JP6680514B2 - 栽培装置及び栽培方法 - Google Patents

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Description

本発明は、栽培装置及び栽培方法に関する。
作物の栽培では、肥料の吸収量(吸肥量)が生産量や良品率に大きな影響を及ぼす。この吸肥量は、肥料を含む栽培液の吸水量と栽培液の肥料濃度(施肥濃度)との積から求められる。従って、作物の吸肥量を制御するには、吸水量又は施肥濃度を調整する必要があり、これらのうち調整が容易な施肥濃度を調整することが一般的である。しかし、施肥濃度の上限には限界があり、施肥濃度を高くし過ぎると栽培液が吸水され難くなり、却って吸肥量が低下する。
そこでこのような施肥濃度の調整に替えて、例えば土壌中の水分を調整する方法や、一定の吸収性を有する培土を用いて作物の吸水量を調整する方法(特開平11−113387号公報参照)等も考えられている。
特開平11−113387号公報
しかし、発明者らは、鋭意検討した結果、農業用ハウス等の室内では湿度によって作物の吸水量が左右され、そのために従来の吸水量の調整方法では吸水量の調整が不完全であることを見出した。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、作物の栽培液の吸水量を比較的精度よく調整可能な栽培装置及び栽培方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る栽培装置は、作物を着生させる培地部と、この培地部に栽培液を供給する栽培液供給機構とを室内に備える栽培装置であって、上記培地部が毛管現象により栽培液が供給される領域を有し、上記栽培液供給機構による培地部への栽培液の供給量により上記作物の吸水量を取得する吸水量取得機構と、上記培地部が設置された室内の平均飽差を直接又は間接的に取得する飽差取得機構と、上記吸水量を調整するために、上記飽差取得機構により取得した平均飽差に基づき室内の空気を加湿するか又は除湿するかを判定する加湿・除湿の判定機構とを備える。
また、本発明の一態様に係る栽培方法は、室内で作物を着生させた培地部に栽培液を供給する栽培方法であって、上記培地部が毛管現象により栽培液が供給される領域を有し、培地部への栽培液の供給量により上記作物の吸水量を取得する吸水量取得工程と、上記培地部が設置された室内の平均飽差を直接又は間接的に取得する飽差取得工程と、上記吸水量を調整するために、上記飽差取得工程により取得した平均飽差に基づき室内の空気を加湿するか又は除湿するかの判定を行い、この判定結果に基づき加湿又は除湿をする湿度調整工程とを備える。
本発明の実施形態に係る栽培装置及び栽培方法によれば、作物の栽培液の吸水量を比較的精度よく調整できるため、作物の生産性や品質を容易かつ確実に向上できる。
本発明の一実施形態に係る栽培装置を示す模式図である。 実施例における吸水量と平均飽差との関係を示すグラフである。 実施例における吸水量と平均飽差との関係を示すグラフである。 実施例における吸水量と平均飽差との関係を示すグラフである。 実施例における吸水量と平均飽差との関係を示すグラフである。 実施例における吸水量と平均飽差との関係を示すグラフである。 実施例における吸水量と平均飽差との関係を示すグラフである。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一実施形態に係る栽培装置は、作物を着生させる培地部と、この培地部に栽培液を供給する栽培液供給機構とを室内に備える栽培装置であって、上記培地部が毛管現象により栽培液が供給される領域を有し、上記栽培液供給機構による培地部への栽培液の供給量により上記作物の吸水量を取得する吸水量取得機構と、上記培地部が設置された室内の平均飽差を直接又は間接的に取得する飽差取得機構と、上記吸水量を調整するために、上記飽差取得機構により取得した平均飽差に基づき室内の空気を加湿するか又は除湿するかを判定する加湿・除湿の判定機構とを備える。
上述のように本発明者らは、栽培を行う室内の湿度と作物の吸水量とに関係があることを見出だし、本発明を完成させた。すなわち、当該栽培装置は、作物の吸水量と室内の平均飽差とを取得し、両者の関係から平均飽差の調整を判定するので、この判定に基づき平均飽差を調整すれば、作物の吸水量を比較的精度よく調整することが出来る。特に、当該栽培装置は、毛管現象により栽培液を供給される培地部を用いることで、作物の吸水量を培地部への供給量と略一致させることができる。これにより、当該栽培装置は、施肥濃度を調整することなく作物の吸肥量を比較的簡単に調整することができるため、作物の生産性や品質を容易かつ確実に向上できる。なお、当該栽培装置は、従来の施肥濃度の調整を除外するものではなく、吸水量の調整と施肥濃度の調整とを併用することができる。また、「飽差」とは、ある状態の空気が含むことのできる水蒸気の単位体積当たりの量を意味し、ある温度の空気の飽和水蒸気量とこの空気の実際の水蒸気量との差をいい、「平均飽差」とは、同一室内の飽差の平均値を意味し、室内の飽差が略一定とみなせる場合は、複数個所で計測することを求めない。
また、当該栽培装置は、毛管現象により栽培液を供給する培地部を用いるため、栽培液の過剰な供給が避けられ、作物の根部に安定的に適度な水分ストレスをかけることができる。また、毛管現象により栽培液が供給される上記領域は、気相が液相に比べて大きく、通気性に優れる。これにより、当該栽培装置は、酸素供給構造がなくとも、酸素不足による根腐れを効果的に抑制することができ、設備コスト及び運転コストを削減できる。
