JP6657732B2 - 金属端子用接着性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、金属端子用接着性フィルム、及び当該金属端子用接着性フィルムを用いた電池に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において電極や電解質等の電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されていたが、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、近年、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る包装材料として、基材層/接着層/金属箔層/シーラント層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなフィルム状の包装材料を用いる場合、包装材料の最内層に位置するシーラント層同士を対向させた状態で、包装材料の周縁部をヒートシールにて熱融着させることにより、包装材料によって電池素子が封止される。包装材料のヒートシール部分からは、金属端子が突出しており、包装材料によって封止された電池素子は、電池素子の電極に電気的に接続された金属端子によって外部と電気的に接続される。すなわち、包装材料がヒートシールされた部分のうち、金属端子が存在する部分は、金属端子がシーラント層に挟持された状態でヒートシールされている。金属端子とシーラント層とは異種材料により形成されているため、金属端子とシーラント層との界面において、密着性が低下しやすい。
このため、金属端子とシーラント層との間には、これらの接着性を高めることなどを目的として、接着性フィルムが配されることがある。
しかしながら、前述のような金属端子は、通常、厚みが少なくとも50μm程度、幅が少なくとも2.5mm程度あるため、ヒートシールによって、金属端子の両側縁部と接着性フィルムとの間に隙間(空隙)が形成されないようにして、電池素子を包装材料で密封するためには、シーラント層が溶融する高温・高圧でのヒートシールが必要となる。この高温・高圧でのヒートシールによって、包装材料のシーラント層の厚みは薄くなる。さらに、接着性フィルムの厚みも薄くなるため、包装材料の金属箔層と金属端子とが接触して短絡を生じる可能性がある。
また、一般に、金属端子の両側端部には小幅に裁断するとき形成される数μm〜数十μmの突出部分(所謂バリ)が存在しているため、特に、この突出部分と包装材料の金属箔層とが接触して、短絡が生じやすい。したがって、包装材料と金属端子との間に配される接着性フィルムには、高い密着性だけでなく、ヒートシールによっても厚みが薄くなりにくく、包装材料と金属端子との短絡を防止する優れた絶縁性も求められる。
以上のような密着性と絶縁性を高めた接着性フィルムとして、例えば、特許文献2には、包装材料の内面側と相溶性を有する最外層と、金属端子と密着性を有する最内層と、最外層および最内層間に設けられ、かつ最内層よりも融点の高い中間絶縁層の3層構造を有し、5%伸ばした際の引張強さが15N/mm2以下に調整された接着性フィルムが提案されている。
しかしながら、近年、車載用電池、蓄電池などの大型電池にもフィルム状の包装材料が使用されており、車載用電池、蓄電池などの大型電池に使用される金属端子はサイズが大きいため、包装材料と金属端子との密着性の低下や、包装材料の金属箔層と金属端子との絶縁性が低下しやすいという問題がある。さらに、金属端子のサイズが大きいと、金属端子と接着性フィルムとの間に空隙が生じやすく、金属端子部における包装材料のシール性が低下しやすいという問題もある。従って、特許文献2に開示された接着性フィルムも、依然として満足できる性能を有するものではない。
さらに、このようなフィルム状の包装材料においては、通常、金属箔層によって高い水蒸気バリア性が担保されているが、包装材料がヒートシールされた周縁部においては、水蒸気が電池内部に透過しやすく、接着性フィルムには、高い水蒸気バリア性も求められる。
特開2001−202927号公報 特開2010−245000号公報
このような状況下、本発明は、包装材料及び金属端子との密着性が高く、包装材料の金属箔層と金属端子との短絡を効果的に抑制することができ、金属端子部における包装材料のシール性も向上させることができ、さらに水蒸気バリア性にも優れた金属端子用接着性フィルムを提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該金属端子用接着性フィルムを用いた電池を提供することも目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、繊維質基材と、繊維質基材の両面側の表面に、それぞれ第1ポリオレフィン樹脂層と第2ポリオレフィン層とを備えており、第1ポリオレフィン層及び第2ポリオレフィン層のうち少なくとも一方は、酸変性ポリオレフィンにより形成されており、酸変性ポリオレフィンの230℃におけるメルトフローレート(MFR)が5〜15g/10分であり、繊維質基材の目付量が10〜30g/m2であり、繊維質基材の密度が0.25g/cm3以上である金属端子用接着性フィルムは、前述の密着性、絶縁性、シール性、及び水蒸気バリア性に優れていることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 電池素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記電池素子を封止する包装材料との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、
前記金属端子用接着性フィルムは、繊維質基材と、前記繊維質基材の両面側の表面に、それぞれ第1ポリオレフィン樹脂層と第2ポリオレフィン層とを備えており、
前記第1ポリオレフィン層及び前記第2ポリオレフィン層のうち少なくとも一方は、酸変性ポリオレフィンにより形成されており、
前記酸変性ポリオレフィンは、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が5〜15g/10分であり、
前記繊維質基材の目付量が10〜30g/m2であり、
前記繊維質基材の密度が0.25g/cm3以上である、金属端子用接着性フィルム。
項2. 前記繊維質基材が、不織布、メッシュ、積層布または織物により形成されている、項1に記載の金属端子用接着性フィルム。
項3. 前記繊維質基材を構成する繊維の融点が200℃以上である、項1または2に記載の金属端子用接着性フィルム。
項4. 前記酸変性ポリオレフィンが、不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されたポリオレフィンである、項1〜3のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルム。
項5. 前記繊維質基材の厚みが、100μm以下である、項1〜4のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルム。
項6. 厚みが50〜200μmである、項1〜5のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルム。
項7. 前記第1ポリオレフィン樹脂層及び前記第2ポリオレフィン層の厚みが、それぞれ、20〜80μmである、項1〜6のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルム。
項8. 前記包装材料が、少なくとも、基材層、金属箔層、及びシーラント層をこの順に有する積層体であり、前記シーラント層と前記金属端子との間に前記金属端子用接着性フィルムが介在される、項1〜7のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルム。
