JP2816739B2 - ウイルス及び細胞の分離器 - Google Patents

ウイルス及び細胞の分離器

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Description

【発明の詳細な説明】 「技術分野」 本発明は、ウイルス及び動植物細胞を分離する分離器
に係り、さらに詳しくは、ウイルスあるいは動植物細胞
の浮遊液中からウイルスあるいは目的とする細胞をその
分布状態を変えずに分離しうる分離器に関する。
「従来技術及びその問題点」 近年、医学や生化学の各分野において、臨床検査をは
じめとして、一連の生体防御機構に関連した物質の基礎
的評価を行う免疫診断や免疫治療を目的として、様々な
細胞が混在する細胞浮遊液から特定の細胞群を分離する
ことが行われている。しかしながら、例えばリンパ球の
中からT細胞、B細胞、K細胞、NK細胞などを分離する
場合に、目的とする細胞の分布状態を変えずに迅速かつ
低コストで分離する方法はなく、その開発が強く望まれ
ている。
特開昭57−204454号及び同56−140886号公報には、酸
性官能基を有する粒状体や微細孔を有する疎水性かつ水
不溶性粒状体を利用して一段階の分離手段でT細胞を獲
得する手法が提案されている。しかしながら、この細胞
分離方法では、粒状体の平均粒径が小さいので、カラム
が詰まりやすく、細胞の回収率が一定しないばかりでな
く、著しく低い。
また、現在、学術上、国際的に認められている細胞分
離材及び分離方法では、いずれも分離前の準備に多大の
時間がかかり、細心の処理過程を必要とし、操作が複雑
で時間と手間がかかり、使用材料の製造ロットによっ
て、その分離能と分離パターンに大きな差異が生じて再
現性に乏しいという問題点がある。
さらに、特開昭61−235752号及び同63−284号公報に
は、リン酸カルシウム系顆粒を利用した一段階の分離手
段でT細胞を獲得する手法が提案されている。しかしな
がら、前記特開昭61−235752号公報に記載されているリ
ン酸カルシウム系顆粒は、細胞分離剤として顆粒が持つ
べき微細構造について何ら検討されておらず、操作時間
は短縮されたものの、保水性が悪く、分離能は、あまり
向上していない。また、特開昭63−284号公報には、繊
維状アパタイトにより保水性とともに分離能を向上させ
たことが記載されているが、これに限らず、繊維状のも
のは、充填状態を均一にすることが困難であり、ロット
によるバラツキが大きく、顆粒状のものに比べて性能が
安定しにくいという欠点がある。
さらに具体的には、デキストラン・セルを用いるセフ
ァデックスG10法が知られている。この方法の原理は、
未だ完全には解明されていないが、細胞付着性の大小関
係が主役を演じていると考えられており、マクロファー
ジやサイズの大きい付着性のアクセサリー細胞が吸着に
よって分離され、T細胞やB細胞は通過する。しかしな
がら、この方法では、非吸着性の小型アクセサリー細胞
は通過してしまうし、また、T細胞のサブセットのうち
のあるものは付着してしまうので、T細胞サブセットの
分布を完全な形で得ることができず、このことが免疫診
断上のネックポイントになっていた。
さらに、ナイロンウールを用いる分離カラムが知られ
ている。これは、T細胞に富む分離細胞群を得る手段と
して使用されているが、ターゲット細胞の実質的収率は
概して低く、12〜25%と言われている。そして、比較的
純度の高いT細胞が得られるが、分離前の細胞浮遊液中
のT細胞サブセットの分布が通過後変わってしまうとい
う欠点を有している。この方法では、ナイロンウールを
秤量して用いるが、製造ロットの違いや、ウールのほぐ
し方やカラムへの詰め方、洗浄の仕方によって分離能や
分離パターンが変動する。
このように、細胞の吸着性を利用する細胞分離技術
