JP6671678B1 - 深穴加工用1枚刃ドリル - Google Patents

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Abstract

本体(2)とシャンク(3)とからなる1枚刃の深穴加工用ドリルであり、外周に1条の切屑排出溝(5)を具備し、本体(2)は、外周にクーラント送出溝(8)を有する大径部(2a)と小径部(2b)を備え、大径部(2a)の先端側では芯厚が確保され、その他の箇所では、切屑排出溝(5)の溝底(5a)がドリルの回転中心(O)を超えて本体(2)は芯厚部が無くて軸直角断面が三日月状をなすものになっており、外部給油での加工において、小径部(2b)の外周面と加工された穴の内径面との間にクーラント液の供給通路が形成される。

Description

この発明は、径比穴深さが20D(Dはドリル径)を超えるような深穴を、外部給油方式で行ってステップフィードなし(ノンステップ)でS45Cなどの金属の被削材に対して安定して加工できるようにした1枚刃の深穴加工用のドリルに関する。
深穴加工用のドリルの従来例として、例えば、下記特許文献1に示されるようなものや、ガンドリル等がある。また、2枚刃のツイストドリルの中にも、径比穴深さが、例えば、20Dを超えるような深穴加工に対応したものがある(下記特許文献4〜5参照)。
下記特許文献1に記載されたドリルは、樹脂材に穴をあけるものであって、外部給油方式での加工によってクーラント液を刃部に供給する機能を備えている。
そのドリルは、刃部の先端からシャンクに向けてドリルの正回転方向にねじれる1条の切屑排出溝を有し、軸直角断面が半月状をなしている。
また、切屑排出溝を除く外周面は、全体がマージンとされている。そのマージンに、シャンクから刃部の先端に向けてドリルの回転軸回りに切屑排出溝とは反対向きにねじれていてポンプ作用を生じて刃部にクーラント液を供給する副溝を備えている。さらに、シャンクの外周にも副溝と同じ向きにねじれたクーラント誘導溝を備えている。
特許文献2のドリルも外部給油方式での穴あけを行うものである。この特許文献2のドリルは2枚刃である。2条の切屑排出溝間の外周面に、ドリルの正転方向と逆向きにねじれた切削油剤導入溝を複数条備え、さらに、前記切削油剤導入溝のドリル回転方向後端を連結して切削油剤導入溝に取り込まれた切削油剤(クーラント液)を刃先に到達させる縦長の切削油剤供給溝を備えている。
特許文献3の深穴加工用ドリルは、内部給油方式であり、溝長(切屑排出溝が設けられた箇所のドリル軸心方向の長さ)がドリル径Dの10倍以上に設定されていて2以上の複数の刃を有する。マージンは、リーディングエッジに沿った位置とランド部の周方向中間位置の2箇所にあり、先端側の芯厚が0.30D〜0.40Dに設定されている。
また、切屑排出溝を備える部位の軸方向後部は、先端側の大径部よりも僅かに外径の小さい小径部として構成されている。
特許文献4の深穴加工用ドリルは、ツイストドリルであって、15〜30D程度の深穴を加工できるとされている。このドリルは、刃のある先端側(第1芯厚部)の芯厚がシャンクに至る後部側(第2芯厚部)の芯厚よりも大となっており、切屑排出溝の溝面粗さは1.5S以下になっている。
特許文献5の用ドリルもツイストドリルである。この特許文献5のツイストドリルは、
先端側の研磨代部の芯厚にバックテーパが付されて研磨代部の芯厚が軸線方向後方に向かって漸減しており、研磨代部よりも後方(シャンク側)の芯厚軸方向の各部において一定したものになっている。
特開2013−075355号公報 特開2003−080411号公報 特開2012−011481号公報 特開2004−122295号公報 特開2005−169600号公報
特許文献1のドリルは、外周のマージンに形成された副溝がクーラント液を強制的に刃先部に送り込む働きをする。その副溝を備えているため、クーラント供給設備の無い加工機を使用して穴あけを行うことができる。
しかしながら、同文献のドリルは、外部給油用のノズルから供給されたクーラント液が切屑排出溝に流入する。その切屑排出溝内のクーラント液が副溝に流入して副溝の働きで刃部に送り込まれるものになっている。そのため、刃先部に対するクーラント液の効率の良い供給と、切屑の円滑な排出の機能が最大に発揮されるものになっていない。
刃先部に向けて流れようとする供給側のクーラント液と、切屑と一緒に刃先部から流れ出ようとする排出側のクーラント液は、切屑排出溝の広範な領域で衝突する。そのために、クーラント液の相反する方向への流れが互いに打ち消し合ってクーラント液の循環性が悪くなる。
また、切屑の排出性能も、クーラント液による押し流しの効果が薄れて最大限に引き出されない。
このほか、特許文献1のドリルは、切屑排出溝の溝底が、凸円弧状をなしているため、切屑排出溝に取り込まれた切屑が径方向外側に向かって流れようとする。このため、被削材が金属であると、加工した穴の内径面が切屑によって傷つけられることも考えられる。
