JP6660554B2 - 現像ローラ - Google Patents

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Description

本発明は、導電性ゴム組成物を用いて形成される現像ローラに関するものである。
例えばレーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機などの、電子写真法を利用した画像形成装置においては、概略下記の工程を経て、紙やプラスチックフィルムなどの用紙の表面に画像が形成される。
なお以下では、画像形成の基礎となる静電潜像を担持する静電潜像担持体として、光導電性を有する感光体を用いた場合を例にとって説明するが、静電潜像担持体は上記感光体に限定されるものではない。
まず感光体の表面を一様に帯電させた状態で露光して、当該表面に、形成画像に対応した静電潜像を形成する(帯電工程→露光工程)。
次いで、微小な着色粒子であるトナーをあらかじめ所定の電位に帯電させた状態で、上記感光体の表面に接触させる。そうするとトナーが、静電潜像の電位パターンに応じて感光体の表面に選択的に付着されて、上記静電潜像がトナー像に現像される(現像工程)。
次いで、現像されたトナー像を用紙の表面に転写し(転写工程)、さらに定着させる(定着工程)ことにより、上記用紙の表面に画像が形成される。
またトナー像を転写後の感光体は、その表面に残留したトナー等を除去して次の画像形成に使用する準備とされる(クリーニング工程)。
上記のうち現像工程では、感光体の表面に形成された静電潜像をトナー像に現像するために現像ローラが用いられる。
現像ローラは、所定の接触幅をもって感光体の表面に接触または近接させて配設され、塗布ブレード等によってその外周面に形成されたトナーの薄層を担持しながら回転することで、当該薄層を感光体の表面の静電潜像に接触させて、上述したメカニズムによってトナー像に現像するために機能する。
上記現像ローラには、柔軟で変形しやすい上、感光体を汚染しないことも求められる。また、よりコスト安価に製造できることも求められる。
現像ローラとしては、導電性を付与したゴム組成物(導電性ゴム組成物)を筒状に成形し、架橋させて形成したものが一般的に用いられる。
例えば特許文献1には、ゴム分にカーボンブラックを配合して導電性を付与するとともに、可塑剤等の軟化剤を配合して柔軟性を付与した導電性ゴム組成物によって上記現像ローラを形成することが記載されている。
また特許文献2には、現像ローラから上記軟化剤等のブリード物質がブリード(滲出)し、感光体を汚染して形成画像に影響が出るのを抑制するために、上記現像ローラの外周を遮蔽層で被覆することが記載されている。
しかし特許文献2に記載の遮蔽層は、任意の樹脂やゴム等を含む液状の塗剤を、現像ローラの外周に塗布したのち乾燥させ、さらに架橋性の樹脂やゴムの場合は架橋させて形成されるため、下記のような種々の問題を有している。
すなわち上記遮蔽層は、厚みが大きくなったり硬くなったりしやすいため現像ローラの柔軟性が低下しやすい上、当該遮蔽層の形成過程において埃等の異物の混入、厚みムラの発生等の様々な不良を生じやすいといった問題がある。
また特許文献2においては、主にシリコーンゴム等からなる現像ローラに対する遮蔽層の密着性を向上するために、上記遮蔽層の形成に先立って、現像ローラの表面を下処理したりプライマ層を形成したりしており、かかる構成では工程数が増加して現像ローラの生産性が低下したり、全体の層数が増加して現像ローラの柔軟性がさらに低下したりしやすいといった問題もある。
そこで、例えばゴム分の種類と組み合わせを選択する等して、ブリード物質となりうる可塑剤やプロセスオイル等の軟化剤を含まないでも柔軟な現像ローラを形成し、それによって遮蔽層を省略することが検討されている。
特開2007−333857号公報 特開2005−215485号公報
しかし発明者の検討によると、ゴム分の種類と組み合わせを選択する等して、軟化剤を含まずに柔軟性を付与した従来の現像ローラは、例えば形成画像のベタの部分やハーフトーンの部分に、現像ローラの駆動機構の回転ムラ等に基づく濃淡ムラ、いわゆるバンディングの不良を生じたり、画像耐久性が低下して、画像形成を繰り返した際に形成画像の余白部分にトナーが付着する、いわゆるカブリの不良を生じたりしやすいという問題がある。
このうちバンディングは、現像ローラの弾性が小さくかつ粘性が大きい場合に、上記回転ムラ等による振動を十分に吸収できないことが原因で発生すると考えられる。
また画像耐久性の低下によるカブリは、現像ローラの柔軟性が十分でない場合に発生する。
すなわち1回の画像形成には、画像形成装置の現像部に収容されたトナーのごく一部しか使用されず、残りの大部分のトナーは現像部内を繰り返し循環する。
そのため、現像部内に設けられた現像ローラの柔軟性が十分でない場合には、画像形成を繰り返した際に上記現像ローラと繰り返し接触することでトナーがダメージを受けやすくなる。
そしてダメージによってトナーが粉砕されたりする割合が増加し、それによって発生したトナーの粉砕物などは正常なトナーと比べて帯電特性等が大きくずれるため、形成画像の余白部分に付着してカブリを生じやすくなる。
本発明の目的は、軟化剤を含まずに良好な柔軟性を付与して遮蔽層を省略できる上、形成した画像にバンディングやカブリ等の不良が生じるのを良好に抑制できる現像ローラを提供することにある。
本発明は、ゴム分、および前記ゴム分を架橋させるための架橋成分を含み、前記ゴム分は、エピクロルヒドリンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、およびアクリロニトリルブタジエンゴムで、かつ前記エピクロルヒドリンゴムの配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部中の30質量部以上、45質量部以下であり、前記架橋成分は、前記ゴム分の総量100質量部あたり、0.75質量部以上、2.25質量部以下の硫黄、および0.25質量部以上、0.75質量部以下のチウラム系促進剤を含導電性ゴム組成物の架橋物からなる現像ローラである。
本発明によれば、軟化剤を含まずに良好な柔軟性を付与して遮蔽層を省略できる上、形成した画像にバンディングやカブリ等の不良が生じるのを良好に抑制できる現像ローラを提供できる。
本発明の現像ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
《導電性ゴム組成物》
