JP2004122295A - 深穴加工用ドリル - Google Patents
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Abstract
【構成】深穴を加工するツイストドリルにおいて、該ドリルの刃部の心厚が先端側から基端側に向けて、厚みが略一定の第一心厚部、第二心厚部とを備え、該第一心厚部の心厚を該第二心厚部の心厚より大とし、且つ、該ドリルの溝面粗さを1.5S以下としたことを特徴とし、第一心厚部の心厚と第二心厚部の心厚とをドリル直径の0.5%以上8%以下小さくすることにより切屑排出性を高めた深穴加工用ドリルである。
【選択図】図2
Description
【産業上の利用分野】
本願発明は、加工深さがドリル直径の15〜30倍程度の深穴加工用ドリルに関し、詳細には切屑排出作用を円滑にすることにより、ノンステップで加工できる深穴加工用ドリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に用いられているドリル径の2〜3倍程度の通常の穴加工用ドリルでは、切屑がカールした連続切屑が生成され、ドリル径の5倍程度の加工深さで切屑の排出が不能となり、切屑排出溝中に詰まる事で切削トルクの増大を招き、しいてはドリルの折損に至る。そこで、直径の5倍以上の深さを加工する場合、溝形状を通常のコーンケープからバラボリックにした深穴用ドリルが用いられ(例として、実公平3−33375号公報。)、切屑の排出方向をリード方向に制御し、リボン状切屑形状にする事で穴内壁とドリル溝との空間から切屑を排出しやすくし、ドリル径の10倍程度までノンステップ加工できる深穴用ドリルが使用されている。
【0003】
また、特開2000−52119号公報には、ドリルの切れ刃及び溝部にTiC、TiN、TiCN、TiAlN等の高融点硬質物質を物理蒸着(PVD)により、コーティングした後、前記溝部表面の微細突起部を除去したことを特徴とする深穴加工用ドリルが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、ドリル直径の15〜30倍程度の深穴をノンステップで加工できるツイストドリルを検討したところ、切屑排出、特に、切屑排出は刃溝の中途で切屑詰まりを起こし、一度切屑が滞留するとそのまま留まってしまい、ステップ送り等別の工程を入れて排出しなければならないという課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明では、上記の課題を解決するため、ドリル直径の15倍以上の深穴をノンステップ加工できるツイストドリルを鋭意研究した結果、深穴を加工するツイストドリルにおいて、該ドリルの刃部の心厚が先端側から基端側に向けて、厚みが略一定の第一心厚部、第二心厚部とを備え、該第一心厚部の心厚を該第二心厚部の心厚より大とし、且つ、該ドリルの溝面粗さを1.5S以下としたことを特徴とする深穴加工用ドリルであり、更には、第一心厚部の心厚と第二心厚部の心厚とをドリル直径の0.5%以上8%以下小さくし、該第一心厚部の長さがドリル径の1/2倍以上10倍以下に設けることにより、切屑排出性を高めた深穴加工用ドリルである。
【0006】
【発明実施の形態】
先ず、深穴加工時に刃先で生成された切屑は、切屑生成時に発生する切屑押し出し力により、ドリル刃溝を擦過しながら基端側へ搬送されるが、搬送距離が長くなるに従い溝面や穴内壁と切屑の摩擦抵抗が増加し、やがて切屑押し出し力は失われ、切屑詰まりを起こす。切屑詰まりが発生するのは刃溝の中途であり、本願発明では、ドリル先端部から一定距離までの心厚(以下、第一心厚部と称する。)よりドリル溝切上がり部を除く、ドリル溝基端側の心厚(以下、第二心厚部と称する。)を小さくし、その溝の面粗さを1.5S以下とした。より好ましくは、鏡面を除く0.5S〜1.0Sの範囲である。この構成により刃溝の容積を拡げ、溝を拡幅するとともに切屑の溝中搬送時の摩擦抵抗を減ずることができ、切屑詰まりを起こしにくくなる。溝の面粗さが2.0S以上では、刃溝の容積を拡げ溝を拡幅しても、切屑が溝面を円滑に滑らず溝中で切屑が踊り、切屑の方向が変ることで切屑の流れが乱流となり、切削ロードの変動を伴うような不安定な切削となる。溝面粗さが1.5S以下では、切屑が溝面をスムーズに流れ、切屑の踊りもなく切屑の流れが層流の状態で維持され、安定した切削が行われる。よって、溝面粗さを1.5S以下とした。
【0007】