項9. 少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた電池素子と、当該電池素子を封止する包装材料と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記包装材料の外側に突出した金属端子とを備える電池であって、
前記金属端子と前記包装材料との間に、項1〜8のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルムが介在されてなる、電池。
本発明によれば、包装材料及び金属端子との密着性が高く、包装材料の金属箔層と金属端子との短絡を効果的に抑制することができ、金属端子部における包装材料のシール性も向上させることができ、さらに水蒸気バリア性にも優れた金属端子用接着性フィルムを提供することができる。また、本発明の電池は、少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた電池素子と、当該電池素子を封止する包装材料と、正極及び負極のそれぞれに電気的に接続され、包装材料の外側に突出した金属端子とを備える電池であって、金属端子と包装材料との間に、本発明の金属端子用接着性フィルムが介在されてなる。このため、本発明の電池においては、金属端子用接着性フィルムの各層間の密着性が高く、包装材料の金属箔層と金属端子との短絡が効果的に抑制されており、金属端子部における包装材料のシール性、水蒸気バリア性にも優れている。
本発明の電池の略図的平面図である。 図1の線A−A’における略図的断面図である。 図1の線B−B’における略図的断面図である。 本発明の金属端子用接着性フィルムの略図的断面図である。 本発明の電池に用いられる包装材料の略図的断面図である。 実施例及び比較例において、シール性評価を説明するための模式図である。 実施例及び比較例において、シール性評価を説明するための模式図である。
本発明の金属端子用接着性フィルムは、電池素子の電極に電気的に接続された金属端子と、電池素子を封止する包装材料との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、金属端子用接着性フィルムは、繊維質基材と、繊維質基材の両面側の表面に、それぞれ第1ポリオレフィン樹脂層と第2ポリオレフィン層とを備えており、第1ポリオレフィン層及び第2ポリオレフィン層のうち少なくとも一方は、酸変性ポリオレフィンにより形成されており、酸変性ポリオレフィンは、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が5〜15g/10分であり、繊維質基材の目付量が10〜30g/m2であり、密度が0.25g/cm3以上であることを特徴とする。また、本発明の電池は、少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた電池素子と、当該電池素子を封止する包装材料と、正極及び負極のそれぞれに電気的に接続され、包装材料の外側に突出した金属端子とを備える電池であって、金属端子と包装材料との間に、本発明の金属端子用接着性フィルムが介在されてなることを特徴とする。以下、本発明の金属端子用接着性フィルム及びこれを用いた本発明の電池について詳述する。
1.金属端子用接着性フィルム
本発明の金属端子用接着性フィルムは、電池素子の電極に電気的に接続された金属端子と、電池素子を封止する包装材料との間に介在されるものである。具体的には、例えば図1〜3に示されるように、本発明の金属端子用接着性フィルム1は、電池素子4の電極に電気的に接続されている金属端子2と、電池素子4を封止する包装材料3との間に介在されている。また、金属端子2は、包装材料3の外側に突出しており、ヒートシールされた包装材料3の周縁部3aにおいて、金属端子用接着性フィルム1を介して、包装材料3に挟持されている。なお、本発明において、包装材料をヒートシールする際の熱としては、通常160〜190℃程度の範囲、圧力としては、通常1.0〜2.0MPa程度の範囲である。
本発明の金属端子用接着性フィルム1は、金属端子2と包装材料3との密着性を高めるために設けられている。金属端子2と包装材料3との密着性が高められることにより、電池素子4の密封性が向上する。上述のとおり、電池素子4をヒートシールする際には、電池素子4の電極に電気的に接続された金属端子2が包装材料3の外側に突出するようにして、電池素子が封止される。このとき、金属により形成された金属端子2と、包装材料3の最内層に位置するシーラント層34(ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂により形成された層)とは異種材料により形成されているため、このような接着性フィルムを用いない場合には、金属端子2とシーラント層34との界面において、電池素子の密封性が低くなりやすい。
本発明の金属端子用接着性フィルム1は、繊維質基材と、繊維質基材の両面側の表面に、それぞれ第1ポリオレフィン樹脂層と第2ポリオレフィン層とを備えており、第1ポリオレフィン層及び第2ポリオレフィン層のうち少なくとも一方が、酸変性ポリオレフィンにより形成されている。さらに、当該酸変性ポリオレフィンの230℃におけるMFR、繊維質基材の目付量(g/m2)及び密度(g/cm3)が上記特定の値を有することを特徴とする。本発明の金属端子用接着性フィルム1においては、繊維質基材11の両面側の表面に、それぞれ第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bが位置している。電池の金属端子2と包装材料3との間に、本発明の金属端子用接着性フィルム1が配置されると、金属により構成された金属端子2の表面と、包装材料3のシーラント層34(ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂により形成された層)とが、金属端子用接着性フィルム1を介して接着される。
ここで、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bのうち少なくとも一方は、酸変性ポリオレフィンにより形成されている。すなわち、本発明においては、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bのうち、一方が酸変性ポリオレフィンにより形成されており、他方がポリオレフィンにより形成されている場合と、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bの両方が酸変性ポリオレフィンにより形成されている場合とがある。酸変性ポリオレフィンは、金属及びポリオレフィンなどの熱融着性樹脂との親和性が高い。また、ポリオレフィンは、ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂との親和性が高い。従って、本発明の金属端子用接着性フィルム1においては、酸変性ポリオレフィンにより形成された層を金属端子2側に配置することにより、金属端子用接着性フィルム1と金属端子2及びシーラント層34との界面において優れた密着性を発揮することができる。
さらに、本発明においては、前述の酸変性ポリオレフィンの230℃におけるMFR、繊維質基材の目付量(g/m2)及び密度(g/cm3)が上記特定の値を有するため、繊維質基材11を構成する繊維間の空隙が第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bによって好適に埋められている。このため、当該空隙に電解液が浸透することを好適に抑制することができ、金属端子2と、包装材料3の金属箔層33との短絡を効果的に抑制することができる。また、繊維質基材11を構成する繊維間の空隙が第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bによって好適に埋められているため、絶縁性だけでなく、密着性、シール性、及び水蒸気バリア性にも優れている。
