本発明の構成は以下の通りである。
トナー母粒子及び、該トナー母粒子の表面に有機無機複合微粒子及びハイドロタルサイト類化合物を有するトナーであって、
該有機無機複合微粒子は、ビニル系樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有しており、
該有機無機複合微粒子の表面には、該無機微粒子が露出しており、該有機無機複合微粒子の表面における該無機微粒子の存在率が20%以上70%以下であり、
該有機無機複合微粒子及び該ハイドロタルサイト類化合物は、コロナ帯電で帯電させた際の表面電位が−900V以上−400V以下であり、該表面電位が減衰する際の時定数τが200秒以上2000秒以下であることを特徴とするトナーに関する。
本発明者らの検討によれば、上述の様なトナーを用いるにより、長寿命や高速システムにおいても、現像ローラからトナーが脱離することによって発生するトナーのボタ落ち現象を抑制できる。またカブリが発生しにくく、画像濃度が安定し、高精細な画像が得られる。
先述の通り、ハイドロタルサイト類化合物もしくは大粒径外添剤を添加することは、帯電安定性の改善や外添剤の埋め込みを抑制する効果はあるものの、長寿命や高速システムにおいては十分な効果が得られない。
一成分接触現像方式におけるトナーの帯電は、現像ローラ及び現像ブレード間をトナーが通過する際にトナーへの電荷付与が行われる。つまり、二成分現像方式の様なトナーが磁性キャリアに接触することで電荷付与する方式に比べ、電荷付与サイトが小さい。
また一成分接触現像方式では、トナーを搬送するために現像ローラに、静電付着力でトナーを担持させる必要がある。そのため、一成分接触現像方式においては、トナーの帯電量が高くないと、現像ローラからトナーが離れて、トナーがボタ落ちしてしまう。特に、高速システムにおいては、現像ローラが高速で回転しているためトナーに強い遠心力が働き、トナーのボタ落ちが発生し易い。
帯電を安定化する方法として、帯電サイトを増やすという考え方で、トナーとは逆極性の成分を添加するという方法がある。具体的には、マイクロキャリア的な効果をもたせた外添剤を添加する方法である。この方法は帯電安定化に対しては一定の効果はあるものの、逆極性であるため現像時にトナーとは異なる挙動を示すため、マイクロキャリア的な効果だけだと長期にわたっての安定した帯電安定性は得られにくい。
また、スペーサー効果を利用して、トナーの劣化を抑制し、帯電を安定化させるという考え方がある。そのために大粒径外添剤を添加する方法があるが、大粒径外添剤を添加するとトナー付着力が低減するため、現像ローラが高速で回転するとトナーのボタ落ちや飛散が発生しやすくなる。
そこで本発明者らは、ハイドロタルサイト類化合物とある特定の有機無機複合微粒子とを外添剤として用いると、長寿命や高速システムにおいても、安定した摩擦帯電を保持するトナーが得られることがわかった。
それらの外添剤の電気特性に着目して検討を行ったところ、コロナ帯電で帯電させた際の表面電位が−900V以上−400V以下であることが必要であることがわかった。さらには、該表面電位が減衰する際の時定数τが200秒以上2000秒以下であることが必要であることがわかった。
上記、電気特性が長寿命や高速システムに対して効果を発揮するのかは明らかではないが、本発明者らは次の様に考えている。
コロナ帯電で帯電させた際に、外添剤の表面電位が上記の範囲になるということは、帯電しやすい外添剤であると考えられる。そのため、本発明で用いられるハイドロタルサイト類化合物は帯電しやすいものである。また、帯電が減衰する際に母粒子表面に電荷が注入され、トナーの帯電が行われるが、本発明で用いられるハイドロタルサイト類化合物は、表面電位の減衰の際の時定数が上記の範囲であり、トナーを良好に帯電することができる。さらには、電位が速やかに減衰するためにチャージアップが抑制され、更に、帯電と減衰とが繰り返し起こることになるため、ハイドロタルサイト類化合物のマイクロキャリア的な効果が継続的に得られる。その結果、帯電ムラを生じさせずに、トナー全体として均一に帯電ができる。
一方で有機無機複合微粒子に関しては、ハイドロタルサイト類化合物のマイクロキャリア的な効果を阻害しないことが必要である。そのためには、有機無機複合微粒子は、コロナ帯電で帯電させた際の表面電位とその減衰の際の時定数に関して、ハイドロタルサイト類化合物と同様の特性を有することが必要である。
ハイドロタルサイト類化合物と有機無機複合微粒子に関し、コロナ帯電で帯電させた際の表面電位が−900Vより小さいと、帯電のしやすさが過剰であるためトナーがチャージアップしてしまいやすい。この場合には、例えば、現像ローラ上をトナーが連れまわってしまい、現像ローラ最表層のトナーが帯電しにくくなり、現像ローラからトナーが脱離するという現象が生じることがある。表面電位が−400Vより大きいとトナーの帯電性が低すぎる。この場合には、例えば、現像ローラからトナーが脱離してしまう。
また、ハイドロタルサイト類化合物と有機無機複合微粒子の表面電位が減衰する際の時定数τが上記の範囲内である場合には、減衰の速度が適度であり、トナー母粒子への電荷の付与が良好になり、また、付与できる頻度に関しても十分となる。その結果、トナーとして十分な帯電量を有するようになり、例えば、現像ローラからのトナーの脱離を抑制できる。
<ハイドロタルサイト類化合物>
ハイドロタルサイト類化合物としては、上記特性を満足すれば特に限定されることはないが、以下の構造式で表されたものを用いることができる。
M2+ yM3+ x(OH)2An− (x/n)・mH2O
(M2+は2価の金属イオンを表し、M3+は3価の金属イオンを表し、An−はn価の陰イオンを表し、0<x≦0.5、x+y=1であり、m≧0である。)
2価の金属イオン、3価の金属イオンは、異なる元素を複数含有する固溶体であっても構わず、これらの金属イオンの他に1価の金属イオンを微量含んでいても構わない。
2価の金属イオンを与える金属としては、Mg、Zn、Ca、Ba、Ni、Sr、Cu、Feが例示され、3価の金属イオンを与える金属としては、Al、B、Ga、Fe、Co、Inが例示される。2価の金属イオンとしては、Mg2+が主成分であることが好ましく、3価の金属イオンとしては、Al3+が主成分であることが好ましい。
n価の陰イオンとしては、CO3 2−、OH−、Cl−、I−、F−、Br−、SO4 2−、HCO3 2−、CH3COO−、NO3 −が挙げられ、これらは単独であっても複数存在しても構わない。
また、上記ハイドロタルサイト類化合物は、高級脂肪酸類、カップリング剤類、エステル類、シリコーンオイル等のオイル類で表面処理されているものであってもよい。高級脂肪酸類としては、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸等が例示される。その中でもステアリン酸がより好ましい。また、シリコーンオイルとしてはジメチルシリコーンオイルが好ましい。
