JP5668812B1 - 電池用包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種電池に求められる耐熱性に応じて定められるある一定の温度に到達するまでは、金属層とシーラント層の外側表面(最内層側表面)と間の少なくとも一部が剥離するが、シーラント層によって電池素子が密封されている状態を保持でき、しかも、当該温度に到達すると迅速に(少なくとも30分以内に)当該剥離した部分のシーラント層にピンホール等の微細な開裂を生じさせて穏やかに開封でき、電池用包装材料の過剰な膨張と電池反応の暴走を抑制できる電池用包装材料を提供する。【解決手段】少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなり、前記シーラント層は、酸変性ポリオレフィンを含む第1シーラント層と、第2シーラント層とを順に有し、前記シーラント層において、前記第1シーラント層が金属層側に位置し、前記第2シーラント層が最内層に位置するように配されており、前記第1シーラント層の融点Tm1が100〜160℃であり、かつ、前記第1シーラント層の軟化点Ts1が60〜150℃である、電池用包装材料。【選択図】なし

Description

本発明は、電池内の圧力や温度の上昇が持続的に進行した場合であっても、安全性を確保できる電池用包装材料に関する。より詳細には、本発明は、電池が昇温された際、ある一定の温度に達するまでの間は開封せず、電池素子を密封した状態を維持でき、しかも当該温度に達した時点で迅速且つ穏やかに開封して、電池用包装材料の過剰な膨張と電池反応の暴走を抑制できる電池用包装材料に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において、電極や電解質等の電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されていたが、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の電池用包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、近年、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材層/接着層/金属層/シーラント層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなフィルム状の電池用包装材料では、シーラント層同士を対向させて周縁部をヒートシールにて熱溶着させることにより電池素子を封止できるように形成されている。
一方、電池は、電解質の種類によっては、可燃性ガスを発生し、圧力が上昇することがある。例えば、電池が高温に晒された場合には、電解液に使用されている有機溶剤が分解して可燃性ガスを発生して圧力の上昇を引き起こすことがある。また、電池は、過電圧による充電や過大電流での放電等により電池内の温度が持続的に上昇させ、電池反応の暴走を引き起こすことがある。
フィルム状の電池用包装材料を使用した電池において、このような電池内の圧力や温度の上昇は、電池用包装材料を開裂させ、可燃性ガスの噴出による発火等を引き起こすことがある。更に、電池内の圧力や温度の上昇が持続的に進行し、電池用包装材料が過剰に膨張した状態で電池反応が暴走すると、電池の爆発を生じさせることもある。
従来、電池内の圧力が持続的に上昇した場合であっても、ヒートシール部の開裂や、ヒートシール部の手前で破断が生じるのを抑制できる電池用包装材料として、シーラント層又はそれに隣接する接着樹脂層の一方に、開裂時の応力がシーラント層同士の融着面の開裂時の応力よりも小さい開裂誘導部を有するものが報告されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2では、あくまで、電池内の圧力や温度の上昇が持続的に進行した状態になった時点で穏やかに開封できるように設計されているものではない。実際、特許文献2では、強い応力が加えられた際には、接着性を有する層同士の層間で開裂が進行する層間剥離、又は接着性を有する層の内部で亀裂が進行する凝集破壊が生じるように設計されている。電池内の圧力や温度の上昇した際に、層間剥離や凝集破壊によって電池が開封されると、可燃性ガスの急激な噴出により発火や爆発等の危険性が高まることが懸念される。
そのため、電池用包装材料には、電池内の圧力や温度の上昇が持続的に進行した際に安全性を確保するために、ある設定温度に達するまでの間は開裂せず、電池素子を密封した状態を維持することにより、可燃性ガスの急激な噴出による発火等を抑制しつつ、当該設定温度に達した時点で穏やかに開封して電池用包装材料内のガスを徐々に放出するように設計することが求められる。
また、電池の種類や用途等によって、電池用包装材料の密封の維持から開封に誘導されるべき温度が異なるため、電池用包装材料は適用される電池に応じて、密封性と開封性を設計する必要がある。例えば、100℃に到達した時点で密封状態から開封状態に誘導させることが求められる電池があれば、150℃に到達した時点で密封状態から開封状態に誘導させることが求められる電池もある。そのため、従来技術では、密封の維持から開封に誘導されるべき温度に応じて個別に電池用包装材料の設計をせざるを得ないのが現状であり、定められた設定温度で密封状態の維持から開封に誘導される電池用包装材料について、当該設定温度の違いに依らない共通の設計指針については明らかにされていない。
特開2001−202927号公報 特開2012−203982号公報
本発明は、電池内の圧力や温度の上昇が持続的に進行した場合であっても、安全性を確保できる電池用包装材料を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は、ある一定の温度に達するまでの間は開裂せずに電池素子を密封した状態を維持でき、しかも当該温度に達した時点で迅速且つ穏やかに開封でき、電池用包装材料の過剰な膨張と電池反応の暴走を抑制できる電池用包装材料を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなり、シーラント層が、酸変性ポリオレフィンを含む第1シーラント層と、第2シーラント層とを順に有し、当該シーラント層において、第1シーラント層が金属層側に位置し、第2シーラント層が最内層に位置するように配されており、第1シーラント層の融点Tm1が100〜160℃であり、かつ、第1シーラント層の軟化点Ts1が60〜150℃である電池用包装材料は、電池を昇温した際に、各種電池に求められる耐熱性に応じて定められるある一定の温度に到達するまでは、金属層とシーラント層の外側表面(最内層側表面)と間の少なくとも一部が剥離するがシーラント層によって電池素子が密封されている状態を保持でき、しかも、当該温度(開封温度)に到達すると迅速に(少なくとも30分以内に)、当該剥離した部分のシーラント層にピンホール等の微細な開裂を生じさせて穏やかに開封できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなり、
前記シーラント層は、酸変性ポリオレフィンを含む第1シーラント層と、第2シーラント層とを順に有し、
前記シーラント層において、前記第1シーラント層が金属層側に位置し、前記第2シーラント層が最内層に位置するように配されており、
前記第1シーラント層の融点Tm1が100〜160℃であり、かつ、前記第1シーラント層の軟化点Ts1が60〜150℃である、電池用包装材料。
項2. 前記第2シーラント層の融点Tm2と前記第1シーラント層の融点Tm1とが、以下の関係:
m2≧Tm1
を充足する、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記第1シーラント層が、非晶性ポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一方をさらに含む、項1または2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記第2シーラント層の融点Tm2が100〜160℃であり、かつ、前記第2シーラント層の軟化点Ts2が60〜150℃である、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 電池が昇温された際に、設定温度に到達するまでは前記金属層と前記シーラント層の外側表面との少なくとも一部において剥離が生じるが、包装材料は開封せず、設定温度到達後に迅速に前記包装材料が開封し、電池の発火や反応暴走を防止するように設定された電池に使用される電池用包装材料である、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記第1シーラント層に含まれる酸性ポリオレフィンが、構成モノマーとして少なくともプロピレンを含む、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 前記第2シーラント層が、ポリオレフィンを含む、項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 前記第2シーラント層に含まれる前記ポリオレフィンが、構成モノマーとして少なくともプロピレンを含む、項7に記載の電池用包装材料。
