JP6662721B2 - 制御装置、モータ制御装置、及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents

制御装置、モータ制御装置、及び電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、制御装置、モータ制御装置、及び電動パワーステアリング装置に関する。
制御対象の動作を制御するためにPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する制御装置において、当該PWM信号を演算する複数の演算処理部を備えるようにしたものがある。
例えば、特許文献1には、モータを制御対象とし、モータの動作を制御するために電流指令値の演算及びその出力をそれぞれ行う2つの演算処理部を備えるモータ制御装置が開示されている。このモータ制御装置の各演算処理部は、同一の性能を有しており、同一の電流フィードバック演算を実行して電流指令値を演算し、PWM信号をそれぞれ生成する。
そして、特許文献1のモータ制御装置では、各演算処理部の間でPWM信号のエッジに時間差(所謂、同期ずれ)が生じた場合、この時間差を小さくする工夫を施すことで、各演算処理部の間で同期ずれを抑制するようにしている。
特開2016−13045号公報
上記特許文献1にも記載されているように、各演算処理部の間で同期ずれを抑制する場合、簡素な構成で実現することが好ましく、汎用性の観点からも簡素な構成での実現が望まれている。これは、モータを制御対象として操舵機構にモータのアシスト力を付与することによる運転者のステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置においても望まれている。また、こうした要望は、モータを制御対象にするものに限らず、電子制御によって制御対象を動作させるものであれば同様である。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構成を複雑化させることなく複数の演算処理部の間で同期ずれを抑制できる制御装置、モータ制御装置、及び電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記課題を解決する制御装置は、制御対象の動作を制御するためのPWM信号を生成するものであって、発振器がそれぞれ個別に接続されてなる複数の演算処理部を備えるものである。この制御装置において、複数の演算処理部は、PWM信号の基準となる信号であって、それぞれ個別に接続される発振器から入力されるクロックに基づいて、ハイレベル及びローレベルの変化を繰り返す搬送波を生成する搬送波生成部をそれぞれ有して構成されている。そして、複数の演算処理部は、搬送波のハイレベル及びローレベルの状態を把握可能に変化する信号である同期用信号を生成して出力する同期用信号出力部をそれぞれ有しており、複数の演算処理部の少なくとも一つの演算処理部は、自身の同期用信号出力部から出力される同期用信号と、他の演算処理部の同期用信号出力部から出力される同期用信号との間に生じる時間差に基づいて、当該時間差が小さくなるように自身の搬送波の周波数を調整する周波数調整部を有するようにしている。
ここで、複数の演算処理部の間で、発振器に個体差がある場合、搬送波に時間差が生じて、当該搬送波を基準として生成されるPWM信号の変化が一致しなくなってしまう(所謂、同期ずれ)。これに対して、本発明の発明者は、PWM信号の基となる搬送波が複数の演算処理部の同期ずれの基となる発振器のクロックに基づいて生成される点に着目した。そして、同発明者は、複数の演算処理部のPWM信号の変化が一致しなくなって、複数の演算処理部の間で同期ずれを生じたとしても、これを搬送波の周波数を調整することによって、抑制することができることを見出した。
すなわち、上記構成によれば、複数の演算処理部の間で同期ずれ、すなわちPWM信号の同期ずれを抑制するために、複数の演算処理部のそれぞれに対して、同期用信号出力部を有するように構成するとともに、複数の演算処理部の少なくとも一つの演算処理部に対して、自身の搬送波の周波数を調整する周波数調整部を有するように構成すれば済む。この場合、搬送波の周波数の調整を演算処理部内の処理で済ませることができ、構成を複雑化させることなく複数の演算処理部の間で同期ずれを抑制することができる。
上記制御装置において、複数の演算処理部は、発振器から入力されるクロックに基づく発振数を予め定めた上限カウント値までカウントするタイマカウント部をそれぞれ有しており、各搬送波生成部は、搬送波として、自身が属する演算処理部のタイマカウント部のカウント値が上限カウント値に達する度に、ハイレベル及びローレベルの変化を繰り返す三角波をそれぞれ生成するものであり、周波数調整部は、自身が属する演算処理部のタイマカウント部のカウント値の上限カウント値を増減させることによって搬送波の周波数を調整するように構成することが望ましい。
上記構成によれば、搬送波の周波数を調整する場合、タイマカウント部のカウントの上限カウント値を増減させるのみで済む。なお、搬送波及び同期用信号は、その時間軸を発振器のクロックに基づく発振数、すなわちタイマカウント部のカウント値にて置き換えることができる。すなわち、各同期用信号の時間差は、そのままタイマカウント部のカウント値に換算することができる。そのため、搬送波の周波数を調整する場合、複雑な演算を介在させることなく、各同期用信号の時間差に応じたタイマカウント部のカウントの上限カウント値の増減量を算出することができる。したがって、搬送波の周波数の調整に必要な演算が複雑化することを抑制することができる。
上記制御装置において、複数の演算処理部は、第1の演算処理部と、第2の演算処理部とを含み、第1の演算処理部及び第2の演算処理部のいずれか一つの演算処理部は、周波数調整部を有していることが望ましい。
上記構成によれば、第1の演算処理部及び第2の演算処理部の間で同期ずれを抑制する場合、第1の演算処理部及び第2の演算処理部のいずれか一つの演算処理部が相手の演算処理部の搬送波に対して、自身の演算処理部の搬送波の周波数を調整すれば済む。したがって、第1の演算処理部及び第2の演算処理部の間で同期ずれを抑制するための構成を簡素化することができる。