本発明の現像ローラのもとになる導電性ゴム組成物は、上述したようにゴム分、および当該ゴム分を架橋させるための架橋成分を含み、上記ゴム分は、エピクロルヒドリンゴム、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、およびアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)の4種で、かつ前記エピクロルヒドリンゴムの配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部中の30質量部以上、45質量部以下であり、架橋成分は、前記ゴム分の総量100質量部あたり、0.75質量部以上、2.25質量部以下の硫黄、および0.25質量部以上、0.75質量部以下のチウラム系促進剤を含んでいることを特徴とするものである。
記導電性ゴム組成物によれば、ゴム分として、イオン導電性を有するエピクロルヒドリンゴムを用いることで、現像ローラに適度な導電性を付与するとともに、BR、CR、およびNBRを併用することで、軟化剤を含まない(除く)配合でも、当該現像ローラにゴムとしての良好な特性、特に良好な柔軟性を付与できる。
また架橋成分として、上述した所定の割合で、架橋剤としての硫黄とチウラム系促進剤とを併用することで、上記4種のゴム分の架橋状態を適切に調整して、形成画像にバンディングやカブリが生じるのを良好に抑制できる。
〈ゴム分〉
ゴム分としては、前述したようにエピクロルヒドリンゴム、BR、CR、およびNBRの4種のみを併用する。ただし各ゴムは、それぞれ2種以上を併用してもよい。
(エピクロルヒドリンゴム)
エピクロルヒドリンゴムとしては、繰り返し単位としてエピクロルヒドリンを含み、現像ローラに良好な導電性を付与するためのイオン導電性を有する種々の重合体が使用可能である。
かかるエピクロルヒドリンゴムとしては、例えばエピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体等の1種または2種以上が挙げられる。
中でもエチレンオキサイドを含む共重合体、特にECOおよび/またはGECOが好ましい。
上記両共重合体におけるエチレンオキサイド含量は、いずれも30モル%以上、特に50モル%以上であるのが好ましく、80モル%以下であるのが好ましい。
エチレンオキサイドは、現像ローラの導電性の指標であるローラ抵抗値を低下させて、当該現像ローラの導電性を向上させる働きをする。しかし、エチレンオキサイド含量がこの範囲未満ではかかる働きが十分に得られないため、ローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。
一方、エチレンオキサイド含量が上記の範囲を超える場合には当該エチレンオキサイドの結晶化が起こり、分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、逆にローラ抵抗値が上昇する傾向がある。また架橋後の現像ローラが硬くなりすぎたり、架橋前の導電性ゴム組成物の、加熱溶融時の粘度が上昇して加工性が低下したりするおそれもある。
ECOにおけるエピクロルヒドリン含量は、エチレンオキサイド含量の残量である。すなわちエピクロルヒドリン含量は20モル%以上であるのが好ましく、70モル%以下、特に50モル%以下であるのが好ましい。
またGECOにおけるアリルグリシジルエーテル含量は0.5モル%以上、特に2モル%以上であるのが好ましく、10モル%以下、特に5モル%以下であるのが好ましい。
アリルグリシジルエーテルは、それ自体が側鎖として自由体積を確保するために機能することにより、エチレンオキサイドの結晶化を抑制して、現像ローラのローラ抵抗値を低下させる働きをする。しかし、アリルグリシジルエーテル含量がこの範囲未満ではかかる働きが十分に得られないため、ローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。
一方、アリルグリシジルエーテルはGECOの架橋時に架橋点として機能するため、アリルグリシジルエーテル含量が上記の範囲を超える場合には、GECOの架橋密度が高くなりすぎることによって分子鎖のセグメント運動が妨げられて、却ってローラ抵抗値が上昇する傾向がある。
GECOにおけるエピクロルヒドリン含量は、エチレンオキサイド含量、およびアリルグリシジルエーテル含量の残量である。すなわちエピクロルヒドリン含量は10モル%以上、特に19.5モル%以上であるのが好ましく、69.5モル%以下、特に60モル%以下であるのが好ましい。
なおGECOとしては、先に説明した3種の単量体を共重合させた狭義の意味での共重合体の他に、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体(ECO)をアリルグリシジルエーテルで変性した変性物も知られており、本発明では、かかる変性物もGECOとして使用可能である。
これらエピクロルヒドリンゴムの1種または2種以上を使用できる。
(BR)
BRは、特に現像ローラにゴムとしての良好な特性、すなわち柔軟でしかも圧縮永久ひずみが小さくヘタリを生じにくい特性を付与するために機能する。
またBRは、特にプラス帯電性のトナーの帯電特性を向上するためにも機能する。
さらにBRは、後述するように酸化性雰囲気中での紫外線照射によって酸化されて、現像ローラの外周面に酸化膜を形成する材料としても機能する。
BRとしては、分子中にポリブタジエン構造を備え、架橋性を有する種々のBRがいずれも使用可能である。
特に高温から低温まで広い温度範囲でゴムとしての良好な特性を発現しうる、シス−1,4結合の含量が95%以上の高シスBRが好ましい。
またBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない非油展タイプのBRを用いるのが好ましい。
これらBRの1種または2種以上を使用できる。
(CR)
CRは、特に現像ローラの柔軟性を向上するために機能する。
またCRは、特にプラス帯電性のトナーの帯電特性を向上したり、極性ゴムであるため現像ローラのローラ抵抗値を微調整したりするためにも機能する。
さらにCRは、やはり酸化性雰囲気中での紫外線照射によって酸化されて、現像ローラの外周面に酸化膜を形成する材料としても機能する。
CRは、例えばクロロプレンを乳化重合させて合成されるもので、その際に用いる分子量調整剤の種類によって硫黄変性タイプと非硫黄変性タイプに分類される。
