JP4327037B2 - チョコレート粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水に対する濡れ、溶解性が改良されたチョコレート粉末およびそのようなチョコレート粉末の製造方法に関する。
従来、チョコレート成分が粉末状態で存在する食品としてココア粉末がある。ココア粉末は、一般的に次のようにして作られる。即ち、カカオ豆を生のまま破砕し、破砕した破砕物から外皮や胚芽を取り除き、胚乳部であるカカオニブを得る。次いで、カカオニブを焙焼し、焙焼カカオニブを磨砕してカカオマスを得る。このカカオマスを圧搾などして脂肪分であるココアバターの一部を取り除いてココアケーキとし、このココアケーキを粗砕したキブルを粉砕してココア粉末とする。このとき、得られるココア粉末を好ましい色調とする目的で、カカオニブをアルカリ性溶液で処理することが行われている。
しかし、上記のようにして得られたココア粉末は、アルカリ処理によりチョコレートの独特のビター感や酸味が失われ、また搾油によるココアバターの除去により、チョコレート様の濃厚感や脂溶性香気成分に由来する風味が減少している。そのため、その風味は一般的にカカオマスを主原料とし、これにココアバター、砂糖、乳成分などを混合し、レファイナーで微粒化し、精錬工程でよく練り上げ、香りや風味の熟成がなされたチョコレート生地とは異質なものである。
そこで、チョコレートの風味や濃厚感を有するチョコレート粉末を得るための検討が以前からなされている。チョコレート粉末を得る方法としては、カカオマス、ココアバター、レシチンの配合で、ミキシング、リファイニング、コンチング工程の後、得られたチョコレート生地を60℃から急冷固化し、チーズおろしで切削してチョコレート粉末を調製する方法(特許文献1参照)、カカオマス、全脂粉乳、ココアバター、砂糖、レシチンからなるチョコレート組成物にテトラグリセリンステアリン酸エステル、レシチンを加え加熱溶融し、35℃でホバートミキサーで起泡させ、これを10℃で固化し、固化後スライサーで削り粉末チョコレートを得る方法(特許文献2参照)、紛糖80部に溶融したココアバター20部を加え、混合後20℃で20分間攪拌してココアバター含有粉末とする方法(特許文献3参照)、カカオマス、全脂粉乳、紛糖、カカオ代用脂、レシチン、香料からなるチョコレート原料を溶融し、加圧噴霧型ノズルを用いて−20℃の塔内に噴霧し、顆粒状のチョコレートを得る方法(特許文献4参照)、チョコレートを水中油型エマルジョンに調製し、噴霧乾燥により脱水して粉末化する方法(特許文献5参照)、比容積4mL/g以上、11mL/g以下のデキストリン粉末を造粒機または混合機により転動させながら冷気により品温10〜−2℃に冷却し、融解したチョコレート原料の噴霧粒子に被覆する事を特徴とする粉末チョコレートの製造方法(特許文献6参照)、などが知られている。
しかし、これらの方法はチョコレート風味を有する粉末を得ることが目的であり、得られたチョコレート粉末の水に対する濡れ、溶解性についてはなんら考慮されていない。チョコレート粉末は脂肪(ココアバター)を高濃度に含有する粉末であるため、チョコレート粉末を水に溶解させようとしたとき、水濡れが悪く、容易に分散・溶解せず、“ままこ”や“だま”となり、粉末が水面に浮いたままであったり、逆に沈降して沈殿を生じたりして液中に均一に溶解しない欠点があった。
そこで、チョコレート粉末の水に対する濡れ、溶解性を改良するために、これまでにいくつかの方法が提案されている。それらは、例えば、溶融したチョコレートリカー(約53%の脂肪含量を有し、約40℃で溶融する固体状のココア塊を指す。)、水および澱粉を混合し、該混合物をドラム乾燥し、乾燥物を粉末化または薄片化させる段階を含む分散性チョコレートリカーの製法(特許文献7参照)、可溶性粉末チョコレートの製造方法において、油分25〜35%のチョコレート生地にHLB8〜18の界面活性剤を0.2〜1.0%添加、混合し、さらに水分が11〜25重量%になるように加水して乳化物とした後、品温90℃以下で乾燥、ついで粉砕し、比重0.35〜0.55、粒径5mm以下とすることを特徴とする可溶性粉末チョコレートの製造方法(特許文献8参照)、カカオマスと乳原料とを含有する原料を温水または熱水に溶解し、スプレードライすることを特徴とするインスタントココアの製造法(特許文献9参照)などである。
しかしながら、水に対する濡れ、溶解性が十分に満足できる程度のレベルに達したチョコレート粉末は未だ開発されるに到っていない。
一方、脂溶性物質の粉末化において、賦形剤として加工澱粉を使用する製造方法に関しては、例えば油溶性物質および加工澱粉を水に加えて乳化し、乳化液を乾燥することを特徴とする乳化粉末の製造方法(特許文献10参照)、脂溶性物質、加工澱粉および糖類に水を加えて乳化し、該乳化液を乾燥した乳化粉末の製造方法(特許文献11参照)などが知られている。