上記加湿・除湿の判定機構が、下記式(1)に示す平均飽差S[g/m]と1株当たりの日中吸水量A[ml/day]との関係から所望の吸水量になるよう加湿するか又は除湿するかを判定するとよい。本発明者らは、毛管現象により栽培液を供給する培地部を用いた場合、下記式(1)のような関係が成り立つことを見出した。従って、このような関係式を用いることで、平均飽差の調整により吸水量を調整することがより容易に行える。なお、「日中」とは日照のある時間をいい、例えば日の出から日の入までを意味する。
A=mS ・・・(1)
(上記式(1)中、mは正の定数である。)
上記加湿・除湿の判定機構の判定結果に基づき加湿又は除湿を行う湿度調整機構をさらに備えるとよい。このように温度調整機構を備えることで、加湿又は除湿を自動で行うことができるため、作物の生産性や品質をより容易かつ確実に向上できる。
上記加湿・除湿の判定機構が、室内の平均飽差が3g/m以上10g/m以下となるよう加湿又は除湿を判定するとよい。このように平均飽差を上記範囲とすることで、作物の吸水と光合成とを共に促進することができるため、作物の生産性や品質の向上を促進できる。
また、別の本発明の一態様に係る栽培方法は、室内で作物を着生させた培地部に栽培液を供給する栽培方法であって、上記培地部が毛管現象により栽培液が供給される領域を有し、培地部への栽培液の供給量により上記作物の吸水量を取得する吸水量取得工程と、上記培地部が設置された室内の平均飽差を直接又は間接的に取得する飽差取得工程と、上記吸水量を調整するために、上記飽差取得工程により取得した平均飽差に基づき室内の空気を加湿するか又は除湿するかの判定を行い、この判定結果に基づき加湿又は除湿をする湿度調整工程とを備える。
当該栽培方法は、作物の吸水量と室内の平均飽差とを取得し、両者の関係から平均飽差を調整するので、作物の吸水量を比較的精度よく制御することが出来る。その結果、当該栽培方法は、施肥濃度を制御することなく作物の吸肥量を比較的簡単に制御することができるため、作物の生産性や品質を容易かつ確実に向上できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係る栽培装置の実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
〔第一実施形態〕
図1に示す当該栽培装置は、作物Qを着生させる培地部1と、この培地部1に栽培液Rを供給する栽培液供給機構2と、栽培液供給機構2による培地部1への栽培液Rの供給量に基づき作物Qの吸水量を取得する吸水量取得機構3と、培地部1が設置された室内の平均飽差を直接又は間接的に取得する飽差取得機構4と、上記吸水量を調整するために、この飽差取得機構4により取得した平均飽差に基づき室内の空気を加湿するか又は除湿するかを判定する湿度判定機構5とを主に備える。また、当該栽培装置は、湿度判定機構5の判定結果に基づき加湿又は除湿を行う湿度調整機構6を備える。さらに、当該栽培装置は、遮根透水シート7、第一防水シート8a、第二防水シート8b、及び培地部2に供給する栽培液Rの温度を調節する温度調節機構を備える。
当該栽培装置は、少なくとも培地部1及び栽培液供給機構2が室内に配置される。培地部1等が配置される室内を有する建屋としては、例えば農業用ハウスや植物工場が挙げられ、「室内」とはこれらハウスや工場の内部を意味し、ハウスや工場が壁等で仕切られた複数の区画を有する場合は、その中の一区画の内部を意味する。
当該栽培装置は、作物Qの吸水量と培地部1が配置された室内の平均飽差とを取得し、両者の関係から平均飽差の調整を判定し、この判定に基づいて平均飽差を調整することで、作物の吸水量を比較的精度よく制御することが出来る。その結果、当該栽培装置は、施肥濃度を制御することなく作物の吸肥量を制御することができるため、作物の生産性や品質を容易かつ確実に向上できる。
作物の吸水量と室内の平均飽差との上記関係は、一般に室内の平均飽差が大きくなるほど作物の吸水量が増加し、逆に平均飽差が小さくなるほど作物の吸水量が減少する関係である。これは作物周囲の雰囲気中の飽差が大きいほど、作物からの水分の発散量が増加し、それに伴って作物の吸水量が増加するためであると考えられる。
また、当該栽培装置は、毛管現象により栽培液Rを供給する培地部1を用いるため、栽培液Rの過剰な供給が避けられ、作物Qの根部に安定的に適度な水分ストレスをかけることができる。また、毛管現象により栽培液Rが供給される領域は、気相が液相に比べて大きく通気性に優れる。これにより、当該栽培装置は、酸素供給構造がなくとも、酸素不足による根腐れを効果的に抑制することができ、設備コスト及び運転コストを削減できる。さらに、このような毛管現象を用いた自動底面灌水(貯留槽2bの液面を一定に保つように栽培液Rを供給すること)により、作物の栽培液の吸水量が培地部への供給量と略一致するため、吸水量の監視や制御を容易に行うことができる。
<培地部>
培地部1は、室内で作物Qを着生させる部分であり、枠体1aと、この枠体1a内に充填される充填粒子1bと、この充填粒子1bが充填される層に毛管現象により栽培液Rが供給される栽培液供給領域Bとを有する。
栽培液Rは、水に肥料を配合したものである。栽培液Rにおける肥量の含有量(肥料濃度)は、作物の種類や栽培条件によって適宜調整できる。肥料は、貯留槽2bにおいて雑菌が繁殖することを抑制できる観点から、化学肥料を含むことが好ましい。
(枠体)
