以下、本発明の風防板および車両を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の風防板100は、熱可塑性樹脂を含む材料を用いて形成された基材1と、この基材1の少なくとも一方の面側に設けられ、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂を含む樹脂組成物を用いて形成されたコート層2とを有し、コート層2に、サンシャインウエザオメーターを用いて紫外線を3000時間照射した後において、下記要件Aを満足する。要件A:当該風防板は、JIS K 5600−5−6で規定されたクロスカット法により、格子状に切断されたコート層の基材に対する付着性が90%以上となる。このように、紫外線を照射した後の風防板100のクロスカット法による前記付着性が90%以上であれば、風防板100を、優れた紫外線に対する耐久性を備え、その結果、衝撃に対する耐擦傷性が長期に亘って維持されたものであると言うことができ、風防板100を、優れた透明性を長期に亘って発揮するものとすることができる。
なお、この風防板100は、例えば、車両に用いられる風防板(車両用風防板)であり、車両とは、人、または物を乗せて移動や作業をする乗り物全般を指す。例えば、乗用車、トラック、船舶、鉄道車両、飛行機、バス、オートバイ、自転車、フォークリフト、工事現場等で所定の作業をする作業車、ゴルフカート、玩具用車両、遊園地の各種乗物等を含むものである。
また、車両用風防板とは、車両に乗った人または物と、外部との間に配され、車両に乗った人または物と外部とを、少なくとも一方向において遮る板状の構造体を指す。例えば、オートバイや自転車の風防(スクリーン)、その他車両に備えられた窓材等を含むものである。
さらに、この風防板100は、車両用風防板の他、例えば、ヘルメットおよびゴーグル等の頭部装着物に用いられる風防板(バイザー)等にも、適用することができる。
したがって、車両および頭部装着物を、かかる風防板100を備えるものとすることで、優れた信頼性を有するものとすることができる。
以下、この風防板100について詳述する。
<<第1実施形態>>
本発明の風防板100は、上記の通り、基材1と、コート層2を備えるものであるが、本実施形態では、基材1の一方の面側に選択的にコート層2が設けられている。
図1は、本発明の風防板の第1実施形態を示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1の上側を「上」、下側を「下」と言う。
<コート層>
コート層2(ハードコート層)は、本実施形態では、図1に示すように、基材1の上面に形成され、樹脂組成物を用いて形成されたものであり、風防板100に優れた耐候性、耐久性、耐擦傷性、熱成形性を付与するために設けられたものである。
このように、風防板100において、基材1の上面(一方の面)にコート層2が形成される場合、この風防板100を車両用風防板に適用した際には、車両を利用する人および/または物に対して、基材1を人および/または物側、コート層2を車両の外側にして配置することが好ましい。
より具体的には、風防板100を、オートバイや自転車の風防(スクリーン)として用いる場合、コート層2は、前面に設けられることが好ましい。また、風防板100を、車両が備える窓材として用いる場合、コート層2は、屋外側(外部に露出する面側)に設けられることが好ましい。
このコート層2は、本発明では、耐候性および耐擦傷性に優れたもの、すなわち、サンシャインウエザオメーターを用いて紫外線を3000時間照射した後において、下記要件Aを満足するもので構成される。
要件A:当該風防板は、JIS K 5600−5−6で規定されたクロスカット法により、格子状に切断されたコート層2の基材1に対する付着性が90%以上となる。
ここで、風防板を長期に使用する上での問題点の1つとしては、上述したように、太陽光に含まれる紫外線が長時間に亘り照射されることにより、砂ほこりや飛び石等の衝撃に対する耐擦傷性が低下し、その結果、風防板の透明性が低下することがあった。
かかる問題点について、本発明者らは、検討を重ねた結果、砂ほこりや飛び石等の衝撃に対する耐擦傷性は、JIS K 5600−5−6で規定されたクロスカット法に準拠することで近似的に再現させることができ、格子状に切断されたコート層2の基材1に対する付着性を観察することで評価し得ることを見出した。
そして、本発明者らは、さらに検討を重ねた結果、コート層2に、サンシャインウエザオメーターを用いて紫外線を3000時間照射した後において、JIS K 5600−5−6で規定されたクロスカット法により、格子状に切断されたコート層2の基材1に対する付着性が90%以上となっているものであれば、風防板100を、太陽光に含まれる紫外線が長時間に亘り照射されたとしても、砂ほこりや飛び石等の衝撃に対して優れた耐擦傷性を有するものと言えることを見出し、本発明を完成するに至った。
より具体的には、クロスカット法による付着性とは、以下のようにして算出される値である。
まず、縦60mm×横60mm×厚さ8mmの風防板100を用意し、この風防板100について、サンシャインウエザオメーターを用いて紫外線を3000時間照射する。 次に、JIS K 5600−5−6で規定されたクロスカット法に準拠して、コート層2側に、単一刃を用いて2mmの間隔で直角の格子状(25マス)の切り込み(カット)を行う。続いて、25マスの格子に、25mmの幅当たり10±1Nの付着強さを備えるテープを貼り、付着して5分以内に60°に近い角度で、0.5〜1.0秒でテープを引き離す。コート層2の塗膜がカットの縁に沿って、および/または交差点においてはがれている格子の個数を測定し、基材1に付着している格子(コート層2)の割合を算出する。
かかる構成のコート層2、すなわち、風防板100の使用の後においても、優れた耐擦傷性を維持するコート層2を形成するために用いられる樹脂組成物として、本発明では、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂を含むものが用いられる。以下、この樹脂組成物について詳述する。
(シリコン変性(メタ)アクリル樹脂)
シリコン変性(メタ)アクリル樹脂(シロキサン変性(メタ)アクリレート)は、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位が繰り返された主鎖と、この主鎖に連結し、シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体(副鎖)とを有するポリマー(プレポリマー)である。
すなわち、主鎖としての(メタ)アクリル系化合物と、副鎖としてのシロキサン結合(−Si−O−Si−)を有する化合物とが連結したポリマー(プレポリマー)である。
シリコン変性(メタ)アクリル樹脂は、前記主鎖を有することにより、コート層2に優れた透明性を付与し、また、前記シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体を有することにより、コート層2に優れた耐擦傷性および耐候性を付与することができる。
シリコン変性(メタ)アクリル樹脂の主鎖としては、具体的には、下記式(1)および式(2)の少なくとも一方の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来する構成単位の繰り返しで構成されているものが挙げられ、これら双方のモノマーに由来する構成単位の繰り返しを備えるものとして、下記式(12)で示す化学式を有するものが挙げられる。
