JP6680206B2 - ポリオレフィン微多孔質膜、電池用セパレータ及び電池 - Google Patents
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Description
特許文献1には、質量平均分子量が1×106以上の超高分子量ポリエチレンの含有量が、ポリエチレン全体を100質量%として5質量%以下のポリエチレンを主成分とする微多孔質膜について記載されている。この特許文献1の微多孔質膜では、空孔率が25〜80%であり、2.2MPaの圧力下で90度5分間加熱圧縮した後の膜厚変化率は、圧縮前の膜厚を100%として20%以下であり、上記条件で加熱圧縮した後の到達透気抵抗度(ガーレー値)は700sec/100cm3/20μm以下であることが記載されている。
サイクル特性の悪化の一因として、リチウムイオン二次電池の初期充電時におけるリチウムの析出が挙げられる。リチウムが析出すると、電解質中のリチウムイオン濃度が低下する等によりサイクル特性が悪化する。そして、初期充電時におけるリチウムの析出を抑制するためには、セパレータの透気抵抗度及びセパレータと電極との密着性が重要であることがわかった。セパレータの透気抵抗度が大きいとイオンの流れが阻害され、また、密着性が十分でないと電解液や電極の膨張によりセパレータと電極との間に隙間ができ、リチウムの析出を促しているためである。したがって、サイクル特性の悪化を抑制するためには、セパレータの透気抵抗度の上昇抑制及びセパレータと電極との密着性向上が必要である。
すなわち、
ポリオレフィン微多孔質膜であって、温度90℃、圧力5.0MPaで5分間の加熱圧縮後の透気抵抗度変化率が50%以下、かつ、温度90℃、圧力5.0MPaで5分間の加熱圧縮後の膜厚変化率が加熱圧縮前のポリオレフィン微多孔質膜の膜厚を100%として10%以下であるポリオレフィン微多孔質膜である。
本発明のポリオレフィン微多孔質膜は、重量平均分子量(Mw)が1×106以上の超高分子量ポリエチレンの含有量がポリエチレン全質量を100質量%として10〜40質量%であることが好ましい。
本発明のポリオレフィン微多孔質膜は、膜厚が16μm以下であることが好ましい。
本発明のポリオレフィン微多孔質膜は、空孔率が25〜40%であることが好ましい。
本発明のポリオレフィン微多孔質膜は、パームポロメータにより求めた平均孔径が0.05μm以下であり、バブルポイント(BP)細孔径が0.06μm以下であることが好ましい。
本発明のポリオレフィン微多孔質膜は、電池用セパレータであることが好ましい。
上記課題を解決するために本発明の電池は以下の構成を有する。
すなわち、
前記ポリオレフィン微多孔質膜からなる電池用セパレータを用いた電池である。
[1]ポリオレフィン樹脂
本発明のポリオレフィン微多孔質膜を構成するポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂を主成分とする。ポリエチレン樹脂の含有量はポリオレフィン樹脂の全質量を100質量%として、70質量%以上であるのが好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。従って、本発明のポリオレフィン微多孔質膜は、ポリマー成分がポリエチレン樹脂からなることが好ましく、その場合にはポリプロピレンを含まない。
本発明のポリオレフィン微多孔質膜の製造方法は、(1)上記ポリオレフィン樹脂に成膜用溶剤を添加した後、溶融混練し、ポリオレフィン樹脂溶液を調製する工程、(2)ポリオレフィン樹脂溶液をダイリップより押し出した後、冷却してゲル状成形物を形成する工程、(3)ゲル状成形物を少なくとも一軸方向に延伸する工程(第一の延伸工程)、(4)成膜用溶剤を除去する工程、(5)得られた膜を乾燥する工程、(6)乾燥した膜を少なくとも一軸方向に再び延伸する工程(第二の延伸工程)、(7)熱処理する工程、及び(8)巻取工程を含む。必要に応じて、(4)の成膜用溶剤除去工程の前に熱固定処理工程、熱ロール処理工程及び熱溶剤処理工程のいずれかを設けてもよい。更に(1)〜(7)の工程の後、乾燥工程、熱処理工程、電離放射による架橋処理工程、親水化処理工程、表面被覆処理工程等を設けることができる。
