JP2002301610A - 深穴用ドリル - Google Patents

深穴用ドリル

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JP2002301610A
JP2002301610A JP2001108030A JP2001108030A JP2002301610A JP 2002301610 A JP2002301610 A JP 2002301610A JP 2001108030 A JP2001108030 A JP 2001108030A JP 2001108030 A JP2001108030 A JP 2001108030A JP 2002301610 A JP2002301610 A JP 2002301610A
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Satoshi Omi
諭 近江
Takashi Uejima
隆司 上島
Minoru Doi
稔 土肥
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Abstract

(57)【要約】 【目的】深穴加工用ドリルの切り屑排出性に優れたドリ
ルを提供し、深穴加工の高能率化をはかることを目的と
する。 【構成】深穴を加工する被覆ツイストドリルにおいて、
該ドリルの心厚は先端側から基端側に向けて厚みが略一
定の第一心厚部、第二心厚部とを備え、第一心厚部の心
厚を第二心厚部の心厚より大とし、該ドリルの少なくと
も切り屑排出溝にクロム化合物を含む潤滑層と4a、5
a、6a族、Al、Si及びBの1種以上とからなる金
属成分と、C、N、Oから選択される少なくとも1種以
上の非金属成分とから構成される硬質層、とを被覆した
ことを特徴とする深穴用ドリルである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工深さがドリル径の
10〜30倍程度の深穴の加工用ドリルに関し、詳細に
は、切屑排出作用を円滑にすることにより、ノンステッ
プで加工できる深穴加工用ドリルに関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に用いられているドリル径の2〜
3倍程度の通常の穴加工用ドリルでは、切屑がカールし
た連続切屑が生成され、ドリル径の5倍程度の加工深さ
で、切屑の排出が不能となり、溝中に詰まる事で切削ト
ルクの増大を招き、しいてはドリルの折損に至る。そこ
で、直径の5倍以上の深さを加工する場合、溝形状を通
常のコーンケーブからパラボリックにした深穴用ドリル
が用いられ(例として、実公平3−33375号公
報)、切屑の排出方向をリード方向に制御し、リボン状
切屑形状にする事で穴内壁とドリル溝との空間から切屑
を排出しやすくし、直径の10倍程度までノンステップ
加工できる深穴用ドリルが使用されている。さらに、深
穴加工性能を向上させるためドリル表面に高融点硬質被
膜をコーティングして切屑とドリル溝との摩擦抵抗を少
なくし、切屑の排出性を一屑改善する事も効果がある。
例えば、特開2000−52119号公報には、ドリル
の切刃及び溝部にTiC、TiN、TiCN、TiAl
N等の高融点硬質物質を物理蒸着によりコーティングし
た後、前記溝部表面の微細突起部を除去した深穴用ドリ
ルが提案されている。
【0003】一方、溝の表面処理としては、切り屑を滑
らせるようにするため、潤滑性の高い皮膜(例として、
特開平11−291103号公報)がある。ツイストド
リルに用いられている硬質皮膜としては、TiN、Ti
AlN等の皮膜が実用に供されている。これらの皮膜
は、耐摩耗性に優れているため、ドリル径の2倍、3倍
程度の浅穴加工に広く用いられている。また、Cr系皮
膜を被覆すると、Cr系皮膜は硬度が低く、耐摩耗性が
十分ではなく、満足される安定した長寿命が達成されて
いない。加えて、CrN、CrC、CrCN等の皮膜は
TiAlN等の皮膜と比較すれば、優れた潤滑性を有す
る特徴がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ドリル径の
10倍以上の深穴をノンステップで加工できるツイスト
ドリルを検討したところ、切り屑排出、特に、切り屑排
出は、刃溝の中途で切り屑詰まりを起こし、一度、切り
屑が滞留すると、そのまま留まってしまい、ステップ送
り等、別の工程を入れて、排出しなければならない、と
言う課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる深穴用ド