(式(1)中、nは、1以上の整数を示し、R1は、独立して炭化水素基、有機基、または水素原子を示し、R0は、独立して炭化水素基または水素原子を示す。)
(式(2)中、mは、1以上の整数を示し、R2は、独立して炭化水素基、有機基、または水素原子を示し、R0は、独立して炭化水素基または水素原子を示す。)
(式(12)中、m、nは、1以上の整数を示し、R1、R2、R3は、それぞれ独立して炭化水素基、有機基、または水素原子を示し、R0は、独立して炭化水素基または水素原子を示す。)
また、前記主鎖の末端または側鎖には、水酸基(−OH)を有することが好ましい。すなわち、前記式(1)、式(2)または式(12)の場合には、R1および/またはR2が水素であることが好ましい。これにより、後述する基材1としてポリカーボネート系樹脂を用いた場合には、コート層2とポリカーボネート系樹脂との密着性を向上させることができる。このため、コート層2の基材1に対する密着性が高まり、基材1からコート層2が不本意に剥離することを防ぐことができる。そのため、風防板100の耐擦傷性および耐候性のさらなる向上を図ることができる。また、樹脂組成物中に後述するイソシアネート(イソシアネート基を有する硬化剤)が含まれる場合には、前記水酸基は硬化剤が有するイソシアネート基と反応してウレタン結合による架橋構造を形成する。これより、樹脂組成物の硬化を促進させることができ、コート層2の形成に寄与することができる。
また、かかる構成の主鎖の少なくとも1つの末端または側鎖には、シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体(副鎖)が結合している。
シロキサン結合は、結合力が高いため、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂が、シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体を有することにより、耐熱性、耐候性がより良好なコート層2を得ることができる。また、シロキサン結合の結合力が高いことで、硬質なコート層2を得ることができるため、風防板100の砂ほこりや飛び石等の衝撃に対する耐擦傷性をさらに増大させることができる。その結果、紫外線を照射した後の風防板100を、確実に要件Aを満足するものとすることができる。
シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体としては、具体的には、下記式(3)および式(4)の少なくとも一方のシロキサン結合を有する構成単位の繰り返しで構成されているものが挙げられる。
(式(3)中、X
1は、炭化水素基または水酸基を示す。)
(式(4)中、X
2は、炭化水素基または水酸基を示し、X
3は、炭化水素基または水酸基から水素が離脱した2価の基を示す。)
前記シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体としては、具体的には、ポリオルガノシロキサンを有するものや、シルセスキオキサンを有するものが挙げられる。なお、シルセスキオキサンの構造としては、ランダム構造、籠型構造、ラダー構造(はしご型構造)等、いかなる構造であってもよい。
前記炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基等のアリール基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基等が挙げられる。
また、シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体の末端または側鎖には、不飽和二重結合が導入されていることが好ましい。これにより、樹脂組成物中に後述するウレタン(メタ)アクリレートが含まれる場合、このウレタン(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリロイル基と結合して、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂とウレタン(メタ)アクリレートとのネットワークを形成することができる。そのため、コート層2において、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂とウレタン(メタ)アクリレートとがより均一に分散し、その結果、コート層2は、前述した特性をその全体にわたってより均一に発現することができる。
前記樹脂組成物中におけるシリコン変性(メタ)アクリル樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物100質量部中、5質量部以上、45質量部以下であることが好ましく、11質量部以上、28質量部以下であることがより好ましい。前記樹脂組成物中におけるシリコン変性(メタ)アクリル樹脂の含有量が前記下限値未満であると、前記樹脂組成物により得られたコート層2の硬さが低下する場合がある。また、前記樹脂組成物中におけるシリコン変性(メタ)アクリル樹脂の含有量が前記上限値を超えると、前記樹脂組成物中におけるシリコン変性(メタ)アクリル樹脂以外の材料の含有量が相対的に減ってしまい、前記樹脂組成物を用いて形成されたコート層2の撓み性が低下してしまう可能性がある。
以上のような構成を有するシリコン変性(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、下記式(5)、式(6)で表される化合物が挙げられる。
(式(5)中、Meは、メチル基を示し、m、n、pは、それぞれ1以上の整数を示す。)
(式(6)中、Meは、メチル基を示し、m、n、pは、それぞれ1以上の整数を示し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して炭化水素基、有機基、または水素原子を示す。)
(ウレタン(メタ)アクリレート)
また、樹脂組成物は、さらに、ウレタン(メタ)アクリレートを含むものであることが好ましい。
シリコン変性(メタ)アクリル樹脂が備える、シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体の末端または側鎖に不飽和二重結合が導入されている場合、樹脂組成物中にウレタン(メタ)アクリレートが含まれることで、このウレタン(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリロイル基と不飽和二重結合とが結合して、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂とウレタン(メタ)アクリレートとのネットワークが形成される。その結果、樹脂組成物が硬化して硬化物が得られることにより、この硬化物で構成されるコート層2が形成される。なお、この(メタ)アクリロイル基と不飽和二重結合とが結合することによる樹脂組成物の硬化は、樹脂組成物を紫外線のようなエネルギー線を照射することにより硬化する光硬化により行われる。
以上のようにして形成されるコート層2において、ウレタン(メタ)アクリレートが含まれることにより、コート層2の柔軟性を向上させることができ、風防板100を、その一部または全部を、曲面形状を有するものに適用するため、風防板100を熱曲げする際に、コート層2表面におけるクラックの発生を的確に抑制することができることから、風防板100に優れた熱成形性を付与することができる。