(1)ポリオレフィン樹脂溶液の調製工程
ポリオレフィン樹脂に適当な成膜用溶剤を添加した後、溶融混練し、ポリオレフィン樹脂溶液を調製する。溶融混練方法は公知であるので詳細な説明は省略するが、溶融混練方法として、例えば特許第2132327号公報及び特許第3347835号公報に記載の二軸押出機を用いる方法を利用することができる。ただし、ポリオレフィン樹脂溶液のポリオレフィン樹脂濃度は、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤との合計質量を100質量%として、ポリオレフィン樹脂が25〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは25〜45質量%である。ポリオレフィン樹脂の割合を上記好ましい範囲内にすることで生産性の低下を防ぎ、ゲル状成形物の成形性の低下を防ぐことができる。
ポリオレフィン樹脂溶液を押出機を介してダイから押し出し、冷却してゲル状成形物を形成する。ダイより押し出されたポリオレフィン樹脂溶液を50℃以下まで冷却する速度は180℃/min以上が好ましく、より好ましくは200℃/min以上、さらに好ましくは210℃/min以上である。上記好ましい範囲内の冷却速度にすることで結晶核を増やし、微結晶の数を増加させる。これによりゲル状成形物は延伸時に結晶が配向しやすくなり、フィブリル強度が向上し、得られる微多孔膜は膜厚方向の圧縮に対する強度が上がることで潰れにくくなる。押出方法及びゲル状成形物の形成方法は公知であるので説明を省略するが、例えば特許第2132327号公報及び特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。
ゲル状成形物を少なくとも一軸方向に延伸する。第一の延伸によりポリエチレン結晶ラメラ層間の開裂が起こり、ポリエチレン相が微細化し、多数のフィブリルが形成される。得られるフィブリルは三次元網目構造(三次元的に不規則に連結したネットワーク構造)を形成する。ゲル状成形物は成膜用溶剤を含むので、均一に延伸できる。第一の延伸は、ゲル状成形物を加熱後、通常のテンター法、ロール法、インフレーション法、圧延法又はこれらの方法の組合せにより所定の倍率で行うことができる。第一の延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸又は逐次延伸のいずれを施してもよい。
成膜用溶剤の除去(洗浄)には洗浄溶媒を用いる。ポリオレフィン相は成膜用溶剤と相分離しているので、成膜用溶剤を除去すると多孔質の膜が得られる。洗浄溶媒及びこれを用いた成膜用溶剤の除去方法は公知であるので説明を省略するが、例えば特許第2132327号公報や特開2002‐256099号公報に開示の方法を利用することができる。
成膜用溶剤除去により得られたポリオレフィン微多孔質膜は、加熱乾燥法、風乾法等により乾燥する。
乾燥後の膜を再び少なくとも一軸方向に延伸する。第二の延伸は、膜を加熱しながら、第一の延伸と同様にテンター法等により行うことができる。第二の延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。
第二の延伸後の膜を熱処理する。熱処理方法としては、熱固定処理及び/又は熱緩和処理を用いればよい。特に熱固定処理により膜の結晶が安定化する。熱固定処理を行うことにより、第二の延伸により形成されたフィブリルからなる網状組織が保持され、細孔径が大きく、強度に優れた微多孔質膜を作製できる。熱固定処理は、微多孔質膜を構成するポリオレフィン樹脂の結晶分散温度以上〜融点以下の温度範囲内で行う。熱固定処理は、テンター方式、ロール方式又は圧延方式により行う。また、熱緩和処理は、テンター方式、ロール方式又は圧縮方式により行うか、ベルトコンベア若しくはフローティングロールを用いて行ってもよい。熱緩和処理は少なくとも一方向に緩和率が20%以下の範囲で行うのが好ましく、更に好ましくは緩和率が10%以下の範囲で行う。