金属端子用接着性フィルム1は、繊維質基材11と、繊維質基材11の両面側の表面に位置する第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bを備えていればよく、例えば、図4に示されるように、第1ポリオレフィン樹脂層12a/繊維質基材11/第2ポリオレフィン樹脂層12bが順に積層された積層構造を有していてもよい。
[繊維質基材11]
金属端子用接着性フィルム1において、繊維質基材11は、金属端子用接着性フィルム1の支持体として機能する層である。繊維質基材11は、繊維により構成されており、繊維間の空隙が、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bによって埋められる。すなわち、繊維質基材11の両面に第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bを積層する際に、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bを構成する樹脂の溶融物を繊維質基材11の両面に積層することにより、当該空隙が埋められて、繊維質基材11と第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bとの密着性が高められている。
繊維質基材11としては、好ましくは不織布、メッシュ、積層布、織物等が挙げられる。繊維質基材11は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
繊維質基材11を形成する繊維としては、特に制限されず、セルロース、羊毛、絹、綿、麻などの天然繊維や、ガラス繊維、炭素繊維、岩石繊維、さらには、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリアリレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂などの耐熱性合成樹脂を繊維化した化学繊維などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルが好ましい。
絶縁性を高める観点から、繊維質基材を構成する繊維の融点としては、好ましくは200℃以上、より好ましくは220〜300℃程度が挙げられる。
繊維質基材11は、繊維径が5〜30μmの範囲内にある繊維により形成されていることが好ましい。繊維質基材11は、単一の繊維径を有する繊維により形成されていてもよいし、複数種類の繊維径を有する繊維の混合物であってもよい。
本発明において、繊維質基材11の目付量は、10〜30g/m2である。本発明においては、繊維質基材11の目付量が10〜30g/m2の範囲にあり、さらに、繊維質基材11の密度が0.25g/cm3以上であり、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bのうち少なくとも一方を形成する酸変性ポリオレフィンの230℃におけるMFRが特定の範囲にあることにより、前述の密着性、絶縁性、シール性、及び水蒸気バリア性に優れた金属端子用接着性フィルム1となる。密着性、絶縁性、シール性、及び水蒸気バリア性をより一層高める観点からは、繊維質基材11の目付量としては、好ましくは12〜25g/m2、より好ましくは15〜20g/m2が挙げられる。繊維質基材11の目付量が大きすぎると、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bを構成する樹脂が繊維質基材11に浸透しにくく、繊維質基材11と第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bとの密着性が低くなり、包装材料1の各層間の密着性が低下する。また、金属端子用接着性フィルム1の絶縁性、水蒸気バリア性も低下する。一方、繊維質基材11の目付量が小さすぎると、包装材料のヒートシール時に繊維質基材11が潰れやすく、金属端子用接着性フィルム1の絶縁性が低下する。
また、本発明において、繊維質基材11の密度(g/cm3)が0.25g/cm3以上である。密着性、絶縁性、シール性、及び水蒸気バリア性をより一層高める観点からは、当該密度(g/cm3)は、好ましくは0.3〜0.7g/cm3程度、より好ましくは0.4〜0.6g/cm3程度が挙げられる。
繊維質基材11の厚みとしては、特に制限されないが、前述の密着性、絶縁性、シール性、及び水蒸気バリア性をより一層高めつつ、厚みの増大を抑制する観点からは、好ましくは100μm以下、より好ましくは30〜80μm程度が挙げられる。
[第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12b]
金属端子用接着性フィルム1は、繊維質基材11の両面側の表面に、それぞれ第1ポリオレフィン樹脂層12aと第2ポリオレフィン層12bを備えており、第1ポリオレフィン層12a及び第2ポリオレフィン層12bのうち少なくとも一方が、酸変性ポリオレフィンにより形成されている。
前述の通り、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bのうち少なくとも一方を形成する酸変性ポリオレフィンは、金属及びポリオレフィンなどの熱融着性樹脂との親和性が高い。また、ポリオレフィンは、ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂との親和性が高い。このため、酸変性ポリオレフィンにより形成された層を金属端子2側に配置することにより、これらのポリオレフィン樹脂層と金属端子2との界面、及びこれらのポリオレフィン樹脂層とシーラント層34との界面の密着性が高められる。
さらに、本発明においては、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bを構成する樹脂を繊維質基材11上に溶融状態で積層する際に、溶融した第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bが、繊維質基材11の空隙に好適に含浸されるため、繊維質基材11と第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bとの密着性が高く、包装材料1の各層間の密着性が高められている。特に、本発明においては、繊維質基材11の目付量が10〜30g/m2の範囲にあり、繊維質基材11の密度が0.25g/cm3以上であり、さらに、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bのうち少なくとも一方を形成する酸変性ポリオレフィンの230℃におけるMFRが5〜15g/10分という特定の範囲に設定されているため、溶融した酸変性ポリオレフィンが繊維質基材11内に好適に浸透し、繊維質基材11の両面側から一体化するため、金属端子用接着性フィルム1として強度の高いものとなる。さらに、繊維質基材11の空隙が好適に埋められているため、当該空隙に電解液が浸透し難く、金属端子2と、包装材料3の金属箔層33との短絡を効果的に抑制することができる。そして、前述の通り、絶縁性だけでなく、密着性、シール性、及び水蒸気バリア性にも優れている。
金属端子用接着性フィルム1の密着性、絶縁性、シール性、及び水蒸気バリア性をより一層高める観点からは、酸変性ポリオレフィンの230℃におけるメルトフローレートとしては、好ましくは6〜13g/10分程度、より好ましくは7〜11g/10分程度が挙げられる。本発明において、酸変性ポリオレフィンの230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し、荷重2160gにてメルトフローレート測定器により測定した値である。酸変性ポリオレフィンの230℃におけるMFRは、酸変性ポリオレフィンの分子量、組成などを調整することにより上記の範囲に設定することができる。また、このような酸変性ポリオレフィンの市販品を入手することもできる。
