JP6677869B2 - はんだ粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、平均粒径が1〜5μmのファインピッチ用のはんだ粉末を製造する方法に関する。
従来、微細なはんだ粉末は、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法又は油中分散アトマイズ法等のアトマイズ法、或いは湿式還元法で製造されている。このガスアトマイズ法では、平均粒径が10μm以下のはんだ粉末を工業的に製造することが困難なため、油中分散アトマイズ法で平均粒径が7〜13μm程度のはんだ粉末を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。そして更に微細な平均粒径が1〜5μmのはんだ粉末を得るには、アトマイズ法で製造されたはんだ粉末を不活性ガス雰囲気中で気流分級装置(遠心力型風力分級機)を用いて分級している(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献1の油中分散アトマイズ法で造粉されたはんだ粉末は、粒子分散用媒体に添加するロジン及び/又はその誘導体が、造粉後のはんだ粉末を洗浄しても粉末表面に残留する恐れがあった。この粉末表面の清浄度を高めるための洗浄剤として、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、スルホラン、γ―ブチロラクトン等の有機化合物を用いて、はんだ粉末を洗浄する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3の洗浄工程は、上記洗浄剤を含む洗浄液を100〜500rpmにて5〜10分間攪拌する攪拌洗浄処理と、その処理の後に静置して生じた上澄み液を除去する上澄み液除去処理とを複数回繰り返し、その後、残ったスラリーをすすぎ洗浄液に浸漬し、静置して生じた上澄み液を除去した後、乾燥してはんだ粉末とすることを特徴とする。このすすぎ洗浄液としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン等が挙げられ、実施例及び比較例では、粒径2〜12μm(平均粒径6μm)のはんだ粉末が得られることが示される。
一方、はんだボール等の不良を防止するために、はんだ粉末表面の酸化を少なく抑えたはんだペーストが提案されている(例えば、特許文献4参照。)特許文献4には、はんだ粉末表面の酸化膜及び有機物汚染膜をイオン又は原子のスパッタエッチングにより除去するか、又ははんだ粉末表面の酸化膜及び有機物汚染膜を弱酸液により還元除去する方法が示される。この弱酸液による還元除去は、はんだ粉末を弱酸液中に浸漬することにより行っている。
特開2003−166007号公報(要約、段落[0004]、段落[0005]、段落[0030]) 特開2005−161341号公報(段落[0035]) 特開2013−23534号公報(請求項1、請求項3、段落[0002]、段落[0018]、段落[0020]〜[0035]) 特開平6−155070号公報(段落[0008]、請求項5、請求項6、段落[0022]、図4、図5)
例えば、80〜120μmのファインピッチで実装するはんだ用ペーストに使用されるはんだ粉末は、上述したように、風力分級により、はんだ粉末の平均粒径を1〜5μm程度により微細化した場合、この微細化により、粉末の比表面積が大きくなり、不活性ガス雰囲気中で風力分級を行ったとしても、分級後に粉末表面が酸化されて表面酸化膜を形成し易くなる。この現象は粉末表面を酸化させにくい油中分散アトマイズ法で得られたはんだ粉末を微細化する場合にも同様に発現する。酸化膜を形成したはんだ粉末をはんだ用フラックスと混合してペーストを調製した場合、ペースト化後のリフロー時にはんだの溶融性と濡れ性が劣る問題点があった。
また特許文献3に示されるN−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、スルホラン、γ―ブチロラクトン等の洗浄剤は有機物の除去効果が高い反面、はんだ粉末から除去しにくく、この洗浄剤を除去するためのすすぎ洗浄液にはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン等の有機溶剤を用いる必要があった。このため、洗浄剤のみならず、すすぎ洗浄液にも有機化合物を消費し、作業効率及び廃液処理の点で未だ解決すべき余地があった。
また特許文献4に示されるスパッタエッチングによる酸化膜の除去方法では、装置内に置かれたはんだ粉末に対して均等に粉末表面をスパッタエッチングすることが困難であるから酸化膜の除去が十分でなく、またスパッタエッチングの装置は高価であることから表面処理コストが高価となる欠点があった。更に特許文献4には、弱酸液にはんだ粉末を浸漬して酸化膜を除去する装置及び処理条件が示されていない。特許文献4の方法のように、はんだ粉末を弱酸液に浸漬して取り出す場合には、はんだ粉末が凝集し易く、酸化膜を均一に除去することが難しい上、洗浄に用いた弱酸液がはんだ粉末表面に付着残留し易い。このように特許文献4に示される方法で処理されたはんだ粉末ではんだペーストを作製し、このはんだペーストをリフローした場合には、はんだの溶融性と濡れ性に劣る問題点があった。