製膜後のポリオレフィン微多孔質膜は、円筒形コアに巻きつけて巻き取りフィルムロールとし、熱処理をする。熱処理の温度は好ましくは50〜70℃である。本発明においてフィルムを巻き取るためのコアは、円筒形のもので、その材質は特に限定せず、紙やプラスチック、及びそれらを合わせたものなどがある。巻き取り方法は、巻き取りモーターにより張力をかけてコアにポリオレフィン微多孔質膜を巻取る方法が挙げられる。ポリオレフィン微多孔質膜をコアに巻き取る際の巻取張力は5〜15Nが好ましく、より好ましくは7〜15Nである。15N以上の巻き取り張力で巻くと、巻き取り後にロールの状態での延伸によるひずみが残りやすく、巻き出した後の熱収縮が大きくなる。1N以下の巻き取り張力では、巻きズレや巻き姿が悪化し、シワ不良の原因となる。さらに、フィルムロールを60℃で熱処理をすることで、収縮により3次元構造でのひずみが残りにくく、得られるポリオレフィン微多孔膜は熱プレス時の収縮が小さくなり、熱圧縮後の透気抵抗度変化率が小さくなる。
第一の延伸を施したゲル状成形物から成膜用溶剤を除去(洗浄)する前に、熱固定処理工程、熱ロール処理工程及び熱溶剤処理工程のいずれかを設けてもよい。また洗浄後や第二の延伸工程中の膜に対して熱固定処理する工程を設けてもよい。
(i)熱固定処理
洗浄前及び/又は後の延伸ゲル状成形物、並びに第二の延伸工程中の膜を熱固定処理する方法は上記と同じでよい。
洗浄前の延伸ゲル状成形物の少なくとも一面に熱ロールを接触させる処理(熱ロール処理)を施してもよい。熱ロール処理として、例えば特開2007‐106992号公報に記載の方法を利用できる。特開2007‐106992号公報に記載の方法を利用すると、ポリオレフィン樹脂の結晶分散温度+10℃以上〜ポリオレフィン樹脂の融点未満に温調した加熱ロールに、延伸ゲル状成形物を接触させる。加熱ロールと延伸ゲル状成形物との接触時間は0.5秒〜1分間が好ましい。熱ロール処理としては、ロール表面に加熱オイルを保持した状態で接触させてもよい。加熱ロールとしては、平滑ロール又は延伸ゲル状成形物をロール側に吸引する機能を有するロール、あるいは延伸ゲル状成形物との接触面(外周面)に凹凸を有する凹凸ロールのいずれでもよい。
洗浄前の延伸ゲル状成形物を熱溶剤に接触させる処理を施してもよい。熱溶剤処理方法としては、例えばWO2000/20493号に開示の方法を利用できる。
本発明の好ましい実施態様によるポリオレフィン微多孔質膜は、次の物性を有する。
(1)膜厚(μm)
ポリオレフィン微多孔質膜の膜厚は、近年は電池の高密度高容量化が進んでいるため、3〜16μmが好ましく、より好ましくは5〜12μm、さらに好ましくは6〜10μmである。
ポリオレフィン微多孔質膜は、パームポロメータにより求めた平均孔径が0.05μm以下であることが好ましい。また、バブルポイント(BP)細孔径は0.06μm以下が好ましい。膜全体の孔径を小孔径にすることで孔が潰れにくくなり、膜厚と透気抵抗度の変化が小さくなる。
透気抵抗度(ガーレー値)は、300sec/100cm3以下が好ましい。300sec/100cm3以下であれば、電池に用いたときに、良好な透過性を有する。
空孔率は25〜80%が好ましい。空孔率が25%以上であると良好な透気抵抗度が得られる。空孔率が80%以下であると、微多孔質膜を電池セパレータとして用いた場合の強度が十分であり、短絡を抑えることができる。空孔率が25〜40%であると、圧縮時にセパレータの細孔がつぶれにくく好ましい。
突刺強度は1,300mN以上である。突刺強度が1,300mN未満では、微多孔質膜を電池用セパレータとして電池に組み込んだ場合に、電極間の短絡が発生する恐れがある。
引張破断強度はMD方向及びTD方向のいずれにおいても80MPa以上であることが好ましい。これにより破膜の心配がない。MD方向における引張破断強度は110MPa以上が好ましく、より好ましくは140MPaである。TD方向における引張破断強度は120MPa以上が好ましく、より好ましくは170MPaである。引張破断強度が上記好ましい範囲であると、電池の製造工程において高圧力で熱プレスされても破膜しにくく、細孔がつぶれにくい。
引張破断伸度はMD方向及びTD方向のいずれにおいても60%以上である。これにより破膜の心配がない。