ハイドロタルサイト類化合物の表面をステアリン酸やジメチルシリコーンオイルで処理することで、ハイドロタルサイト類化合物のマイクロキャリア的に効果がよりよく発現する。その結果、トナーのチャージアップが抑制される帯電性が安定することで、カブリが抑制し画像濃度が安定しやすい。
表面処理剤によるハイドロタルサイト類化合物の表面処理方法としては、従来公知の方法を利用することができる。例えば、表面処理剤を溶剤に溶解混合したり、加熱溶解して液状にした後に未処理のハイドロタルサイト類化合物と湿式混合したりする方法がある。また、微粉末状の表面処理剤とハイドロタルサイト類化合物を機械的に乾式混合する方法が挙げられ、表面処理後には、必要に応じ、洗浄、脱水、乾燥、粉砕、分級等の手段を適宜に選択し、表面処理を施したハイドロタルサイト類化合物を得ることができる。
ハイドロタルサイト類化合物は、個数平均粒径が100nm以上1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは100nm以上800nm以下である。
ハイドロタルサイト類化合物の疎水化度は30〜95%であると好ましい。疎水化度が上記範囲内である場合、チャージアップを抑制しつつ、湿度の影響を受けにくく、更に安定した摩擦帯電性が得られる。
また、ハイドロタルサイト類化合物のBET比表面積は、トナー粒子に対する付着性の観点から、2〜15m2/gであることが好ましい。
そして、表面処理されたハイドロタルサイト類化合物の添加量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.03〜3.00質量部であることが好ましく、さらには0.05〜2.50質量部であることが好ましい。
さらに、本発明に用いるハイドロタルサイト類化合物の体積抵抗値は、良好な帯電を保持するという観点から、1.0×1010〜1.0×1016Ω・cmであることが好ましい。また、該ハイドロタルサイト類化合物のモース硬度は2.0〜4.0であることが好ましい。
<有機無機複合微粒子>
スペーサー粒子として用いられる外添剤に関しても、上記した電気的特性を有することが重要である。それによって、ハイドロタルサイト類化合物のマイクロキャリアとしての作用を妨げることが抑えられる。
本願発明者ら検討したところ、以下の特徴を有する有機無機複合微粒子が所定の電気的特性を有することが分かった。
即ち、(1)ビニル系樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構成を有する粒子であり、(2)その表面には、無機微粒子が露出しており、表面における無機微粒子の存在率が20%以上70%以下である、有機無機複合微粒子であることが必要である。
この様な有機無機複合微粒子が、上述の電気特性を有する理由を本発明者らは以下の様に考えている。一般的に、無機微粒子は、表面電位が減衰する際の時定数τが高い。一方で、樹脂微粒子は、コロナ帯電で外添剤の表面電位が高すぎるという傾向があった。ビニル系樹脂粒子の表面に無機微粒子が点在する構成であることにより、ビニル系樹脂部分での帯電の保持と、無機微粒子部分での帯電の減衰とのバランスが好適な状態に保たれているものと考えている。そして、帯電を減衰させるためにはビニル系樹脂部分と無機微粒子部分がしっかりと接している必要があるため、ビニル系樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれている必要があると考えている。
有機無機複合微粒子の表面における無機微粒子の存在率が上記の範囲内である場合、適度な帯電を有するトナーを達成しつつ、トナーのチャージアップを抑制できる。より好ましくは、無機微粉粒子の存在率が30%以上60%以下である。
また、有機無機複合微粒子は、形状係数SF−1が100以上150以下であり、形状係数SF−2が103以上120以下であることが好ましい。このような形状を有する場合、トナーの摩擦帯電を適度に制御することが容易となる。より好ましくは、SF−1が、110以上140以下であり、SF−2が105以上120以下である。
また、有機無機複合微粒子は、個数平均粒径が50nm以上400nm以下であることが好ましい。有機無機複合微粒子の個数平均粒径が上記の範囲であれば、ハイドロタルサイト類化合物の大きさとの関係が適度であり、ハイドロタルサイト類化合物のマイクロキャリア効果を十分に発揮できるようになる。また、上記の範囲であれば、トナー母粒子からの脱離を抑制することができる。より好ましくは個数平均粒径が80nm以上250nm以下であり、さらに好ましくは90nm以上200nm以下である。
有機無機複合微粒子の個数平均粒径を“A”とし、ハイドロタルサイト類化合物の個数平均粒径を“B”としたとき、B/Aが1.5以上10.0以下であることが好ましい。この関係を満たすことで、ハイドロタルサイト類化合物のマイクロキャリアとしての効果が十分発揮される。
該有機無機複合微粒子の含有量は、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、トナーの規制にムラが発生し、画像濃度が安定し、ハイドロタルサイト類化合物のマイクロキャリアとしての効果が十分発揮される。より好ましくは、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上4.0質量部以下である。
本発明において用いることができる有機無機複合微粒子は、例えば、WO2013/063291号公報に記載の方法で製造することができる。その他、樹脂粒子に後から無機微粒子を打ち込んで、有機無機複合微粒子を作成する製造方法や、溶液中で無機微粒子と溶解した樹脂とを分散させて、有機無機複合微粒子を作成する製造方法が挙げられる。
樹脂粒子に後から無機微粒子を打ち込んで、有機無機複合微粒子を作成する場合は、まずは有機樹脂粒子を作成する。樹脂粒子の作成方法は、樹脂を冷凍粉砕して微粒子化する方法や、溶解した樹脂を溶液中で乳化・懸濁し微粒子を得る方法、樹脂成分の単量体を乳化重合や懸濁重合により重合し樹脂粒子を得る方法が挙げられる。
有機樹脂粒子に無機微粒子を打ち込む方法としては、ハイブリダイザー(奈良機械製作所社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)、ハイフレックスグラル(アーステクニカ社製)等を用いることができる。有機樹脂粒子と無機微粒子をこれらの装置で処理することで、有機樹脂粒子の表面に均一に無機微粒子を固着させ、有機無機複合微粒子を作成することができる。
