JP5419958B2 - 導電性ゴム組成物およびそれを用いた現像ローラ - Google Patents
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Description
例えばレーザープリンタでは、今後のさらなる普及を目指して、より一層の小型化とメンテナンスフリー化とを図るために研究開発が続けられている。そしてこの流れに沿って、前記レーザープリンタの現像部に組み込んで、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像をトナー像に現像するために用いられる現像ローラについても、さらなる小型化が求められている。
また前記導電性ゴム組成物は、例えば共重合成分としてエチレンオキサイドを含みイオン導電性を有する共重合ゴム(イオン導電性ゴム)を少なくとも含むゴム分に、当該ゴム分を架橋させるための架橋剤、架橋促進剤等の各種添加剤を配合する等して調製される。
そのため現像ローラには、
・ 現状よりも小径化すること、
・ 小径化しても従来と同等程度のニップ厚を維持した状態で感光体ドラムの表面に圧接させるべく、ローラ本体を低硬度化して柔軟性を高めること、
・ 低硬度化しても圧縮永久歪みが小さい状態を維持することで、圧接により変形したのち前記圧接を解除しても元の状態になかなか復元されない、いわゆる「ヘタリ」を生じにくくして、前記ヘタリにより形成画像に画像ムラが生じるのを防止できること、
等が求められている。
そして、画像形成を開始したり再開したりしても直ちにヘタリが解消されない場合には、形成画像のうち、ローラ本体の前記ヘタリが発生した箇所に対応する帯状の領域の濃度が局所的に低下して、前記形成画像に縞状の濃度のムラ、すなわち画像ムラを生じる。
特許文献1には、エピクロルヒドリンゴム等のイオン導電性ゴムと、極性ゴムであるクロロプレンゴム(CR)の2種のゴムをゴム分とし、当該ゴム分に、パーオキサイド系架橋剤、チオウレア系架橋促進剤、およびグアニジン系架橋促進剤をそれぞれ所定の割合で配合した導電性ゴム組成物を用いて現像ローラのローラ本体を形成すると、当該ローラ本体の柔軟性を向上しつつ圧縮永久歪みを小さくできることが記載されている。
研磨の工程では、例えば1段階目に乾式プランジ研磨して前記外周面のプロファイルを作製した後、2段階目に湿式トラバース研磨して、前記乾式プランジ研磨後に残った研磨目を除去するとともに、前記外周面を所定の表面粗さに仕上げるのが一般的である。
現状では、研磨目が残った場合には湿式トラバース研磨をさらに1回以上繰り返して外周面の表面粗さを調整しているが、これでは量産に対応することができない。すなわち、工程数および工程に要する時間が増加するとともに、研磨を繰り返すことで不良品の発生数が増加して歩留まり低下することから、現像ローラの生産性が低下してしまう。
しかし充填剤を配合した場合には、ローラ本体の硬度が上昇して柔軟性が低下するとともに、圧縮永久歪みも大きくなるという問題がある。
・ 従来の3種のゴムの併用系のうちイオン導電性ゴムとして、エチレンオキサイド含量が70モル%以上、試験温度100℃でのムーニー粘度が60ML(1+4)100℃未満のエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合ゴム(GECO)を選択して用いるとともに、その配合割合を、ゴム分の総量100質量部中の20質量部以上、70質量部以下の範囲に規定し、
・またNBRの配合割合を、前記ゴム分の総量100質量部中の10質量部以上、40質量部以下に規定するとともに、
・架橋剤として硫黄、架橋促進剤としてチアゾール系架橋促進剤、チウラム系架橋促進剤、チオウレア系架橋促進剤、およびグアニジン系架橋促進剤を併用し、かつそれぞれの配合割合を所定の範囲内に規定すると、
硬度が低く柔軟性に優れるとともに圧縮永久歪みが小さい上、振動時の損失正接tanδが小さく研磨時の加工性に優れ、乾式プランジ研磨後の1回の湿式トラバース研磨で、研磨目を残さずに、外周面を所定の表面粗さに仕上げることが可能なローラ本体を形成できることを見出した。
前記ゴム分は、エチレンオキサイド含量が70モル%以上、ムーニー粘度が60ML(1+4)100℃未満のGECO、NBR、およびCRの3種のゴムからなり、
前記ゴム分の総量100質量部中に占める前記3種のゴムの配合割合は、GECOが20質量部以上、70質量部以下、NBRが10質量部以上、40質量部以下で、かつ残量がCRであり、
前記硫黄の配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部に対して1.2質量部以上、1.8質量部以下であるとともに、
前記架橋促進剤は、前記ゴム分の総量100質量部に対して、0.2質量部以上、0.8質量部以下のチアゾール系架橋促進剤、0.2質量部以上、0.8質量部以下のチウラム系架橋促進剤、0.2質量部以上、0.8質量部以下のチオウレア系架橋促進剤、および0.1質量部以上、0.7質量部以下のグアニジン系架橋促進剤であること
