JP6678891B2 - 液体塗着方法及びそれに用いる静電噴霧装置 - Google Patents
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Description
(1)本発明の液体塗着方法は、液体噴霧部と前記液体噴霧部に対して異極となる異極部との間に電圧を印加して発生する静電気力によって液体を帯電状態にするとともに前記液体噴霧部から離脱させ、離脱した前記液体の粒子を被塗物に塗着させる液体塗着方法であって、前記液体の粒子を反発するように帯電させた絶縁状態の反発体を、前記液体噴霧部から前記被塗物までの最短距離Xよりも、前記液体噴霧部から前記反発体までの最短距離Yが遠くなるように配置して、前記液体の粒子の一部又は全部の移動方向を変化させ、前記被塗物に前記液体の粒子を塗着させる。
(2)上記(1)の構成において、前記被塗物までの最短距離Xが、前記液体噴霧部と前記被塗物の前記液体の粒子を塗着させる部分との間の距離のうちの最も短い距離である。
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記液体噴霧部に前記液体を供給する前に前記液体の粒子を反発できる帯電状態に前記反発体を帯電させる帯電工程を備える。
(4)上記(3)の構成において、前記帯電工程が、前記液体噴霧部に前記液体を供給しない状態で、前記液体を前記液体噴霧部から離脱させるための前記静電気力を発生させる電圧印加手段によって前記静電気力を発生させることで行われる。
(5)上記(3)の構成において、前記帯電工程は、前記液体噴霧部から前記液体を離脱させるのに用いない放電電極を用いて前記放電電極と前記異極部との間に電圧を印加して静電気力を発生させることで行われる。
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つの構成において、前記被塗物が前記異極部とされている。
(8)上記(7)の構成において、前記反発体が絶縁材料からなることで絶縁状態とされている。
(9)上記(7)の構成において、前記反発体が、液体を反発する部分が導電材料若しくは1010Ω以下の表面抵抗の帯電防止材料からなる反発部と、前記反発部を絶縁状態に保つために絶縁支持する絶縁材料からなる絶縁支持部と、を備える。
(10)上記(7)から(9)のいずれか1つの構成において、前記反発体を帯電した前記液体を反発する帯電状態にするための、放電用の放電電極を備える。
図1は本発明に係る第1実施形態の静電噴霧装置10の全体構成を示す斜視図であり、図2は静電噴霧装置10の全体構成を示す上面図である。
図1及び図2に示すように、静電噴霧装置10は、ノズル22を有する液体噴霧部20と、反発体30と、液体噴霧部20と液体噴霧部20に対して異極となる異極部40との間に電圧を印加する電圧印加手段(電圧電源)50と、を備える。
このアース手段60は必須の要件ではないが、被塗物のようなものの場合、作業者が触れたりすることがあり得るので安全面の観点で設けることが好ましい。
図3は、液体噴霧部20だけを示した断面図である。
なお、図3では、液体噴霧部20から後述するように塗料などの液体が噴霧されている状態を合わせて図示したものになっている。
なお、本実施形態では、シール部材24としてOリングを用いているが、Oリングに限らず、シールが可能なものであればよい。
そして、図3に示すように、電気配線接続部23bが心棒23に接触するようにされることで心棒23と電気配線接続部23bとが電気的に接続されている。
また、摘み部23aの螺合量を調節することで心棒23を前後方向に移動させることができ、心棒23の先端面23dの位置を前後方向に調節できるようになっている。
これは、液体が流れ出るノズル先端の開口直径が大きいと、安定した液体の霧化状態が得られなくなるためと推察される。
例えば、一般には、ノズル先端の開口直径は0.1mm未満とされている。
この結果、目詰まりが発生する頻度を大幅に低減することができるようになっている。
さらに、ノズル22の貫通孔の内径も心棒23を配置できる程度に大きくできているため、心棒23を取り外して洗浄液を大量に流して洗浄することも可能になっている。