このうち硫黄変性タイプのCRは、クロロプレンと、分子量調整剤としての硫黄とを共重合させたポリマを、チウラムジスルフィド等で可塑化して所定の粘度に調整することで合成される。
また非硫黄変性タイプのCRは、例えばメルカプタン変性タイプ、キサントゲン変性タイプ等に分類される。
このうちメルカプタン変性タイプのCRは、例えばn−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調整剤として使用すること以外は硫黄変性タイプのCRと同様にして合成される。またキサントゲン変性タイプのCRは、アルキルキサントゲン化合物を分子量調整剤として使用すること以外は、やはり硫黄変性タイプのCRと同様にして合成される。
またCRは、その結晶化速度に基づいて、当該結晶化速度が遅いタイプ、中庸であるタイプ、および速いタイプに分類される。
本発明においてはいずれのタイプのCRを用いてもよいが、中でも非硫黄変性タイプで、かつ結晶化速度が遅いタイプのCRが好ましい。
またCRとしては、クロロプレンと他の共重合成分との共重合ゴムを用いてもよい。かかる他の共重合成分としては、例えば2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステル等の1種または2種以上が挙げられる。
またCRとしては、やはり伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない非油展タイプのCRを用いるのが好ましい。
これらCRの1種または2種以上を使用できる。
(NBR)
NBRは、その溶解パラメータ(SP値)がエピクロルヒドリンゴム、BR、およびCRのいずれとも近いため、これらゴムのいわば相溶化剤として機能して各ゴム間の微分散化を補助し、導電性ゴム組成物の加熱時の流動性を高めて、軟化剤を含まない配合でも良好な加工性を確保したり、現像ローラの柔軟性をさらに向上したりするために機能する。
またNBRも極性ゴムであるため、現像ローラのローラ抵抗値を微調整するために機能する。
さらにNBRは、やはり酸化性雰囲気中での紫外線照射によって酸化されて、現像ローラの外周面に酸化膜を形成する材料としても機能する。
NBRとしては、アクリロニトリル含量が24%以下である低ニトリルNBR、25〜30%である中ニトリルNBR、31〜35%である中高ニトリルNBR、36〜42%である高ニトリルNBR、43%以上である極高ニトリルNBRのいずれを用いてもよい。
またNBRとしては、導電性ゴム組成物の加熱時の流動性を向上して、軟化剤を含まない配合でもさらに良好な加工性を得るべく、ムーニー粘度の小さいものを選択して用いるのが好ましい。具体的には、NBRのムーニー粘度ML1+4(100℃)が35以下であるのが好ましい。
ただしムーニー粘度の下限は特に限定されず、入手可能な最小のムーニー粘度のNBRまで、種々の固形のNBRが使用可能である。あるいは固形のNBRに代えて、常温で液状を呈する液状NBRを用いることもできる。
またNBRとしては、やはり伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない非油展タイプのNBRを用いるのが好ましい。
これらNBRの1種または2種以上を使用できる。
(配合割合)
上記4種のゴム分の配合割合は、現像ローラに求められる各種の特性、特に導電性や柔軟性等に応じて任意に設定できる。
ただしエピクロルヒドリンゴムの配合割合は、前述したようにゴム分の総量100質量部中の30質量部以上、45質量部以下に限定され、中でも35質量部以上であるのが好まし
エピクロルヒドリンゴムの配合割合がこの範囲未満では、現像ローラに良好な導電性を付与できないおそれがある。
一方、エピクロルヒドリンゴムの配合割合が上記の範囲を超える場合には、相対的に他のゴムの割合が少なくなって、導電性ゴム組成物に良好な加工性を付与したり、現像ローラにゴムとしての良好な特性、特に高い柔軟性を付与したりできないおそれがある。また現像ローラとして使用した際にトナーが付着しやすくなって、形成画像の画像濃度が低下するおそれもある。
これに対しエピクロルヒドリンゴムの配合割合を上記の範囲とすることにより、他の3種のゴムを併用することによる効果を維持しながら、現像ローラに良好な導電性を付与できる。
BRの配合割合は、基本的に他の3種のゴムの残量である。すなわちエピクロルヒドリンゴム、CR、およびNBRを所定の割合で配合し、さらにBRを加えてゴム分の総量を100質量部とすればよい。
ただしBRの配合割合は、ゴム分の総量100質量部中の30質量部以上、特に35質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、特に45質量部以下であるのが好ましい。
BRの配合割合がこの範囲未満では、現像ローラにゴムとしての良好な特性を付与できないおそれがある。
一方、BRの配合割合が上記の範囲を超える場合には、相対的にエピクロルヒドリンゴムの割合が少なくなって、現像ローラに良好な導電性を付与できないおそれがある。またCRやNBRの割合が少なくなって、導電性ゴム組成物に良好な加工性を付与したり、現像ローラに良好な柔軟性を付与したりできないおそれもある。
これに対しBRの配合割合を上記の範囲とすることにより、他の3種のゴムを併用することによる効果を維持しながら、現像ローラにゴムとしての良好な特性を付与できる。
CRの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり5質量部以上であるのが好ましく、15質量部以下であるのが好ましい。
CRの配合割合がこの範囲未満では、現像ローラに良好な柔軟性を付与できないおそれがある。
一方、CRの配合割合が上記の範囲を超える場合には、相対的にエピクロルヒドリンゴムの割合が少なくなって、現像ローラに良好な導電性を付与できないおそれがある。またBRの割合が少なくなって、現像ローラにゴムとしての良好な特性を付与できないおそれもある。さらにNBRの割合が少なくなって、導電性ゴム組成物に良好な加工性を付与したり、現像ローラに良好な柔軟性を付与したりできないおそれもある。
これに対しCRの配合割合を上記の範囲とすることにより、他の3種のゴムを併用することによる効果を維持しながら、現像ローラに良好な柔軟性を付与できる。
さらにNBRの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり5質量部以上であるのが好ましく、15質量部以下であるのが好ましい。
