JP6677961B2 - 変圧器 - Google Patents

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Description

本発明は変圧器、特に、絶縁油を封入するタンクを備えた油入変圧器に関する。
図7は従来構造の油入変圧器タンクの全体図であり、油入変圧器タンクの上面701aと正面701bを示している。
油入変圧器タンクは、側壁を形成する放熱フィン702の上端を上部フランジ部材703のフランジ703aに、そして、下端を底板704に、それぞれ溶接により接合している。
フランジ703aは、長辺部801と短辺部802と、これらを接続するコーナー部803とからなる。
図8は、図7に示す705の部分を拡大したものであり、コーナー部803の両端面を長辺部801と短辺部802に突き合わせたフランジ接合面804を溶接することで接合している。
図7に示す油入変圧器タンクは、図9に示すように、上部フランジ部材703のフランジ703aとカバー902とを、カバー902、パッキン903、そして、フランジ703aに形成したカバー締付ボルト孔にカバー締付ボルト901を挿通し、カバー締付ナット905により締付固定を行うことで密封構造としている。
しかしながら、密封性を高めるためには、フランジ接合部804を溶接する際に発生するビートを切除し、研磨による平坦仕上げを行う必要があり、工数が増大する。しかも、気密性能上極めて重要なフランジの表面に、熱応力に伴う歪みを発生させる溶接箇所が多数存在するという点で信頼性の低下が問題となる。
そこで、フランジ部のコーナー部をタンク側壁に合わせて折曲げ加工を施すことで、フランジコーナー部を成形することが、特開平2−163918号公報(特許文献1)に記載されている。この文献には、上金型を下金型の加工面に沿って移動させることにより、変圧器タンクの各部材を下金型の加工面に沿って変形させることが記載されている。
また、特開2000−18727号公報(特許文献2)には、フランジ部に続く胴部のコーナー部が円弧状曲面に形成された熱交換器の缶体において、直線状の部材を曲成した補強板を、円弧状のフランジコーナー部に沿わせることで、フランジ部を補強することが記載されている。
特開平2−163918 特開2000−18727号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、特に、大容量変圧器向けのタンクの場合、上部フランジ部材の厚さ、フランジ面の幅が大きな値となり、曲げ寸法が大きい場合、上部フランジ部材の曲げ加工に大きな荷重が必要となる。このため、曲げ加工後にフランジに歪みが生じ、パッキンとの接触面で構成されるカバ−締め付け部が平坦性を損なってしまう可能性がある。
また、特許文献2に記載された技術は、熱交換器の缶体に関するもので、別体の補強板を必要とし、この補強板自体は、フランジ部の密封性に何ら関与しない。
そこで本発明では、大容量変圧器向けのタンク等、上部フランジ部材の厚さ・曲げ寸法が大きい場合でも、コーナー部を分離することなく、上部フランジ部材の曲げ加工を容易にするとともに、加工後にフランジの平坦度を維持し、カバーとの密封性を向上することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、上記フランジは、上部フランジ部材から、その外周側に向かって突き出ており、上部フランジ部材におけるフランジのコーナー部に、外側方向に向かい拡開することにより、曲げ加工時に曲げ剛性を低減する拡開部を有しており、この拡開部はフランジの外縁から内方に向かう切り込みを有しており、前記切り込みの幅は、カバー締付ボルト孔の幅よりも狭い。
本発明によれば、曲げ加工時に発生する応力を軽減し、上部フランジ部材を一体的に曲げ加工することで、コーナー部を形成することが可能となり、大幅な工数低減と、フランジ部の溶接を無くすことで、変圧器の気密性向上に伴う信頼性を向上した変圧器を提供することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、カバー締付ボルト孔から外側方向へ切込みを形成した、実施例1に関わる上部フランジ部材のコーナー部を示す図である。 図2は、カバー締付ボルト孔間に外側方向へ切込みを形成した、実施例2に関わる上部フランジ部材のコーナー部を示す図である。 