JP6657543B2 - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Description
上記ポリカーボネートの製造方法としては、ビスフェノールA等の芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを直接反応させる方法(界面重合法)が、高品質なポリカーボネートを製造する方法として知られている。界面重合法によるポリカーボネートの工業的な製造方法としては、ビスフェノール類のアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒の存在下で反応させて、反応性のクロロホルメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを生成させ、該ポリカーボネートオリゴマーの生成と同時に又は逐次的に、さらにポリカーボネートオリゴマーとビスフェノール類とを第三級アミンなどの重合触媒及びアルカリ水溶液の存在下、縮合反応(重合反応)を進める方法が採用されている(特許文献1及び2参照)。
第三級アミン供給配管は、製造装置の設計上、第三級アミン貯蔵タンクの液面よりも高い場所に一部の配管が設置されることがあり、加圧保持されている状態を利用し、第三級アミン供給配管内を移送させて希釈溶媒と合流部で混合させ、前記工程に導入することがある。この際に窒素等の加圧ガスは、第三級アミンに溶解するために、加圧ガスが溶解した状態で第三級アミンを供給配管で移送させることとなる。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[16]に関する。
(i)前記第三級アミンの導入部分は、前記第三級アミン貯蔵タンクと、第三級アミン供給配管と、希釈溶媒供給配管とを少なくとも有し、
(ii)希釈溶媒供給配管との合流部より上流側の第三級アミン供給配管に圧力制御バルブをさらに有し、
(iii)加圧ガスにより加圧されている前記第三級アミン貯蔵タンク内の圧力をP1とし、前記貯蔵タンクの出口から前記圧力制御バルブより上流側の圧力をP2としたとき、P1≦P2とする、ポリカーボネートの製造方法。
[2]前記ポリカーボネートの製造方法が、
二価フェノールのアルカリ水溶液及びホスゲンを有機溶媒の存在下でホスゲン化反応させて反応液を得る工程(a)と、
前記工程(a)から得られる該反応液に、二価フェノールのアルカリ水溶液を導入し、ポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を得る工程(b)と、
前記工程(b)から得られたポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を、水相とポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相とに分離する工程(c)と、
前記工程(c)で分離されたポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相、及び二価フェノールのアルカリ水溶液を反応させてポリカーボネートを含む反応液を得る工程(d)を有する、上記[1]に記載のポリカーボネートの製造方法。
[3]前記工程(d)に重合触媒として第三級アミンを導入する、上記[2]に記載のポリカーボネートの製造方法。
[4]さらに、前記工程(b)に重合触媒として第三級アミンを導入する、上記[3]に記載のポリカーボネートの製造方法。
[5]前記第三級アミン貯蔵タンク内の第三級アミン純度が90%以上である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[6]前記第三級アミンがトリエチルアミンである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[7]前記希釈溶媒が水又は塩化メチレンである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[8]前記加圧ガスが窒素又は空気である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[9]前記第三級アミン供給配管からの第三級アミン供給量の標準偏差が平均流量の5%以内である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[10]前記第三級アミン希釈溶媒との混合後の第三級アミン濃度が50質量%以下である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[11]前記第三級アミン貯蔵タンク出口の第三級アミン供給配管にポンプを設置して第三級アミンを移送する、上記[1]〜[10]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[12]前記工程(d)が、前記工程(c)で分離されたポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相、二価フェノールのアルカリ水溶液、及びポリオルガノシロキサンを反応させてポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む反応液を得る工程である、上記[2]〜[11]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[13]前記工程(d)に導入する第三級アミンは、ポリオルガノシロキサンに対して質量比で0.001〜0.1である、上記[12]に記載のポリカーボネートの製造方法。