また、上記制御装置において、周波数調整部は、搬送波の周波数を周期的に調整するものであり、第1の演算処理部及び第2の演算処理部のうち正常な演算処理部が一つになった場合、一つとなった正常な演算処理部によって生成されるPWM信号に基づいて、制御対象の動作が制御されるように信号の流れを切り替えることのできる信号切替部をさらに備えていることが望ましい。
上記構成のように、第1の演算処理部及び第2の演算処理部、すなわち複数の演算処理部を備えている場合には、第1の演算処理部及び第2の演算処理部のうち正常な演算処理部が一つになったとしても、正常でない演算処理部が実行していた制御を、一つとなった正常な演算処理部によって、冗長化やバックアップすることができるようになる。これは、各演算処理部で異なる制御対象の動作を制御したり、各演算処理部で同一の制御対象を制御したり制御態様に関係なく同様である。そして、正常でない演算処理部が実行していた制御を、一つとなった正常な演算処理部によって、冗長化やバックアップする場合、最も重要になるのが第1の演算処理部及び第2の演算処理部の同期ずれであり、当該同期ずれが著しいと、制御対象の動作が不安的になる可能性がある。
その点、上記構成によれば、第1の演算処理部及び第2の演算処理部のいずれか一つの演算処理部の搬送波の周波数が周期的に調整されているため、第1の演算処理部及び第2の演算処理部のうち正常な演算処理部が一つになったとしても、その直前までは基本的に第1の演算処理部及び第2の演算処理部の間で同期ずれが抑制されている。この場合、正常でない演算処理部が行っていた制御を、一つとなった正常な演算処理部によって、冗長化やバックアップするように、信号の流れが切り替えられたとしても、その切り替え時及び切り替え後において、PWM信号の変化に時間差を生じさせ難くすることができる。したがって、制御対象の動作が不安定になる可能性を低減することができる。
上記制御装置は、モータを制御対象とするモータ制御装置に具体化することができるだけでなく、車両の転舵輪を転舵させる力である転舵力を付与するモータと、当該モータを制御対象とする上記モータ制御装置とを備える電動パワーステアリング装置に具体化することができる。
これら構成によれば、構成を複雑化させることなく複数の演算処理部の間で同期ずれを抑制することによって、モータの故障の発生の低減を図ることのできるモータ制御装置を実現することができる。そして、このモータ制御装置を用いて実現される電動パワーステアリング装置では、転舵力の付与について信頼性の向上を図ることができる。
本発明によれば、構成を複雑化させることなく複数の演算処理部の間で同期ずれを抑制することができる。
電動パワーステアリング装置の一実施形態についてその概略を示す図。 制御装置を具体化したモータ制御装置の一実施形態についてその電気的構成を示すブロック図。 同モータ制御装置についてその第1演算処理部及び第2演算処理部の構成を示すブロック図。 同モータ制御装置についてその制御系統間のPWM信号の時間差を示す図。 同モータ制御装置についてその制御系統間のクロックずれを示す図。 同モータ制御装置についてその第1演算処理部で生成される同期用信号を示す図。 同モータ制御装置の第2演算処理部についてその周波数調整部が実行する同期制御処理の流れを示すフローチャート。 同モータ制御装置の第2演算処理部についてその周波数調整部が実行する周波数調整処理の流れを示すフローチャート。 同モータ制御装置について三角波の周波数が調整される態様を示す図。
以下、制御装置、モータ制御装置、及び電動パワーステアリング装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、例えば、車両には、操舵機構2に対して転舵輪15を転舵させる転舵力としてアシストトルクを付与する電動パワーステアリング装置(以下、「EPS」という)1が搭載されている。EPS1は、ユーザーのステアリングの操作に応じてアシストトルクを付与し、ユーザーのステアリングの操作を補助する。
EPS1は、ユーザーのステアリングホイール10の操作に基づき転舵輪15を転舵させる操舵機構2、及びユーザーのステアリングの操作を補助するアシスト機構3を備えている。
操舵機構2は、ステアリングホイール10と、ステアリングホイール10に連動して回転するステアリングシャフト11とを備えている。ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール10に連結されたコラムシャフト11aと、コラムシャフト11aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト11bと、インターミディエイトシャフト11bの下端部に連結されたピニオンシャフト11cとを有している。ピニオンシャフト11cの下端部は、ラックアンドピニオン機構13を介してラックシャフト12に連結されている。したがって、ステアリングシャフト11の回転運動は、ピニオンシャフト11c及びラックシャフト12からなるラックアンドピニオン機構13を介してラックシャフト12の軸方向(図1の左右方向)の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動が、ラックシャフト12の両端にそれぞれ連結されたタイロッド14を介して、左右の転舵輪15にそれぞれ伝達されることにより、転舵輪15の転舵角が変化する。
アシスト機構3は、アシストトルクの発生源であるモータ20を備えている。例えば、モータ20は、表面磁石型のブラシレスモータである。モータ20の回転軸21は、減速機構22を介してコラムシャフト11aに連結されている。アシスト機構3は、モータ20の回転軸21の回転力を減速機構22を介して、ラックシャフト12を軸方向に往復直線運動させる力に変換する。このラックシャフト12に付与される軸方向の力がアシスト力となり、ユーザーのステアリングの操作を補助する。
モータ20は、その回転軸21を中心に回転するロータ23と、ロータ23の外周に配置されるステータ24とを備えている。ロータ23には、その表面に永久磁石が固定されている。永久磁石は、ロータ23の周方向に異なる極性(N極、S極)が交互に並んで配置されている。こうした永久磁石は、モータ20が回転する際に磁界、すなわち界磁を形成する。ステータ24には、3相(U相、V相、W相)の複数のコイル25が円環状に配されている。コイル25は、第1コイル群25Aと第2コイル群25Bとに分類される。第1コイル群25A及び第2コイル群25Bは、それぞれスター結線されたU相、V相、W相のコイル25を有している。モータ20には、モータ20の制御量である電流量を制御することによって、モータ20の動作(駆動)を制御する制御ユニットであるモータ制御装置30が接続されている。なお、本実施形態において、モータ制御装置30は制御装置の一例である。
