分が、その発光部の光漏洩面から漏洩した光を外部に透過させる透光部に形成される場合がある。
ホタルその他の発光生物を模した形態の本体部と、その本体部に先端部が取り付けられるとともに基端部側が光源に配置される光ファイバーとを含み、
前記光ファイバーの先端部が塑性加工又は除去加工により光軸方向に沿って扁平状に変形され、かつ、扁平状をなす主表面が凹面状に形成されることによって、コアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、凹面状の主表面が前記光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させその漏れ出た光を凹面状の焦点付近に集める光漏洩面に形成されるとともに、
前記光ファイバーの先端部は、少なくとも前記光漏洩面の一部が前記本体部に埋め込まれる形で接合され、前記発光生物に似せて発光する発光部を構成し、
前記本体部は、少なくとも前記発光部を埋め込んでいる部分が、その発光部の光漏洩面から漏洩した光を外部に透過させる透光部に形成される場合がある。
このように、扁平状(例えばへら状、刷毛状)をなす主表面が凹面状(例えばスプーン状、杓子状)に形成されて光漏洩面となる場合には、その光漏洩面で光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させ、その漏れ出た光を(例えばパラボラアンテナのように)凹面状の焦点付近に集めて発光部をより明るく発光させることができる。さらに、発光部を埋め込んでいる部分(本体部)が光漏洩面から漏洩した光を外部に透過させる透光部に形成される場合には、明るく発光する発光部を外部から透光部を通じて一層観察しやすくなる。
このような疑似発光装置において、光漏洩面は、光ファイバーの先端部の周方向一部が熱源に接触しつつ軟化温度以上に加熱されて光軸方向に沿って扁平状に熱変形された後、その熱源接触側で扁平状をなす主表面が凹面状に変形されることにより形成されることが望ましい。
このように、熱変形(加熱による塑性変形)を利用して光ファイバーの先端部に扁平状をなす主表面、さらには凹面状の光漏洩面を形成するので、例えば力学的な塑性変形を利用してプレス成形等の機械的な塑性加工を施す場合に比して省エネルギー化を図りつつ、少量生産から多量生産まで多様な生産形態に対応できる。すなわち、熱源との接触により扁平状となる主表面側では、必然的にコアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面が形成されている。そして、熱源接触側で扁平状をなす主表面(光漏洩面)をそのまま凹面状に変形(熱変形)すれば、その漏れ出た光を凹面状の焦点付近に容易に集めることができる。
その際、扁平状に熱変形された光ファイバーの先端部が冷却・固化する前に、扁平状をなす主表面が凹面状に変形されて光漏洩面が形成され、かつ透光部を構成する予定の溶融樹脂が冷却・固化する前に、光漏洩面が溶融樹脂に埋め込まれることにより発光部が形成される場合には、連続的な加熱変形加工工程により、発光部の形成と透光部内への埋め込み固定とを短時間で完了させることができる。これによって疑似発光装置の生産性が高められる。
また、本体部は凹面状の光漏洩面を囲む部分が透光部に形成されるとともに、その透光部を除く本体部は非透光性を有し、光漏洩面から出る光の透過を阻止又は抑制して透光部を透過する光量を高めることができる。このように、透光部を除く本体部を非透光性とすることによって、発光部から漏れ出す光が集められ、透光部を透過して放出されるので、発光量を増大させてより明るく光らせることができる。
さらに、発光部は、凹面状の光漏洩面が透光部の内部にあって内側から外側を向くように、その透光部に埋め込み配置されている場合には、発光部の光漏洩面が透光部によって破損や汚損から保護される。しかも、凹面状の光漏洩面で集められた光が外側に向って放出されるので、透光部を通して発光部からの光を観察する際、光の減衰率を小さく抑えることができる。
次に、本発明の疑似発光装置に用いられている光ファイバーは、それ自体単独で光ファイバー発光体を構成する場合がある。例えば、「明るく発光し、発光する様子を観察しやすいこと」を目的として、次のように構成できる。
すなわち、
基端部側に配置した光源からの光を光ファイバーで先端部側に導いてその先端部を発光させる光ファイバー発光体であって、
前記光ファイバーの先端部は、その先端部の周方向一部が熱源に接触しつつ軟化温度以上に加熱されて光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部に熱変形されることによって、コアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、その熱源接触側の加工面に対向する側に形成される対向面を主表面として、その主表面が前記光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面に形成される。
基端部側に配置した光源からの光を光ファイバーで先端部側に導いてその先端部を発光させる光ファイバー発光体であって、
前記光ファイバーの先端部は、その先端部の周方向一部が熱源に接触しつつ軟化温度以上に加熱されて光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部に熱変形されることによって、コアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、その熱源接触側の加工面に対向する側に形成される対向面を主表面として、その主表面が前記光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面に形成される。
このように、光ファイバー先端部の光漏洩面を主要構成要素とする光ファイバー発光体は、光源から導かれた光を光漏洩面から漏洩させることによって、明るく発光させることができ、発光状況を観察しやすい。しかも、熱変形(加熱による塑性変形)を利用して光ファイバーの先端部に扁平状をなす扁平部の主表面(光漏洩面)を形成するので、例えば力学的な塑性変形を利用してプレス成形等の機械的な塑性加工を施す場合に比して省エネルギー化を図りつつ、少量生産から多量生産まで多様な生産形態に対応できる。
(実施例1)
図1は、この発明の一実施例である発光生物に似せた疑似発光装置としての疑似ホタル発光システムを示すものである。この疑似ホタル発光システム100では、複数(図1には1体のみ例示する)の疑似ホタル発光体1(疑似発光体)が疑似植物2に配置されている。この例では、本物のホタルが出現する時期(一般に6〜8月頃)に合わせて、疑似植物2を稲の幼茎2a(又は出穂初期の若い稲穂)としてある。具体的には、制御ボックス4の上面にあたかも植え付けられたように稲株3が固定され、後述する複数本の光ファイバー5はテープ等の結束部材6によって稲株3とともに結束されている。各光ファイバー5は、稲株3から上方に向って延びる稲の幼茎2aに沿って延設され、各疑似ホタル発光体1に接続されている。
図1は、この発明の一実施例である発光生物に似せた疑似発光装置としての疑似ホタル発光システムを示すものである。この疑似ホタル発光システム100では、複数(図1には1体のみ例示する)の疑似ホタル発光体1(疑似発光体)が疑似植物2に配置されている。この例では、本物のホタルが出現する時期(一般に6〜8月頃)に合わせて、疑似植物2を稲の幼茎2a(又は出穂初期の若い稲穂)としてある。具体的には、制御ボックス4の上面にあたかも植え付けられたように稲株3が固定され、後述する複数本の光ファイバー5はテープ等の結束部材6によって稲株3とともに結束されている。各光ファイバー5は、稲株3から上方に向って延びる稲の幼茎2aに沿って延設され、各疑似ホタル発光体1に接続されている。