酸変性ポリオレフィンとしては、酸変性されたポリオレフィンであれば特に制限されないが、好ましくは不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されたポリオレフィンが挙げられる。
酸変性されるポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー;等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
また、酸変性されるポリオレフィンは、環状ポリオレフィンであってもよい。例えば、カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。
酸変性される環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。
酸変性に使用されるカルボン酸またはその無水物としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bのいずれ一方が、ポリオレフィンにより形成されている場合、当該ポリオレフィンとしては、前述の酸変性されるポリオレフィンまたは酸変性される環状ポリオレフィンとして例示したものと同じものが例示できる。
第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bは、それぞれ、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bは、それぞれ、1層のみで形成されていてもよく、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上形成されていてもよい。
さらに、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bは、それぞれ、必要に応じて充填剤を含んでいてもよい。第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bが充填剤を含むことにより、充填剤がスペーサー(Spacer)として機能するために、金属端子2と包装材料3の金属箔層33との間の短絡をより一層効果的に抑制することが可能となる。充填剤の粒径としては、0.1〜35μm程度、好ましくは5.0〜30μm程度、さらに好ましくは10〜25μm程度の範囲が挙げられる。また、充填剤の含有量としては、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bを形成する樹脂成分100質量部に対して、それぞれ、5〜30質量部程度、より好ましくは10〜20質量部程度が挙げられる。
充填剤としては、無機系、有機系のいずれも用いることができる。無機系充填剤としては、例えば、炭素(カーボン、グラファイト)、シリカ、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、シリコンカーバイド、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミ酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、有機系充填剤としては、例えば、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、ポリメタクリル酸メチル架橋物、ポリエチレン架橋物等が挙げられる。形状の安定性、剛性、内容物耐性の点から、酸化アルミニウム、シリカ、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物が好ましく、特にこの中でも球状の酸化アルミニウム、シリカがより好ましい。ポリオレフィン樹脂層12を形成する樹脂成分への充填剤の混合方法としては、予めバンバリーミキサー等で両者をメルトブレンドし、マスターバッチ化したものを所定の混合比にする方法、樹脂成分との直接混合方法などを採用することができる。
また、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bは、それぞれ、必要に応じて顔料を含んでいてもよい。顔料としては、無機系の各種顔料を用いることができる。顔料の具体例としては、上記充填剤で例示した炭素(カーボン、グラファイト)が好ましく例示できる。炭素(カーボン、グラファイト)は、一般に電池の内部に使用されている材料であり、電解液に対する溶出の虞がない。また、着色効果が大きく接着性を阻害しない程度の添加量で充分な着色効果を得られると共に、熱で溶融することがなく、添加した樹脂の見かけの溶融粘度を高くすることができる。さらに、熱接着時(シール時)に加圧部が薄肉となることを防止して、シール強度の低下を防ぐことができる。
第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bに顔料を添加する場合、その添加量としては、たとえば、粒径が約0.03μmのカーボンブラックを使用した場合、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bを形成する樹脂成分100質量部に対して、それぞれ、0.05〜0.3質量部程度、好ましく0.1〜0.2質量部程度が挙げられる。第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bに顔料を添加することにより、金属端子用接着性フィルム1の有無をセンサーで検知可能なもの、または目視で検査可能なものとすることができる。なお、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bに充填剤と顔料とを添加する場合、同一の第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bに充填剤と顔料を添加してもよいが、金属端子用接着性フィルム1の熱融着性を阻害しない観点からは、充填剤及び顔料は、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bに分けて添加することが好ましい。
第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bの厚みとしては、金属端子用接着性フィルム1の層構成に応じて適宜選択することができ、ヒートシール後の樹脂の埋まり、ピンホールを考慮し、それぞれ、好ましくは20〜80μm程度、より好ましくは30〜50μm程度が挙げられる。なお、第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bの厚みは、それぞれ、繊維質基材11中に含浸された部分も含めた厚みを意味する。
本発明の金属端子用接着性フィルム1は、基材11の両表面上に第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bを積層することにより製造することができる。繊維質基材11と第1及び第2ポリオレフィン樹脂層12a,12bとの積層は、溶融押出法により行うことができる。
金属端子用接着性フィルム1の厚み(総厚み)としては、特に制限されないが、好ましくは50〜200μm程度、より好ましくは70〜160μm程度が挙げられる。
金属端子用接着性フィルム1を金属端子2と包装材料3との間に介在させる方法としては、特に制限されず、例えば、図1〜3に示すように、金属端子2が包装材料3によって挟持される部分において、金属端子2に金属端子用接着性フィルム1を巻き付けてもよい。また、図示しないが、金属端子2が包装材料3によって挟持される部分において、金属端子用接着性フィルム1が2つの金属端子2を横断するようにして、金属端子2の両面側に配置してもよい。