は、現在、実用の緒についたばかりであり、分離方法の
改良や分離材の改良あるいは新素材の開発によって、一
段と高能率、高速度、高精度にすることが強く期待さ
れ、広くバイオテクノロジーの分野や免疫診断学、免疫
治療学など、重要な医学分野において今後益々その改良
発達が要望されている。
「発明の目的」 本発明の目的は、ウイルスあるいは細胞分離のための
事前処理、事前操作及び分離操作そのものを簡略化し、
迅速で低コストで分離を行うことができ、分離能率及び
分離性能が著しく良好で、分離パターンを制御しうる分
離器を提供することにある。
本発明の他の目的は、再現性の高い分離を行いうるウ
イルス及び細胞の分離器を提供することにある。
「発明の構成」 本発明の分離器は、平均孔径10〜1000μmの連続気孔
を有するポリビニルアセタール樹脂から成る多孔質材料
上に平均粒径10〜2000μmのリン酸カルシウム系多孔質
顆粒が積層されていることを特徴とする。
なお、以下においては、本発明の説明を簡潔にするた
め、細胞分離について記載するが、同じ分離器を用いて
細胞分離と全く同様にウイルス分離を行うことができる
ものである。
本発明の分離器には、上記のようにポリビニルアセタ
ール樹脂から成る多孔質材料上にリン酸カルシウム系多
孔質顆粒が積層されている。本発明に使用することがで
きるポリビニルアセタール樹脂は、下記の式によりポリ
ビニルアルコールの水酸基(一部又は全部)をアルデヒ
ドでアセタール化して得られる樹脂である: 〔式中Rはアルキル基を表す。〕 本発明に使用しうるポリビニルアセタール樹脂の具体
例としては、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブ
チラール樹脂などが挙げられる。このようなポリビニル
アセタール樹脂は、公知の方法で製造することができ、
例えばポリ酢酸ビニルを加水分解すると同時にアセター
ル化するか又はポリ酢酸ビニルを加水分解してポリビニ
ルアルコールを一旦分離してからアセタール化すること
によって得られる。いずれの方法においても、加水分解
はほぼ完全に行い、ポリビニルアルコールの水酸基の50
%以上がアセタール化されたポリビニルアセタール樹脂
として用いるのが好ましい。このアセタール化率が50%
未満であると、培養液中などで樹脂自体の形状を保持す
ることが困難となり、また、吸着性も低下するので、ひ
いては分離能が低下することになる。なお、ポリビニル
アセタール樹脂の製造原料として用いるポリ酢酸ビニル
は、重合度200〜2000のものであることが好ましい。
本発明に用いるポリビニルアセタール樹脂は、平均孔
径10〜1000μmの連続気孔を有するものである。平均孔
径が10μm未満であると、対象細胞の大きさから流れが
悪く、詰まり易くなり、また、平均孔径が1000μmを超
えると、吸着表面積の低下に起因して分離能が低下する
という問題が生じる。このような連続気孔を有する樹脂
は、発泡剤の存在で重合を行うなど、自体公知の方法で
製造することができる。
本発明においては、ポリビニルアセタール樹脂から成
る多孔質材料は、これ自体、細胞分離作用を有するが、
同時に、この上に積層される細胞分離剤であるリン酸カ
ルシウム系顆粒の分散を防止するフィルターとしての作
用を有する。したがって、その形状はスポンジ状構造の
シートであるのが好ましい。繊維状や球状集合体などの
形では、常時均一な孔径を維持することは困難であり、
再現性に問題が生じる。一方、シート状の場合には、例
えばカラムに充填する際に、打ち抜き等の方法でカラム
の内径に相当する適切な直径の円板の形に作製し、これ
をカラムに充填すればよい。
本発明の分離器には、上記のようなポリビニルアセタ
ール樹脂から成る多孔質材料上にリン酸カルシウム系顆
粒が積層される。本発明において使用しうるリン酸カル