また、心棒23の先端面23dの直径は、ノズル22の開口部22bの開口直径よりも小さい直径とされているが、心棒23のテーパ形状部は、後端側に向かって徐々に直径が大きくなり、ノズル22の開口部22bの開口直径よりも直径の大きい部分を有するように形成されている。
したがって、塗料などの液体を噴霧しない状態において、ノズル22の開口部22bを心棒23で閉塞させ、ノズル22内の液体が乾燥することを防止することが可能であり、ノズル22の目詰まりを抑制できる。
本実施形態では、上述したように、異極部40に被塗物を用いた場合を示しており、電圧印加手段(電圧電源)50の心棒23に接続されるのと反対側の電気配線が被塗物に接続されることで被塗物自体が液体噴霧部20に対する異極となるようにされている。
そして、テーラコーン80の先端から静電気力によって液体が真直ぐに引っ張られ、その後静電爆発によって広い範囲に液体が噴霧される。
このような静電爆発が繰り返されることで液体が霧化される。
仮に、従来の静電噴霧装置のように、この心棒23を設けないものとすると、液体が付着できる部分は、ノズル22の先端外周縁22aだけとなる。
したがって、ノズル22の開口部22bの開口直径が大きくても、開口部22bの中央部に液体が付着できる心棒23の先端面23dが存在するため、安定したテーラコーン80を形成することができ、液体の安定した霧化ができるようになっているものと考えられる。
このため、ノズル22の開口部22bの開口直径を目詰まりが抑制できるような大きな開口直径にすることができる。
また、ノズル22の開口部22bの開口直径を大きくできるため機械加工でノズル22が製作できる。
反発体30は、液体噴霧部20から噴霧される帯電した液体の粒子を反発するように帯電させられる部材であり、その液体の粒子を反発する帯電状態を保つために絶縁状態で設置される。
具体的には、反発体30は、シート状、フィルム状又はテープ状のものとして構成され、その反発体30が奥側の内壁面及び左右の内壁面に貼着されている。
次に、上記のような構成からなる第1実施形態の静電噴霧装置10を用いた液体塗着方法について説明する。
なお、図5では、電圧印加手段50やアース手段60の図示を省略しているが、これらは、図2に示す通りである。
そして、このスリット開口41が形成されている壁面の内壁面だけに液体を塗着させ、内壁面のうちの奥側の内壁面及び左右の内壁面には、液体を塗着させない場合を示している。
また、仮に、反発体30に塗着した液体が被塗物と短絡するような状態となると、この反発体30に塗着した液体が異極部40を構成することになり、反発力を低下させる虞がある。
この場合、放電電極は、放電効果が高いように、被塗物(異極部40)側となる先端を先細り形状としておくのが好適である。
次に、図6を参照しながら第1実施形態の変形例について説明する。
図6は、第1実施形態の変形例を示す図であり、図6を見るとわかるように、基本的な構成は、第1実施形態と同じであるので、以下では主に異なる点についてのみ説明し、同様の点についての説明は省略する。
図6に示すように、変形例の被塗物(異極部40)は、断面がコ字状(U字状)であり、この変形例では、液体を塗着させる液体塗着部40aが左右の内壁面になっている。
次に、図7、図8を参照しながら、本発明に係る第2実施形態について説明する。
図7は第2実施形態の全体構成を示す上面図であり、図8は第2実施形態の全体構成を示す斜視図である。
なお、図8では、電圧印加手段50やアース手段60の図示を省略している。
以下でも、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と同様な点については説明を省略する。
このような形状の場合、液体噴霧部20側に位置する表面40bには、簡単に良好な液体の塗着作業が行えるが、その表面40bの反対側に位置する裏側の裏面40cに良好な液体の塗着を行なおうとすると、被塗物(異極部40)を回転させて裏側の裏面40cを液体噴霧部20側に向くように配置し直す必要が生じる。
なお、反発部31は、1010Ω以下の表面抵抗の帯電防止材料でもよい。