NBRの配合割合がこの範囲未満では、導電性ゴム組成物に良好な加工性を付与したり、現像ローラに良好な柔軟性を付与したりできないおそれがある。
一方、NBRの配合割合が上記の範囲を超える場合には、相対的にエピクロルヒドリンゴムの量が少なくなって、現像ローラに良好な導電性を付与できないおそれがある。またBRの割合が少なくなって、現像ローラにゴムとしての良好な特性を付与できないおそれもある。さらにCRの割合が少なくなって、現像ローラに良好な柔軟性を付与できないおそれもある。
これに対しNBRの配合割合を上記の範囲とすることにより、他の3種のゴムを併用することによる効果を維持しながら、導電性ゴム組成物に良好な加工性を付与したり、現像ローラに良好な柔軟性を付与したりできる。
〈架橋成分〉
前述したように架橋成分としては、少なくとも硫黄、およびチウラム系促進剤を併用する。
このうち硫黄としては、ゴム分の架橋剤として機能しうる種々の硫黄が使用可能である。
またチウラム系促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)等の1種または2種以上が挙げられる。
また前述したように硫黄の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.75質量部以上、2.25質量部以下に限定され、チウラム系促進剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.25質量部以上、0.75質量部以下に限定される。
硫黄および/またはチウラム系促進剤の配合割合が、いずれか一方でも上記の範囲未満では架橋密度が不足して、現像ローラの弾性が小さくかつ粘性が大きくなるため、当該現像ローラを画像形成装置に組み込んで画像形成した際に、当該現像ローラの駆動機構の回転ムラ等に基づいてバンディングの不良を生じやすくなる。
一方、硫黄および/またはチウラム系促進剤の配合割合が、いずれか一方でも上記の範囲を超える場合には架橋密度が高すぎて、現像ローラの柔軟性が不足するため、当該現像ローラを画像形成装置に組み込んで画像形成を繰り返した際に、形成画像の余白部分にカブリの不良を生じやすくなる。
これに対し、硫黄およびチウラム系促進剤の配合割合をいずれも上記の範囲とすることにより、特に前述した4種のゴム分を組み合わせることで、軟化剤を含まずに良好な柔軟性を付与して遮蔽層を省略した現像ローラを形成できるとともに、当該現像ローラを用いて形成した画像にバンディングやカブリ等の不良が生じるのを良好に抑制できる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、硫黄とチウラム系促進剤の合計の配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり1.3質量部以上、特に1.5質量部以上であるのが好ましく、3.0質量部以下、特に2.5質量部以下であるのが好ましい。
なお硫黄として、例えばオイル入り粉末硫黄や分散性硫黄等の、硫黄を他の成分で処理した硫黄系の架橋剤を使用する場合、上記配合割合は、当該架橋剤中に含まれる有効成分としての硫黄自体の配合割合とする。
架橋成分としては、上記硫黄およびチウラム系促進剤とともに、さらに他の促進剤を併用することもできる。
かかる他の促進剤としては、例えばチアゾール系促進剤、チオウレア系促進剤、グアニジン系促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。ただし促進剤は、種類によって架橋促進のメカニズムが異なるため、特にこの3種を併用するのが好ましい。
このうちチアゾール系促進剤としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(ZnMBT)、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩(CMBT)、2−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール(MDB)等の1種または2種以上が挙げられる。
チアゾール系促進剤の配合割合は、硫黄、チウラム系促進剤、チオウレア系促進剤、およびグアニジン系促進剤と併用して、前述した本発明の効果をより一層向上することを考慮すると、ゴム分の総量100質量部あたり0.75質量部以上であるのが好ましく、2質量部以下であるのが好ましい。
またチオウレア系促進剤としては、例えばエチレンチオウレア(2−メルカプトイミダゾリン、EU)、N,N′−ジエチルチオウレア(DEU)、N,N′−ジブチルチオウレア等の1種または2種以上が挙げられる。
チオウレア系促進剤の配合割合は、硫黄、チウラム系促進剤、チアゾール系促進剤、およびグアニジン系促進剤と併用して、前述した本発明の効果をより一層向上することを考慮すると、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、1.5質量部以下であるのが好ましい。
さらにグアニジン系促進剤としては、例えば1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3−ジ−o−トリルグアニジン(DOTG)、1−o−トリルビグアニド(OTBG)、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩等の1種または2種以上が挙げられる。
グアニジン系促進剤の配合割合は、硫黄、チウラム系促進剤、チアゾール系促進剤、およびチオウレア系促進剤と併用して、前述した本発明の効果をより一層向上することを考慮すると、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、特に0.55質量部以上であるのが好ましく、1質量部以下であるのが好ましい。
〈その他の成分〉
電性ゴム組成物には、さらに必要に応じて各種の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、例えば促進助剤、受酸剤、加工助剤、劣化防止剤、充填剤、スコーチ防止剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、共架橋剤等が挙げられる。
ただし、前述したように可塑剤やオイル等の軟化剤は含まない(除く)ことが、遮蔽層を省略してなおかつ感光体の汚染を防止する上で好ましい。