[金属端子2]
本発明の金属端子用接着性フィルム1は、金属端子2と包装材料3との間に介在させて使用される。金属端子2(タブ)は、電池素子4の電極(正極または負極)に電気的に接続される部材であり、金属材料により構成されている。金属端子2を構成する金属材料としては、特に制限されず、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅などが挙げられる。例えば、リチウムイオン電池の正極に接続される金属端子2は、通常、アルミニウムなどにより構成されている。また、リチウムイオン電池の負極に接続される金属端子は、通常、銅、ニッケルなどにより構成されている。
金属端子2の表面は、耐電解液性を高める観点から、化成処理が施されていることが好ましい。例えば、金属端子2がアルミニウムにより形成されている場合、化成処理の具体例としては、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物などの耐酸性被膜を形成する公知の方法が挙げられる。耐酸性被膜を形成する方法の中でも、フェノール樹脂、フッ化クロム(3)化合物、リン酸の3成分から構成されたものを用いるリン酸クロメート処理が好適である。
金属端子2の大きさは、使用される電池の大きさなどに応じて適宜設定すればよい。金属端子2の厚みとしては、好ましくは50〜1000μm程度、より好ましくは70〜800μm程度が挙げられる。また、金属端子2の長さとしては、好ましくは1〜200mm程度、より好ましくは3〜150mm程度が挙げられる。また、金属端子2の幅としては、好ましくは1〜200mm程度、より好ましくは3〜150mm程度が挙げられる。
[包装材料3]
包装材料3としては、少なくとも、基材層31、金属箔層33、及びシーラント層34をこの順に有する積層体からなる積層構造を有するものが挙げられる。図5に、包装材料3の断面構造の一例として、基材層31、接着層32、金属箔層33、及びシーラント層34がこの順に積層されている態様について示す。接着層32は、基材層31と金属箔層33との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。
包装材料3においては、基材層31が最外層になり、シーラント層34が最内層になる。電池の組み立て時に、電池素子4の周縁に位置するシーラント層34同士を接面させて熱溶着することにより電池素子4が密封され、電池素子4が封止される。なお、図1〜3には、エンボス成形などによって成形されたエンボスタイプの包装材料3を用いた場合の電池10を図示しているが、包装材料3は成形されていないパウチタイプであってもよい。なお、パウチタイプには、三方シール、四方シール、ピロータイプなどが存在するが、何れのタイプであってもよい。
(基材層31)
包装材料3において、基材層31は、包装材料の基材として機能する層であり、最外層を形成する層である。
基材層31を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層31を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ、アクリル、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。
前記ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル−ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化等が発生し難いという利点があり、基材層31の形成素材として好適に使用される。
また、前記ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体等の脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸−テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)等の脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。延伸ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層31の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層31の形成素材として好適に使用される。
基材層31は、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルムで形成されていてもよく、また未延伸の樹脂フィルムで形成してもよい。中でも、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルム、とりわけ2軸延伸された樹脂フィルムは、配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層31として好適に使用される。
これらの中でも、基材層31を形成する樹脂フィルムとして、好ましくはナイロン、ポリエステル、更に好ましくは2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエステル、特に好ましくは2軸延伸ポリエステルが挙げられる。
基材層31は、耐ピンホール性及び電池の包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルムを積層化することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造や、2軸延伸ポリエステルと2軸延伸ナイロンとを積層させた多層構造等が挙げられる。基材層31を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押出し法、サンドラミ法、サーマルラミネート法等の熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。
また、基材層31は、成形性を向上させるために低摩擦化させておいてもよい。基材層31を低摩擦化させる場合、その表面の摩擦係数については特に制限されないが、例えば1.0以下が挙げられる。基材層31を低摩擦化するには、例えば、マット処理、スリップ剤の薄膜層の形成、これらの組み合わせ等が挙げられる。
基材層31の厚さについては、例えば、10〜50μm程度、好ましくは15〜30μm程度が挙げられる。
(接着層32)
包装材料3において、接着層32は、基材層31に密着性を付与させるために、基材層31上に必要に応じて配置される層である。即ち、接着層32は、基材層31と金属箔層33の間に必要に応じて設けられる。
接着層32は、基材層31と金属箔層33とを接着可能である接着剤によって形成される。接着層32の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。また、接着層32の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着層32の形成に使用できる接着剤の樹脂成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂;ふっ化エチレンプロピレン共重合体等が挙げられる。これらの接着剤成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上の接着剤成分の組み合わせ態様については、特に制限されないが、例えば、その接着剤成分として、ポリアミドと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドとポリエステル、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリエステルと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、展延性、高湿度条件下における耐久性や応変抑制作用、ヒートシール時の熱劣化抑制作用等が優れ、基材層31と金属箔層33との間のラミネーション強度の低下を抑えてデラミネーションの発生を効果的に抑制するという観点から、好ましくはポリウレタン系2液硬化型接着剤;ポリアミド、ポリエステル、又はこれらと変性ポリオレフィンとのブレンド樹脂が挙げられる。