項9. 前記第1シーラント層の厚みが0.1〜40μmであり、前記第2シーラント層の厚みが5〜40μmである、項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
項10. 前記金属層が、アルミニウム箔である、項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料。
項11. 前記基材層と前記金属層との間に、接着層をさらに有する、項1〜10のいずれかに記載の電池用包装材料。
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなり、シーラント層が、酸変性ポリオレフィンを含む第1シーラント層と、第2シーラント層とを順に有し、当該シーラント層において、第1シーラント層が金属層側に位置し、第2シーラント層が最内層に位置するように配されており、第1シーラント層の融点Tm1が100〜160℃であり、かつ、第1シーラント層の軟化点Ts1が60〜150℃であることを特徴とする。本発明の電池用包装材料は、このような特定の構成を採用することによって、電池を昇温した際に、各種電池に求められる耐熱性に応じて任意に定められるある一定の温度に到達するまでは、金属層とシーラント層の外側表面(最内層側表面)と間の少なくとも一部が剥離するが、シーラント層によって電池素子が密封されている状態を保持でき、しかも、当該温度(開封温度)に到達すると迅速に(少なくとも30分以内に)当該剥離した部分のシーラント層にピンホール等の微細な開裂を生じさせて穏やかに開封できる。このように、本発明の電池用包装材料は、ある一定の温度に達するまでの間は開裂せず、電池素子を密封した状態を維持でき、しかも当該温度に達した時点で迅速かつ穏やかに開封できるので、電池内の圧力や温度の上昇が持続的に進行した場合であっても、電池用包装材料の過剰な膨張と電池反応の暴走を抑制でき、安全性が確保される。
本発明の電池用包装材料の略図的断面図である。 本発明の電池用包装材料の略図的断面図である。 本発明の電池用包装材料2枚をヒートシールして密封空間を形成した状態(A)、これを昇温して剥離が生じた状態(B)、及び開封温度に到達して開封が生じた状態(C)について、一方の側面の略図的断面図(左端がヒートシールされており、右側部分は省略)である。 本発明の電池用包装材料2枚をヒートシールして密封空間を形成した状態(A)、これを昇温して剥離が生じた状態(B)、及び開封温度に到達して開封が生じた状態(C)について、一方の側面の略図的断面図(左端がヒートシールされており、右側部分は省略)である。 本発明の電池用包装材料2枚をヒートシールして密封空間を形成した状態(A)、これを昇温して剥離が生じた状態(B)、及び開封温度に到達して開封が生じた状態(C)について、一方の側面の略図的断面図(左端がヒートシールされており、右側部分は省略)である。 本発明の電池用包装材料2枚をヒートシールして密封空間を形成した状態(A)、これを昇温して剥離が生じた状態(B)、及び開封温度に到達して開封が生じた状態(C)について、一方の側面の略図的断面図(左端がヒートシールされており、右側部分は省略)である。 従来の電池用包装材料2枚をヒートシールして密封空間を形成し、ある一定の温度まで加熱した際に生じる開裂状態を示す、一方の側面の略図的断面図(左端がヒートシールされており、右側部分は省略)である。
A.電池用包装材料
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなり、シーラント層は、酸変性ポリオレフィンを含む第1シーラント層と、第2シーラント層とを順に有し、シーラント層において、第1シーラント層が金属層側に位置し、第2シーラント層が最内層に位置するように配されており、第1シーラント層の融点Tm1が100〜160℃であり、かつ、第1シーラント層の軟化点Ts1が60〜150℃であることを特徴とする。以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
1.電池用包装材料の積層構造
電池用包装材料は、図1に示すように、少なくとも、基材層1、金属層3、及びシーラント層4をこの順に有する積層体からなる。シーラント層4は、第1シーラント層4a及び第2シーラント層4bを有し、第1シーラント層4aが金属層3側に位置し、第2シーラント層4bが最内層に位置するように配された積層構造を有する。即ち、本発明の電池用包装材料は、基材層1、金属層3、第1シーラント層4a、及び第2シーラント層4bをこの順に有する積層体からなり、基材層1が最外層になり、第2シーラント層4bが最内層になる。電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置する第2シーラント層4b同士を接面させて熱溶着することにより電池素子が密封され、電池素子が封止される。図1に示すように、本発明の電池用包装材料は、基材層1と金属層3との間に接着層2を有していてもよい。また、本発明の電池用包装材料は、図2に示すように、金属層3とシーラント層4との間に接着層5を有していてもよい。さらに、図示しないが、シーラント層4は、第1シーラント層4aと第2シーラント層4bとの間に、第3シーラント層4c、第4シーラント層4dなどの層を第1シーラント層4a側から順にさらに有する、3層以上により構成されていてもよい。
2.電池用包装材料の開封機序
本発明の電池用包装材料は、各種電池に求められる耐熱性などに応じて定められるある一定の温度(例えば、100〜160℃の範囲にある任意の温度)に到達するまでの密封性と、当該温度到達後の速やかで穏やかな開封性を備えている。図3〜図6を用いて、本発明の電池用包装材料の開封機序の例を説明する。なお、図3及び図4においては、本発明の電池用包装材料が接着層2を有する場合について説明しており、図5及び図6においては、本発明の電池用包装材料が金属層3とシーラント層4との間にさらに接着層5を有する場合について説明している。図3〜図6のAには、本発明の電池用包装材料2枚に電池素子を封入した際の一方の側面の断面図を示している。図3〜図6のAでは、2枚の電池用包装材料のシーラント層4同士の縁部がヒートシールされ密封空間を形成している。当該密封空間に電池素子が収容されるが、図3〜図6では電池素子については省略する。本発明の電池用包装材料は、少なくとも図3〜図6に示すいずれかの開封機序により、上記のある一定の温度に到達するまでの密封性と当該温度到達後の速やかで穏やかな開封性を備えている。なお、図3のAにおいて、(A−1)は、2枚の電池用包装材料が共に成形された場合の断面図を示しており、(A−2)は、1枚の電池用包装材料のみが成形された場合の断面図を示している。以下、図3〜図6においては、2枚の電池用包装材料が成形された断面図を用いて本発明の電池用包装材料の開封機序を説明するが、1枚の電池用包装材料が成形された場合についても、同様の機序で開封する。
まず、図3に示す開封機序においては、図3のAの状態から昇温すると、図3のBに示すように、金属層3とシーラント層4の界面の少なくとも一部が剥離する(界面剥離)。このとき、好ましくは、シーラント層4が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を維持する。そして、ある一定の温度(開封温度)に到達すると、図3のCに示す状態に迅速に移行し、金属層3から剥離したシーラント層4の領域(好ましくは内袋)にピンホール等の微細な開裂(図3中の符号10で示す)が生じて穏やかな条件で開封状態になる。
また、図4に示す開封機序においては、図4のAの状態から昇温すると、図4のBに示すように、シーラント層4の内部の少なくとも一部で凝集剥離が生じる。このとき、好ましくは、シーラント層4の凝集剥離した部分が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を維持する。そして、ある一定の温度(開封温度)に到達すると、図4のCに示す状態に迅速に移行し、シーラント層4の凝集剥離した領域(好ましくは内袋)にピンホール等の微細な開裂(図4中の符号10で示す)が生じて穏やかな条件で開封状態になる。
また、図5に示す開封機序においては、図5のAの状態から昇温すると、図5のBに示すように、接着層5とシーラント層4の界面の少なくとも一部が剥離する(界面剥離)。このとき、好ましくは、シーラント層4が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を維持する。そして、ある一定の温度(開封温度)に到達すると、図5のCに示す状態に迅速に移行し、シーラント層4の凝集剥離した領域(好ましくは内袋)にピンホール等の微細な開裂(図5中の符号10で示す)が生じて穏やかな条件で開封状態になる。
また、図6に示す開封機序においては、図6のAの状態から昇温すると、図6のBに示すように、シーラント層4の内部の少なくとも一部で凝集剥離が生じる。このとき、好ましくは、シーラント層4の凝集剥離した領域が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を維持する。そして、ある一定の温度(開封温度)に到達すると、図6のCに示す状態に迅速に移行し、シーラント層4の凝集剥離した領域(好ましくは内袋)にピンホール等の微細な開裂(図6中の符号10で示す)が生じて穏やかな条件で開封状態になる。