コーンケーブ溝形状、凹状溝形状、バラボリック溝形状いずれのドリルによる穴加工でも、先端切刃で切削された切屑は、先端切刃より後方のドリル直径の約0.5倍程度の長さの位置でドリル溝と穴内壁により、曲げや圧縮作用を受け、切屑の形状ならびに切屑体積がドリル溝と穴内壁に収まる形に成形される。形成されたチップ状切屑は、ドリルの切削力により溝中に順次押し出されるが、ドリル溝と穴内壁の摩擦抵抗により切屑の押し出される力は減じ、穴深さが深くなるに従って、やがては切屑を押し出す力は失われ切削詰まりを起こす。この切屑詰まりを起こす深さが深穴用ドリルではドリル径の8〜10倍である。この付近で刃溝容積を拡大することにより、切屑を押し出す力を阻害する摩耗抵抗をより減じる事で改善が図られる。
【0008】
より好ましくは、第二心厚部と第一心厚部の差をドリル直径の0.5%以上とすることによりこの作用を確実なものとする。ドリルの第一心厚部と第二心厚部の心厚の差がドリル径の10〜15倍程度の穴深さで切屑詰まりが発生し、心厚の差が8%以上では相対的に第二心厚部の心厚が薄くなり、ドリルの剛性が不足し加工時にドリルが撓んだり柄部に与えられた回転トルクを切刃に充分に伝達できずドリルに捩れが生ずる為、ドリル心厚の差を0.5%以上8%以下とした。また、第一心厚部、第二心厚部の略一定とは、回転軸と略平行に設けても、通常のウェブテーパでも逆のウェブテーパであっても良く、また、ドリル製作上の都合により発生する100mmにつき±0.3mm程度の勾配なら、切屑の押し出す力を大幅に減じたり、ドリル剛性を大きく損う事はない。
【0009】
第一心厚部の長さは、ドリルリードの1/2以下では切刃で生成された切屑を充分に成形し、方向を整える事が出来ず起点の位置がドリルリードの5リード以上ではドリル溝と穴内壁による切屑擦過の摩擦が大きく、切屑詰まりを解消できないため、第一心厚部の長さはドリルリードの1/2以上5以下の範囲とした。次に、該ドリルにクーラントホールを設けてクーラントとして油性切削油、水溶性切削油、ミスト及びエアー等を送ることにより、穴明け加工によって生ずる切削熱を冷却し、また潤滑性を高め切屑排出をよりスムーズに行うことが出来る。更に、ハイス基材或いは超硬合金基材の表面に硬質皮膜及び/又は潤滑性皮膜を被覆することで、切削寿命、切削作業速度の向上は図れるが、コーティングを施さないものにおいても切削寿命、切削作業速度の低下以外は、ノンステップでの深穴加工性能は変わらないものである。以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
【0010】
【実施例】
(実施例1)
本発明例1としてコーンケーブ溝形状で図1及び図2に示す心厚構成を有したコバルトハイス製ストレートシャンク深穴ドリル、すなわちドリル径=6.0mm、溝長=220mm、全長=300mm、第一心厚部=0.4×D、第二心厚部=0.37×D、第一心厚部長さ=6×ドリル径、ドリル捩れ角=40°、表面処理=なし、エアロラップ処理装置を用いて、溝の面粗さ=1.5Sを製作した。また、比較例2、3として、本発明例1のドリルと同仕様で溝の面粗さ=2.0S、2.5Sとし製作した。本発明例1、比較例2、3のドリル各々3本を、切削速度=25m/min、1回転の送り=0.09mm/rev、水溶性切削油、ガイド穴=φ6×12mm、立型マシンニングセンター(3.7kw、BT30)を用いて、S50C生材をノンステップで180mm(30D)を10穴加工し、切削の状況を確認した。
【0011】
その結果、本発明例1は、いずれもノンステップで180mm(30D)加工出来、機械ロードの変動幅も1〜2%で安定していた。比較例2は、機械ロード15〜20%の変動を伴い、ピーク機械ロードが40%以下でかろうじて加工を継続してノンステップで180mm(30D)を加工出来た穴もあったが、ほとんどの加工は機械ロード変動幅が20〜30%の変動を伴い、入り口よりの加工深さが150mm(25D)付近でピーク機械ロードが50%を越え、折損の危険があるのでこの時点で加工を中止した。3本中全てにこの現象が生じ、加工の安定性が乏しかった。比較例3は、3本とも1穴目から10穴目まで全ての加工で機械ロード変動幅か20〜30%で入り口よりの加工深さ90mm(15D)付近で機械ロードが50%を越え、加工中止した。
【0012】
(実施例2)
