JP6444615B2 - 分離容器およびウイルスの濃縮・精製方法 - Google Patents

分離容器およびウイルスの濃縮・精製方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料液中からウイルスを濃縮・精製するために用いられる分離容器およびかかる分離容器を用いたウイルスの濃縮・精製方法に関するものである。
近年、各種ウイルスによる感染の有無は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて、検体中に含まれるウイルス由来のDNA、RNAのような核酸を増幅させ、この核酸が増幅されるか否かを観察することにより実施されている。
また、次世代シーケンサーによるウイルスの塩基配列解析おいても、解析すべきウイルスの核酸を、PCR法を用いて増幅させた後、これら増幅された核酸がその解析に供される。
そのため、これらの精度をより高めるためには、PCR法に供される試料液中には、ウイルスに由来する核酸が、ウイルス以外のものに由来する核酸が夾雑物として含まれることなく、単独で含まれていることが求められる。
しかしながら、特許文献1に提案されているように、ウイルスからの核酸の抽出操作を、検体から直接実施すると、検体が血液である場合には主に血球成分に由来する核酸が検体中に夾雑物として混在し、また、検体が糞便である場合にはバクテリアに由来する核酸等が検体中に夾雑物として混在することとなる。
したがって、このような検体を、PCR法に供される試料液として用いると、ウイルスに由来する核酸以外に、血球成分に由来する核酸や、バクテリアに由来する核酸が増幅される。そのため、増幅された核酸を、各種ウイルスによる感染の有無の判定に用いた場合には、ウイルスの検出感度が低下するという問題が生じる。また、増幅された核酸を、ウイルスの核酸解析に用いた場合には、核酸の解析結果にPCRエラーが含まれるという問題が生じる。
そこで、検体中からウイルスを、簡便な方法で効率よく濃縮・精製することができる、ウイルスの精製方法の開発が求められている。
特開平7−236499号公報
本発明の目的は、試料液中から簡便な方法でウイルスを効率よく濃縮・精製するために用いられる分離容器、およびかかる分離容器を用いたウイルスの濃縮・精製方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(8)に記載の本発明により達成される。
(1) ウイルスを含有する試料液から前記ウイルスを濃縮・精製する際に用いられる分離容器であって、
上側開口と下側開口とを有する筒状をなす本体部と、該本体部の前記下側開口側に充填された、少なくとも表面がリン酸カルシウム系化合物で構成された吸着剤とを有し、
前記上側開口から前記本体部内に供給された前記試料液を、当該分離容器に付与された遠心力または圧力により、前記吸着剤を透過させるとともに、前記下側開口を介して前記本体部の外側に流出させる際に、前記ウイルスを前記吸着剤に吸着させるよう構成されていることを特徴とする分離容器。
これにより、ウイルスを含有する試料液中から簡便な方法でウイルスを効率よく濃縮・精製することができる。
(2) 前記本体部内に装填された2つのフィルタ部材を備え、
前記吸着剤は、前記本体部と2つの前記フィルタ部材とにより画成された空間内に充填されている上記(1)に記載の分離容器。
これにより、前記空間から前記吸着剤が流出するのを防止することができる。
(3) 前記上側開口側に位置する前記フィルタ部材は、その微細孔が100〜1500nmである上記(2)に記載の分離容器。
これにより、細胞成分をろ過しつつ、ウイルスを前記空間側に移行させて、かかる空間に充填された吸着剤に接触・吸着させることができる。
(4) 前記吸着剤は、ハイドロキシアパタイトで構成される焼結粒子である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の分離容器。
ハイドロキシアパタイトは、生体を構成する成分に近いため、ウイルスを吸着・分離する際に、かかるウイルスが変質(変性)するのを好適に防止することができる。
(5) 前記焼結粒子は、その平均粒径が0.5〜150μmである上記(4)に記載の分離容器。
このような平均粒径の吸着剤を用いることにより、前記下側開口側に位置するフィルタ部材の目詰まりを確実に防止しつつ、吸着剤の表面積を十分に確保することができる。さらに、本体部に供給された試料液を、分離容器への遠心力または圧力の付与により、吸着剤、さらには下側開口を介して分離容器の外側に流出液として、遠心加速度が小さい場合であったとしても移動させることができるようになる。
(6) 当該分離容器には、前記遠心力が付与され、
前記遠心力により前記試料液に付与される遠心加速度は、150G以上である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の分離容器。
前記範囲内のように遠心加速度を小さくしたとしても、分離容器内の試料液を、流出液として分離容器の外側に流出させることができる。