これに対し、ガンドリルは、内部給油を行うため、クーラントの供給方向への流れと排出方向への流れの衝突は起こらない。しかし、このガンドリルは、高圧のポンプを含む高価なクーラント供給装置を必要とする。
特許文献2のドリルは、切削油剤導入溝に流入したクーラント液を切削油剤供給溝に通して刃先に至らせるようにしているが、外部から供給されるクーラント液は、切削油剤導入溝に流入する前に切屑排出溝内の広範な領域で排出方向に流れようとするクーラント液と衝突する。そのために、クーラント液の循環と切屑の排出に関しては、特許文献1のドリルと同様の問題が生じる。
また、特許文献2のドリルは、中心部に芯厚を確保した2枚刃ドリルであるため、切屑排出溝の容積が小さい。そのために、加工条件によっては切屑詰まりが生じ易くなり、その問題を回避するために、ステップフィードをかけることが必要になったりする。
特許文献3の深穴加工用ドリルも、2枚刃である。このドリルは、外径の一定した小径部を先端側の大径部とシャンクとの間に有する。しかし、その小径部は、加工した穴との接触面積を減少させる目的で設けたと推測され、クーラント液の供給や切屑の排出性に影響を及ぼすものとは考え難い。
先端側の大径部をいわゆるダブルマージンにしているため、外部給油方式で使用すると、クーラント液の送り込みがまともになされないことが明らかである。
特許文献3のドリルは、先端の逃げ面に開口するオイルホールを設けることが望ましいとしており、クーラント液を使用する加工では、外部給油ではなく、クーラント液の供給装置が必要な内部給油を想定していると思われる。
特許文献4の深穴加工用ドリルは、第2芯厚部の芯厚を第1芯厚部の芯厚よりも小さくして切屑排出溝を拡幅している。そしてさらに、溝の面粗さを1.5S以下とすることで切屑の摩擦抵抗を減じて切屑の排出性を高めているが、溝の面粗さを1.5S以下とするためにTiAlN等の被膜を付しており、そのための表面処理が必要になってコストに影響する。
また、特許文献4のドリルは、切屑排出溝を拡幅しているが、中心部に芯厚が残存しているため、溝の拡幅に限界があり、加工条件次第では切屑詰まりを生じる虞がある。
特許文献5のドリルは、研磨代部の芯厚を軸線方向後方に向かって漸減させることで切屑の排出性を高めている。しかしながら、このドリルも中心部に芯厚が残存しているため、溝の拡幅に限界があり、加工条件次第では切屑詰まりを生じる虞がある。
特許文献5には、先端の逃げ面に開口するオイルホールを付した図が示されている。しかし、文献5のドリルも、クーラント液を使用する場合には、外部給油ではなく、クーラント液の供給装置が必要な内部給油を想定していると思われる。
この発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、被削材がS45Cなどの金属であっても、径比穴深さが20Dを超えるような深穴を、外部給油方式で行ってステップフィードなしで安定して加工できる1枚刃の深穴加工用のドリルを提供することを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明においては、先端に切れ刃を備える本体と、その本体の後方に連なるシャンクとからなる1枚刃の深穴加工用ドリルを以下の通りに構成した。即ち、
先端に切れ刃を備える本体の外周に、刃先部からシャンクに向けて軸心方向に延びる、凹形に湾曲した溝面を有する1条の切屑排出溝を具備し、
前記本体の先端からシャンクに向かって所定長さ範囲は、外周面がマージンとなっている大径部、その大径部と前記シャンクとの間は大径部よりも小径の小径部としてそれぞれ形成され、
前記大径部の外周には、ドリルの正転方向とは反対向きにねじれたクーラント送出溝が形成され、
前記大径部の全域又はその大径部の少なくとも先端側では、前記切屑排出溝の溝底がドリルの回転中心を超えない位置にあって芯厚が確保され、
その他の箇所では、前記切屑排出溝の溝底がドリルの回転中心を超えて前記本体が、芯厚部が無くて、軸直角断面が真円の1/3を除去した切欠円よりも大きな切欠円の外周面とその外周面よりも直径の小さな切欠円の溝面が組み合わさった三日月状をなしており、
外部給油方式での加工において、前記小径部の外周面と加工された穴の内径面との間にクーラント液の供給通路が形成されるものにした。
このドリルの好ましい形態を以下に列挙する。なお、以下で言うねじれ角は、全て、ドリルの中心軸を基準にした傾き角である。
1)ドリル径をDとして、前記小径部の外径を前記大径部の外径に対して30%以下の範囲で小さくする。(小さくする割合が0%では小径部が存在しないことになるので、0%は含まれない内容にしました)
2)前記切屑排出溝を、ドリルの正転方向にねじれた正のねじれ角を有するねじれ溝、好ましくは、ねじれ角が0°〜15°のねじれ溝や、15°を上限にして正のねじれ角が途中で変化するねじれ溝にする。
3)前記クーラント送出溝のねじれ角を−45°〜−89°にする。
4)前記クーラント送出溝の設置数を複数条にし、前記シャンクに近い側のクーラント送出溝ほど、始端(シャンクに近い側の端部)の位置を、ドリルの回転方向後方に後退させる。
