JP6658526B2 - 生体物質の選択的吸・脱着材 - Google Patents
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Description
本発明はまた、この生体物質の選択的吸・脱着材を用いた高純度ペプチドの製造方法及びペプチドの分離方法に関する。
この特許文献1の方法では、メソポーラスシリカの乾式粉体を用いるため、メソポーラスシリカと血液との混合、水による洗浄、酸性緩衝液による処理、ペプチド回収用溶媒による処理の各工程間で、遠心分離によるメソポーラスシリカ粉体の固液分離工程が必要となる。
(1) 液中にメソポーラスシリカの粉体を投入して撹拌しても、十分な接触効率が得られず、ペプチドの吸着効率も脱着効率も低いことから、処理に長時間を要する。
(2) 本来、親水性の高いシリカを粉体の状態で十分に洗浄し、また、遠心分離により固液分離することは困難であり、粉体の懸濁液中に含まれる残留成分のために分析結果が影響を受けるおそれがある。
(3) 遠心分離によるメソポーラスシリカ粉体の回収効率が悪く、ペプチドの回収ロスが多い。ペプチドの回収率が低いことは、分析精度を十分に高めることができない原因ともなる。
(4) 未回収の粉体が閉塞物質ないしは汚染物質となって装置の安定運転を阻害する原因となる。
[1]生体物質を含有する液から、生体物質を選択的に吸・脱着して分離するための生体物質の選択的吸・脱着材であって、該吸・脱着材が、メソ孔を有する多孔体を含むシートであることを特徴とする生体物質の選択的吸・脱着材。
[2]前記吸・脱着材が、メソ孔を有する多孔体を含む吸・脱着層と通水性層とが積層された積層体であることを特徴とする、[1]に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[3]前記吸・脱着材が、メソ孔を有する多孔体を含む吸・脱着層の両面に通水性層が積層された積層体であることを特徴とする、[2]に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[4]前記吸・脱着材が、メソ孔を有する多孔体とバインダを含む層を有することを特徴とする、[2]に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[5]生体物質を含有する液から、生体物質を選択的に吸・脱着して分離するための生体物質の選択的吸・脱着材であって、該吸・脱着材が、メソ孔を有する多孔体を含む吸・脱着層と通水性層とが積層された積層体であることを特徴とする生体物質の選択的吸・脱着材。
[6]生体物質を含有する液から、生体物質を選択的に吸・脱着して分離するための生体物質の選択的吸・脱着材であって、該吸・脱着材が、メソ孔を有する多孔体とバインダとを含む層を有することを特徴とする生体物質の選択的吸・脱着材。
[7]前記メソ孔を有する多孔体のメソ孔径が2nm以上20nm以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[8]前記メソ孔を有する多孔体は、平均粒子径が50μm以上700μm以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[9]前記メソ孔を有する多孔体は、比表面積が100m2/g以上1200m2/g以下である、[1]〜[8]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[10]前記メソ孔を有する多孔体は、メソポーラスシリカ、シリカゲル、およびイオン交換樹脂からなる群から選択される1種以上を含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[11]前記通水性層は、織布又は不織布である、[2]〜[5]及び[7]〜[10]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[12]前記通水性層は、外表面に親水化処理が施されている、[2]〜[11]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[13]前記通水性層は、外表面に疎水化処理が施されている、[2]〜[12]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[14]前記生体物質がペプチドである、[1]〜[13]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[15]前記バインダがエチレン酢酸ビニル共重合体である、[4]及び[6]〜[14]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[16]前記バインダは、メソ孔を有する多孔体とバインダとを含む層中に20重量%以上80重量%以下含有される、[4]及び[6]〜[15]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
[17]前記生体物質を含有する液を保持しうる容器であって、[1]〜[16]のいずれかに記載の吸・脱着材を内部に有する容器。