有機無機複合微粒子のビニル系樹脂成分としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
ビニル系樹脂成分を重合で得る際に用いられる重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独で、又は混合して使用し得る。
有機無機複合微粒子の無機微粒子はシリカ、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム等の微粒子が挙げられる。特に無機微粒子がシリカの場合、帯電性に優れるために現像性に対して効果が得られるため好ましい。シリカはヒュームドシリカのように乾式法で得られたものでも、ゾルゲルシリカのように湿式法で得られたものでも構わない。
有機無機複合微粒子中における無機微粒子の含有割合は、有機無機複合微粒子を基準として、30質量%以上80質量%以下であることが、製造安定性及び粒度分布制御の観点から好ましい。
有機無機複合微粒子、または有機無機複合微粒子に使用される無機微粒子は、それらに物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に疎水化処理されることが好ましい。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子を有機ケイ素化合物で処理する。そのような有機ケイ素化合物としては、以下のものが挙げられる。
ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
有機無機複合微粒子、または有機無機複合微粒子に使用される無機微粒子は、表面が有機ケイ素化合物又はシリコーンオイルで処理されても良い。表面処理は、有機無機複合微粒子に表面処理を施しても構わないし、表面処理を施した無機微粒子を樹脂と複合化させても構わない。
シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30〜1000mm2/sのものが好ましく用いられる。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが特に好ましい。
シリコーンオイル処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法。ベースとなるシリカ微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、無機微粒子を加え混合し溶剤を除去する方法がより好ましい。
また本発明のトナーにおいては、ハイドロタルサイト類化合物と有機無機複合微粒子以外に、無機微粒子を含有することが好ましい。無機微粒子を含有させることによって帯電性や流動性を付与することができる。無機微粒子としては、湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、それらシリカをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ、もしくは酸化チタン等が挙げられる。
以下、トナー母粒子の構成について記載する。
本発明において、トナー母粒子は、一般的なトナーにおいて用いられているものを制限なく用いることができるが、通常、結着樹脂、着色剤、必要に応じて、ワックス、荷電制御剤などを含有するものである。
結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体などのスチレン−アクリル系共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。この中でも特にスチレン−アクリル酸ブチルに代表されるスチレンアクリル系共重合体が現像特性、定着性等の点で好ましい。
本発明に係わるトナーに使用可能なワックス成分としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコーン樹脂も使用できる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い各色に調色されたものが利用される。特に染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下の、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、128、129、138、147、150、151、154、155、168、180、185、214が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、以下の、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。着色剤の添加量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
さらに本発明のトナーは、着色剤として磁性材料を含有させ磁性トナーとすることも可能である。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト如きの酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属の合金及びその混合物が挙げられる。上記磁性体は、より好ましくは、表面改質された磁性体が好ましい。重合法により磁性トナーを製造する場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。これらの磁性体は個数平均粒径が2μm以下であることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがさらに好ましい。トナー粒子中に含有させる量としては、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し20〜200質量部、特に好ましくは40〜150質量部である。
本発明のトナーは、トナーの帯電性を環境によらず安定に保つために、荷電制御剤を用いてもよい。
トナーを負帯電性に制御するためのネガ性荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系荷電制御剤が挙げられる。
トナーを正帯電性に制御するためのポジ性荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;樹脂系荷電制御剤が挙げられる。
これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。
中でも、樹脂系荷電制御剤以外の荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物が良く、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムのものが良い。特に好ましい制御剤は、サリチル酸アルミニウム化合物である。