さらに、上述したシリコン変性(メタ)アクリル樹脂と、このウレタン(メタ)アクリレートとの組み合わせとすることにより、優れた耐擦傷性と熱成形性とを高度に両立した風防板100を得ることができる。また、耐擦傷性の向上により、たとえ風防板100の使用により、太陽光に含まれる紫外線が照射された後に、砂ほこりや飛び石等がコート層2に衝突したとしても、風防板100を、前記要件Aを満足するものとし得る。
このウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン結合(−OCONH−)を有する主鎖と、この主鎖に連結した(メタ)アクリロイル基とを有する化合物のことを言う。また、ウレタン(メタ)アクリレートは、モノマーまたはオリゴマーである。
かかる構成のウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン結合を有するため、柔軟性に優れた化合物である。このため、コート層2がウレタン(メタ)アクリレートを含むことで、コート層2にさらなる撓み性(柔軟さ)を付与することができる。そのため、風防板100を曲面形状に成形した際の、曲げ部におけるクラックの発生を的確に抑制することができる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート1分子中の(メタ)アクリロイル基の数は、2個以上であることが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート1分子中の(メタ)アクリロイル基の数が2個以上であると、ウレタン(メタ)アクリレートがシリコン変性(メタ)アクリル樹脂と結合してネットワークを形成することができるため、コート層2の硬化を促進することができる。これにより、コート層2の架橋密度があがり、コート層2の硬さをある程度高めることができる。このため、コート層2の耐擦傷性や耐溶剤性、さらには耐候性等の特性を向上させることができる。
なお、このウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとの反応生成物として得ることができる。
また、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合で、数平均分子量が1300未満のものが好ましい。数平均分子量が1300以上のポリエーテルポリオールを用いた場合には、ポリエーテルポリオールの種類等によっては、コート層2の柔軟さが高すぎて、砂ほこりや飛び石等の衝撃によってコート層2に擦り傷等が付きやすくなり、前記要件Aを満足することができなくなるおそれがある。
また、ポリエステルポリオールは、例えば、ジオールとジカルボン酸もしくはジカルボン酸クロライドとを重縮合反応させたり、ジオールまたはジカルボン酸をエステル化して、エステル交換反応させたりすることにより得ることができる。ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられ、ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
さらに、ポリカーボネートジオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコール等が用いられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーの例として、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート等が挙げられる。
さらに、ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、特に限定されないが、1.0×103以上、2.0×103以下であることが好ましく、1.1×103以上、1.5×103以下であることがより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、前記範囲内であることにより、コート層2の撓み性と硬さとのバランスが良好なものとなり、風防板100を曲面形状に成形した際の、曲げ部におけるクラックの発生を抑制することができる。
なお、ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
また、樹脂組成物中におけるウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物100質量部中、10質量部以上75質量部以下であることが好ましく、17質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。樹脂組成物中におけるウレタン(メタ)アクリレートの含有量が、前記下限値未満であると、ウレタン(メタ)アクリレートの種類によっては、コート層2の柔軟性が乏しくなるおそれがある。また、樹脂組成物中におけるウレタン(メタ)アクリレートの含有量が前記上限値を超えると、ウレタン(メタ)アクリレートの種類によっては、樹脂組成物中におけるウレタン(メタ)アクリレート以外の材料の含有量が相対的に減少し、風防板100の耐擦傷性が低下し、前記要件Aを満足することができなくなるおそれがある。
((メタ)アクリレートモノマー)
また、樹脂組成物は、さらに(メタ)アクリレートモノマーを含むものであることが好ましい。
シリコン変性(メタ)アクリル樹脂が備える、シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体の末端または側鎖に不飽和二重結合が導入されている場合、樹脂組成物中に(メタ)アクリレートモノマーが含まれることで、この(メタ)アクリレートモノマーが有する(メタ)アクリロイル基と不飽和二重結合とが結合して、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂と(メタ)アクリレートモノマーとのネットワークが形成され、その結果、樹脂組成物が硬化することでコート層2が形成される。
以上のようにして形成されるコート層2において、基材1とコート層2との密着性が向上し、風防板100を、例えば曲面形状を有するものに適用する場合、風防板100を熱曲げする際に、コート層2の基材1からの剥離が生じにくくなる。また、コート層2の表面硬度が高くなり、その結果、コート層2に優れた耐擦傷性を付与することができるため、たとえ太陽光に含まれる紫外線がコート層2に照射されたとしても、風防板100を、前記要件Aを満足するものとし得る。さらに、(メタ)アクリレートモノマーは、反応性希釈剤としての機能も果たすため、樹脂組成物の粘度を低下させ、樹脂組成物中に含まれる他の構成材料を(メタ)アクリレートモノマー中に均一に分散させる機能を発揮する。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、イソボロニルアクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、風防板100の耐候性を向上させる観点から、芳香族を含まない樹脂であることが好ましい。
