JP6015066B2 - 電池用包装材料 - Google Patents
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Description
項1. 少なくとも、基材層、金属層、接着樹脂層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、前記接着樹脂層がカルボン酸変性ポリオレフィンを含み、且つ前記シーラント層がエチレンとノルボルネンの共重合体からなるシクロオレフィンコポリマーを含むことを特徴とする、電池用包装材料。
項2. 前記シーラント層が、(i)前記シクロオレフィンコポリマーと、(ii)ポリオレフィン及びカルボン酸変性ポリオレフィンよりなる群から選択される少なくとも1種と、を含むブレンドポリマーにより形成されている、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記接着樹脂層を形成するカルボン酸変性ポリオレフィンが、カルボン酸変性ポリエチレン又はカルボン酸変性ポリプロピレンである、項1又は2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記金属層がアルミニウムである、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記金属層の少なくとも一方の面に化成処理が施されている、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 二次電池用の包装材料である、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容さている、電池。
電池用包装材料は、図1に示すように、少なくとも、基材層1、金属層2、接着樹脂層3、及びシーラント層4が順次積層された積層体からなる。本発明の電池用包装材料において、基材層1が最外層になり、シーラント層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置するシーラント層4同士が熱溶着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
[基材層]
本発明の電池用包装材料において、基材層は最外層を形成する層である。基材層を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層を形成する素材としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10等のナイロン、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはナイロン、ポリエステル、更に好ましくは2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエステル、特に好ましくは2軸延伸ポリエステルが挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、接着樹脂層Bは、基材層と金属層との間に、必要に応じて設けられる樹脂層である。
本発明の電池用包装材料において、金属層は、包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光等が侵入するのを防止するためのバリア層として機能する層である。金属層を形成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属箔が挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが好適に使用される。包装材料の製造時にしわやピンホールを防止するために、本発明において金属層として、軟質アルミニウム、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)又は(JIS A8079P−O)等を用いることが好ましい。
本発明の電池用包装材料において、接着樹脂層Aは、前記金属層と後述するシーラント層を強固に接着させる層である。
カルボン酸変性に用いられるα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物としては、例えば、炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物が挙げられ、より具体的には、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの中でも、無水マレイン酸による変性は、長期間安定した金属層との接着性を確保でき、また量産性にも適しているので、好適である。
本発明の電池用包装材料において、シーラント層は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される。
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
基材層/接着樹脂層B/金属層が順に積層された積層体において、サーマルラミネート法、サンドラミネート法、ドライラミネート法のいずれかの方法で接着層樹脂A及びシーラント層を形成することにより、電池用包装材料を製造した。電池用包装材料の製造条件は、以下に示す通りである。
基材層1として厚み12μの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを用い、基材層2として厚み15μmのニ軸延伸ナイロンを用いた。また、金属層としては、厚み40μmのアルミニウム(JIS 8021系)の両面を化成処理したものを用いた。金属層の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をロールコート法により金属層の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。
実施例1〜4では、上記基材層/接着樹脂層B/金属層からなる積層体の金属層(化成処理された面)に、接着樹脂層Aとシーラント層をサーマルラミネーション法で貼合することにより積層し、基材層/接着樹脂層B/金属層/接着樹脂層A/シーラント層からなる積層体を形成した。
[実施例1]
接着樹脂層A
構成樹脂:カルボン酸変性ブロックポリプロピレン(MFR20.0)
厚み:20μm
シーラント層
層構造:単層