シウム系顆粒は、平均粒径10〜2000μmの顆粒であるの
が好ましい。細胞の分離用としては、100μm以上あれ
ば顆粒の間隔を細胞が通過できる。しかし、2000μmを
超えると、間隔が大きくなりすぎ、細胞を吸着できなく
なる。また、ウイルスの分離用としては1μm以上の粒
径であれば良いが、実用上は10μm以上の粒径であるこ
とが好ましい。
本発明に用いるリン酸カルシウム系多孔質顆粒は、公
知の方法で湿式合成したリン酸カルシウム系化合物の結
晶粒子を原料として様々な方法で製造することができ
る。例えば、この原料粒子を懸濁したスラリーを直接噴
霧乾燥などにより二次粒子に造粒するか、あるいはこの
スラリーに粘度調整剤、熱分解性有機化合物粒子又は繊
維等の添加物を加えて噴霧乾燥などにより二次粒子に造
粒する。この二次粒子を再びスラリー状に懸濁して湿式
成形するか又は加圧による乾式成形等によりブロック体
に成形する。その際、焼成により熱分解して1〜50μm
の気孔を形成するための有機化合物を添加してもよい。
無添加でも、焼成温度など、他の条件を調節することに
より気孔径を制御することもできる。得られたブロック
体を500℃〜1300℃の温度範囲で焼成する。500℃未満で
は、有機化合物の熱分解やブロック体の焼結が充分に行
われない。また、焼成を1300℃を超える高温で行うと、
焼結体が緻密化しすぎたり、リン酸カルシウムが分解を
起こすおそれがある。
このように焼成したブロック体を粉砕後、分級して必
要な粒径の顆粒を得ることができる。
細胞分離剤の細胞に対する吸着分離性能を向上させる
には、その吸着表面積を大きくするか、保水性を高めて
細胞浮遊液の滞留時間を長くする必要がある。そのた
め、本発明においては、多孔質のリン酸カルシウム系顆
粒を用いる。この場合、細胞浮遊液の浸透性などを考慮
すると、気孔径は0.01μm〜50μmであることが必要で
ある。気孔径が0.01μm未満では、細胞浮遊液の浸透が
困難であり、50μmを超えると、表面積が少なくなり、
分離能が低下する。また、ウイルスの大きさが20〜300n
mであるので、顆粒の気孔径が0.02μm以上あれば、ウ
イルスが気孔を通過できるが、気孔がウイルスよりあま
り大きすぎても吸着の機会を減少するだけで、無意味と
なるとめ、気孔径は0.5μm以下であればよい。すなわ
ち、ウイルスの吸着分離用には、顆粒の気孔径は0.02〜
0.5μmであるのが好ましい。さらに、本発明者らの研
究によれば、分離剤の気孔形態によって細胞の吸着能が
変わり、殊に、0.02〜0.5μmの微細気孔と1〜50μm
の小気孔の2種類の気孔構造を有する顆粒は、著しく高
い分離性能を有する。
また、気孔率は10〜75%であるのが好ましく、10%未
満であると、充分な表面積及び保水性が得られず、75%
を超えると、顆粒として使用に耐える強度が得られなく
なる。
上記のような顆粒の0.01〜0.5μmの微細気孔は、二
次粒子造粒用の原料スラリー中の結晶粒子の大きさ、ス
ラリーの粘度、添加物などを適切に調節することによっ
て調整することができる。また、1〜50μmの小気孔
は、前記のように二次粒子からブロック体成形時に成形
方法や添加物を適切に選択することによって調整するこ
とができる。
本発明の吸着分離剤に用いるリン酸カルシウムとして
は、Ca/P比が1.4〜1.8のものであれば各種のものを使用
することができるが、焼結性や顆粒の強度を考慮する
と、1.5〜1.67であることが好ましい。さらに具体的に
は、ハイドロキシアパタイト、フッ素アパタイト等の各
種のアパタイト、α−及びβ−リン酸三カルシウム、リ
ン酸四カルシウム並びにこれらの2種以上の混合物を使
用することができる。
本発明においては、上記のようなリン酸カルシウム系
多孔質顆粒の表面に、例えば生体由来のヒアルロン酸、