特開平10−150916号公報、実施例4 特開平06−062744号公報、実施例1 特開平07−039307号公報、実施例1 特開昭63−186799号公報、実施例1 特開平06−062744号公報、段落〔0002〕 特開2003−047407号公報、請求項5 特開昭54−157874号公報 特開平08−205773号公報 特開平11−103780号公報、請求項6 特開平11−193229号公報 特開平11−196785号公報
本発明は、水に対する濡れ、溶解性が改良されたチョコレート粉末の製造方法および水に対する濡れ、溶解性が改良されたチョコレート粉末を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意・検討を行った結果、チョコレート成分、加工澱粉、ジグリセリン脂肪酸エステルおよび水を含有する水中油型乳化組成物を噴霧乾燥することにより水に対する濡れ、溶解性が改良されたチョコレート粉末が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
(1)チョコレート成分、加工澱粉、ジグリセリン脂肪酸エステルおよび水を含有する水中油型乳化組成物を噴霧乾燥することを特徴とするチョコレート粉末の製造方法、
(2)チョコレート成分と、加工澱粉およびジグリセリン脂肪酸エステルを含有する水溶液とを乳化し、得られた水中油型乳化組成物を噴霧乾燥することを特徴とするチョコレート粉末の製造方法、
(3)ジグリセリン脂肪酸エステルがジグリセリンモノ脂肪酸エステルであり、該ジグリセリンモノ脂肪酸エステル中のモノエステル含有量が70質量%以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のチョコレート粉末の製造方法、
(4)チョコレート成分、加工澱粉およびジグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とするチョコレート粉末、
(5)ジグリセリン脂肪酸エステルがジグリセリンモノ脂肪酸エステルであり、該ジグリセリンモノ脂肪酸エステル中のモノエステル含有量が70質量%以上であることを特徴とする前記(4)に記載のチョコレート粉末、および
(6)前記(4)または(5)に記載のチョコレート粉末を含有することを特徴とする飲食品、
からなっている。
本発明の方法に従うと、チョコレートの風味や濃厚感を有し、且つ水に対する濡れ、溶解性が改良されたチョコレート粉末を得ることができる。
本発明では、先ずチョコレート成分、加工澱粉、ジグリセリン脂肪酸エステルおよび水を含有する水中油型乳化組成物が調製される。
本発明で用いられるチョコレート成分とは、カカオマス、ココアバター、ココアバター代用脂およびチョコレート生地の群から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。ココアケーキ、キブルあるいはココア粉末は、カカオマス、ココアバター、ココアバター代用脂およびチョコレート生地の群から選ばれる一種または二種以上と併用する限りにおいて、本発明で言うところのチョコレート成分に含まれる。
ココアバター代用脂としては、ココアバターに類似した分子構造と物性を有するトリアシルグリセロールと、物性のみがココアバターに類似したトリアシルグリセロールとが挙げられる。前者はシア脂、パーム油、サル脂またはボルネオ脂などの植物油脂を原料とし、溶剤分別により作られる。また後者はヤシ油またはパーム核油などのラウリン酸系の植物油脂を原料とし、硬化、エステル交換反応または溶剤分別などにより作られたもの、または大豆油あるいは綿実油などをトランス酸の多い硬化油とし、それを溶剤分別して作られたものの二種類がある。
チョコレート生地としては、カカオマス、ココアバターおよびココアバター代用脂の群から選ばれる少なくとも一種以上と、一般的にチョコレート製造に用いられる副原料、例えば砂糖、乳成分または香料などとを混合したもの、該混合物を微粒化したもの、該微粒化したものを精錬したものなどで、例えばビターチョコレート、ミルクチョコレートまたはホワイトチョコレートなどが挙げられる。ココアケーキ、キブルあるいはココア粉末は、好みに応じて、該副原料として加えることができる。
本発明において用いられる加工澱粉とは、澱粉と有機酸またはこれらの炭素数1〜20のアルキルもしくは炭素数2〜20のアルケニル誘導体とのエステルであって、例えば酢酸エステル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、コハク酸エステル化澱粉またはアルケニルコハク酸エステル化澱粉などが挙げられる。またこれらの澱粉をα化または加水分解などの処理をしたものを用いることができる。これら加工澱粉は、単独で用いるか、または二種以上の混合物として用いることができ、好ましくはアルケニルコハク酸エステル化澱粉をα化処理したものである。