また、接着層32は異なる接着剤成分で多層化してもよい。接着層32を異なる接着剤成分で多層化する場合、基材層31と金属箔層33とのラミネーション強度を向上させるという観点から、基材層31側に配される接着剤成分を基材層31との接着性に優れる樹脂を選択し、金属箔層33側に配される接着剤成分を金属箔層33との接着性に優れる接着剤成分を選択することが好ましい。接着層32は異なる接着剤成分で多層化する場合、具体的には、金属箔層33側に配置される接着剤成分としては、好ましくは、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、共重合ポリエステルを含む樹脂等が挙げられる。
接着層32の厚さについては、例えば、2〜50μm程度、好ましくは3〜25μm程度が挙げられる。
(金属箔層33)
包装材料3において、金属箔層33は、包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光等が侵入するのを防止するためのバリア層として機能する層である。金属箔層33を形成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属箔が挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが好適に使用される。包装材料の製造時にしわやピンホールを防止するために、本発明において金属箔層33として、軟質アルミニウム、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)又は(JIS A8079P−O)等を用いることが好ましい。
金属箔層33の厚さについては、包装材料を薄型化しつつ、成形によってもピンホールの発生し難いものとする観点から、好ましくは10〜200μm程度、より好ましくは20〜100μm程度が挙げられる。
包装材料3の耐電解液性をより一層向上させる観点からは、クロメート処理を施した金属箔層33を用いることが好ましい。
クロメート処理としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどのクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸等のリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理等が挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。
一般式(1)〜(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基またはベンジル基を示す。また、R1及びR2は、それぞれ同一または異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1及びR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)〜(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500〜100万であることが好ましく、1000〜2万程度であることがより好ましい。
クロメート処理において金属箔層33の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えば、金属箔層33の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で約0.5mg〜約50mg、好ましくは約1.0mg〜約40mg、リン化合物がリン換算で約0.5mg〜約50mg、好ましくは約1.0mg〜約40mg、及びアミノ化フェノール重合体が約1mg〜約200mg、好ましくは約5.0mg〜150mgの割合で含有されていることが望ましい。
クロメート処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、金属箔層33の表面に塗布した後に、金属箔層33の温度が70℃〜200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、金属箔層33にクロメート処理を施す前に、予め金属箔層33を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、金属箔層33の表面のクロメート処理をより効率的に行うことが可能となる。
更に、金属箔層33には、必要に応じて、耐食性を付与する化成処理が施されていてもよい。金属箔層33に耐食性を付与する化成処理方法として、具体的には、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、金属箔層33の表面に耐食処理層を形成する方法が挙げられる。また、耐食処理層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層をさらに形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノール等が挙げられる。これらのカチオン性ポリマーとしては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋剤としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[接着層]
包装材料3において、接着層は、シーラント層34を強固に接着させために、金属箔層33とシーラント層34の間に、必要に応じて設けられる層である。
接着層は、金属箔層33とシーラント層34を接着可能である接着剤によって形成される。接着層の形成に使用される接着剤の組成については、特に制限されないが、例えば、酸変性ポリオレフィンを含む樹脂組成物が挙げられる。酸変性ポリオレフィンとしては、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bで例示してものと同じものが例示できる。
接着層の厚さについては、例えば、1〜40μm程度、好ましくは2〜30μm程度が挙げられる。
[シーラント層34]
包装材料3において、シーラント層34は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
シーラント層34に使用される樹脂成分については、熱溶着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー;等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくは結晶性又は非晶性のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、及びこれらのブレンドポリマー;さらに好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとノルボルネンの共重合体、及びこれらの中の2種以上のブレンドポリマーが挙げられる。
シーラント層34は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、シーラント層34は、1層のみで形成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上形成されていてもよい。