[18][1]〜[16]のいずれかに記載の吸・脱着材と前記生体物質を含有する液を保持しうる容器とを含む生体物質の精製キット。
[19][1]〜[16]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材を、生体物質を含有する液に接触させる工程を含む、生体物質の製造方法。
[20][1]〜[16]のいずれかに記載の生体物質の選択的吸・脱着材を、生体物質を含有する液に接触させる工程を含む、生体物質の分離方法。
(2) 生体物質を含有する液との接触効率が高く、水洗や酸性緩衝液、ペプチド回収溶媒等の処理液による処理の際においてこれらの液体との接触効率も高い。このため、生体物質の吸着効率、脱着効率が高く、生体物質を安定に高収率で分離回収することができる。また、吸着速度、脱着速度、洗浄効率、処理効率が高く、生体物質の吸・脱着操作に要する時間を大幅に短縮することができる。更に、洗浄効率、処理効率が高いことから、好ましくない残留成分の少ない、高純度の生体物質を回収することができ、夾雑物による影響を受けることなく精度よく分析することが可能となる。
(3) メソ孔を有する多孔体が脱落しない設計とすることで、メソ孔を有する多孔体を用いる場合のように、未回収の粉体が閉塞物質ないしは汚染物質となって装置の安定運転を阻害する問題を解決することができる。
なお、以下において、本発明の実施形態に係る生体物質の選択的吸・脱着材を、生体物質を含有する液と接触させる処理、洗浄のために水と接触させる処理、回収対象の生体物質以外の不要物の剥離除去のために処理液と接触させる処理、回収対象の生体物質の脱着のために生体物質回収用溶媒等の脱着液と接触させる処理等、をまとめて「接液処理」と称する場合がある。
例えば回収対象の生体物質がペプチド(短鎖ペプチド)の場合、回収対象の生体物質以外の不要物とは、蛋白質ないしは長鎖ペプチド等が挙げられ、不要物の剥離除去のための処理液は酸性緩衝液等が挙げられる。
本実施形態に係る生体物質の選択的吸・脱着材は、メソ孔を有する多孔体を含むシートである形態(以下、第1の実施形態ともいう。)を含む。
また、本実施形態に係る吸・脱着材の別の実施形態として、メソ孔を有する多孔体を含む吸・脱着材と通水性層とが積層された積層体であってもよい(以下、第2の実施形態ともいう。)。
また、本実施形態に係る吸・脱着材の別の実施形態として、メソ孔を有する多孔体とバインダとを含む層を有してもよい(以下、第3の実施形態ともいう)。
ただし、生体不適合性材料であっても、表面処理等により生体液との接触面が血栓性材料や生体不活性材料よりなるものとされたものは、生体適合性材料として、生体物質の選択的吸・脱着材の構成材料として用いることができる。
(1)メソ孔を有する多孔体が生体物質を選択的に吸・脱着することから、生体物質の回収量を増加させるためには、吸・脱着材に含まれるメソ孔を有する多孔体の内表面積およびメソ孔の表面積と細孔容積がともに大きいことが好ましい。
(2) 接液処理時の液との接触効率を上げるために吸・脱着材に含まれる多孔体の外表面積を大きくすることが好ましい。多孔体の外表面積を大きくするためには、例えば、多孔体の粒径を小さくしたり、吸・脱着層を薄くすればよい。
(3) 接液処理時の液との接触効率を上げるために、メソ孔を有する多孔体は接液処理時の液との濡れ性がよいことが好ましい。また、吸・脱着材を構成する各部材、例えば通水性層を構成する材料に親水化処理を施したり、液中に浸漬し易いように吸・脱着材の比重を調整することが好ましい。
(4)吸・脱着材に含まれるメソ孔を有する多孔体は、接液処理時に流動しても流動しなくてもよい。液との接触効率の面からは流動した方が好ましい。流動が激し過ぎると、メソ孔を有する多孔体同士の衝突で粒子が破損し、細かい多孔体粉体が発生して脱落する「粉もれ」が起きる可能性がある。従って、脱落した多孔体粉体が、装置の閉塞因子又は汚染因子となると共に、ペプチドの回収率も悪くなるため、流動の程度は粉もれがない程度に調整することが好ましい。一方、粉もれを抑止し、取り扱い性を向上するためには接液処理時に多孔体が流動しない方が好ましい。流動しないためには多孔体をバインダで固定することが好ましい。
本発明の実施形態において処理対象となる生体物質を含有する液としては、代表的には生体液である血液(血清又は血漿)が挙げられるが、これに限らず、例えば生体内に存在する体液、或いは生体内から外部へ排出される液、およびこれらの処理液のすべてが包含される。処理液とは生体液に処理を施した液であり、生体物質を分離回収できればその処理方法は限定されず、公知の方法を適用することができる。また、生体は人体に限定されない。生体液としては、具体的には以下のものが例示されるが、何らこれらに限定されるものではない。
血液、リンパ液、組織液(組織間液、細胞間液、間質液)、胸水、腹水、心嚢液等の漿膜腔液、脳脊髄液(髄液)、関節液(滑液)、眼房水(房水)、唾液、胃液、胆汁、膵液、腸液等の消化液、汗、涙、鼻水、尿、精液、膣液、羊水、乳汁。
生体物質の液中での動的直径は、通常0.3nm以上、好ましくは0.4nm以上、より好ましくは0.5nm以上であり、通常15nm以下、好ましくは12nm以下、よりお好ましくは10nm以下である。生体物質がペプチドの場合、特にアミノ酸残基長10〜100、好ましくは10〜50の短鎖ペプチドが挙げられる。
