JPH08206741A - 車体構造用筒状部材及びその曲げ加工方法 - Google Patents

車体構造用筒状部材及びその曲げ加工方法

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JPH08206741A
JPH08206741A JP1544295A JP1544295A JPH08206741A JP H08206741 A JPH08206741 A JP H08206741A JP 1544295 A JP1544295 A JP 1544295A JP 1544295 A JP1544295 A JP 1544295A JP H08206741 A JPH08206741 A JP H08206741A
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JP
Japan
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tubular member
flange
bending
bent
vehicle body
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JP1544295A
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English (en)
Inventor
Hisao Tanigawa
久男 谷川
Shigeo Sano
茂夫 佐野
Nariyuki Nakagawa
成幸 中川
Kenji Kanamori
謙二 金森
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Nissan Motor Co Ltd
MA Aluminum Corp
Original Assignee
Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フランジの曲げ加工すべき部分に割れや亀裂
等が発生すること無く、筒状部分の曲げ加工部分にしわ
等が発生することがなく、しかも、曲率半径の小さな曲
げ加工を施すことができる車体構造用筒状部材及びその
曲げ加工方法を提供する。 【構成】 略多角形状の断面を有し、かつ、その外側に
フランジ3が一体に設けられ、さらに前記フランジ3が
外側になる様に湾曲された筒状部材31において、前記
フランジ3の少なくとも曲げ中心部を含む部分3aが除
去されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の車体を構成す
べき筒状の構造部材を2次元または3次元に曲げ加工す
る車体構造用筒状部材及びその曲げ加工方法に係り、さ
らに詳しくは、曲げ加工度を大きく取ることができ、か
つ、筒状部材の曲げ加工部分にフランジの割れや亀裂が
発生するのを防止する車体構造用筒状部材及びその曲げ
加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の車体は、鋼板にプレス成
形加工を施したり、押し出し成形した鋼管を折曲げ加工
して得られた様々な形状の車体部材を組み合わせ、スポ
ット溶接等を用いて各車体部材を接合し一体化すること
により製造されているが、近年、車体のより軽量化を図
るために、鋼板の替わりにアルミニウム合金やチタン合
金等の軽合金を使用することが検討されている。例え
ば、車体前方のエンジンルーム下部から後方に向かって
延び客室前方フロアの構造部材に接続されるフロントサ
イドフレームメンバー、客室後方フロアの構造部材から
後方に延びトランクルーム下部に達するリヤサイドフレ
ームメンバー等の構造部材は、その長手方向の全長にわ
たってほぼ一定の断面形状の筒状部材とする必要があ
る。
【0003】図5は、従来の曲げ加工が施される直線状
の筒状部材を示す斜視図である。図において、1はアル
ミ材を押し出し成形した長尺の筒状部材であり、肉厚一
定の矩形状の断面を有する中空の筒部2と、該筒部2の
外側の一側面2aに長手方向に沿って一体に立設された
肉厚一定のフランジ3とから構成されている。
【0004】この筒状部材1に所定形状、例えば、図6
に示す様にフランジ3が外向きに凸とされる曲げ加工を
施すには、曲げ加工用プレスの上下金型間にフランジ3
が外向きになる様に筒状部材1を装填し、把持具等を用
いて該筒状部材1の両端部を挟持し、該筒状部材1の断
面形状が変形しないように筒部2の内部に図示しない中
子を挿通する。そして、前記把持具等により該筒状部材
1の長手方向に引張力を付与しながら前記上金型をゆっ
くり下降させ、フランジ3が外向きに凸になる様に該筒
部2及びフランジ3の曲げ加工すべき部分3aを湾曲さ