(7) 上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の分離容器を用いたウイルスの濃縮・精製方法であって、
前記試料液を、前記上側開口から前記本体部内に供給した後、前記分離容器に遠心力または圧力を付与することにより、前記吸着剤を透過させることで前記ウイルスを前記吸着剤に吸着させる吸着工程と、
所定量の溶出液を、前記上側開口から前記本体部内に供給した後、前記分離容器に遠心力または圧力を付与することにより、前記吸着剤を透過させ、その後、前記下側開口を介して、分画液として回収する分画工程とを有することを特徴とするウイルスの濃縮・精製方法。
これにより、ウイルスを含有する試料液中から簡便な方法でウイルスを効率よく濃縮・精製することができる。
(8) 前記溶出液は、リン酸系緩衝液である上記(7)に記載のウイルスの濃縮・精製方法。
これにより、分離するウイルスの変質(変性)を防止することができ、ウイルスの生物学的活性の損失およびウイルス内からの核酸の漏出を確実に防止することができる。また、吸着剤の変質(溶解等)を好適に防止することができ、分離容器における分離能の変化を防止することもできる。
本発明の分離容器を用いたウイルスの精製方法(本発明の精製方法)によれば、試料液中から簡便な方法でウイルスを効率よく精製することができる。
本発明の分離容器の実施形態を示す縦断面図である。 図1に示す分離容器を、収納容器に装填した状態を示す縦断面図である。 図1に示す分離容器を用いて試料液からウイルスを精製する精製方法を説明するための縦断面図である。 図1に示す分離容器を用いて試料液からウイルスを精製する精製方法を説明するための縦断面図である。 リアルタイムPCR法による、バクテリア16S−rRNAおよびノロウイルスRNAの増幅曲線を示すグラフである。 溶出液に含まれるリン酸ナトリウムの濃度と、バクテリア16S−rRNAに対するノロウイルスRNAの相対量との関係を示すグラフである。
以下、本発明の分離容器およびウイルスの濃縮・精製方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
まず、本発明の分離容器について説明する。
図1は、本発明の分離容器の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示す分離容器を、収納容器に装填した状態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1、2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す分離容器1は、ウイルスを含有する試料液中から目的とするウイルス(単離物)を分離(単離)するために用いられ、本実施形態では、図2に示すように、収納容器(マイクロチューブ)2に装填して使用され、本体部11と、蓋部12と、粒状の吸着剤(充填剤)3と、2つ(2枚)のフィルタ部材4、5とを有している。
本体部11は、その全体形状が筒状をなし、上側で開口する上側開口13と、下側で開口する下側開口14とを有している。この本体部11の内径および外径の双方は、上端から下端に向かって高さ方向の途中までほぼ一定であるが、途中から下端に向かって漸減する構成となっている。これにより、本体部11は、その下側で、全体形状がロート状をなし、そのため、上側開口13の内径が、下側開口14の内径よりも大きくなっている。
かかる構成とすることで、目的とするウイルスを分離(精製)する際に、試料液(ウイルスを含む液体)や、溶出液等の液体は、上側開口13から本体部11内に供給され、吸着剤3およびフィルタ部材4、5を透過(通過)した流出液は、下側開口14を介して収納容器2内に回収されるが、かかる作業を容易に行うことが可能となる。
このような本体部11の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
かかる構成の本体部11では、本体部11の上側に、本体部11とフィルタ部材4とにより画成された液供給空間16が形成され、本体部11の下側に、本体部11と各フィルタ部材4、5とにより画成された吸着剤充填空間15が形成されている。そして、この吸着剤充填空間15内に吸着剤3が充填されている。すなわち、本体部11の下側開口14側に吸着剤3が充填されている。
吸着剤充填空間15の容積は、試料液の容量に応じて適宜設定され、特に限定されないが、0.016〜0.8mL程度が好ましく、0.04〜0.2mL程度がより好ましい。
吸着剤充填空間15の寸法を上記のように設定し、かつ後述する吸着剤3の寸法を後述のように設定することにより、試料液中から目的とするウイルスを選択的に単離(精製)すること、すなわち、ウイルスと、試料液中に含まれるウイルス以外の夾雑物とを確実に分離することができる。
また、液供給空間16の容積は、かかる空間16に供給される試料液の容量に応じて適宜設定され、特に限定されないが、0.1〜1mL程度が好ましく、0.2〜0.5mL程度がより好ましい。