本発明の目的は、ファインピッチで実装するはんだ用ペーストに適し、ペースト化後のリフロー時のはんだの溶融性と濡れ性に優れたはんだ粉末の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、(a) 容器に入った平均粒径が1〜5μmに調整されたはんだ粉末に酸洗浄液を添加し混合攪拌する工程と、(b) 前記攪拌した酸洗浄液を静置して前記はんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を前記容器から除去する工程と、(c) 前記容器に純水を入れて前記はんだ粉末と混合攪拌する工程と、(d) 前記攪拌した純水を静置して前記はんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を前記容器から除去する工程と、(e) 前記容器から前記はんだ粉末を取り出し乾燥する工程と、(f) 前記乾燥したはんだ粉末をふるいにより解砕し平均粒径が1〜5μmになるように分級する工程とを含み、前記はんだ粉末が、Snを含み、Sn以外に、Ag、Cu、Bi、Inのいずれかの金属を1種又は2種以上含むSn系Pbフリーはんだ粉末であって、前記(a)工程から(f)工程まで、すべて不活性ガス雰囲気下で行われ、前記酸洗浄液は、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸又は吉草酸のいずれかの酸を1.0×10−3mol/L〜1.0mol/Lの濃度で含有する水を溶媒とする液である、はんだ粉末の製造方法である。
本発明の第2の観点は、(a) 容器に入った平均粒径が1〜5μmに調整されたはんだ粉末に酸洗浄液を添加し混合攪拌する工程と、(b) 前記攪拌した酸洗浄液を静置して前記はんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を前記容器から除去する工程と、(g) 前記容器に水溶性有機溶剤を含む洗浄液を入れて前記はんだ粉末と混合攪拌する工程と、(h) 前記攪拌した有機溶剤含有洗浄液を静置して前記はんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を前記容器から除去する工程と、(c) 前記容器に純水を入れて前記はんだ粉末と混合攪拌する工程と、(d) 前記攪拌した純水を静置して前記はんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を前記容器から除去する工程と、(e) 前記容器から前記はんだ粉末を取り出し乾燥する工程と、(f) 前記乾燥したはんだ粉末をふるいにより解砕し平均粒径が1〜5μmになるように分級する工程とを含み、前記はんだ粉末が、Snを含み、Sn以外に、Ag、Cu、Bi、Inのいずれかの金属を1種又は2種以上含むSn系Pbフリーはんだ粉末であって、前記(a)工程から(f)工程まで、すべて不活性ガス雰囲気下で行われ、前記酸洗浄液は、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸又は吉草酸のいずれかの酸を1.0×10−3mol/L〜1.0mol/Lの濃度で含有する水を溶媒とする液であって、前記有機溶剤含有洗浄液は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、トリエチルアミンのいずれかの水溶性有機溶剤を10体積%〜50体積%の割合で含有する水を溶媒とする液である、はんだ粉末の製造方法である。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の方法により製造されたはんだ粉末とはんだ用フラックスを混合してはんだ用ペーストを調製する方法である。
本発明の第1の観点のはんだ粉末の製造方法では、不活性ガス雰囲気下、平均粒径が1〜5μmに調整されたはんだ粉末を所定の濃度の酸で洗浄することにより、はんだ粉末自体を溶解させることなく、粉末表面の酸化膜を除去することができ、ペースト化後のリフロー時のはんだの溶融性と濡れ性に優れる。また乾燥したはんだ粉末をふるいにより解砕し平均粒径が1〜5μmになるように分級することにより、ファインピッチで実装するはんだ用ペーストに適したはんだ粉末が得られる。また特許文献3に示される特別なすすぎ洗浄液を用いずに、酸洗浄液で洗浄した後のすすぎ洗浄は、純水で行うため、作業効率が高く廃液処理を簡便に行うことができる。
本発明の第2の観点のはんだ粉末の製造方法では、不活性ガス雰囲気下、酸洗浄したはんだ粉末を、続いて有機溶剤含有洗浄液で洗浄することにより、粉末表面の酸化膜だけでなく、粉末表面に有機化合物が残留している場合には、この有機化合物を除去することができ、ペースト化後のリフロー時のはんだの溶融性と濡れ性に優れたはんだ粉末が得られる。また特許文献3に示される特別なすすぎ洗浄液を用いずに、酸洗浄液及び有機溶剤含有洗浄液で洗浄した後のすすぎ洗浄は、純水で行うため、作業効率が高く廃液処理を簡便に行うことができる。
本発明の第3の観点のはんだ用ペーストの調製方法によれば、上記本発明のはんだ粉末を用いるため、リフロー時に溶融が速く、溶け残りのないはんだ用ペーストが得られる。
本発明の第1実施形態のはんだ粉末の製造工程を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態のはんだ粉末の製造工程を示すフローチャートである。 本発明の実施例及び比較例で用いる製造装置の概略図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
〔第1のはんだ粉末の製造方法〕
本実施形態のはんだ粉末は、不活性ガス雰囲気下、図1に示す(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の工程を経て作られる。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等が例示される。
図1の符号(a)で示すように、工程(a)では、容器に入った平均粒径が1〜5μmに調整されたはんだ粉末に酸洗浄液を添加し混合攪拌する。容器は大気中に置かれたものを使用する場合、不活性ガスで置換しておくことが好ましい。また容器を用いる(a)工程から(e)工程まで、すべて不活性ガス雰囲気下で行うために、酸洗浄液及び有機溶剤含有洗浄液を供給及び排出できるとともに、キャリアガスとしての不活性ガスを供給及び排出できる密閉容器が好ましい。