モータ制御装置30は、車両に設けられる各種のセンサの検出結果である外部情報に基づき、モータ20の動作を制御する。各種のセンサとしては、例えば、トルクセンサ26、回転角センサ27、及び車速センサ28がある。トルクセンサ26はコラムシャフト11aに設けられ、回転角センサ27はモータ20に設けられている。トルクセンサ26は、ユーザーのステアリングの操作によりステアリングシャフト11に加えられる負荷である操舵トルクの大きさ及び向きを示す値であるトルク値Thを検出する。回転角センサ27は、モータ20の回転軸21のモータ角度θを検出する。車速センサ28は、車両の走行速度である車速値Vを検出する。モータ制御装置30は、各センサの出力に基づき目標のアシストトルクを設定し、実際のアシストトルクが目標のアシストトルクとなるように、モータ20に供給される電流を制御する。
図2に示すように、モータ制御装置30は、モータ20の第1コイル群25Aへの給電を制御する制御系統Aと、モータ20の第2コイル群25Bへの給電を制御する制御系統Bとを備えている。制御系統A及び制御系統Bは、それぞれ独立したECU(Electronic Control Unit)として構成されるものである。なお、各コイル群25A,25Bは、それぞれの各相のコイルがモータ20の周に沿って系統毎に交互に配置されたり、それぞれの各相のコイルがモータ20の周に沿って纏めて並べて配置されたり、同一ティースにモータ20の径方向に積層されて配置されたりする。
制御系統Aは、第1演算処理部31、第1モータ駆動部33、第1電流センサ35、及び発振器37を備えている。また、制御系統Bは、第2演算処理部32、第2モータ駆動部34、第2電流センサ36、及び発振器38を備えている。なお、各モータ駆動部33,34は、複数のMOSFET等のスイッチング素子を有してなる、3相(U相、V相、W相)のインバータ回路である。各モータ駆動部33,34は、直列に接続された2つのFET(Field effect transistor)を1組とする3組のアーム(単相ハーフブリッジ)が、それぞれ直流電源の+端子と−端子との間に並列に接続されてなる。また、各電流センサ35,36は、各モータ駆動部33,34と各相のコイル25との間の給電経路に生じる各相の各電流値I1,I2を検出する。
第1演算処理部31は、トルクセンサ26、回転角センサ27、車速センサ28、及び第1電流センサ35のそれぞれの値を取り込む。第1演算処理部31は、これらのセンサにより検出されるトルク値Th、モータ角度θ、車速値V、及び電流値I1に基づいて、第1PWM信号P1を生成し、第1モータ駆動部33(モータ20)を制御対象としてPWM制御する。また、第2演算処理部32は、第1演算処理部31と同様、トルクセンサ26、回転角センサ27、車速センサ28、及び第2電流センサ36のそれぞれの値を取り込み、これらトルク値Th、モータ角度θ、車速値V、及び電流値I2に基づいて、第2PWM信号P2を生成し、第2モータ駆動部34(モータ20)を制御対象としてPWM制御する。
各演算処理部31,32は、自身にモータ20への給電等の動作に関わる制御を継続できない異常が生じているか否か診断する自己診断機能を有しており、その結果として、自己診断の結果Sd1,Sd2をそれぞれ後述の信号切替部39に対して出力する。各演算処理部31,32は、自身に異常が生じていることを自己診断する場合、モータ20への給電等の制御を停止する。すなわち、第1演算処理部31に異常が生じている場合、制御系統Aによるモータ20への給電等の制御が停止される。また、第2演算処理部32に異常が生じている場合、制御系統Bによるモータ20への給電等の制御が停止される。
一方、モータ制御装置30は、各演算処理部31,32に上記異常が生じている場合であっても、モータ20の機能(出力)を維持することができるように、信号切替部39を備えている。
信号切替部39には、第1演算処理部31から第1PWM信号P1が入力される。信号切替部39は、第2演算処理部32に上記異常が生じている場合、第1PWM信号P1により第2モータ駆動部34をPWM制御できるように信号の流れを切り替える(図2中、破線で示す)。この場合、第1演算処理部31は、第1PWM信号P1によるPWM制御を、各モータ駆動部33,34を制御対象としてそれぞれ実行する。これにより、第2演算処理部に上記異常が生じている場合であっても、モータ20の機能(出力)を維持することができる。
また、信号切替部39には、第2演算処理部32から第2PWM信号P2が入力される。信号切替部39は、第1演算処理部31に上記異常が生じている場合、第2PWM信号P2により第1モータ駆動部33をPWM制御できるように信号の流れを切り替える(図2中、破線で示す)。この場合、第2演算処理部32は、第2PWM信号P2によるPWM制御を、各モータ駆動部33,34を制御対象としてそれぞれ実行する。これにより、第1演算処理部に上記異常が生じている場合であっても、モータ20の機能(出力)を維持することができる。
そして、信号切替部39には、各演算処理部31,32の自己診断(セルフチェック)機能における自己診断の結果Sd1,Sd2が入力される。信号切替部39は、各自己診断の結果Sd1,Sd2に基づいて、各演算処理部31,32が異常であるか否かを判定する。そして、信号切替部39は、第2演算処理部32に異常が生じていることを判定する場合、上述のように、第1PWM信号P1により第2モータ駆動部34をPWM制御できるように信号の流れを切り替える。また、信号切替部39は、第1演算処理部31に異常が生じていることを判定する場合、上述のように、第2PWM信号P2により第1モータ駆動部33をPWM制御できるように信号の流れを切り替える。
このように、本実施形態では、制御系統A及び制御系統Bを備えるとともに、信号切替部39を備えることによって、モータ20の動作に関わる制御系統の冗長化が図られている。