また、シーラント層34の厚みとしては、特に制限されないが、2〜2000μm程度、好ましくは5〜1000μm程度、さらに好ましくは10〜500μm程度が挙げられる。
2.電池10
本発明の電池10は、少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた電池素子4と、当該電池素子4を封止する包装材料3と、正極及び負極のそれぞれに電気的に接続され、包装材料3の外側に突出した金属端子2とを備えている。本発明の電池10においては、金属端子2と包装材料3との間に、本発明の金属端子用接着性フィルム1が介在されてなることを特徴とする。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、包装材料3で、正極及び負極の各々に接続された金属端子2が外側に突出させた状態で、本発明の金属端子用接着性フィルム1を金属端子2とシーラント層34との間に介在させ、電池素子4の周縁に包装材料のフランジ部(シーラント層34同士が接触する領域であり、包装材料の周縁部3a)が形成できるようにして被覆し、フランジ部のシーラント層34同士をヒートシールして密封させることによって、包装材料3を使用した電池10が提供される。なお、包装材料3を用いて電池素子4を収容する場合、包装材料3のシーラント層34が内側(電池素子4と接する面)になるようにして用いられる。
本発明の電池は、一次電池、二次電池のいずれであってもよいが、好ましくは二次電池である。二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、好ましくは、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、本発明において、樹脂の230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し、荷重2160gにてメルトフローレート測定器により測定した値である。
<金属端子用接着性フィルムの製造>
(実施例1)
繊維質基材としてのポリエステル系樹脂からなる不織布(目付け12g/m2、厚さ35μm、密度0.34g/cm3)の一方の面に230℃におけるMFRが9.5g/10分のマレイン酸変性ポリプロピレンをTダイ押出機で40μm厚さに押出し塗布した後、不織布の他方の面に230℃におけるMFRが9.5g/10分のマレイン酸変性ポリプロピレンをTダイ押出機で40μm厚さに押出し、第1ポリオレフィン層/繊維質基材/第2ポリオレフィン層がこの順に積層された金属端子用接着性フィルムを得た。
(実施例2)
繊維質基材として、ポリエステル系樹脂からなる不織布(目付け20g/m2、厚さ48μm、密度0.42g/cm3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属端子用接着性フィルムを得た。
(実施例3)
繊維質基材として、ポリエステル系樹脂からなる不織布(目付け25g/m2、厚さ100μm、密度0.25g/cm3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属端子用接着性フィルムを得た。
(実施例4)
繊維質基材として、ポリエステル系樹脂からなる不織布(目付け20g/m2、厚さ30μm、密度0.67g/cm3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属端子用接着性フィルムを得た。
(実施例5)
繊維質基材として、ポリエステル系樹脂からなる不織布(目付け30g/m2、厚さ90μm、密度0.33g/cm3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属端子用接着性フィルムを得た。
(比較例1)
繊維質基材として、ポリエステル系樹脂からなる不織布(目付け8g/m2、厚さ30μm、密度0.26g/cm3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属端子用接着性フィルムを得た。
(比較例2)
繊維質基材として、ポリエステル系樹脂からなる不織布(目付け15g/m2、厚さ70μm、密度0.21g/cm3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属端子用接着性フィルムを得た。
(比較例3)
繊維質基材として、ポリエステル系樹脂からなる不織布(目付け60g/m2、厚さ130μm、密度0.46g/cm3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属端子用接着性フィルムを得た。
(比較例4)
繊維質基材としてのポリエステル系樹脂からなる不織布(目付け12g/m2、厚さ35μm、密度0.34g/cm3)の一方の面に、230℃におけるMFRが3.0g/10分のマレイン酸変性ポリプロピレンをTダイ押出機で40μm厚さに押出し塗布した。次に、不織布の他方の面に230℃におけるMFRが3.0g/10分のマレイン酸変性ポリプロピレンをTダイ押出機で40μm厚さに押出し、金属端子用接着性フィルムを得た。
(比較例5)
ポリエステル系樹脂からなる不織布(目付け12g/m2、厚さ35μm、密度0.34g/cm3)の一方の面に、230℃におけるMFRが20.0g/10分のマレイン酸変性ポリプロピレンをTダイ押出機で40μm厚さに押出し塗布した。次に、不織布の他方の面に230℃におけるMFRが20.0g/10分のマレイン酸変性ポリプロピレンをTダイ押出機で40μm厚さに押出し、金属端子用接着性フィルムを得た。
<包装材料の製造>
フェノール樹脂、フッ化クロム(三価)化合物、リン酸の3成分からなる化成処理液で両面を化成処理(リン酸クロメート処理)したアルミニウム箔(厚み40μm)を用意した。次に、このアルミニウム箔の一方の面と、二軸延伸ナイロンフィルム(厚み25μm)とをウレタン系接着剤を介して積層した。次に、アルミニウム箔の他方の面と、未延伸ポリプロピレンフィルム(厚み30μm)とを酸変性ポリプロピレン樹脂(厚み15μm、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレン)でサンドイッチラミネーションすると共に、熱風により酸変性ポリプロピレン樹脂の軟化点以上の温度に加熱して、二軸延伸ナイロンフィルム(25μm)/アルミニウム箔(厚み40μm)/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚み15μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(15μm)が順に積層された包装材料を製造した。
(密着性評価)
実施例及び比較例で得られた各金属端子用接着性フィルムを、それぞれ、15mm幅×100mm長さの長方形に切断後、当該接着性フィルムのマレイン酸変性ポリプロピレン層表面から繊維質基材に達するようにハーフカットを幅方向に横断するように入れた。次に、ハーフカットの垂直方向に、接着性フィルムを引張試験機にて50mm/分の速度で引張り、繊維質基材とマレイン酸変性ポリプロピレン層との剥離の有無を確認した。繊維質基材とマレイン酸変性ポリプロピレン層との密着性が高い場合(評価:○)には、接着性フィルムが破断するが、密着性が低い場合(評価:×)には繊維質基材とマレイン酸変性ポリプロピレン層が界面剥離を起こす。結果を表1に示す。
(絶縁性評価)
実施例及び比較例で得られた各金属端子用接着性フィルムを60mm×60mmの正方形(2枚)に切断した。また、上記で得られた包装材料を60mm×60mmの正方形(2枚)に切断した。次に、2枚の包装材料を、未延伸ポリプロピレンフィルム側同士が対向するように重ね、その間に2枚の接着性フィルム重ねてを挟んだ。さらに、接着性フィルムの間にニッケル箔(幅4mm、長さ80mm、厚さ100μm)を挟み、ニッケル箔と包装材料のアルミニウム箔とにテスターの端子を接続した。この状態で、包装材料の両面上から熱板(ニッケル箔の長さ方向と直交する方向に7mm幅)を用いてヒートシール(条件:190℃、1MPa)した。このとき、ニッケル箔とアルミニウム箔とが短絡する迄の時間を測定し、以下の基準により絶縁性を評価した。結果を表1に示す。