[14]前記二価フェノールが、下記一般式(1)で表わされる二価フェノールである、上記[1]〜[13]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[式中、R11及びR12は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Vは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキレン基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、又はCO−を示す。a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数である。]
[15]前記ポリオルガノシロキサンが、下記一般式(2)、(3)及び(4)から選択される少なくとも1種のポリオルガノシロキサンである、上記[12]〜[14]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[式中、R3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示し、複数のR3〜R6は、互いに同一であっても異なっていても良い。Yは−R7O−、−R7COO−、−R7NH−、−R7NR8−、−COO−、−S−、−R7COO−R9−O−、または−R7O−R10−O−を示し、複数のYは、互いに同一であっても異なっていても良い。前記R7は、単結合、直鎖、分岐鎖若しくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、置換または無置換のアリーレン基、またはジアリーレン基を示す。R8は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を示す。R9は、ジアリーレン基を示す。R10は、直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、又はジアリーレン基を示す。Zは、水素原子又はハロゲン原子を示し、複数のZは、互いに同一であっても異なっていても良い。βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基、又はジカルボン酸若しくはジカルボン酸のハロゲン化物由来の2価の基を示す。pとqはそれぞれ1以上の整数であり、pとqの和は20〜500であり、nは20〜500の平均繰り返し数を示す。]
[16]重合触媒として第三級アミンを反応工程に導入して、有機溶媒の存在下で二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとの界面重縮合により、ポリカーボネートを製造する方法であって、第三級アミンを反応工程に導入する際の流量変動が、平均流量に対して標準偏差で5%以内である、ポリカーボネートの製造方法。
重合触媒として第三級アミンを反応工程に導入して、有機溶媒の存在下で二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとの界面重縮合により、ポリカーボネートを製造する方法であって、下記(i)〜(iii)を満たすように第三級アミンを反応工程に導入するものである。
(i)前記第三級アミンの導入部分は、前記第三級アミン貯蔵タンクと、第三級アミン供給配管と、希釈溶媒供給配管とを少なくとも有し、
(ii)希釈溶媒供給配管との合流部より上流側の第三級アミン供給配管に圧力制御バルブをさらに有し、
(iii)加圧ガスにより加圧されている前記第三級アミン貯蔵タンク内の圧力をP1とし、前記貯蔵タンクの出口から前記圧力制御バルブより上流側の圧力をP2としたとき、P1≦P2とする。
以下、本発明のポリカーボネートの製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいと言える。
また、本発明のポリカーボネートの製造方法は、重合触媒として第三級アミンを反応工程に導入して、有機溶媒の存在下で二価フェノールのアルカリ水溶系とホスゲンとの界面重縮合により、ポリカーボネートを製造する方法であって、第三級アミンを反応工程に導入する際の流量変動が、平均流量に対して標準偏差で5%以内である。
<二価フェノールのアルカリ水溶液>
二価フェノールとしては、ポリカーボネートの製造に使用される二価フェノールが用いられる。前記二価フェノールとしては、下記一般式(1)で表される二価フェノールを用いることが好ましい。
上記一般式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Vは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキレン基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。
ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のジヒドロキシジアリールフルオレン類、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等のジヒドロキシジアリールアダマンタン類、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタン等が挙げられる。
これらの二価フェノールは、単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
ホスゲンは、通常、塩素および一酸化炭素を、塩素1モルに対し一酸化炭素1.01〜1.3モルの割合で、触媒として活性炭を使用して反応させて得られる化合物である。ホスゲンガスを使用する場合、使用するホスゲン中に未反応の一酸化炭素を1〜30容量%程度含んだホスゲンガスを使用することができる。また、液化状態のホスゲンも使用することができる。