生体物質を含有する液は分離回収の対象となる生体物質以外の不純物の含有量は少ない方が好ましく、不純物は公知の方法で除去できる。例えば、生体物質がペプチドの場合、アルブミンやグロブリンなどのタンパク質等の不純物の含有量が少ない方が好ましい。
メソ孔を有する多孔体としては、メソ孔を有しており、且つ多孔体であれば特段限定されない。具体的には、メソポーラスシリカ、シリカゲル、シリカ・アルミナ、イオン交換樹脂、珪藻土、活性炭、ゼオライト、酸性白土、などがあげられる。これらのうち、生体物質の吸脱着の観点から、メソポーラスシリカ、シリカゲル、イオン交換樹脂であることが好ましい。
メソ孔の細孔径は通常2nm以上であり、また通常50nm以下、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下、更に好ましくは8nm以下、特に好ましくは5nm以下である。
メソ孔の細孔径は、分離回収の目的物である生体物質の種類に応じて設定することが好ましい。例えばペプチドを分離回収するためには、通常1nm以上、好ましくは2nm以上、より好ましくは3nm以上であり、通常15nm以下、好ましくは12nm以下、よりこのましくは10nm以下である。
なお、メソ孔を有する多孔体の細孔径は、窒素ガス吸脱着法で測定した等温吸・脱着曲線から、E.P.Barrett, L.G.Joyner, P.H.Haklenda, J.Amer.Chem.Soc.,vol.73,373(1951)に記載のBJH法により算出される細孔分布曲線、即ち、細孔直径d(nm)に対して微分窒素ガス吸着量(ΔV/Δ(logd);Vは窒素ガス吸着容積)をプロットした図から求めることができるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
平均粒子径は、好ましくは50μm上、より好ましくは70μm以上であり、好ましくは700μm以下であり、より好ましくは600μm以下である。
また、平均粒子径は一次粒子の粒子サイズの平均値である。平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(例えば、セイシン企業製レーザーマイクロンサイザーLMS−24)等によって粒度分布を測定し、その結果から求めることができるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
なお、比表面積は、BET1点法により測定される。
吸・脱着層はメソ孔を有する多孔体のみで構成されていてもよく、メソ孔を有する多孔体と他の材料とで構成されていてもよい。
吸・脱着層に含まれていてもよいメソ孔を有する多孔体以外の材料としては、メソ孔を有する多孔体による生体物質の吸・脱着機能を大きく阻害することなく、また生体不活性材料よりなるものであれば特に制限はないが、例えば、メソ孔を有する多孔体を固定して吸・脱着層の成型安定性を高め、前述の粉もれを防止するためのバインダや、比重調整のための無機フィラー、濡れ性向上のためのシリカの粗大粒子などが挙げられる。
本発明の第1の実施態様は、接液処理時に吸・脱着層を構成する材料が流動する態様を含むが、その場合、吸・脱着層にバインダを含んでも含まなくてもよい。
バインダは、メソ孔を有する多孔体を成型できれば特に限定されないが、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。熱可塑性樹脂としては、メソ孔を有する多孔体を成型(例えば熱融着により接着)することができるものであればよく特に制限はない。好ましくは以下に記載する吸水率及びMFRを満足するものであり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ケン化エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、アイオノマー樹脂などがあげられ、これらの変性物であってもよい。多孔体の成型性及び溶剤耐性の観点から、エチレン酢酸ビニル共重合体、ケン化エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンが好ましい。中でも、成分の溶出が少なく、メソ孔を有する多孔体の吸・脱着特性を低下させづらく、吸・脱着材に外部応力を受けてもメソ孔を有する多孔体が脱落しづらい点で、エチレン酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
ポリエステル製剥離フィルム又はアルミ箔上に熱可塑性樹脂粒子を均一に散布した後、この上にポリエステル製剥離フィルム又はアルミ箔を重ね合わせて熱可塑性樹脂粒子を挟持させ、次いでこの積層体をホットプレスにより、熱可塑性樹脂粒子の融点よりも10℃高い温度にて0.5MPaで2分間処理し、その後、剥離フィルム又はアルミ箔を剥がし取り、吸水率測定用フィルム(厚さ約1mm)を作成する。このフィルムを25℃の水に3時間浸漬した後引き上げ、吸水性の良い紙にはさみ込んで表面の水滴を取り去った後、重量を測定し、重量増加分から吸水率(=重量増加分/吸水前の重量×100)を算出する。