◎:短絡する迄の時間が120秒以上
○:短絡する迄の時間が80秒以上120秒未満
△:短絡する迄の時間が15秒以上80秒未満
×:短絡する迄の時間が15秒未満
(水蒸気バリア性評価)
上記で得られた包装材料を100mm×120mmの長方形に裁断した。また、実施例及び比較例で得られた各金属端子用接着性フィルムを15mm×120mmの長方形に裁断した。次に、包装材料の未延伸ポリプロピレンフィルム面が対向するように2つ折りし、120mmの長さの端辺側に、2枚の接着性フィルムを重ねて挿入した。次に、この包装材料の対向する両端辺および接着性フィルムを挿入した端辺を、熱板を用いてヒートシール(条件:190℃、1.0MPa、3秒間)した。以上のようにして、対向する両端辺にそれぞれ10mm幅のヒートシール部を形成すると共に、前記接着性フィルムを挿入した端辺に7mm幅のヒートシール部を形成した三方シール包装袋を作製した。この包装袋内に3gの混合液〔エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)〕を封入した。なお、混合液の封入では、10mm幅のシールを1辺と、7mm幅のシールを行った後、混合液を注入して、最後に10mm幅のシールを行った。次に、前記7mm幅のヒートシール部を3mm幅となるようにトリミングした後、60℃、90%RHの恒温恒湿槽に7日間保管して、包装材料中の混合液の水分増加量を測定した。水蒸気バリア性は、以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
◎:水分増加量が100ppm未満である
○:水分増加量が100ppm以上140ppm未満である
△:水分増加量が140ppm以上200ppm未満である
×:水分増加量が200ppm以上である
(シール性評価)
実施例及び比較例で得られた各金属端子用接着性フィルムを幅8mm、長さ100mmの長方形に裁断した。次に、幅90mm、長さ40mm、厚み0.2mmのアルミニウム製金属端子を2枚の接着性フィルムで挟み、図6,7の模式図に示すように熱溶着させた(熱溶着条件:160℃、5秒間)。次に、接着性フィルムを熱溶着した金属端子端部に、スポイトにて浸透液(エージレスシールチェックスプレー)を垂らし、端子端部に隙間(空隙v)が生じているか否かを確認した。浸透液が端部に浸透しなかった場合をシール性が良好(○)、浸透した場合をシール性が不良(×)と評価した。結果を表1に示す。なお、図6は、空隙vが存在しない場合の模式図であり、図7は、空隙vが存在する場合の模式図である。
表1に示される結果から明らかな通り、ポリオレフィン層に230℃におけるメルトフローレート(MFR)が5〜15g/10分の酸変性ポリオレフィンを使用しており、繊維質基材の目付量が10〜30g/m2の範囲にあり、さらに、繊維質基材の密度が0.25g/cm3以上である実施例1−5の金属端子用接着性フィルムは、密着性、絶縁性、水蒸気バリア性、シール性の全てにおいて優れた特性を有していた。
これに対して、繊維質基材の目付量が少ない比較例1の金属端子用接着性フィルムは、絶縁性に劣ることが分かる。また、繊維質基材の目付量は適切であるものの、密度(g/cm3)が小さい比較例2の金属端子用接着性フィルムについても、絶縁性に劣ることが分かる。また、繊維質基材の目付量が多い比較例3の金属端子用接着性フィルムは、絶縁性には優れるものの、密着性に劣り、さらに水蒸気バリア性にも劣ることが分かる。
また、繊維質基材の目付量と、繊維質基材の密度(g/cm3)は適切であるものの、ポリオレフィン層に使用された酸変性ポリオレフィンの230℃におけるMFRが小さい比較例4の金属端子用接着性フィルムは、絶縁性には優れるものの、密着性及びシール性に劣ることが分かる。一方、繊維質基材の目付量(g/m2)と、繊維質基材の密度(g/cm3)は適切であるものの、ポリオレフィン層に使用された酸変性ポリオレフィンの230℃におけるMFRが大きい比較例5の金属端子用接着性フィルムは、密着性、水蒸気バリア性、及びシール性には優れるものの、絶縁性に劣ることが分かる。
1 金属端子用接着性フィルム
2 金属端子
3 包装材料
3a 包装材料の周縁部
4 電池素子
10 電池
11 基材
12 酸変性ポリオレフィン樹脂層
13 接着促進剤層
31 基材層
32 接着層
33 金属箔層
34 シーラント層
v 空隙

Claims (7)

  1. 電池素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記電池素子を封止する包装材料との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、
    前記金属端子用接着性フィルムは、繊維質基材と、前記繊維質基材の両面側の表面に、それぞれ第1ポリオレフィン樹脂層と第2ポリオレフィン層とを備えており、
    前記第1ポリオレフィン層及び前記第2ポリオレフィン層のうち少なくとも一方は、酸変性ポリオレフィンにより形成されており、
    前記酸変性ポリオレフィンは、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が5〜15g/10分であり、
    前記繊維質基材の目付量が10〜30g/m2であり、
    前記繊維質基材の密度が0.3g/cm3以上0.7g/cm 3 以下であり、
    前記繊維質基材の厚みが、30μm以上80μm以下であり、
    前記金属端子用接着性フィルムの総厚みが、50μm以上90μm以下である、金属端子用接着性フィルム。
  2. 前記繊維質基材が、不織布、メッシュ、積層布または織物により形成されている、請求項1に記載の金属端子用接着性フィルム。
  3. 前記繊維質基材を構成する繊維の融点が200℃以上である、請求項1または2に記載の金属端子用接着性フィルム。
  4. 前記酸変性ポリオレフィンが、不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されたポリオレフィンである、請求項1〜3のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルム。
  5. 前記第1ポリオレフィン樹脂層及び前記第2ポリオレフィン層の厚みが、それぞれ、20〜80μmである、請求項1〜のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルム。
  6. 前記包装材料が、少なくとも、基材層、金属箔層、及びシーラント層をこの順に有する積層体であり、前記シーラント層と前記金属端子との間に前記金属端子用接着性フィルムが介在される、請求項1〜のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルム。
  7. 少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた電池素子と、当該電池素子を封止する包装材料と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記包装材料の外側に突出した金属端子とを備える電池であって、
    前記金属端子と前記包装材料との間に、請求項1〜のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルムが介在されてなる、電池。
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