以上のように、本発明の電池用包装材料においては、電池を昇温した際に、各種電池に求められる耐熱性に応じて定められるある一定の温度(開封温度)に到達するまでは、金属層とシーラント層の外側表面(最内層側表面)との間の少なくとも一部(各層の界面の少なくとも一部又は各層の内部の少なくとも一部分)が剥離するが、シーラント層によって電池素子が密封されている状態を保持でき、しかも、当該温度到達後は迅速に金属層から剥離した部分のシーラント層にピンホール等の微細な開裂を生じさせて穏やかに開封できる。なお、本発明において、剥離が生じる温度(剥離温度)は、上記の開封温度以下である。剥離温度が開封温度よりも低い場合には、剥離温度に到達して剥離が生じた後、さらに昇温されて開封温度到達後に剥離した部分のシーラント層に迅速に微細な開裂を生じさせて穏やかな開封が生じる。また、剥離温度と開封温度とが同じである場合には、剥離温度に到達して剥離が生じると共に、剥離温度のまま剥離した部分のシーラント層に迅速に微細な開裂を生じさせて穏やかな開封に導かれる。
一方、従来の電池用包装材料では、ある一定の温度に到達するまでは包装材料は開封せず、開封温度到達後に穏やかに開封されるという設計はされていない。従来の電池用包装材料は、電池に求められる耐熱性によって定められる温度を大幅に超えて昇温しても迅速に開封されず発火や爆発する場合や、開封温度到達後に迅速に開封されるが、密封状態から開封状態に急激に移行し、可燃性ガスや電解液の急激な噴出を引き起こす場合がある。ここで、従来の電池用包装材料において、シーラント層同士のヒートシール界面で開裂が急激に進行する界面剥離の状態の一例を図7のAに示す。また、従来の電池用包装材料において、シーラント層のヒートシール界面付近の内部で開裂が急激に進行する凝集剥離の状態の一例を図7のBに示す。また、従来の電池用包装材料において、シーラント層が根切れした後に層と層の間(シーラント層内の層間)で開裂が進行する層間剥離の状態の一例を図7のCに示す。なお、「根切れ」とは、ヒートシール部分の内縁にてシーラント層が破断されることをいう。本発明の電池用包装材料では、従来の界面剥離、凝集剥離、又は層間剥離を生じて急激な開封状態に移行させることがないため、従来の電池用包装材料に比して、電池内の圧力や温度の上昇が持続的に進行した際の安全性に優れている。
2.電池用包装材料を形成する各層の組成
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は最外層を形成する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ、アクリル、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル−ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化等が発生し難いという利点があり、基材層1の形成素材として好適に使用される。
また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体等の脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸−テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)等の脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。延伸ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層1の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層1の形成素材として好適に使用される。
基材層1は、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルムで形成されていてもよく、また未延伸の樹脂フィルムで形成してもよい。中でも、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルム、とりわけ2軸延伸された樹脂フィルムは、配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層1として好適に使用される。また、基材層1は、上記の素材を金属層3上にコーティングして形成されていてもよい。
これらの中でも、基材層1を形成する樹脂フィルムとして、好ましくはナイロン、ポリエステル、更に好ましくは2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエステル、特に好ましくは2軸延伸ナイロンが挙げられる。
基材層1は、耐ピンホール性及び電池の包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルム及びコーティングの少なくとも一方を積層化することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造や、2軸延伸ポリエステルと2軸延伸ナイロンとを積層させた多層構造等が挙げられる。基材層1を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押出し法、サンドラミ法、サーマルラミネート法等の熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。また、接着剤を介して接着させる場合、使用する接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型、UVやEBなどの電子線硬化型等のいずれであってもよい。接着剤の成分としてポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アミノ樹脂、ゴム、シリコン系樹脂が挙げられる。
基材層1には、成形性を向上させるために低摩擦化させておいてもよい。基材層1を低摩擦化させる場合、その表面の摩擦係数については特に制限されないが、例えば1.0以下が挙げられる。基材層1を低摩擦化するには、例えば、マット処理、スリップ剤の薄膜層の形成、これらの組み合わせ等が挙げられる。
前記マット処理としては、予め基材層1にマット化剤を添加し表面に凹凸を形成したり、エンボスロールによる加熱や加圧による転写法や、表面を乾式又は湿式ブラスト法やヤスリで機械的に荒らす方法が挙げられる。マット化剤としては、例えば、粒径が0.5nm〜5μm程度の微粒子が挙げられる。マット化剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。また、マット化剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。マット化剤として、具体的には、はタルク,シリカ,グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。これらのマット化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのマット化剤の中でも、分散安定性やコスト等の観点から、好ましくはりシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、マット化剤には、表麺に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施しておいてもよい。
前記スリップ剤の薄膜層は、基材層1上にスリップ剤をブリードアウトにより表面に析出させて薄層を形成させる方法や、基材層1にスリップ剤を積層することで形成できる。スリップ剤としては、特に制限されないが、例えば、脂肪酸アマイド、金属石鹸、親水性シリコーン、シリコーンをグラフトしたアクリル、シリコーンをグラフトしたエポキシ、シリコーンをグラフトしたポリエーテル、シリコーンをグラフトしたポリエステル、ブロック型シリコーンアクリル共重合体、ポリグリセロール変性シリコーン、パラフィン等が挙げられる。これらのスリップ剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
基材層1の厚さは、例えば、10〜50μm、好ましくは15〜30μmが挙げられる。
[接着層2]
本発明の電池用包装材料において、接着層2は、基材層1と金属層3との接着性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。基材層1と金属層3とは直接積層されていてもよい。
接着層2は、基材層1と金属層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着層2の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着層2の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着層2の形成に使用できる接着剤の樹脂成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂;フッ化エチレンプロピレン共重合体等が挙げられる。これらの接着剤成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上の接着剤成分の組み合わせ態様については、特に制限されないが、例えば、その接着剤成分として、ポリアミドと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドとポリエステル、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリエステルと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、展延性、高湿度条件下における耐久性や応変抑制作用、ヒートシール時の熱劣化抑制作用等が優れ、基材層1と金属層2との間のラミネーション強度の低下を抑えてデラミネーションの発生を効果的に抑制するという観点から、好ましくはポリウレタン系2液硬化型接着剤;ポリアミド、ポリエステル、又はこれらと変性ポリオレフィンとのブレンド樹脂が挙げられる。