本実施形態では、出発原料としてのはんだ粉末は、有機物の粉末表面への残留量が少ないガスアトマイズ法又は水アトマイズ法のアトマイズ法、或いは湿式還元法で製造されたものが用いられる。湿式還元法で作られたはんだ粉末は平均粒径が1〜5μmのものを用い、上記アトマイズ法で作られたはんだ粉末は、風力分級により平均粒径が1〜5μmになるように分級してから用いる。上記範囲内にある平均粒径のはんだ粉末を出発原料とすることにより、後述する(f)工程で平均粒径が1〜5μmになるように分級する際に、歩留まり(回収率)を高くすることができる。
本実施形態のはんだ粉末は、人体や環境への影響が少なく、融点が400℃以下と低いSn系Pbフリーはんだ粉末である。このSn系Pbフリーはんだ粉末は、Snを含み、Sn以外に、Ag、Cu、Bi、Inのいずれかの金属を1種又は2種以上含む質量%で、Agを1.0〜6.0%、Cuを0.1〜2.0%、Biを40〜70%、Inを30〜70%を含むことが好ましい。例示すれば、96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%Cu、95.5%Sn−4.0%Ag−0.5%Cu、94.0%Sn−6.0%Ag、98.0%Sn−2.0%Ag、99.3%Sn−0.7%Cu、99.0%Sn−1.0%Cu、42%Sn−58%Bi、48%Sn−52%In等が挙げられる。
本実施形態の酸洗浄液は、塩酸、硫酸等の鉱酸、ギ酸、酢酸、吉草酸等の低級カルボン酸のいずれかの酸を1.0×10−3mol/L(pH3.0)〜1.0mol/Lの濃度で含有する。酸の濃度が1.0×10−3mol/L未満である(pH3.0を超える)と、酸濃度が低すぎて粉末表面の酸化膜を除去する効果に乏しく、1.0mol/Lを超えると、酸濃度が高すぎてはんだ粉末自体を溶解する。好ましい酸濃度は、0.1mol/L〜0.5mol/Lである。
酸洗浄液の添加量は、はんだ粉末10gに対して、200〜400mLであることが好ましい。はんだ粉末10gに対して、200mL未満では、酸洗浄液が少なすぎはんだ粉末表面の酸化膜の除去効果に乏しく、400mLを超えると、酸洗浄液が多すぎ攪拌効果に劣るとともに不経済である。攪拌混合は、攪拌翼を用いて、適切な洗浄効果を得るために、攪拌翼を100〜400rpmの速度で30〜60分間回転させることが好ましい。はんだ粉末に添加する前又は添加後の酸洗浄液に、はんだ粉末の分散性を高めるために、分散剤を含有させておくことが好ましい。この分散剤としてはんだ粉末に付着しにくいヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCという。)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ゼラチン、アラビアゴム等が好ましい。分散剤は、分散効果を有しかつ洗浄効果を阻害しないように、酸洗浄液中、1g/L〜20g/Lの割合で含有させることが好ましい。
図1の符号(b)で示すように、工程(b)では、攪拌した酸洗浄液を静置してはんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を容器から除去する。攪拌後、すべてのはんだ粉末が沈降するまで酸洗浄液を静置し、これにより生じた酸洗浄液の上澄み液を容器を傾斜させて酸洗浄液を排出させるか、或いは容器内の酸洗浄液中に排出管を挿入し排出管から酸洗浄液を吸引排出させる。
図1の符号(c)で示すように、工程(c)では、容器に純水を入れてはんだ粉末と混合攪拌する。ここで純水は、イオン交換水を用いることが好ましく、イオン交換水の溶存酸素濃度を500ppbまで低減した脱気水を用いることがより好ましい。酸洗浄液を除去した後に、容器に純水を入れて、この純水とはんだ粉末とを工程(a)で用いた攪拌翼で同様に混合攪拌する。攪拌速度及び攪拌時間は、工程(a)と同じである。純水の入れる量は、はんだ粉末10gに対して、300mL〜1,000mLであることが好ましい。はんだ粉末10gに対して、300mL未満では、直前の工程の残液を十分にはんだ粉末から除去することができず、1,000mLを超えても、水洗効果は変わらない。
図1の符号(d)で示すように、工程(d)では、攪拌した純水を静置してはんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を容器から除去する。攪拌後、すべてのはんだ粉末が沈降するまで純水を静置し、これにより生じた純水の上澄み液を容器を傾斜させて酸洗浄液を排出させるか、或いは容器内の純水中に排出管を挿入し排出管から純水を吸引排出させる。この純水による洗浄は、複数回行うことがはんだ粉末の洗浄度を高めるため、好ましい。
図1の符号(e)で示すように、工程(e)では、容器からはんだ粉末を取り出し乾燥する。容器から取り出したはんだ粉末が酸化しないように、グローブボックスなどの不活性ガス雰囲気下の密閉したチャンバ内で、はんだ粉末を容器から取り出し、乾燥する。乾燥は加熱しないで100Pa未満になるまで減圧乾燥することが好ましい。加熱乾燥する場合には、はんだ粉末の融点未満の80〜130℃の温度で乾燥する。
図1の符号(f)で示すように、工程(f)では、乾燥したはんだ粉末をふるいにより解砕し平均粒径が1〜5μmになるように分級する。乾燥したはんだ粉末が酸化しないように、不活性ガス雰囲気下で目開き100〜250μmのふるいにより解砕する。解砕されたはんだ粉末は、出発原料時に平均粒径が1〜5μmに調整されているので、高い歩留まり(回収率)で最終製品のはんだ粉末として得られる。工程(f)で得られたはんだ粉末は、粉末表面の酸化膜が除去され、ペーストに調製した後、リフロー時の溶融性に優れるとともに、濡れ性に優れる。
<第2の実施の形態>
〔第2のはんだ粉末の製造方法〕
本実施形態のはんだ粉末は、不活性ガス雰囲気下、図2に示す(a)、(b)、(g)、(h)、(c)、(d)、(e)、(f)の工程を経て作られる。不活性ガスは第1の実施形態と同じものが用いられる。本実施形態の製造方法の特徴ある構成は、第1の実施形態の(b)工程と(c)工程の間に、(g)工程と(h)工程とを有することにある。本実施形態では、出発原料としてのはんだ粉末は、有機物が粉末表面に残留し易い油中分散アトマイズ法で製造されたものが用いられる。