せる。この様にして、フランジ3が外側になる様に湾曲
させた筒状部材11が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この曲げ加
工時に曲げの外側にあるフランジ3に引張力が生じ、曲
げ加工すべき部分3aが長手方向へ引き伸ばされるた
め、該フランジ3が曲げ加工により発生する引張強度に
耐えられなくなり、例えば、図7に示す様に、該曲げ加
工部分3aに引張応力に起因する中空部に達する割れ4
や亀裂等が発生するという問題点があった。その理由
は、フランジ3の曲げ加工すべき部分3aは、外側にな
ればなる程引張応力が高くなり、この引張応力に応じて
材料も引き伸ばされるのであるが、フランジ3の側部は
端部の拘束が無いことにより破断の発生点になるためで
ある。
【0006】このフランジ3に曲率半径の小さな曲げ加
工を行なおうとすると、曲げ加工部分3aに割れ4や亀
裂が生じ易くなるので、この曲げ加工部分3aの曲げ加
工度を小さくするしかなく、前記フランジ3に曲率半径
の小さな曲げ加工を施すことが困難であった。そして、
この割れが発生するのを事前の設計段階で正確に予測す
ることも困難であった。また、曲げ加工時に圧縮応力が
大きくなると該筒状部材に座屈が生じ、曲げ加工された
該筒状部材の内側にしわが発生するという問題点もあ
る。
【0007】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であって、フランジの曲げ加工すべき部分に割れや亀裂
等が発生すること無く、筒状部分の曲げ加工部にしわ等
が発生することがなく、しかも、曲率半径の小さな曲げ
加工を施すことができる車体構造用筒状部材及びその曲
げ加工方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次の様な車体構造用筒状部材及びその曲げ
加工方法を採用した。すなわち、請求項1記載の車体構
造用筒状部材は、略多角形状の断面を有し、かつ、その
外側にフランジが一体に設けられ、さらに前記フランジ
が外側になる様に湾曲された筒状部材において、前記フ
ランジの少なくとも曲げ中心部を含む部分を除去したこ
とを特徴としている。
【0009】請求項2記載の車体構造用筒状部材は、略
多角形状の断面を有し、かつ、その外側にフランジが一
体に設けられ、さらに前記フランジが外側になる様に湾
曲された筒状部材において、前記フランジの湾曲部に複
数の切欠部を形成したことを特徴としている。
【0010】請求項3記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法は、略多角形状の断面を有し、かつ、その外側
にフランジが一体に設けられた筒状部材を、前記フラン
ジが外側になる様に湾曲させる筒状部材の曲げ加工方法
において、予め、前記フランジの曲げ加工すべき部分を
除去しておくことを特徴としている。
【0011】請求項4記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法は、略多角形状の断面を有し、かつ、その外側
にフランジが一体に設けられた筒状部材を、前記フラン
ジが外側になる様に湾曲させる筒状部材の曲げ加工方法
において、予め、前記フランジの曲げ加工すべき部分に
複数の切欠部を形成したことを特徴としている。
【0012】請求項5記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法は、請求項3または4記載の車体構造用筒状部
材の曲げ加工方法において、前記筒状部材の図心を曲げ
の中立軸として算出したフランジ端部の曲げ加工による
伸びをA、該筒状部材の引張試験による伸びをBとし、
A/Bの値が2.0以下となるようにフランジの曲げ加
工すべき部分を除去しておくことを特徴としている。こ
こで、A/Bの値を2.0以下と限定した理由は、この
値が2.0を越えると、筒状部材よりフランジ端部の伸
びの方が大きくなり、該フランジに引張力に起因する割
れが発生するからである。
【0013】請求項6記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法は、請求項3または4記載の車体構造用筒状部
材の曲げ加工方法において、前記筒状部材の曲げ加工時
に該筒状部材の長手方向に引張力を付与した場合の、該
筒状部材の図心を曲げの中立軸として算出したフランジ
端部の曲げ加工による伸びをA、該筒状部材の引張試験
による伸びをB、該筒状部材に前記引張力により生じる
伸びをCとし、(A+C)/Bの値が2.0以下となる
ようにフランジを除去しておくことを特徴としている。
ここで、(A+C)/Bの値を2.0以下と限定した理