また、接着層2は異なる接着剤成分で多層化してもよい。接着層2を異なる接着剤成分で多層化する場合、基材層1と金属層3とのラミネーション強度を向上させるという観点から、基材層1側に配される接着剤成分を基材層1との接着性に優れる樹脂を選択し、金属層3側に配される接着剤成分を金属層3との接着性に優れる接着剤成分を選択することが好ましい。接着層2は異なる接着剤成分で多層化する場合、具体的には、金属層3側に配置される接着剤成分としては、好ましくは、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、共重合ポリエステルを含む樹脂等が挙げられる。
接着層2の厚さについては、例えば、2〜50μm、好ましくは3〜25μmが挙げられる。
[金属層3]
本発明の電池用包装材料において、金属層3は、包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光等が侵入するのを防止するためのバリア層として機能する層である。金属層3を形成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属箔が挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが好適に使用される。包装材料の製造時にしわやピンホールを防止するために、本発明において金属層3として、軟質アルミニウム、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)又は(JIS A8079P−O)等を用いることが好ましい。
金属層3の厚さについては、例えば、10〜200μm、好ましくは20〜100μmが挙げられる。
また、金属層3は、接着の安定化、溶解や腐食の防止等のために、少なくとも一方の面、好ましくは少なくともシーラント層側の面、更に好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、金属層3の表面に耐酸性皮膜を形成する処理である。化成処理は、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等のクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸等のリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理等が挙げられる。
一般式(1)〜(4)中、Xは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基又はベンジル基を示す。また、R1及びR2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)〜(4)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。ことができる。一般式(1)〜(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、及び、ドロキシアルキル基のいずれかであることが好ましい。一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、約500〜約100万、好ましくは約1000〜約2万が挙げられる。
また、金属層3に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズ等の金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、金属層の表面に耐食処理層を形成する方法が挙げられる。また、前記耐食処理層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層を形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノール等が挙げられる。これらのカチオン性ポリマーは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの化成処理は、1種の化成処理を単独で行ってもよく、2種以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。更に、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。これらの中でも、好ましくはクロム酸クロメート処理、更に好ましくはクロム酸化合物、リン酸化合物、及び前記アミノ化フェノール重合体を組み合わせたクロメート処理が挙げられる。
化成処理において金属層3の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えばクロム酸化合物、リン酸化合物、及び前記アミノ化フェノール重合体を組み合わせてクロメート処理を行う場合であれば、金属層の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、及び前記アミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、好ましくは約5.0〜150mgの割合で含有されていることが望ましい。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等によって、金属層の表面に塗布した後に、金属層の温度が70〜200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、金属層3に化成処理を施す前に、予め金属層3を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法等による脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、金属層3の表面の化成処理を一層効率的に行うことが可能になる。
[シーラント層4]
本発明の電池用包装材料において、シーラント層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。シーラント層4は、第1シーラント層4a及び第2シーラント層4bを有し、第1シーラント層4aが金属層3側に位置し、第2シーラント層4bが最内層に位置するように配された層構造を備える。
(第1シーラント層)
第1シーラント層4aは、酸変性ポリオレフィンを含み、金属層側に位置する層である。第1シーラント層4aの形成に使用される酸変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィンを不飽和カルボン酸でグラフト重合すること等により変性したポリマーである。酸変性されるポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、耐熱性の点で、好ましくは、少なくともプロピレンを構成モノマーとして有するポリオレフィン、更に好ましくは、エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー、及びプロピレン−エチレンのランダムコポリマーが挙げられる。変性に使用される不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸の中でも、好ましくはマレイン酸、無水マレイン酸が挙げられる。これらの酸変性ポリオレフィンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1シーラント層4aは、後述する融点及び軟化点を備えることを限度として、酸変性ポリオレフィンのみから形成されていてもよく、また必要に応じて酸変性ポリオレフィン以外の樹脂成分を含んでいてもよい。第1シーラント層4aが後述する融点及び軟化点を備える観点からは、第1シーラント層4aは、酸変性ポリオレフィン以外の樹脂成分として、非晶性のポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一方を含むことが好ましい。なお、本発明において、非晶性のポリオレフィンとは、立体規則性の少ないアタクチックポリマーを用いることで、結晶化度を低くし、実質的に融点を有しないポリオレフィンをいう。また、本発明において、ポリオレフィンの融点とは、示差走査熱量測定(DSC)における吸熱ピーク温度をいう。