なお、これらのうち、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを用いることにより、樹脂組成物から得られるコート層2において、多官能(メタ)アクリレートモノマー同士が架橋され、三次元架橋構造を形成することに起因して、コート層2の硬度がより高くなる。その結果、コート層2により優れた耐擦傷性を付与することができるため、たとえ太陽光に含まれる紫外線がコート層2に照射されたとしても、風防板100を、前記要件Aを満足するものとし得る。
また、2個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーは、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーと比較して低粘度であるため、樹脂組成物の希釈剤として寄与する。このため、2個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含むことにより、樹脂組成物のさらなる低粘度化を図ることができ、樹脂組成物の取扱性をより向上させることができる。
樹脂組成物中における(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物100質量部中、15質量部以上、55質量部以下であることが好ましく、27質量部以上、55質量部以下であることがより好ましい。
樹脂組成物中における(メタ)アクリレートモノマーの含有量が前記下限値未満の場合、(メタ)アクリレートモノマーの種類によっては、基材1とコート層2の密着性が不足し、熱曲げ時にコート層2が基材1から剥離しやすくなるおそれがある。さらには、コート層2の架橋密度が低下する場合があり、風防板100の耐擦傷性が低下するおそれがある。また、樹脂組成物中における(メタ)アクリレートモノマーの含有量が前記上限値超える場合、(メタ)アクリレートモノマーの種類によっては、熱曲げ時にコート層2が伸びずに割れてしまう可能性がある。
(イソシアネート)
また、樹脂組成物は、さらにイソシアネートを含むものであることが好ましい。
これにより、樹脂組成物中において、イソシアネートは、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂を分子間で結合(架橋)させる架橋剤として機能する。すなわち、架橋剤としてのイソシアネートが含まれることで、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂が備える、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位が繰り返された主鎖が備える水酸基と、イソシアネートが有するイソシアネート基とが反応してウレタン結合で構成された架橋構造が形成され、その結果、樹脂組成物の硬化物で構成されるコート層2が形成される。なお、この水酸基とイソシアネート基とが結合することによる樹脂組成物の硬化は、樹脂組成物を加熱することにより硬化する熱硬化により行われる。
以上のようにして形成されるコート層2において、水酸基とイソシアネート基とが結合することにより形成されるネットワークを構築することができるため、コート層2の耐擦傷性および耐候性をより向上させることができる。そのため、紫外線を照射した後の風防板100を、確実に要件Aを満足するものとすることができる。
このイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート等が挙げられ、特に、イソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートも含むことがより好ましい。これにより、コート層2の耐擦傷性および耐候性をさらに向上させることができる。
樹脂組成物中におけるイソシアネートの含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物100質量部中、3質量部以上、40質量部以下であることが好ましく、10質量部以上、25質量部以下であることがより好ましい。樹脂組成物中におけるイソシアネートの含有量が、前記下限値未満であると、イソシアネートの種類によっては、コート層2の耐擦傷性が低下するおそれがある。また、樹脂組成物中におけるイソシアネートの含有量が前記上限値を超えると、イソシアネートの種類によっては、イソシアネートの未反応物が不純物として塗膜に残るため、塗膜から得られるコート層2の耐擦傷性および耐久性(塗膜の密着性)が低下してしまうおそれがある。
(その他の材料)
さらに、樹脂組成物には、上述した各種材料以外に、その他の材料が含まれていてもよい。
その他の材料としては、特に限定されないが、例えば、前記シリコン変性(メタ)アクリル樹脂以外の樹脂材料、光重合開始剤、紫外線吸収剤、着色剤、増感剤、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、還元防止剤、帯電防止剤、表面調整剤、親水化添加剤、充填材および溶剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
((紫外線吸収剤))
なお、樹脂組成物は、さらに、紫外線吸収剤を含むことにより、樹脂組成物から得られるコート層2の耐候性をより優れたものとすることができる。そのため、たとえ風防板100の使用により、太陽光に含まれる紫外線がコート層2に照射された後に、砂ほこりや飛び石等がコート層2に衝突したとしても、風防板100を、確実に前記要件Aを満足するものとし得る。
この紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられ、これらのうち1種または2種を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特に、トリアジン系の紫外線吸収剤が好ましく用いられ、トリアジン系の紫外線吸収剤の中でも、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤がより好ましい。ここで、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤は水酸基を備えるものである。そのため、樹脂組成物中に架橋剤として機能するイソシアネートを含む場合、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂が有する水酸基と、イソシアネートが有するイソシアネート基とが反応して形成されるウレタン結合で構成された架橋構造(ネットワーク構造)中に、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤も組み込まれることになる。すなわち、樹脂組成物から得られるコート層2中に強固に保持されることとなる。そのため、コート層2の紫外線による劣化に起因する紫外線吸収剤のコート層2からの漏出(ブリードアウト)をより確実に防止または抑制することができ、風防板100の耐候性をより増大させることができる。したがって、たとえ風防板100の使用により、太陽光に含まれる紫外線がコート層2に照射された後に、砂ほこりや飛び石等がコート層2に衝突したとしても、風防板100を、より確実に前記要件Aを満足するものとし得る。