由は、この値が2.0を越えると、引張力により生じる
筒状部材及びフランジ端部の伸びが大きくなり、該フラ
ンジに引張力に起因する割れが発生するからである。
【0014】
【作用】本発明の請求項1記載の車体構造用筒状部材で
は、前記フランジの少なくとも曲げ中心部を含む部分を
除去したことにより、このフランジに割れが発生するお
それがなくなり、フランジの曲率半径が小さくなる。こ
れより、曲率半径のより小さな筒状部材が得られる。
【0015】請求項2記載の車体構造用筒状部材では、
前記フランジの湾曲部に複数の切欠部を形成したことに
より、前記湾曲部に部分的に残されたフランジに割れが
発生するおそれがなくなり、フランジの曲率半径が小さ
くなる。これより、曲率半径のより小さな筒状部材が得
られる。
【0016】請求項3記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法では、予め、前記フランジの曲げ加工すべき部
分を除去しておくことにより、フランジが外側になる様
に該筒状部材に曲げ加工を施した場合、この除去した部
分によりフランジに働く引張力が分断され、最も破断の
生じ易いフランジ先端部に引張強さを越えるような荷重
が発生しなくなり、その結果、該フランジに引張応力に
起因する割れや亀裂が生じるおそれが無くなり、該筒状
部材に曲率半径の小さな曲げ加工を施すことが可能にな
る。
【0017】請求項4記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法では、予め、前記フランジの曲げ加工すべき部
分に複数の切欠部を形成したことにより、フランジが外
側になる様に該筒状部材に曲げ加工を施した場合、複数
の前記切欠部によりフランジの外側に掛かる引張応力が
分断され、該フランジに引張応力に起因する割れや亀裂
が生じるおそれが無くなり、該筒状部材に曲率半径の小
さな曲げ加工を施すことが可能になる。
【0018】請求項5記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法では、前記筒状部材の図心を曲げの中立軸とし
て算出したフランジ端部の曲げ加工による伸びをA、該
筒状部材の引張試験による伸びをBとし、A/Bの値が
2.0以下となるようにフランジの曲げ加工すべき部分
を除去しておくことにより、該筒状部材に曲げ加工を施
す際のフランジの除去量を予め想定し、フランジに割れ
のない筒状部材を製造することが可能になる。
【0019】請求項6記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法では、前記筒状部材の曲げ加工時に該筒状部材
の長手方向に引張力を付与した場合の、該筒状部材の図
心を曲げの中立軸として算出したフランジ端部の曲げ加
工による伸びをA、該筒状部材の引張試験による伸びを
B、該筒状部材に前記引張力により生じる伸びをCと
し、(A+C)/Bの値が2.0以下となるようにフラ
ンジを除去しておくことにより、該筒状部材に曲げ加工
を施す際のフランジの除去量を予め想定し、フランジに
割れのない筒状部材を製造することが可能になる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の車体構造用筒状部材の曲げ加
工方法の各実施例について、図面に基づいて説明する。
【0021】「第1実施例」図1は、曲げ加工を施すこ
とによりフロントサイドフレームメンバーとなる長尺の
筒状部材21(JIS,A7003−T5)を示す図で
あり、該筒状部材21のフランジ3の曲げ加工すべき部
分(曲げ中心部を含む部分)3aは、筒部2との接合面
が若干残された状態で除去されている。曲げ加工すべき
部分3aの除去手段としては、プレスによるせん断加工
の他、レーザやプラズマによる溶断、ウォータジェット
による切断、切削加工等が好適に用いられ、フランジ3
の形状及び曲げ加工すべき部分3aの除去量等を考慮し
て適宜選択することができる。
【0022】この筒状部材21に所定形状、例えば、図
2に示す様にフランジ3が外向きに凸とされる例えば、
曲げ半径が200mmの曲げ加工を施す方法について説
明する。ここでは、予め、筒状部材21の図心を曲げの
中立軸として算出したフランジ3端部の曲げ加工による
伸びをA、該筒状部材21の引張試験による伸びをB、
該筒状部材21に前記引張力により生じる伸びをCとし
た場合、 A/B≦2.0 ……(1) または、 (A+C)/B≦2.0 ……(2) となるようにフランジ3の曲げ加工すべき部分3aを除
去しておく。
【0023】ここで、曲げ加工すべき部分3aのフラン
ジ高さを求める方法について説明する。伸びAは、筒状
部材の断面形状及び曲げ半径により幾何学的に決定され
るものであり、図心、すなわち中立軸における曲げ半径