を特徴とする導電性ゴム組成物である。
本発明の導電性ゴム組成物は、ゴム分、架橋剤としての硫黄、および架橋促進剤を含み、
前記ゴム分は、エチレンオキサイド含量が70モル%以上、ムーニー粘度が60ML(1+4)100℃未満のGECO、NBR、およびCRの3種のゴムからなり、
前記ゴム分の総量100質量部中に占める前記3種のゴムの配合割合は、GECOが20質量部以上、70質量部以下、NBRが10質量部以上、40質量部以下で、かつ残量がCRであり、
前記硫黄の配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部に対して1.2質量部以上、1.8質量部以下であるとともに、
前記架橋促進剤は、前記ゴム分の総量100質量部に対して、0.2質量部以上、0.8質量部以下のチアゾール系架橋促進剤、0.2質量部以上、0.8質量部以下のチウラム系架橋促進剤、0.2質量部以上、0.8質量部以下のチオウレア系架橋促進剤、および0.1質量部以上、0.7質量部以下のグアニジン系架橋促進剤であること
を特徴とするものである。
(GECO)
GECOは、エピクロルヒドリン、エチレンオキサイド、およびアリルグリシジルエーテルの3種の共重合ゴムであって、前記エチレンオキサイドの含量が70モル%以上で、かつムーニー粘度が60ML(1+4)100℃未満であるものに限定される。
エチレンオキサイド含量が70モル%以上に限定されるのは、70モル%未満では、後述する実施例、比較例の結果からも明らかなように、振動時の損失正接tanδが大きくなって加工性が低下し、乾式プランジ研磨後の1回の湿式トラバース研磨では研磨目が残って、ローラ本体の外周面を所定の表面粗さに仕上げられない問題を生じやすくなるためである。
前記アリルグリシジルエーテルは、それ自体が側鎖として自由体積を確保するために機能することにより、エチレンオキサイドの結晶化を抑制して、現像ローラのローラ抵抗値を低下させる働きをする。しかしアリルグリシジルエーテル含量が前記範囲未満ではかかる働きが得られないため、現像ローラのローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。
GECOとしては、前記3種の単量体を共重合させた狭義の三元共重合体の他に、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合ゴム(ECO)をアリルグリシジルエーテルで変性した変性物も知られており、当該変性物も、本発明においてはGECOとして使用可能である。
なおムーニー粘度は、前記範囲内でも50ML(1+4)100℃以上であるのが好ましく、58ML(1+4)100℃以下であるのが好ましい。
前記GECOの配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部中の20質量部以上、70質量部以下に限定される。
一方、前記範囲を超える場合には、ローラ本体の硬度が上昇して柔軟性が低下する。
(NBR)
NBRとしては、アクリロニトリルとブタジエンの共重合ゴムであって、アクリロニトリル含量が24%以下である低ニトリルNBR、25〜30%である中ニトリルNBR、31〜35%である中高ニトリルNBR、36〜42%である高ニトリルNBR、43%以上である極高ニトリルNBRのいずれを用いてもよい。特に、比重の小さい低ニトリルNBRを用いると、現像ローラの比重を低下させて軽量化をはかることができる。
NBRの配合割合が前記範囲未満では、先に説明した、当該NBRを配合することによる、ローラ本体の硬度を低くして柔軟性を向上する効果が得られないため、ローラ本体の硬度が上昇して柔軟性が低下する。
なおNBRの配合割合は、前記加工性、硬度、および圧縮永久歪みのバランスに優れたローラ本体を形成することを考慮すると、前記範囲内でも15質量部以上であるのが好ましく、35質量部以下であるのが好ましい。
CRは、例えばクロロプレンを乳化重合させて合成され、その際に用いる分子量調整剤の種類によって硫黄変性タイプと非硫黄変性タイプに分類される。
このうち硫黄変性タイプのCRは、クロロプレンと、分子量調整剤としての硫黄とを共重合させたポリマーをチウラムジスルフィド等で可塑化し、所定の粘度に調整して得られる。
このうちメルカプタン変性タイプのCRは、例えばn−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調整剤として使用して、前記硫黄変性タイプのCRと同様にして合成される。またキサントゲン変性タイプのCRは、アルキルキサントゲン化合物を分子量調整剤として使用して前記と同様にして合成される。
本発明では、いずれのタイプのCRを用いてもよいが、中でも非硫黄変性タイプで、かつ結晶化速度が遅いタイプのCRの1種または2種以上が好ましい。