図2に示すように、各疑似ホタル発光体1には光ファイバー5の先端部(光の経路(導光系)の下流端部)が接続され、各光ファイバー5の基端部(光の経路(導光系)の上流端部)が上記制御ボックス4の内部に導かれる。したがって、複数の光ファイバー5は、それらの先端部と基端部との間(中途部)であって制御ボックス4の外側(上方)において、結束部材6で稲株3(図1参照)に結束されることになる。
複数の光ファイバー5の基端部は、制御ボックス4内において、光源としての発光ダイオード(LED)7と対向し、発光ダイオード7は光制御部としての光制御IC8を介して電源(例えば乾電池等の直流電源)9に接続されている。これらの発光ダイオード7、光制御IC8及び乾電池等の電源9は、制御ボックス4の下部に対応して配置される。発光ダイオード7は、例えば赤、緑、青の光の三原色の発光素子を組み合わせた集合体として、これらの発光素子の光量を光制御IC8で制御することにより、所望の色の光(ホタルの発光色に近い波長(色)の光など)を光ファイバー5に送出することができる。ただし、単色の発光ダイオード7を光源に使用すること、あるいは発光ダイオード以外の所定色の光を放つランプを光源にすること、又はランプとその光を所定の色の光に変える色フィルターを組み合わせた光源を使用することもできる。
図3に示すように、疑似ホタル発光体1は、前後方向に沿って頭部11、胸部12、胴体部13、尻部14からなる細長いホタルの形態を模した本体部10を有し、本体部10の全体が非透光性を有している。また、光ファイバー5の先端部は、本体部10(疑似ホタル発光体1)の前後方向の後端部(すなわち尻部14)に埋め込んで接続される(接合される)とともに、光ファイバー5の先端部には、光漏洩面16a(主表面)を有する発光部16が形成されている。なお、15は疑似ホタル発光体1の触角を表わしている。
この光漏洩面16aは、光ファイバー5の先端部を塑性加工(特に加熱加工)により光軸方向に沿って扁平状(例えばへら状)をなす扁平部16に変形させることによって形成されている。すなわち、加工の際の変形(ひずみ)によって、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が略全周にわたって打破され、扁平部16の加工面16bに対向する側に形成される対向面を主表面16aとしたとき、主表面16aが発光ダイオード7(図2参照)から導かれた光の屈折率(すなわち光の進路)を変化させ、主表面16a(界面)に対する光の経路(角度)が臨界角を超える。その結果、発光ダイオード7からの光は主表面をなす光漏洩面16a(対向面)から漏洩するので、本体部10は尻部14の背側でホタルに似た態様で明るく発光する。このように、実際のホタルが腹部で発光するのに対して、疑似ホタル発光体1は尻部14で発光することになるので、疑似ホタル発光体1が幼茎2aの裏側に止まっているような状況でも(図1参照)、周囲から光る様子を観察しやすい。
本来、光ファイバー5はその先端のみから光が放出されるが、この例のように先端部を加熱加工(熱変形)等によって扁平状をなす扁平部16に変形させると、発光ダイオード7(図2参照)からの光の大部分は扁平部16の光漏洩面16a(対向面)から外部へ放出され、一部は扁平部16の加工面16bや側部16c、先端部16dからも放出される。そこで、図3に示す疑似ホタル発光体1の本体部10のうち、発光部16(光漏洩面16a)の一部を取り囲んで埋め込み固定する尻部14と胴体部13とは、着色されたポリエチレン(PE)、キシレン樹脂のような非透光性高分子材料(例えば、黒色のポリエチレン)によって一体的に形成されている。また、光漏洩面16a(対向面)の一部は尻部14の背側部分から後方側に突出して、光を外部(背側上方)に放出する光放出面を構成している。これらにより、扁平部16(発光部)の加工面16bや側部、先端部から漏れ出た光が尻部14や胴体部13を透過するのを防止(阻止)ないし抑制して、光漏洩面16aから発光(漏出・放出)される光量を高めている。そして、非透光部である尻部14に囲まれて明るくくっきりと発光する光漏洩面16a(対向面)を直接観察することができる。
本体部10のうち頭部11は、着色されたポリエチレン(PE)、キシレン樹脂のような非透光性高分子材料(例えば、黒色のポリエチレン)によって、胸部12は、着色されたポリエチレン(PE)、キシレン樹脂のような非透光性高分子材料(例えば、赤色のポリエチレン)によって、それぞれ形成されている。このように、図3に示す疑似ホタル発光体1では、実際のホタルに近づけるために、例えば二色成形により、本体部10のうち胸部12のみ赤色、頭部11、胴体部13及び尻部14を黒色に色分けしてある。なお、本体部10の全体を一色(例えば黒色)で成形した後、特定の部分(例えば胸部12)を他の色(例えば赤色)で塗装したり被覆したりしてもよい。また、尻部14(本体部10)と光漏洩面16a(発光部16(扁平部))との接続・固定は、尻部14に発光部16を埋め込んだ後、両者を溶着、圧着、接着等によって接合・一体化することによって行なわれる。例えば、軟化したポリエチレン(尻部14)中に発光部16を配置して一体成形する、一種のインサート成形によっても実施可能である。いずれにしても、光漏洩面16a(対向面)の一部は、疑似ホタル発光体1(本体部10)の尻部14内にあってその背側部分で上を向いた状態(内側から外側を向いた状態)で接合・一体化され、その一部は尻部14の背側部分から後方側に突出して、光を外部(背側上方)に放出する光放出面となっている。
さらに、本体部10の頭部11には、触角15を形成する線材(例えば細径の光ファイバーやその他の線材)が植え込まれている。この触角15は、頭部11を形成する非透光性の黒色ポリエチレンの充填が終わって、それが頭部11として固化する前に差し込むようにしてもよいし、接着剤等で接合してもよい。さらに、ホタルの足に相当する線材を本体部10に付加してもよい。
図4は、本体部10の形状を象った型モデル20(原型)を例示している。この型モデル20は所定の材料(例えば石膏、木、金属、樹脂その他適宜の材料)で形成され、実際のホタルの身体要部を模した頭部モデル21、胸部モデル22、胴体部モデル23、尻部モデル24等で構成される。そして、これらの形状を転写して形成される本体部10の頭部11、胸部12、胴体部13、尻部14が、それぞれポリエチレンで作られることとなる(図3,図8〜図10参照)。
次に、図5〜図10により、以上で述べた発光部16及び疑似ホタル発光体1の形成方法(製造方法)について説明する。
<発光部16の形成方法>
(第一工程:扁平部形成工程)
図5に示すように、光ファイバー5の先端部を軸状(例えば円柱状)の加熱部材30(熱源)に対して相対的に(例えば上から下へ)接近・接触させ、加熱部材30で軟化温度以上に加熱して光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部16に変形させる。具体的には、図5(b)のように光ファイバー5の光軸を加熱部材30の軸線と平行状に配置し、その平行状態を維持しながら図5(a)のように光ファイバー5の先端部の周方向一部を加熱部材30に接触・押圧して、図6のように加熱部材30との接触側の加工面16bに対向する側の対向面に主表面16aを形成する。実際には、光ファイバー5の先端部を円柱状の加熱部材30の外周面に対して斜めに位置させて接触させることにより(図5参照)、扁平部16の加工面16b及び主表面16a(対向面)は平面状ではなく加熱部材30の外周面に沿うようにやや湾曲した扁平状に形成される(図6(a),(c)参照)。これは、主表面16aを予め湾曲させておくことにより、次工程で扁平部16を変形(整形)する方向を間違えないようにし、かつ変形(整形)しやすくするためである(図6(a)参照)。