また、樹脂組成物中における前記紫外線吸収剤の含有量は、樹脂組成物中に必須成分として含まれるシリコン変性(メタ)アクリル樹脂と、選択成分として含まれるウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレートモノマーおよびイソシアネートとを合わせて主成分としたとき、特に限定されないが、前記樹脂組成物の前記主成分100質量部に対して、0.1質量部以上、20質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上、10質量部以下であることがより好ましい。樹脂組成物中における紫外線吸収剤の含有量が前記下限値未満であると、紫外線吸収剤の種類によっては、コート層2の耐候性が低下するおそれがある。また、樹脂組成物中における紫外線吸収剤の含有量が前記上限値を超えても、それ以上の耐候性の向上は見られず、紫外線吸収剤の種類によっては、コート層2の透明性や、コート層2の基材1に対する密着性を損ねるおそれがある。
((光重合開始剤))
また、樹脂組成物は、さらに、光重合開始剤を含むことにより、樹脂組成物中にウレタン(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリレートモノマーのうちの少なくとも一方を含む場合、樹脂組成物を光重合により硬化させることで得られるコート層2の硬化度をより優れたものとすることができる。そのため、コート層2を、より優れた耐擦傷性を有するものとすることができる。
この光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインまたはベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸等の芳香族ケトン類、ベンジル等のアルファ−ジカルボニル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類、アセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のフォスヒンオキサイド類、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアルファ−アシルオキシム類、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等のアミン類等が挙げられ、これらの中でも特に、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1等のアセトフェノン類であることが好ましい。これにより、樹脂組成物の硬化を、光重合により、より迅速に進行させることができる。
また、樹脂組成物中における光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物の前記主成分100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上、10質量部以下であるのがより好ましい。樹脂組成物中における光重合開始剤の含有量が前記下限値未満であると、光重合開始剤の種類によっては、樹脂組成物を十分に硬化させることが難しい場合があり、また、樹脂組成物中における光重合開始剤の含有量が前記上限値を超えても、それ以上の向上は見られない。
((表面調整剤))
さらに、表面調整剤は、塗膜の基材への濡れ性や均一性、表面の平滑性および硬化した塗膜の表面スリップ性の向上を目的として添加されるものであり、例えばフッ素系、変性シリコーン系、アクリル系の調整剤を使用することができる。中でも、フッ素系および変性シリコーン系のうちの少なくとも一方を含むものが好ましい。これらは、ポリエーテル変性体、アルキル変性体、ポリエステル変性体から構成されているものが好ましく、特にポリエーテル変性体から構成されているものがより好ましい。
また、溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、2−ぺンタノン、イソホロン、ジイソブチルケトンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシプロピルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシブタノールなどのグリコール系溶剤などが挙げられる。これらは単独または混合して使用することができる。これらの中でも、アルコール系、セロソルブ系、グリコール系は前記樹脂組成物中のイソシアネートと反応してしまう可能性があるため、単独で使用しないことが望ましい。溶剤の主成分として炭化水素系、ケトン系、エステル系を使用することがより好ましい。
以上のような樹脂組成物の硬化物で構成されるコート層2の平均厚さは、特に限定されないが、1μm以上、40μm以下であることが好ましく、2μm以上、30μm以下であることがより好ましく、5μm以上、20μm以下であることがさらに好ましい。コート層2の厚さが前記下限値未満であると、風防板100の耐候性が低下する場合がある。一方、コート層2の厚さが前記上限値を超えると、風防板100を曲面形状に成形した際、曲げ部においてクラックが発生する場合がある。
<基材>
基材1は、熱可塑性樹脂を含む材料を用いて形成されたものであり、風防板100に軽量性、透明性、加工性および割れにくさ(耐衝撃性)と割れた場合の安全性を付与するものである。
熱可塑性樹脂しては、特に限定されず、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にポリカーボネート系樹脂であるのが好ましい。ポリカーボネート系樹脂の硬化物は、透明性(透光性)や剛性等の機械的強度に富むため、基材1にポリカーボネート系樹脂を用いることで、風防板100の透明性や耐衝撃性を向上させることができる。また、ポリカーボネート系樹脂は、その比重が1.2程度であり、樹脂材料のなかでも軽いものに分類されることから、基材1を、ポリカーボネート系樹脂を主材料として構成されるものとすることで、基材1ひいては風防板100の軽量化が図られる。さらに、コート層2に含まれるシリコン変性(メタ)アクリル樹脂が水酸基を有する場合、ポリカーボネート系樹脂を含む基材1とコート層2との間の密着性を向上させることができるため、基材1からコート層2が不本意に剥離することを防ぐことができる。その結果、風防板100の耐擦傷性および耐候性のさらなる向上が図られる。
このポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されず、各種のものを用いることができるが、中でも、芳香族系ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。芳香族系ポリカーボネート系樹脂は、その主鎖に芳香族環を備えており、これにより、基材1の強度をより優れたものとすることができる。
この芳香族系ポリカーボネート系樹脂は、例えば、ビスフェノールとホスゲンとの界面重縮合反応、ビスフェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応等により合成される。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールAや、下記式(1A)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノール(変性ビスフェノール)等が挙げられる。
(式(1A)中、Xは、炭素数1〜18のアルキル基、芳香族基または環状脂肪族基であり、RaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基であり、mおよびnは、それぞれ0〜4の整数であり、pは、繰り返し単位の数である。)