リルは、深穴を加工する被覆ツイストドリルにおいて、
該ドリルの心厚は先端側から基端側に向けて厚みが略一
定の第一心厚部、第二心厚部とを備え、第一心厚部の心
厚を第二心厚部の心厚より大とし、該ドリルの少なくと
も切り屑排出溝にクロム化合物を含む潤滑層と4a、5
a、6a族、Al、Si及びBの1種以上とからなる金
属成分と、C、N、Oから選択される少なくとも1種以
上の非金属成分とから構成される硬質層、とを被覆した
ことを特徴とする深穴用ドリルである。
【0006】
【発明の実施の形態】先ず、深穴加工時に切り屑詰まり
が発生するのは、刃溝の中途であり、本願発明では、ド
リル先端部から一定距離迄の心厚(以下、第一心厚部と
称する。)より、ドリル溝切り上り部を除く、ドリル溝
の後端側(以下、第二心厚部と称する。)の心厚を小さ
くした。この構成により、刃溝の容積を拡げ、溝を拡幅
することもてき、切り屑詰まりを起こしにくくなる。
【0007】ドリルによる穴加工では、先端切れ刃で切
削された切屑は、先端切れ刃より後方のドリル径の約
0.5倍程度の長さの位置でドリル溝と穴内壁により、
曲げや圧縮作用を受け、切屑の形状ならびに切屑体積が
ドリル溝と穴内壁に収まる形に成形される。形成された
切屑は、ドリルの切削力により溝中に順次押し出される
が、ドリル溝と穴内壁の摩擦抵抗により、切屑の押し出
される力は減じ、穴深さが深くなるに従って、やがては
切屑を押し出す力は失われ切削詰まりを起こす。この切
屑詰まりを起こす深さが深穴用ドリルではドリル径の8
〜10倍である。この付近で、刃溝容積を拡大すること
により、切屑を押し出す力を阻害する摩耗抵抗をより減
じる事で改善が図られる。
【0008】次に、潤滑層はCrN、CrC、CrCN
や(TiAlCr)N、(TiCr)N層、硬質層はT
iN、TiCN、(TiAl)N、(TiSi)N等の
周知な皮膜が用いられる。Crを含む被膜は、摩擦係数
が小さく、切り屑の擦過にも十分な耐摩耗性があるが、
切れ刃としては不十分な特性である。そのため、本願発
明では、他の硬質皮膜との組み合わせ、多層構造にした
り、合金化した皮膜等を用いることにより、切れ刃に
も、すくい面から切り屑排出溝全体に被覆することによ
り、耐摩耗性と潤滑性を同時にもたせることができる。
【0009】更に好ましくは、第二心厚部と第一心厚部
の差をドリル径の2%以上とすることによりこの作用を
確実なものとする。ドリルの第一心厚部と第二心厚部の
心厚の差がドリル径の2%以下では、切屑を押し出す際
のドリル溝と穴内壁の摩擦抵抗を減ずる事が出来ず、ド
リル径の10〜15倍程度の穴深さで切屑詰まりが発生
し、心厚の差が大きくなると、相対的に第二心厚部が薄
くなり、ドリルの剛性が不足し、加工時にドリルがたわ
んだり、柄部に与えられた回転トルクを切刃に充分に伝
達できず、ドリルに捩れが生ずる為、ドリル心厚の差を
2%以上とした。好ましくは2〜15%程度である。ま
た、第一心厚部、第二心厚部の心厚を略一定とは、通常
のウェブテーパであっても、回転軸と略平行に設けても
良く、また、ドリル製作上の都合により発生する、10
0mmにつき±0.2mm程度の勾配なら、切屑の押し
出す力を大幅に減じたり、ドリル剛性を大きく損なう事
はない。
【0010】更に、第一心厚部の長さは、ドリルリード
の1/2以下では、切刃で生成された切屑の方向を整え
る事が出来ず、起点の位置がドリルリードの5リード以
上では、ドリル溝と穴内壁による切屑擦過の摩擦が大き
く、切屑詰まりを解消できないため、第一心厚部の長さ
は、ドリルリードの1/2以上5以下の範囲とした。
【0011】また、心厚を変化させるに伴い、刃溝底部
でのつなぎは、段差を滑らかに継いだ階段状とすること
により、穴加工時の応力等の集中による折損を防止す
る。また、刃溝の形状も同様に、刃溝を拡幅できるが、
切り屑形態は既に第一心厚部で決まっており、切り屑排
出性を考慮し、溝形状を概相似形にする事で溝途中での
切屑の方向が乱れる事を阻止している。以下実施例に基
づき本発明を具体的に説明する。
【0012】
【実施例】図1は、本発明の実施例による深穴用ドリル
の正面図、図2は、一部断面図を示す。本発明例による
深穴用ドリルは、高速度鋼(粉末ハイス)製、刃径6m
m、2枚刃、ねじれ角2は38度で、第一心厚部の長さ
=0.75リード、TiAlN+CrNを被覆した。先
端刃のシンニング形状はX型とした。
【0013】次に、本発明例によるドリルを用いて、図
2に示す一定の心厚を以外は同形状のドリルを従来例と
して用い、切削試験を行った。尚、従来例はTiAlN