コンドロイチン硫酸、キチン誘導体、フィブロネクチ
ン、オステオネクチンなどの多糖類、ムコ多糖類及び蛋
白質並びにそれらの誘導体のうちの1種以上を部分吸着
させ、顆粒表面の物理化学的性質あるいは免疫学的性質
を変調して対象細胞群のそれぞれに対する吸着活性を巧
妙に変化させることもできる。これによって、カラムの
分離特性を効果的に変化させ、溶出パターンの制御を行
うことができる。さらに、細胞のサブセットの各々に対
する吸着効果を変調させて、特定のサブセットを選択分
離することも可能である。
本発明の分離器においては、リン酸カルシウム系多孔
質顆粒の上下をポリビニルアセタール樹脂多孔質材料で
挟んだサンドイッチ構造に分離剤が積層されていてもよ
い。
細胞分離器としては、細胞浮遊液の出入口を有する容
器であれば、任意の形状のものを使用することができ、
特に、カラムが好適である。
本発明による細胞分離器を使用して細胞分離を実施す
る場合には、予め洗浄液で洗浄した分離器に細胞浮遊液
を注入し、この浮遊液が充分に分離剤に浸透したら、洗
浄液を流して未吸着性の細胞などを洗い流し、回収す
る。
分離操作に使用する洗浄液あるいは浮遊液としては、
例えば生理食塩水、ハンクス倍値(HBSS)、血清培地
(例えばRPMI−1640)、無血清培地などを用いることが
できる。また、分離操作は、浮遊液に含まれる細胞に障
害を与えないように室温〜約37℃の温度範囲で行うのが
好ましい。
本発明の分離器を用いて分離される細胞は、生存率や
性質において分離操作前と実質的に同一であり、例えば
リンパ球から分離されたT細胞は、抗体産生調節機能な
どにおいても分離操作前と変化が認められない。
このように、本発明の細胞分離器によれば、細胞を免
疫的に刺激することなく、従来法に比べて極めて安定に
かつインキュベーションなどの複雑な操作なしで分離し
て、高い分離能を達成することができる。また、インキ
ュベーションなどの複雑な操作を必要としないため、分
離操作は著しく簡略化され、分離の所要時間は従来法の
数分の一あるいは十数分の一に短縮される。さらに、分
離器を滅菌(例えばエチレンオキシドガス滅菌など)し
て用いれば、実用上、完全滅菌条件下で市場に提供する
ことも極めて容易である。
「発明の実施例」 次に、実施例に基づいて本発明をさらに詳しく説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
第1図は、本発明の一実施態様を示す分離器の断面図
である。図示した分離器は、カラム1内にポリビニルア
セタール樹脂多孔質シート2とその間にリン酸カルシウ
ム系多孔質顆粒3が充填されている。細胞の分離にあた
って、カラム1の流入口4から細胞浮遊液を流入する
と、浮遊液中の吸着性細胞は、分離剤に吸着され、非吸
着性の細胞を含む流出液は流出口5から流出する。
以下の実施例では、第1図に示した分離器を用いて行
ったものである。
実施例1 内容積5mlのカラムに、平均孔径100μmでホルマール
化率80〜86%のポリビニルホルマール樹脂シートを直径
13mm、厚さ2mmになるように打ち抜いて充填し、その上
に700℃で焼成した粒径300〜600μmのハイドロキシア
パタイト(Ca/P=1.67)多孔質顆粒を1g充填し、さらに
その上に、上記と同じポリビニルホルマール樹脂シート
を直径13mm、厚さ2mmになるように打ち抜いて充填し、
細胞分離器とした。この細胞分離器の洗浄は、37℃に保
温したハンクス培地を流すことによって行った。次に、
予め比重遠心法により正常人末梢血から分離した単核細
胞1×107個をハンクス培地0.2mlに浮遊させ、その浮遊
液をカラムに載せ、分離剤に浸透させた後、ハンクス培
地3mlを用いて吸着されていない細胞を流出させた。
なお、使用したハイドロキシアパタイト多孔質顆粒
は、平均孔径0.1μmの微細気孔と平均孔径6μmの小