ここで、第1演算処理部31及び第2演算処理部32の機能について、詳しく説明する。
図3に示すように、第1演算処理部31は、マイクロプロセスユニット(MPU)からなり、演算部(CPU(Central Processing Unit))41、クロック発生部42、タイマカウント部43、三角波生成部44、モータ駆動指令生成部45、及び同期用信号出力部46を有している。第2演算処理部32は、第1演算処理部31と同様、演算部(CPU)51、クロック発生部52、タイマカウント部53、三角波生成部54、モータ駆動指令生成部55、及び同期用信号出力部56を有している。
各クロック発生部42,52は、逓倍器であって、水晶素子等からなる各発振器37,38から入力した基本周波数のクロックを所定倍数で逓倍し、これによって得られるクロックを自身の各演算部(CPU)41,51及び各タイマカウント部43,53にそれぞれ出力する。クロック発生部42は、第1演算処理部31に接続される発振器37の基本周波数のクロックに基づいて、第1演算処理部31用のクロックCLKaを発生させる。クロック発生部52は、第2演算処理部32に接続される発振器38の基本周波数のクロックに基づいて、第2演算処理部32用のクロックCLKbを発生させる。各クロックCLKa,CLKbは、各演算部41,51が各種センサから検出信号を入力する等、各種の演算処理を実行する演算タイミングを規定するものである。演算タイミングの周期は、各クロックCLKa,CLKbの発振数(クロック数)に基づき規定される。なお、各クロック発生部42,52には、イグニッション信号IGが入力されることによって、各発振器37,38への給電が開始された後から基本周波数のクロックが入力されるようになる。
各演算部41,51は、演算タイミングに合わせて各種センサから入力した検出信号に基づいて、PWM制御におけるデューティ比を指示するデューティ指示値D1,D2をそれぞれ生成し、その各デューティ指示値D1,D2を自身が属する演算処理部の各モータ駆動指令生成部45,55にそれぞれ出力する。
各タイマカウント部43,53は、公知の分周器及びアップダウンカウンタからなり、分周器で分周された各クロックCLKa,CLKbのクロック数をアップダウンカウンタでアップカウント及びダウンカウントし、そのカウント値Ct1,Ct2を自身が属する演算処理部の各三角波生成部44,54にそれぞれ出力する。各タイマカウント部43,53は、アップカウント及びダウンカウントをそれぞれ繰り返した回数が予め定めた上限カウント値Ct0に達した場合、アップカウント及びダウンカウントを切り替える。なお、上限カウント値Ct0は、各タイマカウント部43,53の間で、ベースとなる基準値Cth(同一値)が基本的に設定されている。なお、第2演算処理部32のタイマカウント部53については、上限カウント値Ct0が後述する周波数調整部57から入力されるカウント指示値Ctrにより指示される。
各三角波生成部44,54は、各タイマカウント部43,53から入力した各カウント値Ct1,Ct2に基づいて、搬送波としての三角波W1,W2(例えば、図4に示す)を生成し、その各三角波W1,W2を自身が属する演算処理部の各モータ駆動指令生成部45,55にそれぞれ出力する。各三角波生成部44,54は、各カウント値Ct1,Ct2を入力する毎に、アップカウントを示す間は予め定めた信号レベル(電圧値)を累積加算するとともに、ダウンカウントを示す間は予め定めた信号レベル(電圧値)を累積減算することによって、各三角波W1,W2をそれぞれ生成する。このように生成される各三角波W1,W2は、各クロックCLKa,CLKbの上限カウント値Ct0に応じた所定周期毎に、ハイレベル(山)及びローレベル(谷)の変化を繰り返す。すなわち、各三角波W1,W2において、ハイレベル及びローレベルの変化を繰り返す周期は、各クロックCLKa,CLKbに時間差等の時間的ずれがなければ、基本的に基準値Cthに基づく同一周期とされている。本実施形態において、各三角波生成部44,54は搬送波生成部の一例である。
各モータ駆動指令生成部45,55は、各三角波生成部44,54から入力した各三角波W1,W2と、各演算部41,51から入力した各デューティ指示値D1,D2に基づいて、各PWM信号P1,P2を生成し、その各PWM信号P1,P2を自身が属する制御系統の各モータ駆動部33,34にそれぞれ出力する。本実施形態において、各PWM信号P1,P2は、各三角波W1,W2と各デューティ指示値D1,D2とを比較して、各デューティ指示値D1,D2が大きい場合にオン信号(ON)となり、各デューティ指示値D1,D2が小さい場合にオフ信号(OFF)となる。
各モータ駆動部33,34は、各PWM信号P1,P2に基づいて、複数のスイッチング素子をオンオフすることによりバッテリなどの直流電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換する。なお、第1モータ駆動部33は、第1演算処理部31に異常が生じている場合、第2演算処理部32の第2モータ駆動指令生成部55を通じて入力した第2PWM信号P2に基づいて、複数のスイッチング素子をオンオフする。また、第2モータ駆動部34は、第2演算処理部32に異常が生じている場合、第1演算処理部31の第1モータ駆動指令生成部45を通じて入力した第1PWM信号P1に基づいて、複数のスイッチング素子をオンオフする。
第1演算処理部31及び第2演算処理部32、すなわち制御系統A及び制御系統Bにおいて、各演算部41,51の各三角波W1,W2、すなわち各PWM信号P1,P2は、各クロックCLKa,CLKbに基づいて生成される。一方、制御系統A及び制御系統Bには、異なる各発振器37,38がそれぞれ個別に接続されている。こうした前提において、本実施形態では、制御系統A及び制御系統Bの間で、各演算処理部31,32の各演算部41,51の演算タイミングの周期を一致させ、各演算処理部31,32が同期して各種演算を実行できるように構成している。
ただし、図4及び図5に示すように、各発振器37,38の間で、それぞれの発振子(例えば、水晶素子)にばらつきがある場合、それぞれのクロックが入力される各クロック発生部42,52が生成する各クロックCLKa,CLKbにクロックずれ(時間差)が生ずる。こうしたクロックずれは、解消されるものではなく、各タイマカウント部43,53の各カウント値Ct1,Ct2、さらには各三角波生成部44,54の各三角波W1,W2へと波及し、最終的に制御系統A及び制御系統B、すなわち各演算処理部31,32の間で、各PWM信号P1,P2の時間的ずれ(時間差)を生じさせる。