樹脂系荷電制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、安息香酸部位を有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。
荷電制御剤の好ましい配合量は、結着樹脂100.0質量部に対して0.01〜20.0質量部、より好ましくは0.05〜10.0質量部である。
本発明のトナーは、平均円形度としては、0.960以上であることが好ましい。また、トナーは、円形度0.99以上の含有率が10%以上の場合に、細線再現性をより良好に改善することができる。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることも可能である。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉若しくは未酸化の鉄粉;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類の如き金属粒子、並びにそれらの合金粒子及び酸化物粒子;フェライト;等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、磁性キャリアの混合比率は、現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%とすることが好ましい。
トナー母粒子を製造するための製造方法としては、特に限定されることはない。懸濁重合法・界面重合法・分散重合法の如き、親水性媒体中で直接トナー母粒子を製造する方法(以下、重合法とも称する)や、粉砕法、また粉砕後に熱球形化する製造方法等が挙げられる。個々の粒子がほぼ球形に揃っていて、帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有している、懸濁重合法が好ましい。
懸濁重合法は、重合性単量体、着色剤、ワックス等を有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散して、該重合性単量体組成物の液滴を製造する造粒工程、該液滴中の該重合性単量体を重合する重合工程を少なくとも経ることによりトナー母粒子を製造する重合法である。そして、本発明のトナーを製造する場合には、重合性単量体組成物中に、低分子量樹脂を含有させることが好ましい。
本発明のトナーにおいては、トナー母粒子がコア部とシェル部とを少なくとも有することが好ましい。このような構造をとることによりコア部のトナー粒子表面への滲出による帯電不良やブロッキングを防ぐことができる。また、さらにシェル部の表面上にはシェル部とは樹脂組成の違う表層部が存在するものがより好ましい。この表層部が存在することにより環境安定性、耐久性、耐ブロッキング性をより向上させることができる。
トナー母粒子を重合法で生成する際に使用することができる重合性単量体として好ましいものに、ビニル系重合性単量体を挙げることができる。例えばスチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
シェル部は、これらのビニル系重合性単量体から形成されるビニル系重合体や添加したビニル系重合体によって構成される。これらのビニル系重合体の中でも、内部又は中心部を主に形成しているワックスを効率的に覆うという点から、スチレン重合体若しくはスチレン−アクリル共重合体或いはスチレン−メタクリル共重合体が好ましい。
コア部を構成する材料としてはワックスが好ましい。
トナー母粒子に外添剤を外添する方法する混合機としては、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、ハイブリダイザー(奈良機械社製)が挙げられる。外添装置としては、所望のトナーの特性が得られれば特に限定されない。
また、外添後に粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製)を用いて行う。
以下に本発明が適用される画像形成方法について、図1に沿って説明する。
図1は、本発明のトナーを適用することができる画像形成方法を用いた画像形成装置100の概略断面図である。画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置本体100Aに接続された画像読み取り装置、或いは、画像形成装置本体100Aに通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器から、画像形成装置本体100Aに入力される。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。
尚、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
画像形成装置100は、複数の像担持体として、鉛直方向と交差する方向に並設された4個のドラム型の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム1を有する。感光体ドラム1は、図示矢印A方向(時計方向)に図示しない駆動手段(駆動源)により回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の表面を均―に帯電する帯電手段としての帯電ローラ2、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段としてのスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。また、感光体ドラム1の周囲には、静電像をトナー像として現像する現像手段としての現像ユニット(現像装置)4、転写後の感光体ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング手段としてのクリーニング部材6が配置されている。更に、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。
なお、現像ユニット4は、現像剤として非磁性一成分現像剤のトナーを用いるのが好ましい。また、現像ユニット4は、現像剤担持体としての現像ローラ(後述)を感光体ドラム1に対して接触させて反転現像を行うものである。即ち、現像ユニット4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、感光体ドラム1上の露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させることで静電像を現像する。