図2の符号(g)で示すように、工程(g)では、工程(b)で酸洗浄液を除去した容器に水溶性有機溶剤を含む洗浄液を入れてはんだ粉末と混合攪拌する。この洗浄液は純水に水溶性有機溶剤を溶解して調製される。水溶性有機溶剤としては、洗浄後の乾燥時に乾燥温度を上げなくても揮発し易い低沸点溶剤が好ましい。本実施形態では、水溶性有機溶剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、トリエチルアミンのいずれかである。本実施形態の特徴は、特許文献3のような有機溶剤のすすぎ洗浄液を用いなくても、純水によるすすぎ洗浄で除去できる水溶液有機溶剤を用いることにある。
水溶性有機溶剤は、水溶性有機溶剤を含む洗浄液100体積%に対して10体積%〜50体積%の割合で含有する。10体積%未満では、はんだ粉末表面の有機物の除去効果に乏しく、50体積%を超えると、次の純水での水洗によって、有機溶剤が除去しにくくなる。混合攪拌は、第1の実施形態の(a)工程と同じである。
容器に水溶性有機溶剤を含む洗浄液を入れる量は、はんだ粉末10gに対して、200〜400mLであることが好ましい。はんだ粉末10gに対して、200mL未満では、水溶性有機溶剤が少なすぎはんだ粉末表面の酸化膜の除去効果に乏しく、400mLを超えると、有機溶剤含有洗浄液が多すぎ攪拌効果に劣る。
図2の符号(h)で示すように、工程(h)では、攪拌した有機溶剤含有洗浄液を静置して前記はんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を前記容器から除去する。第1の実施形態の工程(b)と同様に、攪拌後、すべてのはんだ粉末が沈降するまで有機溶剤含有洗浄液を静置し、これにより生じた有機溶剤含有洗浄液の上澄み液を容器を傾斜させて有機溶剤含有洗浄液を排出させるか、或いは容器内の有機溶剤含有洗浄液中に排出管を挿入し排出管から有機溶剤含有洗浄液を吸引排出させる。
第2の実施形態のはんだ粉末の製造方法は、工程(g)及び工程(h)を導入する以外は、第1の実施形態と同様に工程(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)が行われて、平均粒径が1〜5μmに分級された最終製品のはんだ粉末が得られる。工程(f)で得られたはんだ粉末は、粉末表面の酸化膜及び有機物が除去され、ペーストに調製した後、リフロー時の溶融性に優れるとともに、濡れ性に優れる。
〔はんだ用ペースト及びその調製方法〕
以上の工程により、得られた第1及び第2の実施形態のはんだ粉末は、はんだ用フラックスと混合してペースト化して得られるはんだ用ペーストの材料として好適に用いられる。はんだ用ペーストの調製は、はんだ粉末とはんだ用フラックスとを所定の割合で混合してペースト化することにより行われる。はんだ用ペーストの調製に用いられるはんだ用フラックスは、特に限定されないが、溶剤、ロジン、チキソ剤及び活性剤等の各成分を混合して調製されたフラックスを用いることができる。
上記はんだ用フラックスの調製に好適な溶剤としては、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、α−テルピネオール等の沸点が180℃以上である有機溶剤が挙げられる。また、ロジンとしては、ガムロジン、水添ロジン、重合ロジン、エステルロジン等が挙げられる。
また、チキソ剤としては、硬化ひまし油、脂肪酸アマイド、天然油脂、合成油脂、N,N’−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、12−ヒドロキシステアリン酸、1,2,3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトール及びその誘導体等が挙げられる。
また、活性剤としては、ハロゲン化水素酸アミン塩が好ましく、具体的には、トリエタノールアミン、ジフェニルグアニジン、エタノールアミン、ブチルアミン、アミノプロパノール、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンラウレルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メトキシプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、エチルヘキシルアミン、エトキシプロピルアミン、エチルヘキシルオキシプロピルアミン、ビスプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、アニリン、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、3−アミノ−1−プロペン、イソプロピルアミン、ジメチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン等のアミンの塩化水素酸塩又は臭化水素酸塩が挙げられる。
