JP6656832B2 - 基礎の施工方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献1には耐震壁に係る技術が開示されており、開口部廻り耐震補強構造が接合部材を介して基礎の上の建物開口部廻りに取り付けられている。
特許文献2には制振壁に係る技術が開示されており、制振装置がアンカーボルトを介して基礎の上に取り付けられている。
すなわち、以上のように地震や振動に対して優れた効果を発揮する壁または装置が、その効果を十分に発揮するためには基礎の上に設けられることが望ましい。
このとき、既設建物の基礎(以下、既設基礎)の配筋に新設基礎の配筋を接続して定着させるために、既設基礎を部分的に一度取り壊して既設基礎の配筋を剥き出さなければならず、作業が大がかりとなり、施工コストも高くなってしまう。
前記既設基礎2における前記フーチング21のうち前記接続部Jに相当する部分を取り除いて前記立ち上がり22と面一にし、前記フーチング21と前記立ち上がり22との連続した面である前記接続部Jを形成し、
前記既設基礎2の前記接続部Jに前記複数の突出部材23を、これら複数の突出部材23の間隔を、140mmから150mmとして固定し、
固定した前記複数の突出部材23に前記配筋33,34,35,36を接続することで前記既設基礎2と前記新設基礎3とを定着させ、
前記既設基礎2と接続した前記新設基礎3を形成することを特徴とする。
このため、既設基礎2に新設基礎3を設ける際、配筋同士を接続して定着させるために既設基礎2を一度破壊して配筋を剥き出す必要がなく、既設基礎2に複数の突出部材23を設けるだけで簡易に既設基礎2と定着させた基礎と同等の新設基礎3を設けることができる。
以上より、既設基礎2と新設基礎3との配筋を定着させる必要がなく、既設基礎2に新設基礎3を簡易に設けることができる。
また、ボルト23(すなわち、突出部材23)が140mmよりも近くに配置されるような場合、それぞれのボルト23に応力が分散せず、特定のボルト23に応力が集中してしまうというようなおそれをなくすことができる。
さらに、ボルト23が150mmより遠くに配置されるような場合、接続部Jに対してボルト23の数が少なくなり、ボルト23の1箇所あたりに係る応力が大きくなってしまい、既設基礎2と新設基礎3とが十分に安定的に連結されないおそれをなくすことができる。
前記新設基礎3は、フーチング31と立ち上がり32とを有し、当該新設基礎3のフーチング31における前記接続部J側の端部は、当該新設基礎3の立ち上がり32における前記接続部J側の側面よりも外側に突出しており、
前記新設基礎3を設置する際に、前記新設基礎3のフーチング31における前記接続部J側の端部を、前記既設基礎2のフーチング21の下側に潜り込ませるとともに、前記新設基礎3のフーチング31における前記接続部J側の端部上面を、前記既設基礎2のフーチング21における下面に当接させることを特徴とする。
前記新設基礎3を設置する前に、前記接続部Jを目粗しすることを特徴とする。
プレキャストコンクリート基礎である前記新設基礎3は、前記複数の突出部材23に接続される前記配筋33,34,35,36が前記接続部J側へ迫り出す箇所以外が予め形成されていることを特徴とする。
ここでいう時期的に早い段階とは、ただ時間的に新設基礎3よりも前に既設基礎2が形成されることを意味し、リフォーム時に限定されない。例えば、新規住宅の建築段階での設計変更など、既設基礎2と新設基礎3との施工の時間差は短くても長くてもいずれでもよい。
この新設基礎3は、新設フーチング31が既設フーチング21の下側に潜り込むように設けられ、新設フーチング31の端部上面が既設フーチング21の下面と当接している。
また、ボルト23は六角ボルトであり、その直径が20mm程度のものを用いている。