をr、曲げ加工すべき部分3aを除去した後の中立軸か
らフランジ3端部までの距離をhとすると、前記伸びA
は、 A=(r+h−r)×100/r =100×h/r ……(3) と表される。
【0024】したがって、A/B≦2.0となるような
フランジ高さを得るには、 h≦2B・r/100 ……(4) となるように、また、(A+C)/B≦2.0となるよ
うなフランジ高さを得るには、 h≦(2B−C)・r/100 ……(5) となるように、フランジを除去すればよい。このように
して、割れの発生しないフランジ高さを予め設計段階で
予測することができる。
【0025】次に、曲げ加工用プレスの上下金型間にフ
ランジ3が外向きになる様に筒状部材21を装填し、把
持具等を用いて該筒状部材21の両端部を挟持し、該筒
状部材21の断面形状が変形しないように筒部2の内部
に図示しない中子を挿通する。そして、前記把持具等に
より該筒状部材21の長手方向に引張力を付与しながら
前記上金型をゆっくり下降させ、フランジ3が外向きに
凸になる様に該筒部2及びフランジ3を湾曲させる。
【0026】ここでは、予め、フランジ3の曲げ加工す
べき部分3aが除去されているので、フランジ3が外側
になる様に該筒状部材21に曲げ加工を施した場合、フ
ランジ3に引張応力に起因する割れや亀裂が生じるおそ
れが無く、該筒状部材21に曲率半径の小さな曲げ加工
を施すことが可能になる。また、筒状部材21の曲げ加
工時に該筒状部材21の長手方向に引張力を付与するこ
とにより、該筒状部材21に曲げ加工を施した場合にお
いても、筒部2にしわ等の不具合が生じるおそれが無
い。以上により、フランジ3が外側になる様に湾曲させ
た筒状部材31が得られ、この筒状部材31の両端部を
切断して所定の長さとすれば、フロントサイドフレーム
メンバーとすることができる。また、リヤサイドフレー
ムメンバーも、全く同一の製造方法で製造することがで
きる。
【0027】表1は、A/Bの値をさまざまに変化させ
た場合のフランジ3の割れの有無を検討した結果を示し
たものである。 表1:フランジの除去量を変化させた場合の曲げ加工実
験の結果
【表1】
【0028】表1によれば、A/Bの値が2.0以下で
は、割れが全く発生しなかったのに対し、A/Bの値が
2.0を越えると割れが発生することがわかる。これよ
り、A/Bの値を2.0以下とすれば、筒状部材21に
曲率半径のより小さな曲げ加工を施すことができること
が明かである。
【0029】表2は、略多角形状の断面を有し、かつ、
その外側にフランジが一体に設けられた筒状部材の材
料、断面形状、曲げ半径をさまざまに変化させた場合
の、A/B及び(A+C)/Bの関係を検討した実験結
果を示したものである。 表2:筒状部材の材料、断面形状、曲げ半径とA/B及
び(A+C)/Bとの関係
【表2】
【0030】表2によれば、A/B及び(A+C)/B
は、筒状部材の材料、断面形状、曲げ半径に関係なく、
2.0以下となることが明かである。
【0031】以上説明した様に、この第1実施例の筒状
部材21によれば、フランジ3の曲げ加工すべき部分3
aを除去したので、フランジ3に割れが発生するおそれ
がなく、フランジの曲率半径を小さくすることができ、
したがって、曲率半径のより小さな筒状部材を得ること
ができる。
【0032】また、この第1実施例の筒状部材の曲げ加
工方法によれば、フランジ3の曲げ加工すべき部分3a
が除去された筒状部材21を用い、曲げ加工により、こ
の筒状部材21の両端部を拘束した状態で該筒状部材2
1を湾曲させるので、前記フランジ3に引張応力に起因
する割れや亀裂が生じるおそれが無くなり、該筒状部材
21に曲率半径のより小さな曲げ加工を施すことができ
る。したがって、生産性が向上し、得られた該筒状部材
31の工業的価値が向上する効果がある。
【0033】「第2実施例」図3は、曲げ加工を施すこ
とによりフロントサイドフレームメンバーとなる長尺の
筒状部材41を示す図であり、該筒状部材41のフラン
ジ3の曲げ加工すべき部分(曲げ中心部を含む部分)3
aには、半楕円状の切欠部42が複数個(この場合は4
個)形成されている。
【0034】この筒状部材41に所定形状、例えば、図
4に示す様にフランジ3が外向きに凸とされる曲げ加工
を施すには、曲げ加工用プレスの上下金型間にフランジ
3が外向きになる様に筒状部材41を装填し、把持具等
を用いて該筒状部材41の両端部を挟持し、該筒状部材
41の断面形状が変形しないように筒部2の内部に図示
しない中子を挿通する。そして、前記把持具等により該
筒状部材41の長手方向に引張力を付与しながら前記上
金型をゆっくり下降させ、フランジ3が外向きに凸にな
る様に該筒部2及びフランジ3を湾曲させる。