上側開口13から本体部11(液供給空間16)に供給された試料液(液体)は、フィルタ部材4を介して吸着剤3(吸着剤充填空間15)に供給され、その後、吸着剤3同士の間(間隙)を通過して、フィルタ部材5および下側開口14を介して、本体部11外へ、すなわち、収納容器2内に回収される。このとき、試料液(試料)中に含まれるウイルスとウイルス以外の夾雑物とは、吸着剤3に対する吸着性の差異、および、吸着剤3に供給される溶出液に対する親和性の差異に基づいて分離される。
各フィルタ部材4、5は、それぞれ、吸着剤充填空間15から吸着剤3が流出するのを防止する機能を有するものである。これらのフィルタ部材4、5は、それぞれ、例えば、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエーテルポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂からなる不織布、発泡体(連通孔を有するスポンジ状多孔質体)、織布、メッシュ、ガラス焼結フィルタ等で構成されている。
これらのうちフィルタ部材4は、その細孔径が、好ましくは100〜1500nm程度に設定され、より好ましくは200〜1000nm程度に設定される。
ここで、ウイルスの大きさは、通常、約数10〜数100nm程度であり、試料液として、後述するような全血や糞便等を用いた場合、血球成分の大きさが約1〜50μm程度であり、糞便中のバクテリアの大きさが約1〜10μm程度である。そのため、フィルタ部材4の細孔径をかかる範囲内に設定することで、フィルタ部材4に上述した機能を確実に発揮させることができるとともに、血球成分やバクテリア等の細胞成分をろ過しつつ、ウイルスを吸着剤充填空間15側に移行させて、かかる空間に充填された吸着剤3に接触・吸着させることができる。したがって、フィルタ部材4に捕捉されるウイルスの捕捉率を低減させて、吸着剤3に吸着されるウイルスの吸着率を向上させることができるため、分離容器1を用いて精製されるウイルスの精製率が向上する。
また、フィルタ部材5は、その細孔径が、好ましくは0.1〜120μm程度、より好ましくは0.5〜20μm程度に設定される。これにより、前記試料液に含まれる各種成分の透過は許容されるとともに、吸着剤3の透過は確実に許容されなくなり、フィルタ部材5に上述した機能を確実に発揮させることができる。
吸着剤3は、その少なくとも表面が、リン酸カルシウム系化合物で構成されている。かかる吸着剤3には、ウイルスが、このウイルスの吸着(担持)力で特異的に吸着し、この吸着力の差に応じて、ウイルス以外の夾雑物と濃縮・精製される。
リン酸カルシウム系化合物としては、特に限定されず、例えば、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))、TCP(Ca(PO)、Ca、Ca(PO、DCPD(CaHPO・2HO)、CaO(POや、これらの一部が他の原子または原子団で置換されたもの等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
少なくとも表面付近をリン酸カルシウム系化合物で構成することにより、高い強度を有する吸着剤3を得ることができる。このため、吸着剤3が自重や、分離容器1の遠心により容易に変形・崩壊等することを好適かつ長期にわたって防止することができる。したがって、吸着剤充填空間15内の下部に充填された吸着剤3が崩壊等して、フィルタ部材5に目詰まりが生じるのを防止することができる。その結果、多量の試料液の処理、すなわち、試料液中から多量のウイルスを確実に分離することができるようになる。
中でも、リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイトを主成分とするものが好ましい。特に、ハイドロキシアパタイトは、生体を構成する成分に近いため、ウイルスを吸着・分離する際に、かかるウイルスが変質(変性)するのを好適に防止することができる。また、溶出液として、リン酸系緩衝液の塩濃度を変えて用いることで、ウイルスを、吸着剤3から特異的に取り外すことができるという利点も有する。
さらに、ハイドロキシアパタイトは、それが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたものでもよい。フッ素原子で置換されたハイドロキシアパタイト(以下、「フッ素アパタイト」と言う)は、その結晶構造中にフッ素原子(フッ素イオン)が存在することにより、カルシウム原子(カルシウムイオン)のフッ素アパタイトからの離脱をより確実に防止することができる。また、かかるフッ素アパタイトで吸着剤3の少なくとも表面付近を構成することにより、吸着剤3の強度がさらに向上する。
なお、以下では、ハイドロキシアパタイトおよびフッ素原子で置換されたハイドロキシアパタイトを、総称して「アパタイト」と言うこともある。