より詳しく言えば、図4に示すように、横軸を時間軸tとする場合、各演算処理部31,32の間における各三角波W1,W2の時間差は、時間経過とともに大きくなり、最終的に各演算処理部31,32が同期して各種演算を実行することができなくなり、同期ずれを生じる。同期ずれを生じると、各演算処理部31,32の間における各PWM信号P1,P2の変化が一致しなくなる。この場合、各モータ駆動部33,34の間でスイッチング素子をオンオフするタイミングがずれてしまって、モータ20の動作が不安定になる可能性がある。これに対して、本実施形態では、各演算処理部31,32の間で同期ずれ、すなわちPWM信号の同期ずれを生じて、各PWM信号P1,P2の変化が一致しなくなったとしても、各演算処理部31,32の間の同期ずれを修正する構成を有している。
図3に示すように、各演算処理部31,32の間の同期ずれを修正する構成として、各演算処理部31,32は各同期用信号出力部46,56をそれぞれ有しているとともに、各演算処理部31,32のうち第2演算処理部32については周波数調整部57を有するようにしている。
ここで、各同期用信号出力部46,56及び周波数調整部57の機能について、詳しく説明する。
図2及び図3に示すように、各三角波生成部44,54は、生成した各三角波W1,W2を自身が属する演算処理部の各モータ駆動指令生成部45,55だけでなく、各同期用信号出力部46,56にも出力する。各同期用信号出力部46,56は、各三角波生成部44,54から入力した各三角波W1,W2に基づいて、各三角波W1,W2のハイレベル及びローレベルの状態を把握可能に変化する信号である同期用信号Sp1,Sp2をそれぞれ生成し、その各同期用信号Sp1,Sp2を第2演算処理部32の周波数調整部57にそれぞれ出力する。なお、各同期用信号出力部46,56と、周波数調整部57との間は、特別な回路を介在させることなく信号線(ハーネス)により接続されている。
例えば、図6に示すように、横軸を時間軸tとして、第1演算処理部31において、三角波W1(図中、破線で示す)が生成される場合、最初の三角波W1の山について、ローレベル(L)からハイレベル(H)到達までの間、同期用信号Sp1は、ローレベルを維持する。同じく最初の三角波W1の山について、ハイレベル到達時、同期用信号Sp1は、ハイレベルに達するように立上がりエッジを有して変化する。同じく最初の三角波W1の山について、ハイレベルからローレベル到達までの間、同期用信号Sp1は、ハイレベルを維持する。同じく最初の三角波W1の山について、ローレベル到達時、同期用信号Sp1は、当該ローレベルに達するように立下がりエッジを有して変化する。以後、同期用信号Sp1は、ローレベル、立上がりエッジ、ハイレベル、立上がりエッジの変化を、三角波W1の時間経過に伴う変化に合わせて繰り返す。これは、第2演算処理部32の同期用信号Sp2についても同様である。
そして、周波数調整部57は、各同期用信号出力部46,56から入力した各同期用信号Sp1,Sp2の間に時間差を生じている場合、その時間差を小さくするように第2演算処理部32の三角波W2の周波数を調整する。
次に、周波数調整部57が各三角波W1,W2の時間差を小さくするために実行する処理である同期制御処理(図7)及び周波数調整処理(図8)について、詳しく説明する。周波数調整部57は、イグニッション信号IGが入力された後、第2演算処理部32の演算タイミングの周期毎に周期処理を実行することによって、同期制御処理及び周波数調整処理に関わる以下の処理を実行する。
図7に示すように、同期制御処理において、周波数調整部57は、各同期用信号出力部46,56を通じて各同期用信号Sp1,Sp2をそれぞれ取得する(S10)。S10にて、周波数調整部57は、演算タイミングの周期毎に各同期用信号Sp1,Sp2を累積的に記憶し、例えば、各同期用信号Sp1,Sp2の立上がりエッジ及び立下がりエッジを検出することができる。
続いて、周波数調整部57は、第1演算処理部31についての同期用信号Sp1の立下がりエッジと、第2演算処理部32についての同期用信号Sp2の立下がりエッジとの時間差Δtを検出する(S20)。その後、周波数調整部57は、周波数調整処理(S30)を読み出して実行した後にS10の処理へと戻り、S10〜S30の処理を繰り返し実行する。
例えば、図9に示すように、周波数調整部57は、同期用信号Sp2の立上がりエッジSp2(u1)のタイミングに合わせてS20の処理を実行し、このタイミングの直近に検出している各同期用信号Sp1,Sp2のそれぞれの立下がりエッジSp1(d1),Sp2(d1)に基づいて、時間差Δtを検出する。
S20にて、周波数調整部57は、同期用信号Sp1の立下がりエッジに対する、同期用信号Sp2の立下がりエッジの時間的な進み又は遅れと、その量である時間差Δtを検出する。この場合、周波数調整部57は、同期用信号Sp1の立下がりエッジに対して、同期用信号Sp2の立下がりエッジが時間的に進んでいる場合に時間差Δtとして正値を検出し、同期用信号Sp2の立下がりエッジが時間的に遅れている場合に時間差Δtとして負値を検出する。
次に、周波数調整処理(S30)について、詳しく説明する。
例えば、図9に示すように、周波数調整部57は、S20を実行するタイミングである同期用信号Sp2の立上がりエッジSp2(u1)の後の立下がりエッジSp2(d2)のタイミングに合わせて周波数調整処理(S30)を実行する。
そして、図8に示すように、周波数調整処理(S30)において、周波数調整部57は、S20で検出した時間差Δtが「0(零)」でない(Δt≠0)か否かを判定する(S31)。周波数調整部57は、S20で検出した時間差Δtが「0」の場合(S31:NO)、各三角波W1,W2に時間差を生じていないことを判定し、三角波W2を生成するための上限カウント値Ct0として基準値Cth(Ct0←Cth)を、第2演算処理部32のタイマカウント部53に対して指示する(S32)。S32にて、周波数調整部57は、カウント指示値Ctrを出力することによって、同期用信号Sp2についてS20で検出している立上がりエッジの次の三角波の山(谷→山→谷)についての上限カウント値Ct0を基準値Cthとすることをタイマカウント部53に対して指示する。この場合、タイマカウント部53は、カウント指示値Ctrが入力された次のアップカウント及びダウンカウントについて、上限カウント値Ct0を基準値Cthとして実行する。