有機溶媒としては、ポリカーボネートオリゴマーおよびポリカーボネート樹脂を溶解する溶媒が挙げられる。具体的にはジクロロメタン(塩化メチレン)、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、ジクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられ、特にジクロロメタン(塩化メチレン)が好ましい。
第三級アミンは、ポリカーボネートを製造する際の反応工程において、重合触媒として使用される。本発明のポリカーボネートの製造方法で使用される第三級アミンは液体状であり、具体的な第三級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルアニリンなどが挙げられる。これらの第三級アミンは、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。前記三級アミンの中でも、特にトリエチルアミンが好適である。重合触媒として使用される第三級アミンの純度は、90%以上のものを用いることが好ましい。
前記第三級アミンは、反応工程に使用される際に、希釈溶媒で希釈して使用される。希釈溶媒としては、水又は塩化メチレンを挙げることができる。第三級アミンは、水や塩化メチレン等の希釈溶媒で、好ましくは50質量%以下となるまで希釈して使用される。50質量%以下となるまで希釈して使用することにより、触媒としての第三級アミンの反応工程への導入量の調整が容易となる。
重合触媒として第三級アミンを反応工程に導入して、有機溶媒の存在下で二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとの界面重縮合により、ポリカーボネートを製造する方法は、公知の製造方法を使用することができる。具体的には、二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒の存在下で反応させてポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を得て、次いでポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を二価フェノールとを重縮合させてポリカーボネートを含む反応液を得る方法を挙げることができる。ポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を得る工程と、ポリカーボネートを含む反応液を得る工程は、同一の反応器を使用することもできるし、反応器を分けて、別々の工程で実施することもできる。本発明のポリカーボネートの製造方法では、ポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を得る工程や、そのポリカーボネートオリゴマーを重合させてポリカーボネートを含む反応液を得る工程に、重合触媒として、第三級アミンを導入して反応させるが、この第三級アミンを導入する方法については、後述する。
<工程(a)>
工程(a)は、二価フェノールのアルカリ水溶液及びホスゲンを有機溶媒の存在下でホスゲン化反応させて反応液を得る工程である。
工程(a)では、二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとが激しく反応して、発熱を伴うため、副反応を抑制するために反応生成物を0〜50℃に冷却することが望ましい。従って、工程(a)に使用する反応器としては、反応生成物を冷却するための冷却設備を備えた反応器を用いることが好ましい。また、二価フェノールのアルカリ水溶液、ホスゲン及び有機溶媒を連続的に反応器に導入した際に、反応器内で反応液が乱流状態となるような状態でホスゲン化反応させることが好ましい。このような反応器としては、混合反応器を用いることが望ましく、混合反応器としては、静止型混合器、即ちスタティックミキサーであることが好ましい。静止型混合器は、流体を分割、転換、反転させる作用を有するエレメントを内部に有した管状の反応器であることが好ましく、エレメントは一般的に、長方形の板を180度ねじった形状を有する。反応器内に導入された反応混合物は、ひとつのエレメントを通過するごとに2分割される。また、反応混合物流体又は反応生成物流体は、エレメント内のねじれ面に沿って管中央部から壁部へ、管壁部から中央部へと並び替えられる。また、流体は、1エレメントごとに回転方向が替わり、急激な慣性力の反転を受け乱流撹拌される。
上記に記載の管状の静止型混合器を反応器として用いた場合、反応器内では、液体中の気泡が微細化され、接触界面が大きくなり、これにより反応効率が飛躍的に高まる。
工程(b)は、前記工程(a)から得られる該反応液に、二価フェノールのアルカリ水溶液を導入し、ポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を得る工程である。この工程(b)に使用される原料、反応条件について説明する。
前述したとおり、工程(a)では、オリゴマー化反応はほとんど進行していないため、工程(b)でオリゴマー化反応させることで分子量を上げて、好ましくは、重量平均分子量が5000以下のポリカーボネートオリゴマーを製造する。この工程(b)では、工程(a)から得られる反応液に、二価フェノールのアルカリ水溶液、及び必要に応じて使用される重合触媒の第三級アミンを添加し、オリゴマー化反応を行うが、使用される二価フェノールのアルカリ水溶液としては、工程(a)にて使用する二価フェノールのアルカリ水溶液が使用される。なお、工程(b)に重合触媒の第三級アミンを導入する方法については、後述する方法が使用される。