さらに、ハイドロキシアパタイトは、その乾燥体(乾燥粒子)および焼結体(焼結粒子)のいずれであってもよいが、焼結体であることが好ましい。これにより、吸着剤3の強度がさらに向上させることができる。
また、吸着剤3の形態(形状)は、図1に示すように、粒状(顆粒状)のものであるのが好ましいが、その他、例えばペレット状(小塊状)、ブロック状(例えば、隣接する空孔同士が互いに連通する多孔質体、ハニカム形状、モノリス)等とすることもできる。なお、吸着剤3を粒状とすることにより、その表面積を増大させることができ、ウイルスの分離特性の向上を図ることができる。
粒状の吸着剤3の平均粒径は、例えば、0.5〜150μm程度であるのが好ましく、10〜80μm程度であるのがより好ましい。このような平均粒径の吸着剤3を用いることにより、前記フィルタ部材5の目詰まりを確実に防止しつつ、吸着剤3の表面積を十分に確保することができる。さらに、液供給空間16に供給された試料液を、分離容器1の遠心により、吸着剤充填空間15、さらには下側開口14を介して収納容器2内に流出液として、遠心加速度が150G程度であったとしても移動させることができるようになる。
なお、吸着剤3は、その全体がリン酸カルシウム系化合物で構成されたものであってもよく、担体(基体)の表面をリン酸カルシウム系化合物で被覆したものであってもよいが、その全体がリン酸カルシウム系化合物で構成されたものであるのが好ましい。これにより、吸着剤3の強度をさらに向上することができ、多量のウイルスを分離する際の使用に適した分離容器1を得ることができる。
なお、その全体がリン酸カルシウム系化合物で構成された吸着剤3は、例えば、湿式合成法や乾式合成法を用いて、リン酸カルシウム系化合物粒子(一次粒子)を得、かかるリン酸カルシウム系化合物粒子を含有するスラリーを、乾燥や造粒することにより、乾燥粒子を得ることができ、さらに、この乾燥粒子を焼成することにより焼結粒子を得ることができる。
一方、担体の表面をリン酸カルシウム系化合物で被覆した吸着剤3は、例えば、樹脂等で構成される担体に、前記乾燥粒子または焼結粒子を衝突(ハイブリダイズ)させる方法等により得ることができる。
また、本実施形態のように、吸着剤3を吸着剤充填空間15にほぼ満量充填する場合には、吸着剤3は、吸着剤充填空間15の各部において、ほぼ同一の組成をなしているのが好ましい。これにより、分離容器1は、ウイルスの分離(精製)能が特に優れたものとなる。
次に、上記のような分離容器1を用いたウイルスを濃縮・精製する濃縮・精製方法(本発明の精製方法)について説明する。
図3、4は、図1に示す分離容器を用いて試料液からウイルスを精製する精製方法を説明するための縦断面図である。また、以下の説明では、図3、4中の上側を「上」、下側を「下」という。
[1] 調製工程
まず、ウイルスを含有する試料液60を用意(調製)する。
ここで、試料液60としては、ウイルスを含有するものであれば、特に限定されず、例えば、ヒト等の動物由来の血液、糞便、唾液、鼻汁、尿の他、培養動物由来の卵(鶏卵等)および脳細胞、神経細胞、上皮細胞のような培養細胞等が挙げられる。
なお、この試料液60は、上記のようなものを、水や等張液(ウイルス内液の浸透圧とほぼ等しい浸透圧の液体)を用いて希釈(前処理)したものであってもよい。
この等張液には、例えば、Dulbecco液(PBS:リン酸緩衝生理食塩水)、Locke液、Ringer液、Tyrode液、Earle液、Krebs液、生理食塩水等を用いることができる。
また、試料液60は、血球成分やバクテリアのような細胞成分が予め除去されたもの、すなわち、細胞成分を除去する前処理が施されたものであってもよい。この場合、フィルタ部材4による細胞成分の分離が省略されるため、フィルタ部材4の細孔径は、フィルタ部材5の細孔径と同様の範囲内に設定される。ただし、フィルタ部材4の細孔径を前記範囲内に設定し、試料液60として細胞成分を除去する前処理が施されていないものを用いることにより、かかる前処理を省略することができるため、工程の簡略化が図られる。
また、精製すべきウイルスとしては、特に限定されず、例えば、デングウイルス、C型肝炎ウイルスおよび日本脳炎ウイルスが属するフラビウイルス科、インフルエンザウイルスが属するオルトミクソウイルス科、風疹ウイルスが属するトガウイルス科、麻疹ウイルスおよびムンプスウイルスが属するパラミクソウイルス科、B型肝炎ウイルスが属するヘパドナウイルス科のウイルスのようなエンベロープを有するウイルスならびにノロウイルスが属するカリシウイルス科、パピロマーウイルスが属するパピロマーウイルス科、レオウイルスおよびロタウイルスが属するレオウイルス科、A型肝炎ウイルスが属するピコルナウイルス科のウイルスのようなエンベロープを有さないウイルスのウイルスが挙げられる。これらの中でも、カリシウイルスやフラビウイルス科に属するものであるのが好ましい。カリシウイルス科に属するノロウイルスは、その直径が約30〜40nmであり、フラビウイルス科に属するデングウイルスおよび日本脳炎ウイルスは、その直径が約40〜50nmであり、このような大きさのウイルスを濃縮・精製に、その少なくとも表面がリン酸カルシウム系化合物で構成されている吸着剤3が好ましく用いられる。