(第一工程:扁平部形成工程)
図5に示すように、光ファイバー5の先端部を軸状(例えば円柱状)の加熱部材30(熱源)に対して相対的に(例えば上から下へ)接近・接触させ、加熱部材30で軟化温度以上に加熱して光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部16に変形させる。具体的には、図5(b)のように光ファイバー5の光軸を加熱部材30の軸線と平行状に配置し、その平行状態を維持しながら図5(a)のように光ファイバー5の先端部の周方向一部を加熱部材30に接触・押圧して、図6のように加熱部材30との接触側の加工面16bに対向する側の対向面に主表面16aを形成する。実際には、光ファイバー5の先端部を円柱状の加熱部材30の外周面に対して斜めに位置させて接触させることにより(図5参照)、扁平部16の加工面16b及び主表面16a(対向面)は平面状ではなく加熱部材30の外周面に沿うようにやや湾曲した扁平状に形成される(図6(a),(c)参照)。これは、主表面16aを予め湾曲させておくことにより、次工程で扁平部16を変形(整形)する方向を間違えないようにし、かつ変形(整形)しやすくするためである(図6(a)参照)。
このようにして、熱変形(塑性変形)を伴う加熱加工(塑性加工)により、図6に示すように、光ファイバー5の先端部には湾曲扁平状の主表面16a(光漏洩面)を有する発光部16(扁平部)が形成される。すなわち、図6(c)に示すように、加熱加工の際の熱変形(ひずみ)によって、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が略全周にわたって打破され、湾曲扁平状の主表面16aが発光ダイオード7から導かれた光の屈折率(すなわち光の進路)を変化させ、主表面16a(界面)に対する光の経路(角度)が臨界角を超える。その結果、発光ダイオード7からの光の大部分は主表面をなす光漏洩面16a(対向面)から漏洩し、光漏洩面16aは発光部16を構成する。したがって、光ファイバー5は新たな光ファイバー発光体として機能する。なお、発光ダイオード7からの光の一部は扁平部16の加工面16bや側部16c、先端部16dからも漏洩する。
(第二工程:扁平部整形工程)
続いて、図7に示すように、前工程で湾曲扁平状をなすように形成された扁平部16を、光ファイバー5の先端部(扁平部16)が冷却・固化する前に、上側に折り返すとともに先端が少し尖るように熱変形(塑性変形)させて、尻部14に差し込みやすくする。すなわち、図7(c)に示すように、このような扁平部16の整形のための熱変形(ひずみ)によって、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が略全周にわたって打破され、凹面状の主表面16aが発光ダイオード7から導かれた光の屈折率(すなわち光の進路)を変化させ、主表面16a(界面)に対する光の経路(角度)が臨界角を超える。その結果、発光ダイオード7からの光の大部分は主表面をなす光漏洩面16a(対向面)から漏洩し、光漏洩面16aは発光部16を構成する。したがって、光ファイバー5は新たな光ファイバー発光体として機能する。なお、発光ダイオード7からの光の一部は扁平部16の加工面16bや側部16c、先端部16dからも漏洩する。
続いて、図7に示すように、前工程で湾曲扁平状をなすように形成された扁平部16を、光ファイバー5の先端部(扁平部16)が冷却・固化する前に、上側に折り返すとともに先端が少し尖るように熱変形(塑性変形)させて、尻部14に差し込みやすくする。すなわち、図7(c)に示すように、このような扁平部16の整形のための熱変形(ひずみ)によって、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が略全周にわたって打破され、凹面状の主表面16aが発光ダイオード7から導かれた光の屈折率(すなわち光の進路)を変化させ、主表面16a(界面)に対する光の経路(角度)が臨界角を超える。その結果、発光ダイオード7からの光の大部分は主表面をなす光漏洩面16a(対向面)から漏洩し、光漏洩面16aは発光部16を構成する。したがって、光ファイバー5は新たな光ファイバー発光体として機能する。なお、発光ダイオード7からの光の一部は扁平部16の加工面16bや側部16c、先端部16dからも漏洩する。
<疑似ホタル発光体1の形成方法>
(第一工程)
次に、図8に示すように、型モデル20(図4参照)を反映して造られたキャビティ20’の頭部キャビティ21’、胴体部キャビティ23’及び尻部キャビティ24’に、非透光性(例えば黒色)の溶融ポリエチレンMP1を導入する。そして、頭部キャビティ21’の溶融ポリエチレンMP1が冷却・固化する前に、その前端部に前方側から触角15を差し込んで接合・固定する。これによって、疑似ホタル発光体1のうち、本体部10の頭部11、胴体部13及び尻部14と、触角15とを構成する(図3参照)。
(第一工程)
次に、図8に示すように、型モデル20(図4参照)を反映して造られたキャビティ20’の頭部キャビティ21’、胴体部キャビティ23’及び尻部キャビティ24’に、非透光性(例えば黒色)の溶融ポリエチレンMP1を導入する。そして、頭部キャビティ21’の溶融ポリエチレンMP1が冷却・固化する前に、その前端部に前方側から触角15を差し込んで接合・固定する。これによって、疑似ホタル発光体1のうち、本体部10の頭部11、胴体部13及び尻部14と、触角15とを構成する(図3参照)。
(第二工程)
続いて、図9に示すように、尻部キャビティ24’の溶融ポリエチレンMP1が冷却・固化する前に、その後端部に後方側から光ファイバー5の先端部(扁平部16)を部分的に差し込んで配置する。これによって、発光部16(光漏洩面16a)の周囲を覆う形で光ファイバー5の先端部を接合・固定して疑似ホタル発光体1(本体部10)を構成する(図3参照)。
続いて、図9に示すように、尻部キャビティ24’の溶融ポリエチレンMP1が冷却・固化する前に、その後端部に後方側から光ファイバー5の先端部(扁平部16)を部分的に差し込んで配置する。これによって、発光部16(光漏洩面16a)の周囲を覆う形で光ファイバー5の先端部を接合・固定して疑似ホタル発光体1(本体部10)を構成する(図3参照)。
(第三工程)
最後に、図10に示すように、胸部キャビティ22’に非透光性(例えば赤色)の溶融ポリエチレンMP3を導入する。これによって、第一工程で導入した溶融ポリエチレンMP1により構成された頭部11及び胴体部13と溶着して胸部22を構成し、疑似ホタル発光体1(本体部10)が完成する(図3参照)。
最後に、図10に示すように、胸部キャビティ22’に非透光性(例えば赤色)の溶融ポリエチレンMP3を導入する。これによって、第一工程で導入した溶融ポリエチレンMP1により構成された頭部11及び胴体部13と溶着して胸部22を構成し、疑似ホタル発光体1(本体部10)が完成する(図3参照)。
なお、以上で説明したような注型成形に代えて、例えば射出成形等を用いることができる。また、本体部10の各部11,12,13,14をキシレン樹脂で構成する場合には、キシレン樹脂が熱硬化性の二液性接着剤の1種であることから、キャビティ20’内で二液混合操作を行なうことによって本体部10が形成される。したがって、キシレン樹脂等の二液性樹脂を用いて本体部10を形成すれば、加熱(溶融)操作の必要がないため、疑似ホタル発光体1を製造する際の省エネルギー化(製造コストの低減)を図ることができる。