JIS K6760に従って、190℃、2.16kg荷重で測定する。
吸・脱着層に、メソ孔を有する多孔体よりも比重の大きい無機フィラーを含有させることにより、吸・脱着材の比重を大きくして、生体液、その他の処理液中に沈み易くして、生体液、その他の処理液との濡れ性を高めることができる。このような目的で用いる無機フィラーとしては、ジルコン(ケイ酸ジルコニウム、比重4.7)、石英(比重2.7)、アルミナ(比重4.0)等の金属酸化物粒子や、ステンレス鋼、チタン合金(Ti−6Al−4V)、コバルト−クロム合金(バイタリウム、Co−Cr−Mo合金)等の金属粒子などの1種又は2種以上を用いることができる。なお、血液の凝固因子となる金属粒子の場合、生体不活性材料で表面コーティングして用いることが好ましい。
吸・脱着層の空隙率とは、吸・脱着層の両面に表面平滑なシートを積層したときに、そのシート間に形成される体積のうち、空隙(ただし、メソ孔を有する多孔体の細孔容積は含まない)が占める割合(百分率)をさし、吸・脱着層を構成する材料の比重及び使用重量から求めた吸・脱着層に占める構成材料の体積と、吸・脱着層の見掛け体積(後述の通水性シート間に形成される体積)から計算によって求められる。
具体的には、12cm×12cm(面積)の吸・脱着層について、次のような方法で算出される。
吸・脱着層体積[cm3]:12×12×(吸・脱着層厚さ)
メソ孔を有する多孔体の体積[cm3]:
(吸・脱着層重量)×(吸・脱着層構成材料中のメソ孔を有する多孔体の重量割合)/(メソ孔を有する多孔体の真比重)
メソ孔を有する多孔体の細孔容積[cm3]:
(吸・脱着層重量)×(吸・脱着層構成材料中のメソ孔を有する多孔体の重量割合)×(メソ孔を有する多孔体の細孔容積[cm3])
熱可塑性樹脂粒子体積[cm3]:
(吸・脱着層重量)×(吸・脱着層構成材料中の熱可塑性樹脂粒子重量割合)/(熱可塑性樹脂粒子密度)
空隙容積[cm3]:
(吸・脱着層体積[cm3]−メソ孔を有する多孔体の粒子体積[cm3]−メソ孔を有する多孔体の細孔容積[cm3]−熱可塑性樹脂粒子体積[cm3])
吸・脱着層空隙率[%]:(空隙容積[cm3])/(吸・脱着層体積[cm3])×100
例えば、吸・脱着層の厚さは、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上、また、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1500μm以下である。
本発明の実施形態に係る吸・脱着材は、通水性層を有してもよい。通水性層は、親水性、通水性に優れ、生体適合性の材料であって、取り扱い時に必要な機械的強度、耐薬品性等を満たすものであればよく、特に制限はないが、織布又は不織布を用いることが好ましい。
織布又は不織布としては、市販のものを用いることができるが、特に安価であり、目開き調整されたものを容易に入手できる点から、通水性層としては、不織布を用いることが好ましい。
また、芯鞘構造として熱融着性を付与した繊維や、繊維を極細化、繊維断面の異形化、側面への溝や凹部の付与、繊維の多孔化などによって親水性を高めた特殊繊維や、親水性のコーティング処理を施した表面処理繊維などを用いることもできる。特に、芯鞘繊維は、後述の本発明の吸・脱着材の製造の際に、切断時に容易にヒートシールを施すことができ、好ましい。
また、通水性層の厚さについては、吸・脱着材の強度の確保、熱融着のしやすさの観点からは厚い方が好ましく、薄肉化のためには薄い方が好ましい。
接液処理時の各種の液の浸透性、通過性、吸・脱着材の強度、取り扱い性等の面からは、通水性層は以下の条件を満たすことが好ましい。
また、通水性層が不織布である場合、その目付量が通常10g/m2以上、好ましくは20g/m2以上、より好ましくは30g/m2以上であり、通常200g/m2以下、好ましくは150g/m2以下、より好ましくは100g/m2以下である。
(1) 織布又は不織布に、アルゴン又は酸素等のプラズマによる表面処理を施し、水酸基を導入して親水性を高める。
(2) サンドブラスト等で織布又は不織布の表面粗さを高めることで、濡れ性、親水性を高める。このブラスト処理で織布又は不織布の表面に親水性元素を打ち込み、これにより更に親水性を高めることもできる。
(3) セルロース繊維、レーヨン繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)繊維等の親水性繊維、或いは、酢酸ビニルやビニルアルコール等の親水性モノマーを用いた親水性共重合樹脂繊維などを、織布又は不織布を構成する繊維として、単独で、或いは、通水性シートに用いる不織布又は織布を構成する繊維として先に例示したものに加えて、これらの繊維と混合して、或いは積層して、或いは短繊維としてバインダ等を用いてシート化するなどの方法で用いる。
(4) ポリエチレングリコール、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、スルホン化セグメントポリウレタン等の親水性基を織布又は不織布表面に物理的又は化学的に固着させる処理を行う。