[2] 吸着工程
次に、分離容器1を収納容器2に装填(収納)した状態で、得られた試料液60を、上側開口13を介して、液供給空間16内に供給した後、分離容器1に遠心力を付与することにより、試料液60がフィルタ部材4、吸着剤3およびフィルタ部材5を透過するとともに、下側開口14を介して、流出液61として流出することで、収納容器2内に流出液61が回収される。
これにより、試料液60が、吸着剤充填空間15に充填された吸着剤3を透過する際に、吸着剤3に接触するため、吸着剤3に対して吸着能が高いウイルスや、ウイルス以外の夾雑物(例えば、細胞成分由来のDNAやRNA)の中でも吸着剤3に対して比較的吸着能の高いものは、吸着剤3に、すなわち分離容器1内に吸着(保持)される。そして、吸着剤3に対して吸着能の低い夾雑物は、流出液61とともにフィルタ部材5および下側開口14を介して本体部11内から流出し、収納容器2内に回収される。
[2−1]まず、分離容器1を収納容器2に装填(収納)した状態で、試料液60を、上側開口13を介して、液供給空間16内に供給した後、蓋部12により上側開口13に蓋をする。
また、液供給空間16に供給される試料液の容量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜1mL程度、より好ましくは0.2〜0.5mL程度に設定される。かかる範囲内の容量の試料液、すなわち少量の試料液からウイルスを確実に濃縮・精製することができる。すなわち、分離容器1は、少量の試料液からのウイルスの濃縮・精製に好ましく用いられる。また、試料液が液供給空間16よりも多い時は、適量を繰り返しアプライすることで吸着させることが可能である。
[2−2]次に、図3(a)に示すように、液供給空間16内に試料液60が供給された状態で、分離容器1を、遠心機を用いて遠心する。
これにより、分離容器1に遠心力を付与され、その結果、試料液60がフィルタ部材4、吸着剤3およびフィルタ部材5を透過し、その後、下側開口14を介して、流出液61として収納容器2内に回収される(図3(b)参照。)。
このように分離容器1に付与された遠心力により、試料液60(流出液)の収納容器2への流出が促進される。その結果、試料液からのウイルスの精製を迅速に実施することができることとなる。そのため、多検体の処理を短時間で実施することが可能となる。
遠心機を用いて分離容器1すなわち液供給空間16内に供給された試料液60に付与される遠心加速度は、150G以上であることが好ましく、400〜500G程度であることがより好ましい。分離容器1が吸着剤3として、その少なくとも表面が、リン酸カルシウム系化合物で構成されているものを用いること、特に、粒状の吸着剤3の平均粒径を前記範囲内に設定することにより、試料液60に付与される遠心加速度を、例えば、150〜500G程度のように小さくしたとしても、液供給空間16内の試料液60を、流出液61として収納容器2内に回収させることができる。
[3] 分画工程
次に、分離容器1を、前記工程[2]で用いたのとは異なる収納容器2に装填(収納)した状態で、所定量の溶出液65を、上側開口13を介して、液供給空間16内に供給した後、分離容器1に遠心力を付与することにより、溶出液65がフィルタ部材4、吸着剤3およびフィルタ部材5を透過し、その後、下側開口14を介して、分画液66として収納容器2内に回収される。
[3−1]まず、分離容器1を、前記工程[2]で用いたのとは異なる収納容器2に装填(収納)した状態で、溶出液65を、上側開口13を介して、液供給空間16内に供給した後、蓋部12により上側開口13に蓋をする。
[3−2]次に、図4(a)に示すように、液供給空間16内に溶出液65が供給された状態で、分離容器1を、遠心機を用いて遠心する。
これにより、分離容器1に遠心力を付与され、その結果、溶出液65がフィルタ部材4、吸着剤3およびフィルタ部材5を透過し、その後、下側開口14を介して、分画液66として収納容器2内に回収される(図4(b)参照。)。
遠心機を用いて分離容器1すなわち液供給空間16内に供給された溶出液65に付与される遠心加速度は、150G以上であることが好ましく、400〜500G程度であることがより好ましい。分離容器1が吸着剤3として、その少なくとも表面が、リン酸カルシウム系化合物で構成されているものを用いること、特に、粒状の吸着剤3の平均粒径を前記範囲内に設定することにより、溶出液65に付与される遠心加速度を、例えば、150〜500G程度のように小さくしたとしても、液供給空間16内の溶出液65を、分画液66として収納容器2内に回収させることができる。
このような工程[3−1]および工程[3−2]による、分離容器1への溶出液65の供給と、分離容器1への遠心力の付与による異なる収納容器2における分画液66の回収とを、繰り返して実施することにより、所定量ずつ分画された分画液66が各収納容器2内に採取される。