促進助剤としては、例えば酸化亜鉛(亜鉛華)等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸、その他従来公知の促進助剤の1種または2種以上が挙げられる。
促進助剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、7質量部以下であるのが好ましい。上記範囲内で、ゴム分や架橋剤、促進剤の種類と組み合わせに応じて適宜、配合割合を設定できる。
受酸剤は、ゴム分の架橋時にエピクロルヒドリンゴムやCRから発生する塩素系ガスが現像ローラ内に残留したり、それによって架橋阻害や感光体の汚染等を生じたりするのを防止するために機能する。
受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、中でも分散性に優れたハイドロタルサイト類またはマグサラットが好ましく、特にハイドロタルサイト類が好ましい。
また、ハイドロタルサイト類等を酸化マグネシウムや酸化カリウムと併用すると、より高い受酸効果を得ることができ、上記架橋阻害や感光体等の汚染などをより一層確実に防止できる。
受酸剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、特に1質量部以上であるのが好ましく、2.5質量部未満、特に2質量部以下であるのが好ましい。
受酸剤の配合割合がこの範囲未満では、当該受酸剤を配合することによる効果が十分に得られないおそれがある。また受酸剤の配合割合が上記の範囲を超える場合には、現像ローラに良好な柔軟性を付与できないおそれがある。
加工助剤としては、例えばステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩などが挙げられる。
加工助剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、1質量部以下、特に0.5質量部以下であるのが好ましい。
劣化防止剤としては、各種の老化防止剤や酸化防止剤等が挙げられる。
このうち酸化防止剤は、現像ローラのローラ抵抗値の環境依存性を低減するとともに、連続通電時のローラ抵抗値の上昇を抑制する働きをする。酸化防止剤としては、例えばジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。
充填剤としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、カーボン、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等の1種または2種以上が挙げられる。
充填剤を配合することにより、現像ローラの機械的強度等を向上できる。
充填剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり2質量部以上であるのが好ましく、20質量部以下であるのが好ましい。
また充填剤として、例えば導電性カーボンブラック等の導電性充填剤を配合して、現像ローラに電子導電性を付与してもよい。
導電性カーボンブラックとしては、特に粒状のアセチレンブラックが好ましい。粒状のアセチレンブラックは取り扱いが容易で、しかも導電性ゴム組成物中に均一に分散できるため、現像ローラにできるだけ均一な電子導電性を付与できる。
導電性カーボンブラックの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり1質量部以上、特に3質量部以上であるのが好ましく、10質量部以下、特に8質量部以下であるのが好ましい。
スコーチ防止剤としては、例えばN−シクロへキシルチオフタルイミド、無水フタル酸、N−ニトロソジフエニルアミン、2,4−ジフエニル−4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上が挙げられる。特にN−シクロへキシルチオフタルイミドが好ましい。
スコーチ防止剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下であるのが好ましい。
共架橋剤とは、それ自体が架橋するとともにゴム分とも架橋反応して全体を高分子化する働きを有する成分を指す。
共架橋剤としては、例えばメタクリル酸エステルや、あるいはメタクリル酸またはアクリル酸の金属塩等に代表されるエチレン性不飽和単量体、1,2−ポリブタジエンの官能基を利用した多官能ポリマ類、あるいはジオキシム等の1種または2種以上が挙げられる。
このうちエチレン性不飽和単量体としては、例えば下記(a)〜(h)の化合物等の1種または2種以上が挙げられる。
(a) アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類。
(b) マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類。
(c) (a)(b)の不飽和カルボン酸類のエステルまたは無水物。
(d) (a)〜(c)の金属塩。
(e) 1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン。
(f) スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物。
(g) トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ビニルピリジンなどの、複素環を有するビニル化合物。
(h) その他、(メタ)アクリロニトリルもしくはα−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクロレイン、ホルミルステロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン。
また(c)の不飽和カルボン酸類のエステルとしては、モノカルボン酸類のエステルが好ましい。
モノカルボン酸類のエステルとしては、例えば下記の各種化合物等の1種または2種以上が挙げられる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ぺンチル(メタ)アクリレート、i−ぺンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル。
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの、(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル。