(5) 織布又は不織布の表面にシリカコーティング処理を施して親水化する。このシリカコーティングは、織布又は不織布に対して、ドット状、又は線状に印刷することで部分的に行うものであってもよい。
表面状態の調整には、例えば、抗血栓性の材料を適用するのが好ましく、抗血栓性材料としては、ヘパリン固定化コーティング材料、ウロキナーゼ固定化コーティング材料、トロンボモジェリン固定化コーティング材料、セグメント化ポリウレタンコーティング材料、合成系生体適合性コーティング材料、リン脂質吸着または固定化コーティング材料(MPCポリマー)、アルキル化セルロースコーティング材料等が挙げられる。
ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン、ポリ四フッ化エチレンなどのフッ素樹脂は、通水性層の構成材料としても、またコーティング材料としても好ましく用いることができる。
以下に図面を参照して本発明の吸・脱着材の具体的な構造例について説明するが、以下の説明は本発明の吸・脱着材の一例であって、本発明の吸・脱着材は何ら以下のものに限定されるものではない。
図1(a)は、メソ孔を有する多孔体を含むシートの好ましい態様の一例であり、吸・脱着材1が、メソ孔を有する多孔体2がバインダ3で互いに接着したシート状の吸・脱着層4の両面に、通水性層5が積層されている。吸・脱着層4と通水性層5とは、吸・脱着層4に含まれるバインダ3により接着されている。
吸・脱着層4の両面に、通水性層5が積層されている形態の吸・脱着材の厚さは、通常300μm以上、好ましくは500μm以上であり、通常5000μm以下、好ましくは4000μm以下、より好ましくは3000μm以下である。
吸・脱着層4の両面に、通水性層5が積層されている構成において、吸・脱着層4はバインダ3を含んでも含まなくてもよい。
バインダを含む場合は図1(a)に示した通り、メソ孔を有する多孔体2がバインダ3で互いに接着したシート状の吸・脱着層4を形成する。
バインダを含まない場合は、(a−i)吸・脱着層が、バインダを含まずに成型されたメソ孔を有する多孔体の成型体である、(a−ii)吸・脱着層が、メソ孔を有する多孔体を通水性層に固定されて形成された層である、(a−iii)吸・脱着層が、メソ孔を有する多孔体が通水性層で挟持されることで層の形状を保持する、等の態様により、吸・脱着材をシートの形状としうる。
なお、吸・脱着層4がバインダ3を含む場合であっても、メソ孔を有する多孔体2が吸・脱着層4から脱落し、粉もれが生じる場合があるため、粉もれを抑制するためには、設計上の工夫を行うことが好ましい。
吸・脱着層4がバインダ3を含み、吸・脱着層4の両面に通水性層5が積層された図1(a)の態様は、特に吸・脱着材1からの粉もれを抑制するのに好ましい態様であり、生体物質の分析装置の安定運転を阻害しづらい点で好ましい。
吸・脱着層4の一方の面に、通水性層5が積層されている、すなわち一の吸・脱着層と一の通水性層が積層されている場合の吸・脱着材の厚さは、通常150μm以上、好ましくは200μm以上であり、通常3000μm以下、好ましくは2000μm以下である。
なお、通水性層の両面に吸・脱着層が積層されていてもよい。この場合、吸・脱着材の厚さは、通常250μm以上、好ましくは400μm以上であり、通常5000μm以下、好ましくは3000μm以下、より好ましくは2000μm以下である。
図1(b)において吸・脱着層4はメソ孔を有する多孔体2とバインダ3とで構成されているが、更に、本発明に係る吸・脱着層4は前述の無機フィラーやシリカの粗大粒子を含んでいてもよい。
吸・脱着層4の一方の面に、通水性層5が積層されている構成において、吸・脱着層4はバインダ3を含んでも含まなくてもよい。
バインダを含む場合は図1(b)に示した通り、メソ孔を有する多孔体2がバインダ3で互いに接着したシート状の吸・脱着層4を形成する。
バインダを含まない場合は、(b−i)吸・脱着層が、バインダを含まずに成型されたメソ孔を有する多孔体の成型体である、(b−ii)吸・脱着層が、メソ孔を有する多孔体を通水性層に固定されて形成された層である、等の態様により、吸・脱着材をシートの形状としうる。
吸・脱着層4がバインダ3を含み、吸・脱着層4に通水性層5が積層された図1(b)の態様は、吸・脱着材1からの粉もれを抑制しつつ、接液処理時の各種の液を吸・脱着層4に接触しやすい点で好ましい。
吸・脱着層に、通水性層が積層されていない形態の吸・脱着材の厚さは、通常100μm以上、好ましくは200μm以上であり、通常2000μm以下、好ましくは1000μm以下である。
図1(c)の態様は、接液処理時の各種の液を吸・脱着層4に接触しやすく、また、メソ孔を有する多孔体2以外に生体物質が付着しうる成分がバインダ3のみのため生体物質の回収率を上げやすく、また、接液処理時の各種の液を吸・脱着層4に効率的に接触できる点で好ましい。
例えば、本発明の吸・脱着材1は、図2(a)に示すような、採血用スピッツ(試験管)10に挿入し、スピッツ10内で血液6と接触して使用されることから、スピッツ10の形状に合わせ、一方の端部が先端側ほど幅狭となる略長方形状であってもよい。
吸・脱着材の製造方法は限定されず、例えば次のようにして吸・脱着材を製造することができる。