このように、熱変形(加熱加工)を利用して光ファイバー5の先端部(扁平部16)に湾曲扁平状の光漏洩面16aを形成するので、省エネルギー化を図りつつ、少量生産から多量生産まで多様な生産形態に対応できる。すなわち、加熱部材30との接触側である加工面16bに対向する側の主表面16a(対向面)側では、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が略全周にわたって打破され、発光ダイオード7から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面16aが形成されている。
その際、尻部14を構成することになる非透光部の溶融ポリエチレンMP1が冷却・固化する前に、光ファイバー5の先端部(扁平部16)すなわち光漏洩面16aが溶融ポリエチレンMP1に埋め込まれることにより発光部16が形成される。このような光ファイバー5先端部(扁平部16)の加熱変形に続く連続的な加工工程により、発光部16の形成と尻部14内への埋め込み固定とを短時間で完了させることができる。
また、発光部16(扁平部)が対向面(主表面)から発光(光漏洩)するように非透光性の尻部14に部分的に埋め込まれているので、尻部14に囲まれて明るくくっきりと発光する疑似ホタル発光体1の光漏洩面16a(対向面)を直接観察することができる。
さらに、本体部10全体を非透光性樹脂で構成しているので、疑似ホタル発光体1の光漏洩面16a(対向面)から漏れ出す(放出される)光の光量を増大させてより明るく光らせることができる。
なお、光ファイバー5の外径が所定値(例えば1.5mm)以上で、クラッド5bが透光性(例えば透明)を有するとき、光ファイバー5の中途部において外周面から光が外部へわずかに漏れ出す場合がある。そこで、このような光ファイバー5を図1に示す疑似ホタル発光システム100に用いれば、その先端部(発光部16)が尻部14(非透光部)の外側でホタルに似せて明るく発光するとともに、その発光部16に至る中途部が尾を引くようにかすかに光り、これらが相乗されて疑似ホタル発光体1を含む幻想的な空間を醸成することも可能となる。
そして、発光部16としての光ファイバー5の先端部(扁平部16)に形成される光漏洩面16aは、尻部14に埋め込まれて接合・固定され、一体化されている。これによって、発光部16を構成する光ファイバー5(一例としてコア5aが二酸化ケイ素製、クラッド5bがシリコーン樹脂製)と、非透光部を構成する尻部14(一例としてポリエチレン製)とが、異なる材質で構成されていても抜けや外れが発生しにくく、疑似ホタル発光システム100の耐久性が向上する。また、ポリエチレンやシリコーンのように平均的には必ずしも接着性が良好でないとされる樹脂を尻部14や光ファイバー5に用いる場合でも、埋め込みによる接合・固定によって、発光部16(光ファイバー5)が抜けたり外れたりしにくくなる。
(実施例2)
図11は疑似ホタル発光体の他の例を示している。図11に示す疑似ホタル発光体1(疑似発光体)の基本的構成は、図3(実施例1)のものと同様である。ただし、図11に示す疑似ホタル発光体1は、前後方向に沿って頭部11、胸部12、胴体部13、尻部14からなる細長いホタルの形態を模した本体部10を有し、このうち尻部14のみが透光性を有している。また、光ファイバー5の先端部は、本体部10(疑似ホタル発光体1)の前後方向の後端部(すなわち尻部14)に埋め込んで接続される(接合される)とともに、光ファイバー5の先端部には、凹面状の光漏洩面116a(主表面)を有する発光部116が形成されている。
図11は疑似ホタル発光体の他の例を示している。図11に示す疑似ホタル発光体1(疑似発光体)の基本的構成は、図3(実施例1)のものと同様である。ただし、図11に示す疑似ホタル発光体1は、前後方向に沿って頭部11、胸部12、胴体部13、尻部14からなる細長いホタルの形態を模した本体部10を有し、このうち尻部14のみが透光性を有している。また、光ファイバー5の先端部は、本体部10(疑似ホタル発光体1)の前後方向の後端部(すなわち尻部14)に埋め込んで接続される(接合される)とともに、光ファイバー5の先端部には、凹面状の光漏洩面116a(主表面)を有する発光部116が形成されている。
この光漏洩面116aは、光ファイバー5の先端部を塑性加工(特に加熱加工)により光軸方向に沿って扁平状(例えばへら状)をなす扁平部116に変形させ、扁平部116の主表面(加工面)をさらに上側に凹面状(例えばスプーン状)に変形させることによって形成されている。加工の際の変形(ひずみ)によって、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が打破され、凹面状の主表面116aが発光ダイオード7(図2参照)から導かれた光の屈折率(すなわち光の進路)を変化させ、主表面116a(界面)に対する光の経路(角度)が臨界角を超える。その結果、発光ダイオード7からの光は、主表面をなす光漏洩面116aから尻部14(透光部)内に漏洩し、漏れ出た光は(例えばパラボラアンテナ、あるいは凹レンズや凹面鏡のように)凹面状の光漏洩面116aの焦点付近に集められるので、尻部14はホタルに似た態様で明るく発光する。このように、実際のホタルが腹部で発光するのに対して、疑似ホタル発光体1は尻部14で発光することになるので、疑似ホタル発光体1が幼茎2aの裏側に止まっているような状況でも(図1参照)、周囲から光る様子を観察しやすい。
本来、光ファイバー5はその先端のみから光が放出されるが、この例のように先端部を加熱加工(熱変形)等によって扁平状さらには凹面状をなす扁平部116に変形させると、発光ダイオード7(図2参照)からの光の大部分は凹面状の光漏洩面116aから外部へ放出され、一部は光ファイバー5の先端からも放出される。そこで、図11に示す疑似ホタル発光体1の本体部10のうち、発光部116(光漏洩面116a)の全体又は一部を取り囲んで埋め込み固定する尻部14の背側部分は、メタクリル樹脂(アクリル樹脂;PMMA)、ポリエチレン(PE)、キシレン樹脂のような透光性高分子材料(例えば、透明ポリエチレン)によって形成され、光漏洩面116aから放出される光の透過によって発光する。一方、本体部10のうち胴体部13から尻部14の腹側部分にかけては、着色されたポリエチレン(PE)、キシレン樹脂のような非透光性高分子材料(例えば、黒色のポリエチレン)によって一体的に形成され、光漏洩面116aや光ファイバー5の先端から漏れ出た光が胴体部13を透過するのを防止(阻止)ないし抑制して、尻部14から発光(透過・放出)される光量を高めている。
なお、本体部10のうち頭部11は、着色されたポリエチレン(PE)、キシレン樹脂のような非透光性高分子材料(例えば、黒色のポリエチレン)によって、胸部12は、着色されたポリエチレン(PE)、キシレン樹脂のような非透光性高分子材料(例えば、赤色のポリエチレン)によって、それぞれ形成されている。このように、図3に示す疑似ホタル発光体1では、実際のホタルに近づけるために、例えば二色成形により、本体部10のうち胸部12のみ赤色、頭部11と胴体部13(及び尻部14の腹側部分)とを黒色に色分けしてある。また、尻部14(本体部10)と光漏洩面116a(発光部116)との接続・固定は、尻部14に発光部116を埋め込んだ後、両者を溶着、圧着、接着等によって接合・一体化することによって行なわれる。例えば、軟化したポリエチレン(尻部14)中に発光部116を配置して一体成形する、一種のインサート成形によっても実施可能である。いずれにしても、上側に凹面状の光漏洩面116aは、疑似ホタル発光体1(本体部10)の尻部14内にあってその背側部分で上を向いた状態(内側から外側を向いた状態)で接合・一体化されている。
次に、図12〜図18により、以上で述べた発光部116及び疑似ホタル発光体1の形成方法(製造方法)について説明する。
<発光部116の形成方法>