べンジル(メタ)アクリレート、ベンゾイル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの、芳香族環を有する(メタ)アクリレート。
グリシジル(メタ)アクリレート、メタグリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート;
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、テトラハイドロフルフリルメタクリレートなどの、各種官能基を有する(メタ)アクリレート。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンジメタクリレート(EDMA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート、イソブチレンエチレンジメタクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート。
以上で説明した各成分を含む導電性ゴム組成物は、従来同様に調製できる。
まず4種のゴム分を所定の割合で配合して素練りし、次いで架橋成分以外の各成分を加えて混練した後、最後に架橋成分を加えて混練することで導電性ゴム組成物が得られる。
混練には、例えばインターミックス、バンバリミキサ、ニーダ、押出機等の密閉式の混練機や、或はオープンロール等を用いることができる。
《現像ローラ》
図1は、本発明の現像ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1を参照して、この例の現像ローラ1は、上記導電性ゴム組成物によって非多孔質でかつ単層構造の筒状に形成されるとともに、中心の通孔2にシャフト3が挿通されて固定されたものである。
シャフト3は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属によって一体に形成されている。
シャフト3は、例えば導電性を有する接着剤を介して現像ローラ1と電気的に接合されるとともに機械的に固定されるか、あるいは通孔2の内径よりも外径の大きいものを通孔2に圧入することで、現像ローラ1と電気的に接合されるとともに機械的に固定されて、上記現像ローラ1と一体に回転される。
現像ローラ1の外周面4には、図中に拡大して示すように酸化膜5を形成してもよい。
酸化膜5を形成すると、当該酸化膜5が誘電層として機能して現像ローラ1の誘電正接を低減できる。また酸化膜5が低摩擦層として機能して、トナーの付着を良好に抑制できる。
しかも酸化膜5は、例えば酸化性雰囲気中で外周面4に紫外線を照射する等して、前述したように、当該外周面4の近傍の導電性ゴム組成物中に含まれるBR、CR、NBRを酸化させるだけで簡単に形成できるため、現像ローラ1の生産性が低下したり製造コストが高くついたりするのを抑制できる。
なお現像ローラ1の「単層構造」とは、ゴムからなる層の数が単層であることを指し、紫外線照射等によって形成される酸化膜5は層数に含まないこととする。
現像ローラ1を製造するには、まず調製した導電性ゴム組成物を、押出成形機を用いて筒状に押出成形し、次いで所定の長さにカットして加硫缶内で加圧、加熱して架橋させる。
次いで架橋させた筒状体を、オーブン等を用いて加熱して二次架橋させ、冷却したのち所定の外径となるように研磨する。
研磨方法としては、例えば乾式トラバース研削等の種々の研磨方法が採用可能であるが、研磨工程の最後に鏡面研磨をして仕上げると、外周面4の離型性を向上して、酸化膜5を形成しない場合でもトナーの付着を抑制できる。また感光体等の汚染を有効に防止できる。
また、外周面4を上記のように鏡面研磨して仕上げた後にさらに酸化膜5を形成すると、この両者の相乗効果によってトナーの付着をより一層良好に抑制できるとともに、感光体等の汚染をさらに良好に防止できる。
シャフト3は、筒状体のカット後から研磨後までの任意の時点で通孔2に挿通して固定できる。
ただしカット後、まず通孔2にシャフト3を挿通した状態で二次架橋、および研磨をするのが好ましい。これにより二次架橋時の膨張収縮による筒状体→現像ローラ1の反りや変形を抑制できる。また、シャフト3を中心として回転させながら研磨することで当該研磨の作業性を向上し、なおかつ外周面4のフレを抑制できる。
シャフト3は、先に説明したように通孔2の内径よりも外径の大きいものを通孔2に圧入するか、あるいは導電性を有する熱硬化性接着剤を介して、二次架橋前の筒状体の通孔2に挿通すればよい。
前者の場合は、シャフト3の圧入と同時に電気的な接合と機械的な固定が完了する。
また後者の場合は、オーブン中での加熱によって筒状体が二次架橋されるのと同時に熱硬化性接着剤が硬化して、当該シャフト3が筒状体→現像ローラ1に電気的に接合されるとともに機械的に固定される。
酸化膜5は、先に説明したように現像ローラ1の外周面4に紫外線を照射して形成するのが好ましい。すなわち、現像ローラ1の外周面4に所定波長の紫外線を所定時間照射して、当該外周面4の近傍を構成する導電性ゴム組成物中のBR、CR、NBRを酸化させるだけで酸化膜5を形成できるため、簡単で効率的である。
しかも、上記紫外線の照射によって形成される酸化膜は、例えば従来の、塗剤を塗布して形成される遮蔽層のような問題を生じることがなく、薄くて現像ローラ1の柔軟性を低下させるおそれがない上、厚みの均一性や密着性等にも優れている。
照射する紫外線の波長は、ゴム組成物中のBR、CR、NBRを効率よく酸化させて、先に説明した機能に優れた酸化膜5を形成することを考慮すると100nm以上であるのが好ましく、400nm以下、特に300nm以下であるのが好ましい。また照射の時間は30秒間以上、特に1分間以上であるのが好ましく、30分間以下、特に15分間以下であるのが好ましい。
ただし、酸化膜5は他の方法で形成してもよいし、場合によっては形成しなくてもよい。
非多孔質でかつ単層構造の現像ローラ1は、前述したように架橋成分としての硫黄、およびチウラム系促進剤の配合割合を前述した範囲で変更することで調整される、柔軟性の指標としてのタイプAデュロメータ硬さが55以下、特に50以下であるのが好ましい。
タイプAデュロメータ硬さがこの範囲を超える現像ローラ1は、柔軟性が不十分で硬いため、画像形成を繰り返した際にトナーがダメージを受ける割合が増加して、形成画像の余白部分にカブリを生じやすくなるおそれがある。
