JP6682516B2 - 粗化処理銅箔及びプリント配線板 - Google Patents

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Description

本発明は粗化処理銅箔及びプリント配線板に関するものであり、より具体的には、高周波用途向けプリント配線板及びそれに好適な粗化処理銅箔に関する。
フレキシブルプリント配線板(FPC)が携帯用電子機器等の電子機器に広く用いられている。特に、近年の携帯用電子機器等の高機能化に伴い、大量の情報の高速処理をすべく信号の高周波化が進んでおり、高周波用途に適したフレキシブルプリント配線板が求められている。このような高周波用フレキシブルプリント配線板には、高周波信号を品質低下させずに伝送可能とするために、伝送損失の低減が望まれる。フレキシブルプリント配線板は配線パターンに加工された銅箔と絶縁樹脂基材とを備えたものであるが、伝送損失は、銅箔に起因する導体損失と、絶縁樹脂基材に起因する誘電体損失とから主としてなる。導体損失は、高周波になるほど顕著に現れる銅箔の表皮効果によって更に大きくなりうる。
高周波用途における伝送損失の低減を図るべく、導体損失を低減可能な銅箔が提案されている。例えば、特許文献1(特開2014−224313号公報)には、銅箔の表面に、銅の一次粒子層を形成した後、該一次粒子層の上に、Cu−Co−Ni合金の二次粒子層を形成した銅箔であって、レーザー顕微鏡による粗化処理面の凹凸の高さの平均値が1500以上である高周波回路用銅箔が開示されている。また、特許文献2(特開2014−225650号公報)には、銅箔の表面に、銅の一次粒子層を形成した後、該一次粒子層の上に、Cu−Co−Ni合金の二次粒子層を形成した銅箔であって、粗化処理面の一定領域のレーザー顕微鏡による二次元表面積に対する三次元表面積の比が2.0以上2.2未満である高周波回路用銅箔が提案されている。特許文献1及び2に記載の銅箔はいずれも、高周波回路基板に用いて伝送損失が良好に抑制できるとされている。
また、高周波用途における伝送損失の低減を図る他の手法として、誘電体損失を低減可能な絶縁樹脂基材も提案されている。このような絶縁樹脂基材の例としては液晶ポリマー(LCP)フィルムが挙げられる。しかしながら、液晶ポリマーフィルム等の高周波用途に適した絶縁樹脂基材は銅箔との密着性が低下する傾向があり、そのような絶縁樹脂基材との密着性の向上に対処した銅箔も提案されている。例えば、特許文献3(特開2005−219379号公報)には、表面粗さRzが2.5〜4.0μmである粗化処理面を備えた表面処理銅箔と、50%以上が熱可塑性液晶ポリマーからなる絶縁基板とが積層されてなる複合材が開示されている。また、特許文献4(特開2010−236058号公報)には、頭頂部角度が85°以下の突起形状の微細銅粒子を析出形成した粗化処理面を備えた粗化処理銅箔が開示されている。
特開2014−224313号公報 特開2014−225650号公報 特開2005−219379号公報 特開2010−236058号公報
高周波用途における伝送損失を抑制するには、表皮効果の観点からロープロファイルな表面の銅箔が求められる。一方で、ロープロファイルな銅箔は絶縁樹脂基材とのアンカー効果(すなわち銅箔表面の凹凸を利用した物理的な密着性向上効果)が低減する。そのため、液晶ポリマーフィルムのように化学密着が期待できない絶縁樹脂基材に対して、十分な剥離強度を得ることが難しく、それ故フレキシブルプリント配線板としての信頼性に劣るものとなりうる。このように、伝送損失と剥離強度は、銅箔の表面プロファイルに対してトレードオフの関係にあるため、本来的に両立が難しいものである。
本発明者らは、今般、0.6〜1.7μmの十点平均粗さRzjisを有し、かつ、前記粗化粒子の高さの頻度分布における半値幅が0.9μm以下である粗化処理面を銅箔に付与することで、高周波用途における伝送損失が良好でありながら、液晶ポリマーフィルムのような化学密着が期待できない絶縁樹脂基材に対しても高い剥離強度を呈することが可能な銅箔を提供できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、高周波用途における伝送損失が良好でありながら、液晶ポリマーフィルムのような化学密着が期待できない絶縁樹脂基材に対しても高い剥離強度を呈することが可能な銅箔を提供することにある。
本発明の一態様によれば、少なくとも一方の側に粗化粒子を備えた粗化処理面を有する粗化処理銅箔であって、前記粗化処理面が0.6〜1.7μmの十点平均粗さRzjisを有し、かつ、前記粗化粒子の高さの頻度分布における半値幅が0.9μm以下である、粗化処理銅箔が提供される。
本発明の他の一態様によれば、上記態様の粗化処理銅箔と、前記銅箔の前記粗化処理面に密着させて設けられた絶縁樹脂層とを備えた、高周波用途向けプリント配線板が提供される。