これにより、吸着剤3に吸着しているウイルスと、他の夾雑物(例えば、細胞成分由来のDNAやRNA)は、それぞれ、各物質が有する吸着剤3に対する吸着力の差に応じて、各分画内に溶出した状態で回収(分離)される。
溶出液65としては、吸着したウイルスを溶出させ得るものであればよく、例えば、リン酸系緩衝液が挙げられる。また、リン酸系緩衝液には、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびリン酸リチウム等が挙げられる。さらに、リン酸系緩衝液のpHは、特に限定されないが、中性領域であるのが好ましく、具体的には、6〜8程度であるのが好ましく、6.5〜7.5程度であるのがより好ましい。これにより、分離するウイルスの変質(変性)を防止することができ、ウイルスの生物学的活性の損失およびウイルス内からのDNAおよび/またはRNAの漏出を確実に防止することができる。また、吸着剤3の変質(溶解等)を好適に防止することができ、分離容器1における分離能の変化を防止することもできる。
したがって、かかるpH範囲のリン酸系緩衝液を用いることにより、目的とするウイルスの回収率の向上を図ることができる。
このリン酸系緩衝液は、濃度が1〜600mM程度のものを用いることができる。
また、リン酸系緩衝液中には、NaCl、KCl、NHClのうちの少なくとも1種の塩を加えても良い。リン酸系緩衝液中に塩が含まれることにより、吸着剤3に吸着している他の夾雑物の中でも、細胞成分由来のDNAやRNAのような核酸を、吸着剤3に吸着させた状態で、ウイルスを分画液66中に溶出させることができる。この場合、リン酸系緩衝液中における塩の濃度は、好ましくは100〜2000mM程度、より好ましくは1000〜1500mM程度に設定される。
さらに、リン酸系緩衝液は、前記工程[3−1]で溶出液65として液供給空間16に供給する際に、リン酸系緩衝液の濃度および/または塩の濃度を、段階的に変化させるのが好ましい。これにより、ウイルスの分離操作の効率化を図ることができる。
また、前記工程[3−1]で溶出液65として液供給空間16に供給されるリン酸系緩衝液の供給量は、0.05〜0.5mL程度であるのが好ましく、0.05〜0.2mL程度であるのがより好ましい。このような供給量で、ウイルスの濃縮・分離を行うことにより、目的とする分画に、ウイルスを確実に濃縮・分離すること、すなわち、より高濃度かつ高純度なウイルスを得ることができる。
以上のような操作により、所定の画分に、高純度にウイルスが回収される。
すなわち、前記工程[2]、[3]のように、試料液または溶出液の供給の後に、遠心力を分離容器に付与するという動作を繰り返して行うという簡便な方法で、効率よく試料液(検体)中からウイルスを精製することができる。
また、本発明の精製方法を用いて目的とするウイルスを濃縮・精製し(精製工程)、その後、精製されたウイルスから、DNA、RNAのような核酸を抽出する抽出操作を行うことにより、細胞成分由来のDNAやRNAが夾雑物として混入することなく、優れた精度でウイルス由来の核酸を抽出(精製)することができる。
以上、本発明の分離容器およびウイルスの精製方法について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、本発明の分離容器において、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
また、前記実施形態では、分離容器が、1つの本体部を備える場合について説明したが、これに限定されず、分離容器は、2つ以上の本体部を備えるものであってもよい。これにより、分離容器に対する1度の遠心力または圧力の付与により、複数の試料液(検体)を、一括して処理することができるようになる。
さらに、本発明のウイルスの精製方法では、任意の目的で、工程[1]の前工程、工程[1]と[2]との間または工程[2]と[3]との間に存在する中間工程、または工程[3]の後工程を追加するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、分離容器に遠心力を付与することにより、試料液および溶出液を、吸着剤を透過させるとともに、下側開口を介して本体部の外側に流出させる場合について説明したが、分離容器に付与する(作用させる)力は、遠心力に代えて圧力であってもよい。この圧力は、例えば、下側開口から吸引すること、および/または、上側開口から加圧すること等により、分離容器に付与される。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.ノロウイルスの精製
(実施例1)
−1− まず、ノロウイルス陽性糞便検体に、水を添加した後懸濁させることで懸濁液を得た。その後、この懸濁液を遠心分離した上清を採取し、0.45μmのフィルタでろ過して試料液を調製した。
−2− 次に、0.2mLの試料液(サンプル)を、分離容器内に上側開口から供給した後、遠心分離装置(エッペンドルフ社製、「5418R」)により、遠心加速度500Gの条件で遠心分離することにより、試料液を下側開口から流出させた。