さらにCRとしては、クロロプレンと他の共重合成分との共重合体を用いてもよい。前記他の共重合体としては、例えば2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステル等の1種または2種以上が挙げられる。
〈架橋剤〉
前記ゴム分を架橋させる架橋剤は、例えば粉末硫黄等の、架橋剤として機能しうる硫黄に限定される。また硫黄の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり1.2質量部以上、1.8質量部以下に限定される。
一方、前記範囲を超える場合には、ローラ本体の硬度が上昇して柔軟性が低下する。
なお硫黄の配合割合は、前記加工性、および硬度のバランスに優れたローラ本体を形成することを考慮すると、前記範囲内でも1.4質量部以上であるのが好ましく、1.6質量部以下であるのが好ましい。
架橋促進剤は、チアゾール系架橋促進剤、チウラム系架橋促進剤、チオウレア系架橋促進剤、およびグアニジン系架橋促進剤の4種に限定される。
このうちチアゾール系架橋促進剤としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド等の少なくとも1種が挙げられる。
チアゾール系架橋促進剤の配合割合が前記範囲未満では、ローラ本体の硬度が上昇して柔軟性が低下する。
一方、前記範囲を超える場合には、ローラ本体の圧縮永久歪みが大きくなってヘタリを生じやすくなる。
チウラム系架橋促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、およびジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の1種または2種以上が挙げられる。
チウラム系架橋促進剤の配合割合が前記範囲未満では、ローラ本体の圧縮永久歪みが大きくなってヘタリを生じやすくなる。
一方、前記範囲を超える場合には、ローラ本体の硬度が上昇して柔軟性が低下する。
チオウレア系架橋促進剤としては、例えばテトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エチレンチオウレア、および(CnH2n+1NH)2C=S〔式中nは1〜10の数を示す。〕で表されるチオウレア等の1種または2種以上が挙げられる。
チオウレア系架橋促進剤の配合割合が前記範囲未満では、振動時の損失正接tanδが大きくなって加工性が低下し、乾式プランジ研磨後の1回の湿式トラバース研磨では研磨目が残って、ローラ本体の外周面を所定の表面粗さに仕上げられない問題を生じやすくなる。
なおチオウレア系架橋促進剤の配合割合は、前記加工性、硬度、および圧縮永久歪みのバランスに優れたローラ本体を形成することを考慮すると、前記範囲内でも0.4質量部以上であるのが好ましく、0.6質量部以下であるのが好ましい。
前記グアニジン系架橋促進剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、0.7質量部以下に限定される。
一方、前記範囲を超える場合には、ローラ本体の硬度が上昇して柔軟性が低下する。
〈その他〉
本発明の導電性ゴム組成物には、さらに必要に応じて導電性カーボンブラック、架橋促進助剤、受酸剤等の各種添加剤を配合してもよい。
架橋促進助剤としては、亜鉛華(酸化亜鉛)等の金属化合物や、ステアリン酸、オレイン酸、綿実油脂肪酸等の脂肪酸その他、従来公知の架橋促進助剤の1種または1種以上が挙げられる。
受酸剤は、導電性ゴム組成物の架橋時にGECO、およびCRから発生する塩素系ガスの、ローラ本体内への残留と、それによる架橋阻害や感光体の汚染等を防止するために機能する。
またハイドロタルサイト類を酸化マグネシウムや酸化カリウムと併用すると、より高い受酸効果を得ることができる。
前記各成分を含む本発明の導電性ゴム組成物は、従来同様に調製できる。まず前記3種のゴム分を所定の割合で配合して素練りし、次いで架橋成分以外の添加剤を加えて混練した後、最後に架橋成分を加えて混練することで導電性ゴム組成物が得られる。前記混練には、例えばニーダ、バンバリミキサ、押出機等を用いることができる。
図1は、本発明の現像ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1を参照して、この例の現像ローラ1は、前記本発明の導電性ゴム組成物からなる円筒状のローラ本体2と、前記ローラ本体2の中心の通孔3に挿通されたシャフト4とを備えている。
またローラ本体2は、外周面5側の外層とシャフト4側の内層の2層構造に形成してもよい。その場合は、少なくとも外層を本発明の導電性ゴム組成物によって形成すればよい。
ただしローラ本体2は、現像ローラ1の構造を簡略化して、できるだけ生産性良く、低コストで製造するため、基本的には、図に示すように本発明の導電性ゴム組成物によって単層構造に形成するのが好ましい。
ローラ本体2とシャフト4とは、例えば導電性を有する接着剤等により電気的に接合されるとともに機械的に固定され、それによって現像ローラ1が構成される。