粗化粒子の高さの頻度分布と半値幅の関係を説明するための図である。 粗化処理面における粗化粒子の断面を観察したFIB−SIM画像である。 粗化粒子の頭の拡大画像(FIB−SIM画像)である。 伝送損失測定用サンプルの構成を示す模式断面図である。
定義
本発明を特定するために用いられる用語ないしパラメータの定義を以下に示す。
本明細書において「十点平均粗さRzjis」は、JIS B0601−2001に準拠して測定される表面粗さであり、粗さ曲線で最高の山頂から高い順に5番目までの山高さの平均と、最深の谷底から深い順に5番目までの平均の和である。
本明細書において「粗化粒子の高さの頻度分布における半値幅」とは、粗化処理銅箔の粗化処理面に存在する粗化粒子の高さの頻度分布において、図1に示されるように頻度分布ピークの最大値の1/2の値における頻度分布ピークの全幅として定義される。粗化粒子の高さの頻度分布は、三次元粗さ解析装置を用いて、粗化処理銅箔の粗化処理面の表面プロファイルを粗化粒子のサイズに応じた所望の倍率(例えば600〜30000倍)で測定することにより得ることができる。粗化粒子の高さを粗化粒子の粒度とみなすことができる。粗化粒子の高さないし粒度の算出は、事前に粗化処理前の電解銅箔(原箔)の表面プロファイルを計測しておき、この粗化処理前の表面プロファイルに起因する値を粒度算出時にバックグラウンドとして除去することにより行われるのが望ましい。
本明細書において「比表面積」とは、粗化処理銅箔の粗化処理面の三次元表面積Xを測定面積Yで除することにより得られたX/Yの値である。三次元表面積Xは、粗化処理面の所定の測定面積Y(例えば14000μm)の表面プロファイルを市販のレーザー顕微鏡で測定することにより算出することができる。
本明細書において「粗化粒子断面積比率」とは、粗化粒子表面の凹凸度合い(すなわち微細粗化の程度)を表す指標であり、市販の画像処理解析機と市販の収束イオンビーム加工観察装置(FIB)を用いて、粗化処理面の所定の視野範囲(例えば8μm×8μm)における個々の粗化粒子の断面を観察して倍率18000倍でFIBのSIM画像(以下、FIB−SIM画像という)を取得し、このFIB−SIM画像を画像解析して閉曲断面積及び断面積を測定し、(粗化粒子の閉曲断面積)/(粗化粒子の断面積)の比として粗化粒子断面積比率を算出することにより定まる値である。具体的な測定手順は以下のとおりである。まず、図2に示されるFIB−SIM画像に描かれるように、粗化粒子の頭の略2等分位置から粗化粒子長辺方向(すなわち粗化粒子の高さ方向)へと直線を引く。この直線上の粗化粒子の頭頂部から所定距離(例えば2μm)離れた位置に基準点aを特定する。この基準点aから粗化粒子に2本の接線を引き、これらの接線と粗化粒子の接点b,cを特定する。接点b,cを結ぶ直線(以下、b−c直線という)と粗化粒子の頭の断面輪郭線とで囲まれた断面領域の断面積を画像解析によって求めて、「粗化粒子の断面積」とする。次いで、図3のFIB−SIM画像に描かれるように、「粗化粒子の閉曲断面積」を、粗化粒子表面の微細凸形状の各先端(微細粗化粒子が存在する場合には微細粗化粒子の各先端)を結ぶ線とb−c直線とで囲まれた領域の面積と規定し、これを画像解析によって求める。上記各先端の位置決めは市販の画像処理解析機が備えるソフトウェアにより自動的に行うことができる。粗化粒子の閉曲断面積は粗化粒子表面の凹凸度合(すなわち微細粗化の程度)に応じて粗化粒子の断面積よりも大きい値として得られる。したがって、この粗化粒子の閉曲断面積を粗化粒子の断面積で除することにより、粗化粒子表面の凹凸度合(すなわち微細粗化の程度)を表す数値を得ることができる。すなわち、上記得られた閉曲断面積と粗化粒子の断面積から粗化粒子断面積比率を算出する。粗化粒子断面積比率は1視野ごとに観察される個々の粗化粒子に対して行い、5視野分の全ての粗化粒子について得られた粗化粒子断面積比率の平均値を算出するのが好ましい。
粗化処理銅箔
本発明の銅箔は粗化処理銅箔である。この粗化処理銅箔は少なくとも一方の側に粗化粒子を備えた粗化処理面を有する。粗化処理面は0.6〜1.7μmの十点平均粗さRzjisを有し、かつ、粗化粒子の高さの頻度分布における半値幅が0.9μm以下である。このように、0.6〜1.7μmの十点平均粗さRzjisを有し、かつ、粗化粒子の高さの頻度分布における半値幅が0.9μm以下である粗化処理面を銅箔に付与することで、高周波用途における伝送損失が良好でありながら、液晶ポリマーフィルムのような化学密着が期待できない絶縁樹脂基材に対しても高い剥離強度(例えば厚さ18μmの銅箔で1.2kgf/cm以上)を呈することが可能となる。前述したとおり、伝送損失と剥離強度は、銅箔の表面プロファイルに対してトレードオフの関係にあるため、本来的に両立が難しいとの問題があったが、本発明の粗化処理銅箔によれば、良好な伝送損失と高い剥離強度を予想外にも両立することができる。