なお、前記式(1A)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノールとしては、具体的には、例えば4,4’−(ペンタン−2,2−ジイル)ジフェノール、4,4’−(ペンタン−3,3−ジイル)ジフェノール、4,4’−(ブタン−2,2−ジイル)ジフェノール、1,1’−(シクロヘキサンジイル)ジフェノール、2−シクロヘキシル−1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,3−ビスシクロヘキシル−1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールに由来する骨格を有するビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂を主成分とするのが好ましい。かかるビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂を用いることにより、基材1は、さらに優れた強度を発揮するものとなる。
また、基材1中のポリカーボネート系樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記基材100質量部中、75質量部以上であるのが好ましく、85質量部以上であるのがより好ましい。ポリカーボネート系樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、基材1を、優れた強度を発揮するものとすることができる。
また、基材1は、必要に応じて、上述した、熱可塑性樹脂の他に、例えば、酸化防止剤、着色剤、フィラー、可塑剤、紫外線吸収剤、熱線吸収剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
また、基材1には、コート層2との密着性を向上させる目的で、サンドブラスト法や溶剤処理法等による表面の凹凸化処理、あるいは、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理、電子線照射処理等の表面の酸化処理が施されていてもよい。
基材1の厚さは、0.1mm以上、18mm以下であることが好ましく、1mm以上、10mm以下であることがより好ましく、3mm以上、4mm以下であることがさらに好ましい。基材1の厚さが前記下限値未満であると、熱可塑性樹脂の種類によっては、風防板100の機械的強度が低下する場合があり、また、基材1の厚さが前記上限値を超えると、熱可塑性樹脂の種類によっては、風防板100を曲面形状に成形することが困難になるおそれがある。
また、基材1としては、熱可塑性樹脂を含む材料により得られた単層構造のものや、熱可塑性樹脂を含む材料により得られた単層フィルムを2層以上積層した多層構造のものを用いることができる。
ここで、多層構造である場合には、同一の材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。
例えば、多層構造である基材1としては、耐候性に優れた第1の耐侯層と、耐熱性に優れた耐熱層と、耐候性に優れた第2の耐侯層とがこの順で積層されたものが挙げられる。すなわち、1つの耐熱層を2つの耐候層で挟持した構成のものが挙げられる。これにより、基材1の耐候性および耐熱性のさらなる向上が図られる。
第1の耐候層および第2の耐侯層は、それぞれ、例えば、ポリカーボネート系樹脂と、紫外線吸収剤と、可塑剤とを含む材料で構成されたものが挙げられる。また、耐熱層は、例えば、ポリカーボネート系樹脂と、熱線吸収剤と、可塑剤とを含む材料で構成されたものが挙げられる。なお、耐候性を重視する場合、第1および第2の耐候層への紫外線吸収剤および/または可塑剤の添加を省略することができるし、さらに、耐熱性を重視する場合、耐熱層への熱線吸収剤および/または可塑剤の添加を省略することができる。
紫外線吸収剤としては、コート層2に含まれる紫外線吸収剤として説明したのと同様のものが挙げられる。
また、熱線吸収剤としては、例えば、カーボンブラック、炭素粉末、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、ATO等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリアミドオリゴマー、エチレンビスステアロアマイド、フタル酸エステル、ポリスチレンオリゴマー、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のような樹脂組成物の硬化物で構成されるコート層2は、サンシャインウエザオメーターを用いて紫外線を3000時間照射した後のJIS K 5600−5−6で規定されたクロスカット法による付着性が90%以上であればよいが、100%であることが好ましい。これにより、風防板100の透明性が砂ほこりや飛び石等の衝撃に対して低下することが的確に抑制または防止されていると言うことができる。
さらに、風防板100は、コート層2に、サンシャインウエザオメーターを用いて紫外線を3000時間照射した後における、JIS K 7105に準拠して測定された、基材1の黄変度が6.0[ΔYI]以下であるのが好ましく、3.0[ΔYI]以下であるのがより好ましく、2.0[ΔYI]以下であるのがさらに好ましい。これにより、風防板100をより優れた耐候性を備えるものであると言うことができ、その結果、風防板100を、外観劣化がより的確に抑制または防止されたものとすることができる。
<風防板の製造方法>
以上のような構成をなす風防板100は、例えば、以下のような製造方法により得ることができる。
風防板100の製造方法は、基材1の上面に樹脂組成物を塗布して塗布層を形成する塗布層形成工程と、塗布層を乾燥して平板を形成する平板形成工程とを有する。
以下、各工程について説明する。
(塗布層形成工程)
まず、基材1および樹脂組成物をそれぞれ予め用意し、その後、基材1の上面に樹脂組成物を塗布して塗布層を形成する。
樹脂組成物を塗布する方法としては、特に制限されないが、例えば、ロールコート法、フローコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法等の公知の方法が挙げられ、これらを単独または組み合わせて用いることにより、基材1の上面に樹脂組成物を塗布することができる。また、これらのコート法を用いることにより、鉛直方向に対して直交する方向に配置された基材1に対して樹脂組成物が塗布されるため、形成される塗布層、ひいては、次工程において、この塗布層を乾燥させることにより得られるコート層2の膜厚をより均一なものとして形成することができる。
なお、基材1に樹脂組成物を供給するに先立って、予め、基材1には、必要に応じて、前述したような表面処理を施しておいてもよい。
(平板形成工程)
その後、塗布された塗布層を構成する樹脂組成物を乾燥させて硬化させることにより、コート層2を形成する。
例えば、樹脂組成物が、溶剤(希釈溶剤)を含む場合には、基材1および雰囲気の温度を上げて加熱することで、十分に溶剤を乾燥して乾燥塗膜を形成することでコート層2が得られる。
なお、樹脂組成物中にイソシアネートが含まれる場合、この加熱により、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂とイソシアネートとの間で化学結合が形成されることによる架橋構造(ネットワーク構造)が構築され、これにより、乾燥塗膜が熱硬化することでコート層2が形成される。