枠体1aは、充填される充填粒子1bを保持すると共に、作物Qの根が枠体1a外へ侵入することを防止する。
枠体1aは有底筒状体である。枠体1aの平面形状としては特に限定されないが、輸送の観点からは重ね合わせ可能な形状が好ましく、円形がより好ましい。また、枠体1aの底部は遮根透水シート7で構成される。このように枠体1aの少なくとも底部を遮根透水シート7とすることで、培地部1内の作物Qの根部が後述する貯留槽2bに浸漬することを防止できる。
なお、枠体1aの底部だけでなく、側部及び上部も遮根透水シート7とする構成としてもよいが、培地部1の保水性を高める観点からは底面のみを遮根透水シート7とすることが好ましい。
枠体1aの平均内径の下限としては、6cmが好ましく、9cmがより好ましい。一方、枠体1aの平均内径の上限としては、23cmが好ましく、15cmがより好ましい。枠体1aの平均内径が上記下限に満たない場合、作物Qの根部が十分に広がることができず生育不良となるおそれがある。逆に、枠体1aの平均内径が上記上限を超える場合、培地部1の質量が大きくなりすぎるおそれがある。なお、「平均内径」とは、枠体1aの平面視内面形状と同面積の円の直径(真円換算径)を枠体1aの高さ方向で平均した値を意味する。
枠体1aの底部(遮根透水シート7)を除く部分を構成する材料としては特に限定されないが、通気性と透水性とを有する紙、シート状の樹脂等が挙げられる。シート状の樹脂は織布でも不織布でもよいが、多孔質樹脂フィルムが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂製フィルムを延伸した多孔質樹脂フィルムがより好ましい。
遮根透水シート7は、枠体1aの底面部分のみに配設してもよいが、図1に示すように平面視で枠体1a以外の領域にも敷設してもよい。遮根透水シート7は、透水性を有するため、このように敷設することで栽培液の送液を邪魔せずに、防水、遮光等の機能を奏する。なお、枠体1aの底部と遮根透水シート7とは接着されていてもよいし、枠体1aを遮根透水シート7の上に載置してもよい。
遮根透水シート7の素材としては、特に限定されないが、例えば紙、織布等が挙げられる。
遮根透水シート7の平均厚みの下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、遮根透水シート7の平均厚みの上限としては、5mmが好ましく、3mmがより好ましい。遮根透水シート7の平均厚みが上記下限に満たない場合、遮根性が損なわれるおそれがある。逆に、遮根透水シート7の平均厚みが上記上限を超える場合、遮根透水シート7のコストが高くなりすぎるおそれがある。
(充填粒子)
枠体1a内に充填される充填粒子1bの中層部及び下層部が、毛管現象を発現する栽培液供給領域Bに含まれる。充填粒子1bとしては、充填により毛管現象を発現するものであれば特に限定されないが、例えば土壌、パミスサンド等の微粒軽石、多孔性の火山岩の粉砕粒、粒状のロックウール、コーラルサンド、サンゴ、木炭等が挙げられる。これらは2種以上を混合して用いてもよい。これらの充填粒子1bのうち、良好な毛管現象が確保され、また不要になった場合に自然土に返せる観点から、土壌が好ましい。
上記土壌としては、例えば市販の園芸用の培土、バーミキュライト、ベントナイト、ゼオライト、砂、鹿沼土、赤玉土、真砂土等が挙げられる。これらの中でも、砂が好ましい。上記土壌として砂を用いることで、気相の液相に対する比をより高めて、酸素供給能力を効果的に高めることができる。これにより、酸素供給構造がなくとも、酸素不足による根腐れを効果的に抑制することができる。また、砂は一般的な培土に比べて有機物含量が低く微生物生息数も少ないので根病が起こり難い。
充填粒子1bの単粒の粒径の下限としては、0.1mmが好ましく、0.15mmがより好ましい。一方、上記粒径の上限としては、1mmが好ましく、0.6mmがより好ましい。上記粒径が上記下限に満たない場合、栽培液供給領域Bの空隙部分が少なくなり過ぎて過湿になり雑菌が繁殖し易くなるおそれがある。逆に、上記粒径が上記上限を超える場合、栽培液供給領域Bの空隙が大きくなりすぎて毛管現象が弱くなり、所定の量の栽培液Rを根部に給水できなくなるおそれがある。なお、「単粒の粒径」とは、JIS−Z8801−1(2006)に規定される篩を用い、目開きの大きい篩から順に粒子をかけた際に粒子が最後に通過した篩の目開きである。
充填粒子1bの粒径0.1mm以上1mm以下の単粒の含有割合の下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。上記単粒の含有割合が上記下限に満たない場合、栽培液供給領域Bが発揮する毛管現象が弱くなり、所定の量の栽培液Rを根部に給水できなくなるおそれがある。
充填粒子1bを構成する粒子のタップ密度の下限としては、1.00g/cmが好ましく、1.65g/cmがより好ましく、1.70g/cmがさらに好ましい。一方、上記粒子のタップ密度の上限としては、3.00g/cmが好ましく、1.85g/cmがより好ましく、1.83g/cmがさらに好ましい。上記粒子のタップ密度が上記下限に満たない場合、栽培液供給領域Bの空隙が大きくなりすぎて毛管現象が弱くなり、所定の量の栽培液Rを根部に給水できなくなるおそれがある。逆に、上記粒子のタップ密度が上記上限を超える場合、栽培液供給領域Bの空隙部分が少なくなり過ぎて過湿になり雑菌が繁殖し易くなるおそれがある。