なお、分離容器には、吸着剤として、ハイドロキシアパタイトビーズ(HOYA Technosurgical社製、焼結粉体、平均粒径40μm)を約0.03g充填した、スピンカラム(サイズφ6.8mm×20mm)を用いた。
−3− 次に、10mMのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.2)を溶出液として用意し、この溶出液0.5mLを、分離容器内に上側開口から供給した後、遠心分離装置により、遠心加速度500Gの条件で遠心分離することにより、溶出液を下側開口から流出させて分画液(分画液A)を得た。
この工程をさらに2回繰り返して行った。
−4− 次に、600mMのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.2)を溶出液として用意し、この溶出液0.1mLを、分離容器内に上側開口から供給した後、遠心分離装置により、遠心加速度500Gの条件で遠心分離することにより、溶出液を下側開口から流出させることにより分画液(分画液B)を得た。
以上のような工程[−1−]、[−4−]において得られた試料液および分画液Bについて、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法を用いてそれぞれに含まれる核酸を増幅させて、この際のノロウイルスRNAに由来する蛍光度変化およびバクテリア16S−rRNAの蛍光度変化を測定した。
その結果を、図5に示す。
図5に示すように、試料液では、バクテリア16S−rRNAの蛍光度変化が、ノロウイルスRNAに由来する蛍光度変化に先立って顕著に認められるのに対して、分画液では、ノロウイルスRNAに由来する蛍光度変化が認められた後に、バクテリア16S−rRNAの蛍光度変化が認められる結果となった。これらのことから、試料液中から分離容器を用いてノロウイルスが回収(精製)されていることが判った。
(実施例2)
−1− まず、ノロウイルス陽性糞便検体に、水を添加した後懸濁させることで懸濁液を得た。その後、この懸濁液を遠心分離した上清を採取し、0.45μmのフィルタでろ過して試料液を調製した。
−2− 次に、0.2mLの試料液(サンプル)を、分離容器内に上側開口から供給した後、遠心分離装置(エッペンドルフ社製、「5418R」)により、遠心加速度500Gの条件で遠心分離することにより、試料液を下側開口から流出させた。
なお、分離容器には、吸着剤として、ハイドロキシアパタイトビーズ(HOYA Technosurgical社製、焼結粉体、平均粒径40μm)を約0.03g充填した、スピンカラム(サイズφ6.8mm×20mm)を用いた。
−3− 次に、純水(pH7.0)を洗浄液として用意し、この洗浄液0.5mLを、分離容器内に上側開口から供給した後、遠心分離装置により、遠心加速度430Gの条件で遠心分離することにより、洗浄液を下側開口から流出させた。
−4− 次に、10mMのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.2)を溶出液として用意し、この溶出液0.5mLを、分離容器内に上側開口から供給した後、遠心分離装置により、遠心加速度500Gの条件で遠心分離することにより、溶出液を下側開口から流出させて分画液を得た。
この工程をさらに2回繰り返して行った。
−5− 次に、100mMのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.2)を溶出液として用意し、この溶出液0.5mLを、分離容器内に上側開口から供給した後、遠心分離装置により、遠心加速度500Gの条件で遠心分離することにより、溶出液を下側開口から流出させて分画液を得た。
この工程をさらに2回繰り返して行った。
−6− 次に、600mMのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.2)を溶出液として用意し、この溶出液0.5mLを、分離容器内に上側開口から供給した後、遠心分離装置により、遠心加速度500Gの条件で遠心分離することにより、溶出液を下側開口から流出させて分画液を得た。
以上のような工程[−3−]〜[−6−]において、下側開口から流出された洗浄液および溶出液(分画液)について、それぞれに含まれる、ノロウイルスRNA量およびバクテリア16S−rRNA量を、リアタイムPCR装置(アズワン社製、「2−9014−01」)を用いて測定し、バクテリア16S−rRNAに対するノロウイルスRNAの相対量を求めた。
その結果を、図6に示す。
図6から明らかなように、100mM以上(特に100mM)のリン酸ナトリウム水溶液(pH7.2)を溶出液として用いることで、吸着剤に吸着したノロウイルスを、夾雑物を混在させることなく、吸着剤から選択的に溶出し得ることが判った。
2.デングウイルスの濃縮・精製
(実施例3)
−1− まず、デングウイルスを蚊由来のC6/36細胞で増殖させた後、この培養上清を採取することで試料液(1mL)を得た。