そして、反発体30は、反発部31を絶縁状態に保つために絶縁支持する絶縁材料からなる絶縁支持部32で反発部31を支持する構成とされている。
このように、反発部31に電気抵抗の小さい材料を用いるようにしたとしても、その反発部31自体を絶縁状態に保つことで帯電状態を維持することが可能となり、良好に液体の粒子を反発する反発部31にすることができる。
20 液体噴霧部
21 胴体部
21a 液体供給口
21b 液体流路
21c 孔部
21d 後端開口部
22 ノズル
22a 先端外周縁
22b 開口部
23 心棒
23a 摘み部
23b 電気配線接続部
23c 雄ネジ構造
23d 先端面
23e 雌ネジ構造
24 シール部材
30 反発体
31 反発部
32 絶縁支持部
40 異極部(被塗物)
40a 液体塗着部
40b 表面
40c 裏面
50 電圧印加手段
60 アース手段
80 テーラコーン
Claims (10)
- 液体噴霧部と前記液体噴霧部に対して異極となる異極部との間に電圧を印加して発生する静電気力によって液体を帯電状態にするとともに前記液体噴霧部から離脱させ、離脱した前記液体の粒子を被塗物に塗着させる液体塗着方法であって、
前記液体の粒子を反発するように帯電させた絶縁状態の反発体を、前記液体噴霧部から前記被塗物までの最短距離Xよりも、前記液体噴霧部から前記反発体までの最短距離Yが遠くなるように配置して、前記液体の粒子の一部又は全部の移動方向を変化させ、前記被塗物に前記液体の粒子を塗着させることを特徴とする液体塗着方法。 - 前記被塗物までの最短距離Xが、前記液体噴霧部と前記被塗物の前記液体の粒子を塗着させる部分との間の距離のうちの最も短い距離であることを特徴とする請求項1に記載の液体塗着方法。
- 前記液体噴霧部に前記液体を供給する前に、前記異極部に電圧を印加することにより発生する静電気力によって、前記液体の粒子を反発できる帯電状態に前記反発体を帯電させる帯電工程を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体塗着方法。
- 前記帯電工程における静電気力が、前記液体噴霧部に前記液体を供給しない状態で、前記液体を前記液体噴霧部から離脱させるための電圧印加手段を用いて前記液体噴霧部と前記異極部との間に電圧を印加することによって得られることを特徴とする請求項3に記載の液体塗着方法。
- 前記帯電工程における静電気力が、前記液体噴霧部から前記液体を離脱させるのに用いない放電電極を用いて前記放電電極と前記異極部との間に電圧を印加することによって得られることを特徴とする請求項3に記載の液体塗着方法。
- 前記被塗物が前記異極部とされていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液体塗着方法。
- 液体噴霧部と、
前記液体噴霧部と前記液体噴霧部に対して異極となる異極部との間に電圧を印加して、液体を帯電状態とするとともに帯電した前記液体を前記液体噴霧部から離脱させる静電気力を発生させる電圧印加手段と、
前記液体噴霧部から離脱した前記液体の粒子を反発するように帯電し、前記液体の粒子の一部又は全部の移動方向を変化させる絶縁状態の反発体と、を備え、
前記反発体が、前記液体噴霧部から被塗物までの最短距離Xよりも前記液体噴霧部から前記反発体までの最短距離Yが遠くなるように配置されることを特徴とする静電噴霧装置。 - 前記反発体が絶縁材料からなることで絶縁状態とされていることを特徴とする請求項7に記載の静電噴霧装置。
- 前記反発体が、
液体を反発する部分が導電材料若しくは1010Ω以下の表面抵抗の帯電防止材料からなる反発部と、
前記反発部を絶縁状態に保つために絶縁支持する絶縁材料からなる絶縁支持部と、を備えることを特徴とする請求項7に記載の静電噴霧装置。 - 前記異極部との間で電圧を印加して静電気力を発生させることで、前記反発体を帯電した前記液体を反発する帯電状態にするための、放電用の放電電極を備えることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の静電噴霧装置。
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