非晶性のポリオレフィンとしては、少なくともモノマー単位としてオレフィンを含む非晶性の樹脂であれば特に限定されない。ポリオレフィンは、非環状又は環状のいずれの構造であってもよい。非環状のポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の非晶性のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー等が挙げられる。また、環状のポリオレフィンとは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。非晶性のポリオレフィンは、不飽和カルボン酸でグラフト重合すること等によりこれらのポリオレフィンが酸変性されたものであってもよい。
また、必要に応じて含有できる他の樹脂成分としては、例えば、熱可塑性エラストマーが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、エラストマーとしての特性を備えるポリオレフィンが挙げられる。エラストマーとしての特性を備えるポリオレフィン(即ち、ポリオレフィン系エラストマー)、とりわけプロピレン系エラストマーは、ヒートシール後の接着強度の向上、ヒートシール後の層間剥離の防止等の観点から好ましい。プロピレン系エラストマーとしては、プロピレンと、1種又は2種以上の炭素数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)を構成モノマーとして含む重合体が挙げられ、プロピレン系エラストマーを構成する炭素数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)としては、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらのポリオレフィン系エラストマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1シーラント層4aに、酸変性ポリオレフィン以外の樹脂成分を含有させる場合、当該樹脂成分の含有量については、本発明の目的を妨げない範囲で適宜設定される。例えば、第1シーラント層4aに非晶性のポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一方を含有させる場合、第1シーラント層4a中の非晶性のポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一方の含有量としては、通常5〜80質量%、好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは20〜60質量%が挙げられる。
また、第1シーラント層4aは、酸変性ポリオレフィンを含むことに加えて、融点Tm1が100〜160℃であり、かつ、軟化点Ts1が60〜150℃となるように設定される。
本発明の電池用包装材料においては、第1シーラント層4aの融点Tm1が100〜160℃であることに加えて、第1シーラント層4aの軟化点Ts1が60〜150℃と低く設定されていることにより、電池が昇温された際に、第1シーラント層4aが軟化し、図3〜6に示すように、金属層3とシーラント層4の界面またはシーラント層4の内部の少なくとも一部が剥離できるようになる。その後、各種電池に求められる耐熱性等に応じて定められる一定の温度に到達すると、シーラント層4の剥離した部分に微細な開裂(ピンホール等)を生じ、電池内部のガスを穏やかに放出することが可能になる。剥離した部分に微細な開裂を生じるまでの間、剥離した部分が内圧によって伸びて、密封状態を維持したまま膨潤する場合には、電池内部のガスをより穏やかに放出することが可能になる。電池内部のガスをより穏やかに放出する観点から、第1シーラント層4aの融点Tm1としては、好ましくは105〜150℃程度、より好ましくは110〜140℃程度が挙げられる。また、第1シーラント層4aの軟化点Ts1としては、好ましくは65〜140℃程度、より好ましくは75〜120℃程度が挙げられる。
ここで、第1シーラント層4aの融点Tm1は、第1シーラント層4aを構成する樹脂成分の融点をJIS K6921−2(ISO1873−2.2:95)に準拠しDSC法により測定される値である。また、第1シーラント層4aが、複数の樹脂成分を含むブレンド樹脂で形成されている場合には、その融点T1は、当該ブレンド樹脂をJIS K6921−2(ISO1873−2.2:95)に準拠しDSC法に供し、総ピーク面積を1として各樹脂成分に該当する融点のピーク面積の比率を算出し、各樹脂成分に該当する融点と当該ピーク面積の比率を掛けた値(融点×面積比)を算出し、更に融点毎に算出された当該値(融点×面積比)を加算することにより求められる。
また、第1シーラント層4aの軟化点Ts1は、ビカット軟化温度試験法JIS K7206により測定される値である。また、第1シーラント層4aが、複数の樹脂成分を含むブレンド樹脂で形成されている場合には、その軟化点Ts1は、当該ブレンド樹脂の構成成分の軟化点×配合分率の和により求められる。
樹脂成分の融点及び軟化点は、分子量、構成モノマーの種類や比率等によって定まるため、第1シーラント層4aに配合される酸変性ポリオレフィン及び必要に応じて配合される他の樹脂成分においては、第1シーラント層4aの前記融点及び軟化点の範囲を充足するように、その分子量、構成モノマーの種類や比率等が適宜設定される。例えば、上記のように、酸変性ポリオレフィンと、非晶性ポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一方とを混合したり、融点の高い酸変性ポリオレフィンと融点の低い酸変性ポリオレフィンとを混合することなどによって、第1シーラント層4aの融点Tm1を100〜160℃としつつ、軟化点Ts1を60〜150℃と低くすることができる。
また、第1シーラント層4aの厚みとしては、例えば、5〜40μm、好ましくは10〜35μm、更に好ましくは15〜30μmが挙げられる。
(第2シーラント層)
第2シーラント層4bは、第1シーラント層4a上に積層され電池用包装材料の最内層に位置する層である。すなわち、本発明の電池用包装材料においては、第2シーラント層同士が熱融着され、電池素子を密封する。シーラント層4のシール性を高める観点からは、第2シーラント層4bは、ポリオレフィンを含むことが好ましい。第2シーラント層4bの形成に使用されるポリオレフィンについては、特に制限されないが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、耐熱性の点で、好ましくは、少なくともプロピレンを構成モノマーとして有するポリオレフィン、更に好ましくは、プロピレン−エチレンのランダムコポリマー、プロピレン−エチレン―ブテンのターポリマー、及びプロピレンのホモポリマーが挙げられる。これらのポリオレフィンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第2シーラント層4bは、ポリオレフィンのみから形成されていてもよく、ポリオレフィン以外の樹脂成分を含んでいてもよい。第2シーラント層4bにポリオレフィン以外の樹脂成分を含有させる場合、第2シーラント層4b中のポリオレフィンの含有量については、本発明の効果を妨げない限り特に制限されないが、例えば10〜95質量%、好ましくは30〜90質量%、更に50〜80質量%が挙げられる。
第2シーラント層4bに含まれ得るポリオレフィン以外の樹脂成分としては、例えば、酸変性ポリオレフィンが挙げられる。当該酸変性ポリオレフィンの具体例については、第1シーラント層4aで例示したものと同様である。第2シーラント層4bに、ポリオレフィン以外の樹脂成分を含有させる場合、当該樹脂成分の含有量については、本発明の目的を妨げない範囲で適宜設定される。例えば、第2シーラント層4bに酸変性ポリオレフィンを含有させる場合、第2シーラント層4b中の酸変性ポリオレフィンの含有量としては、通常5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは20〜40質量%が挙げられる。
また、本発明においては、第2シーラント層4bの融点Tm2と第1シーラント層4aの融点Tm1とが、以下の関係を充足することが好ましい。
m2≧Tm1
すなわち、第2シーラント層4bの融点Tm2が、第1シーラント層4aの融点Tm1以上となることにより、例えば図3〜6のBに示すように、シーラント層4の剥離した部分が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を好適に維持し得る。そして、開封温度に到達すると、例えば図3〜6のCに示す状態に迅速に移行し、シーラント層4の剥離した領域にピンホール等の微細な開裂が生じて、より穏やかな条件で開封状態に導くことが可能となる。このような観点からは、第2シーラント層4bの融点Tm2と第1シーラント層4aの融点Tm1とが、以下の関係を充足することがさらに好ましい。
m2≧Tm1+5
なお、第2シーラント層4bの融点Tm2及び軟化点Ts2の算出方法は、第1シーラント層4aの融点Tm1の場合と同様である。
また、第2シーラント層4bの融点Tm2としては、特に制限されないが、電池が昇温された際に、開封温度に到達するまではシーラント層4の剥離した部分が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を好適に維持し、開封温度到達後に、より穏やかな条件で開封に導く観点からは、好ましくは105〜150℃、より好ましくは110〜140℃が挙げられる。また、第2シーラント層4bの軟化点Ts2としては、特に制限されないが、同様の観点からは、好ましくは65〜140℃、より好ましくは70〜120℃が挙げられる。