このオリゴマー化反応を進めるための反応器には、工程(a)から得られた反応液が導入される。工程(a)から得られた反応液中には、未反応の二価フェノール及び残留するアルカリ成分の残存量は少なく、オリゴマー化反応を進めるためには、二価フェノール及びアルカリ成分を追加して反応させることが必要である。
工程(c)は、前記工程(b)から得られたポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を、水相とポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相とに分離する工程である。工程(c)に用いられる機器としては、静置分離槽が好ましく使用される。工程(b)で得られた反応液は、静置分離槽内に導入され、比重差により、水相とポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相とに分離される。下層のポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相は、静置分離槽の下側から連続的にあるいは断続的に抜き出される。上層の水相は、連続的にあるいは断続的に抜き出され、静置分離槽内の各相のレベルは、一定のレベル範囲内となるように保たれる。
工程(d)は、前記工程(c)で分離されたポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相、及び二価フェノールのアルカリ水溶液を反応(界面重縮合)させてポリカーボネートを含む反応液を得る工程である。また、この工程(d)では、前記工程(c)で分離されたポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相、二価フェノールのアルカリ水溶液、及びポリオルガノシロキサンを反応(界面重縮合)させてポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む反応液を得ることもできる。
この工程(d)では、上記各成分を必要に応じて使用される末端停止剤の存在下で界面重縮合反応させて、分子量を、目的の分子量範囲に調整する。得られるポリカーボネートの分子量は、粘度平均分子量で、通常、10,000〜50,000程度の範囲内となるまで、重縮合反応を行う。この工程(d)では、重縮合反応を促進するために、重合触媒として第三級アミンが使用される。
なお、工程(d)で使用される反応器は、反応器の能力次第では1基の反応器のみで反応を完結することができるが、必要に応じてさらに、それに後続する2基目の反応器、更には3基目の反応器等の複数の反応器を構築して、使用することができる。これらの反応器としては、撹拌槽,多段塔型撹拌槽,無撹拌槽,スタティックミキサー,ラインミキサー,オリフィスミキサー,配管などを用いることができる。これらの反応器は、任意に組み合わせて用いることができる。なお、工程(d)に重合触媒の第三級アミンを導入する方法については、後述する方法が使用される。
この工程(d)での反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは20〜40℃の範囲の温度で行われる。この工程(d)には、必要に応じて、前述した有機溶媒、アルカリ水溶液を添加して界面重縮合させてもよい。
[式中、R3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示し、複数のR3〜R6は、互いに同一であっても異なっていても良い。Yは−R7O−、−R7COO−、−R7NH−、−R7NR8−、−COO−、−S−、−R7COO−R9−O−、または−R7O−R10−O−を示し、複数のYは、互いに同一であっても異なっていても良い。前記R7は、単結合、直鎖、分岐鎖若しくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、置換または無置換のアリーレン基、またはジアリーレン基を示す。R8は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を示す。R9は、ジアリーレン基を示す。R10は、直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、又はジアリーレン基を示す。Zは、水素原子又はハロゲン原子を示し、複数のZは、互いに同一であっても異なっていても良い。βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基、又はジカルボン酸若しくはジカルボン酸のハロゲン化物由来の2価の基を示す。pとqはそれぞれ1以上の整数であり、pとqの和は20〜500であり、nは20〜500の平均繰り返し数を示す。]
R3〜R6としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基である。
一般式(2)、(3)及び(4)で表されるポリオルガノシロキサンとしては、R3〜R6がいずれもメチル基であるものが好ましい。
(式中cは正の整数を示し、通常1〜6の整数である)
R7、Ar1及びAr2が表すアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基などの環形成炭素数6〜14のアリーレン基が挙げられる。これらアリーレン基は、アルコキシ基、アルキル基等の任意の置換基を有していてもよい。