気孔の2種類の気孔構造を有するものである。
この細胞分離器の分離能の評価を、次の三方法で行っ
た。その一つは、カラム通過前と通過後の細胞数をヘモ
サイトメーターを用いて数え、細胞の回収率を調べる方
法である。この結果を第1表に示す。
細胞分離状態を調べる第二の方法として、カラム通過
後の細胞を蛍光標識抗体、抗Leu4、抗Leu12でラベル
し、FACS(fluorescense activated cell sorter)を用
いてT細胞及びB細胞の陽性率を測定した。結果を第2
表に示す。
第三の方法は、T細胞のサブセットの分布を測定する
方法であり、カラム通過後の細胞を蛍光標識抗体、抗Le
u2a、抗Leu3aでラベルし、FACS(fluorescense activat
ed cell sorter)を用いてT細胞のサプレッサー及びヘ
ルパーの陽性率を測定した。結果を第3表に示す。
さらに、カラム準備から分離終了までの所要時間を第
4表に示す。
実施例2 内容積5mlのカラムに、平均孔径100μmでホルマール
化率80〜86%のポリビニルホルマール樹脂シートを直径
13mm、厚さ2mmになるように打ち抜いて充填し、その上
に900℃で焼成した粒径300〜600μmのハイドロキシア
パタイト(Ca/P=1.67)多孔質顆粒を1g充填し、さらに
その上に、上記と同じポリビニルホルマール樹脂シート
を直径13mm、厚さ2mmになるように打ち抜いて充填し、
細胞分離器とした。この細胞分離器の洗浄は、37℃に保
温したハンクス培地を流すことによって行った。次に、
予め比重遠心法により正常末梢血から分離した単核細胞
1×107個をハンクス培地0.2mlに浮遊させ、その浮遊液
をカラムに載せ、分離剤に浸透させた後、ハンクス培地
3mlを用いて吸着されていない細胞を流出させた。
なお、使用したハイドロキシアパタイト多孔質顆粒
は、平均孔径0.05μmの微細気孔と平均孔径4μmの小
気孔の2種類の気孔構造を有するものである。
分離能の評価を実施例1と同様にして行った。分離能
の評価結果を第1表、第2表及び第3表に示し、分離所
要時間を第4表に示す。
実施例3 内容積5mlのカラムに、平均孔径100μmでホルマール
化率80〜86%のポリビニルホルマール樹脂シートを直径
13mm、厚さ2mmになるように打ち抜いて充填し、その上
に1200℃で焼成した粒径300〜600μmのハイドロキシア
パタイト(Ca/P=1.67)多孔質顆粒を1g充填し、さらに
その上に、上記と同じポリビニルホルマール樹脂シート
を直径13mm、厚さ2mmになるように打ち抜いて充填し、
細胞分離器とした。この細胞分離器の洗浄は、37℃に保
温したハンクス培地を流すことによって行った。次に、
予め比重遠心法により正常人末梢血から分離した単核細
胞1×107個をハンクス培地0.2mlに浮遊させ、その浮遊
液をカラムに載せ、分離剤に浸透させた後、ハンクス培
地3mlを用いて吸着されていない細胞を流出させた。
なお、使用したハイドロキシアパタイト多孔質顆粒
は、平均孔径0.02μmの微細気孔と平均孔径2μmの小
気孔の2種類の気孔構造を有するものである。
分離能の評価を実施例1と同様にして行った。分離能
の評価結果を第1表、第2表及び第3表に示し、分離所
要時間を第4表に示す。
実施例4 内容積5mlのカラムに、平均孔径500μmでブチラール
化率80〜86%のポリビニルブチラール樹脂シートを直径
13mm、厚さ2mmになるように打ち抜いて充填し、その上
に1200℃で焼成した粒径300〜1200μmのハイドロキシ
アパタイト(Ca/P=1.67)多孔質顆粒を2g充填し、さら
にその上に、上記と同じポリビニルブチラール樹脂シー
トを直径13mm、厚さ2mmになるように打ち抜いて充填
し、細胞分離器とした。この細胞分離器の洗浄は、37℃