充填粒子1bの毛管上昇高さの下限としては、3cmが好ましく、10cmがより好ましく、20cmがさらに好ましい。一方、充填粒子1bの毛管上昇高さの上限としては、300cmが好ましく、200cmがより好ましく、40cmがさらに好ましい。充填粒子1bの毛管上昇高さを上記範囲とすることで、装置設計の自由度を高められるほか、農作業の作業性を向上させることができる。充填粒子1bの毛管上昇高さが上記下限に満たない場合、作物Qの根部に栽培液Rを給水できず作物Qが生育不良となるおそれがある。逆に、充填粒子1bの毛管上昇高さが上記上限を超える場合、根部に水分ストレスを与え難くなるおそれがある。
なお、毛管上昇高さh[m]は、栽培液Rの表面張力をT[N/m]、栽培液Rの接触角をθ[°]、栽培液Rの密度をρ[kg/m]、重力をg[m/s]、充填粒子1bの質量10%粒子径をr[m]とすると、下記式(2)で求められる。ここで、「質量10%粒子径」とは、JIS−A1204(2009)「土の粒度試験方法」に準拠して、粒径加積曲線から読み取られる通過質量百分率が10%のときの粒径D(10%粒径D10)を意味する。
h=2Tcosθ/ρgr ・・・(2)
1つの枠体1aにおいて、栽培液供給領域Bの枠体1aの底面からの高さが0cmの位置における栽培液Rの平均流速の下限としては、0.2L/hrが好ましく、0.3L/hrがより好ましい。上記栽培液Rの平均流速が上記下限に満たない場合、作物Qが必要な吸水速度に満たないため、水切れにより作物Qが枯れるおそれがある。なお、平均流速とは、枠体1aの底面を通過して栽培液供給領域Bに至る栽培液Rの通過量[L]を5つ以上の独立した枠体1aで測定して得られる数値の平均値である。
栽培液供給領域Bにおける栽培液Rの平均流速が十分に大きい条件では、栽培液供給領域Bに作物Qの吸水速度が平均流速以下となる地点が存在するため、作物Qは際限なく吸水する(このときの吸水量を最大吸水日量という)。この状態から後述する貯留槽2bの液面の水位を少しずつ下げていくと、徐々に給水速度が低下して吸水に制限が掛かる(このときの吸水量を制限吸水日量という)。当該栽培装置では作物Qの吸水日量は水消費日量から概算できるため、吸水量を任意の割合に制限できる。栽培液Rの平均流速が制限されても給水は継続するため、吸水量を制限する場合と比べて培地部1は乾燥し難く、根部が傷むおそれは小さい。給水速度制限による培地部1の保水量の低下は、培地部1の重量の低下によっても計測できる。そのため、管理者は高価な水分センサーがなくとも水分を管理できる。
充填粒子1bの充填高さの下限としては、1cmが好ましく、3cmがより好ましく、5cmがさらに好ましい。一方、充填粒子1bの充填高さの上限としては、50cmが好ましく、30cmがより好ましく、15cmがさらに好ましい。充填粒子1bの充填高さが上記下限に満たない場合、作物Qの根が栽培液供給領域Bの毛管構造を破壊することにより、生育不良となるおそれがある。逆に、充填粒子1bの充填高さが上記上限を超える場合、培地部1の質量が大きくなりすぎるおそれがある。
栽培液供給領域Bの栽培液Rの保水量の下限としては、0.04Lが好ましく、0.05Lがより好ましく、0.10Lがさらに好ましい。一方、栽培液供給領域Bの栽培液Rの保水量の上限としては、2Lが好ましく、1.5Lがより好ましく、0.6Lがさらに好ましい。栽培液供給領域Bの栽培液Rの保水量が上記下限に満たない場合、当該栽培装置の故障等で栽培液供給機構2による培地部1への給水が失われた場合に、作物Qが全滅するリスクが高くなる場合がある。逆に、栽培液Rの保水量が上記上限を超える場合、培地部1の質量が大きくなるおそれや、保水量の調節が困難となるおそれがある。なお、保水量とは、保水状態の培地部1の質量から乾燥状態の培地部1の質量を引いた値を体積換算したものをいう。
<栽培液供給機構>
栽培液供給機構2は、栽培液Rを貯留する栽培液槽2aと、栽培液槽2aから供給される栽培液Rを一次貯留する貯留槽2bと、貯留槽2bから培地部1に栽培液Rを流通する送液部2cとを有する。
(送液部)
送液部2cはシート体である。送液部2cは、培地部1及び貯留槽2b間に、その一部が後述の貯留槽2b内に浸漬されるように配設されており、貯留槽2bの栽培液Rを毛管現象により揚水し、遮根透水シート7を介して培地部1の底部に供給する。栽培液供給機構2が送液部2cを有することで、培地部1と貯留槽2bとを隔離しても培地部1内に栽培液Rを容易かつ確実に供給することが可能となる。
送液部2cは、毛管現象により栽培液Rを揚水し、培地部1の底部に供給できるものであれば特に制限されないが、例えば不織布、ロックウールシート、フェルトシート、ウレタンシート等が挙げられる。これらのうち、適度な毛管現象の発現及び適切な吸水率を発揮させる観点から、不織布が好ましい。
送液部2cの透水率の下限としては、0.01%が好ましく、1%がより好ましい。一方、送液部2cの透水率の上限としては、40%が好ましく、30%がより好ましい。送液部2cの透水率が上記下限に満たない場合、培地部1の底部に供給される栽培液Rの量が不十分となるおそれがある。逆に、送液部2cの透水率が上記上限を超える場合、送液部2cひいては当該栽培装置のコストが高くなりすぎるおそれがある。ここで、「透水率」とは、平面状の送液部2cの表面から水を散布した際に送液部2cの裏面へ通過する水の質量比率をあらわす。
送液部2cの平均厚みの下限としては、0.5mmが好ましく、0.7mmがより好ましい。一方、送液部2cの平均厚みの上限としては、2mmが好ましく、1.5mmがより好ましい。送液部2cの平均厚みが上記下限に満たない場合、送液部2cの強度が低下し破断するおそれがある。逆に、送液部2cの平均厚みが上記上限を超える場合、送液部2cのコストが高くなるおそれがある。