例えば、ボルト23が140mmよりも近くに配置されると、それぞれのボルト23に応力が分散せず、特定のボルト23に応力が集中してしまうおそれが生じてしまう。
一方、ボルト23が150mmより遠くに配置されると、接続部Jに対してボルト23の数が少なくなり、ボルト23の1箇所あたりに係る応力が大きくなってしまい、既設基礎2と新設基礎3とが十分に連結されないおそれが生じてしまう。
このため、ボルト23の間隔は140mmから150mmとすることが好ましい。
あばら筋33は、新設立ち上がり32から新設フーチング31まで鉛直方向に延設され、新設基礎3の延設方向に離間して複数設けられている。
上端主筋34は、これらのあばら筋33の上端同士をそれぞれ水平方向に沿って連結している。
下端主筋35は、あばら筋33の下端同士をそれぞれ水平方向に沿って連結している。
また、U字筋36は、接続部J側の上端主筋34と下端主筋35との端部を接続部J側から連結している。
また、U字筋36は、鉛直方向において、上端主筋34に接続する水平箇所と、下端主筋35に接続する水平箇所との間にボルト23が配置されるようにボルト23と接続固定されている。つまり、ボルト23は、上端主筋34よりも下方に配置され、下端主筋35よりも上方に配置されている。
このように、既設基礎2と新設基礎3とは、ボルト23とU字筋36とが接続し固定されることで、既設基礎2および新設基礎3それぞれの配筋(図示しないが既設基礎2にも新設基礎3と同様のあばら筋と上端主筋と下端主筋とが設けられている)を接続固定して定着させた場合と同様に一体的に固定されている。
そして、基礎芯BC上には、アンカーボルト4が設けられている。また、このアンカーボルト4は、接続部J側の新設基礎3の端部から間隔を空けた位置に設けられている。
ボルト23とU字筋36とは、水平なボルト23に対して垂直にU字筋36が当接し、この当接する箇所を針金で緊結することで固定されている。
また、この固定箇所は、ボルト23の突出先端に設けられる径大なボルト頭部よりも既設立ち上がり22側に位置している。このため、仮にボルト23とU字筋36との緊結にズレが生じた場合においても、径大なボルト頭部にU字筋36が係止することとなり、ボルト23とU字筋36との連結状態が維持されるようになっている。
この制振装置組込体52は、門型の部材であって、建物6の天井梁61に沿って配置される上梁52aと、この上梁52aの端部にそれぞれ固定される2本の柱52bと、を備えている。
また、2本の柱52bの下端には、新設基礎3に沿って配置される土台62の上に固定する固定具52cが設けられている。そして、新設基礎3に設けられたアンカーボルト4の先端が土台62を貫通して上側に突出しており、このアンカーボルト4の先端と固定具52cとが固定されることで、制振装置5が新設基礎3の上に設けられている。
まず、既設基礎2の下処理について説明する。
新設基礎3との干渉を防ぐために既設フーチング21のうち接続部Jに相当する部分を取り壊して既設立ち上がり22と面一にする。
その後、図6に示したように、既設フーチング21と既設立ち上がり22との連続した面である接続部Jにサンドペーパー等を用いて目粗しする。
既設基礎2へのボルト23の取り付け方法は、図7a)に示すように、既設基礎2を目粗しした接続部Jは、ハンマードリルHDとドリルビットDBとを用いてボルト23が突出するような所定の深さに穿孔される。
図7b)に示したように、穿孔した後は、孔に溜まった切粉をダストポンプDPにより風圧で孔から吹き出し、その後、図7c)に示したように、ブラシB等で孔の内壁を磨いて切粉をきれいに除去する。
その後、この孔にボルト23を挿入すると孔から少し溢れ出る程度に接着剤(ウレタンメタクリル樹脂接着剤)を充填し、そこにボルト23を挿入して接着剤が硬化するまで静置し、ボルト23を既設基礎2に固定する。つまり、ボルト23はいわゆるケミカルアンカーとしての機能を有することとなる。