105℃の温度で8時間暴露後の熱収縮率はMD方向及びTD方向ともに15%以下である。熱収縮率が15%を超えると、微多孔質膜をリチウム電池用セパレータとして用いた場合、発熱時にセパレータ端部が収縮し、電極間の短絡が発生する可能性が高くなる。熱収縮率はMD方向及びTD方向ともに8%以下であるのが好ましい。熱収縮率は更に好ましくはMD方向、TD方向共に4%以下であるのが好ましい。
5.0MPaの圧力下、90℃で5分間加熱圧縮した後の膜厚変化率は圧縮前の膜厚を100%として10%以下が好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。膜厚変化率が10%以下であると、微多孔質膜を電池セパレータとして用いた場合に、リチウムの析出を防ぎ、サイクル特性が良好な電池を得ることができる。
5.0MPaの圧力下、90℃で5分間加熱圧縮した後の透気抵抗度変化率(加熱圧縮前後のガーレー値(sec/100cm3)の変化率)は50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下である。透気抵抗度変化率が50%以下であると、電池セパレータとして用いた場合に、電池製造時の高圧での熱プレス工程を経ても、目標とした電池のサイクル特性を出すことができる。
本発明の好ましい実施態様によるポリオレフィン微多孔質膜を用いたセパレータをアノードとカソードとの間に配置し、電解質を含む電気化学セルは、次の物性を有する。
(1)インピーダンスの変化率(%)
後述する測定方法で測定したセルのインピーダンスの変化率は7%以下が好ましい。インピーダンスの変化率が上記好ましい範囲内であると、電池のサイクル特性の悪化を抑えることができる。
後述する測定方法で測定したセルの厚みの変化率は15%以下が好ましい。セルの厚みの変化率が15%以下であると、熱プレスによりセパレータと電極が十分に密着しており、初期充電時においてリチウムが析出しにくい。
本発明のポリオレフィン微多孔質膜からなるセパレータは、これを用いる電池の種類に特に制限はないが、特にリチウム二次電池用途に好適である。本発明の微多孔質膜からなるセパレータを用いたリチウム二次電池には、公知の電極及び電解液を使用すればよい。また本発明の微多孔質膜からなるセパレータを使用するリチウム二次電池の構造も公知のものでよい。
ポリオレフィン微多孔質膜の物性は以下の方法により測定した。
(1)平均孔径(平均流量孔径)及びバブルポイント(BP)細孔径(nm)
ポリオレフィン微多孔質膜の平均孔径(平均流量孔径)及びバブルポイント(BP)細孔径(nm)は下記のように測定した。
PMI社のパームポロメータ(商品名、型式:CFP−1500A)を用いて、Dry−up、Wet−upの順で測定した。Wet−upには表面張力が既知のGalwick(商品名)で十分に浸したポリオレフィン微多孔質膜に圧力をかけ、空気が貫通し始める圧力から換算される孔径を最大孔径とした。平均流量径については、Dry−up測定で圧力、流量曲線の1/2の傾きを示す曲線と、Wet−up測定の曲線が交わる点の圧力から孔径を換算した。圧力と孔径の換算は下記の数式を用いた。
d=C・γ/P(式中、d(μm)は微多孔質膜の孔径、γ(dynes/cm)は液体の表面張力、P(Pa)は圧力、Cは圧力定数(2860)である。)
透気抵抗度(ガーレー値)は、平均膜厚TAVの微多孔膜に対してJIS P8117に準拠して測定した。
空孔率は微多孔膜の質量w1と、微多孔膜と同じポリエチレン組成物からなる同サイズの空孔のない膜の質量w2から、空孔率(%)=(w2−w1)/w2×100により算出した。
突刺強度は、直径1mm(0.5mmR)の針を用い、速度2mm/secでポリオレフィン微多孔質膜を突刺したときの最大荷重値を測定した。
引張破断強度は、幅10mmの短冊状試験片を用いてASTM D882により測定した。
引張破断伸度は、幅10mmの短冊状試験片をポリオレフィン微多孔質膜の幅方向の中心部分より3点取り、ASTM D882により測定し、平均値を算出することにより求めた。
熱収縮率は、微多孔質膜を105℃で8時間暴露したときのMD方向及びTD方向の収縮率をそれぞれ3回ずつ測定し、平均値を算出することにより求めた。
膜厚は接触厚さ計((株)ミツトヨ製)により測定した。