塗布層を加熱する方法としては、特に限定されないが、例えば、オーブン等を用いて加熱する方法等が挙げられる。
さらに、樹脂組成物中に、ウレタン(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリレートモノマーのうちの少なくとも1種が含まれる場合、乾燥塗膜の形成の後に、紫外線等の電子線を照射することが好ましい。これにより、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂とウレタン(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリレートモノマーのうちの少なくとも1種との間で化学結合が形成されることによる架橋構造(ネットワーク構造)が構築され、これにより、乾燥塗膜が光硬化することでコート層2が形成される。
紫外線を照射する方法としては、例えば、一般の有電極型や無電極型の高圧水銀灯やメタルハライドランプなどを使用する方法等が挙げられる。また、100KeV程度の低電圧の電子線照射装置も使用可能である。なお、電子線により硬化する場合は、前述した光重合開始剤の樹脂組成物中への添加は不要である。
さらに必要に応じて、電子線を照射し終えた乾燥塗膜をさらに加熱するようにしてもよい。これにより、コート層2の熱硬化をより確実に進行させることができる。
以上のような工程を経ることで、平板状をなす風防板100を得ることができる。
(成形工程)
また、平板状をなす風防板100の一部または全部が、曲面形状に成形されたものとする場合には、平板形成工程の後に、平板の一部または全部を、曲面形状に成形する成形工程を実施する。
風防板100の一部または全部を、曲面形状に成形する方法としては、例えば、平板状をなす風防板100を加熱し、樹脂が軟化した直後に型に押し当てて曲面形状に成形する方法が挙げられる。
また、樹脂を加熱する方法としては、特に限定はされないが、例えば、赤外線乾燥炉やガス式熱風乾燥炉、熱風循環式乾燥炉等の公知の方法が挙げられる。また、熱成形をする方法としては、例えば、真空成型、圧空成形、プレス成形、フリーブロー成形等の方法が挙げられる。
なお、前記曲面形状とは、湾曲面を有する形状であり、例えば、成形体の断面形状が円弧状である形状等が含まれる。
以上のようにして、平板の一部または全部が曲面形状に成形された風防板100が形成される。
<第2実施形態>
次に、風防板の第2実施形態について説明する。
図2は、本発明の風防板の第2実施形態を示す縦断面図である。
以下、第2実施形態の風防板100について、前記第1実施形態の風防板100との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の風防板100は、図2に示すように、基材1の上面側および下面側の双方の面側に設けられたコート層2を有すること以外は、第1実施形態の風防板100と同様である。
すなわち、第2実施形態の風防板100において、コート層2は、基材1の上面側および下面側の双方に積層して設けられ、これにより、風防板100は、基材1と、この基材1を挾持する2つのコート層2とを有する積層体で構成されている。
風防板100がこのような積層体で構成される場合、基材1の両面にコート層2が形成されていることから、この風防板100を車両用風防板に適用した際に、車両を利用する人および/または物に対する位置を考慮することなく、すなわち、風防板100の裏面および表面を考慮することなく、風防板100を配置することができる。
かかる構成の風防板100において、基材1は、前記第1実施形態の風防板100が備える基材1と同様の構成のものとすることができ、2つのコート層2は、前記第1実施形態の風防板100が備えるコート層2と同様の構成のものとすることができる。
なお、2つのコート層2は、同一の構成材料で構成されるものであってもよいし、異なる構成材料で構成されるものであってもよい。
このような第2実施形態の風防板100によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
以上、本発明の風防板および車両について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、風防板を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、風防板は、基材を挾持する2つのコート層を備える構成のものとする場合、基材とコート層との間に接合層(接着剤層)等が介在するものであってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.風防板の形成
(実施例1)
[1]まず、塗布層を形成するにあたり、樹脂組成物を調製した。
具体的には、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂とアクリレートモノマーとの混合物(商品名「MFGコート SD−101」、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂:16質量部、アクリレートモノマー:5.5質量部、DIC株式会社製):21.5質量部とウレタン(メタ)アクリレートとして2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量 1.3×103、粘度17000mPa・s[60℃]、商品名「EBECRYL8804」、ダイセルオルネクス製):26質量部、4官能アクリレートモノマー(商品名「NK エステル A−TMMT」、新中村化学工業株式会社製):14.7質量部、2官能アクリレートモノマー(商品名「NK エステル A−BPE−4」、新中村化学工業株式会社製):21.8質量部、イソシアネートとして3官能ポリイソシアネート(商品名「バーノックDN−992S」、DIC株式会社製):16質量部を調製して、混合体(主成分)を得た。
さらに、得られた混合体100質量部に対して、添加物として、紫外線吸収剤1(ヒドロキシフェニルトリアジン誘導体、商品名「Tinuvin400」、BASF製):6.5質量部と、表面調整剤(商品名「グラノール450」、共栄社化学社製):0.04質量部を添加し、不揮発分が30%になるように溶剤としての酢酸ブチルを加え撹拌し、全ての成分を溶解させ、樹脂組成物を得た。
[2]次に、基材としての厚さ4mmの多層体に、得られた樹脂組成物を、バーコーターにて乾燥後の厚さ(コート層の厚さ)が11μmになるように塗布して塗布層を得た。なお、多層体は、ポリカーボネートを含む主層(厚さ3.8mm)をポリカーボネートと紫外線吸収剤とを含む2つの被覆層(厚さ0.1mm)で、その上面および下面の双方を被覆した構成を有する基材である。また、主層に含まれるポリカーボネートは、商品名「ユーピロンE−2000−N」(三菱瓦斯化学工業社製)であり、被覆層に含まれるポリカーボネートは、商品名「カリバー200−3」(住化スタイロン社製)であり、被覆層に含まれる紫外線吸収剤は、商品名「アデカスタブLA−31」(ベンゾトリアゾール誘導体、アデカ社製)である。
そして、塗布層が塗布された基材を65℃の熱風オーブンにて10分間乾燥させた後、FUSIONシステムズ製無電極UVランプを用い、照射距離90mm、コンベア速度2.6mm/min、照射強度200mW/cm2、積算光量700mJ/cm2という条件下で紫外線を照射することで塗布層を光硬化させた。この照射後、さらに、60℃の熱風オーブンにて48時間加熱することで塗布層を熱硬化させた。
