JP6677994B2 - 高糖度流動食品 - Google Patents
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Description
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸とのエステルである。ショ糖は、市販のものをいずれも使用することができる。また、ショ糖は、ショ糖脂肪酸エステル製造時に未反応であったショ糖を回収したもの(回収糖)であってもよい。ショ糖の形態としては、固体の状態であってもよいし、溶媒に溶解した溶液状態であってもよい。
平均エステル化度(=X)とする次式において、下記OHV、AV、MwSug、MwFaを代入してXを算出する。
(ショ糖1分子中のOH基の数−X)
=(サンプル1g中のOH基のモル数)/(サンプル1g中のショ糖脂肪酸エステルのモル数)
=((OHV−AV)/(1000×56.11))/{1/(MwSug+(MwFa−18)X)}
OHV:ショ糖脂肪酸エステルの水酸基価
AV:ショ糖脂肪酸エステルの酸価
MwSug:ショ糖の分子量
MwFa:構成脂肪酸の平均分子量
親油性乳化剤は、ショ糖脂肪酸エステルと併用されることにより、得られる高糖度流動食品を飲料と混合した際の泡立ちが顕著に改善される。親油性乳化剤としては特に限定されない。一例を挙げると、親油性乳化剤は、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等のモノグリセリン脂肪酸エステル;ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレエート等のジグリセリン脂肪酸エステル;トリグリセリンモノミリステート、トリグリセリンモノパルミテート、トリグリセリンモノステアレート、トリグリセリンモノオレエート等のトリグリセリン脂肪酸エステル;炭素数12〜22の飽和または不飽和脂肪酸のモノグリセリドと有機酸(コハク酸、クエン酸またはジアセチル酒石酸)とのエステル等のモノグリセリド有機酸エステル;テトラグリセリンテトラリシノレエート等のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル;ソルビタンミリスチン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンオレイン酸エステル等のソルビタン脂肪酸エステル;プロピレングリコールミリスチン酸エステル、プロピレングリコールパリミチン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、プロピレングリコールオレイン酸エステル等のプロピレングリコール脂肪酸エステル;ショ糖パルミチン酸ペンタエステル、ショ糖ステアリン酸ペンタエステル、ショ糖オレイン酸ペンタエステル等のショ糖脂肪酸ポリエステル;レシチン等のリン脂質等である。これらは、併用されてもよい。
糖類は、高糖度流動食品に配合される主な糖分である。また、糖類は、高糖度流動食品の固形量(総固形量)を調整することにより粘度を調整するために配合される。糖類は、食品用として通常用いられるものであれば特に限定されない。一例を挙げると、糖類は、ショ糖、異性化糖、果糖ブドウ糖液糖、マルトース、フルクトース、ラクトース(乳原料として扱われる乳糖も含む)、グルコース、トレハロース、還元糖、糖アルコール(ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール等)、蜂蜜、ステビア等である。これらは、併用されてもよい。これらの中でも、安価であるとともに入手が容易であることから、糖類は、ショ糖が好ましい。
油性成分は、特に限定されない。一例を挙げると、油性成分は、植物油脂、乳脂肪等である。これらは併用されてもよい。
水性成分は、高糖度流動食品のうち、他の成分の溶媒または分散媒である。水性成分としては、水が好適に使用される。
本実施形態の高糖度流動食品は、上記成分のほかに、任意成分が配合されてもよい。また、これら任意成分を配合することにより、上記成分の配合量が適切に調整されてもよい。
本実施形態の高糖度流動食品の製造方法は、特に限定されない。一例を挙げると、高糖度流動食品は、上記成分となるように、それぞれの原料を混合、攪拌、乳化等することにより製造し得る。より具体的には、高糖度流動食品は、たとえば、脱脂粉乳、ホエイパウダー、ショ糖脂肪酸エステル、親油性乳化剤、水等の原料を適宜混合する工程(混合工程)、原料を加熱溶解する工程(溶解工程)、糖類(ショ糖)をさらに加える工程(糖類添加工程)、油性成分をさらに加えて乳化物を形成する工程(均質化工程)、冷却工程、殺菌工程等を経て作製され得る。
得られる本実施形態の高糖度流動食品は、適宜コーヒーや紅茶等の飲料に添加されて摂取される。
(脱脂粉乳)
製品名:脱脂粉乳(タンパク質量:36.3重量%)、南日本酪農協同(株)製
(ホエイパウダー)
製品名:ホエイパウダー(タンパク質量:11.9重量%)、雪印メグミルク(株)製
(精製パーム油)
精製パーム油(S)、日清オイリオ(株)製
(大豆油)
大豆白絞油、昭和産業(株)製
(ショ糖脂肪酸エステル1)