送液部2cの揚水高さの下限としては、3cmが好ましく、10cmがより好ましく、20cmがさらに好ましい。一方、送液部2cの揚水高さの上限としては、300cmが好ましく、200cmがより好ましく、40cmがさらに好ましい。送液部2cの揚水高さが上記下限に満たない場合、培地部1の底部に供給される栽培液Rの量が不十分となり水切れが起こるおそれがある。逆に、送液部2cの揚水高さが上記上限を超える場合、送液部2cのコストが高くなるおそれがある。ここで、揚水高さとは、以下の手法で測定される。まず、送液部を幅4cm、長さ120cmに切断したシートを平均厚み0.03mmのポリエチレンフィルムで被覆(熱圧着で袋状としたフィルムにシートを挿入して周りを被覆)したものを測定サンプルとし、鉛直に測定サンプルを吊り下げられるようにした架台にセットする。このとき、上部及び下部を5cm開放して液面に接しておくようにする。そして、24時間で液面から揚水した高さを5回測定した値の平均値を揚水高さとする。
毛管現象が働いている状態では、重力により液体は下向きに移動し、底面(送液部2c下端)の液体含有率(水分)は高く、表面(培地部1表面)の水分は低くなる勾配が発生する。このような水分の勾配は下部が起点となり発生するため、毛管体の高さが大きくなると、底面と表面との水分勾配は大きくなり、表面から底面への液体の移動速度は大きくなる。すなわち、培地部1の下部に接する送液部2cの長さを大きくすると、表面と底面との水分の差を大きくでき、培地部1から送液部2cに液体が移動する速度を増加して、作物が吸水できる根の周囲から水分を無くすことができる。
(貯留槽)
貯留槽2bは、培地部1へ供給する栽培液Rを一次貯留する槽であり、非透水性の材質で構成される。貯留槽2bは培地部1と離間して配設される。具体的には図2に示すように、貯留槽2bは、培地部1の下方かつ平面視で培地部1と重複しない領域に配設されている。このような領域に貯留槽2bを配設することで、作物Qの根が貯留槽2bに侵入することをより確実に防止できると共に、複数の培地部1で1つの貯留槽2bを共有することができる。なお、貯留槽2bは、上方が開放され栽培液Rの供給を容易にすると共に、底面及び側面には第二防水シート8bが敷設され栽培液Rの漏出を防止している。
貯留槽2b内には送液部2cの一部が浸漬されており、栽培液Rはこの送液部2cを介して培地部1の底部に供給される。栽培液Rは貯留槽2bから培地部1へ一方向的に送液されるため、水耕栽培に見られる貯留水を介した病害の水平伝播を防止できる。
貯留槽2bの上部は、遮光材で遮光されていることが好ましい。この遮光材としては、例えば遮根透水シート7、第一防水シート8a等を使用できる。このように貯留槽2bが遮光されることで、貯留槽2bにおいて藻が繁殖することを抑制することができる。加えて、当該栽培装置においては、貯留槽2bの保持する栽培液Rが作物Qの根に直接接触しない。これらの相乗効果で、貯留槽2bは清潔な状態が保たれており、栽培液Rはフィルター処理せずとも雑菌の繁殖が抑制されている。
(栽培液槽)
栽培液槽2aは、貯留槽2bへ供給する栽培液Rを貯留する槽である。栽培液槽2aに貯留される栽培液Rは、制御部10で制御されるポンプ11によって供給管12を介して貯留槽2bへ供給される。
<吸水量取得機構>
吸水量取得機構3は、栽培液槽2aから貯留槽2bへ栽培液Rを供給する供給管12内に設けられた流量計を有する。当該栽培装置は、毛管現象により栽培液Rを培地部1に供給する構成を有するため、貯留槽2bの液面を一定に保つように栽培液Rを供給することで、この栽培液Rの供給量が作物Qの吸水量と略一致する。従って、吸水量取得機構3は、供給管12内を流れる栽培液Rの流量を計測することで、作物の吸水量を取得する。吸水量取得機構3に用いる流量計は公知のものが使用できる。また、流量計の配設箇所は、図1ではポンプ11の下流側としているが、ポンプ11の上流側としてもよい。
<飽差取得機構>
飽差取得機構4は、建屋内の平均飽差を取得する。飽差取得機構4は、平均飽差を直接取得できる器具を用いてもよいし、平均温度及び平均相対湿度を計測し、これらの値から平均飽差を間接的に取得するものでもよい。相対湿度を計測する湿度計としては、公知のものが使用でき、例えば乾湿計を用いることが出来る。
なお、平均飽差の測定は、事前に室内の数か所の飽差を測定し、各所に設置した計測器の測定値の差が±1.5g/mとなるように計測器を設置するのが望ましいが、室内の飽差にばらつきが少ない場合、計測器は1個でもよい。
<湿度判定機構>
湿度判定機構5は、飽差取得機構4により取得した平均飽差に基づき上記吸水量を制御すべく建屋内の空気を加湿するか又は除湿するかを判定する。具体的には、吸水量を増加させたい場合には、建屋内の平均飽差が大きくなるように除湿を行うよう判定し、吸水量を減少させたい場合には、建屋内の平均飽差が小さくなるように加湿を行うよう判定する。この判定は、後述の湿度調整機構6に送られ、湿度調整機構6により加湿又は除湿が行われる。
湿度判定機構5は、具体的には下記式(1)に示す平均飽差S[g/m]と1株当たりの日中吸水量A[ml/day]との比例関係から所望の吸水量になるよう加湿するか又は除湿するかを判定するとよい。
A=mS ・・・(1)
(上記式(1)中、mは正の定数である。)