構成樹脂:シクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度65℃、MFR0.9、重量分子量/数平均分子量の比2.0)
厚み:10μm
接着樹脂層A
構成樹脂:カルボン酸変性ランダムポリプロピレン(MFR2.0)
厚み:20μm
シーラント層
層構造:下記層(1)と層(2)からなる2層
層(1)の構成樹脂:シクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度65℃、MFR2.0、重量分子量/数平均分子量の比2.5)
層(1)の厚み:3μm
層(2)の構成樹脂:ランダムプロピレン
層(2)の厚み:25μm
層(1)が接着樹脂層Aと接面し、層(2)が最表面を形成するように積層した。
接着樹脂層A
構成樹脂:カルボン酸変性ランダムポリプロピレン(MFR8.0)
厚み:20μm
シーラント層
層構造:下記層(1)と層(2)からなる2層
層(1)の構成樹脂:ブロックポリプロピレン50重量部、及びシクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度140℃、MFR0.08、重量分子量/数平均分子量の比1.9)50重量部からなるブレンド樹脂
層(1)の厚み:10μm
層(2)の構成樹脂:ランダムプロピレン
層(2)の厚み:15μm
層(1)が接着樹脂層Aと接面し、層(2)が最表面を形成するように積層した。
接着樹脂層A
構成樹脂:カルボン酸変性ランダムポリプロピレン(MFR8.0)
厚み:20μm
シーラント層
層構造:下記層(1)と層(2)からなる2層
層(1)の構成樹脂:シクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度65℃、MFR2.0、重量分子量/数平均分子量の比2.5)
層(1)の厚み:500μm
層(2)の構成樹脂:ランダムプロピレン
層(2)の厚み:100μm
層(1)が接着樹脂層Aと接面し、層(2)が最表面を形成するように積層した。
接着樹脂層A
構成樹脂:カルボン酸変性線状低密度ポリエチレン(MFR42.0)
厚み:20μm
シーラント層
層構造:単層
構成樹脂:シクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度65℃、MFR0.9、重量分子量/数平均分子量の比2.0)
厚み:10μm
接着樹脂層A
構成樹脂:カルボン酸変性ランダムポリプロピレン(MFR8.0)
厚み:20μm
シーラント層
層構造:単層
構成樹脂:非晶性プロピレンとエチレンの共重合体90重量部、及びシクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度75℃、MFR2.0、重量分子量/数平均分子量の比2.5)10重量部からなるブレンド樹脂
厚み:20μm
接着樹脂層A
構成樹脂:カルボン酸変性ランダムポリプロピレン(MFR12.0)
厚み:20μm
シーラント層
層構造:下記層(1)と層(2)からなる2層
層(1)の構成樹脂:ランダムポリプロピレン
層(1)の厚み:10μm
層(2)の構成樹脂:ブロックポリプロピレン3重量部、及びシクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度140℃、MFR0.08、重量分子量/数平均分子量の比1.9)10重量部からなるブレンド樹脂
層(2)の厚み:5μm
層(1)が接着樹脂層Aと接面し、層(2)が最表面を形成するように積層した。
接着樹脂層A
構成樹脂:カルボン酸変性ランダムポリプロピレン(MFR8.0)
厚み:20μm
シーラント層
層構造:下記層(1)、層(2)、層(3)が順に積層された3層
層(1)の構成樹脂:ランダムポリプロピレン
層(1)の厚み:10μm
層(2)の構成樹脂:シクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度175℃、MFR0.01、重量分子量/数平均分子量の比1.5)
層(2)の厚み:2μm
層(3)の構成樹脂:ランダムポリプロピレン
層(3)の厚み:18μm
層(1)が接着樹脂層Aと接面し、層(3)が最表面を形成するように積層した。
接着樹脂層A
構成樹脂:カルボン酸変性ランダムポリプロピレン(MFR 20.0)
厚み:20μm
シーラント層
層構造:下記層(1)、層(2)、層(3)が順に積層された3層
層(1)の構成樹脂:ランダムポリプロピレン
層(1)の厚み:10μm
層(2)の構成樹脂:ランダムポリプロピレン1量部及びシクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度140℃、MFR0.08、重量分子量/数平均分子量の比1.9)10重量部からなるブレンド樹脂
層(2)の厚み:10μm
層(3)の構成樹脂:ランダムポリプロピレン
層(3)の厚み:10μm
層(1)が接着樹脂層Aと接面し、層(3)が最表面を形成するように積層した。
接着樹脂層A
構成樹脂:カルボン酸変性ブロックポリプロピレン(MFR8.0)
厚み:20μm
シーラント層
層構造:単層
構成樹脂:ランダムポリプロピレン
厚み:30μm
接着樹脂層A
構成樹脂:ランダムポリプロピレン
厚み:20μm
シーラント層
層構造:下記層(1)、層(2)、層(3)が順に積層された3層
層(1)の構成樹脂:ランダムポリプロピレン
層(1)の厚み:10μm
層(2)の構成樹脂:シクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度75℃、MFR2.0、重量分子量/数平均分子量の比2.5)
層(2)の厚み:2μm
層(3)の構成樹脂:ランダムポリプロピレン
層(3)の厚み:18μm
層(1)が接着樹脂層Aと接面し、層(3)が最表面を形成するように積層した。
接着樹脂層A’
構成樹脂:ポリエステル系の主剤とイソシア系硬化剤の2液型ウレタン接着剤
厚み:4μm
シーラント層
層構造:単層
構成樹脂:シクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度75℃、MFR2.0、重量分子量/数平均分子量の比2.5)
厚み:30μm
前記実施例及び比較例で使用したシクロオレフィンコポリマーの重量分子量/数平均分子量の比及びガラス転移温度は、以下の測定条件にて求めた。
以下の条件でGPC法による測定を行って、重量分子量/数平均分子量の比を求めた。