(第一工程:扁平状主表面形成工程)
図12に示すように、光ファイバー5の先端部を軸状(例えば円柱状)の加熱部材30(熱源)に対して相対的に(例えば下から上へ)接近・接触させ、加熱部材30で軟化温度以上に加熱して光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部116に変形させる。具体的には、図12(b)のように光ファイバー5の光軸を加熱部材30の軸線と平行状に配置し、その平行状態を維持しながら図12(a)のように光ファイバー5の先端部の周方向一部を加熱部材30に接触・押圧して、図13のように加熱部材30との接触側に扁平状をなす主表面116a(加工面)を形成する。実際には、光ファイバー5の先端部を円柱状の加熱部材30の外周面に対して斜めに位置させて接触させることにより(図12参照)、主表面116aは平面状ではなく加熱部材30の外周面に沿うようにやや湾曲した扁平状に形成される(図13(a),(c)参照)。これは、主表面116aを予め湾曲させておくことにより、次工程で主表面116aを加熱部材30との接触側に凹面状に形成する際に、凹面状に変形(整形)する方向を間違えないようにし、かつ変形(整形)しやすくするためである(図13(a)参照)。
(第一工程:扁平状主表面形成工程)
図12に示すように、光ファイバー5の先端部を軸状(例えば円柱状)の加熱部材30(熱源)に対して相対的に(例えば下から上へ)接近・接触させ、加熱部材30で軟化温度以上に加熱して光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部116に変形させる。具体的には、図12(b)のように光ファイバー5の光軸を加熱部材30の軸線と平行状に配置し、その平行状態を維持しながら図12(a)のように光ファイバー5の先端部の周方向一部を加熱部材30に接触・押圧して、図13のように加熱部材30との接触側に扁平状をなす主表面116a(加工面)を形成する。実際には、光ファイバー5の先端部を円柱状の加熱部材30の外周面に対して斜めに位置させて接触させることにより(図12参照)、主表面116aは平面状ではなく加熱部材30の外周面に沿うようにやや湾曲した扁平状に形成される(図13(a),(c)参照)。これは、主表面116aを予め湾曲させておくことにより、次工程で主表面116aを加熱部材30との接触側に凹面状に形成する際に、凹面状に変形(整形)する方向を間違えないようにし、かつ変形(整形)しやすくするためである(図13(a)参照)。
このようにして、熱変形(塑性変形)を伴う加熱加工(塑性加工)により、図13に示すように、光ファイバー5の先端部には湾曲扁平状の主表面116a(光漏洩面)を有する発光部116(扁平部)が形成される。すなわち、図13(c)に示すように、加熱加工の際の熱変形(ひずみ)によって、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が打破され、湾曲扁平状の主表面116aが発光ダイオード7から導かれた光の屈折率(すなわち光の進路)を変化させ、主表面116a(界面)に対する光の経路(角度)が臨界角を超える。その結果、発光ダイオード7からの光の大部分は主表面をなす光漏洩面116aから漏洩し、光漏洩面116aは発光部116を構成する。したがって、光ファイバー5は新たな光ファイバー発光体として機能する。なお、実施例1(図6)では、光漏洩面が扁平部16の加工面16a側及び対向面16b側に形成されているが、本実施例では加熱部材30の加熱温度を低くしたり光ファイバー5の先端部との接触時間を短くしたりすることにより、光漏洩面が扁平部116の加工面116a側にのみ形成されている。
(第二工程:凹面状主表面形成工程)
続いて、図14に示すように、前工程で加熱部材30との接触側で湾曲扁平状をなすように形成された主表面116aを、光ファイバー5の先端部(扁平部116)が冷却・固化する前に、上側に凹面状(例えばスプーン状)に熱変形(塑性変形)させる。すなわち、図14(c)に示すように、このような凹面状の熱変形(ひずみ)によって、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が打破され、凹面状の主表面116aが発光ダイオード7から導かれた光の屈折率(すなわち光の進路)を変化させ、主表面116a(界面)に対する光の経路(角度)が臨界角を超える。その結果、発光ダイオード7からの光の大部分は主表面をなす光漏洩面116aから漏洩する。そして、漏れ出た光は、例えばパラボラアンテナ、あるいは凹レンズや凹面鏡のように、凹面状の光漏洩面116aの焦点付近に集められ、光漏洩面116aは発光部116を構成する。したがって、光ファイバー5は新たな光ファイバー発光体として機能する。
続いて、図14に示すように、前工程で加熱部材30との接触側で湾曲扁平状をなすように形成された主表面116aを、光ファイバー5の先端部(扁平部116)が冷却・固化する前に、上側に凹面状(例えばスプーン状)に熱変形(塑性変形)させる。すなわち、図14(c)に示すように、このような凹面状の熱変形(ひずみ)によって、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が打破され、凹面状の主表面116aが発光ダイオード7から導かれた光の屈折率(すなわち光の進路)を変化させ、主表面116a(界面)に対する光の経路(角度)が臨界角を超える。その結果、発光ダイオード7からの光の大部分は主表面をなす光漏洩面116aから漏洩する。そして、漏れ出た光は、例えばパラボラアンテナ、あるいは凹レンズや凹面鏡のように、凹面状の光漏洩面116aの焦点付近に集められ、光漏洩面116aは発光部116を構成する。したがって、光ファイバー5は新たな光ファイバー発光体として機能する。
<疑似ホタル発光体1の形成方法>
(第一工程)
次に、図15に示すように、型モデル20(図4参照)を反映して造られたキャビティ20’の頭部キャビティ21’、胴体部キャビティ23’及び尻部キャビティ24’の腹側部分に、非透光性(例えば黒色)の溶融ポリエチレンMP1を導入する。そして、頭部キャビティ21’の溶融ポリエチレンMP1が冷却・固化する前に、その前端部に前方側から触角15を差し込んで接合・固定する。これによって、疑似ホタル発光体1のうち、本体部10の頭部11、胴体部13及び尻部14の腹側部分と、触角15とを構成する(図11参照)。
(第一工程)
次に、図15に示すように、型モデル20(図4参照)を反映して造られたキャビティ20’の頭部キャビティ21’、胴体部キャビティ23’及び尻部キャビティ24’の腹側部分に、非透光性(例えば黒色)の溶融ポリエチレンMP1を導入する。そして、頭部キャビティ21’の溶融ポリエチレンMP1が冷却・固化する前に、その前端部に前方側から触角15を差し込んで接合・固定する。これによって、疑似ホタル発光体1のうち、本体部10の頭部11、胴体部13及び尻部14の腹側部分と、触角15とを構成する(図11参照)。
(第二工程)
続いて、図16に示すように、尻部キャビティ24’の背側部分のうち腹側部分と接する約半分に、透光性(例えば透明)の溶融ポリエチレンMP2を導入する。そして、尻部キャビティ24’の溶融ポリエチレンMP2が冷却・固化する前に、その後端部に後方側から光ファイバー5の先端部(発光部116)を(少なくとも部分的に)差し込んで配置する。さらに、図17に示すように、尻部キャビティ24’の背側部分のうち残りの約半分に透光性(例えば透明)の溶融ポリエチレンMP2を導入する。これによって、発光部116(光漏洩面116a)の周囲を覆う形で光ファイバー5の先端部を接合・固定するとともに、図16で導入した溶融ポリエチレンMP2と溶融一体化して疑似ホタル発光体1(本体部10)の尻部14の背側部分を構成する(図11参照)。