ショ糖38.3g、ステアリン酸メチル24.6g、炭酸カリウム0.22gを、DMSO 222.3gに溶解し、90〜100℃、減圧下で5時間反応させた。溶媒を留去後、精製、乾燥を経てショ糖脂肪酸エステル1(HLB12、平均エステル化度:1.44)を得た。これをゲル浸透クロマトグラフィー(検出器:Shodex社製RI−71、ポンプ:(株)島津製作所製LC−6A、カラム:日本分光(株)製MEGAPAK GEL 201F、及び201FP、流速:3ml/min、溶離液:THF、以下、GPCという)にて分析したところ、モノエステル53.6%、ジエステル34.4%、トリエステル以上のポリエステル12.0%であった。
(ショ糖脂肪酸エステル2)
原料の使用量を、ショ糖72.4g、ステアリン酸メチル14.7g、炭酸カリウム0.32g、DMSO 412.1gとした以外は、ショ糖脂肪酸エステル1と同様の操作を行い、ショ糖脂肪酸エステル2(HLB9、平均エステル化度:1.58、モノエステル46.4%、ジエステル31.6%、トリエステル以上のポリエステル23.0%)を得た。
(ショ糖脂肪酸エステル3)
原料の使用量を、ショ糖60.5g、ステアリン酸メチル19.8g、炭酸カリウム0.23gを、DMSO 310.9gとした以外は、ショ糖脂肪酸エステル1と同様の操作を行い、ショ糖脂肪酸エステル3(HLB15、平均エステル化度:1.22、モノエステル73.2%、ジエステル23.2%、トリエステル以上のポリエステル3.6%)を得た。
(ショ糖脂肪酸エステル4)
ステアリン酸メチルに代えて、パルミチン酸メチル24.6gを用いた以外は、ショ糖脂肪酸エステル2と同様の操作を行い、ショ糖脂肪酸エステル4(HLB12、平均エステル化度:1.43、モノエステル54.6%、ジエステル33.1%、トリエステル以上のポリエステル12.3%)を得た。
(親油性乳化剤)
レシチン:レシチンD、辻製油(株)製
(モノグリセリン脂肪酸エステル)
エマルジーMS、理研ビタミン(株)製
(全粉乳)
製品名:全粉乳(乳脂肪分量:26.2重量%、タンパク質量:25.5重量%)、よつ葉乳業(株)製
表1に示される配合割合(単位は質量部)に沿って、脱脂粉乳、ホエイパウダー、ショ糖脂肪酸エステル1と水とを混合した。得られた混合物を、70℃に加熱して溶解し、その後、さらにショ糖を加えて溶解した。予めレシチンを溶解した精製パーム油を加え、乳化(TKロボミックス、8000rpm、3分間)した。さらに、高圧ホモジナイザー(ホモジナイザーH3−1B、三丸機械工業(株)製)を用いて1次圧5MPaで均質化した。その後、5℃の恒温槽で10℃以下になるまで冷却し、実施例1の高糖度流動食品を調製した。
表1に示される原料および配合割合に変更した以外は実施例1と同様の方法により、それぞれの実施例、参考例および比較例の高糖度流動食品を調製した。
それぞれの高糖度流動食品を、イオン交換水で10倍に希釈した。得られた希釈液について、タービスキャン(Turbiscan Lab、英弘精機(株)製、温度:25℃、測定波長:880nm)を用いて、調製6時間後、12時間後および18時間後の後方散乱光の変化量を算出した。なお、変化量は、小さいほど保存安定性が優れることを示す。
80℃のコーヒー(pH4.7)150mLに、それぞれの高糖度流動食品を5g混合した。これを、スリーワンモーター(新東科学(株)製)を用いて200rpmで30秒間攪拌した。その後静置し、攪拌直後、15分後および60分後の凝集物の有無を目視で観察し、以下の評価基準に従って評価した。
・評価基準
A:凝集物がまったく見られなかった。
B:凝集物がわずかに見られた。
C:凝集物が多く見られたが、層は形成されなかった。
D:凝集物が一面に見られ、層を形成した。
80℃のコーヒー(pH4.7)150mLに、それぞれの高糖度流動食品を25g混合した。得られたそれぞれの混合物を、500mLのメスシリンダー(直径5cm)に、底面から60cmの高さから一気に投入することを4回繰り返した後、1分後、5分後および15分後の泡の容積(mL)を測定した。
ショ糖45〜60質量%、乳脂肪8〜20質量%、ショ糖脂肪酸エステル0.01〜0.3質量%、水15〜30質量%、タンパク質6〜10質量%、親油性乳化剤0.01〜0.2%を適宜の割合で配合することにより、乳脂肪を含有する高糖度流動食品が調製され得る。この際、乳脂肪やタンパク質としては、脱脂粉乳、ホエイパウダー、全粉乳等が使用され得る。より具体的には、高糖度流動食品100質量%に対して、脱脂粉乳5〜20質量%、ホエイパウダー5〜20質量%、全粉乳5〜20質量%の範囲で、乳脂肪とタンパク質が上記含有量となるように用いられ得る。
ショ糖30〜70質量%、植物油脂6〜35質量%、ショ糖脂肪酸エステル0.01〜0.3質量%、水15〜30質量%、タンパク質1〜5質量%、親油性乳化剤0.01〜0.2%を適宜の割合で配合することにより、植物油脂を含有する高糖度流動食品が調製され得る。この際、タンパク質としては、脱脂粉乳、ホエイパウダー等が使用され得る。より具体的には、高糖度流動食品100質量%に対して、脱脂粉乳5〜20質量%、ホエイパウダー5〜20質量%の範囲で、タンパク質が上記含有量となるように用いられ得る。なお、この処方例において、脱脂粉乳やホエイパウダーは、わずかな乳脂肪を含む可能性がある。この場合、あらかじめ乳脂肪を除去する処理を施してもよい。
Claims (1)
- ショ糖脂肪酸エステルと、親油性乳化剤と、糖類と、油性成分と、水性成分とを含み、
前記糖類の配合量は、全量中30〜70質量%であり、
前記親油性乳化剤の配合量は、全量中0.01〜0.2質量%であり、
前記親油性乳化剤がレシチンであり、前記ショ糖脂肪酸エステルとレシチンの配合比は70:30〜20:80である、飲料添加用液体組成物。
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