本発明例4として、凹状溝形状で図2に示す心厚構成を有したオイルホール付超硬合金製ストレートシャンク深穴ドリル、すなわちドリル径=6.0mm、溝長=180mm、全長=250mm、第一心厚部=0.4×D、第二心厚部=0.37×D、第一心厚部長さ=5×ドリル径、ドリル捩れ角=30°、表面処理=TiAlNコーティング、同じくエアロラップ装置を用いて、溝の面粗さ1.5Sを製作した。比較例5〜8として、本発明例4のドリルと同仕様で第二心厚部を0.397×D、0.395×D、0.320×D、0.310×Dとし製作した。本発明例4、比較例5〜8のドリル各々3本を、切削速度=80m/min、1回転の送り=0.12mm/rev、水溶性切削油、ポンプ吐出圧力=2Mpa、ガイド穴=φ6×12mm、立型マシニングセンター(3.7kw、BT30)を用いて、S50C生材をノンステップで150mm(25D)を10穴加工し、切削の状況を確認した。
【0013】
その結果、本発明例4は、150mm(25D)加工出来、機械ロードの変動幅も1〜2%で安定していたが、比較例5は、機械のロードが15〜25%の変動幅で不安定であり、入り口より60mm(10D)の加工深さで機械ロードが50%を越え、3本とも折損した。比較例6は、機械ロードの変動幅が3〜5%で安定しており3本とも150mm(25D)を10穴加工できた。比較例7、8は、機械ロードの変動幅が1〜2%で安定しており、いずれも150mm(25D)を10穴加工できたが、比較例8は加工中剛性不足による小さな振動が観られ、加工終了後の刃先に微少な欠損が3本中1本に観られた。
【0014】
【発明の効果】
本願発明を適用することにより溝中切屑の滑りをよくするとともに、第二心厚部の刃溝及び穴内壁と切屑の摩擦を減少し、切屑の押し出す力を長く維持出来るうえ、ノンステップでドリル直径の20倍の切削加工が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明例のドリルの正面図を示す。
【図2】図2は、図1の一部断面図を示す。
【符号の説明】
1 第一心厚部の長さ
2 第二心厚部の長さ
Claims (5)
- 深穴を加工するツイストドリルにおいて、該ドリルの刃部の心厚が先端側から基端側に向けて、厚みが略一定の第一心厚部、第二心厚部とを備え、該第一心厚部の心厚を該第二心厚部の心厚より大とし、且つ、該ドリルの溝面粗さを1.5S以下としたことを特徴とする深穴加工用ドリル。
- 請求項1記載の深穴加工用ドリルにおいて、該第二心厚部の心厚は、第一心厚部の心厚よりドリル直径の0.5%以上8%以下、小さくしたことを特徴とするツイストドリル。
- 請求項1記載の深穴加工用ドリルにおいて、該第一心厚部の長さをドリル径の1/2倍以上10倍以下、としたことを特徴とする深穴加工用ドリル。
- 請求項1乃至3いずれかに記載の深穴加工用ドリルにおいて、該ドリルにクーラントホールを設けたことを特徴とする深穴加工用ドリル。
- 請求項1乃至4いずれかに記載の深穴加工用ドリルにおいて、該ドリルの表面に硬質皮膜及び/又は潤滑性皮膜を施したことを特徴とする深穴加工用ドリル。
Priority Applications (1)
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JP2002290191A JP2004122295A (ja) | 2002-10-02 | 2002-10-02 | 深穴加工用ドリル |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004122295A true JP2004122295A (ja) | 2004-04-22 |
Family
ID=32282148
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---|---|---|---|
JP2002290191A Pending JP2004122295A (ja) | 2002-10-02 | 2002-10-02 | 深穴加工用ドリル |
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Cited By (3)
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-
2002
- 2002-10-02 JP JP2002290191A patent/JP2004122295A/ja active Pending
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Legal Events
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