続いて、図16に示すように、尻部キャビティ24’の背側部分のうち腹側部分と接する約半分に、透光性(例えば透明)の溶融ポリエチレンMP2を導入する。そして、尻部キャビティ24’の溶融ポリエチレンMP2が冷却・固化する前に、その後端部に後方側から光ファイバー5の先端部(発光部116)を(少なくとも部分的に)差し込んで配置する。さらに、図17に示すように、尻部キャビティ24’の背側部分のうち残りの約半分に透光性(例えば透明)の溶融ポリエチレンMP2を導入する。これによって、発光部116(光漏洩面116a)の周囲を覆う形で光ファイバー5の先端部を接合・固定するとともに、図16で導入した溶融ポリエチレンMP2と溶融一体化して疑似ホタル発光体1(本体部10)の尻部14の背側部分を構成する(図11参照)。
(第三工程)
最後に、図18に示すように、胸部キャビティ22’に非透光性(例えば赤色)の溶融ポリエチレンMP3を導入する。これによって、第一工程で導入した溶融ポリエチレンMP1により構成された頭部11及び胴体部13と溶着して胸部22を構成し、疑似ホタル発光体1(本体部10)が完成する(図11参照)。
最後に、図18に示すように、胸部キャビティ22’に非透光性(例えば赤色)の溶融ポリエチレンMP3を導入する。これによって、第一工程で導入した溶融ポリエチレンMP1により構成された頭部11及び胴体部13と溶着して胸部22を構成し、疑似ホタル発光体1(本体部10)が完成する(図11参照)。
このように、熱変形(加熱加工)を利用して光ファイバー5の先端部(扁平部116)に扁平状かつ凹面状の光漏洩面116aを形成するので、省エネルギー化を図りつつ、少量生産から多量生産まで多様な生産形態に対応できる。すなわち、加熱部材30との接触により扁平状となる主表面側(加工面側)では、必然的にコア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が打破され、発光ダイオード7から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面116aが形成されている。そして、加熱部材30との接触側で扁平状をなす主表面116a(光漏洩面)をそのまま凹面状に変形(熱変形)すれば、その漏れ出た光を凹面状の焦点付近に容易に集めることができる。
その際、扁平状をなす扁平部116に熱変形された光ファイバー5の先端部が冷却・固化する前に、扁平状をなす主表面が凹面状に変形されて光漏洩面116aが形成され、かつ尻部14(の背側部分)を構成することになる透光性の溶融ポリエチレンMP2が冷却・固化する前に、光漏洩面116aが溶融ポリエチレンMP2に埋め込まれることにより発光部116が形成される。このような連続的な加熱変形加工工程により、発光部116の形成と尻部14内への埋め込み固定とを短時間で完了させることができる。
また、凹面状の光漏洩面116aを囲む尻部14(の背側部分)は、光漏洩面116aから漏洩した光を外部に透過させる透光部に形成されるとともに、その透光部を除く本体部10は非透光性を有しているので、光漏洩面116aから出る光の透過を阻止又は抑制して透光部を透過する光量を高めることができる。つまり、透光部(尻部14)を除く本体部10を非透光性とすることによって、発光部116から漏れ出す光が集められ、透光部を透過して放出されるので、発光量を増大させてより明るく光らせることができる。
さらに、発光部116は、凹面状の光漏洩面116aが透光部(尻部14)の内部にあって内側から外側(上方)を向くように、その透光部に埋め込み配置されているので、発光部116の光漏洩面116aが透光部によって破損や汚損から保護される。しかも、凹面状の光漏洩面116aで集められた光が外側(上方)に向って放出されるので、透光部を通して発光部116からの光を観察する際、光の減衰率を小さく抑えることができる。
(実施例3)
次に、図19は疑似ホタル発光体のさらに他の例を示している。図19に示す疑似ホタル発光体1(疑似発光体)の基本的構成は、図3(実施例1)のものと同様である。ただし、図19に示す光ファイバー5の先端部には、扁平状の一対の光漏洩面216a,216a(主表面;加工面)を有する発光部216(扁平部)が形成されている。
次に、図19は疑似ホタル発光体のさらに他の例を示している。図19に示す疑似ホタル発光体1(疑似発光体)の基本的構成は、図3(実施例1)のものと同様である。ただし、図19に示す光ファイバー5の先端部には、扁平状の一対の光漏洩面216a,216a(主表面;加工面)を有する発光部216(扁平部)が形成されている。
この光漏洩面216a,216aは、光ファイバー5の先端部を圧縮加工(特にプレス成形加工)により光軸方向に沿って扁平状(例えばへら状)をなす扁平部216に変形させることによって、扁平部216の両側に互いに平行な平面状加工面の形態で形成されている。加工の際の変形(ひずみ)によって、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が打破され、扁平状の主表面216a,216aが発光ダイオード7(図2参照)から導かれた光の屈折率(すなわち光の進路)を変化させ、主表面216a,216a(界面)に対する光の経路(角度)が臨界角を超える。その結果、発光ダイオード7からの光は、主表面をなす光漏洩面216a,216aから尻部14(透光部)内に漏洩し、漏れ出た光は尻部14をそのまま透過して、あるいは非透光性の胴体部13で反射した後尻部14を透過して、外部に放出されるので、尻部14はホタルに似た態様で明るく発光する。
本来、光ファイバー5はその先端のみから光が放出されるが、この例のように先端部をプレス成形加工(塑性変形)等によって扁平状をなす扁平部216に変形させると、発光ダイオード7(図2参照)からの光の大部分は扁平状の光漏洩面216a,216aから外部へ放出され、一部は光ファイバー5の先端からも放出される。
次に、図20〜図24により、以上で述べた発光部216及び疑似ホタル発光体1の形成方法(製造方法)について説明する。
<発光部216の形成方法>
図20に示すように、光ファイバー5の先端部に対して一対のプレス成形部材31,31(圧縮成形体)を上下からそれぞれ接近・接触させ、光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部216に変形させる。具体的には、図20(a)のようにプレス成形部材31,31で光ファイバー5の先端部を上下両側から接触・押圧して、図21のように扁平部216の両側に互いに平行な平面状の主表面216a,216a(加工面)を形成する。なお、31aはプレス成形部材31の停止位置を規定するためのストッパ部材である。
図20に示すように、光ファイバー5の先端部に対して一対のプレス成形部材31,31(圧縮成形体)を上下からそれぞれ接近・接触させ、光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部216に変形させる。具体的には、図20(a)のようにプレス成形部材31,31で光ファイバー5の先端部を上下両側から接触・押圧して、図21のように扁平部216の両側に互いに平行な平面状の主表面216a,216a(加工面)を形成する。なお、31aはプレス成形部材31の停止位置を規定するためのストッパ部材である。