R8が示すアルキル基としては炭素数1〜8、好ましくは1〜5の直鎖または分岐鎖のものである。アルケニル基としては、炭素数2〜8、好ましくは2〜5の直鎖または分岐鎖のものが挙げられる。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、フェニルメチル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
R10が示す直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基は、R7と同様である。
なお、一般式(3)中のp及びqについては、p=q、すなわち、p=n/2、q=n/2であることが好ましい。
平均繰り返し数nは20〜500であり、より好ましくは50〜400、さらに好ましくは70〜300である。nが20以上であれば、優れた耐衝撃特性を得ることができるだけでなく、耐衝撃特性の大幅な回復を達成することができる。nが、500以下であれば、PC−POSを製造する際のハンドリングに優れる。なお、繰り返し単位数nは1H−NMRにより算出できる。
また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基又はジカルボン酸又はジカルボン酸のハロゲン化物由来の2価の基を示し、例えば、以下の一般式(7−1)〜(7−5)で表される2価の基が挙げられる。
これらの中でも、重合の容易さの観点においては、上記一般式(2−1)で表されるフェノール変性ポリオルガノシロキサンが好ましい。また、入手の容易さの観点においては、上記一般式(2−2)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、上記一般式(2−3)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンが好ましい。
(i)前記重合触媒の導入部分は、前記重合触媒第三級アミン貯蔵タンクと、第三級アミン供給配管と、希釈溶媒供給配管とを少なくとも有し、
(ii)希釈溶媒供給配管との合流部より上流側の第三級アミン供給配管に圧力制御バルブをさらに有し、
(iii)加圧ガスにより加圧されている前記第三級アミン貯蔵タンク内の圧力をP1とし、前記貯蔵タンクの出口から前記圧力制御バルブより上流側の圧力をP2としたとき、P1≦P2とする、
を満たすことを要す。
前記「(ii)希釈溶媒供給配管との合流部より上流側の第三級アミン供給配管に圧力制御バルブをさらに有し、」とは、第三級アミン貯蔵タンクに接続される第三級アミン供給配管が希釈溶媒供給配管と合流する位置までの間に、圧力制御バルブを上記供給配管に設置することを要する。第三級アミン供給配管は、装置の設計等により、第三級アミン貯蔵タンクより高い位置に設置されることがある。そのため圧力制御バルブの設置は、第三級アミン供給配管と希釈溶媒供給配管とが合流する位置の近くに設置することが好ましい。
前記「(iii)加圧ガスにより加圧されている前記第三級アミン貯蔵タンク内の圧力をP1とし、前記貯蔵タンクの出口から前記圧力制御バルブより上流側の圧力をP2としたとき、P1≦P2とする、」とは、加圧ガスにより加圧されている前記第三級アミン貯蔵タンク内の内圧をP1とし、及び前記貯蔵タンクの出口から圧力制御バルブまでの圧力をP2とした際に、P1≦P2であることを要する。貯蔵タンクと第三級アミン供給配管との位置に高低差があっても、タンク内から第三級アミンを容易に送液するために貯蔵タンク内を加圧する。ここで、前記貯蔵タンク出口から圧力制御バルブまでの圧力P2とは、前記貯蔵タンク出口から圧力制御バルブまでの圧力の最小圧力であることを意味する。圧力制御バルブを設置して、P1≦P2とすることにより、貯蔵タンク出口から前記圧力制御バルブまでの第三級アミン供給配管内の圧力P2は、第三級アミン貯蔵タンク内の内圧P1を下回ることがない。そのため、第三級アミン供給配管が第三級アミン貯蔵タンクより高い位置に設置されていても、第三級アミンに溶解した加圧ガスが気泡として発生することがなく第三級アミン供給配管内に加圧ガスによるガス溜まりがなくなり、第三級アミンを変動なく供給することができる。このような圧力制御を行うことにより、第三級アミン供給配管からの第三級アミン供給量の平均流量に対する標準偏差を5%以内とすることができる。
工程(e)は、前記工程(d)で得られたポリカーボネートを含む反応液(エマルジョン溶液)を、ポリカーボネートを含む有機溶媒相と、未反応の二価フェノールを含む水相とに分離する工程である。未反応の二価フェノールは工程(b)における原料として再利用できる。分離後の有機溶媒相中の水分はできるだけ低減することが望ましいため、エマルジョン溶液の分離性が良い方が好ましい。この分離性は、工程(e)で得られた有機溶媒相中の水分濃度の測定等により評価することができ、例えば、有機溶媒相を120℃に加熱し発生したガスをカールフィッシャー水分測定装置に導入して測定することが出来る。
有機溶媒相中の水分濃度の上限値は、後に続く洗浄工程の能力により異なる。生産効率の観点から工程(d)で得られたエマルジョン溶液の油水分離において不純物を含む水相を可能な限り有機相から除去することが効果的である。具体的には、4000質量ppm以下が好ましく、3500質量ppm以下がより好ましい。
この工程(e)で、ポリカーボネートを含む有機溶媒相と、未反応の二価フェノールを含む水相とに分離するために使用される機器としては、静置分離槽や遠心分離機を挙げることができる。図4に、工程(a)〜(e)までのフロー図を示す。
重量平均分子量(Mw)は、展開溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、GPC〔カラム:TOSOH TSK−GEL MULTIPORE HXL−M(2本)+Shodex KF801(1本)、温度40℃、流速1.0ml/分、検出器:RI〕にて、標準ポリスチレン換算分子量(重量平均分子量:Mw)として測定した。