ここでアルケニルコハク酸エステル化澱粉としては、好ましくはオクテニルコハク酸エステル化澱粉、デセニルコハク酸エステル化澱粉、ドデセニルコハク酸エステル化澱粉、テトラデセニルコハク酸エステル化澱粉、ヘキサデセニルコハク酸エステル化澱粉またはオクタデセニルコハク酸エステル化澱粉などが挙げられ、より好ましくはオクテニルコハク酸エステル化澱粉またはその塩である。上記オクテニルコハク酸エステル化澱粉の例としては、製品名がエマルスター30A(松谷化学工業社製)、ピュリティガムBE、ピュリティガム1773、エヌクリーマー46またはカプシュール(ナショナルスターチアンドケミカル社製)などが挙げられる。
本発明で用いられるジグリセリン脂肪酸エステルは、ジグリセリンと脂肪酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応など自体公知の方法で製造される。
上記ジグリセリンは、通常、グリセリンまたはグリシドールあるいはエピクロルヒドリンなどを加熱し、重縮合反応させて得られる重合度の異なるポリグリセリンの混合物である。該ジグリセリンとしては、グリセリンの平均重合度が約1.5〜2.4のジグリセリン組成物、またはグリセリン2分子からなるジグリセリンの含有量が約50質量%以上、好ましくは約70質量%以上、より好ましくは約90質量%以上であるジグリセリン組成物が挙げられる。ジグリセリンを高濃度化するための精製法としては、例えば蒸留あるいはカラムクロマトグラフィーなど自体公知の方法が用いられる。
上記脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和または不飽和脂肪酸、好ましくは炭素数8〜18の直鎖の飽和または不飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数18の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられる。例えば、具体的にはオレイン酸、リノール酸およびリノレン酸の群から選ばれる一種またはニ種以上の脂肪酸が挙げられ、好ましくはオレイン酸を約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する脂肪酸または脂肪酸混合物が挙げられる。
本発明で用いられるジグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例として、ジグリセリンモノ脂肪酸エステルを高濃度に含むジグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。該ジグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル中のモノエステル含有量が約70質量%以上のものが好ましい。即ち、上記高純度のジグリセリンと脂肪酸、例えば高純度のオレイン酸を、例えば等モルで、エステル化反応させることにより、未反応のジグリセリン、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、ジグリセリンジオレイン酸エステル、ジグリセリントリオレイン酸エステルまたはジグリセリンテトラオレイン酸エステルなどを含む混合物が得られる。次に、該混合物から自体公知の方法、例えば低真空度での蒸留などで未反応のジグリセリンなどを除き、さらに、該混合物を高真空蒸留、例えば分子蒸留することにより、留分として、例えばジグリセリンモノオレイン酸エステルを約70質量%以上含むジグリセリン脂肪酸エステルが得られる。本発明で用いられるジグリセリン脂肪酸エステルのHLBは約6以上8未満が好ましい。ちなみに、ジグリセリンモノオレイン酸エステルのHLB(理論値)は6.89である。
本発明に係る水中油型乳化組成物100質量%中の固形分(チョコレート成分、加工澱粉、ジグリセリン脂肪酸エステル、その他)と水分の割合に制限はないが、固形分濃度が約20〜60質量%、水分が約80〜40質量%となるように調整するのが好ましい。
該固形分100質量%中には、チョコレート成分約20〜60質量%、好ましくは約35〜50質量%、加工澱粉約1.0〜30質量%、好ましくは約3.0〜15質量%、ジグリセリン脂肪酸エステル約0.05〜5.0質量%、好ましくは約0.1〜3.0質量%が含まれ、さらに必要であれば賦形剤が配合される。
該賦形剤としては、通常粉末油脂の製造に用いられるもの、例えば乳糖、デキストリン、粉末水飴、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースまたはマルトヘキサオースなどのマルトオリゴ糖類、あるいはトレハロースなどが挙げられる。
本発明に係る水中油型乳化組成物を製造するための装置は特に限定されず、例えば、攪拌機、加熱用のジャケットおよび邪魔板などを備えた通常の攪拌・混合槽を用いることができる。装備する攪拌機としては、製品名がTKホモミクサー(特殊機化工業社製)またはクレアミックス(エムテクニック社製)などの高速回転式ホモジナイザーを使用することができる。また、これらの装置で予備乳化した液をさらに均質化するための装置としては、例えば製品名がAPVゴーリンホモジナイザー(APV社製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイデックス社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)またはナノマイザー(大和製罐社製)などの高圧式均質化処理機を使用することができる。さらに、上記均質化処理機以外にも、超音波乳化機などの均質化処理機を用いてもよい。