はんだ用フラックスは、上記各成分を所定の割合で混合することにより得られる。フラックス全体量100質量%中に占める溶剤の割合は30〜60質量%、チキソ剤の割合は1〜10質量%、活性剤の割合は0.1〜10質量%とするのが好ましい。溶剤の割合が下限値未満では、フラックスの粘度が高くなりすぎるため、これを用いたはんだ用ペーストの粘度も応じて高くなり、はんだの充填性低下や塗布ムラが多発する等、印刷性が低下する不具合を生じる場合がある。一方、上限値を越えるとフラックスの粘度が低くなりすぎるため、これを用いたはんだ用ペーストの粘度も応じて低くなることから、はんだ粉末とフラックス成分が沈降分離する不具合を生じる場合がある。また、チキソ剤の割合が下限値未満では、はんだ用ペーストの粘度が低くなりすぎるため、はんだ粉末とフラックス成分が沈降分離するという不具合を生じる場合がある。一方、上限値を越えるとはんだ用ペーストの粘度が高くなりすぎるため、はんだ充填性や塗布ムラ等の印刷性低下という不具合を生じる場合がある。また、活性剤の割合が下限値未満では、はんだ粉末が溶融せず、十分な接合強度が得られないという不具合を生じる場合があり、一方、上限値を越えると保管中に活性剤がはんだ粉末と反応し易くなるため、はんだ用ペーストの保存安定性が低下するという不具合を生じる場合がある。この他、はんだ用フラックスには、粘度安定剤を添加しても良い。粘度安定剤としては、溶剤に溶解可能なポリフェノール類、リン酸系化合物、硫黄系化合物、トコフェノール、トコフェノールの誘導体、アルコルビン酸、アルコルビン酸の誘導体等が挙げられる。粘度安定剤は、多すぎるとはんだ粉末の溶融性が低下する等の不具合が生じる場合があるため、10質量%以下とするのが好ましい。
はんだ用ペーストを調製する際のはんだ用フラックスの混合量は、調製後のペースト100質量%中に占める該フラックスの割合が5〜30質量%になる量にするのが好ましい。下限値未満ではフラックス不足でペースト化が困難になり、一方、上限値を越えるとペースト中のフラックスの含有割合が多すぎて金属の含有割合が少なくなってしまい、はんだ溶融時に所望のサイズのはんだバンプを得るのが困難になるからである。
このはんだ用ペーストは、上記本発明のはんだ粉末を材料としているため、リフロー時の溶融が速く、溶融性に優れる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図2に示す工程順に、図3に示すセパラブルフラスコ10を容器として用いて、はんだ粉末を製造した。先ず、出発原料として、油中分散アトマイズ法で得られた96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%CuのPbフリーはんだ粉末を用意し、風力分級により平均粒径を4.3μmに分級した。フラスコ10の蓋10aを開けて、このはんだ粉末20gを容量1000mLの窒素ガスで置換されたフラスコ10のフラスコ本体10bに入れた。次いで、蓋10aを閉じ、酸洗浄液として、酸濃度を1.0×10−1mol/L(pH1.0)に調整した塩酸水溶液475mLをフラスコの一方の口10cから容器内のはんだ粉末に添加した。引き続き、分散剤として、HPMCが100g/Lの割合で溶解したHPMC水溶液25mLを添加し、総量が500mLの酸洗浄液11を調製した。フラスコの別の口10dから窒素ガスをキャリアガスとして流し、フラスコの更に別の口10eから排出し、フラスコ内を窒素ガス雰囲気下に維持した。なお、図3では、フラスコの口10dと10eを1つにまとめて示している。窒素ガスはイオン交換水で水洗したはんだ粉末をフラスコ外に取り出すまで流し続けた。
次に、フラスコ10内に設けた回転翼12を200rpmの速度で回転させ、はんだ粉末と酸洗浄液を混合攪拌した。30分間攪拌した後、攪拌を停止し、はんだ粉末を沈降させた。2時間静置した後、これにより生じた酸洗浄液の上澄み液を図示しない排出管をフラスコ上部から挿入してポンプで吸引することによりフラスコ外に排出した。次に、水溶性有機溶剤を含む溶液として、イオン交換水で25体積%に希釈したテトラヒドロフラン溶液475mLをフラスコ内に入れた。引き続き、分散剤として、分散剤として、HPMCが100g/Lの割合で溶解したHPMC水溶液25mLを添加し、総量が500mLの有機溶剤含有洗浄液を調製した。
酸洗浄のときと同様に、回転翼12を200rpmの速度で回転させ、はんだ粉末と有機溶剤含有洗浄液を混合攪拌した。30分間攪拌した後、攪拌を停止し、はんだ粉末を沈降させた。2時間静置した後、これにより生じた有機溶剤含有洗浄液の上澄み液を、酸洗浄のときと同様に、フラスコ外に排出した。この上澄み液を排出した後、電気伝導度が1μS/cm以下のイオン交換水を溶存酸素濃度を500ppbまで低減した脱気水500mLをフラスコ内に入れた。酸洗浄のときと同様に、回転翼を200rpmの速度で回転させ、はんだ粉末と脱気水を混合攪拌した。30分間攪拌した後、攪拌を停止し、はんだ粉末を沈降させた。2時間静置した後、これにより生じた脱気水の上澄み液を、酸洗浄のときと同様に、フラスコ外に排出した。この脱気水による水洗は2回行った。即ち、図2に示す工程(c)と工程(d)を2回行った。
水洗したはんだ粉末をフラスコ外に取り出し、図示しない室温の窒素ガス雰囲気下のチャンバ内に配置された平皿上に均一に広げ、100Pa未満になるまで12時間減圧乾燥した。乾燥後、図示しない窒素ガスで置換されたグローブボックス内に配置された目開き100μm径のふるいを用いて凝集したはんだ粉末を解砕するとともに、分級した。
<実施例2>
酸洗浄液として、酸濃度を1.0×10−3mol/L(pH3.0)に調整した塩酸水溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例3>
酸洗浄液として、酸濃度を1.0mol/Lに調整した塩酸水溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例4>
出発原料として、油中分散アトマイズ法で得られた96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%CuのPbフリーはんだ粉末を風力分級により平均粒径が4.8μmに分級したはんだ粉末を用いた。それ以外は実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例5>
出発原料として、油中分散アトマイズ法で得られた96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%CuのPbフリーはんだ粉末を風力分級により平均粒径が1.2μmに分級したはんだ粉末を用いた。それ以外は実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例6>