5)前記クーラント送出溝の始端の位置を、前記切屑排出溝からドリルの回転方向後方に後退させ、切屑排出溝とクーラント送出溝の始端との間にマージンのないバイパス路を設ける。
6)前記小径部の外周に、前記クーラント送出溝と同方向にねじれた溝を設ける。
7)ドリル先端の逃げ面のドリル正転方向後方に、逃げ面の一部をドリルの後部側に窪ませて形成されたシンニングヒール面に至るクーラントチャンバを設け、そのクーラントチャンバに前記クーラント送出溝を連通させる。
8)前記クーラント送出溝の設置数を複数条にし、その複数条のクーラント送出溝の中の1条のクーラント送出溝の長手直角断面における断面積を他のクーラント送出溝の長手直角断面における断面積よりも大きくする。
9)前記本体の先端から所定長さ前記シャンク側に移動したX点までの間において、前記切屑排出溝にコアテーパを付して本体の先端から所定長さシャンク側に移動したX点までの間でその切屑排出溝の深さをシャンク側に向かって徐々に増加させ、前記X点よりもシャンク側では前記切屑排出溝の深さを終端の切れ上がり部に向かって一定させるか又は終端の切れ上がり部に向かって徐々に僅かに増加または減少させる。
10)前記大径部の長さを、0.75〜4Dに設定する。
11)本体先端から所定長さの領域を再研磨のための芯厚を有する研磨代部として設定し、その研磨代部の長さを0.08〜0.15Dに設定する。
この発明のドリルは、外部から供給されたクーラント液が前記小径部の外周と加工された穴の内径面間生じた隙間を供給路にして大径部の後端(シャンクに近い側の端部)まで流れ込む。
そして、クーラント液が大径部の外周のクーラント送出溝による送り込み作用(ドリルが回転することによって生じるポンプ作用)によって本体の先端側に流れて刃先部に供給される。
また、刃先部に到達したクーラント液は、切れ刃によってすくい取られた切屑と共に切屑排出溝を通って排出される。
前記クーラント送出溝の始端が切屑排出溝に開放しているものは、供給されるクーラント液が前記大径部の後端から切屑排出溝経由でクーラント送出溝に流入するが、大径部の後端からクーラント送出溝の始端(入口)までの距離が極めて短い。
また、切屑排出溝を通ってクーラント送出溝に流れるクーラント液は、切屑排出溝のクーラント送出溝の始端が開口している側の面や加工された穴の内径面に沿って流れ、切屑排出溝のその他の領域では、クーラント液が排出方向に流れる。
このように、この発明のドリルでは、クーラント液の供給方向への流れと排出方向への流れが分離し、これにより、刃先部に至るクーラント液の単位時間当たりの供給量が増加する。
また、供給量の増加により、クーラント液の単位時間当たりの排出量も増加し、排出方向の流れにより切屑の押し流しの効果が高まる。これに加え、本体の大径部の全域又は先端側を除く箇所では、切屑排出溝の溝底がドリルの回転中心を超えてその切屑排出溝の軸直角断面での断面積が極めて大きくなっており、そのために、切屑の排出も良好になる。
これらの作用効果により、径比穴深さが20Dを超える深穴であっても、内部給油設備の無い加工機を使用してステップフィードなしで、また、切屑排出溝の溝面の摩擦係数を低減するための処理も施さずに安定して加工することが可能になる。
このほか、切屑排出溝が円弧の外周面と円弧の溝面が組み合わさった三日月状をなしているため、その切屑排出溝に流入した切屑が溝面に沿って径方向外側に誘導されることがなく、加工された穴面の切屑による傷つきも効果的に防止される。
なお、上記1)〜11)の好ましい形態に関する作用効果の説明は、発明を実施するための形態の項で行う。
この発明のドリルの一例を示す斜視図である。 図1のドリルの全体を示す側面図である。 図1のドリルの寸法諸元の一部を示す側面図である。 図1のドリルの要部を軸線に沿って切断した図である。 図1のドリルの先端部を拡大して示す斜視図である。 図1のドリルの先端部を図5とは反対方向から見た斜視図である。 図2のXI−XI線に沿った拡大断面図である。 図2のXII−XII線に沿った拡大断面図である。 クーラント送出溝の始端の変形例を示す要部の拡大斜視図である。 クーラント送出溝の始端の他の変形例を示す要部の拡大斜視図である。 この発明のドリルの他の例の全体を示す側面図である。 図11のドリルの先端側の一部を拡大して示す斜視図である。 この発明のドリルのさらに他の例を示す拡大正面図である。 図13のドリルの先端側の一部を拡大して示す斜視図である。 図13のドリルの先端側の一部を拡大して示す側面図である。 この発明のドリルの小径部の設置効果を確認するために行った検証試験方法の説明図である。 この発明のドリルでS45Cの被削材に穴をあけ、外部給油による実際の加工で刃先部にクーラント液が確実に送り込まれるかを調べた検証試験方法の説明図である。 この発明のドリルによる穴加工で発生した切屑の一形態を示す側面図である。
以下、添付図面の図1〜図18に基づいて、この発明の深穴加工用1枚刃ドリルの実施の形態を説明する。