ローラ本体2の外周面5は、先に説明したように研磨して所定の表面粗さに仕上げられる。
前記酸化膜6は、ローラ本体2の外周面5に紫外線を照射して形成するのが、当該酸化膜6を簡単で効率よく形成できるため好ましい。すなわち、ローラ本体2の外周面5に所定波長の紫外線を所定時間照射することにより、前記外周面5に、所定の厚みを有する酸化膜6を形成することができる。
照射する紫外線の波長は、前記SBR等のゴム分を効率よく酸化させて、前記機能に優れた酸化膜6を形成することを考慮すると100nm以上であるのが好ましく、400nm以下、特に300nm以下であるのが好ましい。また照射の時間は30秒間以上、特に1分間以上であるのが好ましく、30分間以下、特に15分間以下であるのが好ましい。
前記例の現像ローラ1は、先に説明した各成分を含む本発明の導電性ゴム組成物を用いて、従来同様に製造することができる。
すなわち導電性ゴム組成物を、押出成形機を用いて混練しながら加熱して溶融させた状態で、前記ローラ本体2の断面形状、すなわち円環状に対応するダイを通して長尺の円筒状に押出成形する。
次いで外周面に導電性の接着剤を塗布したシャフト4に装着しなおして、前記接着剤が熱硬化性接着剤である場合は加熱により前記熱硬化性接着剤を硬化させてローラ本体2とシャフト4とを電気的に接合するとともに機械的に固定する。
先に説明したように、例えば1段階目に乾式プランジ研磨して前記外周面5のプロファイルを作製し、次いで2段階目に湿式トラバース研磨して研磨目を除去するとともに外周面5を所定の表面粗さに仕上げる。
この際、本発明によれば、前記のようにローラ本体2は、振動時の損失正接tanδが小さく、加工性に優れるため、1回の湿式トラバース研磨で、前記乾式プランジ研磨後に残った研磨目を除去するとともに、前記外周面5を所定の表面粗さに仕上げることができる。そのため、工程数および工程に要する時間を減らすことができるとともに、研磨を繰り返すことによる不良品の発生数の増加をなくして歩留まりを向上できることから、現像ローラの生産性を向上することが可能となる。
そして必要に応じて紫外線を照射する等して酸化させて、前記外周面5を被覆する酸化膜6を生成させることにより、図1に示す現像ローラ1が製造される。
前記現像ローラは、例えばレーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機等の、電子写真法を利用した画像形成装置において、量規制ブレードと組み合わせて、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像の、トナー像への現像に好適に用いることができる。
(導電性ゴム組成物の調製)
ゴム分としては、GECO〔エチレンオキサイド含量:70モル%、ムーニー粘度:55ML(1+4)100℃、ダイソー(株)製のエピオン(登録商標)301の改良品〕50質量部、NBR〔JSR(株)製のJSR N250 SL、低ニトリルNBR、アクリロニトリル含量:20%〕25質量部、およびCR〔昭和電工(株)製のショウプレン(登録商標)WRT〕25質量部を配合した。
次いで、架橋剤としての粉末硫黄1.5質量部、チアゾール系架橋促進剤としてのジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド〔大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)DM〕0.5質量部、チウラム系架橋促進剤としてのテトラメチルチウラムモノスルフィド〔大内新興化学工業(株)製のノクセラーTS〕0.5質量部、チオウレア系架橋促進剤としてのエチレンチオウレア〔川口化学工業(株)製のアクセル(登録商標)22−S〕0.5質量部、グアニジン系架橋促進剤としての1,3-ジ-o-トリルグアニジン〔大内新興化学工業(株)製のノクセラーDT〕0.3質量部、および架橋促進助剤としての亜鉛華〔三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種〕5質量部を配合してさらに混練して、導電性ゴム組成物を調製した。
前記導電性ゴム組成物を押出機に供給して外径φ22mm、内径φ9〜9.5mmの円筒状に押出成形した後、外径φ8mmの架橋用シャフトに装着して加硫缶内で160℃×時間架橋させた。
次いで外周面に導電性の熱硬化性接着剤を塗布した外径φ10mmの金属製のシャフトに装着しなおしてオーブン中で160℃に過熱して接着したのち両端をカットし、円筒研磨機を用いて、外周面をまず乾式プランジ研磨して外径がφ20mm(公差0.05)になるようにプロファイルを作製し、次いで前記乾式プランジ研磨後に残った研磨目を除去するとともに、前記外周面を所定の表面粗さに仕上げるために、湿式トラバース研磨を1回のみ実施して、前記シャフトと一体化されたローラ本体を形成した。