酸洗浄液として、酸濃度を1.0×10−1mol/L(pH1.0)に調整した硫酸水溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例7>
酸洗浄液として、酸濃度を1.0×10−0.5mol/L(pH0.5)に調整した酢酸水溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例8>
有機溶剤含有洗浄液として、実施例1と同じ脱気水で10体積%に希釈したテトラヒドロフラン溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例9>
有機溶剤含有洗浄液として、実施例1と同じ脱気水で25体積%に希釈したn−プロパノール溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例10>
有機溶剤含有洗浄液として、実施例1と同じ脱気水で30体積%に希釈したエタノール溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例11>
有機溶剤含有洗浄液として、実施例1と同じ脱気水で40体積%に希釈したアセトン溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例12>
出発原料として、油中分散アトマイズ法で得られた96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%CuのPbフリーはんだ粉末を風力分級により平均粒径が3.6μmに分級したはんだ粉末を用いた。それ以外は実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例13>
出発原料として、油中分散アトマイズ法で得られた94.0%Sn−6.0%AgのPbフリーはんだ粉末を風力分級により平均粒径が2.5μmに分級したはんだ粉末を用いた。それ以外は実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例14>
出発原料として、油中分散アトマイズ法で得られた98.0%Sn−2.0%AgのPbフリーはんだ粉末を風力分級により平均粒径が3.1μmに分級したはんだ粉末を用いた。それ以外は実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例15>
出発原料として、油中分散アトマイズ法で得られた99.3%Sn−0.7%CuのPbフリーはんだ粉末を風力分級により平均粒径が3.8μmに分級したはんだ粉末を用いた。それ以外は実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例16>
出発原料として、油中分散アトマイズ法で得られた99.0%Sn−1.0%CuのPbフリーはんだ粉末を風力分級により平均粒径が2.5μmに分級したはんだ粉末を用いた。それ以外は実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例17>
出発原料として、油中分散アトマイズ法で得られた42.0%Sn−58.0%BiのPbフリーはんだ粉末を風力分級により平均粒径が4.8μmに分級したはんだ粉末を用いた。また酸洗浄液として、酸濃度を1.0×10−0.5mol/L(pH0.5)に調整した塩酸水溶液を用いた。それ以外は実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例18>
出発原料として、油中分散アトマイズ法で得られた48.0%Sn−52.0%InのPbフリーはんだ粉末を風力分級により平均粒径が4.5μmに分級したはんだ粉末を用いた。また酸洗浄液として、酸濃度を1.0×10−0.5mol/L(pH0.5)に調整した塩酸水溶液を用いた。それ以外は実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例19>
有機溶剤含有洗浄液として、実施例1と同じ脱気水で40体積%に希釈したメタノール溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例20>
有機溶剤含有洗浄液として、実施例1と同じ脱気水で30体積%に希釈したイソプロパノール溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例21>
有機溶剤含有洗浄液として、実施例1と同じ脱気水で25体積%に希釈したt−ブタノール溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例22>
有機溶剤含有洗浄液として、実施例1と同じ脱気水で25体積%に希釈したアセトニトリル溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例23>
有機溶剤含有洗浄液として、実施例1と同じ脱気水で25体積%に希釈したトリエチルアミン溶液を用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例24>
図1に示す工程順に、図3に示すセパラブルフラスコ10を容器として用いて、はんだ粉末を製造した。先ず、出発原料として、ガスアトマイズ法で得られた96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%CuのPbフリーはんだ粉末を用意し、風力分級により平均粒径を4.3μmに分級した。実施例1と同様にはんだ粉末をフラスコ10内に入れ、酸濃度を実施例1と同じ1.0×10−1mol/L(pH1.0)に調整した塩酸水溶液を酸洗浄液として用いて、実施例1と同様に酸洗浄した。洗浄後、実施例1と同様に酸洗浄液の上澄み液を除去した。