感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像ユニット4及びクリーニング部材6とは、一体化され、即ち、一体的にカートリッジ化された、プロセスカートリッジ7が好適に用いられる。プロセスカートリッジ7は、画像形成装置本体100Aに設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能となっている。各色用のプロセスカートリッジ7は、全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブランク(K)の各色のトナーが収容されている。
中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光体ドラム1に当接し、図示矢印B方向(反時計方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材として、駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53に掛け渡されている。
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ8が並設されている。一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光体ドラム1とが当接する一次転写部N1を形成する。そして、一次転写ローラ8に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
また、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して二次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とが当接する二次転写部N2を形成する。そして、二次転写ローラ9に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材12に転写(二次転写)される。
更に説明すれば、画像形成時には、先ず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光され、感光体ドラム1上に画像情報に従った静電像が形成される。次いで、感光体ドラム1上に形成された静電像は、現像ユニット4によってトナー像として現像される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が次に重ね合わせて一次転写される。
その後、中間転写ベルト5の移動と同期が取られて記録材12が二次転写部N2へと搬送される。中間転写ベルト5上の4色トナー像は、記録材12を介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、一括して記録材12上に二次転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。
また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニング部材6によって除去、回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって清掃される。
尚、画像形成装置100は、所望の一つの画像形成部のみを用いて、又は、幾つか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
次に、画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について説明する。
図2は、感光体ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿って見たプロセスカートリッジ7の概略断面(主断面)図である。図2のプロセスカートリッジ7の姿勢は、画像形成装置本体に装着された状態での姿勢であり、以下でプロセスカートリッジの各部材の位置関係や方向等について記載する場合はこの姿勢における位置関係や方向等を示している。
プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13と、現像ローラ17等を備えた現像ユニット4とを一体化して構成される。
感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、感光体ドラム1が図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。感光体ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータの駆動力が感光体ユニット13に伝達されることで、画像形成動作に応じて図示矢印A方向(時計方向)に回転駆動される。本発明では、画像形成プロセスの中心となる感光体ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光体ドラム1を用いることが好ましい。
また、感光体ユニット13には、感光体ドラム1の周面上に接触するように、クリーニング部材6、帯電ローラ2が配置されている。クリーニング部材6によって感光体ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体14内に落下、収容される。
帯電手段である帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光体ドラム1に加圧接触することで従動回転する。
ここで、帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光ドラム1に対して所定の直流電圧が印加されており、これにより感光ドラム1の表面には、一様な暗部電位(Vd)が形成される。前述のスキャナユニット3からのレーザー光によって画像データに対応して発光されるレーザー光のスポットパターンは、感光ドラム1を露光し、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は所定の明部電位(Vl)、未露光部位は所定の暗部電位(Vd)の静電潜像が、感光ドラム1上に形成される。
一方、現像ユニット4は、トナー80を担持するためのトナー担持体としての現像ローラ17と、現像ローラ17にトナーを供給する供給部材としてのトナー供給ローラ20が配置された現像室を有している。
また、トナー供給ローラ20は、現像ローラ17との間に当接部N(現像ローラ17とトナー供給ローラ20とでトナーを挟む部分)を形成し、同一方向に回転している。