前述するように、樹脂成分の融点は、分子量、構成モノマーの種類や比率等によって定まるため、第2シーラント層4bに配合される樹脂成分においては、例えば第2シーラント層4bの前記融点や軟化点の範囲を充足させることなどにより、電池用包装材料が穏やかに開封するように、その分子量、構成モノマーの種類や比率等が適宜設定される。
また、第2シーラント層4bの厚みとしては、例えば、5〜40μm、好ましくは10〜35μm、更に好ましくは15〜30μmが挙げられる。
(第3シーラント層など)
上述の通り、本発明の電池用包装材料のシーラント層4は、第1シーラント層4aと第2シーラント層4bとの間に、第3シーラント層4c、第4シーラント層4dなどを第1シーラント層4a側から順にさらに有していてもよい。すなわち、シーラント層4は、第1シーラント層4aと第2シーラント層4bとの間に、第3シーラント層4cなどをさらに有する、3層以上により構成されていてもよい。シーラント層4のシール性を高める観点からは、第3シーラント層4cなどの第1シーラント層4aと第2シーラント層4bとの間に設けられる層は、ポリオレフィン及び酸変性ポリオレフィンの少なくとも一方を含むことが好ましい。第3シーラント層4cなどの形成に使用されるポリオレフィンとしては、第2シーラント層4bで例示したものと同様のものが挙げられる。また、第3シーラント層4cなどの形成に使用される酸変性ポリオレフィンとしては、第1シーラント層4aで例示したものと同様のものが挙げられる。
また、第3シーラント層4cなどの融点としては、特に制限されないが、電池が昇温された際に、開封温度に到達するまではシーラント層4の剥離した部分が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を好適に維持し、開封温度到達後に、より穏やかな条件で開封に導く観点からは、好ましくは100〜160℃が挙げられる。また、これらの層の軟化点としては、特に制限されないが、同様の観点からは、好ましくは60〜150℃が挙げられる。
また、第3シーラント層4cなどの第1シーラント層4aと第2シーラント層4bとの間に設けられる層の厚みとしては、例えば、5〜40μm、好ましくは10〜35μm、更に好ましくは15〜30μmが挙げられる。
(シーラント層4の総厚み)
シーラント層4の総厚みとしては、第1シーラント層4a、第2シーラント層4b、及び必要に応じて設けられる第3シーラント層4cなどの各々の厚みに基づいて定められるが、例えば、15〜120μm、好ましくは60〜80μm、更に好ましくは30〜60μmが挙げられる。
[接着層5]
本発明の電池用包装材料においては、金属層3とシーラント層4とを強固に接着させることなどを目的として、図2に示されるように、金属層3とシーラント層4との間に接着層5をさらに設けてもよい。接着層5は、1層により形成されていてもよいし、複数層により形成されていてもよい。
接着層5は、金属層3とシーラント層4とを接着可能な樹脂によって形成される。接着層5を形成する樹脂としては、金属層3とシーラント層4とを接着可能な樹脂であれば特に制限されず、例えば上記の接着層2で例示した接着剤の樹脂成分、上記のシーラント層4で例示した酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。接着層5を形成する樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層5を形成する樹脂として、接着層2で例示した接着剤の樹脂成分を用いる場合、接着層5は、接着層2と同様にして形成することができる。また、接着層5を形成する樹脂として、酸変性ポリオレフィンを用いる場合、接着層5は、酸変性ポリオレフィンのみから形成されていてもよく、また必要に応じて酸変性ポリオレフィン以外の樹脂成分を含んでいてもよい。接着層5に酸変性ポリオレフィン以外の樹脂成分を含有させる場合、シーラント層4中の酸変性ポリオレフィンの含有量については、本発明の効果を妨げない限り特に制限されないが、例えば10〜95質量%、好ましくは30〜90質量%、更に50〜80質量%が挙げられる。
また、接着層5が酸変性ポリオレフィンを含む場合、接着層5は、硬化剤をさらに含むことが好ましい。接着層5が酸変性ポリオレフィンと硬化剤とを含むことにより、接着層5の機械的強度が高められ、電池用包装材料の絶縁性を効果的に高めることができる。硬化剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
硬化剤は、上記の酸変性ポリオレフィンを硬化させるものであれば、特に限定されない。硬化剤としては、例えば、多官能イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
多官能イソシアネート化合物は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されない。多官能イソシアネート化合物の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。
カルボジイミド化合物は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定されない。カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド基を少なくとも2つ以上有するポリカルボジイミド化合物が好ましい。特に好ましいカルボジイミド化合物の具体例としては、下記一般式(5):
[一般式(5)において、nは2以上の整数である。]
で表される繰り返し単位を有するポリカルボジイミド化合物、
下記一般式(6):
[一般式(6)において、nは2以上の整数である。]
で表される繰り返し単位を有するポリカルボジイミド化合物、
及び下記一般式(7):
[一般式(7)において、nは2以上の整数である。]
で表されるポリカルボジイミド化合物が挙げられる。一般式(4)〜(7)において、nは、通常30以下の整数であり、好ましくは3〜20の整数である。
エポキシ化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されない。エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂が挙げられる。
オキサゾリン化合物は、オキサゾリン骨格を有する化合物であれば、特に限定されない。オキサゾリン化合物としては、具体的には、日本触媒社製のエポクロスシリーズなどが挙げられる。
接着層5の機械的強度を高めるなどの観点から、硬化剤は、2種類以上の化合物により構成されていてもよい。
接着層5において、硬化剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、0.1質量部〜50質量部の範囲にあることが好ましく、0.1質量部〜30質量部の範囲にあることがより好ましい。また、接着層5において、硬化剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン中のカルボキシル基1当量に対して、硬化剤中の反応基として1当量〜30当量の範囲にあることが好ましく、1当量〜20当量の範囲にあることがより好ましい。これにより、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高め得る。
本発明の電池用包装材料が定められた設定温度に達するまでの間は開裂せずに電池素子を密封した状態を維持でき、しかも当該設定温度に達した時点で迅速且つ穏やかに開封する観点から、接着層5の融点としては、好ましくは60〜160℃程度、より好ましくは70〜140程度℃が挙げられる。また、同様の観点から、接着層5の軟化点としては、好ましくは50〜150℃程度、より好ましくは60〜130℃程度が挙げられる。
なお、接着層5の融点及び軟化点の算出方法は、シーラント層4の場合と同様である。
接着層5の厚みとしては、特に制限されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1〜20μm程度が挙げられる。なお、接着層5の厚みが0.01μm未満であると、金属層3とシーラント層4との間を安定して接着させることが困難になる場合がある。
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される。
まず、基材層1、必要に応じて接着層2、金属層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材1と必要に応じて表面が化成処理された金属層3とを、必要に応じて接着層2を形成する接着剤を用いて、サーマルラミネート法、サンドラミネート法、又はこれらの組み合わせ等によって積層させることにより行われる。
サーマルラミネート法による積層体Aの形成は、例えば、基材層1と接着層2とが積層された多層フィルムを予め用意し、接着層2に金属層3を重ね合わせて加熱ロールにより、基材層1と金属層3で接着層2を挟持しながら熱圧着することにより行うことができる。また、サーマルラミネート法による積層体Aの形成は、金属層3と接着層2とが積層された多層フィルムを予め用意し、加熱した金属層3と接着層2に基材層1を重ね合わせて基材層1と金属層3で接着層2を挟持しながら熱圧着することにより行ってもよい。