次に、酸洗浄液の上澄み液を排出した後、実施例1と同じ脱気水500mLをフラスコ内に入れた。酸洗浄のときと同様に、回転翼を200rpmの速度で回転させ、はんだ粉末と脱気水を混合攪拌した。30分間攪拌した後、攪拌を停止し、はんだ粉末を沈降させた。2時間静置した後、これにより生じた脱気水の上澄み液を、酸洗浄のときと同様に、フラスコ外に排出した。この脱気水による水洗は2回行った。以下、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例25>
酸洗浄液として、酸濃度を1.0mol/Lに調整したギ酸水溶液を用いた以外、実施例24と同一の出発原料を用いて、実施例24と同様にしてはんだ粉末を得た。
<実施例26>
酸洗浄液として、酸濃度を1.0mol/Lに調整した吉草酸水溶液を用いた以外、実施例24と同一の出発原料を用いて、実施例24と同様にしてはんだ粉末を得た。
<比較例1>
出発原料として、実施例1と同じ油中分散アトマイズ法で得られた96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%CuのPbフリーはんだ粉末を風力分級により平均粒径が4.3μmに分級したはんだ粉末を用いた。酸洗浄液の代わりに溶存酸素濃度の低減処理をしていない25℃で約10ppmの酸素が溶存しているイオン交換水を用い、有機溶剤含有水溶液による洗浄は行わなかった。それ以外は、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<比較例2>
出発原料として、実施例1と同じはんだ粉末を用いた。酸洗浄液として、酸濃度を1.0×10−4mol/L(pH4.0)に調整した塩酸水溶液を用いた。これ以外は、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<比較例3>
酸洗浄液として、酸濃度を3.0mol/Lに調整した塩酸水溶液を用いた。これ以外は、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<比較例4>
出発原料として、実施例1と同じはんだ粉末を用いた。酸洗浄は行わず、比較例1のイオン交換水の代わりに、有機溶剤含有洗浄液として、実施例1と同じ脱気水で5体積%に希釈したテトラヒドロフラン溶液のみを用いた以外、実施例1と同一の出発原料を用いて、実施例1と同様にしてはんだ粉末を得た。
<比較試験及び評価>
実施例1〜26及び比較例1で用いた出発原料時のはんだ粉末の金属組成と平均粒径、酸洗浄液の種類と濃度及び有機溶剤含有洗浄液の種類と濃度を、以下の表1に示す。また実施例1〜26及び比較例1〜4で得られたはんだ粉末について、次に述べる方法により、はんだ粉末の平均粒径及び出発原料の洗浄前のはんだ粉末と洗浄後のはんだ粉末の各炭素濃度と各酸素濃度をそれぞれ測定した。また得られたはんだ粉末を用いて作製したはんだ用ペーストの濡れ性を調べた。はんだ用ペーストは溶融しないと下地に濡れないため、濡れ性を調べることで、溶融性を評価した。更に出発原料の洗浄前のはんだ粉末と洗浄後のはんだ粉末の各質量を測定して粉末回収率を算出した。実施例1〜26及び比較例1〜4のこれらの測定結果を以下の表2に示す。
(1) はんだ粉末の金属組成:予め実施例1〜26及び比較例1〜4で用いる出発原料のはんだ粉末を酸で溶解し、溶解物を誘導結合プラズマ発光分光分析(島津製作所社製 ICP発光分析装置:ICPS−7510)により金属元素含有量を測定した。
(2) はんだ粉末の平均粒径:レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置(堀場製作所社製、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950)にて測定した体積累積中位径(Median径、D50)を平均粒径とした。
(3) 洗浄前後のはんだ粉末の炭素濃度:実施例1〜26及び比較例1〜4の洗浄前のはんだ粉末の炭素濃度と、洗浄後に得られたはんだ粉末の炭素濃度を、炭素・硫黄同時分析装置(LECO社製、CSLS−600)により測定した。洗浄前のはんだ粉末の炭素濃度を100%としたときの洗浄後のそれを減少率(%)で算出した。
(4) 洗浄前後のはんだ粉末の酸素濃度:実施例1〜26及び比較例1〜4の洗浄前のはんだ粉末の酸素濃度と、洗浄後に得られたはんだ粉末の酸素濃度を、窒素・酸素同時分析装置(LECO社製、CSLS−600)により測定した。洗浄前のはんだ粉末の炭素濃度を100%としたときの洗浄後のそれを減少率(%)で算出した。
(5) はんだ用ペーストの濡れ性:実施例1〜26及び比較例1〜4で得られたはんだ粉末93質量%とフラックス中の活性成分7質量%を含むフラックス7質量%とを混合してはんだ用ペーストを調製した。このはんだ用ペーストの濡れ性をJISZ3284に記されている「ぬれ効力及びディウエッティング試験」に準じて行った。評価についても同様に濡れ広がり度合いを1〜4に区分した。はんだ用ペーストの濡れ性は、ペースト調製直後の濡れ広がりの度合いで判定した。なお、表1において、「1」が濡れ広がり度合いが最も濡れ性に優れることを示し、「4」が最も濡れ性が悪いことを示す。
Figure 0006677869
Figure 0006677869
表2から明らかなように、実施例1〜26及び比較例1〜4で得られたはんだ粉末の各平均粒径は、1〜5μmの範囲にあった。また酸濃度が3.0mol/Lと濃い塩酸水溶液を用いた比較例3では、はんだ粉末が溶解し、また凝集したため、洗浄後の各物性を測定することができなかった。またイオン交換水のみではんだ粉末を洗浄した比較例1では、炭素濃度の減少率が3.3%であり、酸素濃度に変化はなく、洗浄効果がみられなかった。このため、洗浄後の炭素濃度及び酸素濃度が580ppm及び1900ppmと高く、はんだ用ペーストの濡れ性に劣り、粉末の回収率は70%と低かった。