に保温したハンクス培地を流すことによって行った。次
に、予め比重遠心法により正常人末梢血から分離した単
核細胞1×107個をハンクス培地0.2mlに浮遊させ、その
浮遊液をカラムに載せ、分離剤に浸透させた後、ハンク
ス培地3mlを用いて吸着されていない細胞を流出させ
た。
なお、使用したハイドロキシアパタイト多孔質顆粒
は、平均孔径0.05μmの微細気孔と平均孔径20μmの小
気孔の2種類の気孔構造を有するものである。
分離能の評価を実施例1と同様にして行った。分離能
の評価結果を第1表、第2表及び第3表に示し、分離所
要時間を第4表に示す。
比較例1 ナイロンウールをよくほぐして多量の0.1NHCl中に一
夜浸漬しておき、翌日脱イオン水で数回もみ洗いし、そ
の後、60℃で3時間乾燥した。こうして前処理したナイ
ローンウール0.25gを内容積5mlのカラムに約3mlになる
ように充填し、細胞分離器とした。
細胞分離器の洗浄は、始め生理食塩水を流し、次に、
37℃に保温したハンクス培地を流すことによって行っ
た。次に、予め比重遠心法により正常人末梢血から分離
した単核細胞1×108個をハンクス培地2mlに浮遊させ、
その浮遊液をカラムに載せ、ナイロンウールに浸透させ
た後、37℃で1時間インキュベーションした。その後、
ハンクス培地1mlを用いて吸着されていない細胞を流出
させた。
分離能の評価を実施例1と同様に行い、結果を第1
表、第2表及び第3表に示し、分離所要時間を第4表に
示す。
これらの結果から明らかなとおり、本発明による分離
器を用いることにより、ナイロンウールを用いた場合よ
り著しく高い回収率と分離能が安定して達成され、分離
されたT細胞のサブセットの分布もカラムを通す前とほ
とんど変化していないことが判る。また、ナイロンウー
ルを用いた場合には、長時間の洗浄や1時間のインキュ
ベーションを必要とするのに、本発明の分離器を用いる
場合には、それらの操作は不要であるので、迅速な分離
操作を行うことができる。
さらに、下記の実施例及び比較例においては、インフ
ルエンザウイルスPR8を生理食塩水中に浮遊させて用い
た。また、力価の測定は、下記の方法で行った。
力価の測定方法 インフルエンザウイルスが赤血球に付着すると、この
赤血球同士が凝集を起こす。この反応を利用して、ウイ
ルス浮遊液を生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶
液)で2倍、4倍、8倍、16倍、…と2倍段階希釈した
液と、同量の0.4%ニワトリ赤血球浮遊液とを混合して
何倍希釈液まで凝集反応を起こすかによって原液(希釈
前の液)力価(titer)を評価する。
実施例5 内容積5mlのカラムに、平均孔径50μmで、ホルマー
ル化率80〜86%のポリビニルホルマール樹脂シートを直
径13mm、厚さ2mmになるように打ち抜いて充填し、その
上に1200℃で焼成した粒径100〜300μmのハイドロキシ
アパタイト(Ca/P=1.67)多孔質顆粒を1g充填し、さら
にその上に、上記と同じポリビニルホルマール樹脂シー
トを直径13mm、厚さ2mmになるように打ち抜いて充填
し、ウイルス吸着器とした。このウイルス吸着器にイン
フルエンザウイルスPR8の浮遊液を流し、ウイルス吸着
器通過後のウイルス浮遊液の力価を上記の方法で測定し
た。結果を第5表に示す。
なお、使用したハイドロキシアパタイト多孔質顆粒
は、平均孔径0.02μmの微細気孔と平均孔径2μmの小
気孔の2種類の気孔構造を有するものである。
実施例6 700℃で焼成し、粒径100〜200μm、平均微細気孔径
0.1μm、平均小気孔径6μm、Ca/P=1.67のハイドロ
キシアパタイト多孔質顆粒を使用した以外は、実施例5
と同様に操作し、ウイルス浮遊液のウイルス吸着器通過
後の力価を測定した。結果を第5表に示す。