これにより、基材上にコート層が形成された平板からなる実施例1の風防板を得た。
(実施例2〜17、比較例1)
樹脂組成物を構成する材料の種類、含有量および分子量を、表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして平板からなる風防板を作製した。
なお、コート層に含まれる樹脂組成物を構成する材料および基材として、実施例1とは異なる種類のものを用いる場合には、以下に示す原材料を用いて風防板を作製した。
用いた具体的な原材料を以下に示す。
なお、特に記載しない限り、各成分の配合量は、質量部とする。
(ウレタン(メタ)アクリレート2)
実施例4、5、8〜10に用いるウレタン(メタ)アクリレート2として、2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量 1.5×103、粘度3000mPa・s[60℃]、商品名「EBECRYL270」、ダイセルオルネクス製)を用意した。
(ウレタン(メタ)アクリレート3)
実施例6に用いるウレタン(メタ)アクリレート3として、2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量 2.7×103、粘度60000mPa・s[40℃]、商品名「U−200PA」、新中村化学工業製)を用意した。
(ウレタン(メタ)アクリレート4)
実施例7に用いるウレタン(メタ)アクリレート4として、2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量 8.0×102、粘度7000mPa・s[60℃]、商品名「EBECRYL5129」、ダイセルオルネクス製)を用意した。
(ウレタン(メタ)アクリレート5)
実施例11、12、比較例1に用いるウレタン(メタ)アクリレート5として、2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量 1.2×103、粘度23000mPa・s[25℃]、商品名「EBECRYL285」、ダイセルオルネクス製)を用意した。
(ウレタン(メタ)アクリレート6)
実施例16に用いるウレタン(メタ)アクリレート6として、2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量 5.0×103、粘度40000mPa・s[60℃]、商品名「EBECRYL230」、ダイセルオルネクス製)を用意した。
(ウレタン(メタ)アクリレート7)
実施例17に用いるウレタン(メタ)アクリレート7として、2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量 1.0×104、粘度7000mPa・s[60℃]、商品名「EBECRYL8807」、ダイセルオルネクス製)を用意した。
(紫外線吸収剤2)
実施例14に用いる紫外線吸収剤2として、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール誘導体、商品名「TinuvinPS」、BASF製)を用意した。
(単層体)
実施例15に用いる基材として、ポリカーボネートを含む厚さ4mmの単層体を用意した。なお、含まれるポリカーボネートは、商品名「ユーピロンE−2000−N」(三菱瓦斯化学工業社製)である。
2.評価
各実施例および比較例の風防板を、以下の方法で評価した。
<1>付着性評価
各実施例および比較例の風防板について、それぞれ、切り出したサンプル(60mm×60mm)を用いて、まず、カーボンアーク式サンシャインウエザオメーターにて紫外線照射を3000時間実施する促進試験を行い、その後、JIS K 5600−5−6で規定されたクロスカット法に準拠して、風防板のコート層に、単一刃を用いて2mmの間隔で直角の格子状(25マス)の切り込み(カット)を行った。続いて、25マスの格子(コート層2)に、25mmの幅当たり10±1Nの付着強さを備えるテープを貼り、付着して5分以内に60°に近い角度で、0.5〜1.0秒でテープを引き離した。コート層がカットの縁に沿って、および/または交差点においてはがれている格子の個数を測定し、基材1に付着している格子(コート層2)の割合を算出した。そして、得られた付着している格子の割合に基づいて、次のように評価した。
A:付着している格子の割合が100%である。
B:付着している格子の割合が90%以上100%未満である。
C:付着している格子の割合が50%以上90%未満である。
D:付着している格子の割合が50%未満である。
<2>耐候性評価
各実施例および比較例の風防板について、それぞれ、カーボンアーク式サンシャインウエザオメーターにて促進試験を行い、JIS K 5600に準じて、紫外線照射3000時間後の外観、黄変度(ΔYI)を次のように評価した。
A:ΔYIが2.0以下で外観の変化なし。
B:ΔYIが2.0超3.0以下で外観変化が若干見られる。
C:ΔYIが3.0超6.0以下で外観変化が少し見られる。
D:ΔYIが6.0超で外観変化が著しく見られる。
<3>熱成形性評価
各実施例および比較例の風防板について、それぞれ、試料(幅60mm、長さ120mm、厚さ3mm)を170℃設定の熱風循環型オーブンで10分間加熱し軟化させ、取り出した直後に塗膜面を外側にして各半径の木製円柱にネル布を介して添わせ、試料が室温付近に冷却されるまでそのままに保つことで単曲面成形を行い、その後、外観を観察し、次のように評価した。
A:半径25mmの木型で熱成形し、クラックや塗膜剥離の発生および外観の変化がない。
B:半径30mmの木型で熱成形し、クラックや塗膜剥離の発生および外観の変化がない。
C:半径40mmの木型で熱成形し、クラックや塗膜剥離の発生および外観の変化がない。
D:半径50mmの木型で熱成形し、クラックや塗膜剥離の発生および白濁や表面の肌荒れなどの外観変化が発生する。
<4>耐久性評価
各実施例および比較例の風防板について、それぞれ、試料(サイズ:100mm角)を温度60℃、湿度95%以上の恒温恒湿度槽内に静置し、その後、外観を観察し、次のように評価した。
A:静置時間が500時間で塗膜の剥離や割れ、黄変などの外観変化が見られない。
B:静置時間が250時間で塗膜の剥離や割れ、黄変などの外観変化が見られない。
C:静置時間が125時間で塗膜の剥離や割れ、黄変などの外観変化が見られない。
D:静置時間が73時間で塗膜の剥離や割れ、黄変などの外観変化が見られる。
以上のようにして得られた各実施例および比較例の風防板における評価結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
表1に示したように、各実施例における風防板では、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂を含む樹脂組成物を用いて形成されたコート層を有することで、サンシャインウエザオメーターを用いて紫外線を3000時間照射した後において、下記要件Aを満足するものとすることができ、比較例に比較して、優れた紫外線に対する耐久性を備え、これにより、衝撃に対する耐擦傷性が長期に亘って維持されたことを示す結果が得られた。
要件A:当該風防板は、JIS K 5600−5−6で規定されたクロスカット法により、格子状に切断されたコート層の基材に対する付着性が90%以上となる。