本発明に係る水中油型乳化組成物の製造方法は特に限定されないが、好ましくは、加工澱粉、ジグリセリン脂肪酸エステルおよび必要に応じて賦形剤などを、約50〜80℃、好ましくは約60〜70℃に加温した水に分散または溶解し、これに溶融したチョコレート成分を徐々に加えながら、例えば高速回転式ホモジナイザーを用いて、回転数約8000〜20000rpm、攪拌時間約10〜60分間で乳化し、必要であれば更に高圧式均質化処理機で約19.6〜49.0MPaで約1〜3回処理し乳化・均質化する方法である。
得られる乳化組成物中の油分の平均粒子径は特に限定されないが、約10μm以下であることが好ましく、更に好ましくは約1μm以下である。
上記方法は、加工澱粉および必要に応じて賦形剤などを、約50〜80℃、好ましくは約60〜70℃に加温した水に分散または溶解し、これにジグリセリン脂肪酸エステルを添加・溶解したチョコレート成分を加えて攪拌し、乳化・均質化する方法に比べて、結果的に、より水濡れ性の良いチョコレート粉末を得ることができる。
次に水中油型乳化組成物は乾燥され、粉末化される。乾燥方法としては、好ましくは噴霧乾燥である。本発明で使用される噴霧乾燥装置に特に制限は無く、噴射式噴霧乾燥装置または回転円盤式噴霧乾燥装置など、自体公知の装置を使用することができる。また、噴霧乾燥の操作条件に特に制限は無く、例えば、乳化組成物を加圧ノズル式噴霧乾燥装置に供給し、熱風入口温度約150〜270℃、排気温度約70〜130℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより、流動性の良いチョコレート粉末を得ることができる。得られるチョコレート粉末の平均粒子径は約20〜200μm、好ましくは約50〜100μmである。また得られたチョコレート粉末の乾燥減量は約10質量%以下、好ましくは約7質量%以下、更に好ましくは約5質量%以下である。
また、本発明のチョコレート粉末は水中油型乳化組成物を、例えばドラム乾燥、ベルト乾燥、真空乾燥あるいは真空凍結乾燥などにより乾燥し、その後乾燥したものを粉砕するなどして製造することもできる。
本発明に従うチョコレート粉末の好ましい実施態様の一例は、該粉末中、チョコレート成分を約20〜60質量%、好ましくは約35〜50質量%、加工澱粉を約1.0〜30質量%、好ましくは約3.0〜15質量%、ジグリセリン脂肪酸エステルを約0.05〜5.0質量%、好ましくは約0.1〜3.0質量%、および賦形剤を含む粉末である。
尚、本発明に従うチョコレート粉末中には、本発明の目的・効果を阻害しない範囲で、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルまたはレシチンなどの食品用乳化剤を加えることができる。ここで、グリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンと脂肪酸のエステルの外、グリセリン酢酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル(ジグリセリン脂肪酸エステルを除く)またはポリグリセリン縮合リシノール酸エステルなどが含まれる。またレシチンには、分別レシチン、酵素分解レシチンまたは酵素処理レシチンなどが含まれる。
本発明により、水に対する濡れ、溶解性が改良されたチョコレート粉末が得られる。さらに、より溶解性を高めるために該チョコレート粉末を、例えば流動層造粒乾燥機、あるいは撹拌式混合・造粒機などを用い、例えば糖類の水溶液などを噴霧して造粒し、顆粒状とすることもできる。
本発明のチョコレート粉末は、そのまま、または他の食品材料などと混合などし、チョコレート粉末を含有する飲食品とすることができる。例えば、本発明のチョコレート粉末に、糖類、乳製品、または食塩あるいは香料などのその他の可食物を加え、ミキサーを用いて攪拌混合した後、この混合物を粉砕機を用いて粉砕し、粉末チョコレート飲料として製品化することができる。ここで、糖類としては、砂糖、粉糖、乳糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、粉末水飴、オリゴ糖またはトレハロースなどの糖類の他、ソルビトール、マンニトール、パラチニット、マルチトール、ラフィノース、エリスリトール、ラクチトールまたはキシリトールなどの糖アルコールなどを用いることもできる。また、乳製品としては、全粉乳、脱脂粉乳、粉末生クリーム、練乳パウダー、または乳製品を利用したクリーミングパウダーなどが挙げられる。