まず、図3(a)(斜視図)のように、所望のパターンに孔開き加工を施したマスク21を準備し、このマスク21を図3(b)(断面図)のように通水性層22の上方に設置し、この上からメソ孔を有する多孔体、例えばメソポーラスシリカ粒子を散布して、通水性層22上にマスク21の透孔21aのパターン形状にメソポーラスシリカ粒子層23を形成する。次いで、図3(c)(断面図)に示すように、この上に通水性層24を載せて、通水性層21/メソポーラスシリカ粒子層23/通水性層24の積層体25とする。次いで、図3(d)(平面図)に一点鎖線で示すように、得られた積層体25のメソポーラスシリカ粒子層23間を加熱しながら切断することにより、下側の通水性層22と上側の通水性層24とを熱融着すると共に切断して、図3(e)(断面図)の通り、吸・脱着層としてメソポーラスシリカ粒子23Aを含む所望の形状のシート状の吸・脱着材26を得る。更にプリーツ加工を施すことにより、図2(d)に示す吸・脱着材1Cを得ることができる。
また、このように、加熱と切断とを同時に行う方法の他、加熱により熱融着し、その後常温に戻してから切断する方法も好適に採用される。
本発明の吸・脱着材は、生体物質を含有する液からの生体物質の吸・脱着に使用できる。従って、例えば生体物質を含有する液を保持するための容器の内部に吸・脱着材を格納し、生体物質の精製キットとすることができる。
生体物質の精製キットは、吸・脱着材と前記生体物質を含有する液を保持しうる容器とを含めばよく、使用時に生体物質を含有する液を保持するための容器の内部に吸・脱着材を簡便に格納(挿入)して使用すればよい。
容器の容積は限定されないが、通常0.1ml以上、好ましくは0.5ml以上であって、上限は限定されないが、通常1000L以下、好ましくは100L以下、より好ましくは10L以下である。目的に応じて任意の容積を選択できる。
容器の形状は限定されないが、容器の形状と吸・脱着材の形状とが、効率的に接液処理ができる形状であることが好ましい。
生体物質の分析に用いる場合、容器の例として試験管、中でもマイクロチューブが好適に挙げられる。
本発明の実施形態に係る吸・脱着材は、生体物質を含有する液から生体物質を吸・脱着して分離する公知の方法に適用できる。例えば本発明の実施形態に係る吸・脱着材を、生体物質を含有する液に接触させ、メソ孔を有する多孔体のメソ孔内に生体物質を選択的に吸着させた後、吸・脱着剤を洗浄し、生体物質を脱着させることで生体物質を得ることができる。
血液または血漿中のペプチドを吸・脱着層内のメソ孔を有する多孔体のメソ孔内に選択的に吸着させた後、この吸・脱着材を引き上げ、特許文献1に記載されるように、水洗した後、酸性緩衝液で処理してメソ孔を有する多孔体の外面に吸着している蛋白質や長鎖ペプチドを剥離除去し、次いでアセトニトリルを含むペプチド回収用溶媒で処理することにより、多孔体のメソ孔内に吸着しているペプチド(短鎖ペプチド)を脱着させることで、生体液からペプチドを分離回収して、高純度ペプチドを製造することができる。
[実施例1]
メソ孔を有する多孔体、バインダ、通水性層として以下のものを用いた。
<メソ孔を有する多孔体:メソポーラスシリカ粒子>
日本化成社製「メソピュア」
粒子径分布:70〜600μm
平均粒子径:250μm
形状:破砕状
細孔径:4nm
細孔容積:0.7ml/g
比表面積:730m2/g
EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)
吸水率:0.09%
水接触角:91°
MFR:70g/10min
融点:97℃
平均粒子径:40μm
(株)ユウホウ製不織布「ZL4035」
構成繊維:レーヨン30%/ポリエステル70%繊維
平均目開き:60μm
厚さ:220μm
目付:50g/m2
繊維密度:152.3kg/m2
比表面積:0.0003m2/g
得られたサンドウィッチ構造体を、卓上テストプレス機(株式会社神藤金属工業所製)を用いて、プレス圧0.5MPa、プレス温度110℃、プレス時間4分間で熱圧着し、成型シートを作製した。
作製した成型シートから、メソポーラスシリカ25mg相当分を切り出し、成型体サンプル1とした。
<ペプチド溶液の調製>
ペプチドには、和光純薬工業株式会社製 ACTH Human 1−24 型番4109−v 0.5mg入りを使用した。その試薬瓶の中に25μLの超純水を入れ、その液滴内にペプチドを全て溶解し、ペプチド溶液を調製した。
ペプチドの定量方法について、以下に示す。
ペプチドの定量には、下記のLC/MS分析計を用いて、得られたクロマトグラムのペプチドのピーク面積比で評価を行った。
LC/MS測定機器;
LCシステム:アジレント・テクノロジー株式会社製Agilent1200
カラム:インタクト株式会社製Imtakt Presto FT−C18 4.6mm×30mm
質量分析計:アジレント・テクノロジー株式会社製 Agilent LC/MS 6130
このエッペンチューブを、ボルテックスミキサー(アズワン株式会社 型式VM−96B)を用い、回転数1500rpmで1時間攪拌し、ペプチド溶液を成型体サンプル1に吸着させた。
その後、エッペンチューブから成型体サンプル1を取り出し、1mlのピペットチップの中に移した後、ピペットチップを定量ピペットに取り付けた。成型体サンプル1を内包したピペットチップ内に超純水を1ml吸い上げた後、吐出して水を排出し、水洗を実施した。この水洗作業を5回繰り返した。