このようにして、圧縮変形(塑性変形)を伴う圧縮加工(塑性加工)により、図21に示すように、光ファイバー5の先端部には平面扁平状の主表面216a,216a(光漏洩面)を有する発光部216(扁平部)が形成される。すなわち、図21(c)に示すように、圧縮加工の際の圧縮変形(ひずみ)によって、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が打破され、平面扁平状の主表面216a,216aが発光ダイオード7から導かれた光の屈折率(すなわち光の進路)を変化させ、主表面216a,216a(界面)に対する光の経路(角度)が臨界角を超える。その結果、発光ダイオード7からの光の大部分は主表面をなす光漏洩面216a,216aから漏洩し、光漏洩面216a,216aは発光部216を構成する。したがって、光ファイバー5は新たな光ファイバー発光体として機能する。
<疑似ホタル発光体1の形成方法>
次に、図22〜図24では、尻部14の背側部分(透光部)に光ファイバー5の先端部(発光部216)を接合・固定するとともに、本体部10の各部11,12,13,14を順次形成していく。その手順は、図15〜図18(実施例2)で第一ないし第三工程として説明した内容と同様である。ただし、光ファイバー5の先端部を尻部14に埋め込んで接合・固定するために、実施例2では尻部キャビティ24’へ溶融ポリエチレンMP2を2回に分けて導入した(図16,図17参照)が、本実施例では溶融ポリエチレンMP2の導入を1回で行っている(図23参照)。したがって、図22が実施例2の第一工程(図15)、図23が同じく第二工程(図16,図17)、図24が同じく第三工程(図18)にそれぞれ該当する。
次に、図22〜図24では、尻部14の背側部分(透光部)に光ファイバー5の先端部(発光部216)を接合・固定するとともに、本体部10の各部11,12,13,14を順次形成していく。その手順は、図15〜図18(実施例2)で第一ないし第三工程として説明した内容と同様である。ただし、光ファイバー5の先端部を尻部14に埋め込んで接合・固定するために、実施例2では尻部キャビティ24’へ溶融ポリエチレンMP2を2回に分けて導入した(図16,図17参照)が、本実施例では溶融ポリエチレンMP2の導入を1回で行っている(図23参照)。したがって、図22が実施例2の第一工程(図15)、図23が同じく第二工程(図16,図17)、図24が同じく第三工程(図18)にそれぞれ該当する。
このように、圧縮変形(圧縮加工)を利用して光ファイバー5の先端部(扁平部216)に互いに平行な平面扁平状の一対の光漏洩面216a,216a(主表面)を形成するので、扁平部216の片面側に光漏洩面が形成される場合に比して光漏洩面積を広くし、光る部分を増大させることができる。
なお、実施例3(図19〜図24)において、実施例1(図1〜図10)及び実施例2(図11〜図18)と共通する機能を有する部分には同一符号を付して説明を省略する。
(変形例)
図25及び図26は、図20及び図21の変形例としての発光部の形成方法を示す。
図25及び図26は、図20及び図21の変形例としての発光部の形成方法を示す。
<発光部316の形成方法>
図25に示すように、光ファイバー5の先端部に対して上下一対のカッタ32,32(切除体)を先端面側からそれぞれ接近させ、光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部316に切除する(変形させる)。具体的には、図25(b)のようにカッタ32,32をコア5aとクラッド5bとの境界面に沿って光軸と平行状に移動し、光ファイバー5の先端部を平面扁平状に切除して、図26のように扁平部316の両側に互いに平行な平面状の主表面316a,316a(加工面)を形成する。なお、いずれか一方のカッタ32を用いて、片面側にのみ平面扁平状の主表面316aを形成してもよい。
図25に示すように、光ファイバー5の先端部に対して上下一対のカッタ32,32(切除体)を先端面側からそれぞれ接近させ、光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部316に切除する(変形させる)。具体的には、図25(b)のようにカッタ32,32をコア5aとクラッド5bとの境界面に沿って光軸と平行状に移動し、光ファイバー5の先端部を平面扁平状に切除して、図26のように扁平部316の両側に互いに平行な平面状の主表面316a,316a(加工面)を形成する。なお、いずれか一方のカッタ32を用いて、片面側にのみ平面扁平状の主表面316aを形成してもよい。
このようにして、広義の変形を伴う切除加工(除去加工)により、図19に示すように、光ファイバー5の先端部には平面扁平状の主表面316a,316a(光漏洩面)を有する発光部316(扁平部)が形成される。すなわち、図26(c)に示すように、切除加工による部分的な除去によって、コア5aとクラッド5bとの境界面における全反射が打破され、平面扁平状の主表面316a,316aが発光ダイオード7から導かれた光の屈折率(すなわち光の進路)を変化させ、主表面316a,316a(界面)に対する光の経路(角度)が臨界角を超える。その結果、発光ダイオード7からの光の大部分は主表面をなす光漏洩面316a,316aから漏洩し、光漏洩面316a,316aは発光部316を構成する。したがって、光ファイバー5は新たな光ファイバー発光体として機能する。
このように、切除加工(除去加工)を利用して光ファイバー5の先端部(扁平部316)に互いに平行な平面扁平状の一対の光漏洩面316a,316a(主表面)を形成するので、扁平部316の片面側に光漏洩面が形成される場合に比して光漏洩面積を広くし、光る部分を増大させることができる。
(実施例4)
図27に示すように、実際の(天然の)植物102の葉部102aに疑似ホタル発光体1を配置し、上述のように光ファイバー5を介して光源7から光を導き、上記発光部16,116,216,316(図1等参照)をホタルに似た態様で発光させることもできる。天然の植物102に疑似ホタル発光体1を配置するには、その発光体1の近傍の光ファイバー5部分を天然の植物102の枝に結束部材で結束したり、テープ等の固定部材で固定したりすることができる。
図27に示すように、実際の(天然の)植物102の葉部102aに疑似ホタル発光体1を配置し、上述のように光ファイバー5を介して光源7から光を導き、上記発光部16,116,216,316(図1等参照)をホタルに似た態様で発光させることもできる。天然の植物102に疑似ホタル発光体1を配置するには、その発光体1の近傍の光ファイバー5部分を天然の植物102の枝に結束部材で結束したり、テープ等の固定部材で固定したりすることができる。
また、光ファイバーによる導光系は1系統に限るものではなく、図27に示すように、2系統以上の導光系を有する疑似ホタル発光システム200(疑似発光装置)としてもよい。例えば、2以上の光源(発光ダイオード等)7,107及び光制御IC8,108を設け、これらにそれぞれ別個の導光系を構成する1又は2以上の光ファイバー5又は105を対応させ、その先に1又は2以上の疑似ホタル発光体1又は101を設定する。そして、このような2以上の導光系(光ファイバー5のグループと光ファイバー105のグループ)を介して、疑似ホタル発光体1のグループと疑似ホタル発光体101のグループとを別個独立に発光させることもできる。その場合、電源は各光源7,107にそれぞれ設けてもよいし、図27の例のように2以上の光源7,107に共通の電源9とすることもできる。
(実施例5)
図28は車両盗難防止補助装置として用いる疑似ホタル発光システムの例を示す。近年多発傾向にある車両の盗難被害を阻止するために、電子式車両盗難防止装置(イモビライザーシステム;Immobilizer system)が開発されている。この電子式車両盗難防止装置は、エンジンキーに記憶されたIDコードの照合によりエンジン始動を可能とし、登録されたエンジンキー以外でエンジン始動しようとすると、エンジンのスタータ回路や燃料噴射回路を遮断してエンジン始動を不能とする。しかし、複雑な制御システムを要するために高価であり、確実な作動と誤作動の防止の観点から既存車両への設置(後付け)は特に困難である。そこで、図28に示す疑似ホタル発光システム(疑似発光装置)は、車外から見るとあたかも電子式車両盗難防止装置が作動しているかのように錯覚させて盗難被害を回避することのできるイモビライザーダミーシステム300(車両盗難防止補助装置又は車両盗難防止用アクセサリ)として用いられる。