一方、周波数調整部57は、S20で検出した時間差Δtが「0」でない場合(S31:YES)、各三角波W1,W2に時間差を生じていることを判定し、S20で検出した時間差Δtが正値であるか否か(時間差Δt>0(零))であるか否かを判定する(S33)。周波数調整部57は、S20で検出した時間差Δtが正値の場合(S33:YES)、三角波W1に対して、三角波W2が時間的に遅れていることを判定し、時間差Δtをタイマカウント部53のカウント値に換算したものであるカウント差ΔCt(K・Δt)を算出する(S34)。S34にて、周波数調整部57は、時間差Δtに換算係数Kを乗算してカウント差ΔCtを算出する。ここで、換算係数Kは、第2演算処理部32用のクロックCLKbの周期の逆数に応じて定められている。なお、発振器38のクロックに基づき生成される三角波W2は、その時間軸tをクロック発生部52のクロック数、すなわちタイマカウント部53のカウント値にて置き換えることができる。すなわち、時間差Δtは、そのままタイマカウント部53のカウント値に換算することができる。
続いて、周波数調整部57は、時間差Δtを小さくして「0」とするように、上限カウント値Ct0として基準値Cthからカウント差ΔCt分減少させた値(Ct0←Cth−ΔCt)とすることを、第2演算処理部32のタイマカウント部53に対して指示する(S35)。S35にて、周波数調整部57は、カウント指示値Ctrを出力することによって、同期用信号Sp2についてS20で検出している立上がりエッジの次の三角波の山(谷→山→谷)についての上限カウント値Ct0を基準値Cthからカウント差ΔCt分減少させた値とすることをタイマカウント部53に対して指示する。
この場合、タイマカウント部53は、カウント指示値Ctrが入力された次のアップカウント及びダウンカウントについて、上限カウント値Ct0を基準値Cthからカウント差ΔCt分減少させた値として実行する。これにより、上限カウント値Ct0が基準値Cthの場合と比較して、三角波W2のハイレベルが低く設定され、短い周期でハイレベル及びローレベルに変化するようになり、三角波W2の周波数が低くなる。すなわち、周波数調整部57は、三角波W1に対して、三角波W2が時間的に遅れている場合、上限カウント値Ct0を基準値Cthに対してカウント差ΔCt分減少させることによって、三角波W2の周波数を低く変更して調整する。
一方、周波数調整部57は、S20で検出した時間差Δtが負値の場合(S33:NO)、三角波W1に対して、三角波W2が時間的に進んでいることを判定し、S34と同様、時間差Δtに基づいて、カウント差ΔCt(K・Δt)を算出する(S36)。
続いて、周波数調整部57は、時間差Δtを小さくして「0」とするように、上限カウント値Ct0として基準値Cthからカウント差ΔCt分増加させた値(Ct0←Cth+ΔCt)とすることを、第2演算処理部32のタイマカウント部53に対して指示する(S37)。S37にて、周波数調整部57は、カウント指示値Ctrを出力することによって、同期用信号Sp2についてS20で検出している立上がりエッジの次の三角波の山(谷→山→谷)についての上限カウント値Ct0を基準値Cthからカウント差ΔCt分増加させた値とすることをタイマカウント部53に対して指示する。
この場合、タイマカウント部53は、カウント指示値Ctrが入力された次のアップカウント及びダウンカウントについて、上限カウント値Ct0を基準値Cthに対してカウント差ΔCt分増加させた値として実行する。これにより、上限カウント値Ct0が基準値Cthの場合と比較して、三角波W2のハイレベルが高く設定され、長い周期でハイレベル及びローレベルに変化するようになり、三角波W2の周波数が高くなる。すなわち、周波数調整部57は、三角波W1に対して、三角波W2が時間的に進んでいる場合、上限カウント値Ct0を基準値Cthに対してカウント差ΔCt分増加させることによって、三角波W2の周波数を高く変更して調整する。
例えば、図9に示すように、周波数調整部57は、三角波W2のローレベルのタイミングで、周波数調整処理(S30)のS35及びS37の処理を通じて、三角波W2の周波数が高低するように変更する。この三角波W2のローレベルのタイミングの前には、三角波W2(減少)と、デューティ指示値D2とが交差し、第2PWM信号P2がオン信号となるタイミング(スイッチング素子のデューティ比を設定するタイミング)Xが存在する。本実施形態では、三角波W2の周波数を高低させるように変更するタイミングを、上記タイミングXの後であって、三角波W2のローレベルのタイミングに設定しているため、三角波W2の周波数を高低させるように変更する場合であっても、上記タイミングXで設定したデューティ比が長短する変動が抑えられている。
そして、S35及びS37の処理後、周波数調整部57は、周波数調整処理(S30)を終了し、同期制御処理、すなわちS10の処理へと戻る。
以上に説明した本実施形態によれば、以下に示す作用及び効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、各演算処理部31,32の間で同期ずれ、すなわちPWM信号の同期ずれを抑制するために、各演算処理部31,32のそれぞれに対して、各同期用信号出力部46,56を有するように構成するとともに、第2演算処理部32に対して、自身の三角波W2の周波数を調整する周波数調整部57を有するように構成すれば済む。
例えば、図9に示すように、同期用信号Sp1に対して、同期用信号Sp2が時間的に遅れている場合、同期用信号Sp1の立下がりエッジSp1(d1)と、同期用信号Sp2の立下がりエッジSp2(d1)との間に時間差Δtを生じる。この場合、第2演算処理部32内で実行される周波数調整処理のS37の処理を通じて、時間差Δtが検出された次の同期用信号Sp2の立下がりエッジSp2(d2)のタイミングにて、タイマカウント部53の上限カウント値Ct0として基準値Cthに対してカウント差ΔCt分減少させた値が指示される。