また濃度が1.0×10−4mol/L(pH4.0)の塩酸水溶液ではんだ粉末を洗浄した比較例2では、酸濃度が低すぎて、炭素濃度及び酸素濃度の各減少率が25.0%、15.8%と小さく、洗浄効果が不十分であった。このため、洗浄後の炭素濃度が450ppm、洗浄後の酸素濃度が1600ppmとそれぞれ高く、はんだ用ペーストの濡れ性に劣り、粉末の回収率は85%とやや低かった。また有機溶剤含有洗浄液として、脱気水で5体積%に希釈したテトラヒドロフラン溶液を用いた比較例4では、洗浄液が希薄すぎて、酸素濃度の減少は見られず酸化膜の除去効果は不十分であり、洗浄後の酸素濃度は1900ppmと高かった。また炭素濃度の減少率は16.7%であり、洗浄後の炭素濃度は500ppmと高く、有機物の除去効果も不十分であった。
比較例1〜4と比較して、ガスアトマイズ法で得られたはんだ粉末を酸洗浄液のみで洗浄した実施例24〜26では、洗浄前後のはんだ粉末の各炭素濃度は300〜330ppmの範囲内にあって、ほとんど変化がなかったのに対して、酸素濃度の減少率は76.7〜78.7%と大きく洗浄効果が高かった。このため、洗浄後の酸素濃度が320〜350ppmと低く、はんだ用ペーストの濡れ性に優れ、粉末の回収率は93〜95%と高かった。
また油中分散アトマイズ法で得られたはんだ粉末を酸洗浄と有機溶剤洗浄した実施例1〜23では、洗浄前後のはんだ粉末の各炭素濃度の減少率が40.0%〜70.0%であり、また各酸素濃度の減少率が73.7〜87.0%と大きくそれぞれ洗浄効果が高かった。このため、洗浄後の炭素濃度は180〜360ppmの範囲内に、洗浄後の酸素濃度は300〜500ppmの範囲内にあり、有機物及び酸化膜の除去効果は良好であり、はんだ用ペーストの濡れ性に優れ、粉末の回収率は87〜98%と高かった。
以上のことから、粉末表面が酸化膜や有機物層に覆われているために溶融性が劣る平均径1〜5μmの微細なはんだ粉であっても、実施例1〜26に示した条件で洗浄を行うことにより、高い粉末回収率で溶融性に優れるはんだ微粉末が得られることが分かった。
本発明のはんだ粉末の製造方法は、ファインピッチで実装するはんだ用ペーストに好適なはんだ粉末を得るのに利用できる。

Claims (3)

  1. (a) 容器に入った平均粒径が1〜5μmに調整されたはんだ粉末に酸洗浄液を添加し混合攪拌する工程と、
    (b) 前記攪拌した酸洗浄液を静置して前記はんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を前記容器から除去する工程と、
    (c) 前記容器に純水を入れて前記はんだ粉末と混合攪拌する工程と、
    (d) 前記攪拌した純水を静置して前記はんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を前記容器から除去する工程と、
    (e) 前記容器から前記はんだ粉末を取り出し乾燥する工程と、
    (f) 前記乾燥したはんだ粉末をふるいにより解砕し平均粒径が1〜5μmになるように分級する工程と
    を含み、
    前記はんだ粉末が、Snを含み、Sn以外に、Ag、Cu、Bi、Inのいずれかの金属を1種又は2種以上含むSn系Pbフリーはんだ粉末であって、
    前記(a)工程から(f)工程まで、すべて不活性ガス雰囲気下で行われ、
    前記酸洗浄液は、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸又は吉草酸のいずれかの酸を1.0×10−3mol/L〜1.0mol/Lの濃度で含有する水を溶媒とする液である、はんだ粉末の製造方法。
  2. (a) 容器に入った平均粒径が1〜5μmに調整されたはんだ粉末に酸洗浄液を添加し混合攪拌する工程と、
    (b) 前記攪拌した酸洗浄液を静置して前記はんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を前記容器から除去する工程と、
    (g) 前記容器に水溶性有機溶剤を含む洗浄液を入れて前記はんだ粉末と混合攪拌する工程と、
    (h) 前記攪拌した有機溶剤含有洗浄液を静置して前記はんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を前記容器から除去する工程と、
    (c) 前記容器に純水を入れて前記はんだ粉末と混合攪拌する工程と、
    (d) 前記攪拌した純水を静置して前記はんだ粉末の沈降により生じた上澄み液を前記容器から除去する工程と、
    (e) 前記容器から前記はんだ粉末を取り出し乾燥する工程と、
    (f) 前記乾燥したはんだ粉末をふるいにより解砕し平均粒径が1〜5μmになるように分級する工程と
    を含み、
    前記はんだ粉末が、Snを含み、Sn以外に、Ag、Cu、Bi、Inのいずれかの金属を1種又は2種以上含むSn系Pbフリーはんだ粉末であって、
    前記(a)工程から(f)工程まで、すべて不活性ガス雰囲気下で行われ、
    前記酸洗浄液は、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸又は吉草酸のいずれかの酸を1.0×10−3mol/L〜1.0mol/Lの濃度で含有する水を溶媒とする液であって、
    前記有機溶剤含有洗浄液は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、トリエチルアミンのいずれかの水溶性有機溶剤を10体積%〜50体積%の割合で含有する水を溶媒とする液である、はんだ粉末の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の方法により製造されたはんだ粉末とはんだ用フラックスを混合してはんだ用ペーストを調製する方法。
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