新設基礎3の形成は、まず、接続部Jにおいて、新設フーチング31が既設フーチング21の下側に潜り込むように型枠を設置する。
型枠の設置後、新設基礎3の配筋となるあばら筋33、上端主筋34、下端主筋35およびU字筋36を型枠内に設置する。このとき、配筋は、新設基礎3の基礎芯BC上に設けられるアンカーボルト4と干渉しないように基礎芯BCからずれて配置される。また、U字筋36は、その両端がそれぞれ上端主筋34および下端主筋35の接続部J側端部で接続固定される。そして、U字筋36は、接続部J側に迫り出した中間部分が複数のボルト23と接続固定される。
その後、型枠にコンクリートを打設することで既設基礎2と接続した新設基礎3が形成される。
そして、この制振装置組込体52に制振構造体51を取り付けることで、建物6に制振装置5を設けている。
このため、既設基礎2に新設基礎3を設ける際、配筋同士を接続して定着させるために既設基礎2を一度破壊して配筋を剥き出す必要がなく、既設基礎2にボルト23を設けるだけで簡易に既設基礎2と定着させた基礎と同等の新設基礎3を設けることができる。
以上より、既設基礎2と新設基礎3との配筋を定着させる必要がなく、既設基礎2に新設基礎3を簡易に設けることができる。
こうすることで、U字筋36の中間部分をボルト23に接続させ、両端をそれぞれ新設基礎3の上端主筋34と下端主筋35とに接続させることができる。
このため、ボルト23と新設基礎3の上端主筋34および下端主筋35とをU字筋36が連結するので、上端主筋34と下端主筋35とボルト23とを一連で連結固定することができ、例えば、ボルト23を上端主筋34または下端主筋35のいずれかにだけ連結した場合に比して高いせん断強度を実現することができる。
こうすることで、例えば、新設基礎3の上に耐震材ないし制振材を設ける場合、基礎芯BC上にアンカーボルト4を設ける必要があるが、新設基礎3の配筋が基礎芯BCからずれて設けられているので、アンカーボルト4と配筋とが干渉する恐れがなく、アンカーボルト4を容易に新設基礎3に設けることができる。
こうすることで、新設基礎3にコンクリートを充填する際にアンカーボルト4が障害となって新設基礎3の端部にまでコンクリートが十分に充填できないというおそれをなくすことができる。
こうすることで、既設基礎2の接続部Jに設けられるボルト23を新設基礎3のU字筋36と接続することができ、既設基礎2の配筋と新設基礎3の配筋とを接続させて定着させたのと同様の強度を得ることができる。
このため、既設基礎2に新設基礎3を設ける際、配筋同士を接続して定着させるために既設基礎2を一度破壊して配筋を剥き出す必要がなく、既設基礎2にボルト23を設けるだけで簡易に既設基礎2と定着させた基礎と同等の新設基礎3を設けることができる。
以上より、既設基礎2と新設基礎3との配筋を定着させる必要がなく、既設基礎2に新設基礎3を簡易に設けることができる。
こうすることで、新設基礎3のコンクリートが打設されると、接続部Jの表面が
粗くなっているので、新設基礎3のコンクリートを既設基礎2のコンクリートに良好に接着させることができる。
こうすることで、ボルト23を既設立ち上がり22の厚み寸法の過半寸法を埋設することができ、ボルト23を既設基礎2に安定的に固定することができる。
こうすることで、例えば、突出寸法が50mm未満である場合のように新設基礎3を施工する際、配筋との接続固定が困難になるようなおそれをなくすことができる。
さらに、突出寸法が50mm以上であるので、U字筋36などが接続部J近傍に密集してしまい、コンクリートを打設する際、十分にコンクリートが接続部Jへと流入しなくなるおそれをなくすことができる。
こうすことで、例えば、ボルト23が140mmよりも近くに配置されるような場合、それぞれのボルト23に応力が分散せず、特定のボルト23に応力が集中してしまうというようなおそれをなくすことができる。