良好な伝送損失と高い剥離強度の両立を可能とするメカニズムは必ずしも定かではないが、以下のようなものと考えられる。まず、粗化処理面の十点平均粗さRzjisが0.6〜1.7μmという低い値の範囲にしたことで、高周波用途における銅箔の表皮効果を有意に低減して導体損失を低減し、それにより伝送損失を少なくすることができるものと考えられる。しかしながら、上記0.6〜1.7μmという十点平均粗さRzjisは低めの値ではあり、それだけでは本来的に液晶ポリマーフィルムのような化学密着が期待できない絶縁樹脂基材との密着性が不十分となりうる。これは、粗化粒子の高さにばらつきがあると密着強度が不安定になるためであると考えられる。この点、本発明の粗化処理銅箔においては、粗化粒子の高さの頻度分布における半値幅を0.9μm以下とすることで粗化粒子の高さのばらつきを小さくし、より多くの粗化粒子を密着性向上に寄与させ、それにより密着強度の安定化を実現できる。その結果、液晶ポリマーフィルムのような化学密着が期待できない絶縁樹脂基材に対しても高い剥離強度(例えば厚さ18μmの銅箔で1.2kgf/cm以上)を呈することが可能となる。
粗化処理面の十点平均粗さRzjis(JIS B0601−2001に準拠して測定される)は、0.6〜1.7μmであり、好ましくは0.7〜1.6μmであり、より好ましくは0.9〜1.5μmである。これらの範囲内のRzjisであると、高周波用途における伝送損失を望ましく低減できるとともに、絶縁樹脂基材に対する密着性確保にも寄与する。
粗化粒子の高さの頻度分布における半値幅は0.9μm以下であり、好ましくは0.2〜0.9μm、より好ましくは0.2〜0.7μmであり、さらに好ましくは0.2〜0.6μmである。これらの範囲内の半値幅であると、粗化粒子の高さのばらつきを小さくし、より多くの粗化粒子を密着性向上に寄与させ、それにより密着強度の安定化を実現できる。その結果、液晶ポリマーフィルムのような化学密着が期待できない絶縁樹脂基材に対しても高い剥離強度(例えば厚さ18μmの銅箔で1.2kgf/cm以上)を呈することが可能となる。
粗化処理銅箔は、粗化粒子上に粗化粒子よりも微細な微細粗化粒子をさらに備えてなるのが好ましい。微細粗化粒子を粗化粒子上に形成して表面積を増やすことで、剥離強度をより一層向上させることができる。そうでありながら、微細粗化粒子の粒径は典型的には150nm以下といった程度に極めて小さいことから、100GHz以下の周波数帯においては伝送損失への影響は極めて低い。
粗化処理面は1.1〜2.1の比表面積を有するのが好ましく、より好ましくは1.2〜2.0であり、さらに好ましくは1.3〜1.9であり、特に好ましくは1.5〜1.9である。比表面積は、前述したとおり、粗化処理面の三次元表面積Xを測定面積Yで除することにより得られたX/Yの値である。比表面積が1.1以上と適度に大きいことで絶縁樹脂基材に対する剥離強度を向上することができる。また、比表面積が2.1以下と大きすぎないことで、比表面積が大きすぎる場合に起こりうる物理的な接触による粗化粒子の剥がれ落ち(いわゆる粉落ち)を抑制することができ、それにより剥離強度の低下や後工程の汚れを効果的に回避することができる。
粗化処理面は1.10〜1.50の粗化粒子断面積比率を有するのが好ましく、より好ましくは1.15〜1.30であり、さらに好ましくは1.15〜1.20である。粗化粒子断面積比率は、前述したとおり、粗化粒子表面の凹凸度合い(すなわち微細粗化の程度)を表す指標である。したがって、粗化粒子上に突起物があるほど粗化粒子断面積比率の値が大きくなるため、粗化処理面を絶縁樹脂基材と接合させた場合、絶縁樹脂基材との接触面積が大きくなる結果、粗化粒子単独(すなわち微細粗化粒子が無い場合)よりも物理的な密着力が上がることになる。したがって、粗化粒子断面積比率が1.15以上であると、粗化粒子の物理的な密着力を効果的に上げることができる。また、粗化粒子断面積比率を1.50以下とすることで、比表面積が大きすぎる場合に起こりうる物理的な接触による微細粗化粒子の剥がれ落ち(いわゆる粉落ち)を抑制することができ、それにより剥離強度の低下や後工程の汚れを効果的に回避することができる。
本発明の粗化処理銅箔の厚さは特に限定されないが、0.1〜35μmが好ましく、より好ましくは0.5〜18μmである。なお、本発明の粗化処理銅箔は、通常の銅箔の表面に粗化処理を行ったものに限らず、キャリア付銅箔の銅箔表面の粗化処理ないし微細粗化処理を行ったものであってもよい。