GECOの配合割合を20質量部、NBRの配合割合を40質量部、CRの配合割合を40質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
〈実施例3〉
GECOの配合割合を70質量部、NBRの配合割合を15質量部、CRの配合割合を15質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
GECOの配合割合を50質量部、NBRの配合割合を10質量部、CRの配合割合を40質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
〈実施例5〉
GECOの配合割合を50質量部、NBRの配合割合を40質量部、CRの配合割合を10質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
GECOとして、エチレンオキサイド含量が65モル%、ムーニー粘度が55ML(1+4)100℃であるもの〔ダイソー(株)製のエピオン(登録商標)301の改良品〕50質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
GECOとして、エチレンオキサイド含量が70モル%、ムーニー粘度が60ML(1+4)100℃であるもの〔ダイソー(株)製のエピオン(登録商標)301〕50質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
GECOとして、エチレンオキサイド含量が65モル%、ムーニー粘度が60ML(1+4)100℃であるもの〔ダイソー(株)製のエピオン(登録商標)301の改良品〕50質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
GECOの配合割合を15質量部、NBRの配合割合を42.5質量部、CRの配合割合を42.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
〈比較例5〉
GECOの配合割合を75質量部、NBRの配合割合を12.5質量部、CRの配合割合を12.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
GECOの配合割合を50質量部、NBRの配合割合を5質量部、CRの配合割合を45質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
〈比較例7〉
GECOの配合割合を50質量部、NBRの配合割合を45質量部、CRの配合割合を5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
硫黄の配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり1.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
〈比較例9〉
硫黄の配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり1.9質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
チアゾール系架橋促進剤としてのジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィドの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
〈比較例11〉
チアゾール系架橋促進剤としてのジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィドの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.9質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
チウラム系架橋促進剤としてのテトラメチルチウラムモノスルフィドの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
〈比較例13〉
チウラム系架橋促進剤としてのテトラメチルチウラムモノスルフィドの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.9質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
チオウレア系架橋促進剤としてのエチレンチオウレアの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
〈比較例15〉
チオウレア系架橋促進剤としてのエチレンチオウレアの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.9質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