図1〜図4に示すように、例示の深穴加工用1枚刃ドリル1は、超微粒子の粉末を焼き固めた超硬丸棒素材を加工して作られたものであって、本体(ボディ)2と、その本体2の後方に連なったシャンク3とからなる。本体2は、高速度鋼などの他の素材で形成されたものであってもよい。
本体2は、先端に切れ刃4(図2、図3、図5参照)を備え、先端角α(図3参照)が110°〜160°に設定されている。また、外周に、刃先部からシャンク3に向けて軸心方向に延びる1条の切屑排出溝5を有する。また、切屑排出溝5の回転中心側に偏った箇所の溝面を掘り下げるシンニング溝2d(図5参照)を先端部に有する。本体2の先端の径方向中心部には、通常のドリルと同様の微小幅のチゼル刃2f(図13〜図15参照)が存在する。
例示のドリルの切屑排出溝5は、ドリルの正転方向にねじれており、溝面5cが図7、図8に示すように、凹形に湾曲した溝になっている。
本体2の先端からシャンク3に向かって所定長さL1の範囲(図3参照)は、外周面がマージン6となっている大径部2aとして、また、その大径部2aとシャンク3との間は、大径部2aよりも外径の小さい小径部2bとしてそれぞれ形成されている。
小径部2bはストレート形状に限定されない。例えば、シャンク3側が僅かに大径となるように長手方向に外径が徐々に変化していてもよい。外径の変化は、小径部の強度向上を図るのに有効であり、外周面をテーパ面にしたり、緩やかな湾曲面にしたりして作り出すことができる。
大径部2aの長さL1は、ドリルの直進性と後述するクーラント送出溝8の設置領域を考えると、0.75D以上確保するのがよい。ドリルの機能再生のための再研磨を行うドリルについては、研磨代部の設定長さに0.75Dを加算して、大径部2aの最小長さを決定するとよい。
例示のドリルは、図3に示した大径部2aの外径(=ドリルの直径D)がφ3.2mmであり、小径部2bの外径dは、φ2.7mmとなっている。大径部2aと小径部2bの径差は、直径で0.5mm、加工した穴の内径面と小径部2bの外周との間には、0.25mmの隙間ができる。
小径部2bの外径は、その小径部の強度維持を考えると、大径部の外径に対して30%以下の範囲で小さくするのがよい。直径が10mmを超えるようなドリルについては、大径部2aとの径差を0.5mm程度の一定値に固定しても、小径部2bの外周を通してクーラントの供給が不足なくなされる。
大径部2aの外周には、ドリルの正転方向とは反対向きにねじれて本体2の先端の逃げ面7やマージン部(大径部2a)のドリル正転方向後方の縁に至るクーラント送出溝8が形成されている。そのクーラント送出溝8は、設置数を複数条にすると、刃先部に対するクーラント液の供給量が増えて好ましい。
そのクーラント送出溝8は、同一ねじれ角でねじれるものを3条設けたが、その溝の設置数は3条に限定されない。少なくとも1条あれば、クーラント液を送り込むポンプ作用が得られる。
クーラント送出溝8は、一部の溝の始端8aが大径部2aの軸方向後端に開放し、残りの溝の始端8aは、大径部2aのリーディングエッジ側において切屑排出溝5に開放している。
ただし、クーラント送出溝8の設置数が多いほど、ポンプ作用が強化される上に、既述の3)と4)の構成を採用することも可能になって有利となる。
なお、クーラント送出溝8の形状は、溝底が平坦な溝、凹円弧をなす溝、断面がV字状或いは溝底に向かって幅が狭くなる倒立台形状の溝のいずれであってもよい。断面がV字状の溝は、交差する2つの溝面の幅が等しい溝、不等幅の溝のどちらであってもよい。
切屑排出溝5は、本体2の先端から図4に示したX点までの範囲では、溝底5aにδ(例示のドリルのδは3°)の傾き角を有するコアテーパが付されていて溝深さが徐々に増加し、コアテーパ部の終端であるX点で溝深さが最大となってX点から終端の切れ上がり部5bまでの溝深さは一定したものになっている。図のドリルのX点は、本体2の先端から約4D後退した位置にある。
切屑排出溝5の溝底5aは、例示のドリルの場合、大径部2aの後端付近でドリルの回転中心Oと重なる位置にあり、その位置よりも大径部2aの先端側には芯厚が確保されている。
また、溝底5aがドリルの回転中心Oと重なった位置よりも後部側では、溝底5aがドリルの回転中心Oを超えて(図8を同時参照)切屑排出溝5の軸直角断面での断面積が大きく確保され、本体2が芯厚部の存在しない構造となっている。
その芯厚部の存在しない部位の軸直角断面は、真円の1/3を除去した形の切欠円よりも大きな(真円に近い)切欠円の外周面2cと、その外周面2cよりも直径の小さな切屑排出溝5の凹円弧(切欠円)の溝面5cが組み合わさった三日月状をなしている(図8参照)。
これにより、切屑排出溝5に流入した切屑は、切屑排出溝5の溝底5a側に取り込まれ、径方向外側に向かって誘導されることがなくなる。
切屑排出溝5のX点から切れ上がり部5bまでの溝深さは、例示のドリルについては一定させているが、僅かの量であれば、切れ上がり部5bに向かって徐々に増加または減少していてもよい。(増減による効果の説明は省きました。)