この関係式に基づけば、日中吸水量Aを2倍にしたい場合には、平均飽差Sを2倍とすればよいことが容易に判断できるため、容易かつ確実に吸水量の制御を行うことができる。このように日中吸水量Aを2倍にすると、栽培液Rの肥料濃度を高めることなく施肥量を2倍にすることができる。なお、作物は一般に気孔が開いている日中と気孔が閉じている夜間とでは吸水量と平均飽差との関係が異なるため、上記式(1)では日中吸水量Aを用いる。日中吸水量Aは、日照計等を用いて作物の気孔が開放する日照(作物毎に異なる)がある時間を確認し、その時間に限定して計測するのが最も良いが、その地域における日の出から日の入までの時間において計測することによっても日照時間内に測定した吸水量と近似した吸水量を求めることができる。このような吸水量の計測時間の制限を設けない場合、上記関係式を用いた判定精度が低下するおそれがある。
上記mの値は作物の種類、成長段階、環境等の栽培条件によって決まるが、例えば10以上100以下である。また、mの値は、作物の成長や環境の変化に伴って都度更新することができる。栽培条件ごとのmの値は、例えば平均飽差をある値にした場合の吸水量を平均飽差を変えながら複数点計測し、この計測結果に回帰分析等を用いることにより求められる。
なお、湿度判定機構5は、加湿又は除湿により目標とする平均飽差に達した場合に湿度調整の終了の合図又は信号を出す機能を有してもよい。これにより、手動で加湿又は除湿を行うことができる。
湿度判定機構5において、加湿又は除湿の判定によって調整する建屋内の平均飽差(目標飽差)の下限としては、2.5g/mが好ましく、3g/mがより好ましい。一方、上記平均飽差の上限としては、10g/mが好ましく、6g/mがより好ましい。平均飽差が上記下限より小さいと、作物Qの吸水量が不十分となるおそれがある。逆に、平均飽差が上記上限を超えると、作物Qの光合成量が不十分となるおそれがあるほか、上記式(1)の関係式が成立しなくなり、A<mSとなるおそれがある。これは、飽差が大きすぎる(乾燥が強すぎる)と、気孔の閉鎖やエンボリズムなどの作物の吸水を妨げる作用が働くことが原因と考えられる。
<湿度調整機構>
湿度調整機構6は、湿度判定機構5の判定結果に基づき加湿又は除湿を行う。湿度調整機構6の加湿の手段としては、農業で通常用いられるスプリンクラー、ミスト発生装置等の散水装置による水の供給等が挙げられる。一方、湿度調整機構6の除湿の手段としては、室内の換気、散水量の低減、ヒートポンプエアコンや産業用除湿機による除湿等が挙げられる。
なお、加湿又は除湿中に飽差取得機構4から平均飽差を湿度調整機構6にフィードバックしながら加湿又は除湿の調整を行うとよい。また、吸水量取得機構3から吸水量を湿度調整機構6にフィードバックしながら加湿又は除湿の調整を行ってもよい。さらに、飽差を複数個所で計測する場合、計測個所ごとに加湿又は除湿の判定及び調整を行うとよい。
<防水シート>
第一防水シート8aは、培地部1設置領域以外の領域の遮根透水シート7及び送液部2cの上面側に積層されるシートであり、栽培液Rの蒸発、漏出した栽培液R等が貯留槽2bに混入すること等を防止する。また、上述したように、第一防水シート8aは、遮光材としての機能も発揮することができる。このように第一防水シート8aで栽培液Rの蒸発等を防止することで、栽培液Rの貯留槽2bへの供給量と作物Qの吸水量とをより正確に一致させることができ、吸水量制御の精度を高められる。
第二防水シート8bは、遮根透水シート7と送液部2c又は貯留槽2bとの下面側に積層されるシートであり、当該栽培装置を例えば地表と隔離することで、漏出した栽培液Rが地下に浸透することを防止できる。
第一防水シート8a及び第二防水シート8bとしては、水と作物Qの根とを通さないものであれば特に限定されないが、例えばポリオレフィン系フィルム、フッ素樹脂系フィルム、生分解性プラスチックフィルム等を使用することができる。なお、第一防水シート8aと第二防水シート8bとは一枚のシートから形成されてもよい。
<温度調節機構>
温度調節機構は、サーモスタット9a及びヒーター9bを有する。サーモスタット9aは、栽培液槽2aに貯留される栽培液Rの温度を検出する。ヒーター9bは、栽培液槽2a内側又は栽培液槽2aの外側に配設され、栽培液槽2aに貯留される栽培液Rを加熱する。
栽培液槽2aに貯留される栽培液Rの温度がサーモスタット9aで設定される所定の下限温度未満になると、制御部10がヒーター9bを制御し、栽培液Rの温度がサーモスタット9aで設定される所定の上限温度に達するまで栽培液Rを加熱する。作物Qに適した地温は、例えば昼間と夜間とで異なる場合が多いので、制御部10は、例えば時間に応じてサーモスタット9aの設定温度を切り替え、栽培液Rが供給される培地部1の温度が作物Qに適した地温となるよう制御する。
当該栽培装置において、栽培液供給機構2は、栽培液槽2a内の栽培液Rの温度と培地部1内の栽培液Rの温度との差が5℃以内になるよう構成されていることが好ましく、上記差が3℃以内になるように構成されていることがより好ましい。上記差が上記上限を超える場合、培地部1の温度を精度よく調節できなくなり、十分な品質の作物Qを栽培できないおそれがある。
また、栽培液槽2a及び貯留槽2bは、地中に埋めて配設することが好ましい。これらを地中に埋めることにより、栽培液Rの保温効果が高まり、栽培液Rの温度調節のためのエネルギーを低減できる。
なお、図1の当該栽培装置では、温度調節機構を栽培液槽4に付設しているが、作物Qへ供給する栽培液Rの温度を調節できれば、温度調節機構を栽培液槽4以外の部位に付設してもよい。例えば図1の栽培装置において、送液部2cに沿って温度調節機構を構成する電熱線などのヒーターを付設してもよい。この場合、栽培液槽4よりも培地部1に近い位置で栽培液の温度を調節するので、より精度よく培地部1内における栽培液Rの温度を調節することができる。また、例えば貯留槽2bに温度調節機構を構成するヒーターを付設し、貯留槽内の栽培液Rの温度を調節する構成としてもよい。