測定装置:GPC 150−CALC(ウォーターズ社製)
カラム:AT−806M/S(SHODEX社製) 2本
測定温度:140℃
サンプル調製:試料約4mgに1,2-ジクロロベンゼン約4mlを加えて、ヒーターで加熱し140℃で1時間かけて溶解させ、不溶分をフィルターで除去した。
ガラス転移温度(Tg)測定は、ISO11357に準拠して行った。
上記で得られた各電池用包装材料について、耐久性、短絡性、クラックの有無、耐熱性の評価を行った。具体的な評価方法は、以下に示す通りである。
[電解液耐久性の評価]
金型を用いた塑性加工を行うことにより、各電池用包装材料を深さ6mm、縦横50mm×35mmの凹型に成形した。これに下記に示す組成の混合液3gをシール幅3mmで190℃、2.0MPa、3.0秒のヒートシール条件で密封し、85℃で720時間保存した。保存後に、各電池用包装材料における金属層とシーラント層のデラミネーションの有無を確認した。
混合液の組成:1MのLiPF6を含む、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート(容積比で1:1:1)の混合液。
各電池用包装材料を用いて縦横60mm×縦50mmの包装袋を作製し、これに、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、及びジメチルカーボネートを容積比1:1:1で含む混合液3gを充填し、シール幅3mmとなるようにシール条件は190℃、2.0M、3.0秒で3方シールし密封した。これを60℃、90%RHの恒温恒湿槽に10日間保管して、前記混合液の水分増加量をカールフィッシャー法で測定した。
金型を用いた塑性加工を行うことにより、各電池用包装材料から深さ6mm、縦横50mm×35mmの凹型の成型品を調製した。次いで、所定素材からなるリード線用フィルム(厚み50μm)を電池本体のリード線(ニッケル製、100μmの厚さ、4mm巾、長さ25mm)の所定の位置に巻きつけ後、電池本体を前記の成形品に挿入し、成形された電池用包装材料/リード線/包装材料となるように挟んだ後、その部分を、190℃、2.0MPaでヒートシールした。短絡性の評価は、リード線と電池用包装材料の金属層との短絡が生じるまでの時間を計測した。短絡の有無はテスター(判定条件:印加電圧100V、判定抵抗値2000MΩ)により確認し、さらに断面写真(光学顕微鏡、倍率200倍)によって、リード線と電池用包装材料と金属層の接触の有無を確認した。なお、実施例1〜4、6〜9、及び比較例1〜3の場合には、リード線用フィルムはカルボン酸変性ポリプロピレン製のものを使用し、実施例5の場合には、カルボン酸変性線状低密度ポリエチレン製のものを使用した。
金型を用いた塑性加工を行うことにより、各電池用包装材料を深さ6mm、縦横50mm×35mmサイズの凹型に成形した。各電池用包装材料について、延伸された側面と底面を光学顕微鏡500倍で観察し、クラックの有無を目視で確認した。
金型を用いた塑性加工を行うことにより、各電池用包装材料を深さ6mm、縦横50mm×35mmサイズの凹型に成形した。塑性加工に供した各電池用包装材料において延伸されていない部分(凹部の周囲)と、塑性加工を行っていない各電池用包装材料とをシール幅3mmで190℃、2.0MPa、3.0秒のヒートシール条件でヒートシールした。これを冷却した後、ヒートシール部分に対して直角に折り加工を行い、折り加工を行った部分を光学顕微鏡500倍で観察し、クラックの有無を目視で確認した。
金型を用いた塑性加工を行うことにより、各電池用包装材料を深さ3mm、縦横50mm×35mmサイズの凹型にに成形した。塑性加工に供した各電池用包装材料において延伸されていない部分(凹部の周囲)と、塑性加工を行っていない各電池用包装材料とをシール幅3mmで190℃、2.0MPa、3.0秒のヒートシール条件でヒートシールした。これを1気圧減圧した状態で昇温速度10℃/分で室温から昇温し、破裂(ヒートシール部分が分離)した時の温度を計測した。
得られた結果を表1に示す。実施例1〜9の電池用包装材料は、いずれも、電解液によるデラミネーションも発生せず、水分増加量も100ppm以下であり、電池用包装材料として求められる基本性能を十分に備えていた。また、実施例1〜9の電池用包装材料では、リードと金属層の短絡時間も10秒以上と長く、成形時のクラック、シール後のクラックも無かった。更に、実施例1〜9の電池用包装材料は、破裂温度も110℃以上と高い状態であった。これに対して、比較例1の電池用包装材料は、短絡時間が短かく、成形時及びシール後の折れでクラックが発生していた。また、比較例2の電池用包装材料は、デラミネーションが発生し、また水分増加量も高く、成形時及びシール後の折れでクラックが発生し、耐熱破裂温度も低かった。更に、比較例3の電池用包装材料では、短絡時間は10秒と長かったが、デラミネーションが発生し、また水分増加量も高く、耐熱破裂温度も低かった。
2 金属層
3 接着樹脂層A
4 シーラント層
Claims (7)
- 少なくとも、基材層、金属層、接着樹脂層、及び多層構成のシーラント層が順次積層された積層体からなり、
前記接着樹脂層がカルボン酸変性ポリオレフィンを含み、且つ前記シーラント層がエチレンとノルボルネンの共重合体からなるシクロオレフィンコポリマーを含み、
前記シクロオレフィンコポリマーは、ガラス転移温度が65℃〜190℃であり、
前記シーラント層は、ポリプロピレンのランダムコポリマーにより構成された層が最表面を形成していることを特徴とする、電池用包装材料。 - 前記シーラント層の厚みが、10μm〜500μmである、請求項1に記載の電池用包装材料。
- 前記接着樹脂層を形成するカルボン酸変性ポリオレフィンが、カルボン酸変性ポリエチレン又はカルボン酸変性ポリプロピレンである、請求項1又は2に記載の電池用包装材料。
- 前記金属層がアルミニウムである、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 前記金属層の少なくとも一方の面に化成処理が施されている、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 二次電池用の包装材料である、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容さている、電池。
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