なお、サーマルラミネート法において予め用意する基材層1と接着層2とが積層された多層フィルムは、基材層1を構成する樹脂フィルムに接着層2を構成する接着剤を溶融押し出し又は溶液コーティング(液状塗工)により積層して乾燥させた後、接着層2を構成する接着剤の融点以上の温度で焼付けて形成する。焼付けを行うことにより、金属層3と接着層2との接着強度が向上する。また、サーマルラミネート法において予め用意する金属層3と接着層2とが積層された多層フィルムについても、同様に金属層3を構成する金属箔に接着層2を構成する接着剤を溶融押し出し又は溶液コーティングにより積層して乾燥させた後、接着層2を構成する接着剤の融点以上の温度で焼付けることにより形成される。
また、サンドラミネート法による積層体Aの形成は、例えば、接着層2を構成する接着剤を金属層3の上面に溶融押し出しして基材層1を構成する樹脂フィルムを金属層に貼り合わせることにより行うことができる。このとき、樹脂フィルムを貼り合わせて仮接着した後、再度加熱して本接着を行うことが望ましい。なお、サンドラミネート法においても接着層2を異なる樹脂種で多層化してもよい。この場合、基材層1と接着層2とが積層された多層フィルムを予め用意し、金属層3の上面に接着層2を構成する接着剤を溶融押出して多層の樹脂フィルムとサーマルラミネート法により積層すればよい。これにより、多層フィルムを構成する接着層2と、金属層3の上面に積層された接着層2とが接着して2層の接着層2が形成される。接着層2を異なる樹脂種で多層化する場合には、金属層3と接着層2とが積層された多層フィルムを予め用意し、基材層1上に接着層2を構成する接着剤を溶融押出して、これを金属層3上の接着層2と積層してもよい。これにより、多層の樹脂フィルと基材層1との間に2層の異なる接着剤で構成される接着層2が形成される。
次いで、積層体Aの金属層3上に、シーラント層4(第1シーラント層4a及び第2シーラント層4b)を積層させる。積層体Aの金属層3上へのシーラント層4の積層は、例えば、積層体Aの金属層3上に、第1シーラント層4a、必要に応じて第3シーラント層4c、及び第2シーラント層4bを順次、グラビアコート法、ロールコート法等の方法により塗布する方法によって行うことができる。また、積層体Aの金属層3へのシーラント層4の積層は、積層体Aの金属層3の上に、第1シーラント層4a及び第2シーラント層4bを共押出しする方法によって行うこともできる。更に、第3シーラント層4cを設ける場合、積層体Aの金属層3上に第1シーラント層4aを塗布又は熱圧着した後に第3シーラント層4c及び第2シーラント層4bを共押出しする方法で行ってもよく、積層体Aの金属層3上に第1シーラント層4a及び第3シーラント層4cを共押出しした後に、第2シーラント層4bを塗布又は熱圧着する方法で行ってもよい。また、金属層3とシーラント層4との間に接着層5を設けてもよい。
上記のようにして、基材層1/必要に応じて形成される接着層2/必要に応じて表面が化成処理された金属層3/必要に応じて形成される接着層5/シーラント層4(第1シーラント層4a、必要に応じて第3シーラント層4c等、第2シーラント層4b)からなる積層体が形成されるが、接着層2の接着性を強固にするために、更に、熱ロール接触、熱風、近又は遠赤外線照射、誘電加熱、熱抵抗加熱等の加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150〜250℃で1〜10時間が挙げられる。
また、本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性等を向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施していてもよい。
4.電池用包装材料の特性及び用途
本発明の電池用包装材料は、前述する特定のシーラント層を有することにより、ある一定の温度(開封温度)に到達するまでは、金属層とシーラント層の外側表面(最内層側表面)と間の少なくとも一部が剥離するが、シーラント層によって電池素子が密封されている状態を保持でき、しかも、開封温度に到達すると迅速に、当該剥離した部分のシーラント層にピンホール等の微細な開裂を生じさせて穏やかに開封できる。本発明の電池用包装材料において、当該開封温度は、各種電池に求められる耐熱性などの特性に応じて予め設定することができる。一般に、電池内部の温度が150℃を超えると、電池素子のセパレータが溶融し、正極と負極との間の短絡、電極と電池用包装材料の金属層との間の短絡が生じて、電池反応の暴走や発火が生じ、電池の破裂や爆発の虞がある。このため、開封温度は、一般に150℃以下の温度に設定される。例えば、本発明の電池用包装材料は、以下に示す加熱条件下で、上記のある一定の温度に到達するまでは包装材料が開封せず、開封温度到達後少なくとも30分以内に開封する特性を備えることが可能になる。
<加熱条件>
(1)縦80mm及び横150mmの形状に裁断した電池用包装材料の中心部に、深さ3mm、縦35及び横50mmの凹部を形成し、凹部の周囲に縁部を有する形状に成形する。このような形状に成形した電池用包装材料を2枚準備する。
(2)前記で成形した電池用包装材料2枚のシーラント層同士が対向するように縁部を重ねあわせ、該縁部をヒートシール(175℃、3秒、面圧1.4MPa)して、密封された内部空間(圧力1atm)を有するケース状にする。
(3)前記でケース状にした電池用包装材料を、減圧可能なオーブンに入れて、オーブン内の圧力が0atmになるように設定し、3℃/分の昇温速度で加熱する。加熱温度は、電池用包装材料が開封するまでの温度とし、例えば150℃に到達した時点で開封しない場合には、150℃を維持し、150℃到達後から開封するまでの時間を計測する。なお、この試験において、加熱温度の上限は、150℃に限定されず、任意に設定される開封温度(例えば100〜160℃の間の温度)まで昇温した後、当該温度を維持し、当該温度到達後から開封するまでの時間を計測して特性を評価してもよい。
本発明の電池用包装材料は、前述する開封特性を備え、しかも開封時には微細な開裂によって穏やかに開封するので、電池が昇温された際、ある設定温度に到達するまでは金属層とシーラント層の外側表面との少なくとも一部において剥離が生じるが包装材料は開封せず、当該設定温度到達後に迅速に包装材料が開封し、電池の発火や反応暴走を防止するように設定された電池の包装用材料として好適に使用される。なお、前記電池で定められる設定温度Tは、包装対象となる電池の種類、用途、安全性の基準等で当該設定温度は異なる。例えば、安全性の基準上、前記設定温度Tが100℃に定められた電池もあれば、前記設定温度Tが150℃に定められた電池もある。本発明の電池用包装材料は、適用対象となる電池が要求する前記設定温度に応じた密封性と開封性を備えた包装材料として提供される。また、前記電池において要求されるT℃到達後に開封状態に移行する時間は、安全性を確保できる範囲で定められるものであり、電池の種類や用途、昇温速度等に応じて異なるが、通常は30分以内であり、本発明の電池用包装材料は当該時間を満足することができる。
本発明の電池用包装材料は、具体的には、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するために使用され得るものであり、当該電池素子を収容するための空間が設けられる。当該空間は、短形状に裁断された積層シートをプレス成型することにより形成される。
より具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(シーラント層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部のシーラント層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料の第2シーラント層4bが内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
B.シーラント層に使用される樹脂成分のスクリーニング方法
本発明は、更に、前述する密封性と開封性を備えた電池用包装材料に形成されるシーラント層に使用される樹脂成分をスクリーニングする方法を提供する。
当該スクリーニング方法は、具体的には、電池用包装材料に形成されるシーラント層に使用される樹脂成分をスクリーニングする方法であって、
当該電池用包装材料が、少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなり、
シーラント層は、酸変性ポリオレフィンを含む第1シーラント層4aと、第2シーラント層4bとを順に有し、
シーラント層において、第1シーラント層4aが金属層側に位置し、第2シーラント層4bが最内層に位置するように配されており、
第1シーラント層4aの融点Tm1が100〜160℃であり、かつ、第1シーラント層4aの軟化点Ts1が60〜150℃
となるように、第1シーラント層4aを形成する樹脂成分を選択することを特徴とする。
当該スクリーニング方法における各用語の意義等については、前記「A.電池用包装材料」の欄に記載する通りである。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1−18及び比較例1−2
[電池用包装材料の製造]