その結果、図9に破線で示すように、三角波W2について、時間差Δtが検出された三角波の山と比較して、その次の山でハイレベルがカウント差ΔCtに応じたΔfだけ低くなり、各三角波W1,W2のローレベルのタイミングが一致するようになる修正される。この場合、同図に示すように、同期用信号Sp2について、立下がりエッジSp2(d2)の次の立上がりエッジSp2(u2)で時間差Δtが小さくなり、さらに次の立下がりエッジSp2(d3)で時間差Δtが解消され、各同期用信号Sp1,Sp2が一致するようになる。
なお、時間差Δtが解消された後は、第2演算処理部32内の周波数調整処理のS37の処理を通じて、タイマカウント部53の上限カウント値Ct0として基準値Cthが指示され、各三角波W1,W2のハイレベル及びローレベルの変化とともに、各同期用信号Sp1,Sp2の立上がりエッジ及び立下がりエッジのタイミングが一致するようになる。
このように、三角波W2の周波数の調整を第2演算処理部32内の処理で済ませることができ、構成を複雑化させることなく各演算処理部31,32の間で同期ずれを抑制することができる。特に本実施形態では、各演算処理部31,32のうち第2演算処理部32にのみ周波数調整部57を有するようにしているので、各演算処理部31,32の間で同期ずれを抑制するための構成を簡素化することができる。
(2)本実施形態によれば、三角波W2の周波数を調整する場合、第2演算処理部32のタイマカウント部53の上限カウント値Ct0を増減させるのみで済む。
具体的には、第2演算処理部32内の周波数調整処理のS34,S36を通じて、時間差Δtに換算係数Kを乗算してカウント差ΔCtを算出することができる。
そのため、三角波W2波の周波数を調整する場合、複雑な演算を介在させることなく、各同期用信号Sp1,Sp2の間の時間差Δtに応じたタイマカウント部53の上限カウント値Ct0の増減量であるカウント差ΔCtを算出することができる。したがって、三角波W2の周波数の調整に必要な演算が複雑化することを抑制することができる。
(3)本実施形態のように、各演算処理部31,32と、信号切替部39とを備えている場合には、各演算処理部31,32のうち正常な演算処理部が一つになったとしても、モータ20の動作に関わる制御系統を、一つとなった正常な演算処理部によって、冗長化することができるようになる。そして、正常でない制御系統が行っていた制御を、一つとなった正常な制御系統によって、冗長化する場合、最も重要になるのが各演算処理部31,32の同期ずれであり、当該同期ずれが著しいと、モータ20の動作が不安的になる可能性がある。
その点、本実施形態によれば、第2演算処理部32の三角波W2の周波数が周期的に調整されているため、各演算処理部31,32のうち正常な演算処理部が一つになったとしても、その直前までは基本的に各演算処理部31,32の間で同期ずれが抑制されている。この場合、正常でない演算処理部が行っていた制御を、一つとなった正常な演算処理部によって、冗長化するように、信号切替部39によって、信号の流れが切り替えられたとしても、その切り替え時及び切り替え後において、PWM信号の変化に時間差を生じさせ難くすることができる。したがって、モータ20の動作が不安定になる可能性を低減することができる。
(4)本実施形態によれば、構成を複雑化させることなく各演算処理部31,32の間で同期ずれを抑制することによって、モータ20の故障の発生の低減を図ることのできるモータ制御装置30を実現することができる。そして、このモータ制御装置30を用いて実現されるEPS1では、転舵力の付与について信頼性の向上を図ることができる。
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・周波数調整処理のS31では、「0(零)」以外の閾値を設定して、当該閾値を超えているか否かを判定するようにしてもよい。例えば、この閾値は、各演算処理部31,32の間で同期ずれを生じていたとしても、モータ20の動作に関わる制御への影響を無視できるとして経験的に求められる範囲の値に設定される。
・周波数調整処理のS35及びS37では、時間差Δtを複数回に分けて徐々に小さくするように、フィードバック制御を実行するものであってもよい。
・各同期用信号Sp1,Sp2の立下がりエッジに替えて、立上がりエッジに基づいて時間差Δtを検出するようにしてもよい。
・三角波W2のローレベルのタイミングで、周波数調整処理(S30)のS35及びS37の処理を通じて、三角波W2の周波数が高低するように変更されていれば、同期制御処理のS20等、他の処理が実行されるタイミングは変更されていてもよい。
・例えば、各発振器37,38の発振子のばらつきを予め把握できている場合、各演算処理部31,32の間で同期ずれとして許容できない範囲の同期ずれを生じる周期を算出することができる。この場合、イグニッション信号IGが入力された後、各演算処理部31,32の間で同期ずれとして許容できない範囲の同期ずれを生じる周期毎に、同期制御処理(図7)及び周波数調整処理(図8)を実行するように構成してもよい。
・各演算処理部31,32(各制御系統A,B)の何れかに異常があった場合、モータ20の動作に関わる制御が冗長化されずとも、モータ20の動作を少なくとも継続できるようにバックアップされていればよい。例えば、モータ制御装置30は、信号切替部39を備えていなくてもよい。この場合、正常な演算処理部が一つになったとしても、この一つとなった正常な演算処理部によるモータ20への給電等の制御が少なくとも継続されるので、モータ20の駆動に関わる制御系統のバックアップは可能である。
・各演算処理部31,32の何れも周波数調整部を有するように構成してもよい。この場合、各演算処理部31,32のうち、発振子の固体差に応じて、三角波の周波数を調整した方が良いと判断できる演算処理部の周波数調整部が実際に動作するように構成されていればよい。例えば、発振器の発振子の個体差の特性を予め把握させたASIC(application specific integrated circuit)を、別途設けるようにし、このASICに何れの演算処理部の周波数調整部を動作させればよいか選択させるようにすればよい。この場合であっても、三角波の周波数の調整については演算処理部内で済むため、上記実施形態に準じた作用及び効果を奏しうる。