上述のとおり、本発明の粗化処理銅箔は、高周波用途向けプリント配線板に用いられるのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、本発明の粗化処理銅箔と、銅箔の粗化処理面に密着させて設けられた絶縁樹脂層とを備えた、高周波用途向けプリント配線板が提供される。高周波用途向けプリント配線板に用いられた場合、本発明の粗化処理銅箔は、高周波用途における伝送損失が良好でありながら、液晶ポリマーフィルムのような化学密着が期待できない絶縁樹脂基材に対しても高い剥離強度(例えば厚さ18μmの銅箔で1.2kgf/cm以上)を呈することが可能となる。したがって、絶縁樹脂層は液晶ポリマー(LCP)を含んでなるものが好ましく、例えば液晶ポリマー(LCP)フィルムである。高周波用途の好ましい例としては、スマートフォン等の携帯用電子機器に搭載される高周波部品、例えば、液晶ディスプレイモジュール、カメラモジュール及びアンテナモジュールが挙げられる。
製造方法
本発明による粗化処理銅箔の好ましい製造方法の一例を説明する。この好ましい製造方法は、十点平均粗さRzjisが1.5μm以下の表面を有する銅箔を用意する工程と、上記表面に対して所定の電流密度Jにて電解析出を行う第一粗化工程と、上記表面に対して所定の電流密度Jにて電解析出を行う第二粗化工程と、上記表面に対して所定の電流密度Jにて電解析出を行って粗化処理面を形成する第三粗化工程とを含んでなり、好ましくは、第一粗化工程、第二粗化工程及び第三粗化工程における電流密度J、J及びJの比(すなわちJ:J:J)が、1.0:1.4:1.2〜1.0:1.6:1.5の範囲内とされる。もっとも、本発明による粗化処理銅箔は以下に説明する方法に限らず、あらゆる方法によって製造されたものであってよい。
(1)銅箔の準備
粗化処理銅箔の製造に使用する銅箔として、電解銅箔及び圧延銅箔の双方の使用が可能であり、より好ましくは電解銅箔である。また、銅箔は、無粗化の銅箔であってもよいし、予備的粗化を施したものであってもよい。銅箔の厚さは特に限定されないが、0.1〜35μmが好ましく、より好ましくは0.5〜18μmである。銅箔がキャリア付銅箔の形態で準備される場合には、銅箔は、無電解銅めっき法及び電解銅めっき法等の湿式成膜法、スパッタリング及び化学蒸着等の乾式成膜法、又はそれらの組合せにより形成したものであってよい。
粗化処理が行われることになる銅箔の表面は、JIS B0601−2001に準拠して測定される十点平均粗さRzjisが1.5μm以下の表面を有するのが好ましく、より好ましくは1.3μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。下限値は特に限定されないが、例えば0.1μm以上である。上記範囲内であると、本発明の粗化処理銅箔に要求される表面プロファイル、特に0.6〜1.7μmの十点平均粗さRzjisを粗化処理面に付与しやすくなる。
(2)粗化処理
Rzjisが1.5μm以下の銅箔表面に対して、第一粗化工程、第二粗化工程、第三粗化工程の3段階の粗化工程を施すのが好ましい。第一粗化工程では、銅濃度8〜12g/L及び硫酸濃度200〜280g/Lを含む硫酸銅溶液中、20〜40℃の温度で、所定の電流密度Jにて電解析出を行うのが好ましく、この電解析出は5〜20秒間行われるのが好ましい。第二粗化工程では、銅濃度8〜12g/L及び硫酸濃度200〜280g/Lを含む硫酸銅溶液中、20〜40℃の温度で、所定の電流密度Jにて電解析出を行うのが好ましく、この電解析出は5〜20秒間行われるのが好ましい。第三粗化工程では、銅濃度65〜80g/L及び硫酸濃度200〜280g/Lを含む硫酸銅溶液中、45〜55℃の温度で、所定の電流密度Jにて電解析出を行って粗化処理面を形成するのが好ましく、この電解析出は5〜25秒間行われるのが好ましい。そして、第一粗化工程、第二粗化工程及び第三粗化工程における電流密度J、J及びJの比、すなわちJ:J:Jが1.0:1.4:1.2〜1.0:1.6:1.5の範囲内であるのが好ましい。この範囲内の電流密度比であると、本発明の粗化処理銅箔に要求される表面プロファイル、特に0.9μm以下という粗化粒子の高さの頻度分布における半値幅を粗化処理面に付与しやすくなる。好ましくは、第一粗化工程の電流密度Jが8〜20A/dmであり、第二粗化工程の電流密度Jが12〜32A/dmであり、第三粗化工程の電流密度Jが10〜30A/dmである。
(3)微細粗化処理
第三粗化工程で形成された粗化処理面に対して微細粗化処理がさらに行われるのが好ましい。微細粗化処理は、銅濃度10〜20g/L、硫酸濃度30〜130g/L、9−フェニルアクリジン濃度100〜200mg/L、塩素濃度20〜100mg/Lの硫酸銅溶液中、20〜40℃の温度で、電流密度10〜40A/dmで微細銅粒子を電解析出させることにより行われるのが好ましく、この電解析出は0.3〜1.0秒間行われるのが好ましい。
(4)防錆処理