ポリオレフィン微多孔膜を、高平滑面を有する一対のプレス板の間に挟み、これをプレス機により5.0MPaの圧力下、90℃で5分間加熱圧縮する。圧縮前の膜厚み(a(μm))から圧縮後の膜厚み(b(μm))を引き、(a(μm))で割った値を百分率であらわしたもの((a−b)÷a×100)を膜厚変化率(%)とする。膜厚みはポリオレフィン微多孔質膜の幅方向の中心部分より3点取り、測定し、平均値を算出することにより求めた。
上記(8)と同条件でポリオレフィン微多孔膜を加熱圧縮し、加熱圧縮する前の透気抵抗度(α(sec/100cm3))を加熱圧縮した後の透気抵抗度(β(sec/100cm3))から引き、(α(sec/100cm3))で割った値を百分率であらわしたもの((β−α)÷α×100)を透気抵抗度変化率(%)とする。透気抵抗度はポリオレフィン微多孔質膜の幅方向の中心部分より3点取り、測定し、平均値を算出することにより求めた。
(1)セルのインピーダンスの変化率(%)
高平滑面を有する一対のプレス板の間にセルを挟み、これをプレス機により3.0MPa及び5.0MPa圧力下でそれぞれ、90℃で5分間加熱圧縮した後に、インピーダンス測定装置(ソーラトロン製、SI1250、SI1287)を用いて測定した。通常のプレス圧力(3.0MPa)のインピーダンスの値(A)から高圧力(5.0MPa)でのインピーダンスの値(B)を引き、(A)で割った値をインピーダンス変化率(%)とする。
インピーダンス変化率(%)={(A)−(B)}/(A)×100
(2)セルの厚み変化率(%)
高平滑面を有する一対のプレス板の間にセルを挟み、これをプレス機により3.0MPa及び5.0MPa圧力下でそれぞれ、90℃で5分間加熱圧縮した後に下記条件で充電し、セル厚みを充電前と充電後で測定した。セルの厚みはセルの中央部を接触厚さ計((株)ミツトヨ製)により測定した。圧縮前のセル厚み(a)から圧縮後のセル厚み(b)を引き、(a)で割った値をセル厚み変化率(%)とする。
セル厚み変化率(%)={(a)−(b)}/(a)×100
Mwが2.0×106のUHMWPE(Mw/Mn:8)18質量%、及びMwが3.0×105のHDPE(Mw/Mn:6)82質量%からなるポリエチレン(融点:135℃、結晶分散温度:100℃、Mw/Mn:10.0)に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタンを、ポリエチレン100質量部当たり0.2質量部ドライブレンドし、ポリエチレン組成物を調製した。得られたポリエチレン組成物30質量部を二軸押出機に投入し、この二軸押出機のサイドフィーダーから70質量部の流動パラフィン[50cSt(40℃)]を供給し、210℃および300rpmの条件で溶融混練して、ポリオレフィン溶液を調整した。このポリオレフィン溶液を二軸押出機に設けたTダイから押し出し、30℃に温調した冷却ロールで冷却速度210℃/minで引き取り、ゲル状成形物を形成した。得られたゲル状成形物を、テンター延伸装置により115℃で長手方向および幅方向ともに5倍(面倍率25倍)に同時二軸延伸し[第一の延伸]、そのままテンター延伸装置で長手方向および幅方向の両方向に寸法変化が無いように固定して、110℃の温度で熱固定処理した。次いで延伸したゲル状成形物を塩化メチレン浴中に浸漬し、流動パラフィンを除去し、洗浄して得られた微多孔質膜を風乾した。続いて、得られた微多孔質膜を、テンター延伸装置により130℃で幅方向に1.36倍に再延伸し[第二の延伸]、次いで幅方向に緩和率3%で緩和させ、そのままテンター延伸装置に固定して長手方向および幅方向の両方向に寸法変化が無いように、130℃の温度で熱固定処理した。次いで、ポリオレフィン微多孔質膜を室温まで冷却した後、巻取ロールで7Nの巻取張力で巻き取り、厚さ7.1μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。