・各タイマカウント部43,53を有していなくてもよく、各三角波生成部44,54自身が各クロックCLKa,CLKbのクロック数をカウントし、上限カウント値Ct0に基づいて各三角波W1,W2を生成するようにしてもよい。この場合、第2演算処理部32において、周波数調整部57は、三角波生成部54に対してカウント指示値Ctrを出力すればよい。
・モータ制御装置30では、複数の制御系統が構成されていなくてもよく、各演算処理部31,32が1チップ化されていてもよい。この場合、一のモータ駆動部及び一のコイル群(モータ)に対して、発振器が個別に接続される各演算処理部31,32がそれぞれ接続されていればよい。
・各同期用信号Sp1,Sp2としては、各三角波W1,W2のハイレベル及びローレベルの状態を把握可能に変化する信号であればよく、例えば、各三角波W1,W2のハイレベル及びローレベルに対して、ハイレベル及びローレベルが逆に変化する信号であってもよい。
・搬送波としては、三角波に替えて、鋸波を用いる場合であっても、上記実施形態に準じた作用及び効果を奏しうる。
・モータ制御装置30では、複数の制御系統が構成されていればよく、3系統や4系統以上の制御系統が構成されていてもよい。この場合、制御系統の数に合わせて演算処理部を増やせばよく、複数の演算処理部の少なくとも一つの演算処理部が周波数調整部を有していればよい。
・モータ20は、独立した2つのモータであってもよいし、一のコイル群のみからなるモータであってもよい。
・上記実施形態は、EPS1のモータ20を制御対象としたがこれに限られない。例えば、ステアバイワイヤ(SBW)方式のステアリング装置のモータや、後輪操舵装置や4輪操舵装置(4WS)のモータを制御対象としてもよい。また、上記実施形態は、自動運転等の高度運転支援として、車両の走行状態に応じて車両の進行方向を自動的に変化させる自動操舵のモータを制御対象としてもよく、この場合には冗長化の観点で特に有効である。
・上記実施形態は、モータ20を制御対象とするモータ制御装置30の替わりに、発電機等、制御信号によって動作するものを制御対象とする電子制御装置として実現することもできる。
・各変形例は、互いに組み合わせて適用してもよく、例えば、上記ASICを設ける構成と、その他の変形例の構成とは、互いに組み合わせて適用してもよい。
1…EPS、15…転舵輪、20…モータ、30…モータ制御装置、31…第1演算処理部、32…第2演算処理部、37,38…発振器、39…信号切替部、41,51…演算部、42,52…クロック発生部、43,53…タイマカウント部、44,54…三角波生成部、45,55…モータ駆動指令生成部、46,56…同期用信号出力部、57…周波数調整部、CLKa,CLKb…クロック、Ct0…上限カウント値、Ct1,Ct2…カウント値、Ctr…カウント指示値、P1,P2…PWM信号、Sp1,Sp2…同期用信号、W1,W2…三角波、ΔCt…カウント差、Δt…時間差。

Claims (6)

  1. 制御対象の動作を制御するためのPWM信号を生成するものであって、発振器がそれぞれ個別に接続されてなる複数の演算処理部を備え、前記複数の演算処理部は、デューティ比を指示するデューティ指示値との比較を通じて前記PWM信号のオン信号及びオフ信号を規定する信号であって、それぞれ個別に接続される前記発振器から入力されるクロックに基づいて、ハイレベル及びローレベルの変化を繰り返す搬送波を生成する搬送波生成部をそれぞれ有して構成される制御装置において、
    前記複数の演算処理部は、前記搬送波のハイレベル及びローレベルの状態を把握可能に変化する信号である同期用信号を生成して出力する同期用信号出力部をそれぞれ有しており、
    前記複数の演算処理部の少なくとも一つの演算処理部は、自身の前記同期用信号出力部から出力される前記同期用信号と、他の演算処理部の前記同期用信号出力部から出力される前記同期用信号との間に生じる時間差に基づいて、当該時間差が小さくなるように自身の前記搬送波の周波数を調整する周波数調整部を有し
    前記周波数調整部は、前記搬送波と、前記デューティ指示値とが交差し、前記PWM信号がオン信号となるタイミングの後であって、前記搬送波のローレベルのタイミングで当該搬送波の周波数の調整を実施するように構成されていることを特徴とする制御装置。
  2. 前記複数の演算処理部は、前記発振器から入力されるクロックに基づく発振数を予め定めた上限カウント値までカウントするタイマカウント部をそれぞれ有しており、
    各搬送波生成部は、前記搬送波として、自身が属する演算処理部の前記タイマカウント部のカウント値が前記上限カウント値に達する度に、ハイレベル及びローレベルの変化を繰り返す三角波をそれぞれ生成するものであり、
    前記周波数調整部は、自身が属する演算処理部の前記タイマカウント部のカウント値の前記上限カウント値を増減させることによって前記搬送波の周波数を調整するように構成されている請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記複数の演算処理部は、第1の演算処理部と、第2の演算処理部とを含み、
    前記第1の演算処理部及び前記第2の演算処理部のいずれか一つの演算処理部は、前記周波数調整部を有している請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
  4. 前記周波数調整部は、前記搬送波の周波数を周期的に調整するものであり、
    前記第1の演算処理部及び前記第2の演算処理部のうち正常な演算処理部が一つになった場合、一つとなった前記正常な演算処理部によって生成される前記PWM信号に基づいて、前記制御対象の動作が制御されるように信号の流れを切り替えることのできる信号切替部をさらに備えている請求項3に記載の制御装置。
  5. 請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の制御装置を有し、モータを制御対象とするモータ制御装置。
  6. 車両の転舵輪を転舵させる力である転舵力を付与するモータと、
    前記モータを制御対象とする請求項5に記載のモータ制御装置と、
    を備える電動パワーステアリング装置。
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