この発明のドリルでは、クーラント液による切屑の押し流しの効果が得られるので、切屑排出溝5はねじれ角が0度の溝であってもよいが、切屑排出溝5が正のねじれ角を有するねじれ溝であると、切屑の排出性がより優れたものになる。
その切屑排出溝5の図1に示した正のねじれ角βは、種々の実験の結果、ドリルの直径、1分間当たりの回転数、加工する穴の深さ(本体の有効長部の長さ)などにもよるが、0°〜15°程度が適当である。正のねじれ角を有する切屑排出溝5は、正のねじれ角が途中で変化していても構わない。この場合もねじれ角の上限値は、15°程度が好ましい。
また、クーラント送出溝8の図3に示したねじれ角γは、−45°〜−89°程度が適当である。
クーラント送出溝8が複数条設置されるドリルは、好ましい形態として、図9に示すように、シャンク3に近い側のクーラント送出溝8ほど、始端8aの位置をドリルの回転方向後方に後退させたものが考えられる。
このように構成したものは、供給方向に流れるクーラント液が切屑排出溝5を通らずにクーラント送出溝8(最先端のクーラント送出溝を除く)に流入し、クーラント液の刃先部への供給がより円滑になる。
また、これも好ましい形態として、図10に示すように、クーラント送出溝8の始端8aを、切屑排出溝5からドリルの回転方向後方に後退させて切屑排出溝5とクーラント送出溝8の始端8aとの間にバイパス路(マージンのない領域)9を形成したものが考えられる。
バイパス路9を作り出す部位の外径は、前記小径部2bの外径と等しくてもよいし、小径部2bの外径よりも小さくしてもよい。また、図10のバイパス路9は、大径部2aのリーディングエッジ2eからドリルの回転方向後方に後退した位置にある。
図のバイパス路9は、ドリルの軸芯と平行な溝になっているが、軸芯に対して−15°〜15°程度傾いていても差支えない。
このように構成したものは、供給方向に流れるクーラント液の一部がバイパス路9を通って刃先部に流れることができ、クーラント液が刃先部に向けて直接供給される。
さらに、これも好ましい形態として、図11、図12に示すように、小径部2bの外周に、クーラント送出溝8と同方向にねじれたねじれ溝2gを、好ましくは、クーラント送出溝8を延長した線上に配置して設けたものが考えられる。
ねじれ溝2gは、小径部2bの強度を損なわない深さの極く浅い溝にする。このねじれ溝2gを設けると、小径部2bの外周を通って供給されるクーラント液が供給方向に誘導され易くなるほか、整流効果も期待できる。
図13〜図15は、ドリル先端の逃げ面7のドリル正転方向後方に、逃げ面7の一部をドリルの後部側に窪ませて形成されたクーラントチャンバ10を示している。図示のクーラントチャンバ10は、凹形に湾曲していてシンニングヒール面11に至っている。
そのクーラントチャンバ10には、クーラント送出溝8が連通しており、クーラント送出溝8を通して送り込まれたクーラント液がクーラントチャンバ10に流入する。そして、そこから切れ刃4による切削部に流れる。切削部の効率的な潤滑と冷却を考えると、これも好ましい構造と言える。
クーラント送出溝8は、設置数が複数条に設定される場合には、その複数条のクーラント送出溝の中の1条のクーラント送出溝の長手直角断面における断面積を、溝幅を大きくするなどして他のクーラント送出溝の長手直角断面における断面積よりも大きくしてその溝を主溝として機能させることができる(図12と図15参照)。
このほか、経済性を考慮すると、再研磨による機能再生が行えるドリルが望まれる。その要求に応えるために、大径部2aの本体先端から所定長さの領域を再研磨のための研磨代部として設定する形態も考えられる。
その再研磨対応のドリルは、大径部2aの研磨代部では、切屑排出溝5の溝底5aがドリルの回転中心を超えない位置にある。
その再研磨対応のドリルは、例えばD=φ3.2mmのドリルの場合、研磨代部の長さの最小値を0.25mm(0.25/3.2≒0.08)に設定すると、刃先部の摩耗が正常摩耗の場合、2回の再研磨を行うことができる。
研磨代部の軸方向長さは、0.08〜0.15D程度が適当と思われる。これを考慮すると、研磨代部を付与したドリルの大径部2aの好ましい長さの最小値は、0.75D+0.08D=0.83Dとなる。
その設定によれば、再研磨がなされて研磨代がゼロになったときにも、クーラント送出溝8が残存してその溝によるクーラント液の送り込み性能が維持される。
上述したこの発明の深穴加工用1枚刃ドリル1は、本体2の小径部2bの外周面と加工された穴の内径面との間に生じる隙間が供給通路となってその通路経由で外部から供給されたクーラント液が本体2の大径部2aに向けて流れる。
そして、そのクーラント液が大径部の外周のクーラント送出溝8に取り込まれ、そのクーラント送出溝8によるポンプ作用によって刃先側に強制的に送り込まれる。
また、刃先の冷却、潤滑を行ったクーラント液は、切れ刃4によってすくい取られた切屑と共に切屑排出溝5を通って外部に排出される。
このときに供給方向に流れるクーラント液が切屑排出溝5を通る量は極めて少ない(クーラント送出溝8の始端の位置によってはその量はほぼゼロになる)。