実施例7 700℃で焼成し、粒径100〜300μm、平均微細気孔径
0.1μm、平均小気孔径10μm、Ca/P=1.5のリン酸カル
シウム多孔質顆粒を使用した以外は、実施例5と同様に
操作し、ウイルス浮遊液のウイルス吸着器通過後の力価
を測定した。結果を第5表に示す。
比較例2 内容積5mlのカラムに、ガラスウール0.03gを1mlにな
るように詰め、その上に実施例6と同じ顆粒を1g充填
し、ウイルス吸着器とした。このウイルス吸着器にイン
フルエンザウイルスPR8の浮遊液を流し、ウイルス吸着
器通過後のウイルス浮遊液の力価を上記の方法で測定し
た。結果を第5表に示す。
これらの結果から明らかなとおり、本発明の分離器を
用いれば、ウイルスを効率よく吸着分離することができ
る。実施例6と比較例2は、同じ顆粒を同じ量で使用し
ているのに、実施例6の方が良い結果を生じ、ウイルス
が良好に吸着されている。
上記の実施例には、T細胞の分離回収及びインフルエ
ンザウイルスの吸着分離について記載したが、本発明の
分離器を他の細胞あるいはウイルスの分離に用いても、
上記と同様に良好な結果が得られる。
「発明の効果」 以上のように、本発明による細胞分離器は、従来の分
離器に比べて極めて安定にかつ高い分離能を有し、しか
も細胞の分布状態を変えずに細胞を分離することができ
る。さらに、本発明の分離器を用いれば、インキュベー
ションなどの複雑な操作を必要としないので、分離操作
を極めて簡易化することができ、分離所要時間を著しく
短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施態様を示す細胞分離器の断面図
である。 符号の説明 1……カラム、2……ポリビニルアセタール樹脂多孔質
シート、3……リン酸カルシウム系多孔質顆粒、4……
流入口、5……流出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 7/00 G01N 30/48 C G01N 30/48 C12N 5/00 E

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均孔径10〜1000μmの連続気孔を有する
    ポリビニルアセタール樹脂から成る多孔質材料上に平均
    粒径10〜2000μmのリン酸カルシウム系多孔質顆粒が積
    層されていることを特徴とするウイルス及び細胞の分離
    器。
  2. 【請求項2】リン酸カルシウム系多孔質顆粒上にさらに
    平均孔径10〜1000μmの連続気孔を有するポリビニルア
    セタール樹脂から成る多孔質材料が積層されている請求
    項1記載のウイルス及び細胞の分離器。
  3. 【請求項3】リン酸カルシウム系多孔質顆粒が0.01〜50
    μmの平均孔径を有するものである請求項1又は2記載
    のウイルス及び細胞の分離器。
  4. 【請求項4】リン酸カルシウム系多孔質顆粒が平均孔径
    0.01〜0.5μmの微細気孔と平均孔径1〜50μmの小気
    孔の2種類の気孔構造を有するものである請求項1又は
    2記載のウイルス及び細胞の分離器。
  5. 【請求項5】リン酸カルシウム系多孔質顆粒のCa/P比が
    1.4〜1.8である請求項1又は2記載のウイルス及び細胞
    の分離器。
  6. 【請求項6】ポリビニルアセタール樹脂が、アセタール
    化率50〜100%のものである請求項1又は2記載のウイ
    ルス及び細胞の分離器。
  7. 【請求項7】ポリビニルアセタール樹脂が多孔質スポン
    ジ構造を有する請求項1又は2記載のウイルス及び細胞
    の分離器。
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