図28は車両盗難防止補助装置として用いる疑似ホタル発光システムの例を示す。近年多発傾向にある車両の盗難被害を阻止するために、電子式車両盗難防止装置(イモビライザーシステム;Immobilizer system)が開発されている。この電子式車両盗難防止装置は、エンジンキーに記憶されたIDコードの照合によりエンジン始動を可能とし、登録されたエンジンキー以外でエンジン始動しようとすると、エンジンのスタータ回路や燃料噴射回路を遮断してエンジン始動を不能とする。しかし、複雑な制御システムを要するために高価であり、確実な作動と誤作動の防止の観点から既存車両への設置(後付け)は特に困難である。そこで、図28に示す疑似ホタル発光システム(疑似発光装置)は、車外から見るとあたかも電子式車両盗難防止装置が作動しているかのように錯覚させて盗難被害を回避することのできるイモビライザーダミーシステム300(車両盗難防止補助装置又は車両盗難防止用アクセサリ)として用いられる。
図28のイモビライザーダミーシステム300は、例えば図2の疑似ホタル発光体1(疑似発光体)を応用したものであり、光ファイバー5、発光ダイオード7、光制御IC8等を内蔵し、1又は複数(例えば2体)の疑似ホタル発光体1を上部外面に固定した発光ボックス4Aと、乾電池等の電源9を内蔵し、外部に作動スイッチSを設けた電源ボックス4Bと、両ボックス4A,4B間を繋ぐリード線4Cとを備える。発光ボックス4Aから上向きに突出する光ファイバー5の先端部(発光部16,116,216,316)は、疑似ホタル発光体1の透光性の尻部14(図11,図19,図24参照)に下側から埋込・接合されている。
自動車Cから離れるときには、イモビライザーダミーシステム300をダッシュボードDに載置して、電源ボックス4Bの作動スイッチSをONにする。光制御IC8で制御された発光ダイオード7の光が光ファイバー5の発光部16,116,216,316に伝搬され、疑似ホタル発光体1の尻部14が所定の色(例えば赤色)で発光(点滅又は点灯)する。疑似ホタル発光体1の尻部14が発光することによって、このシステム300が作動していることを確認できる。また、車外からはあたかも正規のイモビライザーシステムが作動しているかのように見えるので、盗難被害を回避することができる。なお、疑似ホタル発光体1を複数備える場合、すべての疑似ホタル発光体1を発光させてもよいが、いずれか1体のみを発光させ残りはダミー(非発光)とすれば、リード線4Cの結線や光ファイバー5等を省略でき省エネルギーにもなる。また、この実施例では疑似ホタル発光体1をダミーシステム300に用いたが、本格的なイモビライザーシステム(電子式車両盗難防止装置)に組み込むことも勿論可能である。
以上の例では、疑似ホタル発光装置及び疑似ホタル発光体を代表的に説明したが、発光生物としてはホタルに限られるものではないし、本発明はその他種々の発光対象に適用可能である。
1,101 疑似ホタル発光体(疑似発光体)
5,105 光ファイバー
5a コア
5b クラッド
7,107 発光ダイオード(光源)
8,108 光制御IC(光制御部)
9 電池(電源)
10 本体部
11 頭部(非透光部)
12 胸部(非透光部)
13 胴体部(非透光部)
14 尻部
16,116,216,316 発光部(扁平部)
16a,116a,216a,316a 光漏洩面(主表面)
30 加熱部材(熱源)
100,200,300 疑似ホタル発光システム(疑似発光装置)
5,105 光ファイバー
5a コア
5b クラッド
7,107 発光ダイオード(光源)
8,108 光制御IC(光制御部)
9 電池(電源)
10 本体部
11 頭部(非透光部)
12 胸部(非透光部)
13 胴体部(非透光部)
14 尻部
16,116,216,316 発光部(扁平部)
16a,116a,216a,316a 光漏洩面(主表面)
30 加熱部材(熱源)
100,200,300 疑似ホタル発光システム(疑似発光装置)
Claims (7)
- ホタルその他の発光生物を模した形態の本体部と、その本体部に先端部が取り付けられるとともに基端部側が光源に配置される光ファイバーとを含み、
前記光ファイバーの先端部が塑性加工又は除去加工により光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部に変形されることによって、コアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、前記扁平部の加工面及びそれに対向する側に形成される対向面のうちの少なくとも一方を主表面として、その主表面が前記光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面に形成されるとともに、
前記扁平部は、少なくとも前記光漏洩面の一部が前記本体部に埋め込まれる形で接合され、前記発光生物に似せて発光する発光部を構成することを特徴とする疑似発光装置。 - ホタルその他の発光生物を模した形態の本体部と、その本体部に先端部が取り付けられるとともに基端部側が光源に配置される光ファイバーとを含み、
前記光ファイバーの先端部が塑性加工又は除去加工により光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部に変形されることによって、コアとクラッドとの境界面における全反射が打破され、前記扁平部の加工面に対向する側に形成される対向面を主表面として、その主表面が前記光源から導かれた光の進路を変化させて光を漏洩させる光漏洩面に形成されるとともに、
前記扁平部は、前記光漏洩面の一部が前記本体部に埋め込まれる形で接合され、前記発光生物に似せて発光する発光部を構成し、
前記本体部は、少なくとも前記発光部を埋め込んでいる部分が、その発光部の光漏洩面から漏洩した光の透過を阻止又は抑制する非透光部に形成されることを特徴とする疑似発光装置。 - 前記発光部は、前記加工面が前記非透光部で覆われるとともに、その非透光部の外側に配置された前記対向面から発光する請求項2に記載の疑似発光装置。
- 前記光漏洩面は、前記光ファイバーの先端部の周方向一部が熱源に接触しつつ軟化温度以上に加熱されて光軸方向に沿って扁平状をなす扁平部に熱変形される際、その熱源接触側の加工面に対向する側に対向面として形成される請求項2又は3に記載の疑似発光装置。
- 前記非透光部を構成する予定の溶融樹脂が冷却・固化する前に、前記光漏洩面が前記溶融樹脂に埋め込まれることにより前記発光部が形成される請求項4に記載の疑似発光装置。
- 前記本体部は、前記非透光部を含む全体が非透光性樹脂で構成されている請求項2ないし5のいずれか1項に記載の疑似発光装置。
- 前記発光部は、少なくとも前記光漏洩面の一部が前記本体部に埋め込まれ、かつ溶着、圧着、接着等によってその本体部と一体化されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の疑似発光装置。
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-
2006
- 2006-01-20 JP JP2006013125A patent/JP2007190870A/ja active Pending
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