−2− 次に、0.5mLの試料液(サンプル)を、分離容器内に上側開口から供給した後、遠心分離装置(久保田商事社製、「型番5910」)により、遠心加速度430Gの条件で遠心分離することにより、試料液を下側開口から流出させた(Step[FT-1])。
この工程を再度行うこと(Step[FT-2])により、合計1mLの試料液を、分離容器が備える吸着剤に接触させた。
なお、分離容器には、吸着剤として、セラミックハイドロキシアパタイトビーズ(BIORAD社製、焼結粉体、CHT Type II、平均粒径40μm)を約0.05g充填した、スピンカラム(サイズφ6.8mm×20mm)を用いた。
−3− 次に、10mMのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.2)を洗浄液として用意し、この洗浄液0.5mLを、分離容器内に上側開口から供給した後、遠心分離装置により、遠心加速度430Gの条件で遠心分離することにより、洗浄液を下側開口から流出させた(Step[Wash-1])。
この工程をさらに2回繰り返して行った(Step[Wash-2,3])。
−4− 次に、600mMのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.2)を溶出液として用意し、この溶出液0.1mLを、分離容器内に上側開口から供給した後、遠心分離装置により、遠心加速度430Gの条件で遠心分離することにより、溶出液を下側開口から流出させた(Step[Elute-1])。
この工程をさらに4回繰り返して行った(Step[Elute-2〜5])。なお、4回目(Step[Elute-5])における溶出液の供給量は、0.5mLとした。
以上のような工程[−2−]〜[−4−]において、下側開口から流出された試料液、洗浄液および溶出液(分画液)について、それぞれに含まれる、デングウイルス量をヘマグルチニン単位(HAU)/50μLとして測定した。
その結果を、表1に示す。
Figure 0006444615
表1に示すように、デングウイルスは、試料液中に含まれ、吸着工程(Step[FT-1,2])により、吸着剤に吸着し、ろ液からは検出されなかった。そして、分画工程(Step[Elute-1〜5])における、Step[Elute-1]において回収された溶出液(画分)中に、デングウイルスが回収(精製)される結果となった。
1 分離容器
2 収納容器
3 吸着剤
4 フィルタ部材
5 フィルタ部材
11 本体部
12 蓋部
13 上側開口
14 下側開口
15 吸着剤充填空間
16 液供給空間
60 試料液
61 流出液
65 溶出液
66 分画液

Claims (6)

  1. ウイルスを含有する試料液から前記ウイルスを濃縮・精製する際に用いられる分離容器であって、
    上側開口と下側開口とを有する筒状をなす本体部と、該本体部の前記下側開口側に充填された、少なくとも表面がリン酸カルシウム系化合物で構成された吸着剤と、前記本体部内に装填された2つのフィルタ部材とを有し、
    前記吸着剤は、前記本体部と2つの前記フィルタ部材とにより画成された空間内に充填されており、
    前記上側開口側に位置する前記フィルタ部材は、その微細孔が100〜1500nmであり、
    前記上側開口から前記本体部内に供給された前記試料液を、当該分離容器に付与された遠心加速度が150G以上である遠心力により、前記吸着剤を透過させるとともに、前記下側開口を介して前記本体部の外側に流出させる際に、前記ウイルスを前記吸着剤に吸着させるよう構成されていることを特徴とする分離容器。
  2. 前記吸着剤は、ハイドロキシアパタイトで構成される焼結粒子である請求項1に記載の分離容器。
  3. 前記焼結粒子は、その平均粒径が0.5〜150μmである請求項2に記載の分離容器。
  4. 前記ウイルスは、カリシウイルス科またはフラビウイルス科に属する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の分離容器。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の分離容器を用いたウイルスの濃縮・精製方法であって、
    前記試料液を、前記上側開口から前記本体部内に供給した後、前記分離容器に遠心加速度が150G以上である遠心力を付与することにより、前記吸着剤を透過させることで前記ウイルスを前記吸着剤に吸着させる吸着工程と、
    所定量の溶出液を、前記上側開口から前記本体部内に供給した後、前記分離容器に遠心力または圧力を付与することにより、前記吸着剤を透過させ、その後、前記下側開口を介
    して、分画液として回収する分画工程とを有することを特徴とするウイルスの濃縮・精製方法。
  6. 前記溶出液は、リン酸系緩衝液である請求項5に記載のウイルスの濃縮・精製方法。
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