【0035】ここでは、予め、フランジ3の曲げ加工す
べき部分3aには、半楕円状の切欠部42が4個形成さ
れているので、フランジ3が外側になる様に該筒状部材
41に曲げ加工を施した場合、これらの切欠部42,4
2,…によりフランジ3の外側に掛かる引張応力が分断
され、該フランジ3に引張応力に起因する割れや亀裂が
生じるおそれが無くなり、該筒状部材41に曲率半径の
小さな曲げ加工を施すことが可能になる。
【0036】また、筒状部材41の曲げ加工時に該筒状
部材41の長手方向に引張力を付与することにより、該
筒状部材41に曲げ加工を施した場合においても、筒部
2にしわ等の不具合が生じるおそれが無い。以上によ
り、フランジ3が外側になる様に湾曲させた筒状部材5
1が得られ、この筒状部材51の両端部を切断して所定
の長さとすれば、フロントサイドフレームメンバーとす
ることができる。また、リヤサイドフレームメンバー
も、全く同一の製造方法で製造することができる。
【0037】以上説明した様に、この第2実施例の車体
構造用筒状部材によれば、フランジ3の曲げ加工すべき
部分3a(湾曲部)に半楕円状の切欠部42が複数個形
成されているので、該湾曲部に部分的に残されたフラン
ジに割れが発生するおそれがなく、フランジの曲率半径
を小さくすることができる。したがって、曲率半径のよ
り小さな筒状部材を得ることができる。
【0038】また、この第2実施例の車体構造用筒状部
材の曲げ加工方法によれば、フランジ3の曲げ加工すべ
き部分3aに半楕円状の切欠部42が複数個形成された
筒状部材41を用い、曲げ加工により、この筒状部材4
1の両端部を拘束した状態で該筒状部材41を湾曲させ
るので、これらの切欠部42,42,…によりフランジ
3の外側に掛かる引張応力を分断することができ、該フ
ランジ3に引張応力に起因する割れや亀裂が生じるおそ
れが無くなり、該筒状部材41に曲率半径の小さな曲げ
加工を施すことができる。したがって、生産性が向上
し、得られた該筒状部材51の工業的価値が向上する効
果がある。
【0039】なお、本第2実施例では、フランジ3の曲
げ加工すべき部分3aに半楕円状の切欠部42を4個形
成した構成としたが、切欠部42の形状及び数は上記第
2実施例に限定されることなく様々な形状及び数が可能
である。例えば、切欠部42の形状を略矩形状としても
よく、また櫛形状としてもよい。
【0040】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の車体構造用筒状
部材によれば、前記フランジの少なくとも曲げ中心部を
含む部分を除去したので、フランジに割れが発生するお
それがなく、該フランジの曲率半径を小さくすることが
でき、したがって、曲率半径のより小さな筒状部材を得
ることができる。
【0041】請求項2記載の車体構造用筒状部材によれ
ば、前記フランジの湾曲部に複数の切欠部を形成したの
で、該湾曲部に部分的に残されたフランジに割れが発生
するおそれがなく、フランジの曲率半径を小さくするこ
とができる。したがって、曲率半径のより小さな筒状部
材を得ることができる。
【0042】請求項3記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法によれば、予め、前記フランジの曲げ加工すべ
き部分を除去しておくので、前記フランジに引張応力に
起因する割れや亀裂が生じるおそれが無くなり、該筒状
部材に曲率半径のより小さな曲げ加工を施すことができ
る。したがって、生産性が向上し、得られた該筒状部材
の工業的価値が向上する。
【0043】請求項4記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法によれば、予め、前記フランジの曲げ加工すべ
き部分に複数の切欠部を形成したので、これらの切欠部
によりフランジの外側に掛かる引張応力を分断すること
ができ、該フランジに引張応力に起因する割れや亀裂が
生じるおそれが無くなり、該筒状部材に曲率半径の小さ
な曲げ加工を施すことができる。したがって、生産性が
向上し、得られた該筒状部材の工業的価値が向上する。
【0044】請求項5記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法によれば、前記筒状部材の図心を曲げの中立軸
として算出したフランジ端部の曲げ加工による伸びを
A、該筒状部材の引張試験による伸びをBとし、A/B
の値が2.0以下となるようにフランジの曲げ加工すべ
き部分を除去しておくので、該筒状部材に曲げ加工を施
す際のフランジの除去量を予め想定することができ、フ
ランジに割れのない筒状部材を製造することができる。
【0045】請求項6記載の車体構造用筒状部材の曲げ
加工方法によれば、前記筒状部材の曲げ加工時に該筒状