所望により、粗化処理後の銅箔に防錆処理を施してもよい。防錆処理は、亜鉛を用いためっき処理を含むのが好ましい。亜鉛を用いためっき処理は、亜鉛めっき処理及び亜鉛合金めっき処理のいずれであってもよく、亜鉛合金めっき処理は亜鉛−ニッケル合金処理が特に好ましい。亜鉛−ニッケル合金処理は少なくともNi及びZnを含むめっき処理であればよく、Sn、Cr、Co等の他の元素をさらに含んでいてもよい。亜鉛−ニッケル合金めっきにおけるNi/Zn付着比率は、質量比で、1.2〜10が好ましく、より好ましくは2〜7、さらに好ましくは2.7〜4である。また、防錆処理はクロメート処理をさらに含むのが好ましく、このクロメート処理は亜鉛を用いためっき処理の後に、亜鉛を含むめっきの表面に行われるのがより好ましい。こうすることで防錆性をさらに向上させることができる。特に好ましい防錆処理は、亜鉛−ニッケル合金めっき処理とその後のクロメート処理との組合せである。
(5)シランカップリング剤処理
所望により、銅箔にシランカップリング剤処理を施し、シランカップリング剤層を形成してもよい。これにより耐湿性、耐薬品性及び絶縁樹脂基材等との密着性等を向上することができる。シランカップリング剤層は、シランカップリング剤を適宜希釈して塗布し、乾燥させることにより形成することができる。シランカップリング剤の例としては、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性シランカップリング剤、又は3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性シランカップリング剤、又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性シランカップリング剤又はビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン等のオレフィン官能性シランカップリング剤、又は3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル官能性シランカップリング剤、又はイミダゾールシラン等のイミダゾール官能性シランカップリング剤、又はトリアジンシラン等のトリアジン官能性シランカップリング剤等が挙げられる。
キャリア付銅箔
本発明の粗化処理銅箔は、キャリア付銅箔の形態で提供されてもよい。この場合、キャリア付銅箔は、キャリアと、このキャリア上に設けられた剥離層と、この剥離層上に粗化処理表面を外側にして設けられた本発明の粗化処理銅箔とを備えてなる。もっとも、キャリア付銅箔は、本発明の粗化処理銅箔を用いること以外は、公知の層構成が採用可能である。
キャリアは、粗化処理銅箔を支持してそのハンドリング性を向上させるための箔状ないし層状の部材である。キャリアの例としては、アルミニウム箔、銅箔、表面をメタルコーティングした樹脂フィルム等が挙げられ、好ましくは銅箔である。銅箔は圧延銅箔及び電解銅箔のいずれであってもよい。キャリアの厚さは典型的には200μm以下であり、好ましくは12μm〜70μmである。
剥離層は、キャリアの引き剥がし強度を弱くし、該強度の安定性を担保し、さらには高温でのプレス成形時にキャリアと銅箔の間で起こりうる相互拡散を抑制する機能を有する層である。剥離層は、キャリアの一方の面に形成されるのが一般的であるが、両面に形成されてもよい。剥離層は、有機剥離層及び無機剥離層のいずれであってもよい。有機剥離層に用いられる有機成分の例としては、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、カルボン酸等が挙げられる。窒素含有有機化合物の例としては、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物等が挙げられ、中でもトリアゾール化合物は剥離性が安定し易い点で好ましい。トリアゾール化合物の例としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、N’,N’−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリア、1H−1,2,4−トリアゾール及び3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。硫黄含有有機化合物の例としては、メルカプトベンゾチアゾール、チオシアヌル酸、2−ベンズイミダゾールチオール等が挙げられる。カルボン酸の例としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸等が挙げられる。一方、無機剥離層に用いられる無機成分の例としては、Ni、Mo、Co、Cr、Fe、Ti、W、P、Zn、クロメート処理膜等が挙げられる。なお、剥離層の形成はキャリアの少なくとも一方の表面に剥離層成分含有溶液を接触させ、剥離層成分をキャリアの表面に固定されること等により行えばよい。キャリアの剥離層成分含有溶液への接触は、剥離層成分含有溶液への浸漬、剥離層成分含有溶液の噴霧、剥離層成分含有溶液の流下等により行えばよい。また、剥離層成分のキャリア表面への固定は、剥離層成分含有溶液の吸着や乾燥、剥離層成分含有溶液中の剥離層成分の電着等により行えばよい。剥離層の厚さは、典型的には1nm〜1μmであり、好ましくは5nm〜500nmである。