[栽培方法]
当該栽培方法は、図1の当該栽培液装置1を用いて行うことができる。当該栽培方法は、室内で作物Qを着生させた培地部1に栽培液Rを供給する栽培方法であり、栽培液供給機構2によって培地部1に栽培液を供給する栽培液供給工程と、培地部1への栽培液Rの供給量に基づき上記作物Qの吸水量を取得する吸水量取得工程と、室内の平均飽差を直接又は間接的に取得する飽差取得工程と、上記吸水量を調整するために、上記飽差取得工程により取得した平均飽差に基づき室内の空気を加湿するか又は除湿するかの判定を行い、この判定結果に基づき加湿又は除湿をする湿度調整工程とを備える栽培方法である。また、当該栽培方法は、温度調節機構によって培地部1に供給する栽培液Rの温度を調節する温度調節工程をさらに備える。
当該栽培方法は、作物Qの吸水量と室内の平均飽差とを取得し、両者の関係から平均飽差を調整するので、作物Qの吸水量を比較的精度よく制御することが出来る。その結果、当該栽培方法は、施肥濃度を制御することなく作物の吸肥量を比較的簡単に制御することができるため、作物の生産性や品質を容易かつ確実に向上できる。
さらに、当該栽培方法は、上記湿度調節工程の前に、平均飽差と吸水量との関係を予め取得する関係取得工程を備えてもよい。
<栽培液供給工程>
栽培液供給工程では、送液部2cが貯留槽2bで一次貯留される栽培液Rを培地部1の底部まで送液する。この栽培液Rは、枠体1a内の充填粒子1bの毛管現象により培地部1の栽培液供給領域Bへ供給される。具体的には、貯留槽2bから送液部2cの毛管現象により栽培液Rを揚水し、遮根透水シート7を介して培地部1の底部へ供給する。そして、培地部1の底部へ送液された栽培液Rは、充填粒子1bの毛管現象によって栽培液供給領域Bを介して作物Qの根部へ供給される。
栽培液供給工程では、培地部1への栽培液Rの供給状態に従って作物Qに適した供給量の栽培液Rを栽培液槽2aから貯留槽2bに継ぎ足す。具体的には、例えば培地部1内の水分量を検出する水分センサー(図示せず)を付設し、制御部10がこの検出結果に基づいてポンプ11を作動させ、栽培液Rを貯留槽2bへ継ぎ足し供給する。これにより、作物Qに連続的に栽培液Rを供給することができる。また、貯留槽2b内の栽培液Rの水位を検出する機構を例えば貯留槽2b内に備えてもよい。この場合、制御部10が貯留槽2b内の水位の変化に基づいて貯留槽2bに継ぎ足し供給する栽培液Rの供給量を求め、栽培液Rを貯留槽2bへ供給する。
<吸水量取得工程>
吸水量取得工程では、吸水量取得機構3により、上記栽培液供給工程で貯留槽2bに供給される栽培液Rの供給量を計測することで、作物Rの栽培液Rの吸水量を取得する。
<飽差取得工程>
飽差取得工程では、飽差取得機構4により、栽培装置が設置された室内の平均飽差を取得する。
<湿度調整工程>
湿度調整工程では、まず上記吸水量取得工程で取得した吸水量及び上記飽差取得工程で取得した平均飽差を用い、湿度判定機構5により栽培装置が設置された室内の空気を加湿するか又は除湿するかの判定を行う。次に、この判定に基づき湿度調整機構6により栽培液Rの吸水量を調整すべく加湿又は除湿を行う。
加湿又は除湿による平均飽差の目標値の設定の方法は、上述の当該栽培装置で説明した通りである。
上記栽培液供給工程と、吸水量取得工程、飽差取得工程及び湿度調整工程とは並行して行われる。また、湿度調整工程は、任意のタイミングで行うことができる。さらに、湿度調整工程は、予め設定した吸水量が維持されるように継続的に行ってもよい。
<温度調節工程>
温度調節工程では、貯留槽2bへ継ぎ足し供給するための栽培液槽2a内の栽培液Rの温度を調節する。具体的には、サーモスタット9aにより栽培液槽2aに貯留される栽培液Rの温度を検出し、制御部10がサーモスタット9aの温度検出動作に基づいてヒーター9bを制御し、栽培液槽2a内の栽培液Rの温度を調節する。このときの栽培液Rの調節設定温度は、培地部1の温度を作物Qに適した地温にさせるような温度に設定される。例えば、栽培液槽2a内の栽培液Rの温度が作物Qに適した地温よりもt℃高いときに培地部1の温度を上記作物Qに適した地温にできる場合には、調節設定温度は作物Qに適した地温よりもt℃高い温度に設定される。
<関係取得工程>
関係取得工程では、平均飽差と吸水量との関係を予め取得することにより、上記湿度調整工程での加湿又は除湿による吸水量の制御を容易化する。具体的には、平均飽差をある値にした場合の吸水量を平均飽差を変えながら複数点計測し、これらのデータを元に平均飽差と吸水量との関係(関数)を求めることができる。なお、当該栽培装置のように培地部1が毛管現象により栽培液Rが供給される領域Bを有する栽培方法では、平均飽差と日中吸水量との関係は上述のように式(1)に示すような比例関係となる。
関係取得工程は、栽培条件が変化した任意のタイミングで行うことができる。関係取得工程により上記式(1)のmの値が更新される。
なお、当該栽培方法では、上記湿度調整工程と併せて、栽培液Rの肥料濃度の調整を行ってもよい。湿度調整による吸水量の調整と肥料濃度とを組み合わせることで、より適切に作物の育成をコントロールすることができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