これに対し、タイプAデュロメータ硬さを上記の範囲とすることにより、現像ローラ1に良好な柔軟性を付与して、画像形成を繰り返しても、形成画像の余白部分にカブリが生じるのを抑制できる。
なお現像ローラ1のタイプAデュロメータ硬さは、当該現像ローラ1に十分な耐久性を付与すること等を考慮すると、上記の範囲でも45以上、特に48以上であるのが好ましい。
また上記現像ローラ1は、上記硫黄、およびチウラム系促進剤の配合割合を前述した範囲で変更することで調整される粘弾性の指標としての、動的粘弾性特性(温度分散)から求められる23℃での損失正接tanδが0.07以下、特に0.065以下であるのが好ましい。
損失正接tanδがこの範囲を超える現像ローラ1は、弾性が小さくかつ粘性が大きいため、現像ローラの駆動機構の回転ムラ等に基づくバンディングを生じやすくなるおそれがある。
これに対し、損失正接tanδを上記の範囲とすることにより、現像ローラの弾性を向上して、上記バンディングが生じるのを良好に抑制できる。
なお現像ローラ1の損失正接tanδは、当該現像ローラ1の良好な柔軟性を維持すること等を考慮すると、上記の範囲でも0.35以上、特に0.4以上であるのが好ましい。
本発明の現像ローラ1は、例えばレーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機等の、電子写真法を利用した画像形成装置において好適に用いることができる。
〈実施例1〉
(導電性ゴム組成物の調製)
ゴム分としては、下記の4種を用いた。
GECO〔(株)大阪ソーダ製のエピオン(登録商標)−301L、EO/EP/AGE=73/23/4(モル比)〕:40質量部
BR〔JSR(株)製のJSR BR01、シス−1,4結合の含量:95質量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):45〕:40質量部
CR〔昭和電工(株)製のショウプレン(登録商標)WRT〕:10質量部
NBR〔日本ゼオン(株)製のNipol(登録商標)DN401LL、低ニトリルNBR、アクリロニトリル含量:18%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):32〕:10質量部
上記4種のゴム分の合計100質量部を、バンバリミキサを用いて素練りしながら、下記表1に示す各成分のうち架橋成分以外を加えて混練し、最後に架橋成分を加えてさらに混練して導電性ゴム組成物を調製した。
Figure 0006660554
表1中の各成分は下記のとおり。なお表1中の質量部は、ゴム分の総量100質量部あたりの質量部である。また硫黄の質量部は、下記分散性硫黄中に含まれる、有効成分としての硫黄自体の質量部である。
硫黄:分散性硫黄〔鶴見化学工業(株)製の商品名サルファックスPS、硫黄分:99.5%〕
チウラム系促進剤:テトラメチルチウラムモノスルフィド〔TMTM、三新化学工業(株)製のサンセラー(登録商標)TS〕
チアゾール系促進剤:ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド〔MBTS、Shandong Shanxian Chemical Co. Ltd.製の商品名SUNSINE MBTS〕
チオウレア系促進剤:エチレンチオウレア〔2−メルカプトイミダゾリン、EU、川口化学工業(株)製のアクセル(登録商標)22−S〕
グアニジン系促進剤:1,3−ジ−o−トリルグアニジン〔DOTG、三新化学工業(株)製のサンセラーDT〕
促進助剤:酸化亜鉛2種〔三井金属鉱業(株)製〕
導電性充填剤:導電性カーボンブラック〔アセチレンブラック、電気化学工業(株)製のデンカ ブラック(登録商標)粒状〕
加工助剤:ステアリン酸亜鉛〔堺化学工業(株)製のSZ−2000〕
受酸剤:ハイドロタルサイト類〔協和化学工業(株)製のDHT−4A(登録商標)−2〕
(現像ローラの製造)
上記ゴム組成物を押出機に供給して外径φ20mm、内径φ7.0mmの筒状に押出成形し、架橋用の仮のシャフトに装着して加硫缶内で160℃×1時間架橋させた。
次いで架橋させた筒状体を、外周面に導電性の熱硬化性接着剤を塗布した外径φ7.5mmのシャフトに装着し直して、オーブン中で160℃に加熱してシャフトに接着させた。
次いで筒状体の両端をカットして整形するとともに、外周面を、円筒研磨機を用いてトラバース研磨したのち仕上げとして鏡面研磨して、外径φ20.00mm(公差0.05)になるように仕上げた。鏡面研磨には、#2000のラッピングフィルム〔三共理化学(株)製のミラーフィルム(登録商標)〕を用いた。
次いで鏡面研磨後の外周面を水洗いしたのち、当該外周面からUVランプまでの距離が5cmになるように設定して紫外線照射装置〔セン特殊光源(株)製のPL21−200〕にセットし、シャフトを中心として90°ずつ回転させながら、波長184.9nmと253.7nmの紫外線を5分間ずつ照射することで上記外周面に酸化膜を形成して現像ローラを製造した。
〈実施例2〉
硫黄の配合割合を0.75質量部、チウラム系促進剤の配合割合を0.75質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈実施例3〉
硫黄の配合割合を1.5質量部、チウラム系促進剤の配合割合を0.25質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈実施例4〉
硫黄の配合割合を1.5質量部、チウラム系促進剤の配合割合を0.75質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈実施例5〉
硫黄の配合割合を2質量部、チウラム系促進剤の配合割合を0.25質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈実施例6〉
硫黄の配合割合を1質量部、チウラム系促進剤の配合割合を0.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈実施例7〉
硫黄の配合割合を2.25質量部、チウラム系促進剤の配合割合を0.25質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈比較例1〉
硫黄の配合割合を0.74質量部、チウラム系促進剤の配合割合を0.24質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈比較例2〉