グアニジン系架橋促進剤としての1,3-ジ-o-トリルグアニジンの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.05質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
〈比較例17〉
グアニジン系架橋促進剤としての1,3-ジ-o-トリルグアニジンの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.80質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、現像ローラを作製した。
前記各実施例、比較例で作製した現像ローラのローラ本体の硬度(デュロメータ タイプA硬さ)を、日本工業規格JIS K6253:2006「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方」において規定された規格に準拠したゴム硬度計〔高分子計器(株)製のアスカーゴム硬度計A型〕を用いて、前記規格に準拠して測定した。測定温度は23±1℃とした。そしてタイプA硬さが60以下のものを良好、60を超えるものを不良と判定した。
前記各実施例、比較例で調製した導電性ゴム組成物を用いて、ローラ本体を形成した時と同条件で架橋させて、日本工業規格JIS K6262:2006「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−常温,高温及び低温における圧縮永久歪みの求め方」に規定された小型試験片を作製した。そして前記小型試験片を用いて、前記規格に所載の測定方法に則って圧縮永久歪みを測定した。測定の条件は、温度70±1℃、測定時間22時間、圧縮率25%とした。そして圧縮永久歪みが10%以下のものを良好、10%を超えるものを不良と判定した。
前記各実施例、比較例で調製した導電性ゴム組成物を用いて、ローラ本体を形成した時と同条件で架橋させて、日本工業規格JIS K7244−1:1998「プラスチック−動的機械特性の試験方法−第1部:通則」、およびJIS K7244−4:1999「プラスチック−動的機械特性の試験方法−第4部:引張振動−非共振法」に規定された試験片を作製した。そして前記試験片を用いて、前記JIS K7244−4に所載の測定方法に則って10Hz振動時の損失正接tanδを測定した。そして損失正接tanδが0.08以下のものを良好、0.08を超えるものを不良と判定した。
前記各実施例、比較例で作製した現像ローラのローラ本体の外周面を目視、およびレーザー顕微鏡を用いて観察して、前記外周面に研磨目が見られなかったものを良好「○」、研磨目が見られたものを不良「×」と判定した。
以上の結果を表1〜表5に示す。なお各表中、GECOの欄のカッコ内の数字(X/Y)は、Xが当該GECOのエチレンオキサイド含量(モル%)、YがGECOのムーニー粘度〔ML(1+4)100℃〕を示している。
また実施例1〜5、比較例4〜7の結果より、前記効果を得るためには、NBRの配合割合は、ゴム分の総量中の10質量部以上、40質量部以下である必要があること、前記効果のバランスに優れたローラ本体を形成するためには、前記範囲内でも15質量部以上であるのが好ましく、35質量部以下であるのが好ましいことが判った。
2 ローラ本体
3 通孔
4 シャフト
5 外周面
6 酸化膜
Claims (2)
- ゴム分、架橋剤としての硫黄、および架橋促進剤を含む導電性ゴム組成物であって、
前記ゴム分は、エチレンオキサイド含量が70モル%以上、ムーニー粘度が60ML(1+4)100℃未満のエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、およびクロロプレンゴムの3種のゴムからなり、
前記ゴム分の総量100質量部中に占める前記3種のゴムの配合割合は、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合ゴムが20質量部以上、70質量部以下、アクリロニトリルブタジエンゴムが10質量部以上、40質量部以下で、かつ残量がクロロプレンゴムであり、
前記硫黄の配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部に対して1.2質量部以上、1.8質量部以下であるとともに、
前記架橋促進剤は、前記ゴム分の総量100質量部に対して、0.2質量部以上、0.8質量部以下のチアゾール系架橋促進剤、0.2質量部以上、0.8質量部以下のチウラム系架橋促進剤、0.2質量部以上、0.8質量部以下のチオウレア系架橋促進剤、および0.1質量部以上、0.7質量部以下のグアニジン系架橋促進剤であること
を特徴とする導電性ゴム組成物。 - 前記請求項1に記載の導電性ゴム組成物からなるローラ本体を備えることを特徴とする現像ローラ。
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