粗化処理銅箔としては、上述した本発明の粗化処理銅箔を用いる。本発明の粗化処理銅箔は粗化処理、又は粗化処理及び微細粗化処理が施されたものであるが、手順としては、先ず剥離層の表面に銅層を銅箔として形成し、その後少なくとも粗化処理及び/又は微細粗化処理を行えばよい。粗化処理及び微細粗化処理の詳細については前述したとおりである。なお、銅箔はキャリア付銅箔としての利点を活かすべく、極薄銅箔の形態で構成されるのが好ましい。極薄銅箔としての好ましい厚さは0.1μm〜7μmであり、より好ましくは0.5μm〜5μm、さらに好ましくは0.5μm〜3μmである。
剥離層と銅箔の間に他の機能層を設けてもよい。そのような他の機能層の例としては補助金属層が挙げられる。補助金属層はニッケル及び/又はコバルトからなるのが好ましい。補助金属層の厚さは、0.001〜3μmとするのが好ましい。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1〜3
本発明の粗化処理銅箔の作製を以下のようにして行った。
(1)電解銅箔の作製
銅電解液として以下に示される組成の硫酸銅溶液を用い、陰極に表面粗さRaが0.20μmのチタン製の回転電極を用い、陽極にはDSA(寸法安定性陽極)を用いて、溶液温度45℃、電流密度55A/dmで電解し、厚さ18μmの電解銅箔を得た。この電解銅箔の析出面の十点平均粗さRzjisを後述する手法にて測定したところ、0.6μmであった。
<硫酸酸性硫酸銅溶液の組成>
‐ 銅濃度:80g/L
‐ 硫酸濃度:260g/L
‐ ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド濃度:30mg/L
‐ ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体濃度:50mg/L
‐ 塩素濃度:40mg/L
(2)粗化処理
上述の電解銅箔が備える電極面及び析出面の内、析出面側に対して、以下の3段階のプロセスで粗化処理を行った。
‐ 粗化処理の1段目は、粗化処理用銅電解溶液(銅濃度:10.8g/L、硫酸濃度:240g/L、9−フェニルアクリジン濃度:0mg/L、塩素濃度:0mg/L)中、表1Aに示される条件にて電解し、水洗することにより行った。
‐ 粗化処理の2段目は、粗化処理用銅電解溶液(銅濃度:10.8g/L、硫酸濃度:240g/L、9−フェニルアクリジン濃度:0mg/L、塩素濃度:0mg/L)中、表1Aに示される条件にて電解し、水洗することにより行った。
‐ 粗化処理の3段目は、粗化処理用銅電解溶液(銅濃度:70g/L、硫酸濃度:240g/L、9−フェニルアクリジン濃度:0mg/L、塩素濃度:0mg/L)中、表1Aに示される条件にて電解し、水洗することにより行った。
(3)微細粗化処理
表1に示される条件で電解を行うことにより微細粗化処理を行った。微細粗化処理は、粗化処理用銅電解溶液(銅濃度:13g/L、硫酸濃度:70g/L、9−フェニルアクリジン濃度:140mg/L、塩素濃度:35mg/L)中、表1Bに示される条件にて電解し、水洗することにより行った。
(4)防錆処理
微細粗化処理後の電解銅箔の両面に、無機防錆処理及びクロメート処理からなる防錆処理を行った。まず、無機防錆処理として、ピロリン酸浴を用い、ピロリン酸カリウム濃度80g/L、亜鉛濃度0.2g/L、ニッケル濃度2g/L、液温40℃、電流密度0.5A/dmで亜鉛−ニッケル合金防錆処理を行った。次いで、クロメート処理として、亜鉛−ニッケル合金防錆処理の上に、更にクロメート層を形成した。このクロメート処理は、クロム酸濃度が1g/L、pH11、溶液温度25℃、電流密度1A/dmで行った。
(5)シランカップリング剤処理
上記防錆処理が施された銅箔を水洗し、その後直ちにシランカップリング剤処理を行い、粗化処理面の防錆処理層上にシランカップリング剤を吸着させた。このシランカップリング剤処理は、純水を溶媒とし、3−アミノプロピルトリメトキシシラン濃度が3g/Lの溶液を用い、この溶液をシャワーリングにて粗化処理面に吹き付けて吸着処理することにより行った。シランカップリング剤の吸着後、最終的に電熱器により水分を蒸発させ、厚さ18μmの粗化処理銅箔を得た。
例4