硫黄の配合割合を2.26質量部、チウラム系促進剤の配合割合を0.76質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈タイプAデュロメータ硬さ測定〉
各実施例、比較例で製造した現像ローラのタイプAデュロメータ硬さを、測定温度23±2℃で、下記の測定方法に則って測定した。
すなわち、半導電性ローラの両端から突出したシャフトの両端部を支持台に固定した状態で、当該半導電性ローラの幅方向の中央部に上方から、日本工業規格JIS K6253−3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」に準拠したタイプAデュロメータの押し針を当てて、加圧面に加える質量:1000g、測定時間:3秒(加硫ゴムの標準測定時間)の条件で測定した値でもってタイプAデュロメータ硬さとした。
タイプAデュロメータ硬さは、55以下を良好(○)、55を超えるものを不良(×)と評価した。
〈粘弾性測定〉
各実施例、比較例で調製した導電性ゴム組成物をシート状に成形し、160℃×1時間架橋させたのち打ち抜いて、幅5mm×長さ20mm×厚み2mmの短冊状のサンプルを作製した。
次いでこのサンプルを動的粘弾性測定装置〔(株)UBM製のRheogel−E4000〕にセットして、下記の条件で動的粘弾性特性(温度分散)を測定した結果から、23℃での損失正接tanδを求めた。
測定温度:−150〜50℃
昇温速度:4℃/min
測定温度間隔:4℃
測定周波数:2Hz
初期ひずみ:一定
振幅:50μm
変形モード:引っ張り
チャック間距離:20mm
波形:正弦波
損失正接tanδは、0.07以下を良好、0.07を超えるものを不良(×)と評価した。
〈実機試験〉
各実施例、比較例で製造した現像ローラを、市販のレーザープリンタ用の新品のカートリッジ(トナーを収容したトナー容器、感光体、および感光体と接触させた現像ローラが一体になったもの)の既設の現像ローラと交換した。
なおレーザープリンタは、プラス帯電型の粉砕タイプの非磁性1成分トナーを使用するもので、画像形成の速度は毎分40枚、5%濃度の画像を連続的に画像形成可能な設定枚数(プリンタライフ)は6500枚である。
(画像耐久性評価)
上記カートリッジを初期状態のレーザープリンタに装着し、温度23±2℃、相対湿度55±2%の環境下で1%濃度の画像を連続的に画像形成して、画像形成500枚ごとに、形成画像の余白部分にカブリが発生したか否かをプリンタライフまで確認して、下記の基準で画像耐久性を評価した。
○:プリンタライフまでカブリは見られなかった。画像耐久性良好。
×:プリンタライフまでにカブリが見られた。画像耐久性不良。
(バンディング評価)
上記カートリッジを初期状態のレーザープリンタに装着し、温度23±2℃、相対湿度55±2%の環境下で全面ベタ画像、および全面ハーフトーン画像を画像形成した。
そしてそれぞれの画像の紙送り方向と直交方向に、ピッチ幅が1〜5mmの範囲のスジ状で、かつ現像ローラの回転周期とは異なる濃淡ムラの繰り返し(バンディング)が発生したか否かを確認して、下記の基準でバンディングを評価した。
○:全面ベタ画像、全面ハーフトーン画像のいずれにもバンディングは見られなかった。良好。
△:全面ベタ画像ではバンディングが見られたが、ハーフトーン画像ではバンディングは見られなかった。通常レベル。
×:全面ベタ画像、全面ハーフトーン画像のいずれにもバンディングが見られた。不良。
以上の結果を表2、表3に示す。
Figure 0006660554
Figure 0006660554
表2、表3の実施例1〜7、比較例1、2の結果より、ゴム分としてのエピクロルヒドリンゴム、BR、CR、およびNBRの併用系に、当該ゴム分の総量100質量部あたり、0.75〜2.25質量部の硫黄、および0.25〜0.75質量部のチウラム系促進剤を配合し導電性ゴム組成物によれば、軟化剤を含まずに良好な柔軟性を付与して遮蔽層を省略した現像ローラを形成できるとともに、当該現像ローラを用いて形成した画像にバンディングやカブリ等の不良が生じるのを良好に抑制できることが判った。
また実施例1〜7の結果より、上記の効果をより一層向上することを考慮すると、硫黄とチウラム系促進剤の合計の配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり1.3質量部以上、特に1.5質量部以上であるのが好ましく、3.0質量部以下、特に2.5質量部以下であるのが好ましいことが判った。
1 現像ローラ
2 通孔
3 シャフト
4 外周面
5 酸化膜

Claims (5)

  1. ゴム分、および前記ゴム分を架橋させるための架橋成分を含み、前記ゴム分は、エピクロルヒドリンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、およびアクリロニトリルブタジエンゴムで、かつ前記エピクロルヒドリンゴムの配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部中の30質量部以上、45質量部以下であり、前記架橋成分は、前記ゴム分の総量100質量部あたり、0.75質量部以上、2.25質量部以下の硫黄、および0.25質量部以上、0.75質量部以下のチウラム系促進剤を含導電性ゴム組成物の架橋物からなる現像ローラ
  2. 前記導電性ゴム組成物は、さらに、ゴム分の総量100質量部あたり、0.75質量部以上、2質量部以下のチアゾール系促進剤、0.5質量部以上、1.5質量部以下のチオウレア系促進剤、および0.1質量部以上、1質量部以下のグアニジン系促進剤からなる群より選ばれた少なくとも1種の架橋成分をも含んでいる請求項1に記載の現像ローラ
  3. 前記ブタジエンゴムの配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部中の30質量部以上、50質量部以下である請求項1または2に記載の現像ローラ。
  4. タイプAデュロメータ硬さが55以下で、かつ動的粘弾性特性(温度分散)から求められる23℃での損失正接tanδが0.07以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の現像ローラ。
  5. 外周面に酸化膜を備えている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の現像ローラ。
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