二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)からなる基材層1の両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚さ40μm)からなる金属層3をドライラミネーション法により積層させた。具体的には、アルミニウム箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、金属層3上に接着層2(厚さ4μm)を形成した。次いで、金属層3上の接着層2と基材層1を加圧加熱貼合した後、40℃で24時間のエージング処理を実施することにより、基材層1/接着層2/金属層3の積層体を調製した。なお、金属層3として使用したアルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥重量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。
次いで、前記積層体の金属層3側に第1シーラント層を形成する樹脂成分と第2シーラント層を形成する樹脂成分を溶融状態で共押し出しすることにより、金属層3上に第1シーラント層と第2シーラント層を積層させた。なお、実施例11、18では、第1シーラント層の上に、第3シーラント層及び第2シーラント層からなる多層CPPフィルム(PPの未延伸フィルム)をサンドラミネーション法によって形成し、実施例13、17では、第1シーラント層の上に、第3シーラント層、第4シーラント層、及び第2シーラント層からなる多層CPP(PPの未延伸フィルム)をサンドラミネーション法によって積層した。各シーラント層を形成する樹脂成分については、表2に示す通りである。また、各シーラント層の融点については、DSC法により測定した値である。斯して、基材層1/接着層2/金属層3/シーラント層4が順に積層された積層体からなる電池用包装材料を得た。
[電池用包装材料の密封性と開封性の評価]
実施例1〜18及び比較例1〜2で得られた各電池用包装材料を80mm×150mmに裁断した後、35mm×50mmの口径の成型金型(メス型)とこれに対応した成型金型(オス型)にて、0.4MPaで3.0mmの深さに冷間成型し、その中心部分に凹部を形成した。冷間成型後の電池用包装材料について、基材層1側の表面にピンホールが発生しているか否かを目視により観察したところ、いずれの電池用包装材料でもピンホールの発生は認められなかった。また、成型後の電池用包装材料2枚をシーラント層同士が対向するように重ねて、シーラント層同士が重なり合っている縁部をヒートシール(175℃、3秒、面圧1.4MPa)して、密封された内部空間(圧力1atm)を有するケース状にした。斯してケース状にした電池用包装材料を、減圧可能なオーブンに入れて、オーブン内の圧力が0atmになるように設定し、3℃/分の昇温速度で150℃になるまで昇温した。150℃になっても開封しなかった場合には、150℃の温度をそのまま保持した。電池用包装材料の金属層とシーラント層との間で剥離が生じた温度(剥離温度)、当該剥離温度に到達後に剥離するまでの時間、電池用包装材料が開封した開封温度、及び当該開封温度に到達してから開封するまでの時間とを、目視にて確認した。
前記試験で観察された結果に基づいて、以下の判定基準に従って、各電池用包装材料の密封性と開封性の評価を行った。
表2中、各樹脂成分の略号は以下の通りである。
PPa(A):マレイン酸変性ランダムポリプロピレン、融点160℃、軟化点145℃
PPa(B):マレイン酸変性ランダムポリプロピレン、融点140℃、軟化点130℃
PPa(C):マレイン酸変性ランダムポリプロピレン、融点125℃、軟化点115℃
PPa(D):マレイン酸変性ホモポリプロピレン、融点160℃、軟化点156℃
PP(A):ランダムポリプロピレン、融点160℃、軟化点85℃
PP(B):ランダムポリプロピレン、融点140℃、軟化点85℃
PP(C):ランダムポリプロピレン、融点125℃、軟化点80℃
PP(D):ホモポリプロピレン、融点160℃、軟化点150℃
PP(E):ランダムポリプロピレン、融点155℃、軟化点145℃
PP(F):ホモポリプロピレン、融点160℃、軟化点156℃
非晶性PP:非晶性ポリプロピレン、軟化点70℃
EVA:エチレン酢酸ビニル共重合体、融点90℃、軟化点50℃
EPR140:プロピレン系エラストマー、融点140℃、軟化点125℃
EPR160:プロピレン系エラストマー、融点160℃、軟化点110℃
酸変性COC:酸変性環状オレフィンコポリマー、軟化点80℃
MDPE:中密度ポリオレフィン、融点125℃、軟化点75℃
酸変性MDPE:カルボン酸変性の中密度ポリオレフィン、融点125℃、軟化点75℃
得られた結果を表2に示す。この結果から、第1シーラント層の融点が100〜160℃であり、軟化点が60〜150℃の範囲にある実施例1〜18の電池用包装材料では、開封温度到達までは、シーラント層の少なくとも一部が剥離したが開裂が生じておらず、シーラント層が袋状になって内部の密封性が維持されていた。また、開封温度到達後には、剥離した部分のシーラント層にピンホールのような微細な開裂が生じ、穏やかな開封状態に移行した。一方、第1シーラント層の融点は100〜160℃の範囲を満たすが、軟化点が60〜150℃の範囲を充足していない比較例1の電池用包装材料では、150℃に到達後5時間経過しても、剥離及び開封が生じず、このまま温度が上昇すると電池素子のセパレータが溶融し、正極と負極との間の短絡などによって電池反応の暴走や発火が生じ、電池の破裂や爆発の虞があった。また、第1シーラント層にエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いた比較例2では、90℃という低温で急激に開封が生じ、ヒートシール部分における凝集破壊やシーラント層の根切れが生じていた。
1 基材層
2 接着層
3 金属層
5 接着層
4 シーラント層
4a 第1シーラント層
4b 第2シーラント層
10 微細な開裂

Claims (11)

  1. 少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなる電池用包装材料であって
    前記シーラント層は、酸変性ポリオレフィンを含む第1シーラント層と、第2シーラント層の2層からなり
    前記シーラント層において、前記第1シーラント層が金属層側に位置し、前記第2シーラント層が最内層に位置するように配されており、
    前記第1シーラント層の融点Tm1が100〜160℃であり、かつ、前記第1シーラント層の軟化点Ts1が60〜150℃であ
    前記電池がT℃に至るまで高温に晒された状態では、前記第1シーラント層が軟化し、前記金属層と前記第1シーラント層の界面から前記第1シーラント層の少なくとも一部が剥離して、金属層から剥離した少なくとも一部の前記第1シーラント層は、前記第2シーラント層と共に内圧によって伸びて、密封状態を維持したまま膨潤し、その後、膨潤した前記第1シーラント層及び前記第2シーラント層はT℃到達後に微細な開裂を生じ、電池内部のガスを穏やかに放出する、電池用包装材料。
  2. 前記第2シーラント層の融点Tm2と前記第1シーラント層の融点Tm1とが、以下の関係:
    m2≧Tm1
    を充足する、請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記第1シーラント層が、非晶性ポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一方をさらに含む、請求項1または2に記載の電池用包装材料。
  4. 前記第2シーラント層の融点Tm2が100〜160℃であり、かつ、前記第2シーラント層の軟化点Ts2が60〜150℃である、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
  5. 電池が昇温された際に、設定温度に到達するまでは前記金属層と前記シーラント層の外側表面との少なくとも一部において剥離が生じるが包装材料は開封せず、設定温度到達後に迅速に前記包装材料が開封し、電池の発火や反応暴走を防止するように設定された電池に使用される電池用包装材料である、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
  6. 前記第1シーラント層に含まれる酸性ポリオレフィンが、構成モノマーとして少なくともプロピレンを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
  7. 前記第2シーラント層が、ポリオレフィンを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
  8. 前記第2シーラント層に含まれる前記ポリオレフィンが、構成モノマーとして少なくともプロピレンを含む、請求項7に記載の電池用包装材料。
  9. 前記第1シーラント層の厚みが0.1〜40μmであり、前記第2シーラント層の厚みが5〜40μmである、請求項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
  10. 前記金属層が、アルミニウム箔である、請求項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料。
  11. 前記基材層と前記金属層との間に、接着層をさらに有する、請求項1〜10のいずれかに記載の電池用包装材料。
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