トナー収容室18内には、撹拌搬送部材22が設けられている。撹拌搬送部材22は、トナー収容室18内に収容されたトナーを撹拌すると共に、トナー供給ローラ20の上部に向けて図中矢印G方向にトナーを搬送するためのものでもある。
現像ブレード21は現像ローラ17の下方に配置され、現像ローラに対してカウンターで当接しており、トナー供給ローラ20によって供給されたトナーのコート量規制及び電荷付与を行っている。現像ブレード21は、厚さ0.1mmの板バネ状のSUS製の薄板を用い、薄板のバネ弾性を利用して当接圧力を形成し、その表面がトナー及び現像ローラ17に当接される。ここで、現像ブレードとしてはこの限りではなく、リン青銅やアルミニウム等の金属薄板でも良い。また、現像ブレード21の表面にポリアミドエラストマーやウレタンゴムやウレタン樹脂等の薄膜を被覆したものを用いても良い。
トナーは、現像ブレード21と現像ローラ17との摺擦により摩擦帯電されて電荷を付与されると同時に層厚規制される。また、本発明においては、現像ブレード21に不図示のブレードバイアス電源から所定電圧を印加し、トナーコート層の安定化をするのが好ましい。
現像ローラ17と感光体ドラム1とは、対向部において各々の表面が同方向(図2では下から上に向かう方向)に移動するようにそれぞれ回転する。
尚、図2では、現像ローラ17は、感光体ドラム1に接触して配置されているが、現像ローラ17は、感光体ドラム1に対して所定間隔を開けて近接配置される構成であってもよい。
現像ローラ17に印加された所定のDCバイアスに対して、摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーが、感光体ドラム1に接触する現像部において、その電位差から、明部電位部にのみ転移して静電潜像を顕像化する。
トナー供給ローラ20と現像ローラ17とは、各々の表面が当接部Nにおいて、同一方向に回転していることがよい。図2においては、トナー供給ローラ20は図示矢印E方向(時計方向)に、現像ローラ17は矢印D方向に回転している。このことにより、トナーへの負荷を軽減し、長期間の使用においても高画質を維持することができる。トナー供給ローラ20は、導電性芯金の外周に発泡体層を形成した弾性スポンジローラである。トナー供給ローラ20と現像ローラ17は所定の侵入量、即ち、トナー供給ローラ20が現像ローラ17により凹状とされるその凹み量ΔEを持って接触している。本発明においては、侵入量は、現像残トナーのはぎ取り性とトナーへの負荷のバランスから、0.3〜1.5mmであることが好ましく、0.7〜1.2mmであることがさらに好ましい。
トナー供給ローラ20と現像ローラ17とは、当接部Nにおいて互いに同方向に周速差を持って回転しており、この動作により、トナー供給ローラ20による現像ローラ17へのトナー供給とはぎ取りを行っている。その際、トナー供給ローラと現像ローラとの電位差を調整することにより、現像ローラへのトナー供給量を調整することが出来る。本発明では、供給ローラの周速が現像ローラの周速に対して110〜250%であることが好ましく、150〜200%であることがさらに好ましい。トナー供給ローラに対しては、DCバイアスを印加してもよい。
以下、本発明における各種物性の測定方法について記載する。
<有機無機複合微粒子表面における無機微粒子の存在率の測定方法>
有機無機複合微粒子表面の無機微粒子の存在率は、ESCA(X線光電子分光分析)により測定される、無機微粒子がシリカ粒子の場合、シリカ由来のケイ素(以下、Siと省略する。)原子量から算出される。ESCAはサンプル表面の深さ方向で数nm以下の領域の原子を検出する分析方法である。そのため有機無機複合微粒子の表面の原子を検出することが可能である。
サンプルホルダーとしては、装置付属の75mm角のプラテン(サンプル固定用の約1mm径のねじ穴が具備されている)を用いた。そのプラテンのネジ穴は貫通しているため、樹脂等で穴をふさぎ、深さ0.5mm程度の粉体測定用の凹部を作成する。その凹部に測定試料をスパチュラ等で詰め込み、すり切ることでサンプルを作成した。
ESCAの装置及び測定条件は、下記の通りである。
使用装置:アルバック−ファイ社製 Quantum 2000
分析方法:ナロー分析
測定条件:
X線源:Al−Kα
X線条件:100μ25W15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
測定範囲:φ100μm
以上の条件より測定を行った。
解析方法は、まず炭素1s軌道のC−C結合に由来するピークを285eVに補正する。その後、100〜105eVにピークトップが検出されるケイ素2p軌道に由来するピーク面積から、アルバック−ファイ社提供の相対感度因子を用いることで、構成元素の総量に対するシリカに由来するSi量を算出する。
まず有機無機複合微粒子の測定を行う。また同様の方法で有機無機複合微粒子を作成する際に用いた無機成分の粒子を測定する。無機成分がシリカの場合は、「シリカ粒子を測定した際のSi量」に対する「有機無機複合微粒子を測定した際のSi量」の割合を本発明における有機無機複合微粒子表面における該無機微粒子の存在率とする。今回の測定ではシリカ粒子としては、ゾルゲルシリカ粒子(個数平均粒子径110nm)を用いて算出を行った。
また有機無機複合微粒子をトナーから分離する方法は、例えばトナー中の有機無機複合微粒子及び無機微粒子の定量方法に記載の方法で行うことができる。
尚、無機微粒子がシリカ粒子である場合について説明したが、無機微粒子がシリカ粒子ではない場合には、測定装置に付属しているデータベースを用いて、その金属種に着目した解析を行えばよい。
<外添剤の個数平均粒径の測定方法>
外添剤の個数平均粒径の測定は、走査型電子顕微鏡「S−4800」(商品名;日立製作所製)を用いて行う。外添剤が外添されたトナーを観察して、最大20万倍に拡大した視野において、ランダムに100個の外添剤の一次粒子の長径を測定して個数平均粒径を求める。観察倍率は、外添剤の大きさによって適宜調整する。
<外添剤のSF−1、SF−2の測定方法>
外添剤のSF−1、SF−2は、走査型電子顕微鏡(SEM)「S−4800」(日立製作所製)でトナー表面の外添剤を観察した。10万倍〜20万倍に拡大した視野において、100個の一次粒子の最大長、周囲長を画像処理ソフトImage−Pro Plus5.1J(MediaCybernetics社製)を使用して測定した。
SF−1、SF−2は下記の式にて算出し、その平均値をSF−1、SF−2とした。
SF−1=(1次粒子の最大長)2/1次粒子の面積×π/4×100
SF−2=(1次粒子の周囲長)2/1次粒子の面積×100/4π