電池でのセパレータの効果を確認する為に、以下のように、アノード、カソード、セパレータおよび電解質を含む電気化学セルを用いて既述の物性を測定した。カソードは、単位面積質量が13.4mg/cm2で厚さ15μmのアルミニウム基板上の密度が3.55g/cm3のLiCoO2層を含む、40mm×40mmのシートを用いた。アノードは、単位面積質量が5.5mg/cm2で厚さ10μmの銅フィルム基板上の密度が1.65g/cm3の天然黒鉛を含む、45mm×45mmのシートを用いた。アノードおよびカソードを120℃の真空オーブンで乾燥させた後にセルを組み立てた。セパレータは、長さ50mm、幅60mmの本実施例で製造したポリオレフィン微多孔性膜である。セパレータを、50℃の真空オーブンで乾燥させた後にセルを組み立て、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートの混合物(エチレンカーボネート/メチルエチルカーボネート=4/6、V/V(体積割合))中にLiPF6を溶解させて電解質を調製し、1M溶液を形成した。アルミラミネートの間にアノード、セパレータおよびカソードを積み重ね、セパレータに電解質を含浸させ、次いで真空シールすることによってセルを作製した。
第一の延伸の温度を117.0℃にし、第二の延伸の倍率を1.41倍にし、第二の延伸後の緩和における緩和率を7%に設定し、巻取張力を9Nに設定した以外は実施例1と同様にして厚さ9.4μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。このポリオレフィン微多孔質膜を用いて実施例1と同様の方法でセルも作製した。
第一の延伸の温度を112.0℃にし、第二の延伸の倍率を1.34倍にし、第二の延伸後の緩和における緩和率を2%に設定した以外は実施例1と同様にして厚さ5.3μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。このポリオレフィン微多孔質膜を用いて実施例1と同様にセルを作製した。
Mwが2.0×106のUHMWPE(Mw/Mn:8)30質量%、及びMwが3.0×105のHDPE(Mw/Mn:6)70質量%からなるポリエチレン(融点:135℃、結晶分散温度:100℃、Mw/Mn:10.0)を用い、冷却ロールにおける冷却速度を200℃/minに設定し、第一の延伸の温度を118.5℃にし、第二の延伸の倍率を1.40倍にし、第二の延伸後の緩和における緩和率を14%に設定し、巻取張力を9Nに設定した以外は実施例1と同様にして厚さ11.7μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。このポリオレフィン微多孔質膜を用いて実施例1と同様にセルを作製した。
Mwが2.0×106のUHMWPE(Mw/Mn:8)40質量%、及びMwが3.0×105のHDPE(Mw/Mn:6)60質量%からなるポリエチレン(融点:135℃、結晶分散温度:100℃、Mw/Mn:10.0)を用い、得られたポリエチレン組成物25質量部を二軸押出機へ供給し、第一の延伸の温度を110℃にし、第二の延伸倍率を1.60倍、延伸温度を127℃にし、第二の延伸後の緩和における緩和率を9%に設定した以外は実施例1と同様にして厚さ3.0μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。このポリオレフィン微多孔質膜を用いて実施例1と同様にセルを作製した。
Mwが2.0×106のUHMWPE(Mw/Mn:8)40質量%、及びMwが3.0×105のHDPE(Mw/Mn:6)60質量%からなるポリエチレン(融点:135℃、結晶分散温度:100℃、Mw/Mn:10.0)を用い、得られたポリエチレン組成物25質量部を二軸押出機へ供給し、第一の延伸倍率を長手方向および幅方向ともに7倍(面倍率49倍)にし、第二の延伸倍率を1.60倍、延伸温度を127℃にし、第二の延伸後の緩和における緩和率を6%に設定した以外は実施例1と同様にして厚さ3.0μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。このポリオレフィン微多孔質膜を用いて実施例1と同様にセルを作製した。
Mwが2.0×106のUHMWPE(Mw/Mn:8)30質量%、及びMwが3.0×105のHDPE(Mw/Mn:6)70質量%からなるポリエチレン(融点:135℃、結晶分散温度:100℃、Mw/Mn:10.0)を用い、得られたポリエチレン組成物28.5質量部を二軸押出機へ供給し、第一の延伸温度を110℃、第二の延伸倍率を1.60倍、延伸温度を127℃にし、第二の延伸後の緩和における緩和率を9%に設定した以外は実施例1と同様にして厚さ3.0μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。