このように、小径部2bの外周面と加工された穴の内径面との間に隙間を生じさせ、その隙間を供給通路となしたことによってクーラント液の供給方向への流れと排出方向への流れが分離し、双方の流れが打ち消しあうことが無くなる。
これにより、刃先部に至るクーラント液の単位時間当たりの供給量が増加して刃先の冷却と潤滑の効果が高まる。
また、クーラント液の単位時間当たりの排出量も、供給量と共に増加し、排出方向の流れによる切屑の押し流しの効果が高まって切屑の排出も良好になる。
切屑の排出は、本体の先端側を除く部分が芯厚部の存在しない形状となって切屑排出溝5の軸直角断面での断面積が極めて大きくなっていることによっても高められる。
S45Cの被削材に対するφ3.2mmの試作ドリルによる穿孔試験では、図18に示すように、連続的にカールした切屑Cが折れずに排出された。
これは、切屑排出溝5の軸直角断面での断面積が極めて大きくなっているからであり、切屑Cが折れずに排出されることで、切屑詰まりは全く起こらなかった。
(検証試験1)
クーラント送出溝の有効性を確認するための試験を行った。その試験は、透明な試験管をドリルによって穿孔された穴の拡大モデルと考え、外径が前記試験管の内径寸法に合致する大径部を備えた樹脂製のドリルのモデルを3Dプリンターを使って製作した。
製作したドリルのモデルは、大径部にクーラント送出溝を有する。そのモデルは、クーラント送出溝のねじれ角を種々変化させたものを13種類用意した。
次に、光反射性のフィラーを混入して流れ方向を目視確認できるようにした水を前記試験管に入れ、その試験管にそれぞれのドリルモデルを挿入してクーラント送出溝のねじれ方向とは反対向き(ドリルの正転方向)に回転させ、このときの、フィラー混入水の流れを外部から目視確認した。
その結果、クーラント送出溝のねじれ角が−45°〜−89°のモデルは、フィラー混入水が試験管の底に向けて押し流され、ポンプ作用が確実に生じることを確認した。
この試験に基づき、本体2の大径部2aに設けるクーラント送出溝8のねじれ角γは、−45°〜−89°が適当であると判断した。
(検証試験2)
本体の小径部の設置効果に関する確認試験を行った。
この試験に用いたテスト用ドリルは、図3に示した直径D=3.2mm、大径部長さL1=5.0mm、先端角α=135°、小径部直径d=2.7mm、先端からシャンクまでの有効長L2=80mm、全長L3=120mm、切屑排出溝のねじれ角β(図1参照)=3°、クーラント送出溝のねじれ角γ(図3参照)=55°、小径部の溝底部厚みt(図4、図8参照)≒0.6mmの仕様の試作ドリル(発明品1)と、市販の2枚刃の深穴加工用ツイストドリル2種(比較品)である。比較品はねじれ溝のねじれ角が40°と37°である。
試験は、図16に示した透明アクリル樹脂ブロック20を用意した。その透明アクリル樹脂ブロック20は、上面にクーラント液をためる中央部の落ち込んだポケット21を加工し、そのポケットの底にテスト用ドリルがピッタリと合う穴22を貫通させて設けている。
そして、その透明アクリル樹脂ブロック20の穴22にテスト用ドリルを差し込み、実用面で採用される切削速度Vc≒25〜80mでドリルを回転させて前記ポケット21に給油ノズル23から吐出したクーラント液を流し入れ、そのクーラント液がドリルの先端部に流れるか否かを調べた。
その結果、発明品は、全切削速度領域においてクーラント液が穴の下方に円滑に流れた。これに対し、比較品は、Vc=30m付近において切屑排出溝に流入したクーラント液がリフトアップされ、ポケット21に供給されたクーラント液は減る様子が見られなかった。これでは、刃先部が無給油状態になる。
この試験の結果から、本体の小径部がクーラント液の供給路として有効に機能していることを確認した。
(検証試験3)
クーラント液のリフトアップが生じる切屑排出溝のねじれ角の大きさについて調べた。試験は、直径3.2mmと5.9mmの市販品の2枚刃のテスト用ツイストドリルを用いて行った。
直径3.2mmのテスト用ツイストドリルは、切屑排出溝のねじれ角が12°、15°、20°、26°、30°、34°の6種類とした。また、直径5.9mmのテスト用ツイストドリルは、切屑排出溝のねじれ角が15°、20°、25°、30°の4種類とした。
試験には、上面にクーラント液をためる中央部の落ち込んだポケットを加工し、そのポケットの底にテスト用ツイストドリルがピッタリと合う直径3.2mmと直径5.9mmの穴を貫通させて設けた透明アクリル樹脂ブロックを用いた。
その透明アクリル樹脂ブロックの穴に適合した直径を有しているテスト用ツイストドリルを挿入し、そのドリルを任意の回転数で回転させながら透明アクリル樹脂ブロックの上面のポケットにクーラント液を流し入れた。そして、この状態でドリルの回転数を増減させ、ポケット内のクーラント液がリフトアップ効果によって減らなくなる(穴に流入しなくなる)回転数を調べた。
その結果を下にまとめる。
・直径3.2mmのテスト用ツイストドリル