塩素イオン濃度基準で、JIS K8203を参考とし、酸化−還元滴定、硝酸銀滴定を用いて測定した。
NMR測定によって、ポリジメチルシロキン(PDMS)のメチル基のプロトンに着目して求めた。
(i)得られたポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体フレーク6gを塩化メチレン50mlに溶解した溶液に、アセトン50ml及びn−ヘキサン150mlを添加して混合した後、30分間静置した。
(ii)濾紙(アドバンテック社、No.5A)を用いて吸引ろ過によりろ液を回収し、回収したろ液を濃縮乾固し、得られた乾固物の重量を測定した。得られた乾固物を重クロロホルムに溶解し、1H−NMR測定を行なった。未反応のフェノール変性ポリジメチルシロキサンの水酸基のオルト位のプロトン(δ6.7ppm)の積分値x、メチレン鎖に帰属されるプロトン(δ0.6ppm)の積分値yから、下記式により、未反応PDMSの割合z(%)を算出した。
z=2×x÷y×100
(iii)一方、標準サンプルとして準備した実質的に未反応PDMSを含まないポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体にフェノール変性ポリジメチルシロキサンを150〜2,000ppm添加した標準試料を別途用意し、上記同様の操作を行なうことで、zと未反応PDMS量(質量ppm=フェノール変性ポリジメチルシロキサン添加量)との関係式(検量線)を求めた。
前記(ii)で求めたzと前記(iii)で求めた関係式から、未反応PDMS量(質量ppm)を算出した。
粘度数(VN)は、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した。
粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10−5Mv0.83
有機溶媒相を120℃に加熱し、発生したガスをカールフィッシャー水分測定装置(三菱化学アナリテック(株)製,CA−200型)に導入して測定した。
ビスフェノールAの水酸化ナトリウム溶液(ビスフェノールA濃度:13.5質量%)を用いて塩化メチレンの存在下でホスゲン化反応させて得られた反応液に、さらにビスフェノールAの水酸化ナトリウム溶液及びトリエチルアミンの1質量%水溶液(TEA水溶液)を加えて[TEA水溶液の添加は、後述する方法で添加した。]、ポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を得て、このポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を静置分離することにより得られるポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相を後述する反応で使用した。また、この有機溶媒相中のポリカーボネートオリゴマーの重量平均分子量は、3,100であった。
図2に示すフロー図で、前記ポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相(PCO/MCと称することもある。)2,600Kg/hrと、塩化メチレン(MC)1,250Kg/hrを配管内で混合(ポリカーボネートオリゴマーの濃度:221g/L)してから、ジメチルシロキサン単位の繰り返し数(n)が90であるアリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサンの20質量%塩化メチレン溶液260Kg/hrを加えて配管内で混合し、その後、スタティックミキサーでよく混合した後、混合液を熱交換器により19〜22℃に冷却した。
冷却した混合液に、重合触媒として、トリエチルアミンを1質量%含むトリエチルアミンと塩化メチレンとの混合液80.0Kg/hrを導入した。トリエチルアミンと塩化メチレンとの混合液の導入は、後述する方法で導入した。その後、スタティックミキサー(14)でよく混合した後、反応器(Rx−1)(16)直前で8.0質量%水酸化ナトリウム水溶液(NaOH水溶液−1)140Kg/hrを加え、反応器(Rx−1)(16)にて塩化メチレン相を連続相としながらポリカーボネートオリゴマーとアリルフェノール末端変性PDMSの反応(予備重合)を行った。なお、反応器(Rx−1)(16)はタービン翼を供えたミキサー「パイプラインホモミキサー」〔特殊機化工業(株)製〕であり、回転数4,400rpmで運転した。
反応器(Rx−2)(21)を出た重合反応液は、反応器(Rx−3)(22)と反応器(Rx−4)(23)に順次導き、温度を38℃以下に制御しながら重合反応を完結させた。反応器(Rx−3)(22)はオリフィスプレートと冷却ジャケットを有する反応器であり、反応器(Rx−4)(23)は冷却ジャケットを有する塔型の5段反応器である。
図1に示すフロー図で、TEA貯蔵タンク(1)からTEAを、TEA供給配管(2)を通して0.80kg/hr(平均流量)供給した。TEA貯蔵タンク(1)は0.3MPaG(P1)になるように窒素で加圧した。また、希釈溶液(塩化メチレン)供給配管(5)と合流するまでのTEA供給配管(2)には、TEA供給ポンプ(6)(日機装社製パルスレスポンプ C21型)、流量計(8)(オーバル社製コリオリ流量計 CN003型)、流量制御バルブ(9)、圧力計(3)を有する圧力制御バルブ(4)をこの順に設置し、塩化メチレン供給配管(5)から供給された塩化メチレン(MC)をトリエチルアミンと合流させて、図2の10の位置へ導入した。TEA供給配管(2)は、TEA貯蔵タンク(1)の液面より1.5m高い場所を通過するため、この場所に圧力計(7)を設置した。TEA貯蔵タンク(1)からのTEAはポンプで昇圧し、下流の圧力計(3)の圧力が0.55MPaGになるよう調整した。このとき圧力計(7)の圧力は0.60MPaG(P2)であった。