以下に本発明において好ましい実施例について述べるが、本発明は以下の実施例などに限定されるものではない。
[実施例1〜2、比較例1〜5]
チョコレート粉末の作製
(I)チョコレート粉末作製用原材料
1)カカオマス(製品名:カカオマス;不二製油社製)
2)チョコレート(製品名:クーベルチュールエクストラビター80;不二製油社製)
組成:カカオマス、砂糖、ココアバター、レシチンおよび香料を含む。
3)加工澱粉(製品名:エマルスター30A;松谷化学工業社製)
4)ジグリセリンモノオレート(製品名:ポエムDO−100V,モノエステル含量 約80質量%;理研ビタミン社製)
5)テトラグリセリンモノオレート(製品名:SYグリスターMO−310;阪本薬品工業社製)
6)デカグリセリンモノオレート(製品名:ポエムJ−0381V;理研ビタミン社製)
7)乳糖(製品名:乳糖(ラクトーゼ);NZMP社製)
8)デキストリン(製品名:パインデックス#3;松谷化学工業社製)
(II)チョコレート粉末の配合
上記原材料を種々の配合割合にて配合して種々のチョコレート粉末を作製した(実施例1〜2および比較例1〜5)。実施例1〜2にて作製したチョコレート粉末の配合組成を表1、さらに比較例1〜5にて作製したチョコレート粉末の配合組成を表2に示した。
Figure 0004327037
Figure 0004327037
(III)チョコレート粉末の作製
1)3L容ステンレス製ビーカーに精製水1000mLを入れ60℃に加温する。
2)TKホモミクサー(型式:MARK2.5;特殊機化工業社製)で低速で攪拌しながら、カカオマスまたはチョコレート以外の原材料(加工澱粉、各種ポリグリセリン脂肪酸エステル、乳糖、デキストリン)を加えて溶解する。
3)約60℃に加温したカカオマスまたはチョコレートを徐々に加え、その後10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化液を得た。なお、水以外の原材料の総量は1000gとした。
4)該乳化液を高圧ホモジナイザー(型式:LAB1000;APV社製)にて39.2MPaで1回通過させ、均質化処理を行った。
5)得られた均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社製)にて、熱風入口温度175℃、排気温度90℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより、チョコレート粉末を得た。
なお、得られたチョコレート粉末の乾燥減量を第7版食品添加物公定書「9.乾燥減量試験法」に準じて測定した。すなわち得られたチョコレート粉末1gを精密に量り、105℃で2時間乾燥し、乾燥後の重量を測定し、乾燥による減量を質量%で求めた。
得られた各チョコレート粉末の収量、乾燥減量および紛質を表3に示した。
Figure 0004327037
[試験例]
チョコレート粉末の濡れおよび溶解性試験
(1)試料の調製
実施例1〜2、比較例1〜5で得たチョコレート粉末10gと紛糖10gを均一に混合し、試料とした。
(2)試験方法
300mLビーカーに20℃の精製水200mLを入れ、スリーワンモーター(型式:FBL−600;HEIDON社製)で400rpmで攪拌しながら試料20gを水面に静かに投入し、濡れ(試料が完全に水面から没するまでの時間(秒数))および溶解性(試料が完全に分散・溶解するまでの時間(秒数))を測定した。結果を表4に示した。
Figure 0004327037
表4の結果から明らかなように、実施例のチョコレート粉末を含む試料はおよそ1分間で完全に分散・溶解した。一方、比較例のチョコレート粉末を含む試料は、完全に分散・溶解するのにおよそ3分間あるいはそれ以上を要し、本発明に従うチョコレート粉末の製造方法および得られるチョコレート粉末の優れていることが証明された。
本発明に従うチョコレート粉末およびそれを加工した製品は、水、湯あるいは牛乳などに分散・溶解してチョコレート飲料として飲用される外、ケーキ表面への振りかけ材料などとしても用いられる。またケーキ生地、ビスケット生地などに添加することにより、チョコレートの風味や濃厚感を付与することができる。

Claims (3)

  1. チョコレート成分、加工澱粉、ジグリセリン脂肪酸エステルおよび水を含有する水中油型乳化組成物を噴霧乾燥することを特徴とするチョコレート粉末の製造方法。
  2. チョコレート成分と、加工澱粉およびジグリセリン脂肪酸エステルを含有する水溶液とを乳化し、得られた水中油型乳化組成物を噴霧乾燥することを特徴とするチョコレート粉末の製造方法。
  3. ジグリセリン脂肪酸エステルがジグリセリンモノ脂肪酸エステルであり、該ジグリセリンモノ脂肪酸エステル中のモノエステル含有量が70質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のチョコレート粉末の製造方法。
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