切屑排出溝のねじれ角 12°:9,000rpm、15°:8,000rpm、20°:7,000rpm、26°:6,000rpm、30°:5,000rpm、34°:4,000rpm
・直径5.9mmのテスト用ツイストドリル
切屑排出溝のねじれ角 15°:3,100rpm、20°:2,700rpm、25°:2,500rpm、30°:2,200rpm
切屑排出溝のねじれ角は、本体のねじれ剛性確保の観点からは小さいほどよい。一方、切屑排出性の面ではクーラント液のリフトアップが起こらない範囲でできるだけ大きくするのがよい。
その兼ね合いと、一般的に用いられる切削条件及びねじれ溝の加工性を考えると、発明品のドリルについては、切屑排出溝のねじれ角は0°〜15°程度にするのが好ましいと推測される。
(検証試験4)
検証試験2の発明品を用いて透明アクリル樹脂のテストピースに穴をあけ、本体の小径部の外周を伝い降りたクーラント液が、大径部外周のクーラント送出溝のポンプ作用によって刃先部に回り込むかを目視確認した。この試験での切削速度は、Vc=10mとした。
この試験では、被削材がアクリル樹脂のため、延性が高く、切屑が金属のようにカールすることがなくて中実のスポンジ状の切屑が発生し、その切屑がクーラント送出溝の入口(始端)を塞いだために、径比穴深さが11D付近までの状態しか確認できなかったが、確認できた範囲では、本体の小径部の外周を伝い降りたクーラント液がクーラント送出溝を流れて確実に刃先部に回り込むことを確認できた。
さらに、効果の違いを確かめるために、小径部の外径をφ2.5mmにしたドリル(その他の諸元は発明品1と同じにした発明品2)を製作して試験を行ったところ、径比穴深さが17Dまでの状態を確認することができた。これにより、小径部と加工した穴の壁面とのクリアランスの大きさなどによってクーラント液を誘導できる能力が左右されることを確認できた。この試験の被削材も、アクリル樹脂である。
同じ試験を検証試験3で用いた比較ドリルでも行った。その比較ドリルは、加工した穴深さが2D〜3D付近でクーラント液による刃先部が潤滑難しくなり、発明品との送り込みの差が歴然であった。
(検証試験5)
検証試験2の試作ドリル(直径D=3.2mmの発明品)S45Cの被削材に穴をあけ、外部給油による実際の加工で刃先部にクーラント液が確実に送り込まれるかを調べた。
この試験は、図17に示すように、被削材24に対し、深穴をあける際に到達する各穴深さのポイントpを複数箇所設定し、そのポイントpの各々に窓穴25となるアクリルの透明樹脂を埋め込み、ドリルがそのポイントpに到達した瞬間を高速度カメラ(スーパースローカメラ)でアクリルの窓穴25を透して撮影する方法で行った。
この試験の結果、各ポイントpにドリルの先端が到達したときにドリルの刃先部にクーラント液が確実に供給されていることを確認した。径比穴深さが20Dに到達した位置と、その位置に達するまでの各ポイントにおいてクーラント液はドリルの刃先部に良好に送り込まれていた。
(検証試験6)
直径D=5.9mm、大径部長さL1=9.2mm、先端角α=135°、小径部直径=5.0mm、先端からシャンクまでの有効長L3=148mm、全長L4=220mm、切屑排出溝のねじれ角β=3°、クーラント送出溝のねじれ角γ=55°の仕様のドリル(これも発明品)も試作し、これを用いて検証試験5と同様の確認試験を行った。その結果は検証試験5と変わりがなかった。
(検証試験7)
検証試験5で用いた直径D=3.2mmの発明品と、検証試験6で用いた直径D=5.9mmの発明品を用いてS45Cの被削材に対して、径比穴深さが20Dの深穴を下記の切削条件で連続的に加工した。
・直径D=3.2mmのドリルの切削条件
切削速度Vc=50m(回転数n=5,000rpm)、送りf=0.15mm/rev
・直径D=5.9mmのドリルの切削条件
切削速度Vc=28m(回転数n=1,500rpm)、送りf=0.03mm/rev
外部給油実施
なお、この加工はセンタードリルで穴あけ箇所に印をつけるいわゆるセンターモミを施して行った。
この試験の結果、どちらのドリルも、連続加工が問題なく実施できた。本体の小径部の大部分が芯厚のない構造となっているにもかかわらず、剛性不足に起因する加工中のドリル振動などは起こらず、30穴の穴あけ後も何ら異常は見られなかった。
また、切屑排出溝の溝面が凹円弧に湾曲していること、および、本体の小径部の大部分が芯厚のない構造となっていて切屑排出溝の断面積が増大していることにより、上記の加工で発生した切屑はストレスなく回転しながら排出され、そのために、その切屑Cは、図18に示すような綺麗な巻き形状を維持し、それが途中で分断されることなく連続的に排出された。
上記の検証試験結果からもわかるように、この発明のドリルは、径比穴深さが20Dを超える深穴であっても、内部給油設備の無い加工機を使用してステップフィードなしで安定して加工することが可能になる。
なお、この発明のドリルは、S45Cなどの金属に対する穴加工用として特に適しているが、被削材は金属に限定されない。