図3は、カバー締付ボルトを配置する窪みを設けた切欠きを、外側方向へ形成した実施例3に関わる上部フランジ部材のコーナー部を示す図である。 図4は、カバー締付ボルト用の長孔から外側方向へ切込みを形成した、実施例4に関わる上部フランジ部材のコーナー部を示す図である。 図5は、カバー締付ボルト孔を兼ねた切込みを外側方向へ形成した、実施例5に関わる上部フランジコーナー部材のコーナー部を示す図である。 図6は、コーナー部中央となる箇所へ大きな切込みを外側方向に形成した、実施例6に関わる上部フランジ部材のコーナー部を示す図である。 図7は、変圧器タンクの全体図である。 図8は、従来の変圧器タンクにおける上部フランジ部材のコーナー部を示す図である。 図9は、変圧器のカバー締付構造を示す断面図である。
以下、本発明による実施例を図面を用いて説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1における上部フランジ部材101のコーナー部を示しており、上段が曲げ加工前の状態、下段が曲げ加工後の状態である。なお、左側はそれぞれの側面図である。
上部フランジ部材101のフランジ101aには、所定の間隔でカバー締付ボルト孔102が形成されている。特に、コーナー部に相当する範囲には、カバー締付ボルト孔102から、曲げ加工時、タンク外側方向に向けて拡開し、曲げ剛性を低減する切込み103が形成されている。
曲げ加工時に切込み103が拡開することで、上部フランジ部材101のコーナー部を低い曲げ応力で、しかも、フランジの平坦性を維持して精度よく加工することが可能となる。また、コーナー部を長辺部と短辺部と分離することなく、一体的に曲げ加工を行うことが可能となるので、これらの接合面を溶接する必要がなく、溶接時の熱応力に伴う歪みの発生を防止することが可能となる。
図9で説明したように、フランジ101aの上にパッキンを介してカバーを取り付け、カバー締付ボルト孔102を使用してカバー締付ボルトでカバーを締付けることで変圧器タンクを密封する。その際、切込み103は、曲げ加工により、上部フランジ部材101の外周側から外方に向けて拡開している。これにより、フランジ101aの長辺部、短辺部におけるカバー締付部に連続して、カバー締付ボルト孔102の周辺から内側に、パッキンとの平坦なカバー締付部が確保され、密封性を確保することができる。
なお、図1に示すように、コーナー部に対応する部分では、カバー締付ボルト孔102の間隔を狭め、切込み103を増やすことにより、上部フランジ部材101が肉厚の場合でも、低い曲げ応力で曲げ加工が可能となり、しかも、カバーを短い間隔でカバー締付ボルトでフランジ101aに締付固定することで、密封性をより確実に確保することが可能となる。
[実施例2]
図2は、本発明の実施例2における上部フランジ部材201のコーナー部を示しており、そのフランジ201aは、カバー締付ボルト孔202を有し、またコーナー部に相当する箇所では、カバー締付ボルト孔202の間に、カバー締付ボルト締付け位置からタンク外側方向へ向けて、切込み203が形成されている。曲げ加工時に切込み203が拡開することで、上部フランジ部材201を低い曲げ応力で加工することが可能となる。
上部フランジ部材201のフランジ201a上にパッキンを介してカバーを取り付け、カバー締付ボルト孔203を使用してカバー締付ボルトでカバーを締付けることで、変圧器タンクを密封する。切込み203は、カバー締付ボルト周辺のカバー締付部より外側方向に位置し、タンクの気密性に影響を及ぼさない範囲に設定されている。
[実施例3]
図3は、本発明の実施例3における上部フランジ部材301のコーナー部を示しており、そのフランジ301aの直線部には、カバー締付ボルト孔302が形成されている。一方、コーナー部に相当する箇所には、カバー締付ボルトを挿入できる、窪み303aを備えた切欠き303が形成されている。切欠き303は曲げ加工時に拡開し、実質的に曲がる鋼材の幅は、切欠き303により直線部に比べ狭くなるため、上部フランジ部材301を低い曲げ応力で、しかも、平坦性を維持しながら曲げ加工することが可能となる。
フランジ301a上にパッキンを介してカバーを取り付け、切欠き303の窪み303aを使用してカバー締付ボルトでカバーを締付けることで変圧器タンクを密封する。切欠き303は、窪み303aを含め、カバー締付ボルト周辺のカバー締付部より外側方向に位置し、タンクの気密性に影響を及ぼさない範囲に設定されている。