次に、和光純薬工業株式会社製の0.1mol/L グリシン−塩酸緩衝液(pH2.2)を1ml吸い上げた後、吐出して緩衝液を排出し、緩衝液による洗浄を実施した。この洗浄作業を5回、繰り返した。この水洗及び酸性緩衝液で処理することにより、シリカ粒子の外面に吸着しているペプチドを剥離除去した。
その後、室温で1時間放置した後、ピンセットで成型体サンプル1を取り出して、残りの残液を分析サンプル1とした。この操作によって、シリカのメソ孔内に吸着しているペプチドを脱離、溶出させて回収した。
この分析サンプル1を上述のペプチド定量方法によって定量した。結果を表1に示す。
実施例1で用いたメソポーラスシリカを25mg秤量し、容積1.5mlのエッペンチューブに入れ、この中に上記ペプチド溶液を添加した。
このエッペンチューブを、ボルテックスミキサー(アズワン株式会社 型式VM−96B)を用い、回転数1500rpmで1時間攪拌し、ペプチド溶液をメソポーラスシリカに吸着させた。
その後、エッペンチューブ内に、超純水1mlを添加後、前述のボルテックスミキサー(回転数1500rpm)を用いて、30秒間攪拌した。その後、そのエッペンチューブを遠心分離機(CHIBITAN−R メルク株式会社製)を用い、10分間遠心分離を実施した。その後、上澄みを除去した後に超純水を1ml添加し、前述のボルテックスミキサーによる攪拌、及び遠心分離を3回繰り返した。
次に、和光純薬工業株式会社製の0.1vol%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル溶液を1ml添加し、ボルテックスミキサー(回転数1500rpm)による攪拌を、30秒間実施した。
その後、室温で1時間放置し、前述の遠心分離機で10分間遠心分離を実施し、その上澄みを回収して分析サンプル1´を得た。この操作によって、シリカのメソ孔内に吸着しているペプチドを脱離、溶出させて回収した。
この分析サンプル1´を上述のペプチド定量方法によって定量した。結果を表1に示す。
以下に示すメソポーラスシリカ粒子を用いた以外は、比較例1と同様にしてペプチドの吸・脱着評価を行った。結果を表1に示す。
<メソ孔を有する多孔体:メソポーラスシリカ粒子>
日本化成社製「メソピュア」
粒子径分布:1〜10μm
平均粒子径:5μm
形状:微粉状
細孔径:4nm
細孔容積:0.6ml/g
比表面積:720m2/g
以下に示す通水性層を用いた以外は、実施例1と同様に成型体サンプル2を作製し、分析サンプル2を得た。この分析サンプル2を上述のペプチド定量方法によって定量した。結果を表1に示す。
<通水性層>
株式会社クラレ製不織布「TM022D」
構成繊維:ポリプロピレン繊維
厚さ:188μm
目付:23g/m2
以下に示すメソポーラスシリカを用いた以外は、実施例1と同様に成型体サンプル3を作製し、分析サンプル3を得た。この分析サンプル3を上述のペプチド定量方法によって定量した。結果を表1に示す。
<メソ孔を有する多孔体:シリカゲル>
富士シリシア化学株式会社製「キャリアクトG−6」
粒径分布:45〜150μm
形状:破砕状
細孔径:6nm
細孔容積:0.8ml/g
比表面積:560m2/g
また、メソ孔を有する多孔体としてシリカゲルを用いた実施例3は、メソポーラスシリカを用いた実施例1よりもペプチドの検出量が多い。多孔体の種類が異なるため、直接の対比はできないものの、実施例3の多孔体は実施例1の多孔体と比較して粒径が小さい。多孔体は粒径が小さい方がペプチド含有液に接触する表面積が大きいため、ペプチドの吸・脱着に寄与しうる多孔体の体積が大きくなり、ペプチドの回収量が多いと考えられる。
通水性層の厚さがペプチドの回収量に及ぼす影響を検討するためのモデル実験を行った。通水性層に用いた不織布を、成型体の両面と同面積の大きさに切り取り、成型体サンプルと一緒に試験を行った以外は、実施例1と同様にして分析サンプル4を得た。この分析サンプル4を上述のペプチド定量方法によって定量した。結果を表2に示す。
通水性層に用いた不織布を、成型体の片面と同面積の大きさに切り取り、成型体サンプルと一緒に試験を行った以外は、実施例1と同様にして分析サンプル5を得た。この分析サンプル5を上述のペプチド定量方法によって定量した。結果を表2に示す。
以下に示すメソポーラスシリカを用いた以外は、実施例1と同様に成型体サンプル5を作製し、分析サンプル6を得た。この分析サンプル6を上述のペプチド定量方法によって定量した。結果を表2に示す。
<メソ孔を有する多孔体:メソポーラスシリカ粒子>
実施例1で用いた日本化成社製「メソピュア」を分級して以下の粒径分布および平均粒子径を有する多孔体を得た。
粒径分布:>425μm
平均粒子径:566μm
形状:破砕状
細孔径:4nm
細孔容積:0.7ml/g
比表面積:730m2/g
以下に示す通水性層を用いた以外は、実施例1と同様に成型体サンプル7を作製し、分析サンプル7を得た。この分析サンプル7を上述のペプチド定量方法によって定量した。結果を表2に示す。
<通水性層>
日本バイリーン株式会社製不織布「FV−4365」
構成繊維:ポリエステル繊維