また、この発明は、オイルホールの加工が難しい直径の小さなドリルに適用すると、その有効性が特に顕著に発揮されるが、直径の大きなドリルも、この発明を適用するとクーラントの内部給油設備が不要であるので、十分な恩恵が期待できる。
1 深穴加工用1枚刃ドリル
2 本体
2a 大径部
2b 小径部
2c 外周面
2d シンニング溝
2e リーディングエッジ
2f チゼル刃
2g ねじれ溝
3 シャンク
4 切れ刃
5 切屑排出溝
5a 溝底
5b 切れ上がり部
5c 溝面
6 マージン
7 逃げ面
8 クーラント送出溝
8a 始端
9 バイパス路
10 クーラントチャンバ
11 シンニングヒール面
α 先端角
β 切屑排出溝のねじれ角
γ クーラント送出溝のねじれ角
δ コアテーパの傾き角
D ドリル径
d 小径部外径
L1 大径部の軸方向長さ
L2 有効長
L3 全長
X コアテーパ部の終端
O ドリルの回転中心
20 透明アクリル樹脂ブロック
21 ポケット
22 透明アクリル樹脂にあけた穴
23 給油ノズル
24 被削材
25 窓穴
p 深穴加工での各穴深さのポイント
C 切屑

Claims (9)

  1. 先端に切れ刃(4)を備える本体(2)と、その本体(2)の後方に連なるシャンク(3)とからなる1枚刃の外部給油を行って使用する深穴加工用ドリルであって、
    前記本体(2)の外周に、刃先部から前記シャンク(3)に向けて軸心方向に延びる、凹形に湾曲した溝面(5c)を有する1条の切屑排出溝(5)を具備し、
    前記本体(2)の先端から前記シャンク(3)に向かって所定長さ範囲は、外周面がマージン(6)となっている大径部(2a)として、また、その大径部(2a)と前記シャンク(3)との間は前記大径部(2a)よりも小径の小径部(2b)としてそれぞれ形成され、
    前記大径部(2a)の外周には、ドリルの正転方向とは反対向きにねじれたクーラント送出溝(8)が設けられ、
    前記大径部(2a)の全域又はその大径部(2a)の少なくとも先端側では、前記切屑排出溝(5)の溝底(5a)がドリルの回転中心を超えない位置にあって芯厚が確保され、
    その他の箇所では、前記切屑排出溝(5)の溝底(5a)がドリルの回転中心(O)を超えて前記本体(2)が、芯厚部が無くて軸直角断面が真円の1/3を除去した切欠円よりも大きな切欠円の外周面(2c)とその外周面(2c)よりも直径の小さな切欠円の溝面(5c)が組み合わさった三日月状をなしており、
    前記小径部(2b)の外周面と加工された穴の内径面との間にクーラント液の供給通路が形成されるものにした深穴加工用1枚刃ドリル。
  2. 前記切屑排出溝(5)を、ドリルの正転方向にねじれた15°以下の正のねじれ角を有するねじれ溝にした請求項1に記載の深穴加工用1枚刃ドリル。
  3. 前記クーラント送出溝(8)のねじれ角を−45°〜−89°にした請求項1又は2に記載の深穴加工用1枚刃ドリル。
  4. 前記クーラント送出溝(8)の設置数を複数条にし、前記シャンク(3)に近い側のクーラント送出溝(8)ほど始端(8a)の位置を、ドリルの回転方向後方に後退させた請求項1〜3のいずれかに記載の深穴加工用1枚刃ドリル。
  5. 前記小径部(2b)の外周に、前記クーラント送出溝(8)と同方向にねじれたねじれ溝(2g)を設けた請求項1〜4のいずれかに記載の深穴加工用1枚刃ドリル。
  6. ドリル先端の逃げ面(7)のドリル正転方向後方に、逃げ面(7)の一部をドリルの後部側に窪ませて形成されたクーラントチャンバ(10)を設け、そのクーラントチャンバ(10)をシンニングヒール面(11)に至らせ、そのクーラントチャンバ(10)に前記クーラント送出溝(8)を連通させた請求項1〜5のいずれかに記載の深穴加工用1枚刃ドリル。
  7. 前記クーラント送出溝(8)の設置数を複数条にし、その複数条のクーラント送出溝(8)の中の1条のクーラント送出溝の長手直角断面における断面積を他のクーラント送出溝の長手直角断面における断面積よりも大きくした請求項1〜6のいずれかに記載の深穴加工用1枚刃ドリル。
  8. 前記本体(2)の先端から所定長さ前記シャンク(3)側に移動したX点までの間において、前記切屑排出溝(5)の溝底(5a)にコアテーパを付して前記切屑排出溝(5)の溝深さを前記シャンク(3)側に向かって徐々に増加させ、前記X点よりも前記シャンク(3)側では前記切屑排出溝(5)の溝深さを終端の切れ上がり部(5b)に向かって一定させるか又は前記切れ上がり部(5b)に向かって徐々に僅かに増加もしくは減少させた請求項1〜7のいずれかに記載の深穴加工用1枚刃ドリル。
  9. 前記大径部(2a)の長さを0.75〜4.0Dに設定し、さらに、本体先端から所定長さの領域を再研磨のための研磨代部として設定し、芯厚を有するその研磨代部の長さを0.08〜0.15Dに設定した請求項1〜8のいずれかに記載の深穴加工用1枚刃ドリル。
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