部材の長手方向に引張力を付与した場合の、該筒状部材
の図心を曲げの中立軸として算出したフランジ端部の曲
げ加工による伸びをA、該筒状部材の引張試験による伸
びをB、該筒状部材に前記引張力により生じる伸びをC
とし、(A+C)/Bの値が2.0以下となるようにフ
ランジを除去しておくので、該筒状部材に曲げ加工を施
す際のフランジの除去量を予め想定することができ、フ
ランジに割れのない筒状部材を製造することができる。
【0046】以上により、例えば自動車車体のフロント
サイドフレームメンバーやリヤサイドフレームメンバー
のような、2次元または3次元に湾曲した略多角形状の
断面を有する筒状部材であっても、そのフランジに引張
応力に起因する割れや亀裂が発生するおそれが無く、該
筒状部材に曲率半径のより小さな曲げ加工を施すことが
でき、車体の重量軽減に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の曲げ加工すべき車体構造
用筒状部材を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例の曲げ加工が施された車体
構造用筒状部材を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2実施例の曲げ加工すべき車体構造
用筒状部材を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例の曲げ加工が施された車体
構造用筒状部材を示す斜視図である。
【図5】従来の曲げ加工すべき車体構造用筒状部材を示
す斜視図である。
【図6】従来の曲げ加工が施された車体構造用筒状部材
を示す斜視図である。
【図7】従来の車体構造用筒状部材の不具合の一例を示
す斜視図である。
【符号の説明】
2 筒部 2a 一側面 3 フランジ 3a 曲げ加工すべき部分(曲げ中心部を含む部分) 21,21,41,51 筒状部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 成幸 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 金森 謙二 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略多角形状の断面を有し、かつ、その外
    側にフランジが一体に設けられ、さらに前記フランジが
    外側になる様に湾曲された筒状部材において、 前記フランジの少なくとも曲げ中心部を含む部分が除去
    されていることを特徴とする車体構造用筒状部材。
  2. 【請求項2】 略多角形状の断面を有し、かつ、その外
    側にフランジが一体に設けられ、さらに前記フランジが
    外側になる様に湾曲された筒状部材において、 前記フランジの湾曲部に複数の切欠部が形成されたこと
    を特徴とする車体構造用筒状部材。
  3. 【請求項3】 略多角形状の断面を有し、かつ、その外
    側にフランジが一体に設けられた筒状部材を、前記フラ
    ンジが外側になる様に湾曲させる筒状部材の曲げ加工方
    法において、 予め、前記フランジの曲げ加工すべき部分を除去してお
    くことを特徴とする車体構造用筒状部材の曲げ加工方
    法。
  4. 【請求項4】 略多角形状の断面を有し、かつ、その外
    側にフランジが一体に設けられた筒状部材を、前記フラ
    ンジが外側になる様に湾曲させる筒状部材の曲げ加工方
    法において、 予め、前記フランジの曲げ加工すべき部分に複数の切欠
    部を形成したことを特徴とする車体構造用筒状部材の曲
    げ加工方法。
  5. 【請求項5】 前記筒状部材の図心を曲げの中立軸とし
    て算出したフランジ端部の曲げ加工による伸びをA、該
    筒状部材の引張試験による伸びをBとし、A/Bの値が
    2.0以下となるようにフランジの曲げ加工すべき部分
    を除去しておくことを特徴とする請求項3または4記載
    の車体構造用筒状部材の曲げ加工方法。
  6. 【請求項6】 前記筒状部材の曲げ加工時に該筒状部材
    の長手方向に引張力を付与した場合の、該筒状部材の図
    心を曲げの中立軸として算出したフランジ端部の曲げ加
    工による伸びをA、該筒状部材の引張試験による伸びを
    B、該筒状部材に前記引張力により生じる伸びをCと
    し、(A+C)/Bの値が2.0以下となるようにフラ
    ンジを除去しておくことを特徴とする請求項3または4
    記載の車体構造用筒状部材の曲げ加工方法。
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