i)微細粗化処理を省略したこと、及びii)粗化処理を表1Aに示される条件で行ったこと以外は例1と同様にして、粗化処理銅箔の作製を行った。
例5(比較)
i)電解銅箔の電極面側(すなわち析出面側と反対側、Rzjis:1.5μm)に粗化処理等の処理を行ったこと、及びii)粗化処理及び微細粗化処理を表1A及び1Bに示される条件に従って行ったこと以外は例1と同様にして、粗化処理銅箔の作製を行った。
例6(比較)
i)第一、第二及び第三粗化工程の代わりに以下の1段階の粗化処理を行ったこと、及びii)微細粗化処理を省略したこと以外は例1と同様にして、粗化処理銅箔の作製を行った。
(粗化処理)
上述の電解銅箔が備える電極面及び析出面の内、析出面側に対して、以下に示される組成の粗化処理用銅電解溶液を用い、溶液温度30℃、電流密度50A/dm、時間4秒の条件で電解して、粗化処理を行った。
<粗化処理用銅電解溶液の組成>
‐ 銅濃度:13g/L
‐ 硫酸濃度:70g/L
‐ 9−フェニルアクリジン濃度:100mg/L
‐ 塩素濃度:35mg/L
例7(比較)
i)電解銅箔の電極面側(すなわち析出面側と反対側、Rzjis:1.5μm)に粗化処理等の処理を行ったこと、ii)微細粗化処理を省略したこと、及びiii)粗化処理を表1Aに示される条件で行ったこと以外は例1と同様にして、粗化処理銅箔の作製を行った。
例8(比較)
i)電解銅箔の電極面側(すなわち析出面側と反対側、Rzjis:1.5μm)に粗化処理等の処理を行ったこと、ii)第二粗化工程と微細粗化処理を省略したこと、及びiii)粗化処理(すなわち第一粗化工程と第三粗化工程)を表1Aに示される条件で行ったこと以外は例1と同様にして、粗化処理銅箔の作製を行った。
評価
例1〜8において作製された粗化処理銅箔について、以下に示される各種評価を行った。
<十点平均粗さRzjis>
粗化処理銅箔の粗化処理面の十点平均粗さRzjisを、接触式表面粗さ計(株式会社小坂研究所、SE3500)により、JIS B0601−2001に準拠して測定した。この測定は、直径2μmのダイヤモンドボールを触針として使用し、基準長さ0.8mmに対して行った。なお、前述した各例における粗化処理前の電解銅箔の析出面又は電極面のRzjisの測定も上記同様の手順にて行われた。
<粗化粒子の高さの頻度分布における半値幅>
粗化処理銅箔の粗化処理面の表面プロファイルを三次元粗さ解析装置(株式会社エリオニクス製、ERA−8900)を用いて、倍率600〜30000倍、加速電圧10kVの条件で測定した。測定倍率は粗化粒子のサイズに応じて上記範囲内で調整した。この測定された表面プロファイルに基づき粒度を算出した。その際、z軸(箔厚方向)間隔を0.01μm刻みで測定された粗化粒子の高さを粒度とみなした。粗化粒子の高さないし粒度の算出は、事前に粗化処理前の電解銅箔(原箔)の表面プロファイルを計測しておき、この粗化処理前の表面プロファイルに起因する値を粒度算出時にバックグラウンドとして除去することにより行った。こうして算出された高さないし粒度に基づく粗化粒子の高さの頻度分布を作成し、図1に示されるように頻度分布ピークの最大値の1/2の値における頻度分布ピークの全幅を半値幅(μm)として算出した。
<粗化処理面比表面積>
粗化処理銅箔の粗化処理面における面積14000μmの領域(100μm×140μm)の表面プロファイルを、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、VK−X100))を用いて倍率2000倍で測定した。得られた粗化処理面の表面プロファイルの三次元表面積X(μm)を算出し、このXの値を測定面積Y(14000μm)で割った値X/Yを比表面積とした。
<剥離強度>
絶縁樹脂基材として、厚さ50μmの液晶ポリマー(LCP)フィルム(株式会社クラレ製、Vecstar CTZ)を用意した。この絶縁樹脂基材に粗化処理銅箔をその粗化処理面が絶縁樹脂基材と当接するように積層し、圧力4MPa及び温度310℃で10分間の熱間プレス成形を行って銅張積層板サンプルを作製した。この銅張積層板サンプルに対して、JIS C 5016−1994の方法Aに準拠して、絶縁樹脂基材面に対して90°方向に剥離して常態剥離強度(kgf/cm)を測定した。
<粗化粒子断面積比率>
粗化処理銅箔の粗化処理面における粗化粒子断面積比率の測定を行った。この測定は、卓上型自動式多機能画像処理解析機(株式会社ニレコ製、LUZEX AP)と収束イオンビーム加工観察装置(FIB)を用いて、粗化処理面の所定の視野範囲(8μm×8μm)における個々の粗化粒子の断面を観察して倍率18000倍でFIBのSIM画像(以下、FIB−SIM画像という)を取得し、このFIB−SIM画像を画像解析して閉曲断面積及び断面積を測定し、(粗化粒子の閉曲断面積)/(粗化粒子の断面積)の比として粗化粒子断面積比率を算出することにより行った。この画像解析における2値化設定は127とした。具体的な手順は以下のとおりとした。