被覆のみを行った。切削試験にあたっては、被削材とし
て、S50Cを用い、穴加工深さ20D(120mm)
とし、切削油剤は水溶性のエマルジョンタイプを用い、
切削速度15m/min、送り量0.08mm/rev
で行い、穴加工中の切削の状態を観察しつつ、切り屑詰
まりの状態を観察した。切れ刃のチッピング状態、摩耗
量・摩耗状態を一定数ごとに確認し、穴あけを継続し
た。
【0014】切削試験の結果、本発明例は、1穴目、ス
テップ無しにて20D迄加工でき、更に10穴目まで継
続した。10穴中、振動等に異常が見られ、ステップ送
りを行った穴数は2で、他の8例はステップ無しで穴加
工を行うことができた。形成された切り屑は図3に示す
ようにリボン状であり、滞ることなく切り屑排出を行う
ことができ、加工に要した時間は、21分であった。従
来例も同様に試験を行い、10穴加工行い、ステップ無
しにて加工できた穴は0、切り屑詰まりによる振動等が
観察されるたびにステップ送りを行って、加工を続けた
状態であった。形成された切り屑は図4に示すように破
断された形であり、深穴加工では滞りやすく、ステップ
送りにより排除する必要があり、そのため、加工に要し
た時間が35分となった。両者とも正常な摩耗でステッ
プ送りの有無により、加工に要する時間を2/3程度に
短縮することができた。
【0015】次に、本発明例によるドリルを用いて、比
較例として、潤滑性膜として周知な2硫化モリブデン
0.3ミクロンを被覆し、同様に切削試験を行った。そ
の結果、10穴目迄で、ステップ送りを要したのは、本
発明例2、比較例3と略同じであり、加工に要した時間
も、本発明例22分、比較例23分であった。更に、試
験を継続して、50穴迄加工した。本発明例は、50穴
までに、7穴でステップ送りを要し、加工に要した時間
は92分であったが、比較例では、穴加工数が増加する
に従い切り屑詰まりが発生しやすくなり、40穴以降で
はほとんどがステップ送りとなってしまった。このた
め、加工に要した時間は164分と能率の悪い加工とな
った。ロングドリルにおいては、刃先が摩耗しても、再
研磨して用いるため、切り屑等の擦過により長期にわた
り潤滑性に優れる皮膜は、より高能率な深穴加工を行う
ことができた。また、上述の実施例においては高速度鋼
を用いて説明したが、これに限定されることなく、超硬
ソリッドタイプやスローアウェイタイプのドリル等であ
っても、同様に本発明を適用できる。
【0016】
【発明の効果】上記のように、本発明に係る深穴用ドリ
ルを用いることにより、切り屑詰まりが減少し、ステッ
プ送りの回数を減少させることができ、深穴加工の能率
を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明例のドリルの正面図を示す。
【図2】図2は、図1の心厚構成を示す。
【図3】図3は、本発明例の切屑形態を示す。
【図4】図4は、比較例の切屑形態を示す。
【符号の説明】
1 第一心厚部の長さ 2 第二心厚部の長さ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】深穴を加工する被覆ツイストドリルにおい
    て、該ドリルの心厚は先端側から基端側に向けて厚みが
    略一定の第一心厚部、第二心厚部とを備え、該第1心厚
    部の心厚を該第二心厚部の心厚より大とし、該ドリルの
    少なくとも切り屑排出溝にクロム化合物を含む潤滑層と
    4a、5a、6a族、Al、Si及びBの1種以上とか
    らなる金属成分と、C、N、Oから選択される少なくと
    も1種以上の非金属成分とから構成される硬質層、とを
    被覆したことを特徴とする深穴用ドリル。
  2. 【請求項2】請求項1記載の深穴加工用ドリルにおい
    て、該第一心厚部の心厚は該第二心厚部の心厚よりドリ
    ル直径の2%以上、厚くしたことを特徴とするツイスト
    ドリル。
  3. 【請求項3】請求項1記載の深穴用ドリルにおいて、前
    記皮膜がクロム窒化物であることを特徴とする深穴用ド
    リル。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3記載の深穴用ドリルにおい
    て、前記皮膜がチタン、アルミ、クロムの窒化物である
    ことを特徴とする深穴用ドリル。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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