<トナーの平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個の粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定し、平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10〜40℃となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、グラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<コロナ帯電で帯電させた際の表面電位及び表面電位が減衰する際の時定数τの測定方法>
コロナ荷電装置(Rigaku社製:春日電気社製の電源部(KTK−2001)を具備した荷電装置)に表面電位計(Terk社製model347)を取り付けた装置にて測定した。
アルミニウム製のサンプルパン(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製 アルミニウムパン型式:900786.901)にトナー7.0〜7.5mgをできるだけ平滑になるように載せた。トナーを載せたサンプルパンをコロナ荷電装置のターンテーブルに載せて、表面電位がゼロになる様に表面電位計を調整する。測定環境は通常環境(23℃/50%Rh)で行った。
このサンプルパンに,コロナ電圧−20kV,グリッド電圧−1kVを30秒印加し、印加後、サンプルの表面電位を測定した。具体的な条件は、コロナ電圧を印加する部分とグリッドの距離を14mmとし、グリッドとサンプルの表面の距離を12.5mmとした。コロナ電圧の印加条件は、サンプルに十分な帯電が与えられる条件で行った。サンプルに帯電を与えた後に、装置のターンテーブルを回転し、サンプルの表面電位を10分間測定し続けた。
電位が下降する場合の、時定数τは下記式で示される値である。この式に、10分間における時間(t)における表面電位の値(V(t))を入れて、その式を表計算ソフト(エクセル:マイクロソフト社製)でフィッテイングすることで時定数τを算出した。
Vmaxは最大の電位(初期表面電位)
以下、実施例にもとづいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、これによって本発明の実施の態様がなんら限定されるものではない。実施例中の部数は質量部である。
<有機無機複合微粒子の製造例>
有機無機複合微粒子は、WO 2013/063291の実施例、特開2005−202131号公報の実施例の記載に従って製造することができる。
後述の実施例において用いる有機無機複合微粒子1〜8、10としては、WO 2013/063291の実施例1に従って製造したものを用意した。また、有機無機複合微粒子9としては、特開2005−202131号公報の複合樹脂粒子Aの作成例に従って製造したものを用意した。有機無機複合微粒子1〜10の物性を表1に示す。
<シリカ粒子>
シリカ粒子としては、株式会社日本触媒社製のKE−P10(一次粒子径100nm)を使用した。シリカ粒子の物性を表1に示す。
<フッ素アクリル樹脂粒子>
フッ素アクリル樹脂粒子としては、日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製のFS−701(一次粒子径100nm)を使用した。フッ素アクリル樹脂粒子の物性を表1に示す。
<メラミン樹脂粒子>
メラミン樹脂粒子としては、株式会社日本触媒社製のエポスターS(一次粒子径200nm)を使用した。メラミン樹脂粒子の物性を表1に示す。
<ハイドロタルサイト類化合物の製造例>
[ハイドロタルサイト類化合物の製造例1]
MgCl2、CaCl2およびAl2(SO4)3を加えて調製した水溶液と、アルカリ水溶液とを混合して、反応スラリーを調製した。得られた反応スラリーを蒸留水に加え、200℃で20時間水熱合成を行った。得られたハイドロタルサイト類化合物を含むスラリーを95℃に保持して、固形分95質量部に対して、ステアリン酸を5質量部加えて表面処理を行った。次いで、ろ過水洗を実施し、100℃で24時間乾燥し、アトマイザーミル(株式会社ダルトン製)にて解砕を行ってハイドロタルサイト類化合物1を得た。
尚、得られたハイドロタルサイト類化合物1を式で表すと以下のようになる。式中、An−はCl−である。
Mg2+ 0.55Ca2+ 0.02Al3+ 0.43(OH)2An− (0.43/n)・0.41H2O
表2にハイドロタルサイト類化合物1の物性を示す。
[ハイドロタルサイト類化合物の製造例2〜4]
ハイドロタルサイト類化合物の製造例1において、表面処理剤種を変更すること以外は同様の方法で行い、表2に示すハイドロタルサイト類化合物2〜4を得た。表2にハイドロタルサイト類化合物2〜4の物性を示す。尚、得られたハイドロタルサイト類化合物は、いずれも前述の式で表すことができるものであった。
[ハイドロタルサイト類化合物の製造例5〜8]
ハイドロタルサイト類化合物の製造例4において、表2の組成となるようにMgCl2、CaCl2、Al2(SO4)2、Feの塩を選択し、水熱合成条件の温度と時間を調整した以外は同様の方法で行い、表2に示すハイドロタルサイト類化合物5〜8を得た。表2にハイドロタルサイト類化合物5〜8の物性を示す。尚、得られたハイドロタルサイト類化合物は、いずれも前述の式で表すことができるものであった。
[ハイドロタルサイト類化合物の製造例9]
ハイドロタルサイト類化合物の製造例3において、表2の組成となるようにMgCl2、CaCl2、Al2(SO4)2、Feの塩を選択し、表面処理剤種を変更すること以外は同様の方法で行い、表2に示すハイドロタルサイト類化合物9を得た。表2にハイドロタルサイト類化合物9の物性を示す。尚、得られたハイドロタルサイト類化合物9は、前述の式で表すことができるものであった。
<トナー粒子の製造例>
四つ口容器中にイオン交換水715部と0.1モル/LのNa3PO4水溶液850部を添加し、高速撹拌装置T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0モル/L−CaCl2水溶液68部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン 125部
・n−ブチルアクリレート 35部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 15部
・ポリエステル系樹脂 10部
(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)(モル比=51:50)、酸価=10mgKOH/g、ガラス転移点=70℃、Mw=10500、Mw/Mn=3.30)
・負荷電性制御剤(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
0.9部