以下に示す通水性層を用いた以外は、実施例1と同様に成型体サンプル8を作製し、分析サンプル8を得た。この分析サンプル8を上述のペプチド定量方法によって定量した。結果を表2に示す。
<通水性層>
旭化成株式会社製不織布「ELTRS−N」
構成繊維:ナイロン繊維
以下に示す通水性層を用いた以外は、実施例1と同様に成型体サンプル9を作製し、分析サンプル9を得た。この分析サンプル9を上述のペプチド定量方法によって定量した。結果を表2に示す。
<通水性層>
旭化成株式会社製不織布「ELTRS−P」
構成繊維:ポリプロピレン繊維
以下に示すバインダを用いた以外は、実施例1と同様に成型体サンプル10を作製し、分析サンプル10を得た。この分析サンプル10を上述のペプチド定量方法によって定量した。結果を表2に示す。
<バインダ:熱可塑性樹脂粒子>
ポリエチレン(東京インキ株式会社製 PR1050SP)
MFR:24g/10min
融点:105℃
2 メソ孔を有する多孔体
3 バインダ
4 吸・脱着層
5 不織布
6 血液
10 採血用スピッツ
21 マスク
22,24 通水性層
23 メソポーラスシリカ粒子層
25 積層体
26 吸・脱着材
Claims (19)
- 生体物質を含有する液から、生体物質を選択的に吸・脱着して分離するための生体物質の選択的吸・脱着材であって、
該吸・脱着材が、メソ孔を有する多孔体を含む吸・脱着層と、厚さ300μm以下の通水性層とを含むシートであることを特徴とする生体物質の選択的吸・脱着材。 - 前記吸・脱着材が、前記吸・脱着層と前記通水性層とが積層された積層体であることを特徴とする、請求項1に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記吸・脱着材が、前記吸・脱着層の両面に前記通水性層が積層された積層体であることを特徴とする、請求項2に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記吸・脱着層が、メソ孔を有する多孔体とバインダを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記バインダがエチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項4に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記バインダは、メソ孔を有する多孔体とバインダとを含む層中に20重量%以上80重量%以下含有される、請求項4又は5に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記メソ孔を有する多孔体のメソ孔径が2nm以上20nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記メソ孔を有する多孔体は、平均粒子径が50μm以上700μm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記メソ孔を有する多孔体は、比表面積が100m2/g以上1200m2/g以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記メソ孔を有する多孔体は、メソポーラスシリカ、シリカゲル、およびイオン交換樹脂からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記通水性層は、織布又は不織布である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記通水性層は、不織布である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記通水性層は、外表面に親水化処理が施されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記通水性層が、親水性物質からなる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記生体物質がペプチドである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の生体物質の選択的吸・脱着材。
- 前記生体物質を含有する液を保持しうる容器であって、請求項1〜15のいずれか1項に記載の吸・脱着材を内部に有する容器。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載の吸・脱着材と前記生体物質を含有する液を保持しうる容器とを含む生体物質の精製キット。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載の生体物質の選択的吸・脱着材を、生体物質を含有する液に接触させる工程を含む、生体物質の製造方法。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載の生体物質の選択的吸・脱着材を、生体物質を含有する液に接触させる工程を含む、生体物質の分離方法。
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