また、流量計の指示値を1分間隔で60回読み取ったところ、標準偏差は0.009kg/hrであり、標準偏差を平均流量に対する%で表すと1.13%であった。このようにして、TEAをMCとラインで混合し、80kg/hrで反応工程に供給した。反応器(Rx−4)から出た重合反応液について、重合液1Lに対し、希釈用の塩化メチレンを0.29L加えて撹拌した後、1時間静置分離した後の有機溶媒相を採取し、水分の測定を行った結果2800wtppmだった。また、6時間の運転後、ベント1を開けたが、ガスの発生は確認できなかった。この際のTEA供給の条件を表1に示す。なお、TEA水溶液を反応工程に導入する際(図2における17でTEA水溶液を導入する直前までの工程)は、図1における5の希釈溶液に水を用いたこと以外、同様の方法で行い、反応工程に導入した。
実施例1において、ジメチルシロキサン単位の繰り返し数(n)が90であるアリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサンに変えて、ジメチルシロキサン単位の繰り返し数(n)が40であるアリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサンを用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
実施例1において、ポリジメチルシロキサンを使用しなかった以外は、実施例1と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
TEAをMCで希釈した溶液の供給を図3に示すフローで行った(TEAを水で希釈した溶液の供給は、図3における5の希釈溶液に水を用いたこと以外、同様のフローに準拠して行った。)以外は、実施例1と同様に実施した。図3に示すフロー図では、TEAをTEA貯蔵タンク(1)から、TEA供給配管(2)を通して0.80kg/hr(平均流量)供給した。また、図3に示すフロー図では、TEA貯蔵タンク(1)は、0.3MPaGとなるように窒素で加圧して供給した。希釈溶媒(塩化メチレン(MC))供給配管(5)と合流するまでのTEA供給配管(2)には、圧力計(7)、及び流量計(8)と流量制御バルブ(9)とを設置して図2の10の位置へ導入した。このとき圧力計(7)の圧力は0.25MPaGであった。また、流量計の指示値を1分間隔で60回読み取ったところ、標準偏差は0.082kg/hrであり、標準偏差を平均流量に対する%で表すと10.25%であった。得られた結果を表1に示す。反応器(Rx−4)から出た重合反応液について、重合液1Lに対し、希釈用の塩化メチレンを0.29L加えて撹拌した後、1時間静置分離した後の有機溶媒相を採取し、水分の測定を行った結果4500wtppmだった。また、6時間の運転後ベント1を開けた所、ガスの発生を確認した。
比較例1において、ジメチルシロキサン単位の繰り返し数(n)が90であるアリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサンに変えて、ジメチルシロキサン単位の繰り返し数(n)が40であるアリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサンを用いた以外は、比較例1と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
比較例1において、ポリジメチルシロキサンを使用しなかった以外は、比較例1と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
参考例1は、図1において、TEA貯蔵タンクにTEAの代わりに水を張り込み、あとは実施例1と同様に0.80kg/hrの水を流して、流量の標準偏差の測定とベント1開時のガス発生状況を確認した。また、参考例2は、図3において、TEA貯蔵タンクにTEAの代わりに水を張り込み、あとは比較例1と同様に0.80kg/hrの水を流して、流量の標準偏差の測定とベント1開時のガス発生状況を確認した。その結果を表2に示す。
また、表2の参考例1及び2の結果から、TEAの流量変動はTEAに加圧ガス例えば窒素ガスを使用した場合に特有のものであり、TEAのガス溶解度が高いために発生していることを示している。
Claims (15)
- 重合触媒として第三級アミンを反応工程に導入して、有機溶媒の存在下で二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとの界面重縮合により、ポリカーボネートを製造する方法であって、下記(i)〜(iii)を満たすように第三級アミンを反応工程に導入する、ポリカーボネートの製造方法。
(i)前記第三級アミンの導入部分は、第三級アミン貯蔵タンクと、第三級アミン供給配管と、希釈溶媒供給配管とを少なくとも有し、
(ii)希釈溶媒供給配管との合流部より上流側の第三級アミン供給配管に圧力制御バルブをさらに有し、
(iii)加圧ガスにより加圧されている前記第三級アミン貯蔵タンク内の圧力をP1とし、前記貯蔵タンクの出口から前記圧力制御バルブより上流側の圧力をP2としたとき、P1≦P2とする、ポリカーボネートの製造方法。 - 前記ポリカーボネートの製造方法が、
二価フェノールのアルカリ水溶液及びホスゲンを有機溶媒の存在下でホスゲン化反応させて反応液を得る工程(a)と、
前記工程(a)から得られる該反応液に、二価フェノールのアルカリ水溶液を導入し、ポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を得る工程(b)と、