(1)粗化粒子の断面積の測定
図2に示されるFIB−SIM画像に描かれるように、粗化粒子の頭の略2等分位置から粗化粒子長辺方向(すなわち粗化粒子の高さ方向)へと直線を引く。この直線上の粗化粒子の頭頂部から2μm離れた位置に基準点aを特定する。この基準点aから粗化粒子に2本の接線を引き、これらの接線と粗化粒子の接点b,cを特定する。接点b,cを結ぶ直線(以下、b−c直線という)と粗化粒子の頭の断面輪郭線とで囲まれた断面領域の断面積を画像解析によって求めて、粗化粒子の断面積とする。なお、基準点aを定めるにあたり粗化粒子の頭頂部からの距離を2μmとしているのは、FIB−SIM画像のスケールの長さが2μmであることを考慮したものであり、かかる長さであると基準点aの位置が多少変動しても接点b,cの位置がほぼ一義的に特定される結果、粗化粒子の断面積の値が高い精度で得られるからである。
(2)粗化粒子の閉曲断面積の測定
図3に粗化粒子の頭の拡大画像が例示される。図3のFIB−SIM画像に描かれるように、粗化粒子の閉曲断面積を、粗化粒子表面の微細凸形状の各先端(微細粗化粒子が存在する場合には微細粗化粒子の各先端)を結ぶ線とb−c直線とで囲まれた領域の面積と規定し、これを画像解析によって求めた。上記各先端の位置決めは画像処理解析機が備えるソフトウェアにより自動的に行った。
(3)粗化粒子断面積比率の決定
上記得られた閉曲断面積と粗化粒子の断面積から粗化粒子断面積比率を算出した。粗化粒子断面積比率は1視野ごとに観察される個々の粗化粒子に対して行い、5視野分の全ての粗化粒子について得られた粗化粒子断面積比率の平均値を算出した。
<伝送損失>
絶縁樹脂基材として、厚さ50μmの液晶ポリマー(LCP)フィルム(株式会社クラレ製、Vecstar CTZ)を用意した。この絶縁樹脂基材の両面に粗化処理銅箔をその粗化処理面が絶縁樹脂基材と当接するように積層してバッチプレスにより貼り合わせた。図4に示されるように、絶縁樹脂基材40の片面側の粗化処理銅箔にのみエッチングを行い、特性インピーダンスが50Ωになるようにマイクロストリップラインを形成させてシグナル層42(厚さ18μm)とした。一方、絶縁樹脂基材40のシグナル層42の反対側の粗化処理銅箔はエッチングを施さずにグランド層44(厚さ18μm)とした。絶縁樹脂基材40のシグナル層42側に、厚み25μmに塗布した接着剤(株式会社有沢製作所製、AY−25KA)を介して厚み12μmのポリイミドフィルム(ニッカン工業社製、CISV−1225)をカバーレイ46として貼り合わせて伝送損失測定用サンプルを得た。得られたサンプルのマイクロストリップラインに対して、ネットワークアナライザー(キーサイトテクノロジー製、N5247A)とプロ―バシステム(カスケードマイクロテック製、SUMMIT9000)を用いて、回路長さ5cmでの40GHzの伝送損失S21を求めた。
結果
例1〜8において得られた評価結果は表2に示されるとおりであった。

Claims (8)

  1. 少なくとも一方の側に粗化粒子を備えた粗化処理面を有する粗化処理銅箔であって、前記粗化処理面が0.6〜1.7μmの十点平均粗さRzjisを有し、かつ、前記粗化粒子の高さの頻度分布における半値幅が0.9μm以下である、粗化処理銅箔。
  2. 前記半値幅が0.2〜0.9μmである、請求項1に記載の粗化処理銅箔。
  3. 前記粗化処理面が1.1〜2.1の比表面積を有し、該比表面積は前記粗化処理面の三次元表面積Xを測定面積Yで除することにより得られたX/Yの値である、請求項1又は2に記載の粗化処理銅箔。
  4. 前記粗化粒子上に該粗化粒子よりも微細な微細粗化粒子をさらに備えてなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粗化処理銅箔。
  5. 前記粗化処理面が1.10〜1.50の粗化粒子断面積比率を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粗化処理銅箔。
  6. 高周波用途向けプリント配線板に用いられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粗化処理銅箔。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の粗化処理銅箔と、前記銅箔の前記粗化処理面に密着させて設けられた絶縁樹脂層とを備えた、高周波用途向けプリント配線板。
  8. 前記絶縁樹脂層が液晶ポリマーを含んでなる、請求項7に記載の高周波用途向けプリント配線板。

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