さらに、ボルト23が150mmより遠くに配置されるような場合、接続部Jに対してボルト23の数が少なくなり、ボルト23の1箇所あたりに係る応力が大きくなってしまい、既設基礎2と新設基礎3とが十分に安定的に連結されないおそれをなくすことができる。
こうすることで、仮にボルト23とU字筋36との緊結にズレが生じた場合においても、径大なボルト頭部にU字筋36が係止されることとなり、ボルト23とU字筋36との連結状態を維持することができる。
本実施形態では、制振装置を新設基礎3の上に設けるとしたが、これに限らず、例えば、耐震装置や耐力壁を設けてもよい。
例えば、U字筋36が接続部J側へ迫り出す箇所以外を工場などであらかじめ形成しておくといういわゆるプレキャストコンクリート基礎を用いてもよい。この場合、施工現場でU字筋36をボルト23に接続固定し、その箇所をコンクリート打設して新設基礎3を形成する。
こうすることで、既設基礎2の下処理の工数が削減でき、より簡易に新設基礎3を形成することができる。
2 既設基礎
3 新設基礎
4 アンカーボルト
5 制振装置
6 建物
21 既設フーチング
22 既設立ち上がり
23 ボルト(突出部材)
31 新設フーチング
32 新設立ち上がり
33 あばら筋(配筋)
34 上端主筋(配筋)
35 下端主筋(配筋)
36 U字筋(配筋)
41 アンカーボルト
42 アンカーボルト
51 制振構造体
52 制振装置組込体
52a 上梁
52b 柱
52c 固定具
61 天井梁
62 土台
B ブラシ
BC 基礎芯
DB ドリルビット
DP ダストポンプ
HD ハンマードリル
J 接続部
Claims (4)
- 建物を支持する基礎構造のうち既に配置され、かつフーチングと立ち上がりとを有する既設基礎と、
前記既設基礎に接続して新たに配置される新設基礎と、を備え、
前記既設基礎は、前記既設基礎と前記新設基礎とが接続する接続部に対して固定され突出する複数の突出部材を備え、
前記新設基礎は、前記複数の突出部材に接続される配筋を備える基礎構造を施工する基礎の施工方法であって、
前記既設基礎における前記フーチングのうち前記接続部に相当する部分を取り除いて前記立ち上がりと面一にし、前記フーチングと前記立ち上がりとの連続した面である前記接続部を形成し、
前記既設基礎の前記接続部に前記複数の突出部材を、これら複数の突出部材の間隔を、140mmから150mmとして固定し、
固定した前記複数の突出部材に前記配筋を接続することで前記既設基礎と前記新設基礎とを定着させ、
前記既設基礎と接続した前記新設基礎を形成する
ことを特徴とする基礎の施工方法。 - 請求項1に記載の基礎の施工方法において、
前記新設基礎は、フーチングと立ち上がりとを有し、当該新設基礎のフーチングにおける前記接続部側の端部は、当該新設基礎の立ち上がりにおける前記接続部側の側面よりも外側に突出しており、
前記新設基礎を設置する際に、前記新設基礎のフーチングにおける前記接続部側の端部を、前記既設基礎のフーチングの下側に潜り込ませるとともに、前記新設基礎のフーチングにおける前記接続部側の端部上面を、前記既設基礎のフーチングにおける下面に当接させることを特徴とする基礎の施工方法。 - 請求項1または2に記載の基礎の施工方法において、
前記新設基礎を設置する前に、前記接続部を目粗しすることを特徴とする基礎の施工方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の基礎の施工方法であって、
前記新設基礎はプレキャストコンクリート基礎であり、
プレキャストコンクリート基礎である前記新設基礎は、前記複数の突出部材に接続される前記配筋が前記接続部側へ迫り出す箇所以外が予め形成されていることを特徴とする基礎の施工方法。
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