[実施例4]
図4は、本発明の実施例4における上部フランジ部材401のコーナー部を示しておりそのフランジ401aには、カバー締付ボルト孔402が形成されている。コーナー部に相当する箇所には、カバー締付ボルト孔を長孔405として、この長孔405からタンク外側方向に向けて切込み403を形成している。切込み403は、曲げ加工時に拡開し、上部フランジ401部材を低い曲げ応力で加工することが可能となる。
フランジ401aの上にパッキンを介してカバーを取り付け、カバー締付ボルト用の長孔405を使用してカバー締付ボルトを挿通し、カバー締付ナットを使用してカバーを締付けることで、変圧器タンクを密封する。切込み403はカバー締付ボルト周辺のカバー締付部より外側方向に位置し、タンクの気密性に影響を及ぼさない範囲に設定されている。長孔405を設けることにより、締付ボルト挿通時、カバー側のカバー締付ボルト孔に対する位置調整が容易になり、作業性向上を図ることができる。
[実施例5]
図5は、本発明の実施例5における上部フランジ部材501のコーナー部を示しており、そのフランジ501aには、カバー締付ボルト孔502が形成されている。コーナー部に相当する箇所には、カバー締付ボルト孔を兼ねた切欠き503がタンク外方に向けて形成されている。曲げ加工時に切欠き503が拡開することで、上部フランジ部材501を低い曲げ応力で加工することが可能となる。
上部フランジ部材501のフランジ上にパッキンを介してカバーを取り付け、カバー締付ボルト孔を兼ねた切欠き503を使用して、カバー締付ボルトでカバーを締付けることで変圧器タンクを密封する。切欠き503は、カバー締付ボルト周辺のカバー締付部より外側方向に位置し、タンクの気密性に影響を及ぼさない範囲に設定されている。
[実施例6]
図6は、本発明の実施例6における上部フランジ部材601のコーナー部を示しており、そのフランジ601aには、カバー締付ボルト孔602が形成されている。コーナー部に相当する箇所には、その中央部に、カバー締付ボルト周辺のカバー締付部よりタンク外側方向に向けて、幅広の切欠き603が形成されている。曲げ加工時に切欠き603が拡開することで、上部フランジ部材601を低い曲げ応力で加工することが可能となる。
フランジ601a上にパッキンを介してカバーを取り付け、カバー締付ボルト孔602を使用してカバー締付ボルトでカバーを締付けることで変圧器タンクを密封する。切欠き603は、カバー締付ボルト周辺のカバー締付部上より外側方向に位置し、タンクの気密性に影響を及ぼさない範囲に設定されている。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置換ることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
101,201,301,401,501,601・・・上部フランジ部材
102,202,302,402,502,602・・・カバー締付ボルト孔
103,203,403・・・切込み
303,503,603・・・切欠き
901・・・カバー締付ボルト
902・・・カバー
903・・・パッキン
904・・・フランジ
905・・・カバー締付ナット

Claims (3)

  1. 上部フランジ部材のフランジと、これを覆うカバーとの間にパッキンを介装し、前記フランジと前記カバーとをボルト締結することで、前記上部フランジ部材と前記カバーとを密封する油入変圧器において、
    前記フランジは、前記上部フランジ部材から、その外周側に向かって突き出ており、
    前記フランジのコーナー部に、外側方向へ向かい拡開することにより、曲げ加工時に曲げ剛性を低減する拡開部を有しており、前記拡開部は前記フランジの外縁から内方に向かう切り込みを有しており、
    前記切り込みの幅は、カバー締付ボルト孔の幅よりも狭い、
    ことを特徴とする油入変圧器。
  2. 前記コーナー部に開設するカバー締付ボルト孔間に、前記フランジの外縁から内方に向かう切り込みを有し、前記拡開部としたことを特徴とする請求項1に記載された油入変圧器。
  3. 前記コーナー部にカバー締付ボルト用の長孔を開設し、該長孔から外側方向に向けて切込みを有し、前記拡開部としたことを特徴とする請求項1に記載された油入変圧器。
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