・ワックス(フィシャートロプシュワックス、吸熱メインピーク温度=78℃)
13部
上記の材料をアトライタ(日本コークス工業株式会社製)を用いて3時間撹拌し、各成分を重合性単量体中に分散させ、単量体混合物を調製した。該単量体混合物に、重合開始剤である1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート20.0部(トルエン溶液50%)を添加し、重合性単量体組成物を調製した。重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、撹拌機の回転数を10,000rpmに維持しつつ5分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内部温度を70℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら6時間反応させた。
次いで、容器内を温度80℃に昇温して4時間維持し、その後毎分1℃の冷却速度で徐々に30℃まで冷却し、スラリーを得た。スラリーを含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。更に、ろ別、洗浄、乾燥して重量平均粒径(D4)が6.5μmの重合体粒子(トナー母粒子)を得た。トナー母粒子の平均円形度は0.980であった。
<実施例1>
得られたトナー母粒子100部に対して、表3に記載した外添剤を、FMミキサ10C(日本コークス工業株式会社製)にて回転数3600rpmで10分間外添し、トナー1を得た。尚、その他の外添剤として記載したシリカとしては、ヘキサメチルジシラザンとジメチルシリコーンオイルで処理されたBET比表面積85m2/gであるシリカ微粒子を用いた。
トナー1における処方、諸物性は表3に記載したとおりである。
得られたトナーを用いて後述の評価試験を行った。評価結果を表4に示す。
<実施例2〜12、比較例1〜8>
表3記載の処方とした以外は、実施例1と同様にして、トナー2〜12、19〜26を得た。トナーの諸物性については表3に示した通りである。
また、実施例1と同様にして評価を行った結果を表4に示す。
<実施例13〜18>
トナー母粒子100部に対して、先ず、表3に記載の有機無機複合微粒子とシリカ微粒子とをFMミキサ10C(日本コークス工業株式会社製)にて回転数3600rpmで10分間外添した。その後、表3に記載のハイドロタルサイト類化合物を加えて、FMミキサ10C(日本コークス工業株式会社製)にて回転数3600rpmで5分間外添した。上記外添方法とした以外は、実施例1と同様にして、トナー13〜18を得た。トナーの諸物性については表3に示した通りである。
また、実施例1と同様にして評価を行った結果を表4に示す。
<評価試験>
市販のレーザープリンターであるLBP−7700C(キヤノン製)およびプロセスカートリッジを改造して、耐久試験を行うことによりトナーを評価した。プロセススピードは300mm/secとした。
この改造カートリッジはカートリッジ内部のギアを変更・追加することにより、トナー供給ローラがトナー担持ローラとの当接部において各々の表面が同一の方向に移動するように改造を行った。なお、供給ローラの現像ローラへの侵入量は1.1mmとし、供給ローラの現像ローラ基準での周速は160%となるよう調整を行った。また、カートリッジ内部からは製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、評価するトナーを200g充填した。
現像ボタ落ちは、チャージアップが生じやすい低温低湿環境で評価した。かぶり、画像濃度安定性及び細線再現性は、熱や湿度の影響でトナーの劣化が起こりやすい、高温高湿環境にて評価を行った。
<現像ボタ落ち>
低温低湿環境下(10℃/14%Rh)で、印字比率5%の罫線画像を3000枚連続出力する耐久試験を行い、現像ボタ落ちの評価を行った。
A:現像部でのボタ落ちは発生せず
B:ドラム上にて若干のボタ落ちは見られるものの、画像上は問題ない
C:画像上にボタ落ちが発生
<かぶりの評価>
高温高湿環境(32.5℃/90%Rh)で、印字率が1%の画像を出力する動作を繰り返し、出力枚数が200枚に到達する毎に1晩放置した。その後、200枚出力し1晩放置する工程を繰り返し、最終的には5000枚の画像出力を行い、以下の方法で評価を行った。
上記の画像出力試験において、毎回白地部分を有する画像を1枚ずつ出力した。その後、すべての白地部分を有する画像について、白地部分を有する画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と転写紙の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、かぶり濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出した。なお、白色度は、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定した。フィルターは、アンバーライトフィルターを用いた。かぶりが最も顕著であったものについて、以下のランク付けを行った。
A:かぶり濃度が0.5%未満である。
B:かぶり濃度が0.5%以上1.5%未満である。
C:かぶり濃度が1.5%以上3.0%未満である。
D:かぶり濃度が3.0%以上である。
<画像濃度安定性>
上記かぶり評価と同様の画像出力試験において、毎回ベタ画像を1枚ずつ出力し、各画像の濃度を測定した。得られた画像濃度の内、濃度が最大のものと最小のものとの差を求め以下の評価基準に基づいて示した。画像濃度は、カラー反射濃度計(X−RITE 404 X−Rite社製)で測定した。
A:画像濃度差が0.1以下である。
B:画像濃度差が0.1より大きく、0.3以下である。
C:画像濃度差が0.3より大きく、0.5以下である。
D:画像濃度差が0.5より大きい、あるいは画像上に現像スリーブのスジに起因する画像スジが発生。
<細線再現性>
画質の観点から、細線再現性の評価を行った。上記画像出力において、2000枚の画像出力後、線幅3ピクセルの格子模様がA4用紙全面に印刷された画像(印字面積比率4%)を印刷し、以下の評価基準で細線再現性を評価した。3ピクセルの線幅は理論上127μmである。画像の線幅をマイクロスコープVK−8500(キーエンス製)で測定した。無作為に5点選んで線幅を測定し、最小値と最大値を除いた3点の平均値をd(μm)としたとき、細線再現性指数として下記のLを定義した。Lが小さいほど優れた細線再現性を示す。
L(μm)=|127−d|
A:Lが0μm以上5μm未満である。
B:Lが5μm以上15μm未満である。
C:Lが15μm以上30μm未満である。
D:Lが30μm以上である。