当該栽培装置における湿度調整機構は必ずしも必要ではなく、湿度判定機構による判定に基づき、人手で加湿又は除湿を行ってもよい。人手による加湿方法としては、例えば打ち水のように水を撒くこと等が挙げられる。
また、当該栽培装置における温度調節機構も必須の構成要件ではなく、栽培条件によっては省略可能である。
さらに、当該栽培装置は、栽培液を培地部の上方から供給する栽培液補助供給機構を備えてもよい。この栽培液補助供給機構としては、例えば図1に示す栽培装置において、栽培液槽からポンプ等で培地部の上方に栽培液を供給(点滴)し、この栽培液を貯留槽を介して栽培液槽に循環するものが挙げられる。
さらに、上記実施形態では送液部としてシート体を用いたが、貯留部内の栽培液を培地部に供給できれば送液部はシート体に限定されない。例えば、送液部として貯留部と培地部とに接続される板状や筒状の供給路を用いてもよい。また、送液部として、上記充填粒子として好適に用いられるものを含む構造体を用いてもよい。つまり、例えば土壌、パミスサンド等の微粒軽石、多孔性の火山岩の粉砕粒、粒状のロックウール、コーラルサンド、サンゴ、木炭等の板状や筒状等への成形や、筒状の枠内への充填等により栽培液の通過で崩れない形状の構造体とし、この構造体を介して貯留部と培地部の底部とを接続してもよい。
また、上記第一実施形態では、遮根透水シート、第一防水シート及び第二防水シートを備える栽培装置について説明したが、これらを備えない構成の栽培装置も本発明の意図する範囲内である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
農業用ハウス内に設置された図1の栽培装置を用い、培地部に複数のトマト苗を植え、一定期間(約1.5か月)でのハウス内の平均飽差(ハウス内1か所での6時から19時までの平均値)と6時から19時までの栽培液の日中吸水量(貯留槽への供給量)との関係を測定した。その結果をプロットしたグラフを図2〜7に示す。グラフ中の各プロットは1日ごとの平均飽差と日中吸水量とを表し、グラフ中の直線はプロットから単回帰分析(最小二乗法)を用いて求めた関係式である。なお、図2〜7は、それぞれ栽培条件(農業用ハウス内の栽培位置)が異なる栽培ベッドごとの計測データである。
図2〜7から、平均飽差を調整することで作物の吸水量が調整できることがわかる。また、栽培条件に関わらず平均飽差と日中吸水量との間には比例関係があり、この比例直線に対する各プロットのバラツキも小さい(回帰分析における決定係数Rが1に近い)。従って、上記式(1)の関係を用いることで、容易かつ確実に作物の吸水量を調整することができることがわかる。なお、比例関係の比例係数(上記式(1)のm)は、図2〜7に示すように栽培条件により変化する。
以上のように、本発明の栽培装置及び栽培方法によれば、作物の栽培液の吸水量を比較的精度よく制御できるため、作物の生産性や品質を容易かつ確実に向上できる。
1 培地部
1a 枠体
1b 充填粒子
2 栽培液供給機構
2a 栽培液槽
2b 貯留槽
2c 送液部
3 吸水量取得機構
4 飽差取得機構
5 湿度判定機構
6 湿度調整機構
7 遮根透水シート
8a 第一防水シート
8b 第二防水シート
9a サーモスタット
9b ヒーター
10 制御部
11 ポンプ
12 供給管
B 栽培液供給領域
Q 作物
R 栽培液

Claims (5)

  1. 作物を着生させる培地部と、
    この培地部に栽培液を供給する栽培液供給機構と
    を室内に備える栽培装置であって、
    上記培地部が毛管現象により栽培液が供給される領域を有し、
    上記栽培液供給機構による培地部への栽培液の供給量により上記作物の吸水量を取得する吸水量取得機構と、
    上記培地部が設置された室内の平均飽差を直接又は間接的に取得する飽差取得機構と、
    上記吸水量を調整するために、上記飽差取得機構により取得した平均飽差に基づき室内の空気を加湿するか又は除湿するかを判定する加湿・除湿の判定機構と
    を備える栽培装置。
  2. 上記加湿・除湿の判定機構が、下記式(1)に示す平均飽差S[g/m]と1株当たりの日中吸水量A[ml/day]との関係から所望の吸水量になるよう加湿するか又は除湿するかを判定する請求項1に記載の栽培装置。
    A=mS ・・・(1)
    (上記式(1)中、mは正の定数である。)
  3. 上記加湿・除湿の判定機構の判定結果に基づき加湿又は除湿を行う湿度調整機構をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の栽培装置。
  4. 上記加湿・除湿の判定機構が、室内の平均飽差が3g/m以上10g/m以下となるよう加湿するか又は除湿するかを判定する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の栽培装置。
  5. 室内で作物を着生させた培地部に栽培液を供給する栽培方法であって、
    上記培地部が毛管現象により栽培液が供給される領域を有し、
    培地部への栽培液の供給量により上記作物の吸水量を取得する吸水量取得工程と、
    上記培地部が設置された室内の平均飽差を直接又は間接的に取得する飽差取得工程と、
    上記吸水量を調整するために、上記飽差取得工程により取得した平均飽差に基づき室内の空気を加湿するか又は除湿するかの判定を行い、この判定結果に基づき加湿又は除湿をする湿度調整工程と
    を備える栽培方法。
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