前記工程(b)から得られたポリカーボネートオリゴマーを含む反応液を、水相とポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相とに分離する工程(c)と、
前記工程(c)で分離されたポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相、及び二価フェノールのアルカリ水溶液を反応させてポリカーボネートを含む反応液を得る工程(d)を有する、請求項1に記載のポリカーボネートの製造方法。 - 前記工程(d)に重合触媒として第三級アミンを導入する、請求項2に記載のポリカーボネートの製造方法。
- さらに、前記工程(b)に重合触媒として第三級アミンを導入する、請求項3に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記第三級アミン貯蔵タンク内の第三級アミン純度が90%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記第三級アミンがトリエチルアミンである、請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記希釈溶媒が、水又は塩化メチレンである、請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記加圧ガスが、窒素又は空気である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記第三級アミン供給配管からの第三級アミン供給量の標準偏差が平均流量の5%以内である、請求項1〜8のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記希釈溶媒との混合後の第三級アミン濃度が50質量%以下である、請求項1〜9のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記第三級アミン貯蔵タンク出口の第三級アミン供給配管にポンプを設置して第三級アミンを移送する、請求項1〜10のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記工程(d)が、前記工程(c)で分離されたポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相、二価フェノールのアルカリ水溶液、及びポリオルガノシロキサンを反応させてポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む反応液を得る工程である、請求項2〜11のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記工程(d)に導入する第三級アミンは、ポリオルガノシロキサンに対して質量比で0.001〜0.1である、請求項12に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記二価フェノールが、下記一般式(1)で表わされる二価フェノールである、請求項1〜13のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[式中、R11及びR12は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Vは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキレン基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、又は−CO−を示す。a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数である。] - 前記ポリオルガノシロキサンが、下記一般式(2)、(3)及び(4)から選択される少なくとも1種のポリオルガノシロキサンである、請求項12〜14のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[式中、R3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示し、複数のR3〜R6は、互いに同一であっても異なっていても良い。Yは−R7O−、−R7COO−、−R7NH−、−R7NR8−、−COO−、−S−、−R7COO−R9−O−、または−R7O−R10−O−を示し、複数のYは、互いに同一であっても異なっていても良い。前記R7は、単結合、直鎖、分岐鎖若しくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、置換または無置換のアリーレン基、またはジアリーレン基を示す。R8は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を示す。R9は、ジアリーレン基を示す。R10は、直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、又はジアリーレン基を示す。Zは、水素原子又はハロゲン原子を示し、複数のZは、互いに同一であっても異なっていても良い。βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基、又はジカルボン酸若しくはジカルボン酸のハロゲン化物由来の2価の基を示す。pとqはそれぞれ1以上の整数であり、pとqの和は20〜500であり、nは20〜500の平均繰り返し数を示す。]
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