第一の延伸温度を110℃、第二の延伸倍率を1.60倍にし、第二の延伸後の緩和における緩和率を9%に設定した以外は実施例1と同様にして厚さ3.0μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。このポリオレフィン微多孔質膜を用いて実施例1と同様にセルを作製した。
Mwが2.0×106のUHMWPE(Mw/Mn:8)2質量%、及びMwが3.0×105のHDPE(Mw/Mn:6)98質量%からなるポリエチレン(融点:135℃、結晶分散温度:100℃、Mw/Mn:10.0)を用い、得られたポリエチレン組成物40質量部と流動パラフィン60質量部でポリオレフィン溶液を調整した。このポリオレフィン溶液を押し出し、第一の延伸の温度を119.5℃、第二の延伸の倍率を1.4倍にし、第二の延伸後に緩和はせず、巻取張力9Nの力で巻き取った以外は実施例1と同様にして厚さ9.0μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。このポリオレフィン微多孔質膜を用いて実施例1と同様にセルを作製した。
冷却速度を160℃/minに設定し、巻取張力16Nの力で巻き取った以外は実施例1と同様にして厚さ7.0μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。このポリオレフィン微多孔質膜を用いて実施例1と同様にセルを作製した。
Mwが2.0×106のUHMWPE(Mw/Mn:8)40質量%、及びMwが3.0×105のHDPE(Mw/Mn:6)60質量%からなるポリエチレン(融点:135℃、結晶分散温度:100℃、Mw/Mn:10.0)を用い、得られたポリエチレン組成物23質量部と流動パラフィン77質量部でポリオレフィン溶液を調整した。このポリオレフィン溶液を押し出し、第一の延伸の温度を117.0℃にし、第二の延伸の温度を128℃で1.6倍まで延伸した後、幅方向に12%緩和し、巻取張力16Nで巻き取った以外は、実施例1と同様にして厚さ11.8μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。このポリオレフィン微多孔質膜を用いて実施例1と同様にセルを作製した。
ポリエチレン組成物25質量部と流動パラフィン75質量部でポリオレフィン溶液を調整し、ポリオレフィン溶液を押し出し、冷却速度160℃/minで冷却し、第一の延伸の温度を118.0℃にし、第二の延伸の温度を126℃で1.4倍まで延伸した後、第二の延伸後に緩和を実施しない点以外は、実施例1と同様にして厚さ12.0μmのポリオレフィン微多孔質膜を製造した。このポリオレフィン微多孔質膜を用いて実施例1と同様にセルを作製した。
Claims (6)
- ポリエチレン樹脂からなり、前記ポリエチレン樹脂が重量平均分子量1×106以上の超高分子量ポリエチレンを10〜40質量%含有し、温度90℃、圧力5.0MPaで5分間の加熱圧縮後の透気抵抗度変化率が50%以下、かつ、温度90℃、圧力5.0MPaで5分間の加熱圧縮後の膜厚変化率が加熱圧縮前のポリオレフィン微多孔質膜の膜厚を100%として10%以下であるポリオレフィン微多孔質膜からなる電池用セパレータ。
- MD方向の引張強度が110MPa以上であり、TD方向の引張強度が120MPa以上である請求項1に記載の電池用セパレータ。
- 膜厚が16μm以下である請求項1又は2に記載の電池用セパレータ。
- 空孔率が25〜40%である請求項1〜3のいずれか1つに記載の電池用セパレータ。
- パームポロメータにより求めた平均孔径が0.05μm以下であり、バブルポイント(BP)細孔径が0.06μm以下である請求項1〜4のいずれか1つに記載の電池用セパレータ。
- 請求項1〜5のいずれか1つに記載の電池用セパレータを用いた電池。
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